JP4217190B2 - 吸着装置 - Google Patents
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吸盤の中心近傍とは、吸盤がワークに押付けられたときにワークと接触する周縁部によって取囲まれた範囲をいい、吸盤がワークに吸着しても吸盤がワークと接触しない範囲をいう。
本発明の吸着装置では、吸盤内圧力が吸盤外圧力以上となると吸盤内の流体を吸盤外に放出する弁を利用することから、後者の力がほとんど必要とされない。軽い力で吸盤をワークに押付けるだけで、吸盤内の流体を吸盤外に追い出すことができる。ワークに押付けた吸盤から押付け力を除去すると、吸盤は自然形状に復帰しようとする。このときに吸盤内に負圧が発生する。吸着装置に利用されている弁は、吸盤内圧力が吸盤外圧力以下となっても吸盤内に流体が浸入するのを防止する向きに配置されているので、吸盤が自然形状に復帰しようとして発生する負圧の大きさを小さくすることはない。
逆止弁を利用するという簡単な構成で、小さな押付け力で大きな吸着力を実現する吸着装置を実現することができる。
強制開弁機構が付加されていると、負圧状態を強制的に解除することができ、吸盤からワークを簡単に離脱させることが可能となる。
圧力差が作用している逆止弁のリング状の座面とリング状の当接面を一挙に離反させるためには大きな力が必要とされる。それに対して、リング状の座面とリング状の当接面を周方向の一箇所から離反させ始めるようにすると、離反させるに要する力は非常に小さくてすむようになる。一箇所でも離反すれば、逆止弁に作用している圧力差は急激に小さくなり、その後は簡単に離反させることができる。リング状の座面とリング状の当接面を周方向の一箇所から離反させ始めるようにすると、軽い力で負圧状態を強制的に解除することができ、吸盤からワークを簡単に離脱させることが可能となる。
座面と当接面の一方または双方に溝が形成されていると、両者間に侵入した微小な塵や埃等が溝に落下するために、座面と当接面の密閉性が長期に亘って維持できる。その溝が周方向に伸びていれば、溝が密閉性を損ねることもない。
(形態1)逆止弁は、吸盤側に配置された弁座と、大気側に配置された可動弁を備えている。
(形態2)弁座はリング状の座面を持ち、座面中央の穴は吸盤の貫通穴に連通している。
(形態3)可動弁は、円形の薄いシートである。
(形態4)可動弁は、吸盤側に配置された座面に向かって弱い力で付勢されており、自然状態では閉弁している。
(形態5)リング状の座面の高さは、直径方向に傾斜している。
(形態6)可動弁は、リング状の座面の輪郭よりも外方に伸びており、その延長面の座面側に強制開弁機構が配置されている。
(形態7)強制開弁機構は、延長面の周方向の一部で延長面に当接し、リング状の座面とリング状の当接面を周方向の一箇所から離反させ始める。
吸盤7の中心近傍には、貫通穴7aが形成されている。
リング状の弁座21の頂面には、リング状の座面21aが形成されている。座面21aの高さは全周に渡って均一ではなく、直径に沿って傾斜しており、図1では右側が左側よりも低くなっている。弁座21のリング状の座面21aには周方向に伸びる溝が多重に形成されている。
外ハウジング3の上壁の中心部には貫通穴13が設けられ、貫通穴13の垂直下方に内ハウジング9の上壁に設けられた貫通穴17が位置している。貫通穴13には軸11が貫通しており、軸11は貫通穴13内を上下にスライドする。軸11は貫通穴17に固定されている。軸11のスライド動作に伴って内ハウジング9が上下にスライドする。
外ハウジング3の側壁には通気穴15が設けられ、内ハウジング9の上壁には通気穴19が設けられている。これらの通気穴15,19によって、内ハウジング9の内部と大気が連通している。
開弁用リング25の内径は弁座21の外径よりも大きく、可動弁33の内径よりも小さい。即ち、開弁用リング25は、可動弁33が弁座21よりも外側に張出す延長部に対向している。内ハウジング9が上方にスライドするのに伴って開弁用リング25が上方に移動すると、開弁用リング25の上面が可動弁33の最も低い位置の下面に当接し、その当接部分で可動弁33が持ち上げられて可動弁33と座面21a間に隙間が形成される。その隙間から大気が吸盤7の内部に流入し、吸盤内圧力が大気圧となる。吸盤内圧力が大気圧に近づくと、可動弁33を座面21aから離反させるに要する力も弱くなる。開弁用リング25が上方に移動するにつれて、始めの当接部分から順次遠い部分へと弁33の全体が持上げられていき、ついには、可動弁33が全周に亘って座面21aから離反する。
吸盤内の圧力が高くなるのに抗して吸盤7を押付ける必要がないので、押付け力Fxは小さくてすむ。
弁座21と可動弁33と圧縮スプリング31は、逆止弁を構成していることがわかる。この逆止弁は、吸盤7の貫通穴7aと大気との間に配置されており、吸盤内圧力が大気圧以上であると吸盤内の気体を大気に放出し、吸盤内圧力が大気圧以下であっても吸盤内に大気が浸入するのを防止する向きに配置されていることがわかる。
押圧力が0kg〜6kgのいずれであっても、本発明の吸着装置(弁付)の吸引力は従来の吸着装置(弁無)の吸引力より大きい。例えば搬送するワークに対して10kgの吸引力が必要な場合、本発明の吸着装置(逆止弁付)では4kgの押圧力で足りる一方、従来の吸着装置(逆止弁無)では6kgを超える押圧力が必要となることがわかる。このグラフからも、本発明の吸着装置は、大きな押付け力を加えなくても、ワークの荷重に耐え得るだけの十分に強い吸着力を得られることがわかる。
また、弁座21のリング状の座面21aには周方向に伸びる溝が多重に形成されている。このため、可動弁33に付着した微小な塵や埃等が溝内に落下し、長期に亘って吸着装置1を使用していても弁面21aと可動弁33の密閉性が減少することが防止される。これにより、長期に亘って十分な負圧発生を維持することができる。
開弁用リング25の上面と弁33の下面の一部が当接してその部分が持ち上げられ、貫通穴23,7aが開放される。貫通穴23,7aが開放されると、矢印45に示すように吸盤7に空気が流入し、瞬時にワークWが吸着装置1から離脱する。
このほか、軸11の頭部に下方から空気圧等を与えて持上げるようにしてもよい。この場合、例えば空気圧シリンダを利用する等、軸11の頭部に下方から直接的に付圧可能な機構を設けることができる。
あるいは、軸11をワイヤに換えてもよい。貫通穴13,17にワイヤを通して先端を内ハウジング9に固定し、他方の先端をレバー84に接続して、ワイヤを支持する滑車をパイプ内等の適当な位置に取付ける。レバー84を揺動させることによって、滑車を介して内ハウジング9を持上げることができる。
・本実施例では、吸着装置を大気中で使用していたが、これに限るものではない。例えば液体中で使用することも可能である。
・本実施例では、開弁用リングが板状のリングとされていたが、これに限られない。逆止弁の少なくとも一部と当接して開放するものであれば、リングでない板や、棒状のもの等を採用することができる。
・本実施例では、弁座の座面の高さが全周に渡って均一ではなく、傾斜形状とされていたが、これに限るものではない。弁座と開弁用リングが相対的に傾斜するような位置関係であってもよいし、あるいは、弁座と開弁用リングが相対的に平行となるような位置関係であっても構わない。例えば、弁座の座面の高さを全周に渡って均一とし、開弁用リングを傾斜させて付設することも可能である。あるいは、弁座の座面の高さを全周に渡って均一とし、開弁用リングも水平に付設することも可能である。
・逆止弁を構成する部材と吸盤を構成する部材を同材質で一体に成形することもできる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
3 :外ハウジング、
5 :吸盤支持部、
7 :吸盤、
9 :内ハウジング、
11 :軸、
13 :貫通穴、
15 :通気穴、
17 :貫通穴、
19 :通気穴、
21 :弁座、
21a:座面、
23 :貫通穴、
25 :開弁用リング、
27 :圧縮スプリング、
29 :開口端、
31 :圧縮スプリング、
33 :可動弁、
80 :パイプ、
82 :ピン、
84 :レバー
Claims (2)
- 中心近傍に貫通穴が形成されている吸盤と、
その貫通穴を介して吸盤内空間と吸盤外空間を連通する通路に配置されており、吸盤内圧力が吸盤外圧力以上であると吸盤内の流体を吸盤外に放出し、吸盤内圧力が吸盤外圧力以下であっても吸盤内に流体が浸入するのを防止する向きに配置されている逆止弁と、
その逆止弁を強制的に開弁させる強制開弁機構を備えており、
前記逆止弁は、リング状の座面を持つ弁座と、リング状の当接面を持つ可動弁を備えており、
前記座面は、直径に沿って傾斜しており、その高さが周方向に沿って変化しており、
前記強制開弁機構は、前記座面の高さが最も低い箇所から外側に張り出す可動弁を、前記弁座側から当接して持ち上げることによって、リング状の座面とリング状の当接面を、周方向の一箇所から離反させ始めるものであることを特徴とする吸着装置。 - 前記座面と前記当接面の一方または双方に周方向に伸びる溝が形成されていることを特徴とする請求項1の吸着装置。
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