JP4367018B2 - 統合マスクの組立装置と組立方法。 - Google Patents

統合マスクの組立装置と組立方法。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機、時計などの分野に利用可能な、電気エネルギーを光に変換できる有機EL素子(有機電界発光装置)を製造するために好適に用いられる蒸着マスク、およびその組立装置と組立方法、並びにそれを用いた有機EL素子の製造装置と製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、陰極から注入する電子と、陽極から注入する正孔とを、両極にはさまれた有機蛍光体内で再結合させて発光させる原理のものである。構造が簡素で、低電圧での高輝度多色発光が可能なので、薄型の小型ディスプレイとして活用されはじめている。
【0003】
有機EL素子を用いてフルカラーの表示パネルを作製するためには、構成要素となる赤(R)、緑(G)、青(B)の発光層や、第1電極(例えばITO)や第2電極(例えば金属)などの薄膜層を、基板上に所定パターンとピッチで規則正しく配列することが必要とされる。
【0004】
有機化合物からなる発光層を高精度の微細パターンに形成するためには、発光層の所定パターンに対応した開口配列を有するマスクを用いて、真空下で蒸着するマスク蒸着法が利用される。マスク蒸着法は基板ごとのバッチ処理である。現在の有機EL素子は小型用途が多いので、有機EL素子製造の生産性を向上させるためには、1枚の大きな基板に多数の有機EL素子を形成する、いわゆる多面取りの方法が用いられる。
【0005】
多面取りのためには、1個の有機EL素子の大きさに対応した開口配列部分を多数有している蒸着用マスクを作成することが必要となる。しかしながらこのような蒸着マスクは大型化し、製作ならびに使用時に大きく変形して開口配列の寸法精度を高精度に維持できない。この問題を解決するために、特開2000−113978号公報では、1個の有機EL素子に応じた開口配列を有する1つの蒸着用マスクを多数配列する統合マスク(寄せ合わせ型蒸着マスク)が提案されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
統合マスクでは、多面取りに対応して数多くある個々の蒸着マスクの位置を、所定位置に精度よく位置決めすることが必須となる。しかしながら、従来はその具体的な手段は得られていなかった。
【0007】
本発明の目的は、有機EL素子等に応じた開口配列を有する蒸着マスクを多数配列する統合マスクを実用に供するための具体的な構成を提示するとともに、統合マスクにおいて、多数の蒸着マスクを高い精度で所定位置に位置決めして、統合マスクに組み立てる手段を提供することである
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基本的には、以下の構成により達成される。
【0009】
蒸着パターンに対応した蒸着用開口配列群をもつ複数の蒸着マスクを、ベース板上に係合手段によって配置、固定して構成される統合マスクの組立装置であって、
ベース板を保持するテーブルと、
ベース板の、もしくは選ばれた蒸着マスクの基準マーク(統合マスクの基準マーク)を検知して、テーブルの基準移動軸に対する統合マスクの基準マークの設定位置からのずれ量を計測する計測手段と、
前記ずれ量に応じて統合マスクの基準マークの前記基準移動軸に対する相対位置を補正する補正機構と、
統合マスクの基準マークと蒸着マスクの基準マークを検知して、蒸着マスク保持移動機構を用いて統合マスクの基準マークと蒸着マスクの相対位置決めを行う位置決め機構と、
ベース板と蒸着マスクとの係合を操作する係合操作手段とを備えることを特徴とする統合マスクの組立装置。
【0010】
又は、基本的には、前記装置により遂行される工程を含むことを特徴とする統合マスクの組立方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、上記発明の好ましい一実施形態を図面に基づいて説明するがこれに限定されるものではない。
【0012】
図1は本発明の統合マスクの一態様を示す全体概略斜視図、図2は図1の統合マスクを各要素ごとに分解した斜視図、図3は統合マスクの別の態様を示す全体概略斜視図、図4は図3の統合マスクを各要素ごとに分解した斜視図である。
【0013】
図1および図2に図示された例を参照すると、統合マスク1は、4つの蒸着マスク20をベース板2に、係合手段40で固定して構成されている。
【0014】
蒸着マスク20は、蒸着パターンに応じて蒸着用開口32を配置した開口部30を有するマスクプレート22を、フレーム24に固定して構成される。フレーム24の破線の内側は開口としており、蒸着マスク20の開口部30の直下には遮蔽物は存在しない構造となっている。また、蒸着マスク20が配置されるベース板2の場所には、図2に示すように開口部30の占有面積よりも広く、かつ開口部30がその中に含まれることができる形状である開口10が設けられている。なお、蒸着用開口32の形状は長方形や円形の穴を多数ならべる等、蒸着パターンにしたがって形成する。ここで、開口10は開口部30よりも、面積で好ましくは5〜500%、より好ましくは10〜100%大きくする。
【0015】
各蒸着マスク20は、ベース板2の突起部4の上面8に設けられた基準マーク6を統合マスクの基準マークとして、これを基準にして、蒸着マスク20の所定の蒸着用開口32が定めた位置になるように位置決めされる。尚、本発明において、基準マークとは、ベース板や蒸着マスクの位置や方向(角度)を検出するための目印となる光学的手段などにて検出可能な形態上の特徴である。図1等では、当該対象物(ベース板や蒸着マスク)表面に十字印を描いて、基準マークとしているが、何等これに限定されるものではなく、対象物のそのままの外見的特徴自体を基準マークとして、これを人間の目やパターン認識などで判別しても良い。よって、蒸着マスクに関しても、蒸着用開口32の位置を直接検知して、ベース板2上の基準マーク6との相対位置合わせを行ってもよいし、各蒸着マスク20のマスクプレート22に基準マーク26を設け、これをベース板2の基準マーク6を基準にして位置合わせしてもよい。ベース板側の基準マーク6が設けられている突起部4の上面8と、蒸着用マスク20のマスクプレート22のベース板2からの高さとを概略等しくすると、カメラによる位置検知が同じ焦点距離で行えるので、好ましい。
【0016】
図1に図示した本統合マスクはベース板2の突起部4に基準マーク6を有する例である。突起部4には基準マーク6とは別に基板用基準マークを設けて、蒸着時に基板と統合マスクとの位置合わせに利用することができる。マスクプレートに比べて厚く、堅牢な突起部に基板用基準マークを、基準マークと相対位置を高精度にあわせて形成できるので、統合マスクと基板とを高精度に位置合わせすることが可能になる。基準マーク6そのものを基板との位置合わせに利用してもよい。
【0017】
ベース板2上の基準マーク6は必須ではなく、後述のように選ばれたある蒸着マスク(基準蒸着マスク)の基準マーク26を統合マスクの基準マークとして、これを基準にして他の蒸着マスクの相対位置合わせを行うことが可能である。この場合には突起部4そのものを不要にすることができる。
【0018】
また、前記任意に固定・開放自由な係合手段は、外力等が付加されることで開放自由となるものであることが好ましい。例えばバネ等の弾性体とその力を伝達する部材を組み合わせて係合手段を構成し、外力が働かない時にはバネ等の力によって蒸着マスクが固定され、外力が付加されるとその力の伝達が解除されるようにすることが好ましい。或いは前記外力以外に、電気、磁気、熱、光等により開放自由となるものであっても良い。図1、2に図示した例では、係合手段40は、押さえ板42、圧縮バネ44、支点46より構成されており、押さえ板42はベース板2の表側で圧縮バネ44と支点46によってベース板2に固定されている。圧縮バネ44の力が支点46を介することで、押さえ板42がフレーム24の耳部28を押さえつける。これにより、蒸着用マスク20をベース板2に一定力で押さえつけて、摩擦力で動かないように固定する。押さえ板42のバネ結合部を上側から押すと、圧縮バネ44が縮み、押さえ板42と耳部28の間にすきまが生じる。これにより、蒸着用マスク20のベース板2への押しつけが開放されて、蒸着用マスク20はベース板2上を移動できるようになる。なお、蒸着マスクをベース板から完全に解放するためには、さらに、蒸着マスクを右(又は左)に少しスライドさせて、奥側(又は手前側)の耳部28が押さえ板42の右(又は左)端から顔を出るように、手前側(又は奥側)耳部28は押さえ板42のコの字に切り欠いた部分から顔を出すようにした後、垂直に引き上げれば良い。ベース板に蒸着マスクを取り付ける際は、これとは逆の手順に従えばよい。固定力が解除されている間に蒸着マスク20を移動させて、ベース板2上への位置決めを行う。これが完了したら、押さえ板42への押しつけを解除し、係合手段40のバネ力により蒸着マスク20をベース板2に押さえつけて、固定する。
【0019】
上記とは別の係合手段を用いた統合マスクの例を図3および図4に示す。
【0020】
図3に示した統合マスク101は、4つの蒸着マスク120をベース板102に、係合手段140で固定して構成されている。係合手段140は、押さえ棒142、圧縮バネ144、留め金146より構成されている。押さえ棒142を蒸着用マスク120の穴128とベース板102の取付け穴118を通し、ベース板102の裏面で圧縮バネ144を取り付けてから、留め金146を装着して、押さえ棒142が抜けないようにする。尚、前記押さえ棒142に留め金146を装着する手段は、前記圧縮バネの伸長力や統合マスクを取り扱いする際の振動などにより脱落しない程度の固定力を有し、必要に応じて脱着が容易であるならば、特に限定されるものではなく、好適な例としてはネジ止め式や磁力方式あるいは弾性を利用した挟持方式などが挙げられる。これにより、圧縮バネ144の力で蒸着用マスク120をベース板102に一定力で押さえつけて、摩擦力で動かないように固定する。下側から留め金146を押すと圧縮バネ144が縮み、押さえ棒142の上側にある頭部と蒸着用マスク120の間にすきまが生じる。これにより、蒸着用マスク120のベース板102への押しつけが開放されて、蒸着用マスク120はベース板102上を、押さえ棒142と蒸着用マスク120の穴128との遊び(寸法差)の範囲内で、自在に移動できるようになる。固定力が解除されている間に蒸着マスク120を移動させて、ベース板102上への位置決めを行う。これが完了したら、留め金146への押しつけを解除し、係合手段140のバネ力により蒸着マスク120をベース板102に押さえつけて、固定する。
【0021】
図3、4に図示した本統合マスクはベース板102上に基準マークが設けられていない例である。
【0022】
蒸着マスク120のマスクプレート122には基準マーク126とは別に基板用基準マークを設けて、蒸着時に基板と統合マスクとの位置合わせに利用することができる。図1および図2の例で示した突起部4が不要にできるので、統合マスクの構造をシンプルにできる。基準マーク126そのものを基板との位置合わせに利用してもよい。図1および図2の例と同様に、突起部を設けてその上に基準マークを設けることもできる。
【0023】
図1〜図4で例示した統合マスクにおいて、係合手段が蒸着マスクをベース板に固定する際に働く力の主方向が、ベース板に対する垂直線から±30°以内、より好ましくは±5°以内の範囲となるように、構成する各手段の構造を定める。上記の力の主方向が上記の範囲外にあると、蒸着マスクがベース板に位置決めされた位置からずれることがある。
【0024】
係合手段は、図3、4で図示した例のように、係合操作手段による解放時に完全に自在の動かせるようにならなくても良い。又、係合手段による固定が必要なのは、蒸着マスクを位置決めしてから、蒸着マスクを用いた蒸着が終了するまでの間だけである。よって、蒸着マスクの位置決め前ならば、完全に固定されていなくても、精々統合マスクのハンドリングにおいて、脱落などしなければ十分である。或いは、ベース板が組立装置に移相された際には、未だ、蒸着マスクが実装されていなくても良い。即ち、ベース板の位置補正後、蒸着マスクが別途搬送されてきて、蒸着マスクの位置決めまでにベース板に載せられるか、位置決めしながらベース板に載せられるという方式を用いても良い。
【0025】
本発明においては、各蒸着マスクの位置決めの前に、一旦、ベース板全体で位置決めをするため、各蒸着マスクの位置決めが迅速かつ正確に処理が可能となり、又、各蒸着マスクの補正幅は少なくて済む。よって、前記補正するための各蒸着マスクをベースに固定する際の遊びが少なくても良いので、精度が高くかつ蒸着マスクやベースの破損や変形が少なくなる。前記遊びについては、X−Y水平方向では、好ましくは1000(より好ましくは500、更に好ましくは200)μm以下であり、角度では、好ましくは0.6(より好ましくは0.3、更に好ましくは0.2)°以下である。
【0026】
統合マスクの材質にはいかなるものを用いてもよい。有機EL素子を製造するときの蒸着源からの放射熱によってマスク周辺の温度が上昇し、統合マスクの寸法が変化して薄膜層のパターン精度が変化することを配慮すれば、統合マスクを構成する部材、すなわちベース板やマスクプレート、フレームなどは、熱膨張係数が小さい材料からなることが好ましい。熱膨張係数の値は1×10-5以下、さらには0.7×10-5以下、さらには0.4×10-5以下であることが好ましい。この条件を満たす材料にはインバー合金やモリブデン、チタン、コバール合金、ガラス、セラミックなどがある。入手の容易さと強度の点からはインバー合金やコバール合金がより好ましく用いられる。製造開始から時間がたって構成部材の温度が上昇するときに、低熱膨張係数材料を使用する効果が特に発現する。
【0027】
ベース板の突起部はベース板と同一材料から一体形成されてもよいし、ベース板と突起部を独立に作製して合体させてもよい。後者の場合は突起部も上記の熱膨張係数の範囲にある材料からなることが好ましい。
【0028】
熱膨張係数は、長さL0の部材をT℃だけ温度を上昇させた時の長さLを測定し、(L−L0)/L0/Tで算出される。単位は℃-1である。熱膨張係数に変化温度と部材の長さを掛け合わせれば、その温度変化が生じた場合の部材の伸縮量が求められる。
【0029】
統合マスクを構成する蒸着マスクのマスクプレートの厚さは、マスク部分の幅の最小値の3倍以下、さらに2倍以下であることが好ましい。具体的な厚さとしては、500μm以下、さらに100μm以下、さらに50μm以下であることが好ましい。マスクプレートには、開口を横切る向きに補強線を設けたものを用いるのが好ましい。これによって、マスクプレートの開口ピッチが小さくてマスクプレート単体では剛性が不足し、たわみによる開口の変形が発生することを防止することができる。
【0030】
マスクプレートは電鋳法やエッチング法、機械的研磨法、サンドブラスト法、焼結法、レーザー加工法などいかなる方法で作製してもよい。微細な開口を容易に製作できる点からは電鋳法やエッチング法を用いることが好ましい。これらの手法により作製されたマスクプレートに張力を加えた状態でフレームに固定すると、高い平面性が維持された蒸着マスクが得られる。固定手段は特に限定されないが、接着剤を用いるのが簡便で、好ましい。マスクプレートは適切な張力でフレームに固定されている時にのみ、マスクプレート自身の温度変化による伸縮を吸収できるので、熱膨張係数は1×10-5をこえることも許される。しかし、フレーム、ベース板にはそのような熱収縮の吸収メカニズムがないので、その熱膨張係数は1×10-5以下であることが好ましい。
【0031】
マスクプレートの材質としては、ステンレス鋼、銅合金、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属系材料、各種樹脂系材料が用いられるが、Ni合金等の磁性材料を使用することが好ましい。これはマスクプレートと基板との密着性を磁力により向上させて、より精度の高いパターン蒸着ができるからである。
【0032】
統合マスクにおける各蒸着マスクの配置は、隣り合う蒸着マスク間にできる最大間隔が10mm以下、より好ましくは5mm以下、3mm以下となるようにする。最大隙間は次のように定義される。まず、対象とする隙間は、ベース板面上で2つの隣り合う蒸着マスク間に作られる隙間とする。そしてその隙間を全て含むようにして、2本の平行線を配置する。この2本の平行線の間隔を、2つの隣り合う蒸着マスク間の隙間を全て含めることができる最小のものとし、そのときの2本の平行線の間隔を最大隙間とする。この蒸着マスク間の最大隙間が小さいほど、蒸着の無効スペースが小さくなり、同じ数の有機EL素子を得るために必要な1枚の基板の大きさが小さくて済む。この結果、基板のコストだけでなく、蒸着装置サイズの縮小による装置コストを低減することが可能となる。品質的には、薄膜層の膜厚ムラも小さくできる。隣り合う蒸着マスク間に隙間ができる全ての場所で、最大隙間を10mm以下とすることが好ましい。しかしながら、例えば図1に示す統合マスク1では、上下方向に隣り合う蒸着マスクの間に耳部28と係合手段40があるので、最大間隙を10mm以下にするのは難しい。このような場合は、左右方向に隣り合う蒸着マスク間の最大隙間だけを10mm以下としてもよい。
【0033】
蒸着物がある入射角度をもつことによって発生する蒸着影による蒸着無効スペースも小さくするために、蒸着マスクのフレームやマスクプレートの開口の断面をテーパー形状にすることが好ましい。
【0034】
図5は、本発明の統合マスクの組立装置の一態様を示す正面断面図、図10は本発明の統合マスクの組立装置の別の態様を示す正面断面図である。
【0035】
図5に示した統合マスクの組立装置201では、架台260上に設置されている下部X−Y−θテーブル202のテーブル204上に統合マスク1が載置・保持される。下部X−Y−θテーブル202はテーブル204を、下部Y軸ガイド206と下部Y軸レール208によりY方向(紙面に垂直な方向)に、下部X軸ガイド210と下部X軸レール212によりX方向(紙面の左右方向)に移動可能とするので、テーブル204上の統合マスク1を水平面内で自在に移動させることができる。X方向とY方向は直交していることが好ましい。下部回転テーブル218はテーブル204をθ方向(水平面内での回転方向)に回転可能とするものであり、テーブル204のY方向(基準移動軸)に対して、ベース板2の2つの基準マーク6を結ぶ直線が平行となるようにベース板2の位置を補正する補正機能にあたる。下部X軸レール212は架台260に固定されている。ベース板2はピン214によってテーブル204の上に保持される。
【0036】
フレーム250には、突き出し板282とエアーシリンダー284よりなる開放手段280が固定されている。開放手段280のエアーシリンダー284を駆動して突き出し板282を下降させ、係合手段40の押さえ板42のバネ結合部を上側から押すと、圧縮バネ44が縮み、押さえ板42と耳部28の間にすきまが生じ、押しつけが解除されるので、蒸着マスク20をベース板2上で自在に移動させる準備が可能となる。
【0037】
統合マスク1の直上には、統合マスク1の蒸着マスク20を保持、移動させる保持ユニット230が配置されている。保持ユニット230は、蒸着マスク20を側面から挟み込んで保持する把持ピン232と、把持ピン232に水平面内での回転と、X、Y方向への自在な移動を与える上部回転テーブル234と上部X−Yテーブル236から構成されている。上部回転テーブル234は上部X−Yテーブル236に、上部X−Yテーブル236は上部Y軸レール244を介して保持ユニット支持台286に、それぞれ固定されている。上部X−Yテーブル236は、上部回転テーブル234に取り付けられている上部X軸ガイド238と上部X軸レール240によってX方向に、上部X軸レール240に接続する上部y軸ガイド242と上部Y軸レール244によってY方向に案内される。保持ユニット230は保持ユニット支持台286とエアーシリンダー288を介してフレーム250に固定されている。
【0038】
上部回転テーブル234はモータ246で駆動されて水平面内で回転するとともに、その中央部に上下方向に導通している円形の開口216を有する。この開口216とその直上にあるフレーム250の上下方向に導通した開口252を利用して、フレーム250の上部に微調整装置272A、Bを介して取り付けられた2つのカメラ270A、Bで、ベース板2や蒸着マスク20の基準マーク26の位置を検知する。微調整装置272A、Bは、カメラ270A、Bの水平、上下方向の位置微調整を自在に行うことができる。
【0039】
統合マスクの組立装置201を使用した統合マスク1の組み立て方法を以下に説明する。統合マスク1のベース板2の所定位置に各蒸着マスク20を配置し、係合手段40を組み込んで、粗い位置合わせを行う。この下準備を終えたものを組立装置201のテーブル204にのせて固定する。ベース板2に設けられた穴にテーブル204のピン214を挿入する。適切な手段によってベース板2をテーブル204に押さえつけることで両者を固定してもよい。
【0040】
ベース板2に設けられている2つの基準マーク6の位置が2つのカメラ270A、Bの真下にくるようにテーブル204を移動させる。図5では理解を助けるために2つのカメラがX方向に並んでいるが、実際にはY方向に基準マークと同間隔で並んでいる。この位置で、ベース板2の2つの基準マーク6がそれぞれ2つのカメラ270A、Bで検出されるように、微調整装置272A、Bを使って、カメラ270A、Bを各々水平面内で移動させる。
【0041】
補正工程は以下のとおり実施する。まず、カメラ270Aにて基準マーク6の片方の位置を検出する。次に、テーブル204に保持された統合マスク1(図5、10の例では、特に断らない限り、原則として、統合マスクの組立が終了するまでベース板乃至は統合マスクはテーブルに固定されたままなので、テーブルを動かすことはベース板乃至は統合マスクを動かすことと実質上同義である)をY方向に移動させて、カメラ270Aにて基準マーク6のもう片方を検出する。同じカメラ270Aを用いて検出した2つの基準マーク6のX方向のずれ量を計測することで、図6に示すように、テーブル204のY方向(基準移動軸)とベース板2の2つの基準マーク6を結ぶ直線とのなす角度θcを計算する。そして、回転テーブル218を回転させることで、テーブル204およびベース板2を回転させ、前記θcがゼロに近づくように補正する。必要に応じて、上記のずれ量の計測と補正を繰り返すことで、θcを所望の値まで減少させる。この補正工程により、図7に示すように、テーブル204のY方向(基準移動軸)とベース板2の2つの基準マーク6を結ぶ直線とが平行になるように基準マーク6の相対位置を補正する。突起部4に基準マーク6とは別に基板用基準マークが設けられている場合には、両者のうちマーク間距離の大きい方を検知して角度θc(ずれ量)を計算する方が、より高精度の補正が可能となるので好ましい。
【0042】
補正後の基準マーク6の位置を基準位置Cとする。基準位置Cでは、2つの基準マーク6がそれぞれ2つのカメラ270A、Bの中央位置(画面の十字線の交点)に合致するように、微調整装置272A、Bを使って、カメラ270A、Bを各々水平面内で移動させる。もしくは、カメラ270A、Bの視野内(画面上)での基準マーク6の位置を、画面の十字線を移動させるなどの適切な手段で記憶させてもよい。
【0043】
2つのカメラ270A、Bの位置調整が終了したら、基準位置Cを基点として、統合マスク1の1つの蒸着マスク20の基準マーク26があるべき位置にX−Y−θテーブル202を駆動して、統合マスク1を移動させる。移動した場所で2つのカメラ270A、Bによって、蒸着マスク20の基準マーク26を検知する。検知した基準マーク26が2つのカメラ270A、Bの中央位置もしくは記憶位置(画面の十字線の交点)になければ、保持ユニット230全体を下降させ、把持ピン232で蒸着マスク20を適切な手段により側面から挟み込んで保持する。次に、開放手段280を下降させ、統合マスク1の係合手段40の押さえ板42のバネ結合部を圧縮バネ44の反力に抗して上側から押す。これによって蒸着マスク20のベース板2への固定は解除される。
【0044】
この状態で、基準マーク26が2つのカメラ270A、Bの中央位置もしくは記憶位置(十字線の交点)に来るように、上部回転テーブル234と上部X−Yテーブル236を駆動して、回転と水平移動により蒸着マスク20をベース板2上で移動させる。カメラ270A、Bにより、基準マーク26が所定位置に位置決めできているのを確認できたら、開放手段280を上昇させて、押さえ板282を押さえ板42から離して、蒸着マスク20をベース板2に固定する。そして、把持ピン232による蒸着マスク20の保持を解除してから、保持ユニット230全体を上昇させ、保持ピン232と蒸着マスク20を離接させる。次の位置決めすべき蒸着マスク20について、上記の同じ位置決め作業をくり返す。
【0045】
上記補正工程の効果を以下に説明する。図6はベース板2に対して突起部4が斜めに取り付けられた様子を誇張して表現したものであり、これは補正工程が必要となる主な原因の一例である。補正工程を実施しないまま、図6の状態で蒸着マスク20を位置決めした統合マスクを模式的に図8に示す。各蒸着マスク20の基準マーク26の位置は、ベース板2の基準マーク6の位置をテーブルのX、Y方向に所定量だけ平行移動させた位置になるので、蒸着マスク20の2つの基準マーク26を結ぶ直線も、テーブル204のY方向(基準移動軸)に対して角度θcだけ傾くことになる。従って、蒸着マスク20の基準マーク26は点線で示される設定位置から外れることになる。一方、補正工程を実施した後の図7の状態から、蒸着マスクを位置決めした統合マスクを模式的に図9に示す。蒸着マスク20の2つの基準マーク26を結ぶ直線とテーブル204のY方向が平行なので、各蒸着マスク20の相対位置を設定位置に位置決めできる。
【0046】
上記の補正工程はテーブル204とベース板2の相対位置を保ったまま両者を回転させる方法なので、補正工程をシンプルにできる。補正工程は本方法に限定されるわけではなく、テーブル204の基準移動軸に対してベース板の基準マークを相対移動させてもよい。例えば、テーブル204を回転させることなく、テーブル204に対してベース板2を適切な方法で相対移動(回転)させることで補正を行うこともできる。ベース板2に設けられた穴と支持板204のピン214との遊び量を大きくしておけば、比較的容易な手段でベース板2の相対移動が可能となる。テーブル204に対してベース板2を相対移動(回転)させる機構が新たに必要となるが、組立装置201の回転テーブル218が不要になるので、組立装置201の構造をシンプルにでき、その機械精度が向上する。ベース板2と突起部4とを独立に作製して固定するタイプの統合マスクでは、ベース板に対して突起部を適切な方法で相対移動させることで補正を行うこともできる。本方法でも突起部を相対移動させる機構が新たに必要となるが、前記方法と同様に回転テーブル218が不要になるので、組立装置の構造をシンプルにでき、その機械精度が向上する。ベース板2の基準マーク6を実際に相対移動させるのではなく、ベース板2の基準マーク6があるべき設定位置を計算して、その位置を仮想基準マークとして想定して補正を行うこともできる。ソフト的な対応のみで達成可能なので、組立装置201の構造をシンプルにでき、その機械精度が向上する。
【0047】
補正機構は組立装置に組み込まれている必要はない。例えば、上記に例示したベース板2と突起部4とを独立に作製して固定するタイプの統合マスクにて、ベース板2に対して突起部4を相対移動させることで補正を行う場合には、ベース板2を別の治具に載置して、組立装置201にて計測した相対移動必要量に基づいてベース板2に対して突起部4を相対移動させ、その後に組立装置201のテーブル204にベース板を再び載置することができる。ベース板2を組立装置201に載置した際に、テーブル204の基準移動軸に対してベース板2の基準マーク6が設定位置の許容範囲内になるように、あらかじめベース板2に対する突起部4の相対位置を適切な手段・装置を用いて補正しておいてもよい。この場合には、本発明の補正工程を、基準マーク6が設定位置の許容範囲内にあるかどうかのチェック工程として機能させることができる。
【0048】
次に図10を参照して、本発明の別の実施例である統合マスクの組立装置301について説明する。
【0049】
図10の統合マスクの組立装置301では、架台360上に設置されている下部X−Yテーブル302のテーブル304上に統合マスク101が載置・保持される。下部X−Yテーブル302はテーブル304を、下部Y軸ガイド306と下部Y軸レール308によりY方向(紙面に垂直な方向)に、下部X軸ガイド310と下部X軸レール312によりX方向(紙面の左右方向)に、移動可能とするので、テーブル304上の統合マスク101を水平面内で自在に移動させることができる。下部X軸レール312は、昇降ユニット362を介して架台360に固定されているので、テーブル304は上下方向に昇降も自在に行える。テーブル304は統合マスク101のベース板102の周囲のみ保持し、中央部分は開口314となっている。テーブル304のベース板102を保持する部分には複数個の吸着穴が設けられて、ベース板102をテーブル304に吸着保持できる。開口314は統合マスク101の直下となり、ここに突き出し板382とエアーシリンダー384よりなる開放手段380が収納されるように、架台360上に配置されている。開放手段380のエアーシリンダー384を駆動して突き出し板382を上昇させ、係合手段140の留め金146を突き上げれば、押さえ棒142が統合マスク101の蒸着マスク120から離れ、押しつけが解除されるので、蒸着マスク120をベース板102上で自在に移動させる準備が可能となる。
【0050】
統合マスク101の直上には、統合マスク101の蒸着マスク120を保持、移動させる保持ユニット330が配置されている。保持ユニット330は、蒸着マスク120を吸着保持する吸着パッド332と、吸着パッド332に水平面内での回転とX、Y方向への自在な移動を与える、上部回転テーブル334と上部X−Yテーブル336から構成されている。上部回転テーブル334は上部X−Yテーブル336に、上部X−Yテーブル336は上部Y軸レール344を介してフレーム350に、それぞれ固定されている。上部X−Yテーブル336は、上部回転テーブル334に取り付けられている上部X軸ガイド338と上部X軸レール340によってX方向に、上部X軸レール340に接続する上部Y軸ガイド342と上部Y軸レール344によってY方向に案内される。
【0051】
上部回転テーブル334は中央部に上下方向に導通している円形の開口316を有し、モータ346で駆動されて水平面内で回転する。この開口316とその直上にあるフレーム350の上下方向に導通している開口352を利用して、フレーム350の上部に微調整装置372A、Bを介して取り付けられた2つのカメラ370A、Bで、蒸着マスク120の基準マーク126の位置を検知する。微調整装置372A、Bは、カメラ370A、Bの水平、上下方向の位置微調整を自在に行うことができる。
【0052】
統合マスクの組立装置301を使用した統合マスク101の組立方法を以下に説明する。統合マスク101のベース板102の所定位置に少なくとも1つの蒸着マスクを配置してそこから選ばれた蒸着マスクを基準蒸着マスク120として、係合手段140による固定を行い、粗い位置合わせを行う。この段階で配置するのは基準蒸着マスク1つのみでもよいが、通常は位置決めを行う全ての蒸着マスクを配置しておく。この下準備を終えたものを組立装置301のテーブル304にのせて吸着固定する。
【0053】
基準蒸着マスク120に設けられている2つの基準マーク126の位置が2つのカメラ370A、Bの真下にくるように、下部X−Yテーブル302を移動させる。図10では理解を助けるために2つのカメラがX方向に並んでいるが、実際にはY方向に基準マークと同間隔で並んでいる。この位置で、基準蒸着マスク120の2つの基準マーク126がそれぞれ2つのカメラ370A、Bで検出されるように、微調整装置372A、Bを使って、カメラ370A、Bを各々水平面内で移動させる。
【0054】
補正工程は以下のとおり実施する。まず、カメラ370Aにて基準マーク126の片方の位置を検出する。次に、テーブル304に保持された統合マスク101をY方向に移動させて、カメラ370Aにて基準マーク126のもう片方を検出する。同じカメラ370Aを用いて検出した2つの基準マーク126のX方向のずれ量を計測することで、テーブル304のY方向(基準移動軸)と基準蒸着マスク120の2つの基準マーク126を結ぶ直線とのなす角度θcを計算する。昇降ユニット362を駆動して下部X−Yテーブル302を上昇させ、基準蒸着マスク120を保持ユニット330の吸着パッド332に接触させる。続いて、吸着パッド332に真空ポンプより吸引を行って基準蒸着マスク120を吸着保持した後に、開放手段380を上昇させて、押さえ板382で統合マスク101の係合手段140の留め金146を圧縮バネ144の反力に抗して突き上げる。これによって基準蒸着マスク120のベース板102への固定は解除される。
【0055】
この状態で上部回転テーブル334を回転させることで、基準蒸着マスク120をベース板102上で相対的に回転させ、前記θcがゼロに近づくように補正する。その後、開放手段380を下降させて、押さえ板382を留め金146から離して、基準蒸着マスク120をベース板102に固定する。吸着パッド332の吸着を停止してから、昇降ユニット362を下側に駆動して下部X−Yテーブル302を下降させ、吸着パッド332と基準蒸着マスク120を離接させる。必要に応じて、上記のずれ量の計測と補正を繰り返すことで、θcを所望の値まで減少させる。本補正工程により、テーブル304のY方向(基準移動軸)と基準蒸着マスク120の2つの基準マーク126を結ぶ直線とが平行になるように基準マーク126の相対位置を補正する。
【0056】
補正後の基準マーク126の位置を基準位置Dとする。基準位置Dでは、2つの基準マーク126がそれぞれ2つのカメラ370A、Bの中央位置(画面の十字線の交点)に合致するように、微調整装置372A、Bを使って、カメラ370A、Bを各々水平面内で移動させる。もしくは、カメラ370A、Bの視野内(画面上)での基準マーク126の位置を、画面の十字線を移動させるなどの適切な手段で記憶させてもよい。
【0057】
2つのカメラ370A、Bの位置調整が終了したら、基準位置Dを基点として、統合マスク101の基準蒸着マスク以外の1つの蒸着マスク120の基準マーク126があるべき位置に上部X−Yテーブル302を駆動して、統合マスク101を移動させる。移動した場所で2つのカメラ370A、Bによって、蒸着マスク120の基準マーク126を検知する。検知した基準マーク126が2つのカメラ370A、Bの中央位置もしくは記憶位置(画面の十字線の交点)になければ、X−Yテーブル302を上昇させ、蒸着マスク120を保持ユニット330の吸着パッド332に接触させる。続いて、吸着パッド332に真空ポンプより吸引を行って蒸着マスク120を吸着保持した後に、開放手段380を上昇させて、押さえ板382で統合マスク101の係合手段140の留め金146を圧縮バネ144の反力に抗して突き上げる。これによって蒸着マスク120のベース板102への固定は解除される。
【0058】
この状態で、基準マーク126が2つのカメラ370A、Bの中央位置もしくは記憶位置(十字線の交点)に来るように、上部回転テーブル334と上部X−Yテーブル336を駆動して、回転と水平移動により蒸着マスク120をベース板102上で移動させる。カメラ370A、Bにより、基準マーク126が所定位置に位置決めできているのを確認できたら、開放手段380を下降させて、押さえ板382を留め金146から離して、蒸着マスク120をベース板102に固定する。そして、吸着パッド332の吸着を停止してから、X−Yテーブル302を下降させ、吸着パッド332と蒸着マスク120を離接させる。次の位置決めすべき蒸着マスク120について、上記の同じ位置決め作業をくり返す。
【0059】
吸着パッドによる蒸着マスクの吸着力、テーブルとベース板の吸着力は、好ましくは0.1〜50kPa、より好ましくは、5〜20kPaとする。蒸着マスクをベース板上で相対移動させて位置決めする手段は、上記の吸着パッドや側面把持機構を使用せずに、ある部材を蒸着マスクに押し付けることで発生する摩擦力を利用してもよいし、エアーを噴出する際に発生する負圧を利用して非接触の状態で蒸着マスクの上面を吸引する把持装置を利用してもよい。
【0060】
上記補正工程でも、図6〜9を用いて既に説明したのと同様の効果が得られ、各蒸着マスク120の相対位置を設定位置に位置決めできる。
【0061】
図10で示された装置による上記補正工程はベース板102およびテーブル304に対して基準蒸着マスク120を相対移動させる方法なので、補正工程および組立装置301の構造をシンプルにできる。即ち、ベース板2またはテーブル204の角度調整の必要が無く、従って、前記の角度を合わせるための機構を必要としない。補正工程は本方法に限定されるわけではなく、テーブル304の基準移動軸に対して基準蒸着マスク120の基準マーク126を相対移動できればよい。例えば、図5に示す組立装置の組立方法として例示したように、テーブル304とベース板102の相対位置を保持したまま両者を回転させることで補正を行うことができる。テーブル304を回転させる回転テーブルが必要になるが、補正工程をシンプルにできる。テーブル304に対してベース板102を適切な方法で相対移動(回転)させることで補正を行うこともできる。ベース板102と支持板304との吸着をON、OFFしながらベース板102を適切な手段で移動(回転)させれば、比較的容易にベース板102の相対移動が可能となるので、組立装置301の構造をシンプルにできる。これらの補正機構は組立装置に組み込まれている必要はない。
【0062】
図5および図10で例示した組立方法において、基準移動軸はX方向、Y方向どちらでもよく、両方であってもよい。2つのカメラにて2つの基準マークの設定位置からのずれ量を直接検出して、その検出値に応じて基準マークの相対位置を補正してもよい。組立装置にカメラが複数個あると補正工程および位置決め工程の時間を短縮できるので好ましいが、原理的にはカメラが1つであっても目的を達成することができる。
【0063】
補正工程では、θcを0.01°以下、さらに0.003°以下、さらに0.0015°以下にすることが好ましい。位置決め工程において位置決め作業完了と判断する、基準マークの設定位置との許容ずれ量は、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下にする。
【0064】
図11は統合マスクを用いた蒸着装置群の一態様を示す正面断面図、図12は統合マスクを用いた蒸着装置群の別の態様を示す正面断面図である。
【0065】
統合マスク1を使用して発光層などを実際に蒸着する蒸着装置群501を、図11を用いて以下に説明する。蒸着装置502では、統合マスク1が外壁508で覆われた真空槽532の中にあるマスクホルダー512に支持されており、固定具518で、統合マスク1のベース板2がマスクホルダー512で移動しないように挟持されている。真空槽532は真空吸引装置(図示なし)に接続されており、蒸着のために必要な真空度に調整される。ガラスからなる基板Aは真空槽532内の基板ホルダー522にその下面が保持されている。さらに基板ホルダー522はブラケット520と昇降軸526を介して、真空槽外にあるモータ528に接続されている。昇降軸526は内部に上下方向に移動自在とするガイドと駆動部を有しており、基板ホルダー522を上下方向に自在に昇降させることができる。モータ528の駆動により、昇降軸526以降のものが回転自在となるので、昇降軸526とモータ528の動作により、基板Aを真空槽532内で自在に昇降させたり、水平面内で回転させることができる。
【0066】
マスクホルダー512はX−Yガイド516に接続されている。X−Yガイド516は外壁508の上部に固定されている。X−Yガイド516は駆動源(図示なし)によって、水平面内のX、Y方向に自在に移動でき、マスクホルダー512上の統合マスク1を水平面内で自在に移動させることができる。基板Aと統合マスク1の基準マーク、または蒸着マスクの開口は外壁のルッキンググラス504を通して、外部に設けられたカメラ530によって検知され、その検知位置に応じてX−Yガイド516による水平移動とモータ528による回転で、基板Aを統合マスク1との位置決めが行われる。基板Aの基準マーク位置検知時には昇降軸526を下降させて、基板Aを統合マスク1の上にのせた状態で行う。基板Aを統合マスク1上にのせた状態での位置決めが完了したら、ブラケット520に対して駆動源(図示なし)によって昇降可能な押さえ部材524を下降させて基板Aに接触させ、基板Aと統合マスク1の密着度を上げる。押さえ部材524の少なくとも一部を磁石として、磁性体からなるマスクプレート22を磁力により引きつけることで、基板Aと統合マスク1との密着性を向上させることが可能である。
【0067】
真空槽532内には蒸発源534が統合マスク1の真下に設けられている。この中に蒸着すべき材料をいれ、適切な温度に調整して、材料を蒸発させると、統合マスク1の各蒸着マスク20の各開口部30を通過するもののみが基板Aに蒸着されることになり、基板Aに所定パターンの薄膜層を形成できる。蒸発源534の上方には、基板への蒸着を任意に実施・停止するために、開閉可能な蒸着シャッター514が設けられている。基板Aの真空槽532内外への搬出入は、開閉可能なシャッター536を開け、外壁508に設けられた搬出入口538を通して、移載装置601を用いて行なう。
【0068】
移載装置601は、基台602に対して昇降と回転自在な基台板604、基台板604上をスライド板ガイド606により自在に往復動可能なスライド板610より構成されている。基板Aをスライド板610上のパッド608にのせて、これを可動範囲内の任意の位置に搬送することができる。
【0069】
蒸着装置群501を用いた蒸着方法を図11を用いて以下に説明する。統合マスク1を真空槽532のマスクホルダー512に設置し、固定する。続いて統合マスク1の基準マーク6の位置をカメラ530によって検知し、図示していない画像処理装置によってその位置を認識して、記憶する。
【0070】
シャッター536を開けて移載装置601により基板Aを基板ホルダー522に載置し、移載装置601のスライド板610が真空槽532外にでたら、シャッター536を閉じ、真空ポンプ(図示なし)を駆動して、真空槽532内を一定の真空度にする。昇降軸526を下降させて基板Aを統合マスク1上に置き、ルッキンググラス504を通してカメラ530で基板Aの基準マーク位置を検知する。昇降軸526を上昇させて基板Aと統合マスク1を離接させた後、すでに検知している統合マスク1の基準マーク位置と基板Aの基準マーク位置が合致するように、X−Yガイド516およびモータ528を所定量だけ移動、回転させる。
【0071】
再び基板Aを統合マスク1上に下降させて、カメラ530で基板Aと統合マスク1の基準マーク6(あるいは基板用基準マーク)の位置を検知する。この場合、両者の位置は演算で補正できるので、同じ位置にする必要はない。このように、基板Aと統合マスク1の基準マークの検知と位置あわせ作業を繰り返して、基準マークが所定の位置と合致すれば、押さえ部材524を下降させて基板Aを統合マスク1に押しつける。この押しつけ力は好ましくは、10〜100Nとする。
【0072】
蒸発源534を加熱して蒸着材料(有機物等)を蒸発させ、蒸着シャッター514を開けて、基板Aにマスクパターンにしたがった蒸着を行う。所定厚さの有機膜が形成できたら、蒸着シャッター514を閉じて蒸着を完了し、真空槽532内を大気圧にもどす。これと平行して押さえ部材524を上昇させた後、シャッター536を開けて移載装置601によりマスクパターンで蒸着された基板Aを取り出して次の工程に送る。
【0073】
真空槽532内を一定の真空度にするには時間を要するので、大気→真空→大気→真空の繰り返しのむだをなくして効率を向上させるために、移載装置601を真空装置内にいれて、真空下内で全ての作業を行ってもよい。
【0074】
統合マスク1を使った別の蒸着装置群を図12を用いて以下に説明する。蒸着装置群801は、統合マスク1上に基板Aを位置決め載置する位置決め装置701と、基板Aが統合マスクに各々の基準マークが合致した状態で載置される位置決め済み基板−マスク820を移載する移載装置601、位置決め済み基板−マスク820を装着して、それに蒸着材料(有機物等)の蒸着を行う蒸着装置802で構成される。
【0075】
位置決め装置701は、統合マスク1を保持するマスク保持器702と、マスク保持器702を平面内(X−Y方向)に自在に移動させるX−Yテーブル704、基板Aを保持する基板保持器706、基板保持器706がブラケット718と昇降軸712を介して接続されている回転モータ714、回転モータ714を保持するフレーム716、フレーム716とX−Yテーブル704を支持する架台708、統合マスク1および基板Aの基準マークを検知するカメラ710で構成される。昇降軸712は内部に上下方向に移動自在とするガイドと駆動部を有しており、基板保持器706を上下方向に自在に昇降させることができる。回転モータ714は基板保持器706を自在に回転可能とする。
【0076】
移載装置601は、蒸着装置群501で説明したものと同じものである。蒸着装置802は、真空槽816内に位置決め済み基板−マスク820が載置される載置台804、基板Aを統合マスク1に一定力で押し付ける昇降自在な押さえ部材812、有機物の蒸着源806、蒸着源806からの蒸発物が基板Aに到達するのを妨げる開閉自在な蒸着シャッター808で構成される。押さえ部材812は、真空槽816外で外壁818に固定された昇降シリンダー814に接続されており、この昇降シリンダー814の昇降動作により、自在な昇降動作が付与される。真空槽816は真空ポンプ(図示なし)に接続されており、槽内を任意の真空度にすることができる。位置決め済み基板−マスク820は、開閉可能なシャッター810を通して真空槽816内に導入される。
【0077】
蒸着装置群801を用いた蒸着方法を図12を用いて以下に説明する。統合マスク1を位置決め装置701のマスク器702に装着し、統合マスク1の基準マーク(あるいは基板用基準マーク)の位置をカメラ710で検知する。つづいて基板Aを基板保持器706に装着し、基板保持器706を下降させて基板Aを統合マスク1上に載置する。基板Aの基準マーク位置をカメラ710で検知した後、一旦基板Aを基板保持器706で上昇させて、検知した基板Aの基準マークと統合マスク1の基準マーク(あるいは基板用基準マーク)が所定の位置と合致するようにX−Yテーブル704と回転モータ714を制御する。再び両方の基準マーク位置を確認し、両者が所定の位置と一致するまで位置決めと基準マーク位置確認を繰り返す。最終的に両方の基準マークが所定の位置と一致していることが確認できたら、基板Aを統合マスク1上に載置した位置決め済み基板−マスク820を、基板保持器706から移載装置601のパッド608上に載せかえ、蒸着装置802のシャッター810を開けて、載置台804上に置く。押さえ部材812を下降させて基板Aを統合マスク1に所定の力で押し付ける。押しつけ力は10〜300Nが好ましい。この間に移載装置601のスライド板610が真空槽816外へでたらシャッター810を閉め、真空ポンプ(図示なし)を駆動して真空槽816内を所定の真空度にする。蒸着源806を加熱して有機物を蒸発させ、蒸着シャッター808を開いて統合マスク1上の基板Aにマスクパターンに応じた有機物の蒸着を行う。
【0078】
蒸着が完了したら、蒸着シャッター808を閉じ、真空槽816内を大気圧にもどした後、シャッター810を開いて蒸着された位置決め済み基板−マスク820を移載装置601により取り出して、次の工程に送る。
【0079】
位置決め装置701、移載装置601を真空室内に置いてもよい。これによって常に真空下で基板Aと統合マスク1の位置決め、搬送が行われるので、大気圧→真空、真空→大気圧にする時間が省略できて、生産性を大幅に向上できる。また、最終的に基板A上に得られた蒸着パターンの所定位置からのずれ量を計測し、それを補正するように統合マスクの蒸着マスクを再度位置決めすれば、より高精度のパターニングが実現できる。
【0080】
本発明を用いて1枚の基板からn面(nは2以上の整数)の有機EL素子を製造する場合には、ベース板にn個の蒸着マスクが固定された統合マスクを用いることができる。しかしながら、nの数が大きくなるとn個すべての蒸着マスクの位置合わせを行う作業が煩雑になるという問題が生じる。さらに、蒸着マスクを保持するフレームの幅や蒸着マスク同士の隙間に起因する基板の無駄な部分が増加する。このような場合には、蒸着ベース板にm個(mは2以上n以下の整数)の蒸着マスクが固定された統合マスクを用い、n=m×k(kは2以上n未満の整数)の関係にあることが好ましい。
【0081】
例えば、1枚の基板上に16面の有機EL素子を製造する場合に(n=16)、ベース板に4個の蒸着マスクが固定された統合マスクを用いるとすれば(m=4)、それぞれ1個の蒸着マスクはさらに4面に対応した開口部パターンを有していることになるので(k=4)、n=m×kの関係にある。ベース板に16個の蒸着マスクが固定された統合マスクを用いる場合に比べて(n=16、m=16、k=1)、蒸着マスクの位置合わせを行う作業は4回で済む。寸法精度を損なわない範囲で大きな蒸着マスクを用いることが、高い精度を維持したまま効率よく有機EL素子を生産する上で重要である。上記の例では要求される寸法精度と作業性を考慮して、n=16、m=2、k=8の組み合わせや、n=16、m=8、k=2の組み合わせを選択することもできる。本発明はこのような組み合わせを選択する自由度が高いという利点を有する。
【0082】
例えば、1個の蒸着マスクが4面に対応した開口部パターンを有している場合には(k=4)、蒸着マスクのフレームの開口を4個にしてもよい。つまり田の字型のフレームを使用することができる。フレームの強度を向上させて、その精度を高めることができるので、本方法はパターニングの高精度化に効果的である。
【0083】
上記n=m×kの関係は、比較的大きな1枚の基板から比較的小さな有機EL素子を数多く製造する場合に特に効果的である。基板サイズは200×200mm以上、さらに片側の辺が300mm以上である場合に特に効果的である。有機EL素子の発光領域のサイズは60×80mm以下、さらには40×50mm以下である場合に特に効果的である。面数nは4以上、さらには16、32、64以上である場合に特に効果的である。
【0084】
本発明の有機EL素子の製造方法は、上記の組立方法により精度よく作製された統合マスクを用いて薄膜層を蒸着して有機EL素子を製造する。本発明の統合マスクで蒸着する薄膜層はR、G、Bの発光層であることが好ましい。
【0085】
【実施例】
図1〜図14を参照にして実施例を以下に説明する。実際の構成や部材の位置関係、個数は図面と必ずしも一致するものではない。
【0086】
実施例1
発光層用の蒸着マスク20のマスクプレート22として、外形が94mm幅×109mm長で、厚さが30μmのNi合金を用意した。幅100μmで長さが62mmの長方形開口32を、開口の長さ方向(62mmの方向)がプレートの幅方向(94mmの方向)と一致するようにして、ピッチ300μmでプレートの長さ方向に256個設けた。開口形状の変形を防ぐために、各開口32には開口の幅方向に並行な幅20μmの補強線34が、開口の長さ方向にピッチ300μmで設けられている。マスクプレート22の幅方向の中央部には、長さ方向に対称となるようにピッチ92mmで十字形状の基準マークを2個設けた。同じ蒸着マスクプレートを16個作製した。
【0087】
本マスクプレート22を、外形が94mm幅×109mm長でコバール合金製のフレーム24にエポキシ系硬化樹脂を用いて接着し、蒸着マスク20を作製した。同じ蒸着マスクを16個作製した。蒸着マスクのフレームのマスクプレート取り付け部は、厚さ6mmで、その内側は下部が86mm幅×103mm長、上部が82mm幅×99mm長の開口とした。またフレームの対角方向の両端には厚さ2.5mmの耳部28を2ヶ所設けた。
【0088】
ベース板2の材料として440mm幅×540mm長で厚さ12mmのコバール合金板を用意した。下部が94mm幅×111mm長、上部が86mm幅×103mm長の開口10を、ベース板2の幅方向端部より33mmの位置のところから、開口10の上部寸法が幅方向に96mmピッチで4列、ベース板2の長さ方向端部より28mmの位置から長さ方向に127mmピッチで4列、合計16個設けたものをベース板2とした。これに16個の蒸着マスク20を、各々の蒸着マスクの開口がベース板2の開口10の中央になるように配置した。蒸着マスク1個に対して、押さえ板、圧縮バネ、支点からなる2個の係合手段40で、各蒸着マスクをベース板上に固定して、粗い位置合わせを行った統合マスク1を作製した。隣り合う蒸着マスク20の隙間はベース板の幅方向では2mm、長さ方向では18mmであった。
【0089】
ベース板2の幅方向端部付近には、幅3mm、長さ500mm、厚さ6mmのガラス板が、ガラス板の長さ方向をベース板の長さ方向に一致するようにして取り付けられている。その上面に幅20μm、長さ100μmの十文字の基準マークと、幅60μm、長さ180μmの十文字の基板用基準マークを、ガラス板の幅方向の上端部より2mmの直線上に、ベース板の長さ方向に対称となるように、それぞれピッチ92mm、490mmで、クロム膜を用いて各2個ずつ設けた。基準マークのある面は、ベース板に取り付けた蒸着マスクの上面とほぼ同じ高さにした。係合手段40はステンレス製で、押さえ板42の厚さは3mmとした。
【0090】
以下、図5で図示した実施態様に準拠(若干異なる点があり、それらは随時以下に説明)して実施した。
【0091】
即ち、上記の粗い位置あわせを行った統合マスクを統合マスク組立装置201のテーブル204にのせて固定した。カメラ270Aにて基準マーク6の片方の位置を検出した後に、テーブル204をベース板の長さ方向(Y方向)に移動させて、カメラ270Aにて基準マーク6のもう片方を検出した。これにより、テーブル204のY方向(基準移動軸)とベース板2の2つの基準マーク6を結ぶ直線とのなす角度θc(ずれ量)を算出した。
【0092】
図示されていない治具によりテーブル204に対してベース板2を移動させて、前記θcがゼロに近づくように補正した。上記のずれ量の計測と補正を必要に応じて繰り返し、θcを0.0012°以下になるようにした。
【0093】
下部X−Yテーブル202を駆動して、蒸着マスク20の基準マーク26があるべき位置に統合マスク1を移動させた。2つのカメラ270A、Bによって蒸着マスク20の基準マーク26を検知し、既に図5で図示した実施態様において説明した通りの方法で蒸着マスク20をベース板2上で移動させた。カメラ270A、Bにより、基準マーク26が所定位置に位置決めできているのを確認して、ベース板2に蒸着マスク20を固定した。次の位置決めすべき蒸着マスク20について、同じ位置決め作業をくり返した。
【0094】
このようにして、ベース板2上の16個の蒸着マスクの位置を、基準マークの所定位置からのずれが3μm以下になるように調整した。なお統合マスク組立装置で、X−Yテーブル202は1μm単位で平面内で移動可能とし、上部回転テーブル234は0.001°の単位で回転できるようにした。テーブル204は外形が500mm×600mmで、ピン214を設けることでベース板を保持できるようにした。またカメラには1μmの分解能をもつCCDカメラを用い、画像処理装置によって位置ずれ量や、補正量の計算を行った。本実施例では、把持ピン232で蒸着マスク20を側面から挟み込むことで、蒸着マスクの位置調整を行った。
【0095】
作製した統合マスクは、補正工程を実施してベース板2の2つの基準マーク6を結ぶ直線とテーブル204のY方向を平行にしたので、蒸着マスクの所定位置からの位置ずれ量を16個とも3μm以下に収めることができた。
【0096】
本実施例では、回転テーブル218が設けられた組立装置を用いて補正を実施してもよいが、回転テーブル218がないタイプの組立装置を用いた。
【0097】
実施例2
実施例1と同様に粗い位置合わせを行った統合マスク1を作製した。実施例1で基準マーク6を検出して角度θc(ずれ量)を算出した代わりに、本実施例では基板用基準マークを検出してθcを算出した。その他は実施例1と同様に補正を行い、θcを0.0006°以下になるようにした。それ以降も実施例1と同様に位置決め作業を行い、統合マスクを作製した。マーク間距離(ピッチ)が92mmの基準マーク6の代わりに、マーク間距離490mmの基板用基準マークを用いることで、より高精度の補正を実施できたので、蒸着マスクの所定位置からの位置ずれ量を16個とも2μm以下に収めることができた。
【0098】
比較例1
補正工程を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして統合マスクを作製した。θcが0.005°程度の値のままで蒸着マスクを位置決めしたために、図8に模式的に示すように、各蒸着マスクが平面内で傾いた状態でベース板に固定された。蒸着マスクの所定位置からの位置ずれ量は10μm以上となり、実施例1に比べて統合マスクの組立精度が悪化した。
【0099】
実施例3
実施例1で作製した統合マスクを蒸着装置502のマスクホルダーに装着した。
【0100】
厚さ0.7mmで外形が400mm幅×500mm長の無アルカリガラス表面にITO透明電極膜を130nmスパッタリングにて全面形成した。ITO透明電極膜をフォトリソ法によって図13に示す形状にパターニングした。基板幅方向に並行して長さが90mm、幅が80μmのストライプ形状904を設け、それを基板長さ方向に100μmピッチで768本配列させてものを1単位のストライプ列906とし、それを基板幅方向に96mmピッチ、基板長手方向に127mmのピッチで配列させた。ストライプ列906は16個の有機EL素子に対応できるように形成した。
【0101】
本基板Aの全面にポジ型感光性ポリイミド前駆体(東レ株式会社製、DL−1000)をスピンコート法により塗布した。乾燥後の塗布膜にフォトマスクを介して露光した後、現像を行い、ポリイミド前駆体膜をパターニングした。その後、230℃でキュアを行った。16個の有機EL素子の有効発光エリア(後にR、G、B発光層が占める領域)全面を覆うように、それぞれに対応して16単位のスペーサを形成した。1単位のスペーサでは、基板長さ方向(ITO電極に直交する方向に)に長さ70μm、基板幅方向に長さ235μmの開口部(スペーサーの存在しない部分)を、基板長さ方向にはITO電極の中央部が露出するように100μmピッチで768個、基板幅方向にITO電極にそって300μmピッチで200個、格子状に配置した。
【0102】
16個ある有機EL素子の有効発光エリア全面に、銅フタロシアニンを15nm、ビス(N−エチルカルバゾール)を60nmを蒸着して、正孔輸送層を形成した。蒸着時の真空度は2×10-4Pa以下とし、蒸着中は基板を蒸着源に対して回転させた。
【0103】
発光層を蒸着するために、移載装置601から蒸着装置502の基板ホルダー522に、正孔輸送層を蒸着したガラス基板をのせた。真空ポンプを駆動して、蒸着槽内の真空度を1×10-4Paにした。所定の真空度が得られてから、基板ホルダーを下降させて、基板ホルダー上のガラス基板Aを統合マスク1上に載置した。
【0104】
ガラス基板Aの幅方向端部付近には、基準マークとして直径300μmのITO透明電極膜が、ガラス基板の長さ方向に対称となるようにピッチ490mmで2ヶ所設けられている。この基準マーク位置を検知して、統合マスクに取り付けられたガラス板に設けられている基板用基準マークと一致するようにガラス基板と統合マスクの位置合わせを行った。位置合わせ完了後押さえ部材524でガラス基板を統合マスクに20Nの力で押し付けた。
【0105】
蒸着源534を加熱し、緑色発光層として、0.3wt%の1,3,5,7,8,−ペンタメチル−4,4−ジフロロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(PM546)をドーピングした8−ヒドロキシキノリン−アルミニウム錯体(Alq3)を、統合マスクのパターンにしたがって20nm蒸着した。
【0106】
基板Aと統合マスク1との位置を、基板長さ方向に100μm(1ピッチ分)だけずらして位置合わせした後に、赤色発光層として1wt%の4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6(ジュロリジルスチリル)ピラン(DCJT)をドーピングしたAlq3を15nm蒸着した。続いて、基板Aと統合マスク1との位置を、基板長さ方向にさらに100μm(さらに1ピッチ分)だけずらして位置合わせした後に、青色発光層として4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ジフェニル(DPVBi)を20nm蒸着した。これらのRGB発光層はストライプ状のITO電極に各々対応しており、ITO電極の露出部分を完全に被覆した。
【0107】
電子輸送層として4,4’−ビス(フェナントロリン−2−イル)テトラフェニルメタンを60nm、16個ある有機EL素子の有効発光エリア全面に蒸着した。次に、リチウムを膜厚換算量0.5nm蒸着して、電子輸送層にドーピングした。
【0108】
基板長さ方向(ITO電極に直交する方向)に長さ100mm、基板幅方向に250μmのアルミニウムのストライプを、基板幅方向にピッチ300μmで200本配置したストライプ列を1単位とし、これを先に作製した基板上のスペーサの開口部を覆うように幅方向ピッチ96mm、基板長さ方向ピッチ127mmで、16単位配置できるようアルミニウムの蒸着を行い、厚さ240nmの金属電極を形成した。金属電極の蒸着にも発光層と同様の統合マスクを使用した。蒸着時の真空度は3×10-4Pa以下とした。
【0109】
本基板を蒸着装置から露点−90℃のアルゴン雰囲気下に移した。この低湿度雰囲気下にて、基板と厚さ0.7mmの封止用ガラス板とを、エポキシ樹脂からなる接着剤を用いて貼り合わすことで封止をした。
【0110】
以上のようにして16個の有機EL素子が形成された基板を切断して、16個の有機EL素子に分割した。各々の有機EL素子には、768本のITOストライプ状第1電極の上に、パターニングされたRGBそれぞれの発光層を含む有機層が形成され、その上にはITO電極と直交するするように200本のアルミニウムストライプ状第2電極が形成された。第1、第2電極の交差部分のうち、スペーサーの開口部のみが発光した。RGB各1つずつの発光単位が1画素を形成するので、300μmピッチで256×200画素を有する単純マトリックス型カラー有機EL素子が製作できた。
【0111】
作製した有機EL素子の発光性能は16個ともディスプレイとして用いることができるものであった。蒸着マスクを分割して発光層を蒸着したので、16個全て同一寸法精度と性能をもつ発光素子を作製することができた。16個の全ての有機EL素子のR、G、B各発光層の位置ずれは10μm未満であった。
【0112】
比較例2
比較例1の統合マスクを用いたこと以外は実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。16個の有機EL素子のR、G、B各発光層の位置ずれは15μmを超え、ディスプレイとして用いることができなかった。
【0113】
実施例4
ベース板にガラス板を取り付けなかった、すなわち、ベース板上に基準マークを設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、粗い位置合わせを行った統合マスクを作製した。
【0114】
上記の粗い位置あわせを行った統合マスクを、実施例1で使用したのと同等の性能を有する統合マスク組立装置301のテーブル304にのせて固定した。カメラ370Aにて16個のうちの1つの蒸着マスク(基準蒸着マスク)120の基準マーク126の片方の位置を検出した後に、テーブル304をベース板の長さ方向(Y方向)に移動させて、カメラ370Aにて基準マーク126のもう片方を検出した。これにより、テーブル304のY方向(基準移動軸)と基準蒸着マスク120の2つの基準マーク126を結ぶ直線とのなす角度θc(ずれ量)を算出した。
【0115】
既に図10で図示した実施態様において説明した方法で基準蒸着マスク120をベース板102上で回転させることで、前記θcがゼロに近づくように補正した。上記のずれ量の計測と補正を必要に応じて繰り返し、θcを0.0012°以下になるようにした。本補正工程が終了した後の基準蒸着マスク120の基準マーク126の位置を基準位置とした。
【0116】
X−Yテーブル302を駆動して、基準蒸着マスク以外の蒸着マスク120の基準マーク126があるべき位置に統合マスク101を移動させた。2つのカメラ370A、Bによって蒸着マスク120の基準マーク126を検知し、既に説明した方法で蒸着マスク120をベース板102上で移動させた。カメラ370A、Bにより、基準マーク126が所定位置に位置決めできているのを確認して、ベース板102に蒸着マスク120を固定した。次の位置決めすべき蒸着マスク120について、同じ位置決め作業をくり返した。このようにして、ベース板102上の16個の蒸着マスクの位置を、基準マークの所定位置からのずれが3μm以下になるように調整した。
【0117】
作製した統合マスクは、補正工程を実施して基準蒸着マスク120の2つの基準マーク126を結ぶ直線とテーブル204のY方向を平行にしたので、蒸着マスクの所定位置からの位置ずれ量を16個とも3μm以下に収めることができた。
【0118】
実施例5
実施例4で作製した統合マスクを用いて、実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。製作した有機EL素子の発光性能は16個ともディスプレイとして用いることができるものであった。蒸着マスクを分割して発光層を蒸着したので、16個全て同一寸法精度と性能をもつ発光素子を作製することができた。16個の全ての有機EL素子のR、G、B各発光層の位置ずれは10μm未満であった。
【0119】
実施例6
図14に示すように、発光層用の蒸着マスク170のマスクプレート172として、外形が190mm幅×236mm長で厚さが30μmのNi合金を用意した。実施例1と同様の開口部130と基準マーク126を1単位180として、それをプレートの幅、長さ方向にそれぞれ2列、合計4個設けたものを用意した。同じ蒸着マスクプレートを4個作製した。
【0120】
本マスクプレート172を、外形が190mm幅×236mm長でコバール合金製のフレーム174にエポキシ系硬化樹脂を用いて接着し、蒸着マスク170を作製した。同じ蒸着マスクを4個作製した。蒸着マスクのフレームのマスクプレート取り付け部は、厚さ6mmで、その内側は下部が182mm幅×230mm長、上部が178mm幅×226mm長の開口とした。フレームには厚さ2.5mmの耳部178を4ヶ所設けた。
【0121】
ベース板2の材料として440mm幅×540mm長で厚さ12mmのコバール合金板を用意した。下部が190mm幅×238mm長、上部が182mm幅×230mm長の開口10を、幅、長手方向にそれぞれ2列、合計4個設けたものをベース板2とした。これに4個の蒸着マスク170を、各々の蒸着マスクの開口がベース板の開口の中央になるように配置した。蒸着マスク1個に対して、押さえ板、圧縮バネ、支点からなる4個の係合手段40で、各蒸着マスクをベース板上に固定して、粗い位置合わせを行った統合マスクを作製した。ベース板には実施例1と同様のガラス板が取り付けた。
【0122】
上記の粗い位置あわせを行った統合マスクを統合マスク組立装置のテーブルに取り付け、実施例1と同様にして、ベース板上の4個の蒸着マスクの位置を、基準マークのずれが5μm以下になるように調整した。作製した統合マスクは、蒸着マスクの所定位置からの位置ずれ量を4個とも5μm以下に収めることができた。
【0123】
実施例7
実施例6で作製した統合マスクを用いて、実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。作製した有機EL素子の発光性能は16個ともディスプレイとして用いることができるものであった。蒸着マスクを分割して発光層を蒸着したので、16個全て同一寸法精度と性能をもつ発光素子を作製することができた。16個の全ての有機EL素子のR、G、B各発光層の位置ずれは15μm未満であった。
【0124】
実施例3では、1枚の基板上に16面の有機EL素子を製造する場合に(n=16)、それぞれの蒸着マスクが1面に対応した開口部パターンを有し(k=1)、ベース板に16個の蒸着マスクが固定された統合マスクを用いたので(m=16)、蒸着マスクの位置合わせ作業が16回必要であった。本実施例では、同じ16面の有機EL素子を製造する場合に(n=16)、それぞれの蒸着マスクが4面に対応した開口部パターンを有し(k=4)、ベース板に4個の蒸着マスクが固定された統合マスクを用いたので(m=4)、蒸着マスクの位置合わせ作業は4回で済む。すなわち、発光層のパターニングの許容誤差である15μmをオーバーしない範囲で大きな蒸着マスクを用いたので、必要なパターニング精度を維持したまま効率よく有機EL素子を生産することができた。
【0125】
上記全ての実施例では、RGB発光層のパターニングに1個の統合マスクを用いて、基板と統合マスクとの位置関係をITO電極のピッチ分だけ移動させたが、それぞれ異なる3個の統合マスクを使用することもできる。金属電極のパターニングにも統合マスクを用いたマスク蒸着法を適用したが、基板上にあらかじめ隔壁を形成しておき、隔壁の影を利用することで、蒸着マスクを用いずに金属電極をパターニングする隔壁法を用いることもできる。第2電極が透明電極であってもよいし、第2電極が陽極であってもよい。蒸着後に公知技術を用いて保護膜の形成を行うこともできる。
【0126】
上記全ての実施例では単純マトリックス型カラー有機EL素子を製作したが、発光層の微細パターニングを省略することでモノクロ有機EL素子を製作することもできる。薄膜トランジスター(TFT)などからなるスイッチング素子が形成された基板上に、本発明の統合マスクを用いて発光層をパターニングすることで、アクティブマトリックス型カラー有機EL素子を作製することもできる。
【0127】
【発明の効果】
本発明の統合マスクの組立装置と組立方法によれば、テーブルの基準移動軸に対するベース板もしくは蒸着マスクの基準マークの設定位置からのずれ量を基に、統合マスクの位置ズレを補正してから蒸着マスクの位置決めを行うのであるから、従来方法に比べてより素早く、より高い精度に統合マスクを組み立てることが可能となる。多数の蒸着マスクを高い精度で所定位置に配置された統合マスクを得ることが可能となる。
【0129】
これらの結果、1枚の基板に多数の有機EL素子を形成する、いわゆる多面取りを高精度に行うことができ、高品質の有機EL素子を高い生産性で得ることができる。高精度で薄膜層を蒸着することが可能になると、ディスプレイにおける画素の専有面積率、すなわち開口率を向上させることができる。ディスプレイの表示輝度が同じである場合には、開口率が大きいほど画素に流れる電流密度を小さくすることができる。輝度の経時的な低下率が小さくなるので、ディスプレイの耐久性が向上するという効果が得られる。従来は基板の片側の辺が300mm以上ある比較的大型の基板を用いると、ディスプレイの開口率を40%以上にすることは困難であった。本発明の手法を用いることで、この開口率を40%以上、さらに50%以上、さらには60%以上に高めることが可能になるので、高い生産性と高い耐久性を兼ね備えた有機EL素子の製造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の統合マスクの一例を示す全体概略斜視図。
【図2】図1の統合マスクを各要素ごとに分解した斜視図。
【図3】本発明の統合マスクの別の例を示す全体概略斜視図。
【図4】図3の統合マスクを各要素ごとに分解した斜視図。
【図5】本発明の統合マスクの組立装置の一例を示す正面断面図。
【図6】補正工程実施前の統合マスクと基準移動軸との関係を示す平面図。
【図7】補正工程実施後の統合マスクと基準移動軸との関係を示す平面図。
【図8】補正工程を実施せずに作製した統合マスクの一例を示す平面図。
【図9】補正工程を実施してから作製した統合マスクの一例を示す平面図。
【図10】本発明の統合マスクの組立装置の別の一例を示す正面断面図。
【図11】統合マスクを用いた蒸着装置の一例を示す正面断面図。
【図12】統合マスクを用いた蒸着装置の別の例を示す正面断面図。
【図13】実施例1で使用した基板を示す全体概略斜視図。
【図14】実施例6で使用した蒸着マスクを示す全体概略斜視図。
【符号の説明】
1,101 :統合マスク
2,102 :ベース板
4 :突起部
6 :基準マーク(ベース板)
8 :上面
10,110 :開口
118 :取り付け穴
20,120,170:蒸着マスク
22,122,172:マスクプレート
24,124,174:フレーム
26,126 :基準マーク(蒸着マスク)
128 :穴
28, 178:耳部
180:1単位(開口と基準マーク)
30,130 :開口部
32,132 :開口
40,140 :係合手段
142 :押さえ棒
42 :押さえ板
44,144 :圧縮バネ
146 :留め金
46 :支点
201,301:統合マスクの組立装置
202 :下部X−Y−θテーブル(又は、下部X−Yテーブル)
302:下部X−Yテーブル
204,304:テーブル
206,306:下部Y軸ガイド
208,308:下部Y軸レール
210,310:下部X軸ガイド
212,312:下部X軸レール
214 :ピン
314:開口
216,316:開口
218 :下部回転テーブル
230,330:保持ユニット
332:吸着パッド
232 :把持ピン
234,334:上部回転テーブル
236,336:上部X−Yテーブル
238、338:上部X軸ガイド
240,340:上部X軸レール
242,342:上部Y軸ガイド
244,344:上部Y軸レール
246,346:モータ
250,350:フレーム
252,352:開口
260,360:架台
362:昇降ユニット
270,370:カメラ
272,372:微調整装置
280,380:開放手段
282,382:突き出し板
284,384:エアーシリンダー
286 :保持ユニット支持台
288 :エアーシリンダー
A :基板
501,801:蒸着装置群
502,802:蒸着装置
504 :ルッキンググラス
804:載置台
508,818:外壁
512 :マスクホルダー
514,808:蒸着シャッター
516 :X−Yガイド
518 :固定具
520 :ブラケット
820:位置決め済み基板−マスク
522 :基板ホルダー
524,812:押さえ部材
526 :昇降軸
528 :モータ
814:昇降シリンダー
530 :カメラ
532,816:真空槽
534,806:蒸発源
536,810:シャッター
538 搬出入り口
601:移載装置
602:ベース
604:ベース板
606:ガイド
608:パッド
610:スライド板
701:位置決め装置
702:マスク保持器
704:X−Yテーブル
706:基板保持器
708:架台
710:カメラ
712:昇降軸
714:回転モータ
716:フレーム
718:ブラケット
902:ガラス基板
904:ストライプ形状(ITO)
906:1単位のストライプ列(ITO)

Claims (5)

  1. 蒸着パターンに対応した蒸着用開口配列群をもつ複数の蒸着マスクを、ベース板上に係合手段によって配置、固定して構成される統合マスクの組立装置であって、
    ベース板を保持するテーブルと、
    ベース板の、もしくは選ばれた蒸着マスクの基準マーク(統合マスクの基準マーク)を検知して、テーブルの基準移動軸に対する統合マスクの基準マークの設定位置からのずれ量を計測する計測手段と、
    前記ずれ量に応じて統合マスクの基準マークの前記基準移動軸に対する相対位置を補正する補正機構と、
    統合マスクの基準マークと蒸着マスクの基準マークを検知して、蒸着マスク保持移動機構を用いて統合マスクの基準マークと蒸着マスクの相対位置決めを行う位置決め機構と、
    ベース板と蒸着マスクとの係合を操作する係合操作手段と
    を備えることを特徴とする統合マスクの組立装置。
  2. 蒸着パターンに対応した蒸着用開口配列群をもつ複数の蒸着マスクを、基準マークを有するベース板上に係合手段によって配置、固定して構成される統合マスクの組立方法であって、
    ベース板をテーブル上に保持する保持工程と、
    ベース板の基準マークを統合マスクの基準マークとして検知して、テーブルの基準移動軸に対する統合マスクの基準マークの設定位置からのずれ量を計測する計測工程と、
    前記ずれ量に応じて前記統合マスクの基準マークの前記基準移動軸に対する相対位置を補正する補正工程と、
    統合マスクの基準マークと蒸着マスクの基準マークを検知して、蒸着マスクを保持して相対移動させることで、統合マスクの基準マークと蒸着マスクとの相対位置決めを行う位置決め工程と、
    位置決め完了後にベース板と蒸着マスクとを係合手段で固定する固定工程と
    を含むことを特徴とする統合マスクの組立方法。
  3. 補正工程において、テーブルに対してベース板を相対移動させることで相対位置を補正することを特徴とする請求項2記載の統合マスクの組立方法。
  4. 蒸着パターンに対応した蒸着用開口配列群をもつ複数の蒸着マスクを、ベース板上に係合手段によって配置、固定して構成される統合マスクの組立方法であって、
    ベース板をテーブル上に保持するセット工程と、
    前記複数の蒸着マスクから選ばれた蒸着マスク(基準蒸着マスク)の基準マークを統合マスクの基準マークとして検知して、テーブルの基準移動軸に対する統合マスクの基準マークの設定位置からのずれ量を計測する計測工程と、
    前記ずれ量に応じて統合マスクの基準マークの前記基準移動軸に対する相対位置を補正する補正工程と、
    基準蒸着マスクと別の蒸着マスクとの基準マークを検知し、蒸着マスクを保持して相対移動させることで、蒸着マスク同士の相対位置決めを行う位置決め工程と、
    位置決め完了後にベース板と蒸着マスクとを係合手段で固定する固定工程と
    を含むことを特徴とする統合マスクの組立方法。
  5. 補正工程において、ベース板に対して基準蒸着マスクを相対移動させることで相対位置を補正することを特徴とする請求項4記載の統合マスクの組立方法
JP2003172957A 2002-06-18 2003-06-18 統合マスクの組立装置と組立方法。 Expired - Lifetime JP4367018B2 (ja)

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