JP4096567B2 - 統合マスク、ならびに統合マスクを用いた有機el素子の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

統合マスク、ならびに統合マスクを用いた有機el素子の製造方法およびその製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機などの分野に利用可能な、電気エネルギーを光に変換できる有機EL素子を製造するための、蒸着用マスク、並びにそれを用いた有機EL素子の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、陰極から注入する電子と、陽極から注入する正孔とを、両極にはさまれた有機蛍光体内で再結合させて発光させる原理のものであり、構造が簡素で、低電圧での高輝度多色発光が行えることから、薄型の小型ディスプレイに多く活用されはじめている。
【0003】
この有機EL素子を用いてフルカラーの表示パネルを作成するには、基板上に構成要素となる赤(R)、緑(G)、青(B)の発光層の他、第1、第2電極層等の薄膜層を所定パターンとピッチで規則正しく配列することが必要とされる。
【0004】
以上の薄膜層のうち、発光層となる有機薄膜層を高精度の微細パターンに形成するためには、有機薄膜の特性から、発光層の所定パターンに対応した開口配列を有するマスクを用いて、真空下で蒸着するマスク蒸着法が通常利用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した有機EL素子製造の生産性を向上させるには、発光層の形成に用いられるマスク蒸着が基板ごとのバッチ処理となることと、現在の有機EL素子は小型用途が多いことから、1枚の大きな基板に多数の有機EL素子を形成する、いわゆる多面取りが有効となる。多面取りのためには、1個の有機EL素子の大きさに対応した開口配列部分を多数有している蒸着用マスクを作成することが必要となる。しかしながらこのような蒸着マスクは大型化し、製作ならびに使用時に大きく変形して開口配列の寸法精度を高精度に維持できないため、特開2000−113978号公報では、1個の有機EL素子に応じた開口配列を有する1つの蒸着用マスクを多数配列する寄せ合わせ型蒸着マスクを導入することにより、寸法精度を高精度に維持する手段が示されているが、蒸着用マスクの具体的な構成までは示されていない。
【0006】
また、発光層はRGBの3色が存在していることから、各発光層間の位置決めが重要となるが、一枚の蒸着用マスクと基板の位置決めについては、特開平11−158605号公報等で示されているものの、上記の多面取りを高精度で行える寄せ合わせ型蒸着マスクを用いた時の、蒸着用マスクと基板との位置決め手段については何も提示されていない。
【0007】
この発明は、上述の事情に基づいてなされたものでその目的とするところは、1個の有機EL素子に応じた開口配列を有する1つの蒸着用マスクを多数配列する寄せ合わせ型蒸着用マスクを実用に供するための具体的な構成を提示するとともに、その寄せ合わせ型蒸着マスクと基板を位置決めして、マスク蒸着して、一枚の基板に多数の有機EL素子を形成して生産性を飛躍的に向上できる有機EL素子の製造方法および製造装置を提供することにある。
【0008】
上記の目的はこの発明によって達成される。すなわち本発明は、蒸着パターンに対応した蒸着用開口配列群をもつ複数の蒸着マスクが、複数の開口部を有するベース板に、各蒸着マスクの前記蒸着用開口配列群が前記開口部の上側に位置するように配置されており、かつ前記蒸着マスクは前記ベース板に任意に固定・開放自由な係合手段によって固定されているとともに、前記蒸着マスクを前記ベース板に位置決めするための基準アライメントマークを前記ベース板上に有し、さらに前記任意に固定・開放自由な係合手段は圧縮バネの力で蒸着マスクをベース板に押しつけて摩擦力による保持、固定と、蒸着マスクのベース板への押しつけを解除して蒸着マスクをベース板上を自在に移動させること、とを行えるものであることを特徴とする統合マスクであり、それを用いた有機EL素子の製造方法およびその製造装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の統合マスクは、蒸着パターンに対応した蒸着用開口配列群をもつ複数の蒸着マスクが、複数の開口部を有するベース板に、各蒸着マスクの前記蒸着用開口配列群が前記開口部の上側に位置するように配置されているものであり、かつ前記蒸着マスクは前記ベース板に任意に固定・開放自由な係合手段によって固定されているとともに、前記蒸着マスクを前記ベース板に位置決めするための基準アライメントマークを前記ベース板上に有することを特徴とするものである。ここで、開口部の上側に蒸着用開口配列群が配置されるということは、開口部が、形成される蒸着用開口配列群、つまり蒸着パターンよりも広い範囲に形成されているということを意味している。また、前記任意に固定・開放自由な係合手段は特に限定されないが、外力が付加されることで開放自由となるものであることが好ましい。また統合マスクの構成部材に熱膨張係数が1×10-5以下のものを含むことが好ましく、さらに前記複数の蒸着マスクは、隣り合うどおしの最大隙間が10mm以下で配置される部分を含むのが好ましい。
【0010】
本発明の有機EL素子の製造方法は、本発明の統合マスクと、蒸着を施す基板とを、前記統合マスクの基準アライメントマークを基準にして、蒸着室内で位置決めを行ってから、マスク蒸着により薄膜層をパターニングする工程を有して有機EL素子を製造する方法である。また位置決めを完了してから、位置決めを行った統合マスクと基板を蒸着室にいれて、マスク蒸着により薄膜層をパターニングする工程であってもよい。位置決めを工程のどの部分で行うかは、装置等の配置、構成に応じて使い分ければよく、本発明では位置決め工程を設けることが重要である。また、本発明の統合マスクで蒸着する薄膜層はR、G、Bの発光層であることが好ましい。
【0011】
本発明の有機EL素子の製造装置は、本発明の統合マスクと、蒸着を施す基板を、前記統合マスクの基準アライメントマークを基準にして、位置決めを行う位置決め装置と、マスク蒸着により薄膜層をパターニングする蒸着装置を備えて有機EL素子を製造することを特徴とする。ここで、蒸着装置は蒸着室内に蒸発源を有し、マスクのパターンにしたがって、基板にパターニングした蒸着を行うことができるものである。また、統合マスクと基板の位置を合わせ込む位置決め装置は、蒸着室内もしくは蒸着室外のいずれの位置にあってもよい。なお、位置決め装置が蒸着室外に存在する場合は、位置決めを行った統合マスクと基板を蒸着室内に導入する装置を有していてもよい。
【0012】
本発明の統合マスクによれば、所定の蒸着用開口配列をもつ蒸着用マスクをベース板上に両者の基準マークをもとに多数配置し、かつ固定・開放が自由な手段によって保持する構成を有しているので、多数の蒸着マスクを高い精度で所定位置に配置することが可能となる。さらに構成部材に熱膨張係数が1×10-5以下のものを含むとしているので、蒸着源からの放射熱によるパターン精度の変化を最小限度におさえることができる。また、隣り合う蒸着マスク間の最大間隙を10mm以下とするから、蒸着の無効スペースが小さく、同数の有機EL素子をえるガラス基板の大きさを最小にでき、コストダウンがはかれる。
【0013】
本発明の有機EL素子の製造方法および製造装置によれば、上記の統合マスクを用いて基板と位置決め、並びに発光層等の薄膜層の蒸着を行うのであるから、薄膜層を蒸着する基板の大きさに関係なく、高い寸法精度で所定のパターンに薄膜層を蒸着することが可能となり、一枚の基板に多数の有機EL素子を形成する、いわゆる多面取りが高精度のパターン精度で行うことができ、高品質の有機EL素子を高い生産性で得ることができる。
【0014】
以下、この発明の好ましい一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、この発明に係る統合マスク1の全体概略斜視図、図2は図1の統合マスクを各要素ごとに分解した斜視図、図3は統合マスクを用いた蒸着装置の一実施例を示す正面断面図、図4は統合マスクを用いた蒸着装置の別の実施例を示す正面断面図である。
【0016】
図1を参照すると、統合マスク1は、4つの蒸着マスク20をベース板2に、係合手段40で固定して構成されている。
【0017】
蒸着マスク20は、蒸着パターンに応じて蒸着用開口32を配置した開口部30を有するマスクプレート22を、フレーム24に固定して構成される。フレーム24の破線の内側は開口としており、蒸着マスク20の開口部30の直下には遮蔽物は何もないようにしている。また、蒸着マスク20が配置されるベース板2の場所には、図2に示すように開口部30の占有面積よりも広く、かつ開口部30がその中に含まれる開口10が必ず設けられている。なお、蒸着用開口32の形状は長方形や円形の穴を多数ならべる等、蒸着パターンにしたがって形成する。ここで、開口10は開口部30よりも、面積で好ましくは5〜500%、より好ましくは20〜100%大きくする。
【0018】
また蒸着マスク20の各配置位置は、ベース板2の突起部4の上面8に設けられたアライメントマーク6を基準として、蒸着マスク20の所定の蒸着用開口32が定めた位置になるようにしている。ここでは蒸着用開口32の位置を直接検知して、ベース板2上のアライメントマーク6との相対位置合わせを行ってもよいが、各蒸着マスク20のマスクプレート22にアライメントマーク26を設け、これをベース板2のアライメントマーク6を基準にして位置合わせを行わせるのが好ましい。なお、アライメントマーク6が設けられている突起部4の上面8と蒸着用マスク20のマスクプレート22のベース2からの高さは等しくし、同じ焦点距離になるようにして、カメラによる位置検知が行いやすいようにすることが好ましい。
【0019】
係合手段40は、図1に示すように、押さえ棒42、圧縮バネ44、留め金46より構成されており、押さえ棒42を蒸着マスク20の穴28とベース板2の取付け穴18を通し、ベース板2の裏面で圧縮バネ44を取り付けてから、留め金46を装着して、押さえ棒42が抜けないようにする。これにより、圧縮バネ44の力で蒸着マスク20をベース板2に一定力で押さえつけて、摩擦力で動かないように保持することになる。また、下側から留め金46を押すと圧縮バネ44が縮み、押さえ棒42の上側にある頭部と蒸着マスク20の間にすきまが生じるので、蒸着マスク20のベース板2へのおしつけが開放されて、蒸着用マスク20はベース板2上を自在に移動できるようになる。このようにして保持力が解除されている間に、蒸着マスク20を移動させてベース板2上への位置決めを行う。これが完了したら、留め金46への押しつけを解除し、係合手段40のバネ力により蒸着マスク20をベース板2に押し付けて、保持する。
【0020】
次に統合マスク1を使用して発光層等を実際に蒸着する蒸着システム100について説明する。図3を見ると、統合マスク1を使用する蒸着装置102がある。統合マスク1は外壁108で覆われた真空槽132の中にあるマスクホルダー112に支持されており、固定具118で、統合マスク1のベース板2がマスクホルダー112で移動しないように挟持されている。真空槽132は図示しない真空吸引装置に接続されており、蒸着のために必要な真空度に調整される。ガラス板である基板Aは真空槽132内の基板ホルダー122にその下面が保持されている。さらに基板ホルダー122はブラケット120と昇降軸126を介して、真空槽外にあるモータ128に接続されている。昇降軸126は内部に上下方向に移動自在とするガイドと駆動部を有しており、基板ホルダー122を上下方向に自在に昇降させることができる。またモータ128の駆動により、昇降軸126以降のものが回転自在となる。したがって、昇降軸126とモータ128の動作により、基板Aを、真空槽132内で自在に昇降させたり、水平面内で回転させることができる。
【0021】
また、マスクホルダー112はX−Yガイド116に接続されている。X−Yガイド116は外壁108の上部に固定されている。X−Yガイド116は図示されていない駆動源によって、水平面内のX、Y方向に自在に移動できるもので、その結果として、マスクホルダー112上の統合マスク1を水平面内で自在に移動させることができる。統合マスク1と基板Aのアライメントマーク、または蒸着マスクの開口は外壁のルッキンググラス104を通して、外部に設けられたカメラ130によって検知され、その検知位置に応じてX−Yガイド116による水平移動とモータ128による回転で、統合マスク1と基板Aとの位置決めが行われる。なお基板Aのアライメントマーク位置検知時には、昇降軸126を下降させて、基板Aを統合マスク1の上にのせた状態で行う。基板Aを統合マスク1上にのせた状態での位置決めが完了したら、ブラケット120に対して図示しない駆動源によって昇降可能な押さえ部材124を下降させて基板Aに接触させ、基板Aと統合マスク1の密着度を上げる。なお、押さえ部材124の少なくとも一部を磁石として、金属あるいは磁性体からなる蒸着マスク20を磁力により引きつけることで、基板Aと統合マスク1との密着度を上げることも可能である。
【0022】
また真空槽132内には蒸発源134が統合マスク1の真下に設けられている。この中に蒸着すべき材料をいれ、適切な温度に調整して、材料を蒸発させると、統合マスク1の各蒸着マスク20の開口部30を通過するもののみが基板Aに蒸着されることになり、基板Aに所定パターンの蒸着膜層を形成できる。さらに、基板への蒸着を任意に実施/停止するために、開閉可能な蒸着シャッター114が蒸発源134の上方に設けられている。なお基板Aの真空槽132内外への搬出入は、開閉可能なシャッター136を開け、外壁108に設けられた搬出入口138を通して、移載装置200を用いて行なう。
【0023】
移載装置200は、ベース202に対して昇降と回転自在なベース板204、ベース板204上をガイド206により自在に往復動可能なスライド板210より構成されており、基板Aをスライド板210上のパッド208にのせて、これを可動範囲内の任意の位置に搬送することができる。
【0024】
次に図3をもとに蒸着システム100を使った蒸着方法について次に説明する。
まず、統合マスク1を真空槽132のマスクホルダー112に設置し、固定する。続いて統合マスク1のアライメントマーク6の位置をカメラ130によって検知し、図示していない画像処理装置によってその位置を認識して、記憶する。
【0025】
次にシャッター136を開けて移載装置200により基板Aを基板ホルダー122に載置し、移載装置200のスライド板210が真空槽132外にでたら、シャッター136を閉じ、図示しない真空ポンプを駆動して、真空槽132内を一定の真空度にする。ついで、昇降軸126を下降させて基板Aを統合マスク1上に置き、ルッキンググラス104を通してカメラ130で基板Aのアライメントマーク位置を検知する。次に昇降軸126を上昇させて基板Aと統合マスク1を離接させた後、すでに検知している統合マスク1のアライメントマーク位置と基板Aのアライメントマーク位置が合致するように、X−Yガイド116およびモータ128を所定量だけ移動、回転させる。
【0026】
この位置あわせ作業が終わったら、カメラ130によって統合マスク1のアライメントマーク位置を検知するとともに、昇降軸126を再び下降させて基板Aを統合マスク1上に載置して、カメラ130で基板Aのアライメントマーク位置を検知する。この場合、統合マスク1のアライメントマーク6と基板Aのアライメントマーク位置は演算で補正できるので、同じ位置にする必要はないが、両アライメントマーク位置が同じである方が、演算等の作業が省略されて簡単化できるので、好ましい。この時に検知した統合マスク1と基板Aの各々のアライメントマークが合致していなければ、昇降軸126を上昇させて基板Aを統合マスク1より離接し、同じくアライメントマークの位置あわせ作業を行う。基板Aと統合マスク1のアライメントマーク6の検知と位置あわせ作業を繰り返して、アライメントマークが合致すれば、押さえ部材124を下降させて基板Aを統合マスク1に押しつける。この押しつけ力は好ましくは、10〜100Nとする。
【0027】
ついで、蒸発源134を加熱して有機物を蒸発後、蒸着シャッター114を開けて、基板Aにマスクパターンにしたがった蒸着を行う。所定厚さの有機膜が形成できたら、蒸着シャッター114を閉じて蒸着を完了し、真空槽132内を大気圧にもどす。これと平行して押さえ部材124を上昇させた後、シャッター136を開けて移載装置200によりマスクパターンで蒸着された基板Aを取り出して次の工程に送る。
【0028】
なお、真空槽132内を一定の真空度にするには時間を要するので、大気→真空→大気→真空の繰り返しのむだをなくして効率を向上させるために、移載装置200も真空装置内にいれて、真空下内で全ての作業を行ってもよい。
【0029】
次に統合マスク1を使った別の蒸着システムの実施例を、図4を用いて説明する。図4を見ると、蒸着システム400がある。蒸着システム400は、統合マスク1上に基板Aを位置決め載置する位置決め装置300と、基板Aが統合マスクに各々のアライメントマークが合致した状態で載置される位置決め済み基板−マスク420を移載する移載装置200、位置決め済み基板−マスク420を
装着して、それに有機物の蒸着を行う蒸着装置402よりなる。
【0030】
まず位置決め装置300は、統合マスク1を保持するマスク保持器302と、マスク保持器302を平面内(X−Y方向)に自在に移動させるX−Yテーブル304、基板Aを保持する基板保持器306、基板保持器306がブラケット318と昇降軸312を介して接続されている回転モータ314、回転モータ314を保持するフレーム316、フレーム316とX−Yテーブル304を支持する架台308、統合マスク1および基板Aのアライメントマークを検知するカメラ310よりなる。以上の中で、昇降軸312は内部に上下方向に移動自在とするガイドと駆動部を有しており、基板保持器306を上下方向に自在に昇降させることができる。また回転モータ314は基板保持器306を自在に回転可能とする。
【0031】
次に移載装置200は、蒸着システム100で説明したものと全く同じものである。そして、蒸着装置402は、真空槽416内に位置決め済み基板−マスク420が載置される載置台404、基板Aを統合マスク1に一定力で押し付ける昇降自在な押さえ板412、有機物の蒸着源406、蒸着源406からの蒸発物が基板Aに到達するのを妨げる開閉自在なシャッター408よりなる。ここで、押さえ板412は、真空槽416外で外壁418に固定された昇降シリンダー414に接続されており、この昇降シリンダー414の昇降動作により、自在な昇降動作が付与される。また、真空槽416は図示しない真空ポンプに接続されており、槽内を任意の真空度にすることができる。また位置決め済み基板−マスク420は、開閉可能な扉410を通して真空槽416内に導入される。
【0032】
以上の蒸着システム400を用いた基板Aの蒸着は次のようにして行なう。
まず統合マスク1を位置決め装置300のマスク保持器302に装着し、統合マスク1のアライメントマーク位置をカメラ310で検知する。つづいて基板Aを基板保持器306に装着し、基板保持器306を下降させて基板Aを統合マスク1上に載置する。そして基板Aのアライメントマーク位置をカメラ310で検知した後、一旦基板Aを基板保持器306で上昇させて、検知した基板Aのアライメントマークと統合マスク1のアライメントマークが合致するようにX−Yテーブル304と回転モータ314を制御する。そして、再度両方のアライメントマーク位置を確認し、両者が一致するまで位置決め・アライメントマーク位置確認を繰り返す。最終的に両方のアライメントマーク位置の一致が確認できたら、基板Aを統合マスク1上に載置した位置決め済み基板−マスク420を、基板保持器306から移載装置200のパッド208上に載せかえ、蒸着装置402の扉410を開けて、載置台404上に置く。ついで押さえ板412を下降させて基板Aを統合マスク1に所定の力で押し付ける。押しつけ力は10〜300Nが好ましい。この間に移載装置200のスライド板210が真空槽416外へでたら扉410を閉め、図示しない真空ポンプを駆動して真空槽416内を所定の真空度にする。つづいて蒸着源406を加熱して有機物を蒸発させ、シャッター408を開いて統合マスク1上の基板Aにマスクパターンに応じた有機物の蒸着を行う。
【0033】
蒸着が完了したら、シャッター408を閉じ、真空槽416内を大気圧にもどした後、扉410を開いて蒸着された位置決め済み基板−マスク420を移載装置200により取り出して、次の工程へ搬送する。
【0034】
以上の中で、位置決め装置300、移載装置200も真空室内に置いてもよい。これによって常に真空下で基板Aと統合マスク1の位置決め、搬送が行われるので、大気圧→真空、真空→大気圧にする時間が省略できて、生産性を大幅に向上できる。
【0035】
さらに、統合マスクの好ましい別の実施態様を図5と図6を用いて説明する。図5は統合マスクの別の実施態様例である統合マスク500の全体概略斜視図、図6は図5の統合マスク500を各要素ごとに分解した斜視図である。
【0036】
図5を見ると、統合マスク500は、4つの蒸着マスク520をベース板502に、係合手段540で固定して構成されている。
【0037】
ここで蒸着マスク520は、統合マスク1の蒸着マスク20と同様に、蒸着パターンに応じて蒸着用開口532を配置した開口部530と、位置合わせ時の基準となる十字形状のアライメントマーク526を有するマスクプレート522が、フレーム524に固定されている。また蒸着マスク520には、係合手段540で押さえる耳部528が、蒸着マスク20の端部に追加して設けられている。さらに蒸着マスク520は、ベース板502の中央部に設けた突起部504の上面508にあるアライメントマーク506を基準として、突起部504の左右に配置されている。アライメントマーク506は、図5では十字形状としているが、丸型の他、基準となりうるのであればいかなる形状でもよい。
【0038】
また係合手段540は、L型状の押さえ板542、押さえ板542を軸548回りに回転自由に保持する保持台546、及び押さえ板542の片端B550を押し上げる圧縮バネ544より構成されている。そして、保持台546をベース板502に固定することにより、係合手段540はベース板502の開口部510周辺の任意の位置に配置することができる。さらに、圧縮バネ544の内側には、案内軸554が設けられている。この案内軸554は、外径を圧縮バネ544の内径より小さく、軸長さを圧縮バネ544の自由長よりも短くして、圧縮バネ544の位置がずれないようにするとともに、圧縮バネ544とベース板502を接触させて、バネ力が押さえ板542に付加されるようにしている。案内軸554は、押さえ板542に固定してもよいし、ベース板502に固定されていてもよい。
【0039】
さて係合手段540は、保持台546の軸548の回りで回転自在に動作する押さえ板542の片端B550を圧縮バネ544により押し上げているので、押さえ板542の片端B550の反対側にある片端A552では下向きの押さえ力が作用することとなる。したがって、押さえ板542の片端A552の下に蒸着マスク520の耳部528を配置することにより、押さえ板542が一定力で耳部528をベース板502に押しつけることになり、摩擦力により蒸着マスク520をベース板502上で動かないように保持できる。また、押さえ板542の軸548に対して片端B550のある側を上側から押すか、軸548に対して片端A552のある側を上側に引き上げるかして外力を付加すると、圧縮バネ544が縮み、押さえ板542の片端A552と蒸着マスク520の耳部528の間にすきまが生じるので、蒸着用マスク520のベース板502への押しつけが開放されて、蒸着用マスク520はベース板502上を自在に移動できるようになる。このようにして保持力が解除されている間に、蒸着マスク520を移動させてベース板502上への位置決めを行う。これが完了したら、押さえ板542への外力の付加を解除し、圧縮バネ544により発生する押しつけ力で、再び蒸着マスク520をベース板502に押し付けて、保持・固定する。このように、係合手段540を用いれば、蒸着マスク520の固定・解放は自在に行えることとなる。また、蒸着マスク520の耳部528を押しつける押しつけ板542の片端A552は、L型形状をなす押しつけ板542の短辺側に設けられている。ここで、耳部528のフレーム524の側面に直角方向の長さは、押しつけ板542のL型の短辺長よりも短くしているので、耳部528を片端Aの真下(押しつけ板542のL型の短辺で覆われる部分)以外にずらす時に、上方には干渉するものがないので、蒸着マスク520を上側に持ち上げることができ、蒸着マスク520のベース板502への装着・取り外しが容易に行える。
【0040】
なお統合マスクは、上記係合手段が蒸着マスクをベース板に固定する際に働く力の主方向が、ベース板に対する垂直線から±30°、より好ましくは±5°以下の範囲となるよう、構成する各手段の構造を定める。このために、特に係合手段540の押さえ板542の片端A552の、蒸着マスク520に耳部528を接触する部分は、R形状の面になっていることが好ましく、より好ましくはR=10〜100mmとする。上記の力の主方向が上記の範囲外にあると、蒸着マスクがベース板に位置決めされた位置からずれることがある。
【0041】
統合マスクの材質としては、いかなるものを用いてもよいが、有機EL素子を製造するときの蒸着源からの放射熱によってマスク周辺の温度が上昇し、統合マスクの寸法が変化してパターニングする薄膜層のパターン精度が変化することを配慮して、統合マスクを構成する部材であるベース板、蒸着マスクすなわちマスクプレートとフレーム等は、熱膨張係数が好ましくは1×10-5以下、より好ましくは0.7×10-5以下、さらにより好ましくは0.4×10-5以下の材料を用いるのがよい。この条件を満たす材料にはインバー合金やモリブデン、チタン、コバール合金、ガラス、セラミックなどがあるが、入手の容易さと強度の点から、インバー合金、コバール合金がより好ましい。この低熱膨張係数材料を使用することによる上記効果は、製造開始から時間がたって構成部材の温度が上昇するときに、特に発現する。
【0042】
またベース板の突起部は通常は同一の材料からベース板と一体形成されるが、ベース板と突起部を独立に製作して合体させる場合は特に、上記の熱膨張係数の範囲にある材料をベース板と突起部に用いるのが好ましい。
【0043】
なお熱膨張係数は、長手方向の長さL0の部材をT℃だけ温度を上昇させた時の長手方向の長さLを測定し、(L−L0)/L0/Tで算出する。単位は1/℃であり、この熱膨張係数に、変化温度と部材の長さを掛け合わせれば、その温度変化が生じた場合の部材の伸縮量が求められる。
【0044】
次に、統合マスクを構成する各蒸着マスクのマスクプレートの厚さは、ストライプ状に伸びる開口間にあるマスク部の幅の3倍以下、より好ましくは2倍以下とし、具体的な厚さとしては、500μm以下、より好ましくは100μm以下、さらにより好ましくは50μm以下とする。またマスクプレートには、開口を横切る向きに補強線を設けたものを用いるのが好ましい。これによって、マスクプレートの開口ピッチが小さくてマスクプレート単体では剛性が不足し、たわみによる開口の変形が発生するのを、防止することができる。
【0045】
マスクプレートの開口は電鋳法やエッチング法、機械的研磨法、サンドブラスト法、焼結法、レーザー加工法などいかなる方法で製作してもよいが、微細な開口を容易に製作できる点から、電鋳法を用いることが好ましい。これらの手法により作製されたマスクプレートに張力を加えると、高い平面性を維持した状態でフレームに固定された蒸着マスクが得られる。固定手段は特に限定されないが、接着剤を用いるのが簡便で、好ましい。そしてマスクプレートは適切な張力でフレームに固定されている時にのみ、マスクプレート自身の温度変化による伸縮を吸収できるので、熱膨張係数は1×10-5をこえることも許される。しかし、フレーム、ベース板にはそのような熱収縮の吸収メカニズムがいかなる場合にもないので、上記したように熱膨張係数は1×10-5以下であることが好ましい。
【0046】
またマスクプレートの材質としては、通常ステンレス鋼、銅合金、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属系材料、各種樹脂系材料が用いられるが、Ni合金等の磁性材料を使用するの好ましい。これはマスクプレートと基板との密着性を磁気力により向上させて、より精度の高いパターンを蒸着により形成できるからである。さらに、上記したように熱膨張係数が1×10-5以下であることをも満足する材料を用いることがより好ましい。
【0047】
次に、統合マスクにおける各蒸着マスクの配置は、隣り合う蒸着マスク間にできる最大隙間が10mm以下、より好ましくは5mm以下となるようにする。ここで最大隙間は次のように定義する。まず、対象とする隙間は、ベース板面上で2つの隣り合う蒸着マスク間に作られる隙間とする。そしてその隙間を全て含むようにして、2本の平行線を配置する。この2本の平行線の間隔を、2つの隣り合う蒸着マスク間の隙間を全て含めることができる最小のものとし、そのときの2本の平行線の間隔を最大隙間とする。この蒸着マスク間の最大隙間が小さいほど、蒸着の無効スペースが小さくなり、同じ数の有機EL素子を得るために必要な1枚の基板の大きさが小さくて済む。この結果、基板のコストだけでなく、蒸着装置の大きさ縮小による装置コストも、低減することが可能となる。また品質的には、薄膜層の膜厚ムラも小さくできる。なお隣り合う蒸着マスク間に隙間ができる全ての場所で、最大隙間の値を10mm下とするのが好ましいが、図5に示す統合マスク500では、左右方向は隣り合う蒸着マスクの間に突起部504があるために、最大間隙を10mm以下にするのは難しい。このような場合は、上下方向に隣り合う蒸着マスク間の最大隙間だけを10mm以下としてもよい。
【0048】
さらにまた、蒸着物がある入射角度をもつことによって発生する蒸着影による蒸着無効スペースも小さくするために、蒸着マスクのフレームやマスクプレートの開口部の断面をテーパー形状にすることも好ましい。
【0049】
【実施例】
実施例1
発光層用の蒸着マスク用のプレートとして、外形が84mm幅×105mm長、厚さ25μm、熱膨張係数1×10-5のNi合金を用意した。幅100μmで長さが64mmの長方形開口を、開口の長手方向(64mmの方向)がプレートの幅方向(84mmの方向)と一致するようにして、ピッチ300μmでプレートの長手方向に272個設けた。なお長方形開口はプレートの長手、幅方向ともプレートの中央になるようにし、さらに長手方向の上側端部より5mmの直線上に、幅方向に対称となるようにピッチ30mmで十字形状のアライメントマークを2個設けて、蒸着マスクプレートを作成した。同様にして同じ蒸着マスクプレートを16個作成した。
【0050】
この蒸着マスクプレートを、全体の大きさ104mm幅×105mm長、熱膨張係数1.3×10-5のステンレス製フレーム24(図1参照)の長手方向中央部にある取付部(外形84mm幅×105mm長)に接着によりとりつけ、蒸着マスクを作成した。同様に同じ蒸着マスクを16個作成した。なお蒸着マスクのフレーム24のマスクプレート取り付け部は、厚さ10mmで、外形から4mmを接着代として残して、その内側は76mm幅×97mm長の開口とした。またフレーム24の幅方向の両端10mmは厚さ5mmで、固定用のφ5mmの穴を片側2ヶ所づつ、合計4ヶ所設けた。
【0051】
次に441mm幅×455mm長、厚さ5mm、熱膨張係数2×10-5 のアルミ製板に、76mm幅×95mm長の開口を、幅方向に左端部より19mmの位置のところから109mmピッチで4列、長手方向に上端部より20mmの位置から110mmピッチで4列の合計16個設けたものを、図1のベース板2とした。そして、それに上記の蒸着マスク16個を、各々の蒸着マスクの開口がベース板2の開口の中央になるように配置した。この時の隣り合う蒸着マスク間の最大隙間は、ベース板2上で幅方向に5mm、長手方向に9mmであった。さらに蒸着マスク1個に対して4本の係合手段で、各蒸着マスクをベース板上に固定して、統合マスク1を作成した。なおベース板の長手方向上部端部10mmは厚さ15mmとなっており、その上面にアライメントマークとして直径1mmで深さ5mmの穴を幅方向の中央部に30mmのピッチで、上部端部より5mmの位置に中心がくるように2個設けた。アライメントマークのある面は、ベース板に取り付けた蒸着マスク1の上面と同じ高さになった。また係合手段はステンレス製で、押さえ棒42の頭部は直径8mm、ベース板の穴に貫通させる部分は直径4mmであり、圧縮バネ44にはバネ定数10N/mmのものを使用して、一個の蒸着マスクを100Nの力でベース板に押し付けるようにした。またこの時、ベース板のアライメントマークを基準にして、各蒸着マスクのアライメントマークが所定位置にくるように、蒸着マスクの位置調整も行った。
【0052】
つぎにこの統合マスク1を緑色発光層用として、緑色発光層用蒸着装置102のマスクホルダー112に装着した。次に緑色発光層用統合マスクの蒸着マスクプレート上の100μm幅×64mm長の開口の全ての位置を、プレート長手方向に100μm(1ピッチ分)だけをずらす他は、緑色発光層用統合マスクと全く同じにして赤色発光層用統合マスクを作成するとともに、緑色発光層用統合マスクの蒸着マスクプレート上の100μm幅×64mm長の開口の全ての位置を、プレート長手方向に200μm(2ピッチ分)だけをずらす他は、緑色発光層用統合マスクと全く同じにして青色発光層用統合マスクを作成した。これにより、全て発光層の蒸着準備を完了した。
【0053】
次に、厚さ1.1mmで外形が457mm幅×455mm長の無アルカリガラス表面にITO透明電極膜を130nmだけスパッタリングにて全面形成した。ここで、基板幅方向に並行して長さが90mm、幅が80μmのストライプ形状を基板長手方向に100μmピッチで816本配列した1単位のストライプ列を、基板幅方向に109mmピッチ、基板長手方向に110mmのピッチで合計16単位配列させたものを残すように、この形状にパターニングされたシャドーマスクを用いてフォトリソ法で、第1電極を形成した。なお、ガラス端部から最寄りのストライプ列までの距離は、基板幅方向に20mm、長手方向に22mmとした。
【0054】
続いて本基板上全面にポジ型フォトレジスト(東京応化(株)製、OFPR−800)をスピナーにより厚さ3μmになるように塗布した。乾燥後この塗布膜にフォトマスクを介して露光、現像してフォトレジストのパターニングを行った後、180℃でキュアを行って、16個の有機EL素子の有効発光エリア(第1電極と後のR、G、B発光層が占める領域)を全面を覆うように、それぞれに対応して16単位のスペーサを形成した。なお1単位のスペーサでは、基板長手方向(第1電極に直交する方向に)に長さ65μm、基板幅方向に長さ235μmの開口部(スペーサーの存在しない部分)を、基板長手方向には第1電極の中央部が露出するように100μmピッチで816個、基板幅方向に第1電極にそって300μmピッチで200個の格子状に配置した。またこの開口部最左端は、第1電極左端部より基板幅方向にそって15mmの位置になるようにした。
【0055】
次に16個ある有機EL素子の有効発光エリア全面に、銅フタロシアニンを15nm、ビス(N−エチルカルバゾール)を60nmを蒸着して、正孔輸送層を形成した。蒸着時の真空度は2×10-4Pa以下とし、蒸着中は基板を蒸着源に対して回転させた。
【0056】
次に発光層を蒸着するために、蒸着装置に装着した統合マスク1のアライメントマーク位置をカメラによってまず検知した。つづいて基板ホルダー122に、移載装置200から正孔輸送層まで蒸着したガラス基板をのせた後、真空ポンプを駆動して、蒸着槽内の真空度を1×10-4Paにした。所定の真空度がえられてから、基板ホルダー122を下降させて、基板ホルダー122上のガラス基板を統合マスク1上に載置した。このガラス基板の長手方向上部端部には基板幅方向の中央に幅方向ピッチ30mmで、基板長手方向上部端部より5mmの位置に中心がくるように直径1mmの貫通穴がアライメントマークとして2ヶ所設けられているので、そのアライメントマーク位置を検知して、統合マスク1のベース板に設けられているアライメントマークと一致するようにガラス基板と統合マスク1の位置合わせを行った。位置合わせ完了後押しつけ部材でガラス基板を統合マスク1に20Nの力で押し付け、つづいて蒸着源を加熱し、緑色発光層として、0.3wt%の1,3,5,7,8,−ペンタメチル−4,4−ジフロロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(PM546)をドーピングした8−ヒドロキシキノリン−アルミニウム錯体(Alq3)を、統合マスクのパターンにしたがって20nm蒸着した。
【0057】
次に蒸着された基板を取り出し、赤色発光層用統合マスクが装着されている別の蒸着装置に移載し、緑色発光層の場合と同じく基板と統合マスクの位置合わせを行った後、1×10-4Paの真空下で赤色発光層として1wt%の4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6(ジュロリジルスチリル)ピラン(DCJT)をドーピングしたAlq3を15nm蒸着した。つづいて、基板を青色発光層用統合マスクが装着されているさらにまた別の蒸着装置に移載し、同様に基板と統合マスクの位置合わせを行った後、1×10-4Paの真空下で青色発光層として4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ジフェニル(DPVBi)を20nm蒸着した。
【0058】
この発光層はストライプ状の第1電極に各々対応しており、第1電極の露出部分を完全に被覆した。
【0059】
次にDPVBiを45nm、Alq3を10nm、16個ある有機EL素子の有効発光エリア全面にそれぞれ蒸着した。つづいて、基板長手方向(第1電極に直交する方向)に長さ100mm、基板幅方向に250μmで厚さ240nmであるアルミニウムのストライプを、基板幅方向にピッチ300μmで200本配置したストライプ列を1単位とし、これを先に作成した基板上のスペーサの開口部を覆うように幅方向ピッチ109mm、基板長手方向ピッチ110mmで、16単位配置できるようアルミニウムの蒸着を行い、第2電極を形成した。なお蒸着時の真空度は3×10-4Pa以下とした。そして最後に一酸化珪素を200nmの厚さに電子ビーム蒸着法によって全面蒸着し、保護層を形成した。
【0060】
以上のようにして16個の発光素子が形成された基板を切断して、16個の発光素子に分割した。各々の発光素子には、816本のITOストライプ状第1電極上にパターニングされたRGBそれぞれの発光層を含む薄膜層と、さらに第1電極と直交するするように200本のストライプ状第2電極が形成された。第1、第2電極の交差部分のうち、スペーサーの開口部のみが発光し、RGB各1つずつの発光単位が1画素を形成するので、300μmピッチで272×200画素を有する単純マトリックス型カラー有機EL素子が製作できた。製作した有機EL素子の発光性能は16個ともディスプレイとして用いることができるものであった。また蒸着マスクを分割して発光層を蒸着したので、16個全て同一寸法精度と性能をもつ発光素子を製作することができた。なお、R、G、B各発光層の位置ずれは5μm以下であり、16個の有機EL素子のいずれもがそのようになっていた。比較のために、16個の有機EL素子に相応する蒸着パターンを一枚の板に作成した蒸着マスクを使用して、有機EL素子を製造したが、R、G、B各発光層の位置ずれが、16個の各有機EL素子で異なり、5〜200μmあった。そのため実際に実用にディスプレイとして用いることができたのは、2個だけであった。
【0061】
実施例2
実施例1で、フレーム24に熱膨張係数0.5×10-5のコバール合金、ベース板2にも同じく熱膨張係数0.5×10-5のコバール合金を用いた他は、実施例1と全く同じようにして有機EL素子を製作した。このときのR、G、B各発光層の位置ずれは3μm以下となり、16個の有機EL素子のいずれもがそのようになっていた。なおこの精度は製作開始24時間後も変化がなく、長期にわたって高精度を維持できた。
【0062】
なお、本実施例ではRGB発光層のパターニングに際して、それぞれ異なる3個の統合マスクを対応させたが、1個の統合マスクと基板との位置関係を第1電極のピッチ分だけ移動させて、RGBそれぞれの発光層を蒸着することでパターニングすることも可能である。
【0063】
また、第2電極のパターニングにも統合マスクを用いたマスク蒸着法を適用したが、基板上にあらかじめ隔壁を形成しておき、隔壁の影を利用することで蒸着マスクを用いずに、第2電極をパターニングする隔壁法を適用することもできる。さらに、蒸着後に公知技術を用いて封止を行うこともできる。
【0064】
さて、本実施例では単純マトリックス型カラー有機EL素子を製作したが、発光層の微細パターニングを省略することでモノクロ有機EL素子を製作することもできる。また、薄膜トランジスター(TFT)などからなるスイッチング素子があらかじめ備えられた基板を用い、統合マスクを用いて発光層をパターニングすることによって、アクティブマトリックス型カラー有機EL素子を製作することも可能である。
【0065】
【発明の効果】
本発明になる統合マスクによれば、所定の蒸着用開口配列をもつ蒸着用マスクをベース板上に両者の基準マークをもとに多数配置し、かつ固定・開放が自由な手段によって保持する構成を有しているので、多数の蒸着マスクを高い精度で所定位置に配置することがが可能となる。
【0066】
さらに構成部材に熱膨張係数が1×10-5以下のものを含むようにしているので、蒸着源からの放射熱によるパターン精度の変化を最小限度におさえることができる。また、隣り合う蒸着マスク間の最大間隙を10mm以下とするから、蒸着の無効スペースが小さく、同数の有機EL素子をえるガラス基板の大きさを最小にでき、材料費の節減が行える。
【0067】
さらに本発明になる有機EL素子の製造方法および製造装置によれば、上記の統合マスクを用いて基板と位置決め、並びに発光層や第2電極の薄膜層の蒸着を行うのであるから、薄膜層を蒸着する基板の大きさに関係なく、高い寸法精度で所定のパターンに薄膜層を蒸着することが可能となり、一枚の基板に多数の有機EL素子を形成する、いわゆる多面取りが高精度のパターン精度で行うことができ、高品質の有機EL素子を高い生産性で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る統合マスク1の全体概略斜視図。
【図2】図1の統合マスクを各要素ごとに分解した斜視図。
【図3】統合マスクを用いた蒸着装置の一実施例を示す正面断面図。
【図4】統合マスクを用いた蒸着装置の別の実施例を示す正面断面図。
【図5】本発明にかかる別の実施態様である統合マスク500の全体概略斜視図
【図6】図5の統合マスクを各要素ごとに分解した斜視図
【符号の説明】
1 統合マスク
2 ベース板
6 アライメントマーク
10 開口
20 蒸着マスク
22 マスクプレート
30 開口部
32 蒸着用開口
40 係合手段
42 押さえ棒
44 圧縮バネ
46 留め金
100 蒸着システム
102 蒸着装置
104 ルッキンググラス
106 蒸着シャッター
108 外壁
110 ブラケット
112 マスクホルダー
116 X−Yガイド
120 ブラケット
122 基板ホルダー
124 押さえ部材
126 昇降軸
128 モータ
130 カメラ
132 真空槽
134 蒸発源
136 シャッター
200 移載装置
210 スライド板
208 パッド
400 蒸着システム
402 蒸着装置
300 位置決め装置
302 マスク保持器
306 基板保持器
314 回転モータ
416 真空槽
404 載置台
406 蒸着源
408 シャッター
412 押さえ板
420 位置決め済み基板−マスク
500 統合マスク
502 ベース板
506 アライメントマーク
510 開口
520 蒸着マスク
522 マスクプレート
528 耳部
530 開口部
532 蒸着用開口
540 係合手段
542 押さえ板
544 圧縮バネ
546 保持板
548 軸
550 片端B
552 片端A

Claims (5)

  1. 蒸着パターンに対応した蒸着用開口配列群をもつ複数の蒸着マスクが、複数の開口部を有するベース板に、各蒸着マスクの前記蒸着用開口配列群が前記開口部の上側に位置するように配置されており、かつ前記蒸着マスクは前記ベース板に任意に固定・開放自由な係合手段によって固定されているとともに、前記蒸着マスクを前記ベース板に位置決めするための基準アライメントマークを前記ベース板上に有し、さらに前記任意に固定・開放自由な係合手段は圧縮バネの力で蒸着マスクをベース板に押しつけて摩擦力による保持、固定と、蒸着マスクのベース板への押しつけを解除して蒸着マスクをベース板上を自在に移動させること、とを行えるものであることを特徴とする統合マスク。
  2. 請求項1記載の統合マスクと、蒸着が施される基板を、前記統合マスクの基準アライメントマークを基準にして、蒸着室内で位置決めを行ってから、マスク蒸着により薄膜層をパターニングする工程を有して有機EL素子を製造することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  3. 請求項1に記載の統合マスクと、蒸着を施す基板とを、前記統合マスクの基準アライメントマークを基準にして、位置決めを行ってから、位置決めを完了した統合マスクと基板を蒸着室にいれ、マスク蒸着により薄膜層をパターニングする工程を有して有機EL素子を製造することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  4. 前記薄膜層はR、G、Bの発光層であることを特徴とする請求項2または3記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 請求項1載の統合マスクと、蒸着が施される基板を、前記統合マスクの基準アライメントマークを基準にして、位置決めを行う位置決め装置と、マスク蒸着により薄膜層をパターニングする蒸着装置を有することを特徴とする有機EL素子の製造装置。
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