JP4213198B1 - 多孔質電鋳殻の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電鋳液中における電鋳層の形成と、予め母型(又は他部材)の表面に付着させた粒子の電鋳液中への溶け出しとが同時進行することによって、工程数や製造時間の軽減を図り、通気孔の形成位置を安定化することのできる多孔質電鋳殻の製造方法を提供する。
【解決手段】 電鋳処理が開始されると、ホウ酸粒子2の存在部分を除く銀めっき膜5の表面にスルファミン酸ニッケル水溶液から析出したニッケルが電着してニッケル析出層9を形成する。それと同時進行する形で、ホウ酸粒子2はスルファミン酸ニッケル水溶液中に徐々に溶け出していく。やがて、ホウ酸粒子2はほぼ全部がスルファミン酸ニッケル水溶液中に溶け出し、それに置き換わる形で、通気孔10がニッケル析出層9に形成される。その後もニッケル析出層9及び通気孔10は銀めっき膜5上に成長を続け、多孔質電鋳殻11が完成する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、例えば真空成形、ブロー成形等によって、自動車用内装部品のような高分子材料製品等を成形する際に、真空成形型、ブロー成形型等に用いられる多孔質電鋳殻の製造方法に関する。
従来より、自動車用内装部品(例えば、インストルメントパネル、ドアパネル)等を真空成形、ブロー成形等によって成形する際に、厚さ方向に貫通する複数の通気孔が形成された多孔質電鋳殻で成形型を構成することが知られている。このような多孔質電鋳殻を成形型に用いることによって、成形型に対する成形材料の密着性を向上させ、母型表面の形状や模様を成形品に転写しやすくなる。そのため、多孔質電鋳殻の製造方法に関する多くの技術が開示されている。
例えば、第一の手段として、母型の表面に塗布された導電膜に凹部を形成したり(特許文献1参照)、針状体を差し込んだり(特許文献2参照)してから電鋳液に浸漬することによって、電鋳殻に通気孔を形成する技術が提案されている。また、第二の手段として、母型の表面に塗布される導電膜に絶縁物質(塩化ビニルラッカー液等)を混入したり(特許文献3参照)、導電膜の表面に電鋳層を形成するための電鋳液にレベリングレス剤を混入したり(特許文献4参照)することによって、電鋳殻に通気孔を形成する技術が提案されている。さらに、第三の手段として、導電膜の表面にポリスチレン粒子を密着させ、電鋳液中にて電鋳層を形成した後、ポリスチレン粒子を除去(溶出)して通気孔を形成する技術も提案されている(特許文献5,6参照)。
特許第3012387号公報 特開平6−63958号公報 特公平2−14434号公報 特許第3298287号公報 特公平1−51554号公報 特開平7−173667号公報
ところが、第一の手段(特許文献1,2)では、導電膜での穴あけ工程や、針状体の差込・除去工程を要する。次に、第二の手段(特許文献3,4)では、通気孔の形成位置が極めて不安定となり、成形時の精度が悪化する。そして、第三の手段(特許文献5,6)では、電鋳層の形成後にポリスチレン粒子の除去(溶出)工程を要する上、ポリスチレン粒子の除去が不十分であると成形時の精度が悪化する。
本発明の課題は、電鋳液中における電鋳層の形成と、予め母型(又は他部材)の表面に付着させた粒子の電鋳液中への溶け出しとが同時進行することによって、工程数や製造時間の軽減を図り、通気孔の形成位置を安定化することのできる多孔質電鋳殻の製造方法を提供することにある。また、電鋳液中にpH緩衝液として含まれるホウ酸を母型又は導電膜の表面に付着することにより、電鋳液中のホウ酸濃度にかかわりなく、その付着位置に対応して電鋳層に複数の通気孔を容易に形成することのできる多孔質電鋳殻の製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明の多孔質電鋳殻の製造方法の第一は、
少なくとも表層部分が非導電性とされた母型の表面に対して直接又は非導電性の他部材を介して間接的に、非導電性かつ水溶性の無機質固体粒子を規則的な又は不規則な配列形態にて分散して付着させる粒子付着工程と、
前記無機質固体粒子との付着部分を除く前記母型又は前記他部材の表面に、その無機質固体粒子の高さよりも薄く導電膜を形成する導電膜形成工程と、
金属イオンを含む電解質溶液である電鋳液中において、前記無機質固体粒子の存在部分を除く前記導電膜の表面に前記電鋳液から析出した金属が電着して電鋳層を形成するとともに、前記無機質固体粒子が前記電鋳液中に徐々に溶け出して、前記電鋳層の厚さ方向に貫通する複数の通気孔が前記電鋳層に形成される電鋳殻形成工程と、
を含むことを特徴とする。
このように、電鋳液中における電鋳層の形成と、予め母型や他部材(例えば厚さ0.1mm〜1mmのシート状部材)の表面に付着させた無機質固体粒子の電鋳液中への溶け出しとを同時進行させることによって、工程数や製造時間を軽減することができる。また、電鋳液への浸漬前であって導電膜の形成前に無機質固体粒子を母型や他部材の表面に付着することによって、通気孔(例えば孔径0.1mm〜1mm)の形成位置を安定化することができる。したがって、このようにして製造された多孔質電鋳殻を成形型に用いることによって、成形型に対する成形材料の密着性が安定し、母型表面の形状や模様を成形品に精密に転写することができる。なお、母型や他部材の表面、又は球状の無機質固体粒子(例えば平均粒径数十μm〜1mm)に、接着剤(例えば水溶性の糊)を塗布(コーティング)することによって、無機質固体粒子を母型又は他部材の表面に定着させることが望ましい。
ところで、非導電性の母型素材として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂材料(高分子材料)の他、固形ワックス、石膏、木材、セラミックス等を例示することができる。また、導電膜は、銀鏡反応、無電解めっき、銀、銅、アルミニウム等の導電粉ペーストの塗布、真空蒸着、スパッタリング等によって所定の厚さ(例えば数μm〜数十μm)に形成される。さらに、所定厚さ(例えば数mm〜20mm)の電鋳層を形成する電着金属には、例えば、ニッケル、クロム、銅やそれらの合金が用いられる。
そして、粒子付着工程における母型又は他部材の表面に付着する無機質固体粒子と、電鋳殻形成工程で使用する電鋳液とは、共通する成分を含有していることが望ましい。
これによって、電鋳殻形成工程で無機質固体粒子が電鋳液中へ溶け出すことにより、電鋳層とともに通気孔も成長を続けることができる。また、無機質固体粒子が電鋳液中へ溶け出しても電鋳液や電鋳層の成分を変化させることがないため、一定品質の多孔質電鋳殻が得られる。さらに、母型又は他部材の表面から遠ざかるにつれて、通気孔の開口面積(孔径)が大きくなるように形成(拡径)する場合には、成形時における成形材料の密着性を向上させることができる。
具体的には、無機質固体粒子と電鋳液とが共通して含有する成分を、電鋳液においてpHを安定させるためにpH緩衝液として溶解しているホウ酸とすることができる。
例えばニッケルを析出する際の電鋳液として広く用いられるスルファミン酸ニッケル水溶液には、もともとホウ酸(HBO)がpH緩衝液(pH安定剤)として溶解している。したがって、電鋳殻形成工程でホウ酸が電鋳液中に溶け出して液中のホウ酸濃度が高くなっても、電鋳液には特に変化が起こらないので、電鋳液を繰り返し使用することができる。また、電鋳層(ニッケル析出層)の成長速度に与える影響も小さい。
また、電鋳殻形成工程において、無機質固体粒子(ホウ酸粒子)が電鋳液(スルファミン酸ニッケル水溶液)中にすべて溶解した後も、電鋳層(ニッケル析出層)及び通気孔は導電膜上に継続して成長できる。
つまり、電鋳殻形成工程において、電鋳層(ニッケル析出層)は、その厚さが無機質固体粒子(ホウ酸粒子)の高さよりも大きくなるまで成長できる。
したがって、無機質固体粒子(ホウ酸粒子)の粒径(高さ)を小さくして通気孔の孔径を小さく形成した場合でも、電鋳層(ニッケル析出層)に所定の厚さを確保して多孔質電鋳殻の強度低下を防止できる。
一方、上記課題を解決するために、本発明の多孔質電鋳殻の製造方法の第二は、
少なくとも表層部分が非導電性とされた母型の表面に導電膜を形成する導電膜形成工程と、
その導電膜形成工程の前又は後において、前記母型又は導電膜の表面にホウ酸粒子を規則的な又は不規則な配列形態にて分散して付着させる粒子付着工程と、
金属イオンを含む電解質溶液であって、pHを安定させるためのpH緩衝液としてホウ酸が溶解する電鋳液中に、少なくとも前記ホウ酸粒子の一部が前記導電膜から露出する状態で浸漬し、前記ホウ酸粒子の存在部分を除く前記導電膜の表面に前記電鋳液から析出した金属が電着して電鋳層を形成するとともに、前記ホウ酸粒子の付着位置に対応して、前記電鋳層の厚さ方向に貫通する複数の通気孔が前記電鋳層に形成される電鋳殻形成工程と、
を含むことを特徴とする。
このように、電鋳液中にpH緩衝液(pH安定剤)として含まれるホウ酸(HBO)を母型又は導電膜の表面に付着することにより、電鋳液中のホウ酸濃度にかかわりなく、その付着位置に対応して電鋳層に複数の通気孔を容易に形成することができる。したがって、電鋳液中にホウ酸がほぼ飽和状態で溶解している場合であっても、電鋳層及び通気孔の成長は阻害されない。
上記したように、例えばニッケルを析出する際の電鋳液として広く用いられるスルファミン酸ニッケル水溶液には、もともとホウ酸(HBO)がpH緩衝液(pH安定剤)として溶解している。したがって、粒子付着工程で母型又は導電膜の表面に付着したホウ酸が、電鋳殻形成工程で仮に電鋳液中に溶け出して液中のホウ酸濃度が高くなった場合であっても、電鋳液には特に変化が起こらないので、電鋳液を繰り返し使用することができる。また、電鋳層(ニッケル析出層)の成長速度に与える影響も小さい。
(実施例1)
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。本発明に係る多孔質電鋳殻の製造方法の一例を図1〜図4の説明図に示す。図1は粒子付着工程、図2は図1に続く導電膜形成工程、図3は図2に続く電鋳殻形成工程をそれぞれ表し、図4は図3において電鋳層及び通気孔の形成過程を拡大して表す。
<粒子付着工程>
図1に示すように、非導電性のエポキシ樹脂等で作成された母型1の表面に、非導電性かつ水溶性の無機質固体粒子であるホウ酸(HBO)粒子2を散布して付着させる。具体的には、母型1の表面に予め水溶性の糊3(接着剤)を塗布(コーティング)しておき、球状のホウ酸粒子2を篩4等にかけて分散・落下させる(図1(a))。これにより、ホウ酸粒子2は不規則(ランダム)な配列形態で母型1の表面に定着する(図1(b))。
<導電膜形成工程>
次に、図2に示すように、大気中における銀鏡反応により、ホウ酸粒子2との付着部分を除く母型1の表面に銀めっき膜5(導電膜)を形成する。このとき、銀めっき膜5の厚さT1(例えば10μm程度)はホウ酸粒子2の平均粒径d(例えば0.2mm程度;無機質固体粒子の高さ)よりも薄く形成されるので(T1<d)、ホウ酸粒子2の上部は銀めっき膜5の表面よりも突出している。なお、銀めっき膜5によってホウ酸粒子2全体が覆われないように、ホウ酸粒子2の上部にネット5’等の網目状マスキング部材を被せてから銀めっき膜5を形成してもよい。
<電鋳殻形成工程>
さらに、図3に示すように、電鋳槽6を満たすスルファミン酸ニッケル水溶液7(電鋳液)中において、ニッケル電極8(金属極)を+極、銀めっき膜5を−極に接続して電鋳処理を実行する。電鋳処理によって、銀めっき膜5の表面にスルファミン酸ニッケル水溶液7から析出したニッケル析出層9(電鋳層)が形成されるとともに、ホウ酸粒子2がスルファミン酸ニッケル水溶液7中に徐々に溶け出して通気孔10がニッケル析出層9に貫通形成される。なお、スルファミン酸ニッケル水溶液7には、主剤であるスルファミン酸ニッケル300〜650g/lの他に、添加剤としての塩化ニッケル0〜30g/lと、pH緩衝液(pH安定剤)としてのホウ酸(HBO)20〜50g/lとが溶解しており、pHが3〜5程度となるように調整されている。
図4(a)に示す電鋳処理が開始されると、図4(b)に示すように、ホウ酸粒子2の存在部分を除く銀めっき膜5の表面にスルファミン酸ニッケル水溶液7(図3参照)から析出したニッケルが電着してニッケル析出層9を形成する。それと同時進行する形で、ホウ酸粒子2はスルファミン酸ニッケル水溶液7中に徐々に溶け出していく。やがて、例えば温度30〜50℃、電流密度0.5〜3A/dmで約1日程度経過すると、図4(c)に示すように、ホウ酸粒子2はほぼ全部がスルファミン酸ニッケル水溶液7中に溶け出し、それに置き換わる形で、通気孔10がニッケル析出層9に形成される。
その後も、ニッケル析出層9及び通気孔10は銀めっき膜5上に成長を続け、例えば電鋳処理開始から約4〜5日程度経過すると、図4(d)に示すような多孔質電鋳殻11が完成する。このとき、多孔質電鋳殻11のニッケル析出層9は、その厚さT2がホウ酸粒子2の平均粒径d(無機質固体粒子の高さ)よりも大きく(例えば数mm〜20mm程度)なる(d<T2)。また、多数の通気孔10がニッケル析出層9の厚さ方向に貫通形成され、各通気孔10の表側(母型1の表面側)の孔径D1(例えば0.1mm程度)よりも裏側(母型1から遠ざかる側)の孔径D2(例えば0.3mm程度)の方が大きく形成されている(D1<D2)。
このように、スルファミン酸ニッケル水溶液7中におけるニッケル析出層9の形成と、予め母型1の表面に付着させたホウ酸粒子2のスルファミン酸ニッケル水溶液7中への溶け出しとを同時進行させることによって、工程数や製造時間を軽減することができる。また、スルファミン酸ニッケル水溶液7への浸漬前にホウ酸粒子2を母型1の表面に付着することによって、通気孔10の形成位置を安定化することができる。
また、ホウ酸粒子2がスルファミン酸ニッケル水溶液7中へ溶け出してもスルファミン酸ニッケル水溶液7やニッケル析出層9の成分を変化させることがないため、液中のホウ酸濃度が高くなっても、スルファミン酸ニッケル水溶液7には特に変化が起こらない。したがって、スルファミン酸ニッケル水溶液7を繰り返し使用することができ、ニッケル析出層9の成長速度に与える影響も小さいので、一定品質の多孔質電鋳殻11が得られる。
図5は多孔質電鋳殻の真空成形型としての使用例を示す説明図である。図5に示す真空成形装置30では、銀めっき膜5の表面を離型面として母型1から剥離された多孔質電鋳殻11(図3,図4(d)参照)が、真空成形型として使用されている。真空成形装置30の枠体32に多孔質電鋳殻11を配置し、多孔質電鋳殻11の裏側(通気孔10の孔径D2側)には、孔径D2よりも大粒の砂、砂利、石、岩、セラミックス等で構成された補強材31を敷き詰めてある。枠体32の壁面に真空ポンプ33を接続し、補強材31相互間の隙間と通気孔10を介して成形材料40を多孔質電鋳殻11の表側(通気孔10の孔径D1側)に吸引し真空成形する。
このとき、各通気孔10の表側の孔径D1よりも裏側の孔径D2の方が大きく形成されている(D1<D2)ので、通気孔10に詰りが生じにくく、真空成形時における成形材料40の密着性が向上する。
(変形例)
図6は図1(実施例1)の変形例を示す説明図である。図6(a)に示す粒子付着工程では、篩4に代わり、付着位置規定部材としてパンチングメタル4’等の有孔板を用いることにより、ホウ酸粒子2(無機質固体粒子)が、規則的な配列形態で、水溶性の糊3(接着剤)を塗布(コーティング)した母型1の表面に散布される。パンチングメタル4’の散布孔4a’は、例えば、碁盤目状(図6(b))、千鳥足状(図6(c))になるように、縦横方向に各々所定ピッチで配置されている。なお、付着位置規定部材として、細目の金網、メッシュ等の網状体を用いてもよい。
(実施例2)
本発明に係る多孔質電鋳殻の製造方法の他の例を図7〜図9の説明図に示す。図7は粒子付着工程、図8は図7に続く導電膜形成工程、図9は図8に続く電鋳殻形成工程をそれぞれ表す。なお、図9における電鋳層及び通気孔の具体的な形成過程は図4(実施例1)と同様である。
<粒子付着工程>
図7に示すように、薄く(例えば厚さ0.2mm〜1mm程度)柔軟な非導電性の付着シート20(シート状部材;他部材)を平面状に展開し、表面の凹部20aに、非導電性かつ水溶性の無機質固体粒子であるホウ酸(HBO)粒子2を散布して付着させる。具体的には、付着シート20の表面に予め水溶性の糊3(接着剤)を塗布(コーティング)しておき、球状のホウ酸粒子2を付着シート20の上方から分散・落下させ、凹部20aに1個又は複数個ずつ収容する(図7(a))。なお、凹部20aは、付着シート20の表面に、例えば碁盤目状になるように、縦横方向に各々所定ピッチで規則的に多数配置されており、付着シート20は付着位置規定部材を兼ねている。ホウ酸粒子2が凹部20aに収容された付着シート20を、非導電性のエポキシ樹脂等で作成された母型1の表面形状に沿わせて折り曲げ、母型1の表面に貼り付けることによって、ホウ酸粒子2を母型1の表面に定着する(図7(b))。ただし、凹部20aは、例えば千鳥足状(図6(c)参照)になるように規則的に配置したり、不規則(図1(b)参照)に配置したりしてもよい。
<導電膜形成工程>
次に、図8に示すように、大気中における銀鏡反応により、ホウ酸粒子2との付着部分を除く付着シート20の表面に銀めっき膜5(導電膜)を形成する。なお、この実施例でも、銀めっき膜5によってホウ酸粒子2全体が覆われないように、ホウ酸粒子2の上部にネット5’(図2参照)等のマスキング部材を被せてから銀めっき膜5を形成してもよい。
<電鋳殻形成工程>
さらに、図9に示すように、電鋳槽6を満たすスルファミン酸ニッケル水溶液7(電鋳液)中において、ニッケル電極8(金属極)を+極、銀めっき膜5を−極に接続して電鋳処理を実行する。電鋳処理によって、銀めっき膜5の表面にスルファミン酸ニッケル水溶液7から析出したニッケル析出層9(電鋳層)が形成されるとともに、ホウ酸粒子2がスルファミン酸ニッケル水溶液7中に徐々に溶け出して通気孔10がニッケル析出層9に貫通形成される。
この実施例では、柔軟な付着シート20の凹部20aにホウ酸粒子2を散布して付着させ、その付着シート20を母型1の表面形状に沿わせて折り曲げるので、ホウ酸粒子2の配置位置(ひいては通気孔10の形成位置)を一層安定化することができる。
(実施例3)
本発明に係る多孔質電鋳殻の製造方法のさらに他の例を図10〜図12の説明図に示す。図10は導電膜形成工程、図11は図10に続く粒子付着工程、図12は図11に続く電鋳殻形成工程をそれぞれ表す。
<導電膜形成工程>
図10に示すように、大気中における銀鏡反応により、非導電性のエポキシ樹脂等で作成された母型1の表面全体に銀めっき膜5(導電膜)を形成する。
<粒子付着工程>
次に、図11に示すように、銀めっき膜5の表面に、非導電性かつ水溶性の無機質固体粒子であるホウ酸(HBO)粒子2を散布して付着させる。具体的には、銀めっき膜5の表面に予め水溶性の糊3(接着剤)を塗布(コーティング)しておき、球状のホウ酸粒子2を分散・落下させる。その際、篩4を用いたり(図1(a)参照)、パンチングメタル4’(有孔板)や細目の金網、メッシュ等の網状体を用いてもよい(図6(a)参照)。これにより、ホウ酸粒子2は、不規則(ランダム)な配列形態(図1(b)参照)、又は碁盤目状(図6(b)参照)、千鳥足状(図6(c)参照)等の規則的な配列形態にて、全体が銀めっき膜5から露出する状態で銀めっき膜5の表面に定着する。このとき、銀めっき膜5の厚さT1(例えば10μm程度)はホウ酸粒子2の平均粒径d(例えば0.2mm程度;無機質固体粒子の高さ)よりも薄く形成されている(T1<d)。
<電鋳殻形成工程>
さらに、図12に示すように、電鋳槽6を満たすスルファミン酸ニッケル水溶液7(電鋳液)中において、ニッケル電極8(金属極)を+極、銀めっき膜5を−極に接続して電鋳処理を実行する。電鋳処理によって、銀めっき膜5(糊3)の表面にスルファミン酸ニッケル水溶液7から析出したニッケル析出層9(電鋳層)が形成されるとともに、ホウ酸粒子2の付着位置に対応して、ニッケル析出層9の厚さ方向に貫通する複数の通気孔10がニッケル析出層9に形成される。
ただし、この実施例では、スルファミン酸ニッケル水溶液7において、pH緩衝液(pH安定剤)としてのホウ酸(HBO)がほぼ飽和状態で溶解しているので、ホウ酸粒子2はスルファミン酸ニッケル水溶液7中にほとんど溶け出さない。したがって、多孔質電鋳殻11の完成時にはホウ酸粒子2は通気孔10内に残存しているので、銀めっき膜5(糊3)の表面を離型面として母型1から多孔質電鋳殻11を剥離すると、ホウ酸粒子2は通気孔10から離脱して銀めっき膜5(糊3)の表面に残る。もし、ホウ酸粒子2と通気孔10との相互形状により、ホウ酸粒子2が通気孔10から離脱しない場合には、多孔質電鋳殻11(通気孔10)を水に浸漬(洗浄)してホウ酸粒子2を溶解すれば(洗い流せば)よい。
なお、変形例(図6)、実施例2(図7〜図9)及び実施例3(図10〜図12)において実施例1(図1〜図4)と共通する機能を有する部分には同一符号を付して説明を省略する。
本発明に係る多孔質電鋳殻の製造方法の一例を示し、粒子付着工程の説明図。 図1に続く導電膜形成工程の説明図。 図2に続く電鋳殻形成工程の説明図。 図3において電鋳層及び通気孔の形成過程を拡大して示す説明図。 多孔質電鋳殻の真空成形型としての使用例を示す説明図。 図1の変形例を示す説明図。 本発明に係る多孔質電鋳殻の製造方法の他の例を示し、粒子付着工程の説明図。 図7に続く導電膜形成工程の説明図。 図8に続く電鋳殻形成工程の説明図。 本発明に係る多孔質電鋳殻の製造方法のさらに他の例を示し、導電膜形成工程の説明図。 図10に続く粒子付着工程の説明図。 図11に続く電鋳殻形成工程の説明図。
符号の説明
1 母型
2 ホウ酸粒子(無機質固体粒子)
3 糊(接着剤)
4 篩
4’ パンチングメタル(有孔板)
4a’ 散布孔
5 銀めっき膜(導電膜)
6 電鋳槽
7 スルファミン酸ニッケル水溶液(電鋳液)
8 ニッケル電極(金属極)
9 ニッケル析出層(電鋳層)
10 通気孔
11 多孔質電鋳殻(真空成形型)
20 付着シート(シート状部材;他部材)
20a 凹部
30 真空成形装置
31 補強材
32 枠体
33 真空ポンプ
40 成形材料
d 平均粒径
D1 表面側通気孔径
D2 裏面側通気孔径
T1 銀めっき膜厚さ
T2 ニッケル析出層厚さ

Claims (6)

  1. 少なくとも表層部分が非導電性とされた母型の表面に対して直接又は非導電性の他部材を介して間接的に、非導電性かつ水溶性の無機質固体粒子を規則的な又は不規則な配列形態にて分散して付着させる粒子付着工程と、
    前記無機質固体粒子との付着部分を除く前記母型又は前記他部材の表面に、その無機質固体粒子の高さよりも薄く導電膜を形成する導電膜形成工程と、
    金属イオンを含む電解質溶液である電鋳液中において、前記無機質固体粒子の存在部分を除く前記導電膜の表面に前記電鋳液から析出した金属が電着して電鋳層を形成するとともに、前記無機質固体粒子が前記電鋳液中に徐々に溶け出して、前記電鋳層の厚さ方向に貫通する複数の通気孔が前記電鋳層に形成される電鋳殻形成工程と、
    を含むことを特徴とする多孔質電鋳殻の製造方法。
  2. 前記粒子付着工程における前記母型又は前記他部材の表面に付着する無機質固体粒子と、前記電鋳殻形成工程で使用する前記電鋳液とは、共通する成分を含有している請求項1に記載の多孔質電鋳殻の製造方法。
  3. 前記無機質固体粒子と前記電鋳液とが共通して含有する成分は、前記電鋳液においてpHを安定させるためにpH緩衝液として溶解しているホウ酸である請求項2に記載の多孔質電鋳殻の製造方法。
  4. 前記電鋳殻形成工程において、前記無機質固体粒子が前記電鋳液中にすべて溶解した後も、前記電鋳層及び通気孔は前記導電膜上に継続して成長し得る請求項1ないし3のいずれか1項に記載の多孔質電鋳殻の製造方法。
  5. 前記電鋳殻形成工程において、前記電鋳層は、その厚さが前記無機質固体粒子の高さよりも大きくなるまで成長し得る請求項1ないし4のいずれか1項に記載の多孔質電鋳殻の製造方法。
  6. 少なくとも表層部分が非導電性とされた母型の表面に導電膜を形成する導電膜形成工程と、
    その導電膜形成工程の前又は後において、前記母型又は導電膜の表面にホウ酸粒子を規則的な又は不規則な配列形態にて分散して付着させる粒子付着工程と、
    金属イオンを含む電解質溶液であって、pHを安定させるためのpH緩衝液としてホウ酸が溶解する電鋳液中に、少なくとも前記ホウ酸粒子の一部が前記導電膜から露出する状態で浸漬し、前記ホウ酸粒子の存在部分を除く前記導電膜の表面に前記電鋳液から析出した金属が電着して電鋳層を形成するとともに、前記ホウ酸粒子の付着位置に対応して、前記電鋳層の厚さ方向に貫通する複数の通気孔が前記電鋳層に形成される電鋳殻形成工程と、
    を含むことを特徴とする多孔質電鋳殻の製造方法。
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