JP2001011084A - リン酸エステル、その製造方法、それを含む難燃剤及び難燃性樹脂組成物 - Google Patents

リン酸エステル、その製造方法、それを含む難燃剤及び難燃性樹脂組成物

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JP2001011084A
JP2001011084A JP11185217A JP18521799A JP2001011084A JP 2001011084 A JP2001011084 A JP 2001011084A JP 11185217 A JP11185217 A JP 11185217A JP 18521799 A JP18521799 A JP 18521799A JP 2001011084 A JP2001011084 A JP 2001011084A
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flame
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Norihisa Kondo
典久 近藤
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 従来、様々な難燃剤の提案がなされ、様々な
用途で使い分けがなされているものの、近年の難燃規制
の強化、配合した難燃樹脂の性販さらなる向上要求が高
く、従来品の欠点を補完する剤の創製が望まれていた。 【解決手段】 下記一般式(1) (式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、
フェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基で1〜3置
換されたフェニル基を表し、mは1〜3の整数を表し、
nは1〜9の整数を表す。)で示されるリン酸エステル
を難燃剤として樹脂に配合する。上記化合物はアミン存
在下でオキシ塩化リンとジヒドロキシアリールを反応さ
せることにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン原子を含
まない新規なリン酸エステル、その製造方法、これを含
む難燃剤及び難燃性樹脂組成物に関するものであり、各
種電気機器などに多用される難燃樹脂用配合型難燃剤と
して使用可能である。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂の難燃化に対して、ハロゲン
系の難燃剤が難燃性、樹脂物性、価格の面で優れている
ために広く用いられてきたが、発煙性、加工及び燃焼時
の毒性ガスの発生の問題により、近年、ハロゲン系化合
物を使用しない難燃処方の開発が盛んに行われている。
【0003】樹脂の難燃化を目的としたハロゲン原子を
含まないリン酸エステル系化合物としては、トリフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート(いずれも
例えば、特公昭53−418号公報参照)、オリゴマー
型の縮合リン酸エステル(例えば、特開平7−1094
16号公報参照)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のリン酸エステル系化合物は、揮発性が高く耐熱性が十
分でないものが多く、難燃性及び配合樹脂の機械物性の
面でさらなる改善が求められていた。そのため、種々の
リン酸エステル系化合物の提案がなされ、様々な用途で
使い分けがなされているものの、近年の難燃規制の強
化、配合した難燃樹脂の性能のさらなる向上要求が高
く、従来品の課題を克服できる剤の創製が望まれてい
た。
【0005】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的はハロゲン原子を含まない新規なリン
酸エステル系化合物、これを含む難燃剤及びこれを配合
した難燃性及び耐熱性に優れた難燃性樹脂組成物を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、本発明のリン酸エステ
ルが耐熱性、難燃性付与性能に優れること、及び本発明
のリン酸エステルを樹脂等に配合することで該樹脂に十
分な難燃性を付与することができることを見出し、本発
明を完成させるに至った。
【0007】すなわち本発明は、下記一般式(1)
【0008】
【化2】
【0009】(式中、Rは水素原子、炭素数1〜10の
アルキル基、フェニル基又は炭素数1〜10のアルキル
基で1〜3置換されたフェニル基を表し、mは1〜3の
整数を表し、nは1〜9の整数を表す。)で表されるリ
ン酸エステル、その製造方法、それを含む難燃剤及び難
燃性樹脂組成物である。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明のリン酸エステルは上記一般式
(1)で表される構造を有する化合物である。
【0012】一般式(1)中のRは、水素原子、炭素数
1〜10のアルキル基、フェニル基又は炭素数1〜10
のアルキル基が1〜3個置換したフェニル基であり、さ
らに製造の容易さから水素原子であることが好ましい。
また、Rが水素原子ではない場合、mは1〜3の整数で
あることが好ましく、置換基の位置は特に限定されな
い。また、nは1〜9の整数を表す。
【0013】なお本発明において、上記一般式(1)で
表されるリン酸エステルを樹脂に配合し樹脂組成物とす
る場合には、本発明のリン酸エステルの内の単一の構造
の化合物を用いるのみならず、上記記載の範囲内で任意
の位置に置換基を有したものや、置換基の数の異なるも
のを混合物として樹脂に配合しても良い。
【0014】本発明の上記一般式(1)で表されるリン
酸エステルの製造法については特に限定するものではな
いが、例えば、アミン存在下でオキシ塩化リンとジヒド
ロキシアリールを反応させることにより容易に得ること
ができる。
【0015】本発明の方法において、適用可能なジヒド
ロキシアリールとしては、具体的には、カテコール、3
−メチルカテコール、4−メチルカテコール、3−メチ
ル−5−n−プロピルカテコール、3,5−ジイプロピ
ルカテコール、4−t−ブチルカテコール、3,5−ジ
−t−ブチルカテコール、2−メチルレゾルシノール、
5−メチルレゾルシノール、4−エチルレゾルシノー
ル、2,5−ジメチルレゾルシノール、4−ヘキシルレ
ゾルシノール、4−ドデシルレゾルシノール、ハイドロ
キノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイ
ドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハ
イドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン
等が挙げられる。ジヒドロキシアリールの使用量として
は、特に限定するものではオキシ塩化リンに対して通常
2〜2.3当量用いられる。
【0016】本発明の方法において、適用可能なアミン
類としては、具体的には、トリエチルアミン、ジエチル
アニリン、ピリジン、ジメチルアニリン、イキノリン、
キノリン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’
−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。アミ
ン類の使用量としては、特に限定するものではないが、
オキシ塩化リンに対して通常2〜2.3当量用いられ
る。本発明ではアミン類は有機溶媒に溶解した溶液とし
て通常用いられる。
【0017】本発明の方法において、反応に使用する溶
剤としては、反応に不活性であればあらゆるものが適用
可能であり、特に限定するものではないが、ジクロロメ
タン、ジブロモメタン、クロロホルム、ブロモホルム、
四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−ト
リクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジオキサン、テ
トラヒドフラン等の環状エーテル等が挙げられる。
【0018】溶剤の使用量としては、あらゆる量比で使
用可能であり特に限定するものではないが、反応に具す
る原料のジヒドロキシアリールに対して、1重量倍量以
下では反応終了後の反応液粘度が高くなるため好ましく
なく、また100重量倍量以上では経済的ではない。従
って好ましくは1〜100重量倍量の範囲で、さらに好
ましくは2〜50重量倍量の範囲である。
【0019】反応温度としてはアミンの種類及び溶剤に
より左右されるため一概にいえないが、通常−10℃〜
120℃の範囲で実施され、より好ましくは0℃〜70
℃の範囲である。
【0020】反応時間としては、アミンの種類及び反応
温度により左右されるため一概にいえないが、通常1〜
24時間の範囲で実施され、より好ましくは5〜10時
間の範囲である。
【0021】反応終了後、得られた反応液を濾過するこ
とにより目的とするリン酸エステルが得られる。
【0022】本発明の難燃性樹脂組成物は、熱硬化性樹
脂又は熱可塑性樹脂と本発明のリン酸エステルを含有す
ることを特徴とし、さらに必要に応じて難燃助剤や、紫
外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機
充填剤等の添加剤を添加してもよい。
【0023】本発明のリン酸エステルが配合可能な樹脂
としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラ
ミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ア
ルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、低密度
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−ビニル
アセテート共重合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチ
レン、発泡ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン
共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共
重合体(以下ABSと略す)、ポリプロピレン、石油樹
脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカー
ボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性
樹脂が挙げられ、さらに熱可塑性樹脂を2種以上混合し
たポリカーボネート−ABS、ポリフェニレンエーテル
−ポリスチレン等に代表されるポリマーアロイ等も例示
できる。これらのうち、低密度ポリエチレン、高密度ポ
リエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポ
リスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレ
ン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニ
トリル−スチレン−ブタジエン共重合体、ポリプロピレ
ン、石油樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル
等の熱可塑性樹脂が挙げられ、さらに熱可塑性樹脂を2
種以上混合したポリカーボネート−ABS、ポリフェニ
レンエーテル−ポリスチレン等に代表されるポリマーア
ロイが好適な樹脂として例示される。
【0024】本発明のリン酸エステルの樹脂への配合量
としては、配合する樹脂の種類や目的とする難燃性能に
より異なり、特に限定するものではないが、樹脂100
重量部に対して1〜100重量部配合することが好まし
い。
【0025】本発明のリン酸エステルを樹脂に配合する
にあたり、単独でも配合可能であるが、その他のリン酸
化合物、臭素含有化合物等の難燃剤を混合しても使用可
能である。
【0026】本発明のリン酸エステルを樹脂に配合する
にあたり、三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、テ
フロン、ポリエーテルイミド、ほう酸亜鉛、メラミンシ
アヌレート等の難燃助剤を添加してもよく、この場合、
本発明のリン酸エステル100重量部に対して通常5〜
80重量部添加される。
【0027】さらに必要に応じて、ベンゾトリアゾール
系の紫外線吸収剤、2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン誘導体の光安定剤、ヒンダードフェノール系の酸
化防止剤等を添加してもよく、この場合本発明の難燃性
樹脂組成物100重量部に対して通常0.05〜5重量
部添加される。これらの他、必要に応じて帯電防止剤や
タルク、グラスファイバー等の無機充填剤を添加しても
よい。
【0028】本発明のリン酸エステルの樹脂への配合方
法としては、熱硬化性樹脂に配合する場合には、例え
ば、あらかじめ本発明のリン酸エステルを樹脂原料に分
散させた後硬化させればよく、熱可塑性樹脂に配合する
場合には、例えばコニカルブレンダーやタンブラーミキ
サーを用いて必要な配合試剤を混合し、二軸押出機等を
用いてペレット化してもよい。これらの方法で得られた
難燃性樹脂組成物の加工方法は、特に限定されるもので
はなく、例えば押出成型、射出成型等を行い、目的とす
る成型品を得ることができる。
【0029】殊に本発明のリン酸エステルは耐熱性が高
いため、樹脂に配合する際に高温での処理が必要であっ
ても難燃性能が低下することなく配合でき、多くの樹脂
に適用できるという利点がある。
【0030】本発明の難燃剤は、主成分として本発明の
リン酸エステルを含むため、樹脂等へ配合することで難
燃性能を付与できる。本発明においていう主成分とは、
難燃剤としての効果を示す成分をいい、その効果が認め
られる量を有していれば、難燃剤中の配合量は特に限定
されない。
【0031】本発明の難燃剤において、他の成分とし
て、本発明の難燃剤以外の既存の難燃剤、上記した難燃
助剤、増量剤、劣化防止剤等を含んでいてもよい。剤型
としては使用する態様により選択すればよく、溶液状、
懸濁状、固形状等種々の剤型を採用できる。
【0032】
【発明の効果】本発明のリン酸エステルは新規な化合物
であり、難燃剤として優れた性能を示す。本発明の製造
方法はこのリン酸エステルを容易に製造できる。また、
本発明のリン酸エステルを熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂
に配合して得られる難燃性樹脂組成物は、高い難燃性能
及び耐水性能を有する。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0034】実施例1 攪拌機、温度計、冷却管及び滴下ロートを備えた3リッ
トルのガラス反応器にハイドロキノン55.1g(0.
50モル)、1,4−ジオキサン1100g及びトリエ
チルアミン60.7g(0.50モル)を仕込み、攪拌
化、70℃で滴下ロートよりオキシ塩化リン36.8g
(0.24モル)及び1、4−ジオキサン100gを2
時間かけて滴下し、滴下終了後70℃で3時間熟成を行
った。反応後、濾過を行い、水1000gで洗浄し、1
20℃で16時間乾燥することにより結晶44.2g
(収率49.2%)を得た。
【0035】この得られた結晶について、元素分析、融
点測定、赤外吸収スペクトル及び熱天秤を測定した結果
を以下に示す。
【0036】 (1)元素分析 : C H P 測定値(重量%):54.3 3.4 11.9 この測定値は、下記式(2)で示される化合物の理論
値、C:54.6、H:3.4、P:11.7とほぼ一
致した。
【0037】
【化3】
【0038】(2)融点:>300℃。
【0039】(3)赤外吸収スペクトル(KBr、cm
−1):3394、1601、1495、1292、1
165、1099、968、839、696、638、
513。
【0040】(4)熱天秤(℃):5%重量減少(26
8)、10%重量減少(317)、50%重量減少(4
89)。
【0041】実施例2〜実施例3 PPE(旭化成製、商品名:ザイロン500H)100
重量部に対して、実施例1で得られたリン酸エステルA
(表1では化合物Aと記載)、テフロン(登録商標)
(旭アイシーアイフロロポリマーズ製、商品名:CD−
4)及びポリエーテルイミド樹脂(GE Plasti
cs製、商品名:ウルテム1000)を表1で示した比
率で配合し、異方二軸押出機にてシリンダー温度285
℃でペレット化を行い、射出成形機にて295℃で試料
片を作製した。得られた試料片を、JIS K7201
に規格されている酸素指数測定法及びUL94V垂直燃
焼性試験方法に準拠して燃焼性の評価を行った。結果を
表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】比較例1 PPE(旭化成製、商品名:ザイロン500H)100
重量部に対して、市販のリン酸化合物(ポリリン酸アン
モニウム(APP)、ヘキスト製、商品名:Exoli
t462)と、テフロン(旭アイシーアイフロロポリマ
ーズ製、商品名:CD−4)及びポリエーテルイミド樹
脂(GE Plastics製、商品名:ウルテム10
00)を表1で示した比率で配合し、実施例2〜3と同
様な操作及び条件で試料片を作製した。得られた試料片
を、実施例2〜3と同様な方法で燃焼性の評価を行っ
た。結果を表1にあわせて示す。
【0044】比較例2 PPE(旭化成製、商品名:ザイロン500H)100
重量部に対して、市販のリン酸化合物(リン酸メラミ
ン、三和ケミカル製、商品名:MPP−A)と、テフロ
ン(旭アイシーアイフロロポリマーズ製、商品名:CD
−4)及びポリエーテルイミド樹脂(GE Plast
ics製、商品名:ウルテム1000)を表1で示した
比率で配合し、実施例2〜3と同様な操作及び条件で試
料片を作製した。得られた試料片を、実施例2〜3と同
様な方法で燃焼性の評価を行った。結果を表1にあわせ
て示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で示されるリン酸エステ
    ル。 【化1】 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、
    フェニル基又は炭素数1〜10のアルキル基で1〜3置
    換されたフェニル基を表し、mは1〜3の整数を表し、
    nは1〜9の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 アミン存在下でオキシ塩化リンとジヒド
    ロキシアリールを反応させることを特徴とする請求項1
    に記載のリン酸エステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のリン酸エステルを主成
    分として含有することを特徴とする難燃剤。
  4. 【請求項4】 樹脂100重量部に対して請求項1に記
    載のリン酸エステルを1〜100重量部含有することを
    特徴とする難燃性樹脂組成物。
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