JP4657761B2 - 自動車バックドアの樹脂製インナパネル - Google Patents

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この発明は、自動車バックドアの樹脂製インナパネルの改良に関するものである。
特許文献1では、成形面に凹部が形成された固定型と、スライド型を内蔵した可動型とを型閉めした状態で、繊維入り熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出充填し、この繊維入り熱可塑性樹脂がキャビティ内で固化する過程で上記可動型内でスライド型を後退させてキャビティの容積を拡大し、樹脂圧で圧縮されている繊維の弾性復元力(スプリングバック現象)で上記繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることにより、成形品本体の内部に多数の空隙が形成された樹脂成形品を得るようにしている。
特許文献2では、上記方式において、さらにスライドコアを型開き方向と交差する方向に移動可能に設け、繊維入り熱可塑性樹脂がキャビティ内で固化する過程で上記スライドコアを後退させて繊維入り熱可塑性樹脂を膨張させることにより、樹脂成形品の型開き方向に沿う部位の内部にも多数の空隙を形成するようにしている。
特開平11−179751号公報(第3,7頁、図1) 特開平11−309739号公報(第5頁、図1)
ところで、樹脂成形品が自動車のサイドドアの一部を構成する樹脂製ドアインナパネル(ドアモジュール)等のようにスピーカ収容部を備えている場合、該スピーカ収容部は筒状形状をしていてドアインナパネル本体の車外側の面に一体に突設されている。一般に、このようなスピーカ収容部を備えたドアインナパネルを成形する場合、成形型の型開き方向は上記スピーカ収容部の突出方向に沿っている。したがって、特許文献1のように、スライド型を後退させても、スピーカ収容部に対応するキャビティ容積は実質的に拡大しないので、繊維入り熱可塑性樹脂の膨張によるスピーカ収容部の壁厚増加は期待できず、剛性が低下することになる。ここで、「実質的に」としているのは、成形型には型閉じ及び型開きのために極僅かではあるが抜き角が設定されているため、厳密には上記スライド型を後退させると、キャビティ容積は微小量拡大することになるが、この増量はほとんど無視できる程度であるからである。以下に「実質的に」とあるのは、このことを考慮してのことである。
図7(a)は、ドアインナパネルaのドアインナパネル本体bにフランジ部dを介して一体に突設されたスピーカ収容部cを示す。該スピーカ収容部cは円筒形の周壁eと底壁fとを備え、該底壁fには貫通孔gが形成されている。このようなスピーカ収容部cを有するドアインナパネルaは、次のようにして成形される。まず、図7(b)に示すように、固定型iと可動型hとからなる成形型jを型閉じした状態で、キャビティk内に射出機からガラス繊維等の繊維入り熱可塑性樹脂Rを射出充填する。その後、キャビティk内で繊維入り熱可塑性樹脂Rが固化する過程で、図7(b)に仮想線で示すように、可動型hをキャビティ容積が拡大する方向Bに後退移動させることにより、固定型iの凹部lと可動型hの凸部mとの間のキャビティk内でスピーカ収容部cが成形される。成形されたドアインナパネルaのドアインナパネル本体b、スピーカ収容部9の底壁f及びフランジ部dの水平面nは、可動型hの後退移動によるキャビティ容積拡大により繊維入り熱可塑性樹脂Rが膨張して多数の空隙Aが形成され、厚肉になっている。これに対し、スピーカ収容部9cの周壁e及びフランジ部dの縦面oは、可動型hが後退移動してもキャビティ容積は実質的に拡大せず、繊維入り熱可塑性樹脂Rが膨張しないので、空隙Aのない薄肉のソリッドであり、その分だけ剛性が低下する。
一方、特許文献2では、スライドコアを型開き方向と交差する方向に移動させるので、スピーカ収容部の壁厚増加は期待できるが、型構造が複雑でコストアップを招来する。
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡素な型構造で空隙領域を拡大することにより高剛性の自動車バックドアの樹脂製インナパネルを安価に得ることである。
上記の目的を達成するため、この発明は、自動車バックドアの樹脂製インナパネルに成形型の型開き方向と交差する壁を増設したことを特徴とし、具体的には、次のような解決手段を講じた。
すなわち、請求項1に記載の発明は、自動車バックドアの樹脂製インナパネルであって、インナパネル本体を備え、該インナパネル本体には、ウィンドガラスにより閉塞される開口部に沿って延びる内側壁と、インナパネル本体の外周縁に沿って延びる外側壁とが、共に成形型の型開き方向に略沿うように離間して成形されるとともにこれら内側壁及び外側壁における成形型の型閉じ方向の端部と一体に結合する底部が成形されて、これら内側壁、外側壁及び底部によって凹形状をなしており、上記内側壁は、外側壁よりも型開き方向の長さが長く成形され、上記内側壁には、複数の段部が成形型の型開き方向と交差するように該型開き方向に間隔をあけて一体に成形され、上記各段部及びインナパネル本体の凹形状をなす上記底部の平面には、成形型のキャビティ内に射出充填した繊維入り熱可塑性樹脂が固化する過程で、各段部及び底部平面に対応するキャビティ容積を拡大させて上記繊維入り熱可塑性樹脂を繊維の弾性復元力で膨張させることにより内部に多数の空隙が形成され、上記内側壁の各段部を除く立ち上がり部及び上記外側壁は、成形時に該立ち上がり部及び該外側壁に対応するキャビティ容積を実質的に拡大せず、空隙のないソリッドであることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、内側壁の各段部及びインナパネル本体の凹形状をなす底部平面に、樹脂圧で圧縮されている繊維の弾性復元力により多数の空隙を形成し、インナパネルの軽量化を図ることができるとともに空隙領域を拡大でき、厚肉で剛性を確保することができる。なお、上記内側壁の各段部を除く立ち上がり部及び外側壁は、空隙のないソリッドで薄肉であるが、そのことに起因する剛性低下を厚肉で剛性の高い段部で補うことができ、特に、外側壁よりも長い内側壁を強化することで全体として高剛性にすることができる。また、特許文献2の如き型開き方向と交差する方向に移動可能なスライドコアがいらず、簡素な型構造でインナパネルを安価に得ることができる。
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図5はこの発明の参考例1に係る樹脂製インナパネルとしての自動車のサイドドアの一部を構成する樹脂製ドアインナパネル(ドアモジュール)1を車室内側から見た斜視図である。このドアインナパネル1は、ドアインナパネル本体3を備え、該ドアインナパネル本体3の車室内側の面には、ネジ挿入孔5aを有する円筒形の取付座5が4箇所に一体に突設され、上記ネジ挿入孔5aはドアインナパネル本体3を貫通していて、このネジ挿入孔5aにネジを挿入することにより、ウインドガラスを昇降させるウインドレギュレータの昇降レール(図示せず)が上記4個の取付座5に取り付けられるようになっている。
上記4個の取付座5のうち図5で右側の上下2個の取付座5間に対応するドアインナパネル本体3の車外側の面には、タッピングネジがねじ込まれるネジ挿入孔7aを有するプルハンドル取付用ボス7が左右に4個等間隔に一体に突設されている。
図5で左下隅に対応するドアインナパネル本体3の車外側の面には、円形植木鉢状のスピーカ収容部9が一体に突設され、該スピーカ収容部9に対応するドアインナパネル本体3の車室内側の面には、図1(a)に示すように、水平面11aと縦面11bとからなる円環状のフランジ部11が一体に突設され、スピーカ収容部9はこのフランジ部11を介してドアインナパネル本体3に一体に突設されている。また、フランジ部11には、タッピングネジがねじ込まれるネジ挿入孔13aを有するスピーカ取付用ボス13が円周を4等分する位置に1個ずつ一体に成形されている。
上記ドアインナパネル本体3の車外側の面の外周縁部には、図6に示すように、シール面部15が全周に亘って一体に成形され、このシール面部15には断面コの字状のシール溝15aが全周に亘って凹設されている。このシール溝15aにシール材を盛ってドアアウタパネルとの間のシールを確保するようにしている。
上記ドアインナパネル本体3のシール面部15から内寄りには、複数個のネジ挿入孔18が所定間隔をあけて全周に亘って貫通形成され、ドアインナパネル本体3の車室内側の上記ネジ挿入孔18周りには円環状の凸部19が突設されて取付部21が形成されている。図5中、22はウインドガラス昇降用のモータ取付部である。
図1(a)は上述したスピーカ収容部9を拡大して示す。このスピーカ収容部9は、円筒形の周壁9aと底壁9bとを備え、該底壁9bには貫通孔9cが形成されている。上記スピーカ収容部9の周壁9aには、複数(4つ)の段部9dがスピーカ収容部9の突出方向と交差するように該突出方向に間隔をあけて周壁9aの全周に亘って連続して一体に成形され、該各段部9dを除く部位を立ち上がり部9eとしている。そして、上記ドアインナパネル本体3、スピーカ収容部9の底壁9b、段部9d及びフランジ部11の水平面11aの内部には、多数の空隙A(図1(a)に×印で示す)が形成され、これらは厚肉になっている。これに対し、上記スピーカ収容部9の立ち上がり部9e及びフランジ部11の縦面11bは、空隙Aのないソリッドで薄肉になっている。このことをこの発明の最大の特徴としている。このようなスピーカ収容部9を有するドアインナパネル1は次のようにして成形される。
すなわち、図1(b)に示すように、凹部23を有する固定型25と、該固定型25と対向し凸部27を有する可動型29とを備えた成形型31を用意する。上記固定型25の凹部23の内周面には、スピーカ収容部9の周壁9a(段部9d,立ち上がり部9e)の外面形状に対応した段部23a及び立ち上がり部23bが形成され、上記可動型29の凸部27の外周面には、スピーカ収容部9の上記周壁9aの内面形状に対応した段部27a及び立ち上がり部27bが形成されている。そして、この成形型31を型閉じした状態でキャビティ33内に射出機からガラス繊維等の繊維入り熱可塑性樹脂Rを射出充填する。その後、成形型31のキャビティ33内で繊維入り熱可塑性樹脂Rが固化する過程で、図1(b)に仮想線で示すように、可動型29をキャビティ容積が拡大する方向Bに後退移動させる。つまり、可動型29を固定型25から僅かに離れさせ、ドアインナパネル本体3、スピーカ収容部9の底壁9b、段部9d及びフランジ部11の水平面11aに対応するキャビティ容積を例えば2倍もしくはそれ以上に拡大させる。繊維入り熱可塑性樹脂Rは、成形型31の成形面と接触する部分が型温の影響により早期に冷却されて樹脂密度の高いスキン層(図示せず)となって表面層を構成する。一方、繊維入り熱可塑性樹脂Rの内側部分は型温の影響を受け難く、粘度の高いゲル状態になっている。
したがって、上記キャビティ容積の拡大により、それまで樹脂圧で圧縮されている繊維が樹脂圧から解放されて弾性的に復元し、この弾性復元力(スプリングバック現象)で上記繊維入り熱可塑性樹脂Rが膨張する。このことにより、上記ドアインナパネル本体3、スピーカ収容部9の底壁9b、段部9d及びフランジ部11の水平面11aの内部に多数の空隙Aが形成されたドアインナパネル1となり、ドアインナパネル1の軽量化を図ることができる。また、当該箇所は繊維入り熱可塑性樹脂Rが膨張により厚肉になっているとともに空隙領域を拡大でき、厚肉で剛性を確保することができる。つまり、成形時のドアインナパネル本体3に対応するキャビティ間隔をW1、段部9dに対応するキャビティ間隔をW2、立ち上がり部9eに対応するキャビティ間隔をW3、底壁9bに対応するキャビティ間隔をW4、フランジ部11の水平面11aに対応するキャビティ間隔をW5,フランジ部11の縦面11bに対応するキャビティ間隔をW6とし、また、ドアインナパネル本体3の厚みをT1、周壁9aの段部9dの縦方向の厚みをT2、周壁9aの立ち上がり部9eの厚みをT3、底壁9bの厚みをT4、フランジ部11の水平面11aの厚みをT5、フランジ部11の縦面11bの厚みをT6とすると、T1≧2W1、T2≧2W2、T4≧2W4、T5≧2W5の関係になっている。
これに対し、周壁9aの立ち上がり部9eに対応するキャビティ間隔W3と、フランジ部11の縦面11bに対応するキャビティ間隔W6は、可動型29の後退移動方向に略沿っているため、成形時にこれらに対応するキャビティ容積は実質的に拡大せず、T3≒W3、T6≒W6の関係になっている。したがって、繊維入り熱可塑性樹脂R中の繊維は弾性復元が抑制された状態で固化するため、繊維入り熱可塑性樹脂Rはその一部が拡大されたキャビティ35にほとんど流出せず、成形後の周壁9aの立ち上がり部9eの厚みT3と、フランジ部11の縦面11bの厚みT6は、空隙Aのないソリッドになっている。
なお、上記スピーカ収容部9の各段部9dを除く立ち上がり部9eは、空隙Aのないソリッドで薄肉であるが、そのことに起因する剛性低下を厚肉で剛性の高い段部9dで補うことができ、全体として高剛性にすることができる。
また、特許文献2の如き型開き方向と交差する方向に移動可能なスライドコアがいらず、簡素な型構造でドアインナパネル1を安価に得ることができる。
さらに、段部9dを周壁9a全周に亘って設けているので、剛性をさらに高めることができる。
図2は参考例2を示し、(a)は図1(a)相当図、(b)は図1(b)相当図である。この実施の形態2では、成形時において、立ち上がり部9eに対応するキャビティ間隔をW3を、フランジ部11の縦面11bに対応するキャビティ間隔W6よりも略半分(実施の形態1の略半分)の間隔に狭くしている。したがって、成形後のドアインナパネル本体3の厚みT1、周壁9aの段部9dの縦方向の厚みT2、底壁9bの厚みT4及びフランジ部11の水平面11aの厚みT5は略2倍に膨張して、周壁9aの立ち上がり部9eの厚みT3及びフランジ部11の縦面11bの厚みT6の略4倍になっている。このように、立ち上がり部9eとフランジ部11の縦面11bとが薄くても、周壁9aの段部9d、底壁9b及びフランジ部11の水平面11aが空隙Aを有する厚肉で剛性が高まっているので、スピーカ収容部9及びフランジ部11の強度を確保することができる。
図3は参考例3を、図4は参考例4をそれぞれ示す図1(a)相当図である。参考例3では、スピーカ収容部9の内壁及び外壁の双方に、複数(4つ)の補強リブ9fをスピーカ収容部9の突出方向に延びるようにそれぞれ一体に成形したものであり、補強リブ9fがあることで、スピーカ収容部9の剛性をより一層高めることができる。参考例4では、スピーカ収容部9の内壁及び外壁の双方において、立ち上がり部9eと段部9dとの境目にアール形状部9gをそれぞれ一体に成形したものであり、アール形状部9gがあることによつても、同様にスピーカ収容部9の剛性をより一層高めることができる。
図8〜11はこの発明の実施の形態に係る自車バックドアの一部を構成する樹脂製ドアインナパネルを示す。バックドア101は、図11に示すように、開口部103が形成されたドア本体105と、上記開口部103を閉塞するようにドア本体105に接着されたウィンドガラス109とを備えている。上記ドア本体105は、車室側に配置されるドアインナパネル111と、該ドアインナパネル111に車外側から接着材107により重合接着されるドアアウタパネル113とにより構成されている。これらドアインナパネル111及びドアアウタパネル113はともに合成樹脂材により成形されている。上記ドアアウタパネル113は、上記開口部103下辺の車幅方向両端側で互いに上下に分割されたアッパパネル115とロアパネル117とにより構成され、このアッパパネル115に上記ウィンドガラス109が接着材108により接着されている。図11中、119はライセンスプレート収容部、121はバックドア101を車体後部の開口部上端縁(図示せず)に下開き可能に枢支するヒンジの取付部である。
上記ドアインナパネル111は、図8及び図10に示すように、ドアインナパネル本体123を備え、該ドアインナパネル本体123には、上記開口部103に沿って延びる内側壁125と、ドアインナパネル本体123の外周縁に沿って延びる外側壁127とが共に後述する成形型133の型開き方向に略沿うように離間して一体に成形されるとともに、これら内側壁125及び外側壁127における成形型133の型閉じ方向の端部と一体に結合する底部が成形されて、これら内側壁125、外側壁127及び底部によって開口部103の車幅方向両端側で凹形状をなしている。さらに、上記内側壁125先端には、平面129aと縦面129bとからなるフランジ部129が一体に成形され、上記縦面129b先端がドアアウタパネル113のアッパパネル115裏面に当接するようになっている。一方、上記外側壁127先端にも、平面131aと縦面131bとからなるフランジ部131が一体に成形され、上記平面131aの内方寄りにはリブ131cが上記縦面131bに沿って一体に突設され、これら縦面131bとリブ131cとの間の平面131aに接着材107を収容してドアアウタパネル113を接着するようになっている。
上記内側壁125は、外側壁127よりも型開き方向の長さが長く成形されている。上記内側壁125には、複数(4つ)の段部125aが成形型133の型開き方向と交差するように該型開き方向に間隔をあけて一体に成形され、該各段部125aを除く部位を立ち上がり部125bとしている。そして、上記内側壁125の段部125a、フランジ部129の平面129a、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の平面123a及びフランジ部131の平面131aの内部には、多数の空隙A(図8に×印で示す)が形成され、これらは厚肉になっている。これに対し、上記内側壁125の立ち上がり部125b、フランジ部129の縦面129b、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の縦面123b、外側壁127、フランジ部131の縦面131b及びリブ131cは、空隙Aのないソリッドで薄肉になっている。このようなドアインナパネル111は次のようにして成形される。
すなわち、図9に示すような成形型133を用意する。この成形型133は凹部135を有する固定型137と、該固定型137と対向し凸部139を有する可動型141とを備えている。上記固定型137の凹部135の内側面には、内側壁125の段部125a及び立ち上がり部125bの裏面形状に対応した段部135a及び立ち上がり部135bが形成され、上記可動型141の凸部139の内側面には、内側壁125の段部125a及び立ち上がり部125bの表面形状に対応した段部139a及び立ち上がり部139bが形成されている。そして、この成形型133を型閉じした状態でキャビティ143内に射出機からガラス繊維等の繊維入り熱可塑性樹脂Rを射出充填する。その後、成形型133のキャビティ143内で繊維入り熱可塑性樹脂Rが固化する過程で、図9に仮想線で示すように、可動型141をキャビティ容積が拡大する方向Bに後退移動させる。つまり、可動型141を固定型137から僅かに離れさせ、内側壁125の段部125a、フランジ部129の平面129a、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の平面123a及びフランジ部131の平面131aに対応するキャビティ容積を例えば2倍もしくはそれ以上に拡大させる。繊維入り熱可塑性樹脂Rは、成形型133の成形面と接触する部分が型温の影響により早期に冷却されて樹脂密度の高いスキン層(図示せず)となって表面層及び裏面層を構成する。一方、繊維入り熱可塑性樹脂Rの内側部分は型温の影響を受け難く、粘度の高いゲル状態になっている。
したがって、上記キャビティ容積の拡大により、それまで樹脂圧で圧縮されている繊維が樹脂圧から解放されて弾性的に復元し、この弾性復元力(スプリングバック現象)で上記繊維入り熱可塑性樹脂Rが膨張する。このことにより、上記内側壁125の段部125a、フランジ部129の平面129a、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の平面123a及びフランジ部131の平面131aの内部に多数の空隙Aが形成されたドアインナパネル111となり、ドアインナパネル111の軽量化を図ることができる。また、当該箇所は繊維入り熱可塑性樹脂Rが膨張により厚肉になっているとともに空隙領域を拡大でき、厚肉で剛性を確保することができる。つまり、成形時において内側壁125の段部125aに対応するキャビティ間隔をW7、フランジ部129の平面129aに対応するキャビティ間隔をW8、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の平面123aに対応するキャビティ間隔をW9、フランジ部131の平面131aに対応するキャビティ間隔をW10、内側壁125の立ち上がり部125bに対応するキャビティ間隔をW11、フランジ部129の縦面129bに対応するキャビティ間隔をW12、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の縦面123bに対応するキャビティ間隔をW13、フランジ部131の縦面131bに対応するキャビティ間隔をW14、リブ131cに対応するキャビティ間隔をW15とする。また、内側壁125の段部125aの縦方向の厚みをT7、フランジ部129の平面129aの厚みをT8、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の平面123aの厚みT9、フランジ部131の平面131aの厚みをT10、内側壁125の立ち上がり部125bの厚みをT11、フランジ部129の縦面129bの厚みをT12、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の縦面123bの厚みをT13、フランジ部131の縦面131bの厚みをT14、リブ131cの厚みをT15とすると、T7≧2W7、T8≧2W8、T9≧2W9、T10≧2W10の関係になっている。
これに対し、内側壁125の立ち上がり部125bに対応するキャビティ間隔W11、フランジ部129の凹形状をなす底部の縦面129bに対応するキャビティ間隔W12、ドアインナパネル本体123の縦面123bに対応するキャビティ間隔W13、フランジ部131の縦面131bに対応するキャビティ間隔W14、リブ131cに対応するキャビティ間隔W15は、可動型141の後退移動方向に略沿っているため、成形時にこれらに対応するキャビティ容積は実質的に拡大せず、T11≒W11、T12≒W12、T13≒W13、T14≒W14、T15≒W15の関係になっている。したがって、繊維入り熱可塑性樹脂R中の繊維は弾性復元が抑制された状態で固化するため、繊維入り熱可塑性樹脂Rはその一部が拡大されたキャビティ143にほとんど流出せず、成形後の内側壁125の立ち上がり部125b、フランジ部129の縦面129b、ドアインナパネル本体123の凹形状をなす底部の縦面123b、フランジ部131の縦面131b、リブ131cは、空隙Aのないソリッドになっている。
上記内側壁125の各段部125aを除く立ち上がり部125bは、空隙Aのないソリッドで薄肉であるが、そのことに起因する剛性低下を厚肉で剛性の高い段部125aで補うことができ、特に、外側壁127よりも長い内側壁125を強化することで全体として高剛性にすることができる。
また、特許文献2の如き型開き方向と交差する方向に移動可能なスライドコアがいらず、簡素な型構造でドアインナパネル1を安価に得ることができることは前述の各参考例と同様である。
なお、上記の参考例1〜4では、段部9dを周壁9a全周に亘って連続して設けたが、断続的に設けてもよく、参考例3の補強リブ9fや参考例4のアール形状部9gを内壁及び外壁のいずれか一方にのみ設けてもよい。また、これら補強リブやアール形状部は実施の形態5にも適用することができるものである。
さらに、上記の各参考例及び実施の形態では、繊維のスプリングバック現象を利用してドアインナパネル本体3の内部や内側壁125の内部に空隙Aを形成したが、繊維入り熱可塑性樹脂Rに発泡剤を含有させれば、可動型の後退移動を大きくして成形品本体の該可動型後退方向の肉厚を厚くした場合、スプリングバック現象における繊維の復元力が不足しても、発泡剤の発泡力が繊維の復元力を補完して空隙Aを確実に形成することができて好ましい。
この発明は、自動車バックドアの樹脂製インナパネルについて有用である。
(a)は参考例1に係るドアインナパネルのスピーカ収容部の図5におけるI−I線断面図、(b)は参考例1において成形型のキャビティ内に繊維入り熱可塑性樹脂を射出充填した状態を示す成形工程図である。 参考例2を示し、(a)は図1(a)相当図、(b)は図1(b)相当図である。 参考例3の図1(a)相当図である。 参考例4の図1(a)相当図である。 参考例1に係るドアインナパネルを車室内側から見た斜視図である。 図5のX部を車外側から見た拡大図である。 従来例を示し、(a)は図1(a)相当図、(b)は図1(b)相当図である。 図11におけるVIII−VIII線断面図である。 実施の形態において成形型のキャビティ内に繊維入り熱可塑性樹脂を射出充填した状態を示す成形工程図である。 図11のY部においてウィンドウガラスを除いた状態を拡大して示す正面図である。 実施の形態に係るドアインナパネルが適用されたバックドアの斜視図である。
1 ドアインナパネル
3 ドアインナパネル本体
8 スピーカ収容部
9d 段部
9e 立ち上がり部
9f 補強リブ
9g アール形状部
31 成形型
33 キャビティ
111 ドアインナパネル
123 ドアインナパネル本体
123a 底部平面
125 内側
125a 段部
125b 立ち上がり部
127 外側
133 成形型
143 キャビティ
A 空隙
R 繊維入り熱可塑性樹脂

Claims (1)

  1. 自動車バックドアの樹脂製インナパネルであって、
    インナパネル本体(123)を備え、
    該インナパネル本体(123)には、ウィンドガラス(109)により閉塞される開口部(103)に沿って延びる内側壁(125)と、インナパネル本体(123)の外周縁に沿って延びる外側壁(127)とが、共に成形型(133)の型開き方向に略沿うように離間して成形されるとともにこれら内側壁(125)及び外側壁(127)における成形型(133)の型閉じ方向の端部と一体に結合する底部が成形されて、これら内側壁(125)、外側壁(127)及び底部によって凹形状をなしており、
    上記内側壁(125)は、外側壁(127)よりも型開き方向の長さが長く成形され、
    上記内側壁(125)には、複数の段部(125a)が成形型(133)の型開き方向と交差するように該型開き方向に間隔をあけて一体に成形され、
    上記各段部(125a)及びインナパネル本体(123)の凹形状をなす上記底部の平面(123a)には、成形型(133)のキャビティ(143)内に射出充填した繊維入り熱可塑性樹脂(R)が固化する過程で、各段部(125a)及び底部平面(123a)に対応するキャビティ容積を拡大させて上記繊維入り熱可塑性樹脂(R)を繊維の弾性復元力で膨張させることにより内部に多数の空隙(A)が形成され、
    上記内側壁(125)の各段部(125a)を除く立ち上がり部(125b)及び上記外側壁(127)は、成形時に該立ち上がり部(125b)及び該外側壁(127)に対応するキャビティ容積を実質的に拡大せず、空隙(A)のないソリッドであることを特徴とする自動車バックドアの樹脂製インナパネル。
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