JP2003020399A - 難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物

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JP2003020399A
JP2003020399A JP2001278491A JP2001278491A JP2003020399A JP 2003020399 A JP2003020399 A JP 2003020399A JP 2001278491 A JP2001278491 A JP 2001278491A JP 2001278491 A JP2001278491 A JP 2001278491A JP 2003020399 A JP2003020399 A JP 2003020399A
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polyphenylene ether
retardant
phosphate
resin
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Kazunari Tamura
和成 田村
Katsuichi Otsuki
勝一 大槻
Hiroshi Tsuji
裕志 辻
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Daihachi Chemical Industry Co Ltd
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Daihachi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少量の添加で優れた難燃性を樹脂に付与し、
低揮発性で、耐加水分解性に優れ、樹脂本来の機械的強
度を低下させず、しかも固体で取り扱いが簡便で、かつ
安価な非ハロゲン系難燃剤が添加されてなる難燃性ポリ
フェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを課題
とする。 【解決手段】 ポリフェニレンエーテル系樹脂に、難燃
剤として一般式(I): 【化1】 (式中、nは1または2を示す)で表されるナフチルホ
スフェート化合物(但し、融点が50℃以上である)の
1種またはそれらの混合物を添加してなる難燃性ポリフ
ェニレンエーテル系樹脂組成物により、上記の課題を解
決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃剤としてナフ
チルホスフェート化合物(但し、融点が50℃以上であ
る)が添加されてなる難燃性ポリフェニレンエーテル系
樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、少量
の添加で優れた難燃性を樹脂に付与し、低揮発性で、耐
加水分解性に優れ、ポリフェニレンエーテル系樹脂本来
の機械的強度を低下させず、かつ安価な非ハロゲン系難
燃剤として極めて有用な固体状のナフチルホスフェート
化合物が添加されてなる難燃性ポリフェニレンエーテル
系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂用難燃剤としては、無機系難燃剤、
有機ハロゲン系難燃剤、有機リン系難燃剤が知られてい
る。無機系難燃剤で所望の難燃性を得るためには多量に
添加する必要があり、その多量添加のために樹脂本来の
諸物性を低下させるという問題がある。また、有機ハロ
ゲン系難燃剤は難燃性に優れているが、樹脂成形時に熱
分解してハロゲン化水素を発生し、金型を腐食させた
り、火災などによる燃焼の際には、人体に有害なガスを
発生するという問題がある。これらのことから有機リン
系難燃剤が注目されている。
【0003】有機リン系難燃剤としては、トリフェニル
ホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのモノマ
ータイプのものが知られている。これらの化合物は低分
子量であるために、樹脂成形時に揮発して金型を汚染
し、成形工程の作業効率の低下を招くという欠点を有す
る。
【0004】この問題を解決するために、レゾルシンビ
ス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス
(ジフェニルホスフェート)などの高分子タイプの縮合
型有機リン系難燃剤が開発された。これらの化合物は、
モノマータイプと同等の難燃性を樹脂に付与することが
でき、高分子量であるために、モノマーの揮発による上
記のような欠点を解消することができる。しかしなが
ら、これらの化合物は、高粘度の液体であるために取り
扱い難く、樹脂に均一に添加するためには、粘度を下げ
るための加熱装置や特殊なポンプを必要とする問題があ
る。
【0005】その上、レゾルシンビス(ジフェニルホス
フェート)は、耐加水分解性に劣り、樹脂成形品の耐久
性を低下させるという欠点がある。また、ビスフェノー
ルAビス(ジフェニルホスフェート)は、分子中のリン
含有率が低く、難燃性を発揮させるためには添加量を多
くする必要がある。
【0006】樹脂の成形工程の作業環境(常温)におい
て固体であり、取り扱いが簡便で、低揮発性で、しかも
耐加水分解性に優れた有機リン系難燃剤として、レゾル
シンビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)が上市
されているが、高価であるために汎用品には適さない。
【0007】特開昭61−200163号公報および特
開昭61−55145号公報には、樹脂用難燃剤とし
て、低揮発性のナフチルホスフェート化合物およびアル
キルまたはハロゲン置換アリール基を有してもよいホス
フェートがそれぞれ記載されている。しかしながら、こ
れらの公報に記載されたナフチルホスフェート化合物は
液状物であり、樹脂に均一に添加するのが困難である。
【0008】また、特開昭52−110750号公報に
は、樹脂用難燃剤として、トリアリールホスフェートが
記載され、トリ(2−ナフチル)ホスフェートが例示さ
れているが、リン含有率が低いため、難燃性能に問題が
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、少量の添加
で優れた難燃性を樹脂に付与し、低揮発性で、耐加水分
解性に優れ、樹脂本来の機械的強度を低下させず、しか
も固体で取り扱いが簡便で、かつ安価な非ハロゲン系難
燃剤が添加されてなる難燃性ポリフェニレンエーテル系
樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究の結果、特定のナフチルホ
スフェート化合物が、少量の添加で優れた難燃性を樹脂
に付与し、低揮発性で、耐加水分解性に優れ、樹脂本来
の機械的強度を低下させず、しかも固体で取り扱いが簡
便で、かつ安価な非ハロゲン系難燃剤として極めて有用
であることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0011】かくして本発明によれば、ポリフェニレン
エーテル系樹脂に、難燃剤として一般式(I):
【0012】
【化2】
【0013】(式中、nは1または2を示す)で表され
るナフチルホスフェート化合物(但し、融点が50℃以
上である)の1種またはそれらの混合物を添加してなる
難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が提供され
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の難燃性ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂
に、難燃剤として一般式(I)で表されるナフチルホス
フェート化合物(但し、融点が50℃以上である)の1
種またはそれらの混合物が添加されてなる。
【0015】本発明で用いられるナフチルホスフェート
化合物(I)としては、具体的には、1−ナフチルジフ
ェニルホスフェート、2−ナフチルジフェニルホスフェ
ート、ジ(1−ナフチル)フェニルホスフェート、ジ
(2−ナフチル)フェニルホスフェートおよび1−ナフ
チル−2−ナフチルフェニルホスフェートが挙げられ
る。これらのナフチルホスフェート化合物(I)を樹脂
用難燃剤として用いる場合には、それらを単独で、また
は2種以上の混合物として用いることができる。このよ
うな混合物は、高純度の化合物を混合して得られたもの
であっても、合成によって得られた混合物であってもよ
い。
【0016】本発明のナフチルホスフェート化合物
(I)のうち、n=1の化合物(モノナフチルジフェニ
ルホスフェート)は、例えば、次の方法により製造すれ
ば、目的化合物を高純度で得ることができる。 (1)1モルのジフェニルホスホロクロリデートに対し
て1モルのナフトールを反応させる方法 (2)原料として1モルのナフトールに対して1.1〜
2モルのオキシ塩化リンを反応させ、未反応のオキシ塩
化リンを除去した後に、さらに2モルのフェノールと反
応させる方法
【0017】また、ナフチルホスフェート化合物(I)
のうち、n=2の化合物(ジナフチルモノフェニルホス
フェート)は、例えば、次の方法により製造すれば、目
的化合物を高純度で得ることができる。 (3)1モルのモノフェニルホスホロジクロリデートに
対して2モルのナフトールを反応させる方法 (4)原料として1モルのフェノールに対して1.1〜
2モルのオキシ塩化リンを反応させ、未反応のオキシ塩
化リンを除去した後に、さらに2モルのナフトールを反
応させる方法
【0018】上記の方法で得られるナフチルホスフェー
ト化合物(I)は、通常、一般式(I)において、n=
1またはn=2で表わされる化合物のいずれか一方を主
成分とし、n=1の化合物の場合には、一般式(I)に
おいてn=0の化合物(トリフェニルホスフェート)、
n=2の化合物またはn=3の化合物(トリナフチルホ
スフェート)を不純物として含有していてもよい。ま
た、n=2の化合物の場合には、一般式(I)において
n=0、n=1またはn=3の化合物を不純物として含
有していてもよい。これらのn=1またはn=2の化合
物における不純物の含有割合は、n=1またはn=2の
いずれか一方の化合物から実質的になる物質の融点が5
0℃以上である限り、特に限定されない。
【0019】上記の不純物を含有する混合リン酸エステ
ルにおいて、n=3で表わされるトリナフチルホスフェ
ートの含有量が多いと、揮発性は低くなるものの、リン
含有率が低下し、難燃性能が低下する。その結果、難燃
剤の添加量を多くしなければならず、ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂本来の機械的強度(例えば、耐衝撃性)を
低下させることになる。一方、n=0で表わされるトリ
フェニルホスフェートの含有量が多いと、リン含有率が
高くなり、難燃性能は向上するものの、揮発性が高くな
る。したがって、本発明のナフチルホスフェート化合物
(I)には、リン含有率を低下させるトリナフチルホス
フェートおよび揮発性を高くするトリフェニルホスフェ
ートの含有量が少ないほどよい。
【0020】本発明で用いられるポリフェニレンエーテ
ル系樹脂としては、例えば、変成ポリフェニレンエーテ
ル(変性PPE)などが挙げられる。また、ポリフェニ
レンエーテル系樹脂はポリマーブレンドまたはポリマー
アロイであってもよい。本発明のナフチルホスフェート
化合物(I)は、ポリフェニレンエーテル系樹脂の中で
も、樹脂の難燃性および樹脂物性のバランスの点におい
て、変性PPEに特に適している。
【0021】本発明の難燃性ポリフェニレンエーテル系
樹脂組成物におけるナフチルホスフェート化合物(I)
からなる難燃剤の添加量は、難燃性を付与しようとする
樹脂の種類、必要とされる難燃性の度合いに応じて適宜
決定されるが、通常、ポリフェニレンエーテル系樹脂1
00重量部に対して、1〜100重量部の範囲が好まし
く、5〜50重量部の範囲がより好ましく、10〜30
重量部の範囲がさらに好ましい。ナフチルホスフェート
化合物(I)の添加量が1重量部より低い場合には、充
分な難燃化効果が得られないので好ましくない。また、
添加量が100重量部を超える場合には、得られるポリ
フェニレンエーテル系樹脂組成物の成形品の機械的強度
が低下するなどの弊害が生じる恐れがあるので好ましく
ない。
【0022】本発明の難燃性ポリフェニレンエーテル系
樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、一般に
樹脂組成物に添加される各種添加剤を、必要に応じて適
宜添加してもよく、これらの添加剤はそれらを単独で、
または2種以上を組み合わせて用いてもよい。このよう
な添加剤としては、例えば、ナフチルホスフェート化合
物(I)以外の他の難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、充
填剤、酸化防止剤(安定剤)、帯電防止剤、滑剤(軟化
剤)、顔料、紫外線吸収剤(光安定剤)、補強材などが
挙げられる。
【0023】他の難燃剤としては、トリフェニルホスフ
ェート、レゾルシンビス(ジフェニルホスフェート)、
ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レ
ゾルシンビス(ジ−2,6−キシリルホスフェート)、
ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリルホスフェー
ト)、4,4’−ビフェノールビス(ジ−2,6−キシ
リルホスフェート)などの有機リン系難燃剤、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウム、リン酸メラミン、メ
ラミンシアヌレート、ポリリン酸アンモニウム、メラミ
ン、熱硬化性樹脂被覆赤リン、オレフィン被覆赤リン、
酸化チタン被覆赤りんおよびチタンアルミニウム縮合物
被覆赤リンなどの安定化赤リン粉末などの赤リン粉末、
シリコーン樹脂、シリコーングリース、シリコーンゴム
およびシリコーン油などのシリコーン系難燃剤などが挙
げられる。難燃助剤としては、黒鉛、活性炭、硼酸塩
類、低融点ガラス、ならびにオイルファーネス法、ガス
ファーネス法、チャンネル法またはアセチレン法により
製造されたカーボンブラックなどの炭素粉末などが挙げ
られる。
【0024】滴下防止剤としては、公知のフッ素系樹脂
が好適に用いられる。フッ素系樹脂としては、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロ
エチレン−ポリヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポ
リテトラフルオロエチレン−ポリフルオロアルキルビニ
ルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−エ
チレン共重合体、ポリトリフルオロモノクロロエチレン
などが挙げられる。また、その形態はエマルジョン状、
懸濁状、ミクロフィブリル状、粉末状、粒状など、いず
れの形態であってもよい。これらは単独または2種以上
を組み合わせて用いることができる。
【0025】充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、
金属繊維、セラミックス繊維、マイカ、シリカ、タル
ク、炭酸カルシウム、アルミナ、ガラスビーズ、ガラス
バルーン、ガラスフレークなどの粉状、粒状、板状の無
機充填剤ならびに木粉などの有機充填剤が挙げられる。
これらは単独または2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0026】その他の添加剤としては、ペンタエリスリ
トールジホスファイト誘導体などのリン系、ヒンダード
フェノール誘導体などのフェノール系、アミン系および
硫黄系などの酸化防止剤(安定剤);カチオン系活性
剤、非イオン系活性剤などの帯電防止剤;脂肪酸誘導体
および高融点ワックス系などの滑剤(軟化剤);酸化チ
タン、フタロシアニン系などの顔料;ベンゾフェノン
系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系およびアク
リロニトリル系などの紫外線吸収剤(光安定剤);ガラ
ス繊維、金属繊維およびウィスカーなどの補強材などが
挙げられる。
【0027】本発明の難燃性ポリフェニレンエーテル系
樹脂組成物の製造に際して、各成分の配合順序や混合方
法は特に限定されない。例えば、本発明のナフチルホス
フェート化合物(I)、ポリフェニレンエーテル系樹
脂、および必要に応じて上記の各種添加剤を、公知の方
法で混合し、溶融混練することにより得られる。混合お
よび溶融混練には、単軸押出機、ベント付二軸押出機の
ような二軸押出機、ヘンシェル型ミキサー、バンバリー
ミキサー、ニーダーミキサーおよびロールなどの汎用の
装置を単独または組み合わせて用いることができる。得
られた樹脂組成物を、射出成形、押出成形などの公知の
方法で成形加工することにより、所望の形状、例えば、
板状、シート状またはフィルム状の成形体を得ることが
できる。
【0028】
【実施例】本発明を以下の合成例、実施例および比較例
によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例によ
り本発明の範囲が限定されるものではない。
【0029】合成例で得られた難燃剤、ならびに実施例
および比較例において用いた配合成分を下記する。 (A)成分(ポリフェニレンエーテル系樹脂) PPE:変成ポリフェニレンエーテル(日本GEプラス
チック株式会社製、商品名:ノリル731)
【0030】(B)成分(難燃剤) B1:2−ナフチルジフェニルホスフェート(合成例
1) B2:1−ナフチルジフェニルホスフェート(合成例
2) B3:ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェート(合成
例3) B4:2−ナフチルホスフェート混合物(合成例4) B5:トリ(2−ナフチル)ホスフェート(合成例5) B6:トリフェニルホスフェート(下式) 融点:49℃ (大八化学工業株式会社製、商品名:TPP)
【0031】
【化3】
【0032】合成例1(2−ナフチルジフェニルホスフ
ェートの合成) 攪拌機、還流管および温度計を備えた2リットルの四つ
口フラスコに、2−ナフトール432.5g(3モ
ル)、ジフェニルホスホロクロリデート805.8g
(3モル)、無水塩化マグネシウム1.5gおよびトル
エン30gを充填し、この混合溶液を窒素雰囲気下で攪
拌しながら150℃まで2時間かけて加熱昇温し、同温
度(150℃)の減圧下(約27kPa)で3時間還流
を行った。還流後、反応混合物を80℃まで冷却し、窒
素を導入してフラスコ内を常圧にし、同温度(80℃)
で3.5%塩酸および1%水酸化ナトリウム水溶液で順
次洗浄し、最後に水洗を行った。さらに、150℃で減
圧下(約2.7kPa)に水蒸気蒸留を行い、反応生成
物から低沸点の成分を除去し、微褐色の固体1105.
9gを得た。固体のすべてが目的化合物であると仮定し
た場合の粗収率は98%であった。
【0033】得られた生成物の組成を、液体クロマトグ
ラフィーにより測定した。 組成:2−ナフチルジフェニルホスフェート 98.8% トリフェニルホスフェート(TPP) 0.7% ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェート 0.5% また、得られた生成物の融点とリン含有率を測定した。 融点:63℃ リン含有率:8.2%
【0034】合成例2(1−ナフチルジフェニルホスフ
ェートの合成) 2−ナフトールの代わりに1−ナフトールを用いる以外
は合成例1と同様にして、微褐色の固体1055.2g
を得た。固体のすべてが目的化合物であると仮定した場
合の粗収率は93%であった。
【0035】得られた生成物について、合成例1と同様
にして、組成、融点およびリン含有率を測定した。 組成:1−ナフチルジフェニルホスフェート 98.8% トリフェニルホスフェート(TPP) 0.7% ジ(1−ナフチル)フェニルホスフェート 0.5% 融点:52℃ リン含有率:8.2%
【0036】合成例3(ジ(2−ナフチル)フェニルホ
スフェートの合成) 出発原料として、2−ナフトール720.8g(5モ
ル)、モノフェニルホスホロジクロリデート527.5
g(2.5モル)、無水塩化マグネシウム1.2gおよ
びトルエン30gを用いる以外は合成例1と同様にし
て、、微褐色の固体1043.8gを得た。固体のすべ
てが目的化合物であると仮定した場合の粗収率は98%
であった。
【0037】得られた生成物について、合成例1と同様
にして、組成、融点およびリン含有率を測定した。 組成:ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェート 98.7% トリフェニルホスフェート(TPP) 0.3% 2−ナフチルジフェニルホスフェート 0.1% トリ(2−ナフチル)ホスフェート 0.9% 融点:63℃ リン含有率:7.2%
【0038】合成例4(2−ナフチルホスフェート混合
物の合成) 攪拌機、還流管および温度計を備えた3リットルの四つ
口フラスコに、2−ナフトール432.5g(3モ
ル)、オキシ塩化リン506.1g(3.3モル)およ
び無水塩化マグネシウム1.5gを充填し、この混合溶
液を窒素雰囲気下で攪拌しながら120℃まで2時間か
けて加熱昇温し、同温度(120℃)で1時間攪拌し
た。その後、同温度(120℃)にて減圧を開始し、約
1.3kPaに到達するまで過剰のオキシ塩化リンを回
収した。反応混合物を室温まで冷却し、さらにフェノー
ル564.0g(6モル)およびトルエン30gを加
え、窒素雰囲気下で攪拌しながら2時間かけて150℃
まで加熱昇温し、同温度(150℃)の減圧下(約27
kPa)で2時間還流を行った。還流後、合成例1と同
様の後処理を行い、微褐色の固体1021.7gを得
た。
【0039】得られた生成物について、合成例1と同様
にして、組成、融点およびリン含有率を測定した。 組成:2−ナフチルジフェニルホスフェート 81.2% ジ(2−ナフチル)フェニルホスフェート 18.1% トリ(2−ナフチル)ホスフェート 0.2% トリフェニルホスフェート(TPP) 0.5% 融点:59℃ リン含有率:8.0%
【0040】合成例5(トリ(2−ナフチル)ホスフェ
ートの合成) 攪拌機、還流管および温度計を備えた3リットルの四つ
口フラスコに、2−ナフトール1081.2g(7.5
モル)、無水塩化マグネシウム1.3gおよびo−ジク
ロロベンゼン1000gを充填し、この混合溶液を窒素
雰囲気下で攪拌しながら120℃まで加熱昇温し、同温
度(120℃)でオキシ塩化リン383.4g(2.5
モル)を1時間かけて加えた。次いで、反応溶液を2時
間かけて150℃まで加熱昇温し、同温度(150℃)
の減圧下(約27kPa)で3時間還流を行った。還流
後、反応混合物を室温まで冷却し、窒素を導入してフラ
スコ内を常圧にし、さらにエタノール1000gを加
え、室温で一晩放置して、結晶を析出させた。析出した
結晶を濾別し、100℃で減圧乾燥して、白色の結晶1
071.6gを得た。固体のすべてが目的化合物である
と仮定した場合の粗収率は91%であった。
【0041】得られた生成物について、合成例1と同様
にして、組成、融点およびリン含有率を測定した。 組成:トリ(2−ナフチル)ホスフェート 99%以上 融点:111℃ リン含有率:6.5%
【0042】実施例1および比較例1 変性ポリフェニレンエーテル100重量部に対して、表
1に示す難燃剤15重量部を、ヘンシェル型ミキサーで
混合し、ベント付二軸押出機で溶融混練して樹脂組成物
のペレットを得た。得られたペレットを射出成形機で成
形し、難燃性(垂直燃焼性)試験用試験片を作製し、下
記の試験方法に基づいて物性を測定した。得られた結果
を樹脂組成物の配合成分とその割合と共に表1に示す。
なお、難燃剤については、樹脂組成物の垂直燃焼性(U
L)試験の評価がV−0を達成するように添加量を決定
した。
【0043】(1)垂直燃焼性(UL)試験 試験方法:UL−94に準拠(5検体の平均消炎時間) 試験片:厚さ1.6mm 評価:規定によるランク V−0、V−1およびV−2
【0044】(2)加熱減量 窒素雰囲気下、オープンセルを用いて、熱天秤により、
樹脂ペレット(直径:約2mm、長さ:約3mm、約1
0mg)を昇温速度20℃/分で250℃まで加熱した
ときの減量率(重量%)を測定した。
【0045】
【表1】
【0046】表1の結果から、実施例1の樹脂組成物
は、少量の難燃剤の添加で優れた難燃性を示し、低揮発
性である(加熱減量が少ない)ことがわかる。このこと
から、本発明のナフチルホスフェート化合物(I)は、
優れた難燃性を樹脂に付与し、低揮発性で、極めて有用
な非ハロゲン系難燃剤であることがわかる。
【0047】一方、本発明のナフチルホスフェート化合
物(I)の代わりに、公知の難燃剤を添加した比較例1
の樹脂組成物は、加熱減量が多く、成形加工時に金型の
汚染を引き起こす恐れがある点において劣っている。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、少量の添加で優れた難
燃性を樹脂に付与し、低揮発性で、耐加水分解性に優
れ、樹脂本来の機械的強度を低下させず、しかも固体で
取り扱いが簡便で、かつ安価な非ハロゲン系難燃剤が添
加されてなる難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成
物を提供することができる。このように本発明のナフチ
ルホスフェート化合物(I)は、樹脂本来の機械的強度
を低下させ難く、安価であるというモノマータイプの有
機リン系難燃剤の特長と、樹脂成形時に揮発し難いとい
う高分子タイプの縮合型有機リン系難燃剤の特長とを併
せもち、しかも樹脂の成形工程の作業環境において固体
であり、取り扱いが簡便であるという特長を有する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CH071 EW046 FD010 FD050 FD090 FD100 FD130 FD136 GQ00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンエーテル系樹脂に、難燃
    剤として一般式(I): 【化1】 (式中、nは1または2を示す)で表されるナフチルホ
    スフェート化合物(但し、融点が50℃以上である)の
    1種またはそれらの混合物を添加してなる難燃性ポリフ
    ェニレンエーテル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリフェニレンエーテル系樹脂100重
    量部に対して、難燃剤が10〜30重量部の割合で添加
    されてなる請求項1に記載の難燃性ポリフェニレンエー
    テル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリフェニレンエーテル系樹脂が、変性
    ポリフェニレンエーテルである請求項1または2に記載
    の難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
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