JP4212123B2 - 2,4′―ジピリジル誘導体の製造方法、分離方法並びにベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は2,4′−ジピリジル誘導体の製造方法、2,4′−ジピリジル誘導体の分離方法並びにベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩の製造方法に関する。詳しくはハロピリジンの交差カップリング反応による2,4′−ジピリジル誘導体の製造方法および2,4′−ジピリジル誘導体を含有するジピリジル誘導体異性体混合物からの2,4′−ジピリジル誘導体の分離方法並びに上記方法を用いる、ベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩の製造方法に関する。
背景技術
2,4′−ジピリジルの合成法についてはこれまで数多く報告されているが、すべての合成法が問題点を含んでおり、必ずしも満足できる合成法ではない。
例えば米国特許第4196287号明細書に開示されている4−シアノピリジンとアセチレンとの縮合反応では、高圧のアセチレンガスを用いるため爆発の危険があり、特殊な装置を必要とし一般的ではない。
また2−ハロピリジンと4−ハロピリジンとのUllmann様の反応(Khim.Geol.Nauk.,5巻、114頁、1970年)では、目的の2,4′−ジピリジル以外に2,2′−ジピリジルや4,4′−ジピリジルが生成するため、収率は良くない。
さらにパラジウム触媒を用いて、ハロピリジンと種々のピリジン金属試薬(グリニャール試薬:Syntlesis,7巻、564頁、1986年;すず試薬:T.L.,33巻、16号、2199頁、1992年;ボラン試薬:Chem.Pharm.Bull.,33巻、11号、4755頁、1985年、参照)との交差カップリング反応も多くの条件で報告されているが、目的の2,4′−ジピリジル以外に2,2′−ジピリジルや4,4′−ジピリジルといった異性体が多量に生成するため、収率が悪く、精製も非常に面倒である。
さらに別法として、N−エトキシカルボニルピリジニウム塩との反応(J.Chin.Chem.Soc(Taipei),36巻、6号、609頁、1989年、参照)が報告されているが、収率が非常に悪く、その改良法(Heterocycle,31巻、4号、637頁、1990年、参照)では、反応工程数が大幅に増えるため、実用的ではない。
文献には他の方法が記載されているが、合成ルートが長く全工程の収率は低い(たとえば、T.L.,25巻、35号、3887頁、1984年やPol.J.Chem.,53巻、4号、893頁、1979年、参照)。
前述のように、これまでの2,4′−ジピリジルの全ての報告された方法は収率が悪く、また操作的にも容易ではなく、工業的に満足できるものではなかった。さらに時として生成してくる異性体である2,2′−ジピリジルや4,4′−ジピリジルの簡便な除去法は全く検討されてはいなかった。
発明の開示
本発明の目的は、収率が良く、操作的に容易で工業的に満足できる2,4′−ジピリジル誘導体の製造方法およびジピリジル誘導体異性体混合物からの簡便な2,4′−ジピリジル誘導体の分離方法を開発するところにある。
また、本発明の他の目的は、上記方法を用いて工業的に満足できるベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩の製造方法を開発するところにもある。
本発明者らは2,4′−ジピリジル誘導体の工業的な製造および異性体の容易な分離精製法の確立を課題として、上記実情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、式(I):
(式中、Xはハロゲン原子を示しR3およびR4はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4の低級アルキル基を示す)で表わされる2−ハロピリジン誘導体と4−ハロピリジンを原料としニッケル触媒を用いてカップリング反応を行うことにより、簡便かつ良好な収率で2,4′−ジピリジル誘導体が得られ、さらに副生した2,2′−ジピリジル誘導体や4,4′−ジピリジルとの分離精製過程ではジピリジル異性体間のキレート能力の違いに着目して、硫酸銅を用いて副生成物を銅塩として不溶化させることにより、目的の2,4′−ジピリジル誘導体のみを分離精製できることを見いだし、本発明を完成した。
本発明においては、前記式でR3,R4はXがClのときはハロゲン原子としてはFが好ましく、低級アルキル基としては、メチル基およびエチル基が好ましく、R3,R4のもっとも好ましい組合せはR3とR4が等しくて、水素原子である場合である。本発明に従えば、2−ハロピリジン誘導体と4−ハロピリジンを原料と1、ホモアリールカップリングに用いられているニッケル錯体触媒(J.,Organomet.,Chem.,1971年、28巻、287頁記載)を用い、亜鉛とハロゲン化テトラアルキルアンモニウム存在下でカップリング反応を行うことにより、1工程で容易に収率良く2,4′−ジピリジル誘導体を得ることができる。
さらに、反応条件により2,4′−ジピリジル誘導体の他に2,2′−ジピリジル誘導体や4,4′−ジピリジルが少量副生することもあるが、これらジピリジル異性体混合物から2,4′−ジピリジル誘導体のみを分離するためには、次のようにすることで解決できた。ジピリジル異性体間のキレート能力の違いに着目して、ジピリジル誘導体異性体混合物を有機溶媒に溶解させたのち、希硫酸銅水溶液を加え撹拌すると、2,2′−ジピリジル誘導体や4,4′−ジピリジルが銅塩を形成し不溶物として析出することを見いだした。この不溶物をセライトなどを用いて濾過することにより、目的の2,4′−ジピリジル誘導体のみを有機溶媒層に得ることができる。この有機層を減圧下濃縮することにより、純粋な2,4′−ジピリジル誘導体のみを得ることができる。
また、この方法を用いることにより、工業的に有利にベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩を得ることができる。
発明を実施するための最良の形態
I.2,4′−ジピリジル誘導体の製造方法
本発明のカップリング反応による2,4′−ジピリジル誘導体の製造方法で用い得る2−ハロピリジン誘導体は2−ブロムピリジン誘導体または2−クロルピリジン誘導体である。4−ハロピリジン−は4−ブロムピリジンまたは4−クロルピリジンである。これらは反応混合物には遊離アミンとして又はピリジン塩として加えてもよく、又は有機溶媒中のアミンで中和した後加えてもよい。
2−ハロピリジン誘導体と4−ハロピリジンのモル比は好ましくは4:1〜1:4でより好ましくは1:1である。2−ハロピリジンの量が過剰量存在しても2,4′−ジピリジル誘導体が優先的に生成する(実施例1および2参照)。
カップリング反応に用いられるニッケル錯体触媒は、例えばNiCl2(PPh3)2,NiBr2(PPh3)2,NiI2(PPh3)2,NiCl2〔Ph2P(CH2)2PPh2〕,NiCl2[Ph2P(CH2)3PPh2〕,Ni(PPh3)4,Ni(1,5−シクロオクタジエン)2(Phはフェニル基を表わす)であって、好ましくはNiCl2(PPh3)2,NiBr2(PPh3)2,NiCl2〔Ph2P(CH2)2PPh2〕またはNi(PPh3)4で、最も好ましくはNiCl2(PPh3)2またはNiBr2(PPh3)2等のビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジハライドであり、2−ハロピリジン誘導体および4−ハロピリジンの好ましくは10〜50モル%、より好ましくは30モル%の量で用いられる。
触媒が2価のニッケルの場合、亜鉛を共存させることにより反応が良好に進行する。
反応に用いられる亜鉛は2−ハロピリジン誘導体および4−ハロピリジンに対し好ましくは1〜4当量、より好ましくは1.5当量用いられる。ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は好ましくは低級アルキル基、さらに好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基であって、最も好ましくはエチル基、n−ブチル基であり、ハロゲンはヨウ素または臭素であって、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムは2−ハロピリジン誘導体および4−ハロピリジンの好ましくは0.1〜3当量、より好ましくは1当量用いられる。
2−ハロピリジン誘導体および4−ハロピリジンのカップリング反応を行う場合には予めニッケル錯体、亜鉛およびハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを有機溶媒、たとえば、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、エチルエーテル、ジメチルホルムアミド、またはこれらの混合物、好ましくはテトラヒドロフラン中で反応させて触媒溶液を得、次にこの溶液に2−ハロピリジン誘導体および4−ハロピリジンまたは2−ハロピリジン誘導体および4−ハロピリジンの塩を直接に加えるかまたは予め調製した原料調製液として加える。原料調製液は2−ハロピリジン誘導体またはその塩および4−ハロピリジンまたはその塩を有機溶媒中でアミンにより中和したものであって、有機溶媒としては、たとえば、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジメチルホルムアミド、好ましくはジメチルホルムアミドが用いられ、アミンは好ましくはトリエチルアミンである。
2−ハロピリジン誘導体および4−ハロピリジンの反応は好ましくは0℃〜70℃、より好ましくは40℃〜60℃で行われるが、添加時に温度が高すぎると収率が低下するので、そのような場合には添加によって冷却する。
反応溶媒としてジメチルホルムアミドを用いる場合には必ずしもハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを用いないで反応を行うこともできる(実施例5,8参照)。
また、反応液の濃度は、このニッケル触媒を用いる反応は触媒が反応液中に固体として存在することから、高濃度での反応は困難であり、好ましくは中〜低濃度である(実施例17,18参照)。
反応混合物を希アンモニア水溶液に注ぎ、反応を終結させ、有機溶媒を加えて不溶物を濾去し、分液操作により得られた有機層を濃縮させる。この有機層の減圧蒸留では、ホスフィンや、他の異性体からの分離は困難であり、本発明においては次の2つの分離方法を用い得る。
II.2,4′−ジピリジル誘導体の分離精製方法
1.カラムクロマトグラフィーによるもの(実施例1〜9参照)
前記濃縮物を有機溶媒に溶解させシリカゲルクロマトグラフィーにかけると、ヘキサンでトリフェニルホスフィンが溶出され、ヘキサン−酢酸エチル(4:1)で2,2′−ジピリジル誘導体が溶出され、目的とする2,4′−ジピリジル誘導体は酢酸エチルで溶出され、4,4′−ジピリジルは2,4′−ジピリジル誘導体の後に溶出される。
2.銅塩の形成によるもの(実施例10〜18)
反応混合物からの2,4′−ジピリジル誘導体の分離精製に際しては、トリフェニルホスフィンとジピリジル異性体混合物との分離をジピリジルを酸、好ましくは塩酸(ガスまたは水溶液)の存在下で水層に移行させたのち、水層を塩基性にし、有機溶媒で抽出する。この抽出液に含まれるジピリジル異性体の混合物から、2,2′−ジピリジル誘導体および4,4′−ジピリジルを希硫酸銅水溶液により不溶化することにより2,4′−ジピリジル誘導体と分離する。
2,4′−ジピリジル誘導体以外の生成した銅塩を選択的に沈殿させるためには硫酸銅の濃度設定が重要であり、0.1M〜0.2Mの範囲が好ましい。
抽出溶媒としては水と分離でき、毒性の低いものならどのような有機溶媒も用い得るが、一般に、トルエン、酢酸エチル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、エチルエーテルが好ましい。
前述のように、2−ハロピリジン誘導体と4−ハロピリジンを原料とし、ニッケル錯体触媒を用いる交差カップリング反応による反応混合物からの2,4′−ジピリジル誘導体の分離方法について記載してきたが、本発明の2,4′−ジピリジル誘導体の分離方法は、他の任意の方法により合成された、2,2′−ジピリジル誘導体、2,4′−ジピリジル誘導体および4,4′−ジピリジルの混合物からの2,4′−ジピリジル誘導体の分離にも用い得ることは明らかである。
III.ベンゾオキサゼピン誘導体の製造方法
本発明者らは、セロトニン受容体との親和性と、ドーパミンD2受容体との親和性を活性指標として用いて鋭意合成展開を行い、以下の式(III)で表わされる特定のベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩類が、抗コンフリクト作用によって抗不安作用を示し、また、一過性右中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルにおいて、脳梗塞抑制作用などの虚血性脳疾患における脳保護作用を有することを見い出し、従ってこれらの化合物が、より有効でより副作用の少ない不安神経症、恐怖症、強迫神経症、精神分裂病、心的外傷後ストレス障害、抑うつ神経症、心身症などの精神神経疾患、摂食障害、更年期障害、小児自閉症などの疾患、ならびに嘔吐、または脳梗塞、脳出血を伴う脳循環系が関与する疾患に対する治療に用いられる医薬として有用であることを見い出していたが(国際特許出願公開第96/24594号明細書参照)、その有用な製造方法を見い出して本発明を完成した。
従って、本発明の別の目的は、前記ベンゾオキサゼピン誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明に従えば、さらに式(III):
(式中、nは2〜5の整数を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシアルキル基、炭素数1〜4のハロゲノアルキル基、シアノ基またはエステル基を示し、R2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基または水酸基を示し、R3およびR4はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、点線は結合の存在または不存在を示す)で表わされるベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩の製造方法が提供される。
本発明に従えば、更にまた、式(V):
(式中、n,R1,R2は上に定義した通りであり、Qは水酸基、アルコキシ基、ハロゲン又はアミノ基と容易に交換し得る脱離基を示す)で表わされるベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩類の製造方法が提供され、これらは式(III)で表わされるベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩類の合成中間体の製造方法として有用である。
本発明に従えば、更にまた式(VI):
(式中、n,R1,R2,R3,R4は上に定義した通りであり、Xはハロゲン原子を示す)で表わされるベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩類の製造方法が提供され、これらは式(III)で表わされるベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩類の合成中間体の製造方法として有用である。
さらに、本発明に従って提供される式(III)で表わされる化合物の製造方法において、以下、例を挙げて詳細に具体的な実施の形態を説明するが、もちろん本発明はそれらの例に限定されるものではない。
式(III)で表わされる化合物において、式中、整数nの好ましい例としては3〜5が挙げられ、とりわけ4がより好ましい。式(III)中、基R1の好ましい例としては、水素原子、炭素数1〜3の低級アルキル基、炭素数1〜3の低級アルコキシアルキル基、炭素数1〜2のハロゲノアルキル基、塩素原子、ニトリル基が挙げられるが、とりわけ水素原子、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、クロロメチル基、塩素原子がより好ましく、基R2の好ましい例としては、水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜2の低級アルキル基、炭素数1〜2の低級アルコキシ基、水酸基が挙げられるが、とりわけ水素原子、弗素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基がより好ましい。
本発明により提供される式(III)の化合物の製造方法は例えば以下のような製造方法として提供される。
まず、本発明に従って提供される式(V)で表わされる中間体化合物において、式中、整数nの好ましい例としては3〜5が挙げられ、とりわけ4がより好ましい。式中、基R1の好ましい例としては、水素原子、炭素数1〜3の低級アルキル基、炭素数1〜3のアルコキシアルキル基、炭素数1〜2のハロゲノアルキル基、塩素原子、ニトリル基が挙げられるが、とりわけ水素原子、メチル基、エチル基、メトキシメチル基、クロルメチル基、塩素原子がより好ましく、基R2の好ましい例としては、水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜2の低級アルキル基、炭素数1〜2の低級アルコキシ基、水酸基が挙げられるが、とりわけ水素原子、弗素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基がより好ましい。また、式中、基Qで表わされる水酸基、アルコキシ基、ハロゲンまたはアミノ基と容易に交換し得る脱離基の好ましい例としては、トシル基、メシル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、とりわけ塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子がより好ましい。
ここで式(V)で表わされる有用な合成中間体の製造方法は、例えば、以下のようにして製造することができる。前記式(V)で表わされる化合物において、例えば、R1およびR2が水素原子を示し、Qは塩素原子である式(Va):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物の製造方法は、H.Hofmannらの文献(Liebigs Ann.Chem., 917頁、1990年)に記載されている方法およびその類似方法にしたがって、得られる下記式(X):
で表わされる化合物を、例えば、ブロモクロロアルカンと反応させることで、有用な合成中間体であるベンゾオキサゼピン誘導体(Va)の製造方法として得ることができる。
また前記式(V)で表わされる化合物の製造方法において、例えば、R1がメチル基を示しR2が水素原子を示し、Qは塩素原子である式(Vb):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物の製造方法は、J.Freedmannらの文献(J.Heterocyclic Chem., 27巻、343頁、1990年)に記載されている方法およびその類似方法にしたがって、得られる下記式(XI):
で表わされる化合物を、例えば、ブロモクロロアルカンと反応させることで、有用な合成中間体であるベンゾオキサゼピン誘導体(Vb)の製造方法として得ることができる。
また前記式(V)で表わされる化合物の製造方法において、例えば、R1がハロゲン原子例えば塩素原子をR2が水素原子を示し、Qが塩素原子である式(Vc):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物の製造方法は、A.Cattaneoらの文献(Boll.Chim.Farm., 102巻、541頁、1963年)に記載されている方法およびその類似方法にしたがって得られる下記式(XII):
で表わされる化合物を、例えば、ブロモクロロアルカンと反応せしめて、式(XIII):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物を得た後、必要に応じて塩酸等の酸やN,N−ジエチルアニリンなどの塩基を添加しながら、オキシ塩化リンや塩化チオニルなどの酸塩化物と反応させることによって、有用な合成中間体であるベンゾオキサゼピン誘導体(Vc)の製造方法として得ることができる。
このべンゾオキサゼピン誘導体(Vc)の製造方法はさらに以下の別法においても得ることができる。すなわち上記式(XII)を、必要に応じて塩酸等の酸やN,N−ジエチルアニリンなどの塩基を添加しながら、オキシ塩化リンや塩化チオニルなどの酸塩化物と反応させ、式(XIV):
で表わされる化合物へと変換し、例えば、ブロモクロロアルカンと反応させることでも得ることができる。
また前記式(V)で表わされる化合物の製造方法は、例えば、R1がハロメチル基、例えばクロロメチル基で、R2が水素原子を示し、そしてQが塩素原子である式(Vd):
(式中、nは上に定義した通りである)を有する化合物は前記中間体(Vb)で表わされる化合物をN−クロロスクシンイミドと反応させることによって、有用な合成中間体であるベンゾオキサゼピン誘導体(Vd)の製造方法からなることもできる。
さらに前記式(V)で表わされる化合物の製造方法において、R1が炭素数1〜4の低級アルコキシメチル基例えばメトキシメチル基でR2が水素原子を示し、Qが臭素原子である式(Ve):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物は、前記中間体(XI)で表わされる化合物をN−クロロスクシンイミドと反応させることによって、以下の構造の化合物(XV):
で表わされる化合物へと変換する。続いてナトリウムメトキシドを用いて下記で表わされる化合物(XVI):
へと変換し、さらにジブロモアルカンと反応させることによって、有用な合成中間体であるベンゾオキサゼピン誘導体(Ve)の製造方法を得ることができる。
前記式(V)で表わされる化合物の製造方法において、例えば、R1が水素原子を、R2がアルコキシ基、例えば7−メトキシ基を示し、Qが塩素原子である式(Vf):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物の製造方法は、前述のH.Hofmannらの文献に記載されている方法およびその類似方法にしたがって、下記式(XVII):
で表わされる化合物を得た後、前述の式(Va)で表わされる化合物を合成する手法と同様にして得ることができる。
前記式(V)で表わされる化合物の製造方法において、例えば、R1がアルキル基、例えばメチル基を、R2が8−ヒドロキシ基を示し、Qが塩素原子である式(Vg):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物の製造方法は、前述のJ.Freedmannらの文献に記載されている方法およびその類似方法にしたがって、下記式(XVIII):
で表わされる化合物を得た後、前述の式(Vb)で表わされる化合物を合成する手法と同様にして下記式(XIX):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物とし、さらに接触還元でベンジル基を脱落することで得ることができる。
前記式(V)で表わされる化合物の製造方法において、例えば、R1およびQがハロゲン原子、例えば塩素原子を示し、R2が8−クロロ基である式(Vh):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物の製造方法は、前述のA.Cattaneoらの文献に記載されている方法およびその類似方法にしたがって、下記式(XX):
で表わされる化合物を得た後、前述の式(Vc)で表わされる化合物を合成する手法と同様にして得ることができる。
前記式(V)で表わされる化合物において、例えば、R1がニトリル基を、R2が水素原子を示し、Qが塩素原子である式(Vi):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物の製造方法は、前述の式(XIII)で表わされる化合物に対して、必要ならばヨウ化亜鉛存在下にトリメチルシリルニトリルを作用させるか、前述の式(Vc)で表わされる化合物に対して、パラジウム触媒存在下にトリメチルシリルニトリルを作用させることによって得ることができる。
前記式(V)で表わされる化合物の製造方法において、例えば、R1がエステル基、例えばエチルエステルを、R2が水素原子を示し、Qが塩素原子である式(Vj):
(式中、nは上に定義した通りである)で表わされる化合物の製造方法は、前述の式(Vi)で表わされる化合物に対して、酸触媒の存在下にエタノールを作用させることによって得ることができる。
1)式(III)で表わされる最終化合物の合成
式(III)で表わされる化合物の製造方法は、以下の式(V)で表わされるベンゾオキサゼピン誘導体と、式(XXI):
(式中、R3,R4、点線は上に定義した通りである)で表わされる中間体化合物を常法により縮合させることにより合成することができる。
ここで式(V)で表わされる中間体の合成は、例えば前述の式(Va)〜(Vj)で表わされる化合物の合成と同じ手法で得ることができる。
また、式(XXI)においてR3,R4が水素原子を示し、点線が結合の存在を示すピリジン誘導体(XXIa)の製造方法は
H.Fischerらの文献(J.Heterocyclic.Chem., 17巻、333頁、1980年)に記載されている方法およびその類似方法に従い、公知化合物2,4′−ジピリジルを式(XXII):
(式中、R5は炭素数1〜4の低級アルキル基、ベンジル基、メトキシベンジル基を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表わされる化合物に変換する。続いて水素化ホウ素ナトリウムで還元して式(XXVIIIa):
(式中、R5は上に定義した通りである)で表わされる化合物とする。次にクロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸−1−クロロエチルまたはクロロギ酸−2−トリメチルシリルエチルなどと反応させて、式(XXIVa):
(式中、R6は炭素数1〜4の低級アルキル基、1−クロロエチル基、フェニル基または2−トリメチルシリルエチル基を示す)で表わされた化合物を得る。得られた化合物は、メタノールやエタノールなどのアルコールで分解させるか、または塩酸、酢酸、硫酸、臭化水素酸などの酸で加水分解させるか、もしくは、テトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)などのフッ化物で分解させることによって、有用な合成中間体であるピリジン誘導体、式(XXIa)を得ることができる。
さらに式(XXI)において、例えばR3,R4が水素原子を示し、点線が結合の不存在を示すピリジン誘導体(XXIb)は
前記式(XXIIIa)で表わされる化合物をパラジウム/炭素触媒の存在下に,必要であれば塩酸などの酸を加えて、水素添加して、式(XXIIIb):
(式中、R5は上に定義した通りである)で表わされる化合物へと導く。続いてクロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸−1−クロロエチルまたはクロロギ酸−2−トリメチルシリルエチルなどと反応させて、式(XXIVb):
(式中、R6は炭素数1〜4の低級アルキル基、1−クロロエチル基、フェニル基または2−トリメチルシリルエチル基を示す)で表わされた化合物を得る。
得られた化合物(XXIVb)をメタノールやエタノールなどのアルコールで分解させるか、または塩酸、酢酸、硫酸、臭素酸などの酸で加水分解させるか、もしくは、テトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF)などのフッ化物で分解させることにより、有用な合成中間体であるピリジル誘導体(XXIb)を得ることができる。
またこのピペリジルピリジン体(XXIb)は前記式(XXIa)で表わされる1,2,3,6−テトラヒドロピリジルピリジンを直接接触還元することによっても得ることができる。
最終化合物(III)で表わされる化合物の製造方法は、上記(Va〜Vj)に例示したような合成中間体(V)に、式(XXI)の合成中間体、例えば上記(XXIa〜XXIb)に例示したような合成中間体のピリジン誘導体とを、必要に応じてトリエチルアミンや炭酸カリウムなどの塩基やヨウ化ナトリウムなどの触媒を用いて置換縮合することで得ることができる。
2)式(III)で表わされる最終化合物の別法合成
さらに最終化合物(III)で表わされる化合物の製造方法は、式(VI):
(基中、R1,R2,R3,R4,Xおよびnは上に定義した通りである)で表わされる合成中間体を経て合成により得ることもできる。
ここで式(VI)で表わされる合成中間体の製造方法は以下のようにして得ることができる。即ち、前記式(V)において、例えば、Qが塩素原子を示す下記式(Vk):
(式中、R1,R2,nは上に定義した通りである)で表わされる化合物に、ヨウ化ナトリウム存在下に、式(II)で表わされる2,4′−ジピリジル誘導体を作用させることで、前記式(VI)で示される有用な合成中間体の製造方法を得ることができる。
得られた合成中間体(VI)に水素化ホウ素ナトリウムを作用させることによって、最終化合物(III)で表わされる化合物の製造方法を得ることもできる。
実施例19〜27に上記ベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩の製法を示す。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲をこれら実施例に限定するものではないことはいうまでもない。
実施例
実施例1
ニッケル錯体として、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジブロミドを用いる2,4′−ジピリジルの製造方法(2−クロルピリジン:4−クロルピリジン 4:1)
以下の反応はアルゴン気流下で行った。
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジブロミド(Aldrich製)1.11g(1.5mモル)、亜鉛末490mg(7.5mモル)、ヨウ化テトラエチルアンモニウム(Et4NI)1.28g(5mモル)を無水テトラヒドロフラン(THF)10mlに懸濁し、得られた混合物を室温にて30分間撹拌した。この反応混合物に5mlのジメチルホルムアミド(DMF)中、2−クロルピリジン380μl(4mモル)、4−クロルピリジン塩酸塩150mg(1mモル)とトリエチルアミン140μl(1mモル)を1時間撹拌して得られた混合物をシリンジで加えた。
反応液を50℃で16時間撹拌した後、反応混合物を2Nアンモニア水溶液50mlに注ぎ、酢酸エチル20mlとトルエン20mlを加え、不溶物を濾去した。分液操作により得られた有機層と水層をトルエン20mlで抽出した溶液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を減圧下濃縮した。
残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Wakogel C−200(商標)10g2cm径×7cm)にて精製を行った。
ヘキサンでトリフェニルホスフィンを溶出し、ヘキサン−酢酸エチル(4:1)で2,2′−ジピリジルを溶出した。目的とする2,4′−ジピリジルは酢酸エチルで溶出した。
溶出画分を濃縮し、2,2′−ジピリジルを73mg(収率23%、2−クロルピリジンより算出)、2,4′−ジピリジルを99mg(収率63%、4−クロルピリジンより算出)得た。
実施例2
ニッケル錯体として、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジブロミドを用いる2,4′−ジピリジルの製造方法(2−クロルピリジン:4−クロルピリジン 3:2)
2−クロルピリジン、4−クロルピリジン塩酸塩およびトリエチルアミンの量を、それぞれ、285μl(3mモル)、300mg(2mモル)および280μl(2mモル)用い、4,4′−ジピリジルを2,4′−ジピリジルの後に酢酸エチルで溶出する以外は実施例1の方法を繰り返して、2,2′−ジピリジルを45mg(収率19%)、2−クロルピリジンより算出)、2,4′−ジピリジルを193mg(収率61%、4−クロルピリジンより算出)および4,4′−ジピリジルを57mg(収率36%、2−クロルピリジンより算出)得た。
実施例3
ニッケル錯体として、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリドを用いる2,4′−ジピリジルの製造方法(2−クロルピリジン:4−クロルピリジン 4:1)
以下の反応はアルゴン気流下で行った。
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド(東京化成製)981mg(1.5mモル)、亜鉛末490mg(7.5mモル)、ヨウ化テトラエチルアンモニウム1.28g(5mモル)を無水テトラヒドロフラン10mlに懸濁し、得られた混合物を室温にて30分間撹拌した。この反応混合物に5mlのジメチルホルムアミド中、2−クロルピリジン379.2μl(4mモル)、4−クロルピリジン塩酸塩150mg(1mモル)とトリエチルアミン139.2μl(1mモル)を1時間撹拌して得られた混合物をシリンジで加えた。
反応液を50℃で16時間撹拌した後、反応混合物を2Nアンモニア水溶液50mlに注ぎ、酢酸エチル20mlとトルエン20mlを加え、不溶物を濾去した。分液操作により得られた有機層と水層をトルエン20mlで抽出した溶液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を減圧下濃縮した。
残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Wakogel C−200(商標)10g2cm径×7cm)にて精製を行った。
ヘキサンでトリフェニルホスフィンを溶出し、ヘキサン−酢酸エチル(4:1)で2,2′−ジピリジルを溶出した。目的とする2,4′−ジピリジルを酢酸エチルで溶出した。
溶出画分を濃縮し、2,2′−ジピリジルを88mg(収率28%、2−クロルピリジンより算出)、2,4′−ジピリジルを132mg(収率84%、4−クロルピリジンより算出)得た。
実施例4
ニッケル錯体として、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリドを用いる2,4′−ジピリジルの製造方法(2−クロルピリジン:4−クロルピリジン 1:1)
2−クロルピリジン、4−クロルピリジン塩酸塩およびトリエチルアミンの量を、それぞれ、237μl(2.5mモル)、375mg(2.5ミリモル)および348μl(2.5mモル)用い、4,4′−ジピリジルを2,4′−ジピリジルの後に溶出する以外は実施例3の方法を繰り返して、2,2′−ジピリジルを72mg(収率18%、2.5mモル=100%として算出)、2,4′−ジピリジルを198mg(収率51%)、4,4′−ジピリジルを57mg(収率15%、2.5mモル=100%として算出)得た。
実施例1〜4の反応条件および結果を次の表1にまとめて示す。表においてPhはフェニル基を表わす。
収率は2−クロルピリジンまたは4−クロルピリジンからの収率であり、2−クロルピリジンからの収率はカッコ内に示す。実施例4は原料比が1:1であるため、収率100%=2.5mモルとした。
次の実施例5〜7は反応溶媒および原料の添加方法について説明する。
実施例5
触媒調製反応溶媒をテトラヒドロフランに代えてジメチルホルムアミドとし、ヨウ化テトラエチルアンモニウムを添加しなかった以外は、実施例4の方法を繰り返して、2,2′−ジピリジル43mg(収率11%)、2,4′−ジピリジル161mg(収率41%)、4,4′−ジピリジルを81mg(収率21%)を得た。
実施例6
触媒調製反応溶媒として、テトラヒドロフラン10mlに代えて、テトラヒドロフラン10mlとジメチルホルムアミド5mlを用い、4−クロルピリジンの添加は、4−クロルピリジン塩酸塩をジメチルホルムアミド中にてトリエチルアミンによって中和した後行う代わりに、触媒反応液中に直接に4−クロルピリジン塩酸塩を加えた後トリエチルアミンを加えた以外は実施例4の方法を繰り返して、2,2′−ジピリジルを28mg(収率7%)、2,4′−ジピリジルを163mg(収率42%)、4,4′−ジピリジルを103mg(収率26%)得た。
実施例7
触媒反応溶媒をアセトンとする以外は、実施例4の方法を繰り返して、2,2′−ジピリジルを65mg(収率17%)、2,4′−ジピリジルを113mg(収率29%)、4,4′−ジピリジルを24mg(収率6%)得た。
実施例5〜7の反応条件および結果を表2にまとめて示す。
次の実施例8〜9は触媒の当量を説明するものである。
実施例8
触媒調製反応溶媒をジメチルホルムアミドとし、ニッケル錯体触媒の量を10モル%、327mg(0.5mモル)、亜鉛の量を1.2当量、196mg(3mモル)とし、ヨウ化テトラエチルアンモニウムを用いないで、実施例4の方法を繰り返し、2,2′−ジピリジルを50mg(収率13%)、2,4′−ジピリジルを94mg(収率24%)、4,4′−ジピリジル70mgを(収率18%)得た。
実施例9
ニッケル錯体触媒の量を10モル%、327mg(0.5ミリモル)とし、ヨウ化テトラエチルアンモニウムを427mg(0.33モル)用いる以外は実施例4の方法を繰り返して、2,2′−ジピリジルを79mg(収率20%)、2,4′−ジピリジルを129mg(収率33%)、4,4′−ジピリジルを103mg(収率26%)得た。
実施例8および9の反応条件および結果を表3に示す。
実施例10
2,4′−ジピリジルの銅塩形成による分離方法
以下の反応はアルゴン気流下で行った。
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド(東京化成製)19.6g(30mモル)亜鉛末9.8g(150mモル)、ヨウ化テトラエチルアンモニウム25.7g(100mモル)を無水THF200mlに懸濁し、得られた混合物を室温にて30分間撹拌した。この反応混合物に100mlのDMF中、2−クロルピリジン4.73ml(50mモル)、4−クロルピリジン塩酸塩7.5g(50mモル)とトリエチルアミン7.0ml(50mモル)を1時間撹拌して得られた混合物をキャヌラーで送液して加えた。
反応液を2Nアンモニア水溶液1Lに注ぎ、トルエン200mlを加え、不溶物をセライトを用いて濾去した。分液操作により得られた有機層と水層をさらにトルエン200mlで抽出した溶液を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を減圧下濃縮した。
この濃縮物をトルエン100mlに溶解し、塩酸ガスを通じることによりジピリジルを塩酸塩として不溶化した。このジピリジル異性体混合物の塩酸塩を濾取することにより、トリフェニルホスフィンの分離を行った。
前記塩をトルエン100mlと水100mlの混合液に溶解し、アンモニア水にてアルカリ性とした後、トルエン100mlで2回抽出した。組み合せた有機層を減圧下濃縮することによりジピリジル異性体混合物を得た。
ジピリジル異性体混合物をトルエン100mlに溶解し、0.25M硫酸銅水溶液を200ml加え、撹拌すると不溶物が生成した。この不溶物をセライトを用いて濾去し、トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルがほぼ純粋な形で656mg(収率8.4%)が得られた。
水層を濃アンモニア水にてpH9として後、トルエン100mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルが1.77g(収率22.6%)得られた。このものには微量の4,4′−ジピリジルの混在が認められた。この50mモルスケールでの2,4′−ジピリジルの総収率は31%であった。
実施例11
2,4′−ジピリジルの分離方法
以下の反応はアルゴン気流下で行った。
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド(東京化成製)981mg(1.5mモル)、亜鉛末490mg(7.5mモル)、ヨウ化テトラエチルアンモニウム1.28g(5mモル)を無水THF10mlに懸濁し、得られた混合物を室温にて30分間撹拌した。この反応混合物に5mlのDMF中、2−クロルピリジン237μl(2.5mモル)、4−クロルピリジン塩酸塩375mg(2.5mモル)とトリエチルアミン348μl(2.5mモル)を1時間撹拌して得られた混合物をシリンジで加えた。
反応液を50℃で16時間撹拌した後、反応混合物を2Nアンモニア水溶液50mlに注ぎ、トルエン20mlを加え、不溶物を濾去した。分液操作により得られた有機層と水層をさらにトルエン20mlで抽出した溶液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を1N塩酸20mlで抽出した。この塩酸酸性水溶液に2Nアンモニア水溶液20mlを加え、トルエン20mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し減圧下濃縮することによりジピリジル異性体混合物を311mg得た。
このジピリジル異性体混合物をトルエン10mlに溶解し、0.1M硫酸銅水溶液を20ml加え、撹拌すると不溶物が生成した。この不溶物をセライトを用いて濾去し、トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルがほぼ純粋な形で96.6mg(収率24.7%)得られた。
水層をアンモニア水にてpH9にした後、トルエン10mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルがさらに60.3mg(収率15.4%)得られた。このものには微量の4,4′−ジピリジルの混在が認められた。この反応の2,4′−ジピリジルの総収率は40%であった。
実施例12
以下の反応はアルゴン気流下で行った。
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド(東京化成製)981mg(1.5mモル)、亜鉛末490mg(7.5mモル)、ヨウ化テトラエチルアンモニウム1.28g(5mモル)を無水トルエン10mlに懸濁し、混合物を室温にて30分間撹拌した。この反応混合物に5mlのDMF中、2−クロルピリジン237μl(2.5mモル)、4−クロルピリジン塩酸塩375mg(2.5mモル)とトリエチルアミン348μl(2.5mモル)を1時間撹拌して得られた混合物をシリンジで加えた。
この時に反応液に発熱が見られ、液温は50℃付近まで上昇した。反応液を50℃で16時間撹拌した後、反応混合物を2Nアンモニア水溶液50mlに注ぎ、トルエン20mlを加え、不溶物を濾去した。分液操作により得られた有機層と水層をさらにトルエン20mlで抽出した溶液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を1N塩酸20mlで抽出した。酸性溶液に2Nアンモニア水溶液20mlを加え、トルエン20mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し減圧下濃縮することによりジピリジル異性体混合物を376mg得た。
このジピリジル異性体混合物をトルエン10mlに溶解し、0.1M硫酸銅水溶液を20ml加え、撹拌すると不溶物が生成した。この不溶物をセライトを用いて濾去し、トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルがほぼ純粋な形で41.5mg(収率10.6%)得られた。
水層をアンモニア水にてpH9にした後、トルエン10mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルがさらに48.5mg(収率12.4%)得られた。このものには微量の4,4′−ジピリジルの混在が認められた。この反応の2,4′−ジピリジルの総収率は23%であった。
実施例13
実施例12の方法において、2−クロルピリジンと4−クロルピリジンの添加時に反応液を氷冷し、反応は加温せず室温で行った。
また、硫酸銅による2,4′−ジピリジルの分離は、次に示す方法に簡略化して行った。
ジピリジル異性体混合物をトルエン10mlに溶解し、0.1M硫酸銅水溶液を20ml加え、撹拌すると不溶物が生成した。この不溶部をセライトを用いて濾去した。このトルエン−硫酸銅水溶液をアンモニア水にてpH9にした後、トルエン10mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルが122mg(収率31%)得られた。このものには微量の4,4′−ジピリジルの混在が認められた。
実施例11〜13の反応条件及び分離結果を表4に示す。
次の実施例14〜16は四級アンモニウム塩の種類と当量、触媒の当量について説明するものである。
実施例14
ニッケル錯体触媒の量を10モル%、327mg(0.5mモル)に変更した以外は、実施例11を繰り返した。2,4′−ジピリジルの総収量は98mg(総収率25%)であった。
実施例15
ヨウ化テトラエチルアンモニウムの量を30モル%、384mgに(変更した以外は、実施例11を繰り返した。2,4′−ジピリジルの総収量は121mg(総収率31%)であった。
実施例16
ヨウ化テトラエチルアンモニウムに代えて臭化テトラエチルアンモニウム(Et4NBr)1.05g(100モル%)を用いる以外は、実施例11を繰り返した。2,4′−ジピリジルの総収量は135mg(総収率35%)であった。
実施例14〜16の反応条件及び分離結果を表5に示す。
次の実施例17〜18は反応および抽出濃度について説明するものである。
実施例17
(反応液濃度:2倍、抽出液濃度1/2)
以下の反応はアルゴン気流下で行った。
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド(東京化成製)1.96g(3mモル)、亜鉛末940mg(15mモル)、臭化テトラエチルアンモニウム2.1g(10mモル)を無水THF10mlに懸濁し、室温にて30分間撹拌した。この反応混合物に5mlのDMF中、2−クロルピリジン474μl(5mモル)、4−クロルピリジン塩酸塩750mg(5mモル)とトリエチルアミン696μl(5mモル)を1時間撹拌して得られた混合物をシリンジで加えた。
反応液を50℃で16時間撹拌した後、反応混合物を4Nアンモニア水溶液50mlに注ぎ、トルエン20mlを加え、不溶物を濾去した。分液操作により得られた有機層と水層をさらにトルエン20mlで抽出した溶液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を2N塩酸20mlで抽出した。この塩酸酸性水溶液に4Nアンモニア水溶液20mlを加え、トルエン20mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し減圧下濃縮することによりジピリジル異性体混合物を500mg得た。
ジピリジル異性体混合物をトルエン10mlに溶解し、0.2M硫酸銅水溶液を20ml加え、撹拌すると不溶物が生成した。この不溶物をセライトを用いて濾去した。このトルエン−硫酸銅水溶液をアンモニア水にてpH9にした後、トルエン10mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルが231mg(収率30%)得られた。このものには微量の4,4′−ジピリジルの混在が認められた。
実施例18
(反応液濃度:2倍、抽出液濃度1/5)
以下の反応はアルゴン気流下で行った。
ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド(東京化成製)4.9g(7.5mモル)、亜鉛末2.35g(37.5mモル)、臭化テトラエチルアンモニウム5.2g(25mモル)を無水THF25mlに懸濁し、室温にて30分間撹拌した。この反応混合物に12.5mlのDMF中、2−クロルピリジン1.19ml(12.5mモル)、4−クロルピリジン塩酸塩1.88g(12.5mモル)とトリエチルアミン1.74ml(12.5mモル)を1時間撹拌して得られた混合物をシリンジで加えた。
反応液を50℃で16時間撹拌した後、反応混合物を10Nアンモニア水溶液50mlに注ぎ、トルエン30mlを加え、不溶物を濾去した。分液操作により得られた有機層と水層をさらにトルエン20mlで抽出した溶液を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、得られた有機層を2N塩酸20mlで抽出した。この酸性溶液に4Nアンモニア水溶液20mlを加え、トルエン20mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し減圧下濃縮することによりジピリジル異性体混合物を1.47g得た。
ジピリジル異性体混合物をトルエン10mlに溶解し、0.5M硫酸銅水溶液を20ml加え、撹拌すると不溶物が生成した。この不溶物をセライトを用いて濾去した。このトルエン−硫酸銅水溶液をアンモニア水にてpH9にした後、トルエン10mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮すると2,4′−ジピリジルが224mg(収率11%)得られた。このものには微量の4,4′−ジピリジルの混在が認められた。また、濾取した不溶化銅塩をアンモニア水にてpH9にした後、トルエン10mlで2回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、減圧下濃縮するとジピリジル異性体混合物(2,4′−ジピリジルも3分の1程度含まれている)が439mg得られた。
実施例17および18の反応条件および分離結果を表6に示す。
実施例19:3−クロロ−4−(4−クロロブチル)−4,5−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾオキサゼピン−3,5−ジオン5.0gをアセトン100mlに溶解し、7.8g(2当量)の炭酸カリウムと6.5ml(2当量)の1−ブロモ−4−クロロブタンを加え、8時間加熱還流した。放冷後濾過して、濾液を濃縮して得られた残渣をオキシ塩化リン50mlに溶解させた。さらに20mlの4N塩酸ジオキサン溶液を加え、100℃で25時間撹拌した。オキシ塩化リンを溜去して、氷冷下で10%水酸化ナトリウム水溶液を加えた。塩化メチレンで抽出後、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を溜去して得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)、標題化合物4.4g(収率45%)を得た。
実施例20:塩化 3−クロロ−4,5−ジヒドロ−4−(4−(4−(2−ピリジル)ピリジニオ−1−イル)ブチル)−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
実施例19の化合物200mgをアセトン2mlに溶解し、21mg(2当量)のヨウ化ナトリウムと120mg(1.1当量)の2,4′−ジピリジルを加え、30時間加熱還流した。放冷後析出した結晶を濾取し、メタノール、アセトン、エーテル混合溶媒より再結晶して標題化合物298mg(収率96%)を得た。
実施例21:3−クロロ−4,5−ジヒドロ−4−(4−(4−(2−ピリジル)ピペリジン−1−イル)ブチル)−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
実施例19の化合物550mgをDMF 10mlに溶解し、210mg(1.2当量)の4−(2−ピリジル)ピペリジン、390mg(2当量)のヨウ化ナトリウムおよび0.36ml(2当量)のトリエチルアミンを加え、90℃で17時間撹拌した。放冷後水を加え酢酸エチルで2回抽出した。全有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を溜去して得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(塩化メチレン:メタノール=30:1)、標題化合物450mg(収率85%)を得た。なおフマル酸塩は通常の方法でフマル酸塩とした後、アセトンより再結晶して得ることができた。
実施例22:3−クロロ−4,5−ジヒドロ−4−(4−(4−(2−ピリジル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)ブチル)−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
実施例19の化合物487mgをDMF 10mlに溶解し、180mg(1.2当量)の4−(2−ピリジル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、336mg(2当量)のヨウ化ナトリウムおよび0.31ml(2当量)のトリエチルアミンを加え、90℃で20時間撹拌した。実施例21と同様に処理精製して、標題化合物290mg(収率63%)を得た。なお塩酸塩は通常の方法で塩酸塩とした後、メタノール、アセトン混合溶媒より再結晶して得ることができた。
実施例23:4−(4−ブロモブチル)−4,5−ジヒドロ−3−メチル−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
3−メチル−4,5−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オン2.0gをジメチルホルムアミド120mlに溶解し、氷冷下で548mg(1.2当量)の60%水素化ナトリウムを加えた。室温で1時間撹拌した後、4.1ml(3当量)の1,4−ジブロモブタンを加え3時間撹拌した。反応溶液に氷水を加え、酢酸エチルで抽出した。この酢酸エチル抽出液を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を溜去して得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)、標題化合物3.0g(収率84%)を得た。
実施例24:4,5−ジヒドロ−3−メチル−4−(4−(4−(2−ピリジル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)ブチル)−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
実施例23の化合物230mgをジオキサン8mlに溶解し、100mg(1.2当量)の4−(2−ピリジル)−1,2,3,6,−テトラヒドロピリジンおよび0.13ml(1.5当量)のトリエチルアミンを加え、80℃で10時間撹拌した。実施例21と同様に精製して、標題化合物210mg(収率88%)を得た。なおフマル塩は通常の方法でフマル塩とした後、アセトン、エーテル混合溶媒より再結晶して得ることができた。
実施例25:4−(4−クロロブチル)−3,8−ジクロロ−4,5−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
8−クロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾオキサゼピン−3,5−ジオン918mgをアセトン20mlに溶解し、1.2g(2当量)の炭酸カリウムと819mg(1.1当量)の1−ブロモ−4−クロロブタンを加え、7時間加熱還流した。放冷後濾過して、濾液を濃縮して得られた残渣をオキシ塩化リン2mlに溶解させた。さらに1.4ml(2当量)のN,N−ジエチルアニリンを加え、90℃で12時間撹拌した。オキシ塩化リンを溜去して、氷冷下で10%水酸化ナトリウム水溶液を加えた。塩化メチレンで抽出後、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を溜去して得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)、標題化合物598mg(収率43%)を得た。
実施例26:3,8−ジクロロ−4,5−ジヒドロ−4−(4−(4−(2−ピリジル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)ブチル)−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
実施例25の化合物200mgをDMF 5mlに溶解し、120mg(1.2当量)の4−(2−ピリジル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、187mg(2当量)のヨウ化ナトリウムおよび0.17ml(2当量)のトリエチルアミンを加え、90℃で18時間撹拌した。実施例21と同様に処理精製して、標題化合物117mg(収率43%)を得た。なおフマル酸塩は通常の方法でフマル酸塩とした後、メタノール、エーテル混合溶媒より再結晶して得ることができた。
実施例27:3,8−ジクロロ−4,5−ジヒドロ−4−(4−(4−(2−ピリジル)ピペリジン−1−イル)ブチル)−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成
実施例25の化合物200mgをDMF 5mlに溶解し、149mg(1.2当量)の4−(2−ピリジル)ピペリジン塩酸塩、187mg(2当量)のヨウ化ナトリウムおよび0.30ml(3.5当量)のトリエチルアミンを加え、90℃で20時間撹拌した。実施例21と同様に処理精製して、標題化合物158mg(収率59%)を得た。なおフマル酸塩は通常の方法でフマル酸塩とした後、メタノール、エーテル混合溶媒より再結晶して得ることができた。
実施例28:3−クロロ−4,5−ジヒドロ−4−(4−(4−(2−ピリジル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)ブチル)−1,4−ベンゾオキサゼピン−5−オンの合成(実施例22の同一の物質の別の方法による合成)
実施例20の化合物800mgをエタノール20mlに溶解し、硼水素化ナトリウム140mg(2当量)を氷冷下添加し、次に得られた混合物を室温で10分間撹拌した。水を添加し、そして酢酸エチルで抽出した。有機層を水、そして飽和食塩水で洗浄し、次に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、そして得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=30:1)で精製し、標題化合物600mg(収率81%)を得た。
本法の開発により、従来知られている方法に比べて2,4′−ジピリジル誘導体を収率良く容易にわずか1工程で得ることができる。さらにジピリジル異性体混合物から容易に2,4′−ジピリジル誘導体のみを分離精製することも可能となり、2,4′−ジピリジル誘導体の有用な新規製造法となった。また、この方法を用いてベンゾオキサゼピン誘導体および塩を容易に製造することができる。
Claims (7)
- 1)式(I):
(式中、Xはハロゲン原子を示し、R3およびR4はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜4の低級アルキル基を示す)で表わされる2−ハロピリジン誘導体と、4−ハロピリジンとをニッケル錯体触媒を用いて、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムの存在または不存在下でカップリング反応させる工程
2)工程1で生成した式(II):
(式中、R3およびR4はそれぞれ上に定義した通りである)で表わされる2,4′−ジピリジル誘導体を含むジピリジル誘導体の異性体混合物を、有機溶媒中、硫酸銅水溶液を加え、不溶化した2,2´−ジピリジル誘導体及び4,4´−ジピリジル誘導体の硫酸銅塩を濾去し、2,4´−ジピリジル誘導体を分離することを特徴とする2,4´−ジピリジル誘導体の製造方法。 - ニッケル錯体触媒が、NiCl2(PPh3)2,NiBr2(PPh3)2,NiI2(PPh3)2,NiCl2〔Ph2P(CH2)2PPh2〕,NiCl2〔Ph2P(CH2)3PPh2〕から選択される2価のニッケルを含むジハライドである、請求項1に記載の2,4´−ジピリジル誘導体の製造方法。
- ニッケル錯体触媒とともに亜鉛を用いる請求項2に記載の2,4´−ジピリジル誘導体の製造方法。
- 2−ハロピリジン誘導体および4−ハロピリジンが、2−クロルピリジン誘導体と4−クロルピリジンである請求項1,2または3に記載の方法。
- 請求項5記載の方法により2,4′−ジピリジル誘導体を分離する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2,4′−ジピリジル誘導体の製造方法。
- 式(III):
(式中、nは2〜5の整数を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシアルキル基、炭素数1〜4のハロゲノアルキル基、シアノ基またはエステル基を示し、R2は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルコキシ基または水酸基を示し、R3およびR4はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、点線は結合の存在または不存在を示す)で表わされるベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩の製造方法において、
1)請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法を用いて2,4′−ジピリジル誘導体を調製する工程;
2)工程1)で得られた2,4′−ジピリジル誘導体と式(V):
(式中、n,R1,R2はそれぞれ上に定義した通りであり、Qは水酸基、アルコキシ基、ハロゲンまたはアミノ基と容易に交換し得る脱離基を示す)で表わされる化合物と沃化ナトリウムの存在下又は不存在下に反応せしめて、次の式(VI):
(式中、n,R1,R2,R3,R4はそれぞれ上に定義した通りであり、Xはハロゲン原子を示す)で表わされる化合物を製造する工程;並びに、
工程2)で得られた式(VI)で表わされる化合物を式(III)の化合物に還元する工程を含んでなる前記ベンゾオキサゼピン誘導体およびその塩の製造方法。
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