JPH11179751A - 凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品およびその製造方法

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JPH11179751A
JPH11179751A JP9352688A JP35268897A JPH11179751A JP H11179751 A JPH11179751 A JP H11179751A JP 9352688 A JP9352688 A JP 9352688A JP 35268897 A JP35268897 A JP 35268897A JP H11179751 A JPH11179751 A JP H11179751A
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JP
Japan
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fiber
resin
mold
molded product
convex portion
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JP9352688A
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English (en)
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Manabu Nomura
学 野村
Toru Shima
徹 嶋
Atsushi Sato
佐藤  淳
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】面容積の大きい繊維強化軽量樹脂成形品の、均
一性を高め、局部的な応力、捩じれに対しても十分耐え
ることができる構造およびその効率的な製造方法を提供
する。 【解決手段】内部空隙を含む繊維強化軽量樹脂成形品に
おいて、成形品の厚み方向の少なくとも一方の面に凸部
を設け、凸部に対応する厚み領域(L)の空隙率を他の
一般領域(H)の空隙率よりも低くする。凸部に対応す
る厚み領域はリブとして機能する。製造は、少なくとも
一方の金型である凹状部8を設けた固定型1、移動型2
および可動型3で形成された金型キャビティに、可動型
3がクリアランスD1を残した突出位置のキャビティ7
に、繊維含有溶融樹脂を射出した後、金型キャビティの
容積が拡大する方向に可動型2をD2の位置まで後退さ
せることにより行う。可動型3の後退開始後ガスを注入
することもできるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、凸部を有する繊維
強化軽量樹脂成形品およびその製造方法に関し、詳しく
は、軽量化されていながら、特に剛性、曲げ強度、衝撃
強度、強度の均一性および局部的な応力や捩じれに対す
るすぐれたガラス繊維等の繊維で強化された凸部を有す
る繊維強化軽量樹脂成形品およびその効率的な製造方法
に関する。
【0002】
【背景技術】従来より、ガラス繊維等の繊維を含有させ
ることで強化された繊維強化樹脂成形品が知られてい
る。この繊維強化樹脂成形品は、引張強度、曲げ強度な
どの機械的特性や耐熱性にすぐれているので、インパネ
コア、バンパービーム、ドアステップ、ルーフ・ラッ
ク、リア・クォターパネル、エアクリーナ・ケース等の
自動車部品、および外壁用パネル、間仕切壁用パネル、
ケーブル・トラフ等の建築・土木用部材等として広く利
用されている。このような繊維強化樹脂成形品を製造す
るにあたり、金型の内部に繊維を含んだ溶融樹脂を射出
する射出成形方法を利用することができる。この射出成
形方法によれば、複雑な形状のものでも成形できるう
え、所定の成形サイクルを連続して繰り返すことが可能
なため、同一形状のものを大量生産することができると
いうメリットがある。
【0003】射出成形で成形された繊維強化樹脂成形品
は、強度や剛性を向上させるために、繊維量を増やす
と、成形品の重量が増大するとともに、反り変形が大き
くなる傾向にある。このため、重量軽減のために、原材
料に発泡剤を混入させ、成形品となる樹脂を発泡させな
がら成形を行う発泡射出成形方法が提案されている(特
開平7−247679号公報等)。この発泡射出成形方
法では、軽量化を達成するために、かなりの量の発泡剤
を用いても、充分な発泡倍率を得ることは容易でない。
しかも、充分な発泡倍率が得られたとしても、成形品の
外観が発泡により損なわれるうえ、補強用繊維を含有し
ているにもかかわらず、内部に大きな中空部が形成され
やすく、強度、剛性、耐衝撃性等の機械的特性が十分確
保できない場合がある。
【0004】これらの問題点を解消するものとして、強
度、剛性、耐衝撃性等の機械的特性や外観品質を維持し
つつ、軽量化を図るために、(1)比較的長い繊維を含
有した繊維強化樹脂ペレットを用い、繊維によるスプリ
ングバック現象を発生させて成形中の溶融樹脂を膨張さ
せ、軽量成形品を得る膨張成形方法、(2)前記(1)
における繊維強化ペレットに発泡剤を混入させ、この発
泡剤により樹脂の膨張を補完させ、さらに成形品の軽量
化を図る膨張成形方法が提案されている(国際公開 W
O97/29896号公報)。これらの方法によれば、
機械的特性、外観を損なわずに、成形品の軽量化を十分
達成できるので、繊維強化樹脂成形品の軽量化を図るの
に有効であるといえる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1)、(2)に示した成形方法で得られた成形品も軽
量化(膨張)の程度、成形品の形状によっては、たとえ
ば面容積が大きい場合には、曲げ強度、剛性が不十分で
あったり、局所的な応力に対する耐性がいまだ十分でな
いなど強度の均一性や捩じれに対する抵抗性が低い場合
があり、解決が望まれている。本発明の目的は、成形品
の面容積が大きい場合であっても、曲げ強度、剛性、衝
撃強度、耐熱性等にすぐれ、しかも局部的な応力や捩じ
れに対しても十分に耐えることのできる、均一性にすぐ
れた繊維強化軽量樹脂成形品およびその効率的な製造方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な状況下において、分散した空隙を有する繊維強化軽量
樹脂成形品において成形品の全体的な構造と物性につい
て鋭意研究を重ねた。その結果、成形品の内部構造とし
て、空隙が全体的に均一に分散するのではなく、疎密構
造をとり、しかもリブとしての機能も有する構造が成形
品の物性向上に寄与することを見出した。
【0007】すなわち、従来の樹脂成形品の周辺部は未
膨張または低膨張部分を形成することができるが、他の
一般領域は、平面構造にあっては均一に近い膨張(空隙
率)が起こる。しかし、この均一膨張領域に対して、リ
ブ状または分散型の凸部を形成すると、この凸部がリブ
に類似した強度効果を示すのみでなく、繊維含有溶融樹
脂(熱可塑性樹脂)を膨張させる際に、この凸部に対応
する厚み領域、すなわち、成形品の厚み方向の内部を含
めての領域が他の一般領域に比較して、低膨張性、すな
わち、空隙率の低い密な構造をとることを見出した。ま
た、これを実現するためには、特定の金型キャビティ
に、繊維含有溶融樹脂を射出した後、一方の金型を金型
キャビティの容積が拡大する方向に後退させることによ
り達成できることを見出し、本発明を完成したものであ
る。
【0008】すなわち、本発明は、 (1)内部空隙を含み、成形品の厚み方向の少なくとも
一方の面に凸部を有し、凸部に対応する厚み領域の空隙
率が他の一般領域の空隙率よりも低いことを特徴とする
凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品。 (2)凸部に対応する厚み領域の空隙率が0.1〜60
%、他の一般領域の空隙率が30〜90%である上記
(1)記載の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品。 (3)繊維がガラス繊維であり、繊維含有率が10〜7
0重量%で、平均繊維長が1〜20mmである上記
(1)または(2)記載の凸部を有する繊維強化軽量樹
脂成形品。 (4)一体化された表皮材を有する上記(1)〜(3)
のいずれかに記載の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形
品、および (5)一組の金型の少なくとも一方の面に凸部を形成す
るための凹状部を有する金型からなるキャビティに、繊
維含有溶融樹脂を射出し、次いで、一方の金型を金型キ
ャビティの容積が拡大する方向に後退させることによ
り、凸部に対応する厚み領域の空隙率を他の一般領域の
空隙率よりも低くすることを特徴とする凸部を有する繊
維強化軽量樹脂成形品の製造方法。 (6)キャビティ内の前記繊維含有溶融樹脂の内部にガ
スを注入する上記(5)記載の凸部を有する繊維強化軽
量樹脂成形品の製造方法。 (7)あらかじめ表皮材を装着したキャビティに繊維含
有溶融樹脂を射出する上記(5)または(6)記載の凸
部を有する繊維強化軽量樹脂成形品の製造方法。 (8)繊維含有溶融樹脂が、2〜100mmであり、こ
の全長と等しい長さを有し、互いに平行に配列された状
態にある繊維を20〜80重量%含有する繊維含有樹脂
ペレットまたは前記ペレットと他の樹脂ペレットとの混
合物で前記繊維が全体の10〜70重量%とされたもの
を可塑化、溶融したものである上記(5)〜(7)のい
ずれかに記載の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品の
製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。まず、空隙が分散した繊維強化軽量樹脂成形品の製
造方法としては、繊維含有溶融樹脂を金型キャビティに
射出充填し、次いで金型キャビティ容積を最終成形品の
容積に拡大するものである。すると繊維含有溶融樹脂は
含有繊維の絡み合いによるスプリングバック現象により
拡大された容積に膨張し、空隙を有する繊維強化軽量樹
脂成形品が得られる。本発明では、この際に、平板状構
造を有する成形品に対して厚み方向の少なくとも一方の
面に凸部を形成するための凹状部をもつ金型からなるキ
ャビティに、繊維含有溶融樹脂を射出し、一方の金型を
金型キャビティの容積が拡大する方向に後退させ、この
成形品の凸部に対応する厚み領域の空隙率を他の一般領
域の空隙率よりも低くすることに特徴がある。
【0010】ここにおいて、キャビティとして平板状と
したのでは、ほぼ均一の膨張倍率(空隙率)の繊維強化
軽量樹脂成形品が得られ、また、金型キャビティの側面
との間に隙間を設けた可動型(中子)を用いた場合に
は、成形品の外周部分は非膨張ないし低膨張倍率となる
が、樹脂成形品の非外周部分、すなわち他の一般領域は
均一な高膨張倍率となる。この場合、金型キャビティの
表面部分は冷却され非膨張のスキン層が形成され、軽量
化にもかかわらず、高い強度と剛性をもつ樹脂成形品と
なる。しかし、この厚み方向のスキン層/膨張層/スキ
ン層からなる三層構造では、面容積が大きい場合には剛
性が不足し、局部的な応力や捩じれに対する抵抗力も不
十分な場合がある。
【0011】本発明ではこれらの問題点を解消するため
に、両表面のスキン層を非膨張ないし低膨張の樹脂で部
分的に結合しようとするものである。これを達成するた
めに、本発明製造方法では、金型キャビティに対して進
退可能となった可動型を備え、成形品の厚み方向に凸部
を形成するための凹状部を有する金型で、可動型がクリ
アランスを残したキャビティに繊維含有溶融樹脂を射出
し、次いで、金型のキャビティの容積が拡大する方向に
可動型を後退させ、膨張させるものである。
【0012】ここにおいて、成形品の凸部に対応するキ
ャビティの凹状部の位置、形状、大きさ、数、分布等は
任意であり、成形品の形状、厚み、面容積、軽量化の程
度、使用場所、要求性能などを考慮して適宜決定され
る。この凹状部は、金型キャビティを構成する金型の固
定型、可動型の少なくとも一方に設けられる。また、両
金型に設ける場合には、両表面の対応する位置に設ける
こともできるし、異なる位置に設けることもできる。ま
た、凸部として、成形品の外周部にも連続した凸部を設
けることもできる。この場合には、成形品の端部の外観
をより良好にすることができる効果が得られる。しかし
ながら、一般的には、成形品の表側として平らな面が望
まれるために、成形品の裏側に凸部が形成されるように
することが好ましい。また、凸部の形状としてはその効
果の観点から、リブ状のものが好ましい。したがって、
典型的には、位置としては成形品の裏面に凸部を形成
し、形状としては、幅が2〜20mm程度で、長さが1
0mm以上の凸状部である。また、方向としては、縦、
横、斜めなどに連続、または断続の形態に形成すること
が好ましい。
【0013】本発明の製造方法においては、金型キャビ
ティに形成された凹状部に対応する厚み領域と他の一般
領域において、驚くべきことに、キャビティの拡大によ
って起こる繊維含有溶融樹脂の膨張が同じにならず、凹
状部、すなわち成形品が厚くなる部分の膨張が抑制され
る。これにより、成形品の凸部がリブとしての機能を有
することに加えて、成形品の内部にあっても、厚み方向
の空隙率が低く、他の一般領域と比較して密な構造とな
ることと相まって、よりリブとしての効果が向上する。
【0014】本発明の製造方法では、また、金型キャビ
ティの拡大開始時点から終了時、または終了後に窒素な
どのガスをキャビティ内の繊維含有溶融樹脂に注入する
こともできる。これにより、繊維含有溶融樹脂の膨張を
助けるとともに、溶融樹脂を金型成形面に向かって押圧
することになり、樹脂が金型面に密着した状態で冷却さ
れるので成形品の表面にヒケが生じない。また、このガ
スを金型内に流通させれば成形品の冷却が促進され成形
サイクルが短縮する。この際に、揮発性の水などの液体
を同伴させると冷却効果をより向上させることができ
る。
【0015】本発明では、このような繊維強化軽量樹脂
成形品の製造方法において、金型に表皮材を予め装着す
ることにより、表皮材が一体化した繊維強化軽量樹脂成
形品とすることもできる。表皮材を一体化する場合に
は、金型凹状部は表皮材面の反対側の裏面に一般に形成
される。さらに、本発明の好適な製造方法として、繊維
含有溶融樹脂が、全長が2〜100mmであり、この全
長と等しい長さを有し互いに平行に配列された状態にあ
る繊維を20〜80重量%含有する繊維含有樹脂ペレッ
トまたは前記ペレットと他の樹脂ペレットとの混合物で
前記繊維が全体の10〜70重量%とされた原料樹脂を
可塑化、溶融したものであることが好ましい。なお、他
の樹脂ペレットとしては、繊維を含まないペレット、繊
維含有溶融混練して得られたペレットであってもよい。
この原料樹脂の選択によって、スプリングバック現象が
より良く発現する。すなわち、射出成形時に可塑化溶融
樹脂中のガラス繊維などの繊維長が長く保たれるととも
に、分散性も良好になる。この原料樹脂には必要によ
り、膨張を補完するために少量(3重量%以下)の発泡
剤を添加することもできる。
【0016】本発明の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成
形品における軽量化は、含有する繊維の種類、含有量や
目的とする最終製品の要求特性によっても異なるが、全
体としての空隙率は特に制限はなく通常30〜90%で
あり、凸部に対応する厚み領域の空隙率が0.1〜60
%、他の一般領域の空隙率が30〜90%程度である。
このような空隙率は、溶融樹脂射出時のキャビティ容積
とキャビティの拡大による最終成形品の容積への膨張の
程度を制御することにより容易に達成することができ
る。空隙率が30%未満では軽量化の効果が小さく、9
0%を越えると表面の平滑性が低下し、表面の緻密なス
キン層が薄くなり、強度的にも弱くなる。
【0017】また、樹脂成形品中の平均繊維長として
は、たとえばガラス繊維の場合では1〜20mm、好ま
しくは2〜15mmである。ここで1mm未満では、繊
維の絡み合いが不十分となり、膨張性が不足するととも
に、強度、剛性、耐衝撃性の点でも好ましくない。ま
た、20mmを越えると分散性が十分でないとともに、
溶融時の流動性が不十分となり、成形品の薄肉部や末端
部に樹脂が流れにくくなり、外観不良や成形不良が発生
する場合がある。さらに、ガラス繊維の場合の繊維含有
量としては、通常10〜70重量%、好ましくは15〜
60重量%である。10重量%未満では、膨張性、強
度、剛性、耐熱性が十分でなく、70重量%を越えると
溶融時の流動性が低下し、外観不良、膨張性、成形性が
低下する場合がある。上記において、空隙率とは、
〔(成形品の容積−空隙を有さない場合の容積)/成形
品の容積〕×100を示す。また膨張倍率とは、〔膨張
後の容積/膨張前の空隙を有さない容積〕を示す。な
お、成形品としては、成形品の部分を示す場合を含む。
【0018】本発明に用いられる熱可塑性樹脂として
は、特に、制限はないが、例えば、ポリプロピレン、プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エ
チレンランダム共重合体、ポリエチレン等のポリオレフ
ィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩
化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリ芳香族エーテルまたはチオエーテル系樹脂、ポリ芳
香族エステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂およびアクリ
レート系樹脂等が採用できる。ここで、上記熱可塑性樹
脂は、単独で用いることがもできるが、二種類以上を組
み合わせて用いてもよい。このような熱可塑性樹脂のう
ち、ポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの
ブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいは、これ
らの混合物などのポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系
樹脂が好ましく、特に、不飽和カルボン酸、または、そ
の誘導体で変性された酸変性ポリオレフィン系樹脂を含
有するポリプロピレン系樹脂が好適である。
【0019】また、繊維としては、セラミック繊維:ボ
ロン繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チッ化ケイ
素繊維、ジルコニア繊維、無機繊維:ガラス繊維、炭素
繊維、金属繊維:銅繊維、黄銅繊維、鋼繊維、ステンレ
ス繊維、アルミニウム繊維、アルミニウム合金繊維、有
機繊維:ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド
繊維、ポリアリレート繊維などを例示できる。これらの
なかでもガラス繊維が好ましく用いられる。
【0020】さらに、繊維含有樹脂としては、全長が2
〜100mmであり、前記全長と等しい長さの繊維が、
互いに平行に配列された状態となって20〜80重量%
含有する前記繊維含有樹脂ペレットまたは前記ペレット
と他の樹脂ペレットとの混合物で前記繊維が全体の10
〜70重量%とされた原材料であることが好ましい。繊
維が互いに平行に配列された状態となって全体の20〜
80重量%含有されたペレットを用いれば、射出装置の
スクリューで可塑化・混練を行っても、繊維の破断が起
こりにくく、また分散性も良好となる。これにより、キ
ャビティ中の溶融樹脂のスプリングバック現象が良好と
なるとともに、最終成形品中で残存する繊維長が長くな
り、物性の向上、表面外観が向上する。
【0021】ここで、ガラス繊維としては、E−ガラ
ス、S−ガラスなどのガラス繊維であって、その平均繊
維径が25μm以下のもの、好ましくは3〜20μmの
範囲のものが好ましく採用できる。ガラス繊維の径が3
μm未満であると、ペレット製造時にガラス繊維が樹脂
になじまず、樹脂に含浸するのが困難となる一方、20
μmを超えると、溶融混練時に切断、欠損が起こりやす
くなる。これらの熱可塑性樹脂およびガラス繊維を用
い、引き抜き成形法等でペレットを製造するにあたり、
ガラス繊維は、カップリング剤で表面処理した後、収束
剤により、100〜10000本、好ましくは、150
〜5000本の範囲で束ねておくことが望ましい。カッ
プリング剤としては、いわゆるシラン系カップリング
剤、チタン系カップリング剤として従来からあるものの
中から適宜選択することができる。例えば、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
等のアミノシランやエポキシシランが採用できる。特
に、前記アミノ系シラン化合物を採用するのが好まし
い。
【0022】収束剤としては、例えば、ウレタン系、オ
レフィン系、アクリル系、ブタジエン系およびエポキシ
系等が採用でき、これらのうち、ウレタン系およびオレ
フィ系が採用できる。これらのうち、ウレタン系収束剤
は、通常、ジイソシアネート化合物と多価アルコールと
の重付加反応により得られるポリイソシアネートを50
重量%以上の割合で含有するものであれば、油変性型、
湿気硬化型およびブロック型等の一液タイプ、および、
触媒硬化型およびポリオール硬化型等の二液タイプのい
ずれもが採用できる。一方、オレフィン系収束剤として
は、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性された変
性ポリオレフィン系樹脂が好ましく採用できる。上述の
ような収束剤で収束したガラス繊維に熱可塑性樹脂を付
着・含浸させることにより、ガラス繊維を含有する樹脂
ペレットが製造される。ガラス繊維に熱可塑性樹脂を付
着・含浸させる方法としては、例えば、溶融樹脂の中に
繊維束を通し、繊維に樹脂を含浸させる方法、コーティ
ング用ダイに繊維束を通して含浸させる方法、あるい
は、ダイで繊維の周りに付着した溶融樹脂を押し広げて
繊維束に含浸させる方法等が採用できる。
【0023】ここで、繊維束と樹脂とをよくなじませ
る、すなわち濡れ性を向上するために、内周に凹凸部が
設けられたダイの内部に、張力が加えられた繊維束を通
して引き抜くことで、溶融樹脂を繊維束に含浸させた
後、さらに、この繊維束を加圧ローラでプレスする工程
が組み込まれた引抜成形法も採用できる。なお、ガラス
繊維と溶融樹脂とが互いによくなじむ、濡れ性のよいも
のであれば、溶融樹脂がガラス繊維に容易に含浸され、
ペレットの製造が容易となるので、前述の収束剤で繊維
を収束する工程は、省略できる場合がある。ここで、互
いによくなじませる方法としては、樹脂に極性を付与し
たり、ガラス繊維の表面にカップリング剤と反応する官
能基をグラフトしたりする方法が有効である。
【0024】以上のような方法で、樹脂が含浸された長
尺繊維束(ストランド等)を、繊維の長手方向に沿って
切断すれば、ペレットの全長と同じ長さの長繊維を含ん
だ樹脂ペレットを得ることができる。この際、樹脂ペレ
ットとしては、繊維束がストランドにされ、その断面形
状が略円形となった樹脂含有長尺繊維束を切断したもの
に限らず、繊維を平たく配列することにより、シート
状、テープ状またはバンド状になった樹脂含有長尺繊維
束を所定の長さに切断したものでもよい。
【0025】また、前記原材料樹脂には、3重量%以下
の発泡剤を含ませることができる。発泡剤を含有させれ
ば、スプリングバック現象における繊維の復元力が不足
する場合においても、発泡剤の発泡力が繊維の復元力を
補完するので、可動型が後退するのに応じて、成形品に
応じた容積にまで繊維含有溶融樹脂が確実に膨張するよ
うになる。なお、発泡剤の含有量が3重量%を超える
と、シルバーマークが生じる場合があり、外観品質上の
不具合が生じるおそれがあるうえ、成形品の内部に大き
な中空部が発生し、強度や剛性が著しく低下する場合が
ある。こうした理由で、発泡剤の含有は、スプリングバ
ック現象の補完のためであることから、その含有量は、
必要最低限に留めるのが好ましい。具体的には、0.0
1〜3重量%の発泡剤を含ませることが好ましい。
【0026】ここで、発泡剤の種類は、熱により分解し
てガスを発生するものであれば、限定されない。例え
ば、シュウ酸誘導体、アゾ化合物、ヒドラジン誘導体、
セミカルバジド、アジド化合物、ニトロソ化合物、トリ
アゾール、尿素およびその関連化合物、亜硝酸塩、水素
化物、炭酸塩ならびに重炭酸塩等が採用できる。さらに
具体的に例示すれば、アゾジカルボンアミド(ADC
A)、ベンゼンスルホヒドラジド、N,N−ジニトロペ
ンタメチレンテトラミン、テレフタルアジド等が採用で
きる。また、必要により、安定剤、帯電防止剤、耐候
剤、着色剤、短繊維、タルク等の充填剤を加えることも
できる。
【0027】次に、キャビティ内の溶融樹脂に注入する
前記ガスとしては、温度が15℃以下、好ましくは、0
℃以下の冷却用ガスを採用するのが好ましい。さらに、
前記ガスは、前記溶融樹脂を可塑化して射出する射出装
置のノズルの内部に設けられたガスノズル、または、前
記金型の内部に設けられたスプル、ランナーおよびキャ
ビティのいずれかに開口されるガスピンから、溶融樹脂
の内部へ注入することができる。これらのなかでも、金
型に設けられたガスピン、特に、キャビティに開口され
たガスピンから注入するのが好ましい。
【0028】また、前記ガスの圧力としては、0.01
〜20MPaの範囲、特に、0.1〜2MPaの範囲に
設定されていることが好ましい。すなわち、注入するガ
スの圧力値は、成形品の大きさ、形状および膨張倍率、
ならびに、溶融樹脂の流動性、粘度および含有繊維量、
さらには、金型の形状等に応じて設定するものである。
一般的には、ガスの圧力をより低圧にすれば、溶融樹脂
内部に大きな中空部が発生する可能性が小さくなり、強
度確保がより確実となるうえ、溶融樹脂の表面と金型の
成形面との間へガスが漏洩しにくくなり、シルバーマー
ク等の不具合発生の可能性がより小さくなる。
【0029】この比較的低圧でのガス注入が可能な理由
は、繊維のスプリングバック現象を利用するため、相互
に連続する多数の空隙が成形品の内部に確保されるため
である。一方、従来の短繊維での発泡剤による軽量化で
は、独立気泡しか形成することができないため、ガスを
低圧で注入することはきわめて困難であり、注入する場
合は高圧のガス注入成形となるため、注入ガスにより大
きな中空部が形成されてしまう。すなわち大中空部によ
るか、連続均一分散によるかで、軽量化の形態が全く異
なる。なお、ガスの圧力が20MPaを越えてしまう
と、溶融樹脂の表面と金型成形面との間にガスが漏れた
り、大きな中空部が生じたりする場合が多く、シルバー
マーク等の外観上の不具合や、大きな中空部による強度
低下等の機能上の不具合が発生する可能性が著しく高く
なるが、本発明でのガス注入は、膨張の補完であり、か
かる高い圧力を必要としない。また、成形品の冷却行程
において、ガスを流通排出させて溶融樹脂を短時間で冷
却することが好ましい。
【0030】さらに、前記金型には、成形品の表面を被
覆一体化するための表皮材を、成形前に予め装着させる
ことができる。このように、予め成形前に表皮材が装着
された金型を用いれば、表面が表皮材で被覆された繊維
強化軽量樹脂積層成形品が得られるようになる。ここ
で、表皮材としては、特に限定されるものではなく、目
的、用途によって種々のものを用いることができる。た
とえば、織布や不織布等の布、熱可塑性樹脂シート、フ
イルム、熱可塑性樹脂の発泡シート、および、模様等が
印刷されたフィルム等の単層材、ならびに、熱可塑性エ
ラストマーや塩化ビニル樹脂等の表皮材に、熱可塑性樹
脂や熱可塑性樹脂の発泡体シート等からなる裏地材を裏
打ちした多層材が採用できる。なお、表皮材は成形品に
全面被覆することもできるし、部分被覆することもでき
る。
【0031】本発明の製造方法における、繊維含有溶融
樹脂の金型キャビティへの射出方法としては、一般の射
出成形方法の場合と、繊維含有溶融樹脂を金型キャビテ
ィに不完全充填の状態で射出し、次いで、可動型を前進
させて樹脂を圧縮するいわゆる射出圧縮成形方法を採用
することもできる。特に、発泡シートや繊維からなる表
皮材との一体化成形の場合には、射出時の表皮材の損傷
を防止する観点より、射出時の樹脂圧力が低い射出圧縮
成形方法の採用が好ましい。
【0032】以下に本発明の実施の各形態を図面に基づ
いて説明する。図1は、本発明の凸部を有する繊維強化
軽量樹脂成形品の製造方法の第1実施態様例を概念的に
示す。図1(a)は、繊維含有溶融樹脂を射出し、金型
キャビティを拡大する直前の状態を示し、図1(b)
は、金型キャビティを拡大した後であって金型開放前の
成形品の賦形完了時の状態を示す。図1において、1は
固定型、2は移動型、3は可動型、4は樹脂流路、5は
ガス注入口、6はガス排出口、7はキャビティである。
本発明の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品の製造に
あっては、凹状部を持つ固定型1と移動型2を型締め
し、さらに可動型3をキャビティ7の中に突出させて、
射出時のキャビティ容積を決定する。この場合に可動型
3の突出位置は成形品の厚み方向に対して、クリアラン
スD1になるようにする。このクリアランスD1や可動
型の形状は、最終成形品の形状や軽量化の程度などによ
り適宜決定することができる。
【0033】この状態のキャビティに対して、繊維含有
溶融樹脂が図示しない可塑化装置のノズルから樹脂流路
4を介して射出、充填される。充填された溶融樹脂は、
金型との接触部分から冷却が始まる。ついで、溶融樹脂
が完全に硬化しない前に、図1(b)に示すように、可
動型3を後退させ、D2の位置、すなわち、最終成形品
となるキャビティ容積になるように拡張する。この可動
型3の後退によって、溶融状態の繊維含有樹脂は、含ま
れる繊維の絡み合いによる、スプリングバック現象によ
り膨張して最終成形品の形状になり、この膨張力によっ
て金型壁面に押しつけられ賦形される。このとき、固定
型の凹状部分は、凹状部分だけ他の部分よりも厚み方向
の樹脂量が多いこと、冷却が他の部分よりも早まること
などによりキャビティの拡張時における膨張が抑制され
ることになる。これによって、成形品の凸部は、凸部に
対応する厚み方向内部と一体となってリブ類似の構造を
形成し、リブとしての効果が得られることになる。
【0034】本発明では、金型の厚み方向において、部
分的に凸部を有する製品設計とすることにより、外周部
以外の凸部においても、可動型を後退させて溶融樹脂を
膨張させるときの膨張を抑制するものである。従って、
凸部の形状、サイズによっても異なるが、凸部に対応す
る厚み領域の膨張を実質的に膨張できないようにした
り、あるいは、膨張してもその程度が他の一般領域より
低い膨張度(すなわち低い空隙率)とするものである。
これにより、成形品の高空隙率である一般領域(H)と
ともに、成形品の外周部のみでなく、凸部に対応する厚
み領域(L)にも低空隙率の繊維含有樹脂の緻密な構造
が形成され、これにより、あたかもリブを有する構造と
類似の構造、効果が得られるものである。
【0035】本発明では、成形品の軽量化の程度にもよ
るが、その膨張性の高い溶融樹脂のキャビティ内への射
出が必要であり、このためには前記したように、射出樹
脂中の繊維、たとえばガラス繊維の平均繊維長が長いこ
とが望ましい。また、空隙率の高い成形品を得るために
は、その膨張力を補完し、また、金型表面への樹脂の押
しつけ賦形による、ヒケの防止のために、少量の発泡剤
を添加することもできる。また、可動型の後退開始後に
おいて、ガス排出口6を閉じた状態で、ガス注入口5か
ら1MPa以下の比較的低圧の窒素ガスなどのガスを注
入することができる。さらに、ガス排出口の圧力をある
圧力に保ちながら、排出してガスを流通することで、成
形品の冷却を促進するとともに、表面のヒケ発生の防止
ができる。
【0036】本発明の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成
形品は、一般の発泡剤を用いた軽量化の場合の独立気泡
とは異なり、溶融樹脂は含有繊維の絡み合いの回復によ
る膨張で繊維をもとに連続した空隙が形成され、成形品
の膨張領域の均一化を図りながら、ガスが注入できると
いう大きな特徴がある。このため、成形品を金型面に充
分接触させることが可能で、冷却が促進されるととも
に、ガスの流通で内部から冷却でき成形サイクルを大幅
に短縮できるという特徴がある。本発明の金型凹状部に
より形成される成形品凸部に対応する厚み領域は、低空
隙率領域となる。なお、ガスを注入する点からは、成形
品が低空隙率領域を有しながら全体としては、ガスの流
通が可能な空隙で連通していることが好ましい。
【0037】図2は、本発明の凸部を有する繊維強化軽
量樹脂成形品の製造方法の第2実施態様例を概念的に示
す。図1と異なる点は、可動型3の突出時に、移動型2
と可動型3との間に側面隙間9を設け、最終成形品の外
周部となる移動型、可動型および凹状部を有する固定型
によって射出時の金型キャビティを形成するものであ
る。この態様においては、次いでなされる溶融樹脂の射
出により、溶融樹脂は最終成形品の外周部が高い圧力に
より金型に賦形され、金型の冷却によりある程度冷却固
定され、可動型の後退時に成形品外周部への悪影響がな
く、図1の場合にくらべて側面外観が良好となる。
【0038】図3は、本発明の凸部を有する繊維強化軽
量樹脂成形品の製造方法の第3実施態様例を概念的に示
す。図1と異なる点は、可動型の反対側の固定型の表面
に予め、表皮材10を装着することによって、表皮材が
一体に結合した成形品を成形するものである。製造方法
にあっては、表皮材を挿入すること以外は、第1の実施
態様と実質同様であるので、説明は省略する。
【0039】図4は、金型キャビティの凹状部を移動型
2に設けるとともに、移動型2に可動型の機能を持たせ
るとともに、付勢バネ12により付勢される補助型部1
1を用いるものの例を示す。固定型1と移動型2の型締
めおよび補助型11により、溶融樹脂射出時のキャビテ
ィが形成される。本例の場合は、可動型(中子)を特に
設けないことにより金型構造を単純化したものであり、
しかも図2の場合と同様に、成形品の端部の外観を良好
にすることができる特徴がある。図4(c)には、図4
(b)の成形品の断面の空隙率の密な構造(L)と疎な
構造(H)の状況を概念的に示す。なお、図4では、樹
脂の流路をダイレクトとしたものを示したが、サイドゲ
ートとすることによって、成形品の表面を美麗にするこ
とができるとともに、場合によって表面側に表皮材を挿
入することで積層成形体とすることもできる。なお、本
発明における、可動型の前進、後退は、図4の場合の他
たとえば、移動型と移動型取り付け盤の間に装着され
た、可動型を前進、後退する機能を有する、金型可動装
置を用いることにより成形される。
【0040】
【実施例】次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づ
いて説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限
定されるものではない。 実施例1 ガラス繊維が平行に配列し、その含有量が60重量%、
長さが12mmであるガラス繊維強化ポリプロピレンペ
レット(無水マレイン酸変性ポリプロピレンを3重量%
含有)65重量部とメルトインデックス(MI:230
℃、2.16kg荷重)が30g/10分のポリプロピ
レンペレット35重量部をドライブレンドしたものを成
形用原料とした。射出成形機は、型締力:850t、ガ
ラス繊維の破断を少なくするために圧縮比:1.9のス
クリューを用いた。金型として図1(a)に示すよう
に、凹状部〔深さ:3mm〕をもつ固定型1に対して可
動型3がキャビティ7のクリアランス(D1)が3mm
となるように型締めし、成形原料を溶融可塑化計量して
射出した。樹脂の充填完了の2秒後に可動型3を、図1
(b)に示すような(D2)の位置まで後退させて拡
張、膨張させた。冷却後厚み9mm×300mm×60
0mmの板状成形品〔凸部:3mm(高さ)×300m
m×20mmを2本)〕を得た。成形品を切り出して成
形品の空隙状況を調べたところ、一般領域(H)の空隙
率は約67%であり、凸部に対応した厚み領域(L)の
空隙率は約26%でかなり密な構造であった。成形品を
灰化後残存繊維の平均繊維長を測定した結果、7.2m
mであった。成形品は、表面外観も良好で、剛性も高
く、簡単には座屈しなかった。
【0041】実施例2 実施例1で用いた、成形原料と射出成形機、および図3
に示す金型を用いて表皮一体成形品の成形を行った。可
動型3の表面に表皮材(ポリプロピレン10倍発泡シー
ト/ポリ塩化ビニルレザー:2mm)を装着した後、キ
ャビティクリアランスが10mmの位置で、キャビティ
容積が3mmに相当する繊維含有溶融樹脂を射出し、射
出開始2秒後に可動型3を前進させて圧縮成形した(図
3(a)。圧縮完了の2秒後、図3(b)に示す厚み
(D2)が12mmになる位置まで可動型3を後退させ
て拡張、膨張させた。なお、可動型の後退開始1.5秒
後にガスピンより、窒素ガスを0.8MPaにて40秒
間注入した。冷却 後型を開き、表皮付きの12mm
(表皮部を除く)×300mm×600mmの板状成形
品〔凸部:3mm(高さ)×300mm×20mm:2
本〕を得た。成形品を切り出して成形品の空隙状況を調
べたところ、一般領域(H)の空隙率は約75%であ
り、凸部に対応する厚み領域(L)の空隙率は約41%
であった。成形品を灰化後残存繊維の平均繊維長を測定
した結果、8.6mmであった。成形品は、表面外観も
良好で、剛性も高く、簡単には座屈しなかった。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、成形品の面容積が大き
い場合であっても、リブあるいはリブ類似の効果により
曲げ強度、剛性、衝撃性、耐熱性にすぐれ、しかも局部
的な応力や捩じれに対しても十分耐え、均質性にすぐれ
るとともに、表面特性にすぐれる繊維強化軽量樹脂成形
品が得られる。またその成形方法にあっては、軽量化の
程度を任意に制御できるとともに、単純な金型を用いて
軽量化率の高い成形品にあってもすぐれた表面性を維持
できるとともに、冷却効率の向上、成形サイクルの短縮
により生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例の概念図であり、
(a)は射出成形金型の容積を拡大する直前の状態であ
り、(b)は拡大後の状態である。
【図2】本発明の第2実施形態例の概念図であり、
(a)は射出成形金型の容積を拡大する直前の状態であ
り、(b)は拡大後の状態である。
【図3】本発明の第3実施形態例である表皮一体成形の
概念図であり、(a)は射出成形金型の容積を拡大する
直前の状態であり、(b)は拡大後の状態である。
【図4】第4実施形態例である表皮一体成形の概念図で
あり、(a)は射出成形金型の容積を拡大する直前の状
態であり、(b)は拡大後の状態であり、(c)は
(b)の成形品部分の断面図の空隙率の分布を示すもの
である。
【符号の説明】
1:固定型 2:移動型 3:可動型 4:樹脂流路 5:ガス注入口 6:ガス排出口 7:キャビティ 8:キャビティ凹部(成形品凸部) 9:側面隙間 10:表皮材 11:補助型 12:付勢バネ H:一般領域(高空隙率) L:凸部に対応する厚み領域(低空隙率)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部空隙を含み、成形品の厚み方向の少な
    くとも一方の面に凸部を有し、凸部に対応する厚み領域
    の空隙率が他の一般領域の空隙率よりも低いことを特徴
    とする凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品。
  2. 【請求項2】凸部に対応する厚み領域の空隙率が0.1
    〜60%、他の一般領域の空隙率が30〜90%である
    請求項1記載の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品。
  3. 【請求項3】繊維がガラス繊維であり、繊維含有率が1
    0〜70重量%で、平均繊維長が1〜20mmである請
    求項1または2記載の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成
    形品。
  4. 【請求項4】一体化された表皮材を有する請求項1〜3
    のいずれかに記載の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形
    品。
  5. 【請求項5】一組の金型の少なくとも一方の面に凸部を
    形成するための凹状部を有する金型からなるキャビティ
    に、繊維含有溶融樹脂を射出し、次いで、一方の金型を
    金型キャビティの容積が拡大する方向に後退させること
    により、凸部に対応する厚み領域の空隙率を他の一般領
    域の空隙率よりも低くすることを特徴とする凸部を有す
    る繊維強化軽量樹脂成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】キャビティ内の前記繊維含有溶融樹脂の内
    部にガスを注入する請求項5記載の凸部を有する繊維強
    化軽量樹脂成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】あらかじめ表皮材を装着したキャビティに
    繊維含有溶融樹脂を射出する請求項5または6記載の凸
    部を有する繊維強化軽量樹脂成形品の製造方法。
  8. 【請求項8】繊維含有溶融樹脂が、2〜100mmであ
    り、この全長と等しい長さを有し、互いに平行に配列さ
    れた状態にある繊維を20〜80重量%含有する繊維含
    有樹脂ペレットまたは前記ペレットと他の樹脂ペレット
    との混合物で前記繊維が全体の10〜70重量%とされ
    たものを可塑化、溶融したものである請求項5〜7のい
    ずれかに記載の凸部を有する繊維強化軽量樹脂成形品の
    製造方法。
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