JP4211121B2 - 含ケイ素有機リン酸化合物、その製造方法、これを含む難燃剤及び難燃性樹脂組成物 - Google Patents

含ケイ素有機リン酸化合物、その製造方法、これを含む難燃剤及び難燃性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン原子を含まない新規な含ケイ素有機リン酸化合物、その製造方法、これを含む難燃剤及び難燃性樹脂組成物に関するものであり、各種電気機器などに多用される難燃樹脂用配合型難燃剤として使用可能である。
【0002】
【従来の技術】
従来より樹脂の難燃化に対して、ハロゲン系の難燃剤が難燃性、樹脂物性、価格の面で優れているために広く用いられてきたが、発煙性、加工及び燃焼時の毒性ガスの発生の問題により、近年ハロゲン系化合物を使用しない難燃処方の開発が盛んに行われている。
【0003】
樹脂の難燃化を目的としたハロゲン原子を含まないリン酸エステル系化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート(いずれも例えば、特公昭53−418号公報)、オリゴマー型の縮合リン酸エステル(例えば、特開平7−109416号公報)が知られている。
【0004】
しかしながら、これらのリン酸エステル系化合物は、揮発性が高く耐熱性が十分でないものが多く、難燃性能及び配合樹脂の機械物性の面でさらなる改善が求められていた。そのため、種々のリン酸エステル系化合物の提案がなされ、様々な用途で使い分けがなされているものの、近年の難燃規制の強化、配合した難燃樹脂の性能のさらなる向上要求が高く、従来品の課題を克服できる剤の創製が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的はハロゲン原子を含まない新規なリン酸エステル系化合物、これを含む難燃剤及びこれを配合した難燃性及び耐熱性に優れた難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明のケイ素を含む有機リン酸化号物(以下「含ケイ素有機リン酸化合物」という)が耐熱性、難燃性付与性能に優れ、樹脂等に混ぜることで十分な難燃性を発揮させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記一般式(2)
【0008】
【化2】
Figure 0004211121
【0009】
(式中、R1〜R6は各々独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、a〜fは各々独立して1〜3の整数を表し、R7及びR8は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基が1〜3個置換したフェニル基を表す。)
で表される含ケイ素有機リン酸化合物、その製造方法、これを含む難燃剤及び難燃性樹脂組成物に関する。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物は上記一般式(2)で表される構造である。
【0012】
ここで、一般式(2)中のR1〜R6は、各々独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、さらに、製造の容易さから水素原子であることが好ましい。また、R1〜R6として炭素数1〜10のアルキル基を有した化合物の場合、一般式(2)中のa〜fは1〜3の整数であることが好ましく、その置換基の位置は特に限定されず、殊にR3あるいはR4とシラノール(Si−O−)基との位置についても各々が任意の位置に置換されておればよい。
【0013】
一般式(2)中のR7及びR8は、各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基が1〜3個置換したフェニル基であることが好ましく、さらに、容易に製造できることから炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基、特にフェニル基であることが好ましい。
【0014】
また上記の含ケイ素有機リン酸化合物を樹脂に混ぜることで得られる樹脂組成物とする場合には、本発明の含ケイ素有機リン酸化合物の内の単一の構造の化合物を用いるのみならず、上記記載の範囲内で任意の位置に置換基を有したものや、置換基の数の異なるものを混合物として樹脂に混ぜてもよい。
【0015】
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物の製造方法については特に限定されないが、例えば、アミン存在下、ジヒドロキシアリールとジアリールリン酸クロライドとの反応により下記一般式(3)
【0016】
【化3】
Figure 0004211121
【0017】
(式中、R1〜R3は各々独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、a〜cは各々独立して1〜3の整数を表し、OH基とR3との位置関係も任意であってよい。)
で示される化合物を得、さらにアミン存在下、一般式(3)で示される化合物とジクロロジアリールシラン又はジクロロジアルキルシランとの反応等により得ることができる。
【0018】
本発明で適用可能なジヒドロキシアリールとしては、具体的にはカテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メチル−5−n−プロピルカテコール、3,5−ジイソプロピルカテコール、4−t−ブチルカテコール、3、5−ジ−t−ブチルカテコール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、4−エチルレゾルシノール、2,5−ジメチルレゾルシノール、4−ヘキシルレゾルシノール、4−ドデシルレゾルシノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン等が挙げられる。
【0019】
本発明で適用可能なジアリールリン酸クロライドとしては、具体的にはジフェニルリン酸クロライド、ジトリルリン酸クロライド、フェニルトリルリン酸クロライド、ジキシリルリン酸クロライド、2−エチルフェニルフェニルリン酸クロライド、ジ−3−n−プロピルフェニルリン酸クロライド、ジ−4−t−ブチルフェニルリン酸クロライド等が挙げられる。
【0020】
本発明で適用可能なジクロロジアリールシラン又はジクロロジアルキルシランとしては、具体的にはジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、ジクロロジフェニルシラン、ジクロロジトリルシラン、ジクロロジキシリルシラン等が挙げられる。
【0021】
本発明で適用可能なアミンとしては、具体的にはトリエチルアミン、ジエチルアニリン、ピリジン、ジメチルアニリン、イソキノリン、キノリン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0022】
アミンの使用量としては、特に限定されないが、ジヒドロキシアリールや一般式(3)で示される化合物に対して通常1〜1.3当量用いられる。
【0023】
これらのアミンは有機溶媒に溶解した溶液として反応に用いられる。
【0024】
ジヒドロキシアリールの使用量としては特に限定されるものではないが、ジアリールリン酸クロライドに対して通常1〜3当量用いられる。
【0025】
ジクロロジアリールシラン又はジクロロジアルキルシランの使用量としては特に限定されるものではないが、一般式(3)で示される化合物に対して通常0.5〜0.65当量用いられる。
【0026】
反応に使用される溶剤としては、反応に不活性であればあらゆるものが適用可能であり、ジクロロメタン、ジブロモメタン、クロロホルム、ブロモホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、1,4−ジオキサン等のジオキサン、テトラヒドフラン等の環状エーテルなどが挙げられる。
【0027】
溶剤の使用量としては、反応に具する原料のジヒドロキシアリール及び一般式(3)で示される化合物に対してあらゆる量比で使用可能であるが、1重量倍量以下では反応終了後の反応液粘度が高くなることがあり、また100重量倍量以上では経済的ではないことから、1〜100重量倍量の範囲、さらに2〜50重量倍量の範囲が好ましい。
【0028】
反応温度としてはアミンの種類及び溶剤により左右され一概にいえないが、通常−10℃〜60℃の範囲で実施され、より好ましくは0〜30℃の範囲である。
【0029】
反応時間としては、アミンの種類及び反応温度により左右され一概にいえないが、通常1〜24時間の範囲で実施され、より好ましくは5〜10時間の範囲である。
【0030】
反応終了後、常套の手段で処理された反応液を濃縮することにより目的とする含ケイ素有機リン酸化合物が得られる。
【0031】
本発明の難燃性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂、本発明の含ケイ素有機リン酸化合物及び難燃助剤等から構成され、さらに必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤等の添加剤を添加してもよい。
【0032】
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物が配合可能な樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(以下ABSと略す)、ポリプロピレン、石油樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに熱可塑性樹脂を2種以上混合したポリカーボネート−ABS、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン等に代表されるポリマーアロイ等も例示できる。これらのうち、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、ポリプロピレン、石油樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂や、熱可塑性樹脂を2種以上混合したポリカーボネート−ABS、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン等に代表されるポリマーアロイが好適な樹脂として例示される。
【0033】
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物の樹脂への配合量としては、配合する樹脂の種類や目的とする難燃性能により異なり、特に限定されるものではないが、樹脂100重量部に対して1〜100重量部配合することが好ましく、さらに難燃性樹脂組成物としての効果をより発揮させるために10〜100重量部、特に15〜100重量部配合することが好ましい。
【0034】
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物を樹脂に配合するにあたり、単独でも配合可能であるが、その他のリン酸化合物、臭素含有化合物等の難燃剤を混合しても使用可能である。
【0035】
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物を樹脂に配合するにあたり、三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、テフロン、ポリエーテルイミド、ほう酸亜鉛、メラミンシアヌレート等の難燃助剤を添加してもよく、この場合、本発明の含ケイ素有機リン酸化合物100重量部に対して通常5〜80重量部添加される。
【0036】
さらに必要に応じて、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体の光安定剤、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤等を添加してもよく、この場合本発明の難燃性樹脂組成物100重量部に対して通常0.05〜5重量部添加される。これらの他、必要に応じて帯電防止剤やタルク、グラスファイバー等の無機充填剤を添加してもよい。
【0037】
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物の樹脂への配合方法としては、熱硬化性樹脂に配合する場合には、例えば、あらかじめ本発明の含ケイ素有機リン酸化合物を樹脂原料に分散させた後硬化させればよく、熱可塑性樹脂に配合する場合には、例えばコニカルブレンダーやタンブラーミキサーを用いて必要な配合試剤を混合し、二軸押出機等を用いてペレット化してもよい。これらの方法で得られた難燃性樹脂組成物の加工方法は、特に限定されるものではなく、例えば押出成型、射出成型等を行い、目的とする成型品を得ることができる。
【0038】
殊に本発明の含ケイ素有機リン酸化合物は耐熱性が高いため、樹脂に配合する際に高温での処理が必要であっても難燃性能が低下することなく配合でき、多くの樹脂に適用できるという利点がある。
【0039】
また、本発明の難燃剤は、主成分として本発明の含ケイ素有機リン酸化合物を含んでおり、樹脂等へ配合することで難燃性能を付与できるものである。ここで、主成分とは難燃剤の効果を示す成分であり、その効果が認められる量を有しておればよい。他の成分としては、本発明の難燃剤以外の既存の難燃剤、上記した難燃助剤、増量剤、劣化防止剤などを含んでいてもよい。剤型としては使用する態様により選択すればよく、溶液状、懸濁状、固形状など種々の剤型を採用できる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
実施例1
撹拌機、温度計、冷却管及び滴下ロートを備えた10リットルのガラス反応器にハイドロキノン198.2g(1.80モル)、1,4−ジオキサン3600g及びトリエチルアミン182.1g(1.80モル)を仕込み、撹拌下、室温で滴下ロートよりジフェニルリン酸クロライド161.2(0.60モル)及び1、4−ジオキサン1200gを1.5時間かけて滴下し、滴下終了後室温で1時間熟成を行った。反応後、濾過を行い溶媒を留去することにより結晶170.5gを得た。得られた結晶170.0g及び水酸化ナトリウム12.0gを水600gに加え、不溶物を濾過した後、母液に塩酸を加え結晶化させ濾過することにより結晶78.6g(収率38.3%)を得た。
【0042】
この得られた結晶について、元素分析、融点測定、核磁気共鳴スペクトル及び赤外吸収スペクトルを測定した結果を以下に示す。
【0043】
尚、元素分析は炭素及び水素については元素分析計により、リンはICPにより、ケイ素は重量法により行った。また、熱天秤測定は、空気中、室温より600℃まで10℃/分の速度で昇温させる条件にて行った。
【0044】
A.元素分析
【0045】
【表1】
Figure 0004211121
【0046】
表1より明らかなようにこの化合物は、以下の式(4)で示される化合物の理論値とほぼ一致した。
【0047】
【化4】
Figure 0004211121
【0048】
B.融点:80〜83℃。
【0049】
C.核磁気共鳴スペクトル(CDCl31H、単位はppm):δ6.5〜6.6(d、2H)、6.9〜7.0(d、2H)7.2〜7.4(m、10H)。
【0050】
D.赤外吸収スペクトル(KBr錠剤処理、単位はcm-1):3248、1601、1587、1507、1487、1455、1261、1215、1186、1176、1026、1011、984、973、837、770、757、689、579、546、521、504。
【0051】
次に撹拌機、温度計、冷却管及び滴下ロートを備えた1リットルのガラス反応器に先に得られた結晶68.5g(0.20モル)、1,4−ジオキサン500g及びトリエチルアミン20.3g(0.20モル)を仕込み、撹拌下、室温で滴下ロートよりジクロロジフェニルシラン26.4g(0.10モル)及び1、4−ジオキサン100gを0.5時間かけて滴下し、滴下終了後室温で1時間熟成を行った。
【0052】
反応後、濾過を行い溶媒を留去することにより粘稠な含ケイ素有機リン酸化合物(A)86.8g(収率99.1%)を得た。
【0053】
この得られた粘稠物について、元素分析、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル及び熱天秤を測定した結果を以下に示す。
【0054】
E.元素分析
【0055】
【表2】
Figure 0004211121
【0056】
表2より明らかなようにこの化合物は、以下の式(5)で示される化合物の理論値とほぼ一致した。
【0057】
【化5】
Figure 0004211121
【0058】
F.核磁気共鳴スペクトル(CDCl31H、単位はppm):δ6.5〜6.6(d、4H)、6.9〜7.0(d、4H)7.2〜7.4(m、30H)。
【0059】
G.赤外吸収スペクトル(KBr錠剤処理、単位はcm-1):1591、1498、1490、1301、1183、1129、1025、1010、960、840、768、762、723、692、688、520。
【0060】
H.熱天秤(単位は℃):5%重量減少(327)、10%重量減少(366)、50%重量減少(492)。
【0061】
実施例2、比較例1、2
表3に示すように、PPE(旭化成製ザイロン500H)100重量部に対して、実施例1で得られた含ケイ素有機リン酸化合物である化合物A(実施例2、表3では化合物Aと記載)又は市販の有機リン酸化合物(比較例1:大八化学製、CR−733S、比較例2:大八化学製、CR−741CA)を10重量部、テフロン(旭アイシーアイフロロポリマーズ製CD−4)を0.05重量部、ポリエーテルイミド樹脂(GE Plastics製ウルテム1000)を1.6重量部を配合し、異方二軸押出機にてシリンダー温度285℃でペレット化を行い、射出成形機にて295℃で試料片を作製した。得られた試料片を、JIS K7201に規格されている酸素指数測定法およびUL94V垂直燃焼性試験方法に準拠して燃焼性の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
Figure 0004211121
【0063】
実施例2と比較例1、2を比較すると、本発明の化合物AをPPE100重量部に対して10重量部配合して得られた組成物は市販剤を配合して得た組成物よりも優れた難燃性を示すことが分かる。
【0064】
実施例3、比較例3〜7
実施例2、比較例1、2で用いたと同じ材料を表3に示す組成となるように配合し、実施例2、比較例1、2と同様にして試料片を作製し、その評価を行った。結果を表3にあわせて示す。
【0065】
実施例3と比較例6、7を比較すると、本発明の化合物AをPPE100重量部に対して14重量部配合して得られた組成物は市販剤を配合して得た組成物よりも優れた難燃性を示すことが分かる。さらに、比較例3〜5の結果から、テフロン、ポリエーテルイミド樹脂のいずれかあるいは両方を配合しないことで難燃性はより劣っており、これらは樹脂組成物の難燃性に寄与していることが分かる。
【0066】
実施例4、比較例8、9
実施例2、比較例1、2で用いたと同じ材料を表3に示す組成となるように配合し、実施例2、比較例1、2と同様にして試料片を作製し、その評価を行った。結果を表3にあわせて示す。
【0067】
実施例4と比較例8、9を比較すると、本発明の化合物AをPPE100重量部に対して18重量部配合して得られた組成物は市販剤を配合して得た組成物よりも優れた難燃性を示すことが分かる。
【0068】
実施例5、比較例10、11
実施例2、比較例1、2で用いたと同じ材料を表3に示す組成となるように配合し、実施例2、比較例1、2と同様にして試料片を作製し、その評価を行った。結果を表3にあわせて示す。
【0069】
実施例5と比較例10、11を比較すると、本発明の化合物AをPPE100重量部に対して22重量部配合して得られた組成物は市販剤を配合して得た組成物よりも優れた難燃性を示すことが分かる。
【0070】
実施例6、比較例12〜13
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物A(実施例6)、市販の有機リン酸化合物(比較例12:大八化学製、CR−733S、比較例13:大八化学製、CR−741CA)を10℃/分の昇温速度条件における熱天秤測定を行った。結果を表4に示す。
【0071】
【表4】
Figure 0004211121
【0072】
【発明の効果】
本発明の含ケイ素有機リン酸化合物は新規な化合物であり、難燃剤として優れた性能を示す。本発明の製造方法はこの含ケイ素有機リン酸化合物を容易に製造できる。また、本発明の含ケイ素有機リン酸化合物を熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂に配合して得られる難燃性樹脂組成物は、高い難燃性能を有する。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示される含ケイ素有機リン酸化合物。
    Figure 0004211121
    (式中、R1〜R6は各々独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、a〜fは各々独立して1〜3の整数を表し、R7及びR8は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基が1〜3個置換したフェニル基を表す。)
  2. アミン存在下でジアリールリン酸クロライドとジヒドロキシアリールを反応させ、次いでアミン存在下でジクロロジアリールシラン又はジクロロジアルキルシランを反応させることを特徴とする請求項1に記載の含ケイ素有機リン酸化合物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の含ケイ素有機リン酸化合物を主成分として含むことを特徴とする難燃剤。
  4. 樹脂100重量部に対して請求項1に記載の含ケイ素有機リン酸化合物を1〜100重量部含むことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
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