JP2004055198A - 有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蒸着室を挟んで両側に予備室を配置して、両予備室を用いてマスク交換を行い、マスクとEL基板間の位置合わせには、ボールプランジャとコンタクトホールとからなる位置合わせ手段を用いる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置及び製造方法に関し、特に、蒸着によりエレクトロルミネッセンス素子の層を形成する層形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する発光層、電極層等の諸層は、一般に、マスクを用いた蒸着により形成される。
【0003】
図1に有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の層構成を示し、図2に各層の面上の配置を示す。
【0004】
ガラス等の透明基板1上にITOからなる透明電極2が形成され、透明電極2上に正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5及び電極6が形成される。透明電極2は陽極として用いられ電極6は陰極として用いられる。図示のように正孔輸送層3から電極6までは、R、G、B単位で分割された層として形成される。7は保護層である。
【0005】
図2に示すように、透明電極2に対して、正孔輸送層3から電極6までは直角なストライプ状のR層、G層及びB層が配列され、この配列により発光セルのマトリクスが形成される。
【0006】
制御駆動回路から透明電極2と電極6間に選択的に電圧を印加することにより、正孔輸送層3から正孔が注入されるとともに、電子輸送層5から電子が注入され、発光層4において再結合が生じて発光が起こる。
【0007】
発光層4を構成する材料は赤色発光層と、緑色発光層と、青色発光層とで異なっており、それぞれの層が所望の波長の光を発生する。
【0008】
図1、2に示す有機エレクトロルミネッセンス素子は次のような製造工程により製造される。
【0009】
透明基板1に蒸着により透明電極2を形成したEL基板が予め用意される。
該EL基板に、正孔輸送層3から電極6までの諸層が蒸着により形成されるが、発光層4以外の層はR層、G層、B層が共通の材料からなるので、共通のマスクを用いた蒸着により形成される。これに対して発光層4に関しては、赤色発光層と、緑色発光層と、青色発光層とが異なる材料からなるので、発光層4は赤色発光層用マスク、緑色発光層用マスク及び青色発光層用マスクを用いた3段階の蒸着工程により形成される。
【0010】
マスクの位置設定はμmオーダーの精度を要するので、従来はCCDカメラを用いてEL基板に対するマスク位置を計測し、マスクを設定する等の位置合わせ手段が採られていたが、移動制御手段が複雑になり、従って、効率が良くないとともに、コストが高くなるという問題があった。
【0011】
特開2001−326075号公報では、ガイドピンとガイド孔からなる位置合わせ手段を用いてマスクの位置設定を行うことが開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
EL基板とマスクの位置合わせにはμmオーダーの精度が要求されるが、前記公開公報に開示された位置合わせ手段では、ガイドピンの位置をガイド孔に位置合わせすることが容易でないために、マスクの移動制御が複雑、且つ大規模になり、位置合わせに時間を要するとともに、コストが高くなるという問題がある。更に、前記公開公報には位置合わせのための移動機構は開示されていないが、前記公開公報の位置合わせ手段に従来の移動制御方法を用いた場合には、効率が良くない。
【0013】
本発明は、従来技術におけるこのような問題を解決することを目的とし、高精度の位置合わせを効率よく行うことを可能にした有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の本発明の目的は下記の発明により達成される。
【0015】
1.蒸着室及び該蒸着室を挟んで両側に配置された予備室を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置であって、EL基板を支持する基板支持部材、マスクを支持する可動なマスク支持部材及び該マスク支持部材を前記蒸着室と前記予備室間で移動可能に支持するレールを有し、前記基板支持部材と前記マスク支持部材とに設けた位置合わせ手段により、前記EL基板と前記マスクとを位置合わせした後に、前記EL基板に層形成材料を蒸着させることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置。
【0016】
2.前記位置合わせ手段は、前記基板支持部材又は前記マスク支持部材のいずれか一方に設けられたボールプランジャ及び対向する側に設けられたコンタクトホールからなることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置。
【0017】
3.EL基板を支持する基板支持部材、マスクを支持するマスク支持部材及び前記基板支持部材と前記マスク支持部材とのいずれか一方に設けられたボールプランジャと、対向する側に設けられたコンタクトホールとからなる位置合わせ手段を有し、
該位置合わせ手段により位置合わせされた前記マスク支持部材により支持された前記マスクを介して、前記基板支持部材により支持された前記EL基板に層形成材料を蒸着することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置。
【0018】
4.蒸着室及び該蒸着室を挟んで両側に配置された第1、第2予備室及びこれらの室間を移動可能な第1、第2マスク支持部材を備えた製造装置を用いた、有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造方法であって、 前記第1予備室において、前記第1マスク支持部材に第1マスクを装着した後に前記第1マスク支持部材を前記蒸着室に移動させ、前記第1マスクにEL基板を位置合わせした後に、蒸着を行う第1層形成工程及び、
第2マスクを装着した前記第2マスク支持部材を前記第2予備室から前記蒸着室に移動させ、前記第2マスクに前記EL基板を位置合わせした後に、蒸着を行う第2層形成工程、
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造方法。
【0019】
5.赤色発光層用のマスク、緑色発光層用のマスク及び青色発光層用のマスクを用いて蒸着を行うことを特徴とする前記4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造方法。
【0020】
6.前記マスクは、R層を形成するための開口、G層を形成するための開口及びB層を形成するための開口の少なくともいずれか1種類が他と異なる面積を有することを特徴とする前記5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
図3は本発明の実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造装置の正面から見た概念図、図4は該製造装置の上方から見た概念図である。製造装置は、中央に配置された蒸着室Aと、その両側に配置された予備室B(第1予備室)及び予備室C(第2予備室)とからなる。蒸着室Aは蒸着が行われる部屋であり、蒸着室AにおいてEL基板13とマスク11A又はマスク11Bとの位置合わせが行われ、位置合わせされたEL基板13に対してマスク11A又は11Bをとおして蒸着が行われる。予備室B、Cはマスク11A又は11Bをそれぞれマスク支持部材12A又は12Bに装着する部屋であり、装着されたマスク11A又は11Bは蒸着室Aに運ばれる。
【0022】
蒸着室Aにおいては、マスク支持部材12Aに支持されたマスク11A及び基板支持部材14に支持されたEL基板13に対して蒸着材料が収容された蒸着源10から真空条件下で蒸着が行われ、EL基板13上に所定パターンの層が形成される。即ち、図5に示すようにマスク11の開口Dを通してEL基板13上に蒸着物質が飛着し、層E1が形成される。マスク11を異なるパターンを有するものに変えて蒸着を行うことによりE2、E3のように層が形成されて、図1、2に示すようなR層、G層及びB層がストライプ状に形成される。
【0023】
蒸着される層の厚さはセンサ30で計測監視することにより所望の値に制御される。31はシャッタである。40は図示しないが、ゲートバルブを備え、蒸着室Aと予備室B、Cとを気密に隔離して蒸着室Aにおける蒸着に必要な真空状態を形成することを可能にするとともに、マスク11A、11B及びマスク支持部材12A、12Bを移動するための扉を有する仕切である。
【0024】
図6はEL基板13に対してマスク11を位置合わせする位置合わせ手段を示す。位置合わせ手段はコンタクトホール15とボールプランジャ16からなり、マスク支持部材12にはコンタクトホール15が形成され、基板支持部材14にはボールプランジャ16が設けられる。この逆でもよい。基板支持部材14に対してマスク支持部材12を相対的に移動させることにより、コンタクトホール15にボールプランジャ16が係合して、基板支持部材14に対してマスク支持部材12が正確に位置設定される。周知のように、ブールプランジャ16は弾性的に付勢されており、コンタクトホール15との係合で、μmオーダーの精度の位置合わせが行われる。EL基板13は基板支持部材14に対して、マスク11はマスク支持部材12に対してそれぞれ正確に位置決めされ装着されているので、前記位置合わせ手段により、マスク11はEL基板13に対して正確に位置決めされる。
【0025】
次に、発光層4を構成する赤色発光層の形成を第1蒸着工程とし、発光層4を構成する緑色発光層の形成を第2蒸着工程とする例について説明するが、第1蒸着工程と第2蒸着工程は、これらの工程に限定されず、異なるマスク11を用いて前後して実施される任意の2蒸着工程を言う。
【0026】
図3における蒸着室4内のマスク11Aは前記に説明したようにEL基板13に対して位置設定されている。図示の状態で蒸着に必要な真空状態が形成され、蒸発源10から層形成材料を蒸発させる蒸着が行われる。
【0027】
正孔輸送層3は1回の蒸着工程により形成される。正孔輸送層3を形成し、次に、発光層4を形成する蒸着工程(第1蒸着工程)では、正孔輸送層3の形成用のマスク11がR層、G層及びB層に共通のものであるのに対して発光層4の形成用のマスク11はR層形成用と、G層形成用と、B層形成用とが異なるので、正孔輸送層3の形成後にマスク11Aをマスク11B(第1マスク)に切り換えて蒸着が行われる。
【0028】
モータ50Aによりクランクシャフト19A、アーム18Aを介して保持部材41Aを駆動し、マスク11Aを蒸着室Aから予備室Cに移動させる。そして、モータ50Bで、クランクシャフト19B、アーム18B及び保持部材41Bを駆動しマスク支持部材12B(第1マスク支持部材)を移動させることにより、予備室Bに用意されているマスク11Bを蒸着室Aに移動させる。蒸着室Aにおいて、EL基板13に対して位置合わせされたマスク11Bを用いて蒸着を行うことにより赤色発光層が形成される。赤色発光層の形成が終了したら、予備室Cに用意されている緑色発光層用マスク11(第2マスク)及びマスク支持部材12A(第2マスク支持部材)を蒸着室Aに移動させる。蒸着室Aに設定されたマスク11を用いて蒸着を行い緑色発光層が形成される。このような蒸着工程を繰り返すことにより青色発光層が形成されて、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層からなる発光層4が形成される。
【0029】
電子輸送層5及び電極6の形成には共通のマスク11が用いられ、青色発光層の形成後に、前記に説明したマスク交換を行い、共通のマスク11を用い、蒸発源10を切り換えて蒸着を行うことにより電子輸送層5及び電極6が形成される。
【0030】
なお、基板支持部材14はモータ50Cにより定位置において上下に駆動され、マスク支持部材12との係合、離脱が行われる。EL基板13とマスク11とはモータ50A、50Bを制御して、ボールプランジャ16をコンタクトホール15に係合させることにより正確な位置関係で設定される。
【0031】
前記したように、正孔輸送層3、電子輸送層5及び電極6を形成するためのマスク11はR、G、Bに共通したパターンを有し、発光層4を形成するためのマスク11は、赤色発光層形成用と、緑色発光層形成用と、青色発光層形成用とで異なったパターンを有するが、R光、G光、B光に対する視感度の違いや発光材料の発光効率の違いに対する補正のために、正孔輸送層3、電子輸送層5及び電極6を形成するための共通マスク11並びに発光層4を形成するためのマスク11では、例えば、G用マスクの開口D(図5に示す)の面積を他よりも大きくするように、R用、G用、B用マスクの少なくとも1種類の開口Dの面積を他と異ならせることが望ましい。
【0032】
図7は本発明により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の例を示す。
【0033】
ディスプレイ装置は、マトリク配列された発光セルPXを有する有機エレクトロルミネッセンス素子60、輝度信号回路61及び制御回路62を備え、輝度信号回路61及び制御回路62により時系列に信号電圧を印加し、これら回路と有機エレクトロルミネッセンス素子60間の配線の交差位置において発光セルPXを発光させる。
【0034】
【発明の効果】
請求項1又は4の発明により、蒸着室の両側に配置された予備室を利用して、マスクを用意し、両側の予備室から交互にマスクを交換することにより、効率よく蒸着工程を実施することができる。
【0035】
請求項2又は3の発明により、EL基板とマスクの位置合わせがマスクの簡単な移動制御により高い精度で行われる。従って、低いコストで高精度の加工を可能とする製造設備が実現される。
【0036】
請求項5の発明により、有機エレクトロルミネッセンス素子を有するフルカラーディスプレイ装置の製造が可能になる。
【0037】
請求項6の発明により、色バランスの良好なディスプレイ装置の製造が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成を示す図である。
【図2】有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する各層の面上の配置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置の正面から見た概念図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置の上方から見た概念図である。
【図5】蒸着工程を説明する図である。
【図6】EL基板に対してマスクを位置合わせする位置合わせ手段を示す図である。
【図7】本発明により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の例を示す図である。
【符号の説明】
10 蒸発源
11 マスク
12 マスク支持部材
13 EL基板
14 基板支持部材
15 コンタクトホール
16 ボールプランジャ
17 レール
18A、18B アーム
19A、19B クランクシャフト
30 センサ
40 仕切
41A、41B 保持部材
50A、50B、50C モータ
Claims (6)
- 蒸着室及び該蒸着室を挟んで両側に配置された予備室を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置であって、EL基板を支持する基板支持部材、マスクを支持する可動なマスク支持部材及び該マスク支持部材を前記蒸着室と前記予備室間で移動可能に支持するレールを有し、前記基板支持部材と前記マスク支持部材とに設けた位置合わせ手段により、前記EL基板と前記マスクとを位置合わせした後に、前記EL基板に層形成材料を蒸着させることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置。
- 前記位置合わせ手段は、前記基板支持部材又は前記マスク支持部材のいずれか一方に設けられたボールプランジャ及び対向する側に設けられたコンタクトホールからなることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置。
- EL基板を支持する基板支持部材、マスクを支持するマスク支持部材及び前記基板支持部材と前記マスク支持部材とのいずれか一方に設けられたボールプランジャと、対向する側に設けられたコンタクトホールとからなる位置合わせ手段を有し、
該位置合わせ手段により位置合わせされた前記マスク支持部材により支持された前記マスクを介して、前記基板支持部材により支持された前記EL基板に層形成材料を蒸着することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造装置。 - 蒸着室及び該蒸着室を挟んで両側に配置された第1、第2予備室及びこれらの室間を移動可能な第1、第2マスク支持部材を備えた製造装置を用いた、有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造方法であって、
前記第1予備室において、前記第1マスク支持部材に第1マスクを装着した後に前記第1マスク支持部材を前記蒸着室に移動させ、前記第1マスクにEL基板を位置合わせした後に、蒸着を行う第1層形成工程及び、
第2マスクを装着した前記第2マスク支持部材を前記第2予備室から前記蒸着室に移動させ、前記第2マスクに前記EL基板を位置合わせした後に、蒸着を行う第2層形成工程、
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造方法。 - 赤色発光層用のマスク、緑色発光層用のマスク及び青色発光層用のマスクを用いて蒸着を行うことを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造方法。
- 前記マスクは、R層を形成するための開口、G層を形成するための開口及びB層を形成するための開口の少なくともいずれか1種類が他と異なる面積を有することを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有するディスプレイ装置の製造方法。
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