JP4211972B2 - ダンパ及びボックス体開閉装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃を弱めたり振動や運動を減衰させたりするダンパ及びこのダンパが組み込まれたボックス体開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、衝撃を弱めたり振動や運動を減衰させたりするダンパ(緩衝装置または振動減衰装置)が各種の機械や装置に広く使用されている。このようなダンパの一例として、自動車のグローブボックスを開閉する際に使用されるダンパが知られている。このダンパとして、エアーを利用したエアーシリンダ式のダンパが知られている。エアーシリンダ式のダンパには、ばねやパッキンを組み込んだタイプ(例えば、特許文献1参照。)と、ばねを用いずにエアーオリフィスを利用したタイプ(例えば、特許文献2参照。)の2種類がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−146872号公報(第3頁、図4等)
【特許文献2】
特開2000−65116号公報(第3−4頁、図1、図6等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した2つのタイプのダンパのうち、ばねやパッキンを組み込んだタイプのダンパは、強い減衰力を得易いが、その構造が複雑である。このため、生産性が良くなく、またコストも高い、という問題がある。
【0005】
一方、ばねを用いずにエアーオリフィスを利用したタイプのダンパは、簡易な構造である。しかし、強い減衰力を得るためにはエアーの容量が大きくなり、このためにサイズの大きなダンパとなる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、簡易な構造でコンパクトであっても減衰力の強いダンパ及びこのダンパが組み込まれたボックス体開閉装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のダンパは、
(1)所定方向に延びる合成樹脂製のロッドと、
(2)該ロッドの外周面のうちの一部を取り囲んで該ロッドの長手方向に相対的に移動する合成樹脂製のスリーブと、
(3)該スリーブをその外側から締め付けて該スリーブと前記ロッドとの間に摩擦力を発生させる締付部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、
(4)前記スリーブは、同一形状の半スリーブを2つ合体させることにより形成されたものであってもよい。
【0009】
また、
(5)前記半スリーブは、互いに合体する他方の半スリーブに接触する接触面に形成された凸部と凹部を有したものであり、
(6)一方の半スリーブの凸部を他方の半スリーブの凹部に差し込むと共に、一方の半スリーブの凹部に他方の半スリーブの凸部を差し込むことにより、これら2つの半スリーブを合体させるものであってもよい。
【0010】
さらに、
(7)前記締付部材は、その横断面がO状のOリング、X状のXリング、Y状のYリング、若しくはC状のCリングのうちのいずれかであってもよい。
【0011】
さらにまた、
(8)前記ロッドは、その長手方向における位置によってその横断面形状若しくはその外径の少なくとも一方が異なるものであってもよい。
【0012】
また、本発明のボックス体開閉装置は、
(9)上記したダンパが有するロッドの一端部が回動自在に固定されると共に、前記ロッドが移動するに伴って開閉されるボックス体と、
(10)前記スリーブが回動自在に固定されると共に、前記ボックス体を開閉自在に支持する支持体とを備え、
(11)前記ボックス体を開閉するための外力が前記ダンパによって減衰されることを特徴とするものである。
【0013】
ここで、
(12)前記ロッドは、その長手方向に交差する方向に曲がった屈曲部がその長手方向先端部に形成されたものであり、
(13)前記ボックス体は、屈曲部を回動自在に保持する保持部が該ボックス体の側壁に形成されたものであってもよい。
【0014】
上記のロッドに使用される合成樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。また、上記のスリーブに使用される合成樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂などが挙げられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
【0016】
図1から図3までを参照して、本発明のダンパの第1実施形態を説明する。
【0017】
図1(a)は、2つの半スリーブを合体して作製されたスリーブを備えたダンパを示す平面図であり、(b)は、(a)に示すダンパの側面図であり、(c)は、(b)に示すダンパのA―A断面図である。図2(a)は、半スリーブの平面図であり、(b)は、(a)を左から見たときの左側面図であり、(c)は、(a)のA―A断面図であり、(d)は、(a)の平面図であり、(e)は、(d)のB―B断面図である。図3(a)は、ロッドを示す平面図であり、(b)は、(a)に示すロッドの正面図であり、(c)は、(a)のA−A断面図であり、(d)は、(a)のB―B断面図であり、(e)は、矩形の横断面をもつロッドを示す断面図である。
【0018】
ダンパ10は、図1に示すように、所定方向(矢印R方向であり、長手方向である)に延びる合成樹脂製のロッド20と、このロッド20の外周面のうちの一部を取り囲んでロッド20の長手方向(矢印R方向)に相対的に移動する合成樹脂製のスリーブ30と、このスリーブ30をその外側から締め付けるゴム弾性体からなるOリング70(本発明にいう締付部材の一例である)とから構成されている。ロッド20は円柱状のものであり、スリーブ30は円筒状のものである。Oリング70はスリーブ30の外周面に巻き付いてスリーブ30を締め付けており、この締付力によってスリーブ30とロッド20との間に摩擦力が発生する。この摩擦力の強さは締付力の強さに応じたものである。
【0019】
ダンパ10のサイズの一例を説明する。
【0020】
図1に示すように、スリーブ30の長さL1は35mmであり、高さHは26.5mmである。また、ロッド20の長さL2は約80mmであり、外径(太さ)φは約5〜6mmである。このようにダンパ10はコンパクトなものであり、3つの部材(ロッド20、スリーブ30、Oリング70)からなる簡易な構造である。後述するように、スリーブ30がロッド20の外周面を締め付ける締付力を変更できるので、小型であっても減衰力の強いダンパ10となる。
【0021】
スリーブ30は、同一形状の半スリーブ40を2つ合体させることにより形成されたものである。半スリーブ40は、図1や図2に示すように、半円筒状のものであり、その内部には、半円柱状の空間40aが形成されている。2つの半スリーブ40が互いに向き合って合体されることにより、空間40aは円柱状のものとなり、この円柱状の空間にロッド20が嵌め込まれている。
【0022】
半スリーブ40の長手方向中央部には、図2に示すように、リング状の固定部42が形成されている。この固定部42は、ダンパ10をドアなどに固定する際に使用されるものである。半スリーブ40には、互いに合体する他方の半スリーブ40に接触する平らな接触面44が形成されている。この接触面44のうち半スリーブ40の長手方向中央部よりもやや両端部側の部分には、一対の凸部46と一対の凹部48が形成されている。凸部46は円柱状であり、凹部48にほぼぴったりと差し込まれる。凸部46は半スリーブ40の直径(太さ)方向に並んで形成されており、その高さは約2mmである。凹部48は円柱状の空間であり、半スリーブ40の直径(太さ)方向に並んで形成されており、その深さは約2mmである。
【0023】
2つの半スリーブ40を合体させてスリーブ30を作製するときは、一方の半スリーブ40の凸部46を他方の半スリーブ40の凹部48に差し込むと共に、一方の半スリーブ40の凹部48に他方の半スリーブ40の凸部46を差し込む。従って、2つの半スリーブ40,40を容易に合体してスリーブ30を作製できる。また、凸部46が凹部48に差し込まれているので、凸部46と凹部48がストッパの機能を発揮して、合体した2つの半スリーブ40がずれることが防止される。
【0024】
半スリーブ40の外周壁のうち長手方向両端部は、図2に示すように、長手方向中央部よりもその外径(太さ)がやや小さくなっており、この長手方向両端部それぞれには半円形の浅い溝50が形成されている。2つの半スリーブ40が合体することにより、この半円形の溝50が円形の溝となり、この円形の溝には、図1に示すように、Oリング70が嵌め込まれる。円形の溝に嵌め込まれたOリング70によってスリーブ30が締め付けられる。図1では、一つの円形の溝に1つのOリング70を嵌め込んでいるが、2つ以上のOリングを嵌め込んでもよい。この場合、円形の溝に嵌め込まれたOリング70の数が多いほど、Oリング70がスリーブ30を締め付ける締付力が強くなり、この結果、スリーブ30とロッド20との間に発生する摩擦力も強くなるので、ダンパ10の減衰力も強くなる。
【0025】
上記したOリング70に代えて、横断面がX状のXリング、Y状のYリング、C状のCリング等の弾性部材を用いてもよい。このように、断面形状の異なるリング状の弾性部材を適宜に使用することにより、スリーブ30を締め付ける締付力が変わってロッド20を締め付ける締付力が変わるので、ダンパ10の減衰力も変わる。従って、リング状の弾性部材を適宜に選択することにより、ダンパ10の減衰力を所望の値に容易にできる。
【0026】
ロッド20は、図3に示すように、長さL2が約80mmであり、外径φが約5〜6mmの間で変化している細長い円柱状のものである。ロッド20の長手方向一端部にはリング状の固定部22が形成されている。この固定部22は、通常、衝撃や運動を生じさせる部品・部材に固定される。
【0027】
上述したようにロッド20の外径は一様でなく、その長手方向における位置によってその横断面形状と外径が異なる。例えば、ロッド20のうち固定部22に近い部分(後端部)では、図3(c)に示すようにその横断面が円形であり、一方、ロッド20のうち固定部22から離れた部分(先端部)では、図3(d)に示すようにその横断面が楕円形である。このような横断面の形状は徐々に変化させてもよいし、急激に変化させてもよい。例えば、図3に示すロッド20では、ロッド20の先端部分(先端から長さ約12mmまでの先端領域)R1では、その横断面が楕円形である。この先端部分R1から長さ約50mmまでの部分(中央領域)R2では、固定部22に近付くほどその太さが細くなっている。また中央領域22から約10mmまでの部分(後端領域)R3では、その横断面が直径5mmの円形である。いずれにしても、ロッド20の外径が大きい部分(太い部分)がスリーブ30で締め付けられているときは両者間の摩擦力が強くなるのでダンパ10の減衰力が強まり、この逆にロッド20の外径が小さい部分(細い部分)がスリーブ30で締め付けられているときは両者間の摩擦力が弱くなるのでダンパ10の減衰力が弱まる。従って、ロッド20の横断面形状若しくは外径をその長手方向で適宜に変えることによりダンパ10の減衰力を適宜に変えられることとなる。また、スリーブ30の内径よりも細い部分が形成されたロッド20を使用することもできる。この場合、ロッド20のうちこの細い部分がスリーブ30に取り囲まれているときは、ダンパ10の減衰力はゼロ若しくはゼロに近い値となる。
【0028】
なお、横断面形状が,図3(e)に示すように長方形や正方形など矩形になったロッド20’を使用してもよい。この場合、ロッド20’の先端領域R1、中央領域R2、後端領域R3におけるロッド20’の断面積を適宜に変更することにより、上述した作用効果と同様の作用効果を奏する。また、このようなロッド20’を使用する場合、半スリーブ40の空間40aの横断面形状は、ロッド20’の横断面形状に対応させて長方形や正方形にする。
【0029】
上記した半スリーブ40はポリエチレン樹脂製であり、ロッド20はポリアセタール樹脂製であり、Oリング70はNBR(ニトリルブタジエンラバー)製である。しかし、これらの材質に限定されることはなく、ダンパ10の使用環境等に応じて材質は適宜に決められる。
【0030】
上記したロッド20、半スリーブ40、Oリング70を組み立ててダンパ10を製造する手順を説明する。
【0031】
先ず、半スリーブ40の空間部分にロッド20を嵌め込む。続いて、ロッド20が嵌め込まれた半スリーブ40に他の半スリーブ40を合体させてスリーブ30を形成する。続いて、スリーブ30の溝50,50にOリング70を嵌めてこのOリング70でスリーブ30を締め付ける。以上によりダンパ10が製造される。
【0032】
他の手順としては、2つの半スリーブ40を合体させてスリーブ30を形成し、続いて、スリーブ30の溝50,50にOリング70を嵌めてこのOリング70でスリーブ30を締め付けておき、スリーブ30の長手方向一端の開口からロッド20を差し込む手順もある。
【0033】
上記のようにして製造したダンパ10では、ロッド20の長手方向に外力(例えば衝撃や振動)が作用してロッド20がその長手方向に移動する場合、ロッド20とスリーブ30との間に発生する摩擦力は、ロッド20が移動する際の抵抗力となる。このため、ロッド20がその長手方向に移動する運動が減衰する。このように、ロッド20とスリーブ30との間に発生する摩擦力のみで運動を減衰させているので、ダンパ10の部品点数が少なくて済み、簡易な構造のダンパ10が得られる。
【0034】
また、Oリング70とスリーブ30とでロッド20を締め付ける力(締付力)を強めてロッド20とスリーブ30との間に発生する摩擦力を強めたときは、ロッド20の運動(その長手方向への動き)を減衰させる力(減衰力)も強まる。一方、上記の締付力を弱めてロッド20とスリーブ30との間に発生する摩擦力を弱めたときは、上記の減衰力も弱まる。
【0035】
このように、Oリング70とスリーブ30とでロッド20を締め付ける力を適宜に変えることによりロッド20とスリーブ30との間に発生する摩擦力も変わるので、Oリング70やスリーブ30のサイズを大きくしなくても減衰力の強いダンパ10が得られる。また、ロッド20及びスリーブ30の材質の組み合わせを適宜に変えることにより両者間で発生する摩擦力も変わるので、これらのサイズを大きくしなくても減衰力の強いダンパ10が得られる。従って、減衰力の大小に拘わらずにコンパクトなダンパ10が得られる。なお、空気を利用しないので環境温度によって減衰力が変わらない。
[第2実施形態]
【0036】
図4と図5を参照して、ダンパ10が組み込まれたボックス体開閉装置について説明する。
【0037】
図4は、本発明のボックス体開閉装置の一例を示す斜視図である。図5は、ボックス体の開閉動作を模式的に示す側面図であり、グローブボックスの開閉動作が二点鎖線で示されている。これらの図では、図1に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0038】
ここでは、ボックス体の一例として自動車のグローブボックスを挙げる。グローブボックス150は、回転軸152を中心にして矢印D方向に開閉するものである。この開閉動作を緩やかに行わせるために、グローブボックス150の側壁の外側にはダンパ10が配置されている。グローブボックス150の側壁の外面には、ロッド20の固定部22が回動自在に固定されている。また、スリーブ30の固定部42は、インストルメントパネル154(本発明にいう支持体の一例である)のうち図5の紙面の手前側の部分)に回動自在に固定されている。グローブボックス150は、インストルメントパネル154に開閉自在に支持されている。
【0039】
グローブボックス150が閉じられているとき(実線で示す位置にあるとき)は、ダンパ10も実線で示す位置に存在している。グローブボックス150が開けられることにより、ダンパ10は固定部42を中心にして矢印E方向に回動すると共に、グローブボックス150の動きに連動してロッド20がその長手方向に移動してロッド20の固定部22Aが二点鎖線で示す位置に移動する。グローブボックス150が完全に開いたときは、ロッド20の固定部22Bが二点鎖線で示す位置に移動する。グローブボックス150が閉じるときは、上記の逆の動作となる。このように、ロッド20がその長手方向に移動するに伴ってグローブボックス150が開閉されるので、グローブボックス150を開閉する際の外力がダンパ10によって減衰される。
【0040】
上記のように、グローブボックス150を開閉する際の外力がダンパ10によって減衰されるので、コンパクトなダンパ10を用いてこのダンパ10が占有するスペースを狭くしても十分な減衰力を確保できる。このため、限られたスペースにグローブボックス150とダンパ10を収容する場合、大きいサイズのグローブボックス10を収容できる。
【0041】
上記した例ではグローブボックス150の開閉にダンパ10を用いたが、このダンパ10は、家電、家具、建具等にも用いることができる。
[第3実施形態]
【0042】
図6から図8までを参照して、ダンパの他の例と、この他の例を用いたボックス体開閉装置を説明する。
【0043】
図6(a)は、他の例のダンパのロッドを示す正面図であり、(b)は、(a)に示すダンパの平面図であり、(c)は、(a)に示すダンパのロッドを示す正面図である。図7は、グローブボックスに形成された保持部を示す斜視図である。図8は、ボックス体の開閉動作を模式的に示す側面図であり、グローブボックスの開閉動作が二点鎖線で示されている。これらの図では、図1に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0044】
他の例のダンパ100がダンパ10とは異なる点は、ロッド120の長手方向一端部の形状にある。他の点では、ダンパ100はダンパ10と同じである。
【0045】
ダンパ100のロッド120の長手方向(矢印R方向)一端部は、この長手方向に直交する方向に曲がった屈曲部124が形成されている。この屈曲部124は、ロッド120の太さとほぼ同じ太さで円柱状のものである。屈曲部124の先端には、円板状の鍔126が形成されている。
【0046】
グローブボックス250の側壁の外面には、ロッド20の屈曲部124を回動自在に保持する保持部260が形成されている。保持部260は、薄い箱状のものであり、その内部には鍔126が回動自在に嵌め込まれる。保持部260の上部は開口262になっており、鍔126はこの開口262を通って保持部260の内部に嵌め込まれる。開口262の近傍の側壁には傾斜面264が形成されており、屈曲部124を下方に案内する。傾斜面264は、屈曲部124の太さよりもやや広い案内通路266につながっている。この案内通路266の下方には、屈曲部124が回動自在に保持される円形の保持孔268が形成されている。この保持孔268の直径は、鍔126の外径よりも小さい。従って、鍔126がこの保持孔268から抜け出ることはない。
【0047】
ロッド120の屈曲部124を保持部260に回動自在に保持する際は、鍔126を開口262から内部に嵌め込むと共に屈曲部124を案内通路266に嵌め込む。続いて、屈曲部124を保持孔268に嵌め込むことにより鍔126が保持部260の内部に回動自在に嵌め込まれる。これにより、グローブボックス250の側壁の外面にロッド120の屈曲部124(長手方向一端部)が回動自在に固定される。
【0048】
グローブボックス250は、回転軸252を中心にして矢印D方向に開閉するものである。この開閉動作を緩やかに行わせるために、グローブボックス250の側壁の外側にはダンパ100が配置されている。グローブボックス250の側壁の外面には保持部260が形成されており、この保持部260にはロッド120の屈曲部124が回動自在に固定されている。また、スリーブ30の固定部42は、インストルメントパネル154(本発明にいう支持体の一例である)のうち図8の紙面の手前側の部分)に回動自在に固定されている。グローブボックス250は、インストルメントパネル154に開閉自在に支持されている。
【0049】
グローブボックス250が閉じられているとき(実線で示す位置にあるとき)は、ダンパ100も実線で示す位置に存在している。グローブボックス250が開けられることにより、ダンパ100は固定部42を中心にして矢印E方向に回動すると共に、グローブボックス250の動きに連動してロッド120がその長手方向に移動してロッド120の屈曲部124Aが二点鎖線で示す位置に移動する。グローブボックス250が完全に開いたときは、ロッド120の屈曲部124Bが二点鎖線で示す位置に移動する。グローブボックス250が閉じるときは、上記の逆の動作となる。このように、ロッド120がその長手方向に移動するに伴ってグローブボックス250が開閉されるので、グローブボックス250を開閉する際の外力がダンパ100によって減衰される。
【0050】
上記のように、グローブボックス250に保持部260を形成しておき、この保持部260にロッド120の屈曲部124(長手方向一端部)を回動自在に保持した場合は、限られたスペースにグローブボックス250とダンパ100を収容する場合、いっそう大きいサイズのグローブボックス250をこのスペースに収容できる。
【0051】
上記した例ではグローブボックス250の開閉にダンパ100を用いたが、このダンパ100は、家電、家具、建具等にも用いることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のダンパでは、締付部材がスリーブを締め付けることにより、スリーブとロッドとの間に摩擦力が発生する。このため、スリーブが固定されている場合、ロッドの長手方向(上記の所定方向)に外力(例えば衝撃や振動)が作用してロッドがその長手方向に移動するときは、ロッドとスリーブとの間に発生する摩擦力は、ロッドが移動する際の抵抗力となる。このため、ロッドがその長手方向に移動する運動が減衰する。このように、締付部材によってロッドとスリーブとの間に摩擦力を発生させて、この摩擦力のみで運動を減衰させているので、ダンパの部品点数が少なくて済み、簡易な構造のダンパが得られる。また、締付部材がスリーブを締め付ける力(締付力)を強めてロッドとスリーブとの間に発生する摩擦力を強めることにより、ロッドの運動(その長手方向への動き)を減衰させる力(減衰力)も強まる。一方、この締付力を弱めてロッドとスリーブとの間に発生する摩擦力を弱めることにより、上記の減衰力も弱まる。このように、締付力を適宜に変えることによりロッドとスリーブとの間に発生する摩擦力も変わるので、スリーブ等のサイズを大きくしなくても減衰力の強いダンパが得られる。また、ロッド及びスリーブの材質の組み合わせを適宜に変えることにより両者間で発生する摩擦力も変わるので、これらのサイズを大きくしなくても減衰力の強いダンパが得られる。従って、減衰力の強弱(大小)に拘わらずにコンパクトなダンパが得られる。なお、空気を利用しないので環境温度によって減衰力が変わらない。
【0053】
ここで、前記スリーブは、同一形状の半スリーブを2つ合体させることにより形成されたものである場合は、作製し易いダンパが得られる。
【0054】
また、前記半スリーブは、互いに合体する他方の半スリーブに接触する接触面に形成された凸部と凹部を有したものであり、一方の半スリーブの凸部を他方の半スリーブの凹部に差し込むと共に、一方の半スリーブの凹部に他方の半スリーブの凸部を差し込むことにより、これら2つの半スリーブを合体させるものである場合は、2つの半スリーブを容易に合体できる。また、凹部と凸部がストッパの機能を発揮するので、合体した2つの半スリーブがずれることが防止される。
【0055】
さらに、前記締付部材は、その横断面がO状のOリング、X状のXリング、Y状のYリング、若しくはC状のCリングのうちのいずれかである場合は、締付部材としてOリング、Xリング、Yリング、及びCリングを適宜に使用することにより、スリーブを締め付ける締付力が変わるので、ダンパの減衰力を容易に変更できる。
【0056】
さらにまた、前記ロッドは、その長手方向における位置によってその横断面形状若しくはその外径の少なくとも一方が異なるものである場合は、ロッドの外径が大きい部分がスリーブに取り囲まれているときは、締付部材がスリーブを締め付ける締付力が強まるのでダンパの減衰力が強まり、この逆にロッドの外径が小さい部分がスリーブに取り囲まれているときは、締付部材がスリーブを締め付ける締付力が弱まるのでダンパの減衰力が弱まる。このように、ロッドの外径をその長手方向で適宜に変えることによりその減衰力を適宜に変えられる。
【0057】
また、本発明のボックス体開閉装置では、ボックス体を開閉する際の外力が上記のダンパによって減衰されるので、コンパクトなダンパを用いてこのダンパが占有するスペースを狭くしても十分な減衰力を確保できる。このため、限られたスペースにボックス体とダンパを収容する場合、大きいサイズのボックス体を収容できる。
【0058】
ここで、前記ロッドは、その長手方向に交差する方向に曲がった屈曲部がその長手方向先端部に形成されたものであり、前記ボックス体は、屈曲部を回動自在に保持する保持部が該ボックス体の側壁に形成されたものである場合は、ロッドの屈曲部がボックス体の保持部に保持されるので、限られたスペースにボックス体とダンパを収容する場合、いっそう大きいサイズのボックス体を収容できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、2つの半スリーブを合体して作製されたスリーブを備えたダンパを示す平面図であり、(b)は、(a)に示すダンパの側面図であり、(c)は、(b)に示すダンパのA―A断面図である。
【図2】(a)は、半スリーブの平面図であり、(b)は、(a)を左から見たときの左側面図であり、(c)は、(a)のA―A断面図であり、(d)は、(a)の平面図であり、(e)は、(d)のB―B断面図である。
【図3】(a)は、ロッドを示す平面図であり、(b)は、(a)に示すロッドの正面図であり、(c)は、(a)のA−A断面図であり、(d)は、(a)のB―B断面図であり、(e)は、矩形の横断面をもつロッドを示す断面図である。
【図4】本発明のボックス体開閉装置の一例を示す斜視図である。
【図5】ボックス体の開閉動作を模式的に示す側面図であり、グローブボックスの開閉動作が二点鎖線で示されている。
【図6】図6(a)は、他の例のダンパのロッドを示す正面図であり、(b)は、(a)に示すダンパの平面図であり、(c)は、(a)に示すダンパのロッドを示す正面図である。
【図7】グローブボックスに形成された保持部を示す斜視図である。
【図8】ボックス体の開閉動作を模式的に示す側面図であり、グローブボックスの開閉動作が二点鎖線で示されている。
【符号の説明】
10,100 ダンパ
20,120 ロッド
30 スリーブ
40 半スリーブ
46 凸部
48 凹部
70 Oリング
124 ダンパの屈曲部
150,250 グローブボックス
260 グローブボックスの保持部
Claims (7)
- 衝撃を弱めたり振動や運動を減衰させたりするダンパにおいて、
所定方向に延びる合成樹脂製のロッドと、
該ロッドの外周面のうちの一部を取り囲んで該ロッドの長手方向に相対的に移動する、前記ロッドよりも短い合成樹脂製のスリーブと、
該スリーブをその外側から締め付けて該スリーブと前記ロッドとの間に摩擦力を発生させる締付部材とを備え、
前記ロッドは、前記スリーブを貫通してその長手方向に前記スリーブとは相対的に移動するものであり、
前記スリーブは、その長手方向両端部それぞれの外周面に円形の溝が形成されたものであり、
前記締付部材は、前記摩擦力に応じてその数を変更して前記溝に嵌め込まれる1つ以上のリング状のものであることを特徴とするダンパ。 - 前記スリーブは、
同一形状の半スリーブを2つ合体させることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のダンパ。 - 前記半スリーブは、互いに合体する他方の半スリーブに接触する接触面に形成された凸部と凹部を有したものであり、
一方の半スリーブの凸部を他方の半スリーブの凹部に差し込むと共に、一方の半スリーブの凹部に他方の半スリーブの凸部を差し込むことにより、これら2つの半スリーブを合体させるものであることを特徴とする請求項2に記載のダンパ。 - 前記締付部材は、
その横断面がO状のOリング、X状のXリング、Y状のYリング、若しくはC状のCリングのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1,2,又は3に記載のダンパ。 - 前記ロッドは、
その長手方向における位置によってその横断面形状若しくはその外径の少なくとも一方が異なるものであることを特徴とする請求項1から4までのうちのいずれか一項に記載のダンパ。 - 請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載されたダンパが有するロッドの一端部が回動自在に固定されると共に、前記ロッドが移動するに伴って開閉されるボックス体と、
前記スリーブが回動自在に固定されると共に、前記ボックス体を開閉自在に支持する支持体とを備え、
前記ボックス体を開閉するための外力が前記ダンパによって減衰されることを特徴とするボックス体開閉装置。 - 前記ロッドは、
その長手方向に交差する方向に曲がった屈曲部がその長手方向先端部に形成されたものであり、
前記ボックス体は、
屈曲部を回動自在に保持する保持部が該ボックス体の側壁に形成されたものであることを特徴とする請求項6に記載のボックス体開閉装置。
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