JP4216531B2 - アラインメントデバイス及び有機材料の蒸着方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機発光ダイオード(OLED)の製造方法において基板上にマスクを介して有機材料を蒸着することに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機発光デバイス(OLED)の製造には、基板上に有機層を蒸着する工程がいくつかある。適切な場所に正確な蒸着が起こるように蒸着マスクをアラインし、かつ、適切に取り付けることが重要である。蒸着マスクは、典型的には磁性材料でできた精密マスクであり、そして薄型で展性を有するものである。蒸着マスクは、リソグラフによりパターン化され、そしてその薄さ故、適切な厚さの有機材料を基板上に蒸着することが可能となる。蒸着マスクは適切に取り付けられた後、基板に対しアラインされることが必要である。以下、蒸着マスクを取り付けてアラインするために用いられる標準技法について説明する。従来技術では、フレームを使用し、該フレームに対して蒸着マスクを手動で心合せすることが典型的である。フレームを蒸着マスクに固定するためにはテープを使用することが典型的である。この方法では、テープで一端を蒸着マスクに固定した後、蒸着マスクを張力下においてその他端をテープで固定する。次いで、蒸着マスクを取り付けたフレームを真空室内で基板に対して配置する。蒸着マスクが蒸着前に適切にアラインされるようにフレームの微細スケールの位置決めをするためにアラインメントカメラを使用することが典型的である。この工程は、極めて時間のかかるものである。この方法は、目視アラインメントの際に主観的判断が入るため、誤差を生じ易い。別の問題として、蒸着マスクの伸張中に当該蒸着マスクに波しわが形成し得ることがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、基板表面に蒸着マスクを正確に配置する改良法を提供することにより、目視誤差及び伸張による波しわ化を極力抑えることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、有機発光デバイスの一部となる基板の上への有機材料の蒸着を簡易化するため該基板に対して蒸着マスクを配置することを可能にするアラインメントデバイスであって、
(a) 第1組のアラインメントピンと第2組のアラインメントピンとを有するベースと、
(b) 該ベースに固定されたプレートと、
(c) 該プレートにアラインされた開口部を有するフレームであって、該フレームが該ベースに着脱可能に搭載されるよう該第1組のアラインメントピンの位置に対応する該第1組のアラインメントピンを受容する孔を備えて形成されたフレームと、
(d) 該プレートの上に配置された蒸着マスクと、
(e) 該第2組のアラインメントピン及び該蒸着マスクに接し、かつ、該蒸着マスクの部分が露出されるようなサイズを有する透明平板と、
(f) 該蒸着マスクの露出部分を該フレームに固定するための手段と
を含んでなるアラインメントデバイスによって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
図1に蒸着マスク12のためのアラインメントデバイス10の分解部品配列図を示す。蒸着マスク12の上に切抜き部12aがあり、蒸着マスク12を配置した時にフレーム22の彫刻アラインメントライン19に当該切抜き部がアラインされる。アラインメントデバイス10により、蒸着マスク12をOLEDデバイスの基板に対して配置することが可能となり、蒸着が容易となる。アラインメントデバイス10には、第1組のアラインメントピン16と第2組のアラインメントピン18とを有するベース14が含まれる。図示されているアラインメントピン16には、ベース14の対向する辺上に配置された2つのピンが含まれる。ベース14は一般に方形であり、そしてベース14の三つの角部に第2組のアラインメントピン18が配置されている。図示されているように、当該角部の1つには2つのアラインメントピン18a及び18bが存在するが、残る2つの角部には1つのアラインメントピン18が存在する。
【0006】
プレート20をベース14に固定するための手段に特に制限はない。図面では、プレート20はネジでベース14に締め付けられている。例示の便宜上ネジは図示されていないが、孔15が示されている。プレート20はアルミニウム製のものが好ましく、平らな上面を提供し、その上に蒸着マスク12が配置されることとなる。フレーム22は、一般に方形をしているが、中央開口部24を有する。フレーム22の4つの角部の各々の周辺に、切抜き部26が存在する。切抜き部26の3つにおいて、その中を通りアラインメントピン18が突出する(図2参照)。
【0007】
これらの切抜き部26の目的は、真空室内でのアラインメントデバイス10の配置を容易にし、当該技術分野でよく理解されているように真空室内でのメカニズムの係合を可能ならしめることにある。フレーム22は、アラインメントピン16を使用して、ベース14に対して着脱可能に搭載される。アラインメントピン16は、フレーム22の孔17a及び17bを通過する。孔17aは円形横断面を有し、また孔17bは長方形又は長円形を有するため、適切なアラインメントが可能となる。透明平板28は、第2組のアラインメントピン18及び蒸着マスク12に接するように配置され、そして適切に配置された時に蒸着マスク12のエッジ部が露出されるようなサイズを有する。透明平板28は、電気めっきされた校正マーク21を含む。校正マーク21は、実物よりも大きく図示されたクロスラインである。校正マーク21を使用することにより、蒸着マスク12の上の校正マーク23に対する目視アラインメントが可能となる。蒸着マスク12の露出部分がフレーム22に固定される。当該固定は、接着剤又は磁性材料で行うことができる。
【0008】
アラインメントデバイス10の上面図を図2に、その線3−3に沿って切断した横断面図を図3にそれぞれ示す。特に図3を参照すると、ベース14、プレート20、蒸着マスク12及び透明平板28が上下に積み重ねられていることが図示されている。フレーム22は、プレート20と同一の幅を有するように示されている。図示を明瞭化するため、ピン16及び18は示していない。ピン18の1つをそのアラインメント位置において示す。
【0009】
ここで、アラインメントデバイス10における蒸着マスク12のアラインメントについて説明する。フレーム22は、アラインメントピン16を用いてベース14上に搭載される。アラインメントピン16はベース14の上に、フレーム22が1方向のみにおいて搭載され得るように、配置される。ベース14の上に搭載された時のフレーム22は、プレート20の上面とフレーム22の高さとが同一となり整合するように配置される。蒸着マスク12は、図1に示したように初期アラインメントのためフレーム22の上で彫刻アラインメントライン19を用いてプレート20及びフレーム22の上で目視整合される。透明平板28は、蒸着マスク12の上に、アラインメントピン18、18a及び18bに対して配置される。蒸着マスク12は、電気めっきされた校正23及びこれに対応する透明平板28の上に電気めっきされた校正21を用いて手動でアラインされる。透明平板28とアラインメントピン18、18a及び18bの関係は、アラインメント工程中、アラインメントピン18a及び18bに接したままにしなければならない。
【0010】
次いで、2つの方法のうちの1つにより蒸着マスク12をフレーム22に取り付ける。第1の方法では、接着ストリップ25により蒸着マスク12をフレーム22に固定する。接着ストリップ25は1本だけが図示されているが、典型的には各縁部について2本存在し、それらで蒸着マスク12をフレーム22に対して固定する。
【0011】
図4に示した第2の方法では、アラインメントデバイス10は、フレーム22の周辺部に複数のマグネット30を配置したことを除き、図1〜3に示したデバイスと同一である。図示の便宜上、フレームのその他の部分は示していない。第2の方法では、例えば、ニッケルコバルトのような鉄金属その他の材料等の磁性材料を含むように蒸着マスクを製造する。鉄金属の量は、マグネット30による磁場で蒸着マスク12がフレーム22に固定され平面状に保持されるような量とする。第2の方法は、接着剤を使用することが望まれない場合に特に適している。しかしながら、特定の用途においては、第1の方法と第2の方法を同時に使用してもよい。
【0012】
図5に、蒸着マスク12を介してOLEDデバイスの基板32の上に有機材料を蒸着する工程の概略図を示す。蒸着マスク12を含むアラインメントデバイス10を集成した後、透明平板28を取り外す。集成された蒸着マスク12とフレーム22をベース14から取り外す。排気チャンバ(図示なし)の中に配置されるのは蒸着マスク12とフレーム22の集成体である。蒸着マスク12の上に基板32を配置する。基板32の上に平板マグネット34を配置して磁場を働かせることにより蒸着マスク12を基板32内に引き付ける。この時点で、蒸着源が熱を有機材料に加えてこれを蒸発させ蒸着マスク12を介して基板32上に蒸着させる。
【0013】
【発明の効果】
本発明による有利な効果は、蒸着マスクを基板の表面に接触させながら正確に配置することを、蒸着マスクの波しわ化を防止しながら可能にし、よって有機発光ダイオードの歩留りを向上させることができる点にある。ある実施態様では、フレームにマグネットを、そして蒸着マスクに磁性材料を備えることにより、蒸着マスクのフレーム上でのアラインメントと有機発光デバイスとの間隔を近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による蒸着マスクのためのアラインメントデバイスの分解部品配列図である。
【図2】図1のアラインメントデバイスの上面図である。
【図3】図2の切断線3−3に沿って切断された横断面図である。
【図4】複数のマグネットを含む本発明の別の実施態様のフレームの上面図である。
【図5】基板に対して配置された蒸着マスクを介してOLEDの基板上に有機材料を蒸着することを示す略図である。
【符号の説明】
10…アラインメントデバイス
12…蒸着マスク
14…ベース
15、17a、17b…孔
16、18、18a、18b…アラインメントピン
20…プレート
21、23…校正マーク
22…フレーム
25…接着ストリップ
28…透明平板
30…マグネット
32…基板
34…平板マグネット

Claims (5)

  1. 有機発光デバイスの一部となる基板の上への有機材料の蒸着を簡易化するため該基板に対して蒸着マスクを配置することを可能にするアラインメントデバイスであって、
    (a) 第1組のアラインメントピンと第2組のアラインメントピンとを有するベースと、
    (b) 該ベースに固定されたプレートと、
    (c) 該プレートと同一の幅を有し、該プレートに整合された開口部を有し、さらに彫刻アラインメントラインを有するフレームであって、該フレームが該ベースに着脱可能に搭載されるよう該第1組のアラインメントピンの位置に対応する該第1組のアラインメントピンを受容する孔を備えて形成されたフレームと、
    (d) 該プレートの上に配置された蒸着マスクであって、該フレームの該彫刻アラインメントラインに対応する切抜き部を有し、該切抜き部が該彫刻アラインメントラインに整合されることとなり、さらに目視整合のための校正マークを含む蒸着マスクと、
    (e) 該第2組のアラインメントピン及び該蒸着マスクに接し、かつ、該蒸着マスクの部分が露出されるようなサイズを有する透明平板であって、該蒸着マスクの該校正マークに対応する校正マークを有し、両者が目視整合されることとなる透明平板と、
    (f) 該蒸着マスクの露出部分を該フレームに固定するための手段と
    を含んでなるアラインメントデバイス。
  2. 該第1組のアラインメントピンが、該ベース及び該プレートに対して該フレームを整合するように配置された、間隔を置いて並べられた2本のピンを含む、請求項1記載のデバイス。
  3. 該フレームが間隔を置いて並べられた4つの切抜き部を含み、該第2組のアラインメントピンが該4つの切抜き部のうちの3つにおいて該フレームの表面を越えて延在することにより該透明平板を係合し、かつ、該第2組のアラインメントピンの少なくとも2本のピンが1つの切抜き部に配置されることにより該透明平板の独立した2つのエッジ部を係合する、請求項2記載のデバイス。
  4. 請求項1記載のアラインメントデバイスを使用して基板上に有機材料を蒸着する方法であって、
    (a) 該フレームが該開口部に配置された該蒸着マスクを有するように該デバイスから該透明平板及び該フレームを逐次取り外し、
    (b) 該蒸着マスクが該基板に接するように該フレームを配置し、かつ、磁場を該蒸着マスクに印加することによりこれを該基板に固定するための磁気プレートを設け、そして
    (c) 該蒸着マスクを介して該基板上に有機材料を蒸着する
    ことを特徴とする方法。
  5. 請求項3記載のアラインメントデバイスを使用して基板上に有機材料を蒸着する方法であって、
    (a) 該フレームが該開口部に配置された該蒸着マスクを有するように該デバイスから該透明平板及び該フレームを逐次取り外し、
    (b) 該蒸着マスクが該基板に接するように該フレームを配置し、かつ、磁場を該蒸着マスクに印加することによりこれを該基板に固定し、そして
    (c) 該蒸着マスクを介して該基板上に有機材料を蒸着する
    ことを特徴とする方法。
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