JP4214631B2 - 塗布具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、絵の具、インキ、修正液、糊、化粧料、薬剤、補修剤、コーティング剤などの塗布液を内蔵する塗布具に関し、更に詳細には、所謂中継芯とペン先とを一体に成形した塗布先を用いた塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、塗布液を塗布する塗布具としては、塗布具本体の先端に塗布先を止着したものが知られている。
塗布具本体としては、単に把持部としての機能のみ有する軸筒や、内部に塗布液収容部を形成した軸筒などよりなるものが知られている。
塗布先としては、筆毛を束ねて形成した筆穂や、連通多孔質性のウレタンスポンジを筆穂の形状に成形したペン先などが知られている。
ペン先において、例えば、筆穂は、一本一本が独立した複数の筆毛を集束して、筆毛の基部を接着や溶着などでまとめたり、糸で縛ったりして基部を形成したものであり、横断面を丸形となした丸筆や、偏平形となした平筆が知られている。
そして、筆穂には、複数の筆毛の間に毛細管力が働くような微細な空間が存在している。この微細な空間は、塗布液を筆穂中で保持したり、移動させたりするという働きをしている。
【0003】
塗布具本体内部に塗布液収容部を形成し、この収容部中の塗布液を塗布先である筆穂に供給する型の塗布具の場合、塗布先後端の基部が塗布液を通しにくい為、基部に孔を形成し、この孔に所謂液導芯を挿入し、塗布液を塗布先に供給するようになしたものが知られている。
液導芯は、アクリル繊維、ポリエステル繊維などを長手方向に揃え、繊維間を樹脂で部分的に結合し、内部に毛細管を形成したものであり、塗布体の孔に挿入する側を先端細形部、その逆側を円錐形部となしたものが知られている。
塗布液収容部は、内部に直接塗布液を充填した、所謂、生インキ式塗布具と、塗布液を保持した中綿を配置した、所謂、中綿式塗布具とが知られている。中綿は、ポリエステル繊維などを多数まとめて、全体が円筒形となるように形成し、この円筒形周囲をポリプロピレン、ポリエチレン等のフィルムで被覆したものである。
上記塗布具において、液導芯の円錐形部を軸筒の塗布液収容部に挿入することによって、特に中綿式塗布具の場合は中綿内に挿入することによって、塗布液は液導芯を通って塗布具に供給され、塗布が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように塗布先と塗布液収容部との間に液導芯を介在させる構造の場合、塗布体に供給される塗布液の量は、塗布体基部の孔内壁と、この孔に挿入された液導芯先端外壁との接触面積や、接触状態によって左右される。しかし、この接触面積や接触状態は、部品の寸法ばらつきや、組立時における機械の動作ばらつきといったことが原因で、非常にバラツキの発生しやすいところである。このことによって、塗布液の塗布部への供給が少なくなり、塗布時かすれが発生すると言った問題があった。
【0005】
本発明は、塗布先と液導芯との接触ばらつきを抑制した塗布具を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部に塗布液の収容部を設けた容器の開口部前方に、たわみ変形可能な多数の塗布片からなる塗布部と、この塗布片の後端を連結した基部と、塗布液の流通部とを一体に成形した塗布先を取り付けてなる塗布具であって、前記基部と流通部とに対応する塗布液流通路を前記基部の後方に設けると共に、前記塗布液流通路に凹状の溝を設け、また、その塗布液流通路を前記収容部に配置した塗布液保持体に挿入したことを特徴とする塗布具を要旨とする。
【0007】
【実施例】
以下、本発明について添付図面を参照しながら、更に詳細に説明する。
図1〜図8に第一実施例を示す。図1は要部断面図であり、図2は図1の側面図であり、図3はキャップ5を除いた図1の上面図であり、図4は塗布先2の底面拡大図であり、図5は塗布先正面の要部拡大図であり、図6は塗布先側面の要部拡大図であり、図7は塗布先上面の要部拡大図である。
図1の参照符号1は、先端が開口した筒状の容器である。容器1は、先方の小径部1aと、小径部1a後方に続く中径部1bと、さらに後方の大径部1cとより形成されている。中径部1bと大径部1cとは、外段部1dを介して連設されている。
容器1の小径部1a前端近くの内面には縮径する内段部1eを設け、その後方に筒部1fを設けている。
容器1の外段部1d内面には後方に突出する4本の放射状リブ1gを設け、大径部1c内面には軸心に向け突出する1本の縦リブ1h(図2参照)を設けている。容器1の内段部1e周囲2箇所に筒部1f内面と同径で前端に伸びる突起状の凸部1i(図2、3参照)を設けている。
【0008】
塗布先2は、容器1の開口部に、その前方が容器1前端から突出し、その後方が筒部1f内面に挿入され、さらに後方に伸びるように取り付けられている。
この塗布先2は、塗布部2aと、基部である2cと、塗布液流通部である細円柱部2dとを一体に成形したものである。
塗布部2bは、外方側が円形で内方側が平面である横断面略半円形であって、後方から前方に先細り状にした塗布片2aを横方向に多数一列に並べるようにした塗布列2eを4層重合し、塗布片2a間が0.2mm以下の間隙となるようにして、平筆状となしたものである。
塗布片2aの形状を、後方から前方に先細り状にしたのは、塗布先2を射出成形法にて成形する時、金型内に樹脂が充填された薄片状である塗布片を、伸び変形・ねじれ変形・切断破損などがないようにして、金型から取り出し易い(=離型性を良くする)ようするためである。
塗布片2a左右には、板状の脇板部2fを設けている。この板状の脇板部2fは、塗布液の左右側はみ出しを抑制し、かつ、塗布時における塗布片2aの曲り方を一定以上で抑制する働きを有している。
【0009】
塗布部2bの後方には、塗布片2aの後端の全てを繋げて基部となした、略円柱形の円柱部2cが形成されている。
この円柱部2cは、後方途中で縮径する前段部2gを、容器1の内段部1eと当接するように設けている。前段部2g後方には、容器1の筒部1f内面に挿入されるように略円柱状の後円柱部2hを設けている。後円柱部2h後端には少し拡径する後段部2iを設けている。後段部2i後方には、傾斜状に縮径する円錐部2jを設けている。
前記後段部2iは、塗布先2を容器1に挿入した時、塗布先2の前段部2gが、容器1の内段部1eと当接すると同時に、容器1の筒部1f後端面に引っ掛かるようにして、塗布先2を容器1から抜けることを防止するために形成したものである。
【0010】
上記、円柱部2cから円錐部2jに渡って、大溝2kを2本対向する位置に設けている(図5〜図7参照)。この大溝2kは、塗布具外側と内側との圧力を同等にするために形成したものであって、空気流通孔として機能するものである。但し、この大溝2kを、上記容器1の凸部1iと嵌め込まれるように設けることによって、塗布先2の容器1の軸心を中心とした回転ズレを防止するようになすこともできる。
【0011】
塗布先2の円錐部2j後端から後方に塗布液の流通部である細い略円柱状の細円柱部2dを設けている。
【0012】
塗布先2において、基部である円柱部2cと、塗布液の流通部である細円柱部2dとに渡って、前記大溝2kの軸心方向に、さらに片側3本、両側で6本の凹状の小溝2lを設けている。この小溝2lは、塗布液流通路であり、溝幅を0.2mm以下となしている。
【0013】
塗布先2の円柱部2c前端近くに、凹状の横溝2mを2本設けている(図5〜図7参照)。さらに、この横溝2mから前方に片側6本、両側で12本の先溝2nを設けている。この横溝2m及び先溝2nの溝幅は、どちらも0.2mm以下となしている。そして、この横溝2m及び先溝2nは基部の塗布液流通路であり、上記流通部の流通路と大きさが対応している。
【0014】
容器1の大径部1c内側には、ポリエステル繊維製の中綿である塗布液保持体3を配置している。塗布液保持体3の外周には、ポリプロピレン、ポリエチレン等のフィルム4を被覆している。塗布液保持体3前方には、塗布先2の細円柱部2dを挿入している。さらに、塗布液保持体3内には、水性または油性の塗布液を保持させている。
容器1は、その内壁に放射状リブ1g及び縦リブ1hを設けているので、フィルム4で巻かれた塗布液保持体3外壁と容器1大径部1c内壁とは少なくとも離れている部分がある。このため、前記大溝2kを通して塗布具外部と内部とが連通し、容器1大径部1c内部の圧力は大気圧と同等になり、塗布液の漏れが発生しない。
【0015】
参照符号5はキャップであり、このキャップ5は、塗布先2を覆うように、容器1前方の中径部1bに摺接しながら、容器1の外段部1dとキャップ後端とが当接するよう容器1に嵌合する。
【0016】
本第一実施例の作用効果について説明する。
塗布液保持体内の塗布液は、塗布液の流通部である細円柱部に設けた、塗布液流通路である小溝から、基部である円柱部を通って、塗布部に供給される。
この時、流通部に形成された塗布液流通路と基部に形成された塗布液流通路とは対応しているので、塗布液の流通量は一定である。
尚、本実施例では塗布液を塗布液保持体に含浸させた構造で説明したが、塗布液保持体を用いない、所謂生インキ式塗布具に採用することもできる。
【0017】
図8〜図10に第二実施例を示す。図8は塗布先12の正面図であり、図9は塗布先の上面拡大図であり、図10は基部の底面拡大図である。
塗布先12は、上面から見て略二等辺三角形の塗布部12bと、上面から見て略二等辺三角形の基部12oと、塗布液流通部である円柱部12cとが一体に成形されたものである。
塗布部12bは、たわみ変形が可能で横断面が楕円形の塗布片12aを上面から見て略二等辺三角形状となすように千鳥状配列で多数並べたものである。
基部12oは、塗布片12a後端全てが繋がるように形成したものである。
塗布液流通部である円柱部12cは、略円柱形のものを2本形成したものである。
【0018】
塗布液流通部である円柱部12c周囲には、片側2本、全部で8本の塗布液流通路である溝12pを、その溝幅が0.2mm以下となるようにして設けている。
基部12oの上面から見て略二等辺三角形状の長辺側には、片側2本、全部で8本の塗布液流通路である先溝12nを、その溝幅が0.2mm以下となるようにして設けている。
【0019】
本第二実施例の作用効果は、第一実施例と同様、流通部に形成された塗布液流通路と基部に形成された塗布液流通路とが対応しているので、塗布液の流通量は一定である。
【0020】
図11〜図13に第三実施例を示す。
図11は塗布先22の正面図であり、図12は図11のX−X線拡大断面図であり、図13は図11のY−Y線拡大断面図である。
塗布先22は、上面から見て全体が丸筆穂状の塗布部22bと、上面から見て略円形の基部22oと、塗布液流通部である円柱部22cとが一体に成形されたものである。
塗布部22bは、前方がたわみ変形が可能で横断面が円形の塗布片22aを多数形成したものである。
基部12oは、塗布片12a後端全てが繋がるように形成したものである。
円柱部22cは、基部12oの中心付近から後方に伸びる15本の円柱形の円柱で、形成されている。
【0021】
塗布液流通部である円柱部22cは、塗布液流通路が円柱と円柱との間の間隙によって形成され、その間隔は最大0.3mmとなるようにした。
基部22oには、中心部付近に基部を貫通する孔22qを形成し、この孔22qの直径は0.3mm以下となるようにした。
【0022】
本第三実施例の作用効果は、第一実施例と同様、流通部に形成された塗布液流通路と基部に形成された塗布液流通路とが対応しているので、塗布液の流通量は一定である。
【0023】
【発明の効果】
本発明の塗布具は、内部に塗布液の収容部を設けた容器の開口部前方に、たわみ変形可能な多数の塗布片からなる塗布部と、この塗布片の後端を連結した基部と、塗布液の流通部とを一体に成形した塗布先を取り付けてなる塗布具であって、前記基部と流通部とに対応する塗布液流通路を前記基部の後方に設けると共に、前記塗布液流通路に凹状の溝を設け、また、その塗布液流通路を前記収容部に配置した塗布液保持体に挿入しているので、別体の塗布体と液導芯とを連設する従来の塗布具に比較して、塗布液吐出量が不足するものが生じないといった長所を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施例の正面要部縦断面図である。
【図2】 第1実施例の側面要部縦断面図である。
【図3】 第1実施例のキャップを除いた上面図である。
【図4】 塗布先の底面拡大図である。
【図5】 塗布先の正面要部拡大図である。
【図6】 塗布先の側面要部拡大図である。
【図7】 塗布先の要部拡大図である。
【図8】 第二実施例の塗布先の正面図である。
【図9】 塗布先の上面拡大図である。
【図10】 塗布先の底面拡大図である。
【図11】 第三実施例の塗布先の正面図である。
【図12】 図11のX−X線拡大断面図である。
【図13】 図11のY−Y線拡大断面図である。
【符号の説明】
1 容器
2 塗布先
12 塗布先
22 塗布先
2b 塗布部
12b 塗布部
22b 塗布部
2l 小溝
2m 横溝
2n 先溝
12n 先溝
12p 溝
Claims (1)
- 内部に塗布液の収容部を設けた容器の開口部前方に、たわみ変形可能な多数の塗布片からなる塗布部と、この塗布片の後端を連結した基部と、塗布液の流通部とを一体に成形した塗布先を取り付けてなる塗布具であって、前記基部と流通部とに対応する塗布液流通路を前記基部の後方に設けると共に、前記塗布液流通路に凹状の溝を設け、また、その塗布液流通路を前記収容部に配置した塗布液保持体に挿入したことを特徴とする塗布具。
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