JP3596154B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具は、所謂生インキ式の筆記具とよばれ、大容量のインキを収容するインキタンクを使用できると共にペン先への豊富なインキ供給をなすことができ、みずみずしい筆跡が得られるものとして知られている。しかしながら、大量のインキをペン先に供給するがゆえに、インキ洩れやインキ不足などのインキ制御には細心の注意を払い設計されている。
【0003】
即ち、生インキ式筆記具であって、インキの流通制御部材として一時的インキ溜め部材を有してなるものは、インキタンク内のインキをペン先に供給するに際して一時的インキ溜め部材と筆記具本体との間の空間を通して外気をインキタンク内に供給し、インキタンク内が負圧化しないようになしている。よって、基本的に一時的インキ溜め部材と筆記具本体とを実質的に接続するペン先ホルダー部に外気と連通する空気孔の開口部を形成しているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一時的インキ溜め部材は、毛細管力を有する断面櫛歯状部分の櫛歯間空間を過剰なインキが一時的に溜る部分としてある。よって、前述のインキタンク内に空気を供給する部分である一時的インキ溜め部材と筆記具本体との間の空間に対して開放されている。即ち、一時的インキ溜め部材の櫛歯間空間に溜ったインキは毛細管力で保持されているのみであり、外界に連通する空間に対して開放する部位に存在していることになる。よって、筆記具自体に衝撃が付与されると一時的インキ溜め部材が一時的に溜めているインキは容易に外界と連通する空間に飛散することになる。飛散したインキは筆記具本体の内壁に付着し、そのまま空気の連通する空間を通じて外界にインキ洩れとして現れることになるという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、「インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先ホルダーに取り付けたペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具において、前記一時的インキ溜め部材の中間部であって前記一時的インキ溜め部に前記櫛歯の存在しない弱毛細管力部を形成し、この弱毛細管力部に前記ペン先ホルダーの先端に開口する空気置換のための空気流通孔を形成すると共に、前記櫛歯間を連通せしめる空気流通溝とスリットを形成し、前記弱毛細 管力部に空気流通溝を開口せしめたことを特徴とする筆記具。」を要旨とする。
【0006】
【作用】
先ず、インキタンクに空気を供給するための空気通路は、直接的に空気流通路の開口部に連通しないようになす。即ち、一時的インキ溜め部材の中腹部分に形成したインキの存在しにくい部分に開口させる。この部分を毛細管力を発揮するような櫛歯を形成せずに弱毛細管力部とするのはこのためである。本来は毛細管力の全くない部分とすることが好ましいが、実際的ではないので弱毛細管力部とした。また、この弱毛細管力部も一時的インキ溜め部とスリットで連通させ、万一インキが浸入しても速やかに他の一時的インキ溜め部にインキが移動し、空気流通孔まで達しないものである。
【0007】
【実施例】
以下、図面に基づき一例について説明する。図1に示すものは、外装体(図示せず)内に収納して使用する、所謂筆記具のリフィルの例である。自由状態のインキを内蔵する金属製の有底筒体1内の開口部側にペン先ホルダー部2と一時的インキ溜め部3とからなる一時的インキ溜め部材4を取り付け、底側をインキタンク部5とし、一時的インキ溜め部材4のペン先ホルダー部2に継ぎ手パイプ6を介してボールペンチップ7を取り付けている。一時的インキ溜め部材4は、金属製の有底筒体1の塑性変形により縮径された内包突部8に嵌合することで固定されている。また、繊維集束体よりなるインキ中継芯9がボールペンチップ7の内孔より一時的インキ溜め部材4の中心孔10を経てインキタンク部5に達している。
【0008】
一時的インキ溜め部材4は、一時的インキ溜め部3として複数の櫛歯11を有しており各櫛歯間の空間12及び中心孔10に連通するスリット13が形成されている。温度変化などでインキタンク部5に圧力がかかった場合、圧力に押し出される過剰なインキはインキ中継芯9を経てボールペンチップ7には供給されずにスリット13を経て櫛歯11間の空間12に一時的に溜められる。
【0009】
また、前記スリット13とは別に、筆記に供したインキの体積分インキタンク部5内に空気を供給するための空気流通溝14が各櫛歯間の空間12に連通して形成されている。空気流通溝14は、各櫛歯間の空間12とインキタンク部5とのインキの移動部分であるスリット13とは異なり、毛細管力が働きにくい空間としており、インキが存在して空気の流通が阻害されないようになしてある。
【0010】
本例の場合、粘度10cps以下、表面張力20〜50dyn/cm程度の水性顔料インキとアクリロニトリルブタジエンスチレン製の一時的インキ溜め部材4を使用しており、一時的インキ溜め部材4に対するインキの接触角は20°〜50°程度であり、毛細管力によるインキ保持能力を考慮して、櫛歯11間の距離(空間12の幅)及びスリット13の幅は0.1mm〜0.5mm程度に設定されている。
【0011】
図1のI部拡大図である図2に示すように、このような櫛歯11の形成されている一時的インキ溜め部3に櫛歯11間の距離の広い部分が弱毛細管部15として形成されている。弱毛細管部15は、他の櫛歯間空間12やスリット13に比してインキ保持能力が殆どなく、相対的にインキの存在し難い部分となっている。ちなみに、本例のものでは、弱毛細管部15の幅が1.0mmに設定してある。また、図2のA−A方向断面矢視図である図3に示すように、この弱毛細管部15には、ペン先ホルダー部2の先端に開口する空気流通孔16が開口している。空気流通溝14のペン先ホルダー部2の先端の開口部分は、継ぎ手パイプ6の全周に渡り開口している。
【0012】
このような筆記具は、通常、ペン先が下でインキタンク部が上になるような形で使用される。上述のごとく、インキタンク部5に圧力がかかった場合の過剰インキはスリット13を介して櫛歯間空間12に溜められる。
【0013】
この際、衝撃などが付与されると、櫛歯間空間12に溜められたインキが飛散して有底筒体1の内壁1aに付着する。内壁1aに付着したインキは、規制を受けていないので、内壁1aを伝って引力によりペン先側に落ちていくことになる。有底筒体1の最もペン先側部分である開口部は、ペン先ホルダー部3により密閉されており、ここからインキが外部に洩れ出すことはない。
【0014】
また、前述の弱毛細管部15は、有底筒体1の開口部相当部分である一時的インキ溜め部3の最もペン先側部分には形成しない。この部分に形成すると内壁1aに付着したインキにより侵されることになるからである。よって、一時的インキ溜め部3の最もペン先側部分には櫛歯間空間12が形成され、内壁1aに付着したインキが有底筒体1の開口部近傍にまで達しても該部に位置する櫛歯間空間12及びスリット13に取り込まれることになる。即ち、空気流通孔16が開口している弱毛細管部15に浸入することはなく、空気流通孔16よりインキ洩れが発生することが極力抑制されるものである。
【0015】
図4〜図6に他の一例を示す。前述した例と基本的な構造は変わらないが、外界に開放する空気流通孔16とインキタンク部5へ空気を供給する空気流通溝14及びスリット13の位置関係を工夫してインキ洩れを更に抑制したものとした例である。即ち、B−B線矢視図である図5及びC−C線矢視図である図6に示すように、空気流通孔16には毛細管力が比較的強いスリット13を開口し、毛細管力が弱い空気流通溝14は空気流通孔16と最も離れた位置関係となるようになしたものである。衝撃等によって筒体1の内壁に付着したインキは重力によってペン先側に移動し得るが、この際、空気流通溝14は毛細管力が弱くインキを保持する能力がほとんどない空間であるので、内壁に付着したインキがこの空気流通溝14部分を通って移動しやすい。通常は空気流通孔16の開口する弱毛細管部15及びスリット13により空気流通孔16にインキが達しないようになしているが、更なる衝撃や遠心力などが付与された場合、空気流通溝14を経たインキが空気流通孔16に移動してしまう可能性もでてくる。よって、万一、空気流通溝14を経たインキが空気流通孔16の開口する弱毛細管部15にまで達したとしても、空気流通孔16に達するまでには距離がありその分だけインキ洩れを抑制し得るものとなっている。尚、図4においては、スリット13及び空気流通溝14が表れないが、それぞれ破線にて示した。図面に向かって左側がスリット13を示す破線であり、向かって右側が空気流通溝14を示す破線である。
【0016】
更に他の一例を図7及び図8に示すが、前述の図5及び部6に対応する断面矢視図である。本例は、空気流通溝14の空気流通機能を損なわずに、筒体1の壁面に付着したインキが空気流通溝14へ達しても空気流通孔16の開口する弱毛細管部15にまで達しないようになした一例である。即ち、空気流通溝14とスリット13とを同じ位置に形成し両者を連通したものである。よって、空気流通溝14にインキが達したとしても比較的強い毛細管力を有する部分であるスリットにインキが回収され得るものである。
【0017】以上の他にも本発明の要旨を逸脱しない限りで種々なせるものである。一例を挙げると、図示した例では、ボールペンペン先を有するリフィルとして示したが、外装体を用いずに、それ単体で筆記具とするものでもよいし、ペン先としては、フェルトペン、連通多孔を有する合成樹脂製ペン先等でもよい。また、有底筒体1も金属の他に合成樹脂の成型品としても良く、後端部に尾栓を取り付けてなるものとしても良い。一時的インキ溜め部材4は、アクリロニトリルブタジエンスチレンの他にアクリロニトリルスチレン、スチレン、ポリオキシメチレンなどを例示でき、インキに対する濡れ性を考慮して、親インキ処理などの表面処理を施しても良い。また、弱毛細管部15を形成するに当っては、櫛歯間の広い部分を形成する他に、部分的に発インキの表面処理をおこなったり、該部の表面形状を周辺に比べて鏡面状にするなどすることもできる。
【0018】
【発明の効果】
以上より、本発明は、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先ホルダーに取り付けたペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具において、前記一時的インキ溜め部材の中間部であって前記一時的インキ溜め部に前記櫛歯の存在しない弱毛細管力部を形成し、この弱毛細管力部に前記ペン先ホルダーの先端に開口する空気置換のための空気流通孔を形成すると共に、前記櫛歯間を連通せしめる空気流通溝とスリットを形成し、前記弱毛細管力部に空気流通溝を開口せしめているので、断面櫛歯状の一時的インキ溜め部材を採用した生インキ式の筆記具でありながら衝撃等が付与されてもインキ洩れの発生しにくいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を示す断面図。
【図2】図1のI部拡大図。
【図3】図2のA−A方向断面矢視図。
【図4】他の実施例を示す要部拡大断面図。
【図5】図4のB−B方向断面矢視図。
【図6】図4のC−C方向断面矢視図。
【図7】更に他の実施例を示す図5相当図。
【図8】図7に示す実施例の図6相当図。
【符号の説明】
1 筒体
1a 内壁
2 ペン先ホルダー部
3 一時的インキ溜め部
4 一時的インキ溜め部材
5 インキタンク部
6 継ぎ手パイプ
7 ボールペンチップ
8 内包突部
9 インキ中継芯
10 中心孔
11 櫛歯
12 空間
13 スリット
14 空気流通溝
15 弱毛細管部
16 空気流通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具は、所謂生インキ式の筆記具とよばれ、大容量のインキを収容するインキタンクを使用できると共にペン先への豊富なインキ供給をなすことができ、みずみずしい筆跡が得られるものとして知られている。しかしながら、大量のインキをペン先に供給するがゆえに、インキ洩れやインキ不足などのインキ制御には細心の注意を払い設計されている。
【0003】
即ち、生インキ式筆記具であって、インキの流通制御部材として一時的インキ溜め部材を有してなるものは、インキタンク内のインキをペン先に供給するに際して一時的インキ溜め部材と筆記具本体との間の空間を通して外気をインキタンク内に供給し、インキタンク内が負圧化しないようになしている。よって、基本的に一時的インキ溜め部材と筆記具本体とを実質的に接続するペン先ホルダー部に外気と連通する空気孔の開口部を形成しているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一時的インキ溜め部材は、毛細管力を有する断面櫛歯状部分の櫛歯間空間を過剰なインキが一時的に溜る部分としてある。よって、前述のインキタンク内に空気を供給する部分である一時的インキ溜め部材と筆記具本体との間の空間に対して開放されている。即ち、一時的インキ溜め部材の櫛歯間空間に溜ったインキは毛細管力で保持されているのみであり、外界に連通する空間に対して開放する部位に存在していることになる。よって、筆記具自体に衝撃が付与されると一時的インキ溜め部材が一時的に溜めているインキは容易に外界と連通する空間に飛散することになる。飛散したインキは筆記具本体の内壁に付着し、そのまま空気の連通する空間を通じて外界にインキ洩れとして現れることになるという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、「インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先ホルダーに取り付けたペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具において、前記一時的インキ溜め部材の中間部であって前記一時的インキ溜め部に前記櫛歯の存在しない弱毛細管力部を形成し、この弱毛細管力部に前記ペン先ホルダーの先端に開口する空気置換のための空気流通孔を形成すると共に、前記櫛歯間を連通せしめる空気流通溝とスリットを形成し、前記弱毛細 管力部に空気流通溝を開口せしめたことを特徴とする筆記具。」を要旨とする。
【0006】
【作用】
先ず、インキタンクに空気を供給するための空気通路は、直接的に空気流通路の開口部に連通しないようになす。即ち、一時的インキ溜め部材の中腹部分に形成したインキの存在しにくい部分に開口させる。この部分を毛細管力を発揮するような櫛歯を形成せずに弱毛細管力部とするのはこのためである。本来は毛細管力の全くない部分とすることが好ましいが、実際的ではないので弱毛細管力部とした。また、この弱毛細管力部も一時的インキ溜め部とスリットで連通させ、万一インキが浸入しても速やかに他の一時的インキ溜め部にインキが移動し、空気流通孔まで達しないものである。
【0007】
【実施例】
以下、図面に基づき一例について説明する。図1に示すものは、外装体(図示せず)内に収納して使用する、所謂筆記具のリフィルの例である。自由状態のインキを内蔵する金属製の有底筒体1内の開口部側にペン先ホルダー部2と一時的インキ溜め部3とからなる一時的インキ溜め部材4を取り付け、底側をインキタンク部5とし、一時的インキ溜め部材4のペン先ホルダー部2に継ぎ手パイプ6を介してボールペンチップ7を取り付けている。一時的インキ溜め部材4は、金属製の有底筒体1の塑性変形により縮径された内包突部8に嵌合することで固定されている。また、繊維集束体よりなるインキ中継芯9がボールペンチップ7の内孔より一時的インキ溜め部材4の中心孔10を経てインキタンク部5に達している。
【0008】
一時的インキ溜め部材4は、一時的インキ溜め部3として複数の櫛歯11を有しており各櫛歯間の空間12及び中心孔10に連通するスリット13が形成されている。温度変化などでインキタンク部5に圧力がかかった場合、圧力に押し出される過剰なインキはインキ中継芯9を経てボールペンチップ7には供給されずにスリット13を経て櫛歯11間の空間12に一時的に溜められる。
【0009】
また、前記スリット13とは別に、筆記に供したインキの体積分インキタンク部5内に空気を供給するための空気流通溝14が各櫛歯間の空間12に連通して形成されている。空気流通溝14は、各櫛歯間の空間12とインキタンク部5とのインキの移動部分であるスリット13とは異なり、毛細管力が働きにくい空間としており、インキが存在して空気の流通が阻害されないようになしてある。
【0010】
本例の場合、粘度10cps以下、表面張力20〜50dyn/cm程度の水性顔料インキとアクリロニトリルブタジエンスチレン製の一時的インキ溜め部材4を使用しており、一時的インキ溜め部材4に対するインキの接触角は20°〜50°程度であり、毛細管力によるインキ保持能力を考慮して、櫛歯11間の距離(空間12の幅)及びスリット13の幅は0.1mm〜0.5mm程度に設定されている。
【0011】
図1のI部拡大図である図2に示すように、このような櫛歯11の形成されている一時的インキ溜め部3に櫛歯11間の距離の広い部分が弱毛細管部15として形成されている。弱毛細管部15は、他の櫛歯間空間12やスリット13に比してインキ保持能力が殆どなく、相対的にインキの存在し難い部分となっている。ちなみに、本例のものでは、弱毛細管部15の幅が1.0mmに設定してある。また、図2のA−A方向断面矢視図である図3に示すように、この弱毛細管部15には、ペン先ホルダー部2の先端に開口する空気流通孔16が開口している。空気流通溝14のペン先ホルダー部2の先端の開口部分は、継ぎ手パイプ6の全周に渡り開口している。
【0012】
このような筆記具は、通常、ペン先が下でインキタンク部が上になるような形で使用される。上述のごとく、インキタンク部5に圧力がかかった場合の過剰インキはスリット13を介して櫛歯間空間12に溜められる。
【0013】
この際、衝撃などが付与されると、櫛歯間空間12に溜められたインキが飛散して有底筒体1の内壁1aに付着する。内壁1aに付着したインキは、規制を受けていないので、内壁1aを伝って引力によりペン先側に落ちていくことになる。有底筒体1の最もペン先側部分である開口部は、ペン先ホルダー部3により密閉されており、ここからインキが外部に洩れ出すことはない。
【0014】
また、前述の弱毛細管部15は、有底筒体1の開口部相当部分である一時的インキ溜め部3の最もペン先側部分には形成しない。この部分に形成すると内壁1aに付着したインキにより侵されることになるからである。よって、一時的インキ溜め部3の最もペン先側部分には櫛歯間空間12が形成され、内壁1aに付着したインキが有底筒体1の開口部近傍にまで達しても該部に位置する櫛歯間空間12及びスリット13に取り込まれることになる。即ち、空気流通孔16が開口している弱毛細管部15に浸入することはなく、空気流通孔16よりインキ洩れが発生することが極力抑制されるものである。
【0015】
図4〜図6に他の一例を示す。前述した例と基本的な構造は変わらないが、外界に開放する空気流通孔16とインキタンク部5へ空気を供給する空気流通溝14及びスリット13の位置関係を工夫してインキ洩れを更に抑制したものとした例である。即ち、B−B線矢視図である図5及びC−C線矢視図である図6に示すように、空気流通孔16には毛細管力が比較的強いスリット13を開口し、毛細管力が弱い空気流通溝14は空気流通孔16と最も離れた位置関係となるようになしたものである。衝撃等によって筒体1の内壁に付着したインキは重力によってペン先側に移動し得るが、この際、空気流通溝14は毛細管力が弱くインキを保持する能力がほとんどない空間であるので、内壁に付着したインキがこの空気流通溝14部分を通って移動しやすい。通常は空気流通孔16の開口する弱毛細管部15及びスリット13により空気流通孔16にインキが達しないようになしているが、更なる衝撃や遠心力などが付与された場合、空気流通溝14を経たインキが空気流通孔16に移動してしまう可能性もでてくる。よって、万一、空気流通溝14を経たインキが空気流通孔16の開口する弱毛細管部15にまで達したとしても、空気流通孔16に達するまでには距離がありその分だけインキ洩れを抑制し得るものとなっている。尚、図4においては、スリット13及び空気流通溝14が表れないが、それぞれ破線にて示した。図面に向かって左側がスリット13を示す破線であり、向かって右側が空気流通溝14を示す破線である。
【0016】
更に他の一例を図7及び図8に示すが、前述の図5及び部6に対応する断面矢視図である。本例は、空気流通溝14の空気流通機能を損なわずに、筒体1の壁面に付着したインキが空気流通溝14へ達しても空気流通孔16の開口する弱毛細管部15にまで達しないようになした一例である。即ち、空気流通溝14とスリット13とを同じ位置に形成し両者を連通したものである。よって、空気流通溝14にインキが達したとしても比較的強い毛細管力を有する部分であるスリットにインキが回収され得るものである。
【0017】以上の他にも本発明の要旨を逸脱しない限りで種々なせるものである。一例を挙げると、図示した例では、ボールペンペン先を有するリフィルとして示したが、外装体を用いずに、それ単体で筆記具とするものでもよいし、ペン先としては、フェルトペン、連通多孔を有する合成樹脂製ペン先等でもよい。また、有底筒体1も金属の他に合成樹脂の成型品としても良く、後端部に尾栓を取り付けてなるものとしても良い。一時的インキ溜め部材4は、アクリロニトリルブタジエンスチレンの他にアクリロニトリルスチレン、スチレン、ポリオキシメチレンなどを例示でき、インキに対する濡れ性を考慮して、親インキ処理などの表面処理を施しても良い。また、弱毛細管部15を形成するに当っては、櫛歯間の広い部分を形成する他に、部分的に発インキの表面処理をおこなったり、該部の表面形状を周辺に比べて鏡面状にするなどすることもできる。
【0018】
【発明の効果】
以上より、本発明は、インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先ホルダーに取り付けたペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具において、前記一時的インキ溜め部材の中間部であって前記一時的インキ溜め部に前記櫛歯の存在しない弱毛細管力部を形成し、この弱毛細管力部に前記ペン先ホルダーの先端に開口する空気置換のための空気流通孔を形成すると共に、前記櫛歯間を連通せしめる空気流通溝とスリットを形成し、前記弱毛細管力部に空気流通溝を開口せしめているので、断面櫛歯状の一時的インキ溜め部材を採用した生インキ式の筆記具でありながら衝撃等が付与されてもインキ洩れの発生しにくいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を示す断面図。
【図2】図1のI部拡大図。
【図3】図2のA−A方向断面矢視図。
【図4】他の実施例を示す要部拡大断面図。
【図5】図4のB−B方向断面矢視図。
【図6】図4のC−C方向断面矢視図。
【図7】更に他の実施例を示す図5相当図。
【図8】図7に示す実施例の図6相当図。
【符号の説明】
1 筒体
1a 内壁
2 ペン先ホルダー部
3 一時的インキ溜め部
4 一時的インキ溜め部材
5 インキタンク部
6 継ぎ手パイプ
7 ボールペンチップ
8 内包突部
9 インキ中継芯
10 中心孔
11 櫛歯
12 空間
13 スリット
14 空気流通溝
15 弱毛細管部
16 空気流通孔
Claims (1)
- インキタンクに自由状態で収容したインキをペン先ホルダーに取り付けたペン先に供給するための流通制御部材として縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部を有する一時的インキ溜め部材を有してなる筆記具において、前記一時的インキ溜め部材の中間部であって前記一時的インキ溜め部に前記櫛歯の存在しない弱毛細管力部を形成し、この弱毛細管力部に前記ペン先ホルダーの先端に開口する空気置換のための空気流通孔を形成すると共に、前記櫛歯間を連通せしめる空気流通溝とスリットを形成し、前記弱毛細管力部に空気流通溝を開口せしめたことを特徴とする筆記具。
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JP10428996A JP3596154B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | 筆記具 |
Publications (2)
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JPH09267594A JPH09267594A (ja) | 1997-10-14 |
JP3596154B2 true JP3596154B2 (ja) | 2004-12-02 |
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Family Applications (1)
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JP10428996A Expired - Fee Related JP3596154B2 (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | 筆記具 |
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Families Citing this family (7)
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