JP2001011462A - ピペラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛からなる難燃剤、及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物 - Google Patents

ピペラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛からなる難燃剤、及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物

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JP2001011462A
JP2001011462A JP11185216A JP18521699A JP2001011462A JP 2001011462 A JP2001011462 A JP 2001011462A JP 11185216 A JP11185216 A JP 11185216A JP 18521699 A JP18521699 A JP 18521699A JP 2001011462 A JP2001011462 A JP 2001011462A
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zinc
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piperazine
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Norihisa Kondo
典久 近藤
Hideo Sakka
秀雄 属
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、様々な難燃剤の提案がなされ、様々な
用途で使い分けがなされているものの、近年の難燃規制
の強化、配合した難燃樹脂の性能のさらなる向上要求が
高く、従来品の欠点を補完する剤の創製が望まれてい
た。 【解決手段】 一般式が[A][Znabcd](式
中、aは1〜2、bは1〜3、cは4〜12、dは1〜
10の整数を表し、Aはピペラジン骨格を含むアミン類
を表す。)で示されるピペラジン骨格を含むアミン含有
リン酸亜鉛を難燃剤として樹脂に配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電気機器、自
動車部品、健在及び電線、ケーブル等の難燃剤として有
用なピペラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛からな
る難燃剤、及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂の難燃化に対してハロゲン系
の難燃剤が難燃性、樹脂物性、価格の面で優れているた
めに広く用いられてきたが、発煙性、加工及び燃焼時の
毒性ガスの発生の問題により、近年ハロゲン系化合物を
使用しない難燃処方の開発が盛んに行われている。
【0003】樹脂の難燃化を目的としたハロゲン原子を
含まない難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、
トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系化合物
(例えば、特公昭53−418号公報参照)、ポリリン
酸アンモニウム(例えば、特開平7−330968号公
報参照)、赤リン、エチレンジアミンリン酸塩等のリン
酸アミン(例えば、特開平5−156116号公報参
照)等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム、ホウ酸亜鉛等の無機系難燃剤等が知られて
いる。
【0004】しかしながら、リン酸エステル系化合物
は、揮発性が高く耐熱性が十分でないものが多く、難燃
性能及び配合樹脂の機械物性の問題でさらなる改善が求
められていた。また、ポリリン酸アンモニウムに代表さ
れるリン化合物を配合した樹脂組成物は耐水性が劣ると
いう問題があり、また赤リンを配合した樹脂組成物は、
樹脂組成物が着色し、更には加工時にフォスフィンガス
が発生する等の問題があり、更に水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウムに代表される無機系難燃剤も難燃性
の面で必ずしも満足されていないのが現状である。
【0005】こうした状況の中、本発明者らも燃焼時に
有害ガスや煙の発生を著しく抑制できる新規な難燃剤と
して、一般式がZn2282210で表されるエチ
レンジアミンリン酸亜鉛を見出し、先に特許出願してい
る(特開平8−269230号公報参照)。しかしなが
ら、難燃性の面では未だ満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題に
鑑みてなされたものであり、その目的は、従来のハロゲ
ン原子を含まない難燃剤よりも高い難燃性を有する難燃
剤を提供すること、そしてその難燃剤を工業規模で製造
できる方法を提供すること、及びその難燃剤を配合して
なる難燃性樹脂組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、ピペラジン骨格を含む
アミン含有リン酸亜鉛が、従来のエチレンジアミンリン
酸亜鉛に比べ、耐熱性、難燃性付与性能に優れ、樹脂等
に配合することで十分な難燃性を発現できることを見出
した。
【0008】しかしながら、ピペラジン骨格を含むアミ
ン含有リン酸亜鉛を製造するためには加圧反応装置を用
いて、高温下、長時間反応しなければならない問題を有
していた(J.Mater.Chem.,2(11),
1127(1992),Angew.Chem.In
t.Ed.Engl.,34(16),1745(19
95)等)。
【0009】本発明者らは、この問題を解決するため更
に鋭意検討を重ねた結果、本発明の難燃剤を見出し、本
発明を完成させるに至った。
【0010】すなわち本発明は、下記一般式(1) [A][Znabcd] (1) (式中、aは1〜2、bは1〜3、cは4〜12、dは
1〜10の整数を表し、Aはピペラジン骨格を含むアミ
ン類を表す。)で示されるピペラジン骨格を含むアミン
含有リン酸亜鉛からなる難燃剤、及びそれを配合してな
る難燃性樹脂組成物である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明において、ピペラジン骨格を含むア
ミン含有リン酸亜鉛とは、下記一般式(1) [A][Znabcd] (1) (式中、aは1〜2、bは1〜3、cは4〜12、dは
1〜10の整数を表し、Aはピペラジン骨格を含むアミ
ン類を表す。)で示される無機層と有機層を有する化合
物をいう。
【0013】上記一般式(1)において、ピペラジン骨
格を含むアミン類(A)としては、特に限定するもので
はないが、ピペラジン、2−メチルピペラジン、N−メ
チルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N,N
−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン等
が好適な例として挙げられる。
【0014】次に、上記一般式(1)で示されるピペラ
ジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛の製造方法につい
て説明する。
【0015】本発明において、上記一般式(1)で示さ
れるピペラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛の製造
方法は、特に限定するものではないが、リン酸亜鉛水溶
液とアミン水溶液の混合、pH調製、熟成、固液分離、
洗浄、乾燥の工程により、従来の製造方法に比べ簡便に
製造することができる。
【0016】この製造方法(以下、本発明の方法と称す
る)において、リン酸亜鉛水溶液は、リン酸/亜鉛(モ
ル比)が1.0〜3.0となるように亜鉛化合物とリン
酸水溶液を混合し、亜鉛化合物を均一に溶解させて製造
する。
【0017】リン酸亜鉛水溶液のリン酸/亜鉛(モル
比)が1〜3であり、好ましくは1〜1.5である。リ
ン酸/亜鉛(モル比)が1未満の場合、生成物中にピペ
ラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛以外の不純物が
混入するために好ましくない。またリン酸/亜鉛(モル
比)が3を超える場合、未反応のリン酸の量が多くな
り、非経済的である。
【0018】本発明の方法において、亜鉛化合物として
は、具体的には、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸
亜鉛、過塩素酸亜鉛等の無機酸塩、安息香酸亜鉛、クエ
ン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、乳酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、サリ
チル酸亜鉛等の有機酸塩、亜鉛金属、酸化亜鉛、水酸化
亜鉛等が例示されるが、特に限定されることなく使用可
能である。
【0019】リン酸亜鉛水溶液を製造する際、亜鉛化合
物によってはリン酸水溶液に溶解しない場合がある。こ
の様な場合、亜鉛化合物はリン酸とリン酸以外の酸を使
用することによって溶解される。リン酸以外の酸として
は、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられるが、特に限定され
ない。リン酸以外の酸の量は特に限定されず、亜鉛化合
物が均一に溶解するだけの量でよい。なお、リン酸以外
の酸の使用が必要な亜鉛化合物としては金属亜鉛、酸化
亜鉛、水酸化亜鉛等が挙げられる。なお、リン酸亜鉛水
溶液の濃度は特に限定されず、亜鉛濃度、リン酸濃度は
数十〜数千mmol/l程度でよい。
【0020】また本発明の方法において、ピペラジン骨
格を含むアミンとしては、例えば、ピペラジン、2−メ
チルピペラジン、N−メチルピペラジン、2、5−ジメ
チルピペラジン、N、N−ジメチルピペラジン、2、6
−ジメチルピペラジン等が挙げられるが、これらに特に
限定されることなく使用可能である。ピペラジン骨格を
含むアミン水溶液の濃度は特に限定されず、数十〜数千
mmol/l程度でよい。
【0021】本発明の方法においては、次にリン酸亜鉛
水溶液とピペラジン骨格を含むアミンの水溶液を、アミ
ン/亜鉛(モル比)が0.5〜1.2となる量で混合す
る。アミン/亜鉛(モル比)が0.5未満の場合、生成
物中にピペラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛以外
の不純物が混入するために好ましくない。アミン/亜鉛
(モル比)が1.2を超える場合、未反応のアミン量が
多くなり、非経済的である。
【0022】リン酸亜鉛水溶液とアミン水溶液の混合方
法は、特に限定するものではないが、例えば、リン酸亜
鉛水溶液にピペラジン骨格を含むアミンの水溶液を添加
する方法、ピペラジン骨格を含むアミンの水溶液にリン
酸亜鉛水溶液を添加する方法、ピペラジン骨格を含むア
ミンの水溶液とリン酸亜鉛水溶液を反応槽内に同時に添
加する方法等の混合方法が挙げられる。混合時は、反応
槽内を均一に保つために攪拌しながら行うのが一般的で
ある。リン酸亜鉛水溶液にピペラジン骨格を含むアミン
の水溶液を添加するか又はピペラジン骨格を含むアミン
の水溶液にリン酸亜鉛水溶液を添加する場合、添加時間
は数分〜数時間でよい。
【0023】混合時の温度は、ピペラジン骨格を含むア
ミン含有リン酸亜鉛以外の不純物の混入を防ぎ、また経
済的に製造するため、0℃〜50℃が好ましく、0℃〜
30℃が特に好ましい。
【0024】本発明の方法においては、次にpHを3〜
8の範囲に調整して、ピペラジン骨格を含むアミン含有
リン酸亜鉛を晶析する。リン酸亜鉛水溶液とアミン水溶
液を混合した溶液のpHは約2であり、このpHではピ
ペラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛の溶解度が大
きいため、得られるピペラジン骨格を含むアミン含有リ
ン酸亜鉛の収率が低下する。pHの調整は、ピペラジン
骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛の収率を高めるために
行うものである。
【0025】調整するpHは上述したとおり3〜8の範
囲である。調整するpHが3未満の場合、ピペラジン骨
格を含むアミン含有リン酸亜鉛の収率を向上させる効果
が小さく、pHが8を超える場合、生成物中にピペラジ
ン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛以外の不純物が混入
するため好ましくない。
【0026】pHを3〜8に調整する方法は特に限定さ
れない。例えば、リン酸亜鉛水溶液とピペラジン骨格を
含むアミンの水溶液を混合したものにアルカリを添加す
る方法、リン酸亜鉛水溶液とピペラジン骨格を含むアミ
ンの水溶液を混合する前に予めリン酸亜鉛水溶液にアル
カリを添加する方法、予めピペラジン骨格を含むアミン
の水溶液にアルカリを添加する方法等が挙げられる。
【0027】pHを調整する際に使用するアルカリは、
特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
尿素等の粉末若しくはその水溶液、又はアンモニア等の
ガス若しくはその水溶液でよい。
【0028】本発明の方法においては、pHを調整した
後、熟成を行う。本発明において、熟成とは、攪拌を継
続してスラリーを混合し、均一化する工程をいう。熟成
時間は特に限定されないが、数分〜数十時間、特に好ま
しくは3〜24時間である。熟成温度は0〜50℃、特
に好ましくは0〜30℃である。
【0029】本発明の方法において、上述の方法で得ら
れたピペラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛は、洗
浄後、固液分離される。洗浄水の量は特に限定されず、
未反応物が除去される量でよい。固液分離の方法は、ヌ
ッチェ、ドラムフィルター、フィルタープレス、ベルト
フィルター等が例示されるが特に限定されない。
【0030】本発明の方法において、ピペラジン骨格を
含むアミン含有リン酸亜鉛は、洗浄、固液分離の後、乾
燥される。乾燥温度は特に限定されず、60〜250℃
程度でよく、乾燥時間は数時間〜数十時間でよい。
【0031】以上の方法で、上記一般式(1)で示され
るピペラジン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛を簡便に
製造することができる。ピペラジン骨格を含むアミン含
有リン酸亜鉛は難燃剤として、樹脂等に配合して用いら
れる。
【0032】続いて、本発明の難燃性樹脂組成物につい
て説明する。
【0033】本発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂と、上
記一般式(1)で示されるピペラジン骨格を含むアミン
含有リン酸亜鉛からなる難燃剤(以下、本発明の難燃剤
と称する)を含む組成物であり、更に必要に応じて、赤
リン、リン化合物、金属化合物及び1,3,5−トリア
ジン誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の
難燃剤を含んでもよい。詳細な理由は不明であるが、こ
れら難燃剤のうち、赤リン、リン化合物は、本発明の難
燃剤と難燃効果において著しい相乗効果を奏するため、
併用することが特に好ましい。
【0034】リン化合物としては、リン酸エステル、ポ
リリン酸アンモニウム、アミド変性ポリリン酸アンモニ
ウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、リン酸グ
アニジン、エチレンジアミンリン酸塩及び1,4−ブタ
ンジアミンリン酸塩等が好適な例として挙げられる。
【0035】金属化合物としては、水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、ヒドロキ
シスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化ニッケル、酸化コバル
ト、酸化鉄、酸化銅、酸化モリブデン、酸化スズ、酸化
亜鉛、酸化ケイ素、ゼオライト、ホウ酸亜鉛、酸化ジル
コニウム、三酸化アンチモン及び五酸化アンチモン等が
好適な例として挙げられる。
【0036】1,3,5−トリアジン誘導体としては、
メラミン、シアヌール酸、シアヌール酸誘導体、イソシ
アヌール酸、イソシアヌール酸誘導体、メラミンシアヌ
レート及びメラミンイソシアヌレート等が好適な例とし
て挙げられる。
【0037】本発明の難燃剤を配合することにより十分
な難燃性を付与することが可能な樹脂としては、例え
ば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、アルキド樹脂、エ
ポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、低密度ポリエチレン、
高密度ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重
合体、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリ
スチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アク
リロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(以下A
BSと略す)、ポリプロピレン、石油樹脂、ポリメチル
メタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂が挙げら
れ、さらに熱可塑性樹脂を2種以上混合したポリカーボ
ネート−ABS、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレ
ン等に代表されるポリマーアロイ等も例示できる。これ
らのうち、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリスチレン、
耐衝撃性ポリスチレン、発泡ポリスチレン、アクリロニ
トリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレ
ン−ブタジエン共重合体、ポリプロピレン、石油樹脂、
ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂
や、熱可塑性樹脂を2種以上混合したポリカーボネート
−ABS、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレン等に
代表されるポリマーアロイが好適な樹脂として例示され
る。
【0038】本発明の難燃剤の樹脂への配合量は、配合
する樹脂の種類や目的とする難燃性能により異なり、特
に限定されるものではない。例えば、難燃剤として、本
発明の難燃剤のみを配合する場合、樹脂100重量部に
対して、通常、150〜300重量部配合する。また、
本発明の難燃剤と、赤リン、リン化合物、金属化合物及
び1,3,5−トリアジン誘導体からなる群より選ばれ
る1種又は2種以上の難燃剤を配合する場合には、樹脂
100重量部に対して、通常、本発明の難燃剤を5〜1
00重量部、赤リン、リン化合物、金属化合物及び1,
3,5−トリアジン誘導体からなる群より選ばれる1種
又は2種以上の難燃剤を5〜200重量部配合する。
【0039】さらに必要に応じて、ベンゾトリアゾール
系の紫外線吸収剤、2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン誘導体の光安定剤、ヒンダードフェノール系の酸
化防止剤等を添加してもよく、この場合、本発明の難燃
性樹脂組成物100重量部に対して通常0.05〜5重
量部添加される。これらの他、必要に応じて帯電防止剤
やタルク、グラスファイバー等の無機充填剤を添加して
もよい。
【0040】本発明のピペラジン骨格を含むアミン含有
リン酸亜鉛の樹脂への配合方法としては、特に限定する
ものではないが、熱硬化性樹脂に配合する場合には、例
えば、予め本発明の難燃剤を樹脂原料に分散させた後硬
化させればよい。また、熱可塑性樹脂に配合する場合に
は、例えば、コニカルブレンダーやタンブラーミキサー
を用いて必要な配合試剤を混合し、二軸押出機等を用い
てペレット化してもよい。これらの方法で得られた難燃
性樹脂組成物の加工方法は、特に限定されるものではな
く、例えば、押出成型、射出成型等を行い、目的とする
成型品を得ることができる。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のピペラジン含有リン酸亜鉛は難燃剤として極めて有用
であり、特に熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂に配合した場
合、高難燃性能を発現できる。また、本発明の方法は、
従来の高圧反応に比べ簡易的な方法で製造できるため、
工業的に極めて有用な技術と言える。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0043】実施例1 難燃剤1の調製 200gの水と144gの75%リン酸を混合し、14
4gの硫酸亜鉛7水和物を溶解させてリン酸/亜鉛(モ
ル比)=2.20のリン酸亜鉛水溶液を調製した。
【0044】上記リン酸亜鉛水溶液に200gの水と2
6gのピペラジンを混合して調製したピペラジン水溶液
を添加し(ピペラジン/亜鉛(モル比)=0.60)、
48%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に調製し
た後、30℃で21時間熟成して白色粉末スラリーを得
た。得られた白色粉末スラリーをヌッチェにより固液分
離し、2000gの水で洗浄後、120℃で16時間乾
燥し、ピペラジン含有リン酸亜鉛127gを得た。
【0045】得られたピペラジン含有リン酸亜鉛の収率
は仕込みの硫酸亜鉛に対して>99.9%であった。ま
たピペラジン含有リン酸亜鉛のX線回折パターンは表1
に示した位置に現れた。この得られた化合物について、
元素分析を測定した結果を表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】尚、元素分析は炭素及び水素については元
素分析計により、リン及び亜鉛はICPにより、窒素は
窒素分析器により行った。
【0049】表2より明らかなようにこの化合物は、下
式 [C4102][Zn23125] で示される化合物であることが明らかとなった。
【0050】以下、このピペラジン含有リン酸亜鉛を難
燃剤1と称する。
【0051】実施例2 200gの水と144gの75%リン酸を混合し、14
4gの硫酸亜鉛7水和物を溶解させてリン酸/亜鉛(モ
ル比)=2.20のリン酸亜鉛水溶液を調製した。
【0052】上記リン酸亜鉛水溶液に200gの水と5
2gのピペラジンを混合して調製したピペラジン水溶液
を添加し(ピペラジン/亜鉛(モル比)=1.20)、
48%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に調製し
た後、30℃で21時間熟成して白色粉末スラリーを得
た。得られた白色粉末スラリーをヌッチェにより固液分
離し、2000gの水で洗浄後、120℃で16時間乾
燥し、ピペラジン含有リン酸亜鉛167gを得た。
【0053】得られたピペラジン含有リン酸亜鉛の収率
は仕込みの硫酸亜鉛に対して88%であった。またピペ
ラジン含有リン酸亜鉛のX線回折パターンは表3に示し
た位置に現れた。
【0054】
【表3】
【0055】この得られた化合物について、元素分析を
測定した結果を表2にあわせて示す。
【0056】表2より明らかなようにこの化合物は、下
式 [C4102][ZnP284] で示される化合物であることが明らかとなった。
【0057】以下、このピペラジン含有リン酸亜鉛を難
燃剤2と称する。
【0058】実施例3 200gの水と144gの75%リン酸を混合し、14
4gの硫酸亜鉛7水和物を溶解させてリン酸/亜鉛(モ
ル比)=2.20のリン酸亜鉛水溶液を調製した。
【0059】上記リン酸亜鉛水溶液に200gの水と3
0gの2−メチルピペラジンを混合して調製したピペラ
ジン水溶液を添加し(2−メチルピペラジン/亜鉛(モ
ル比)=0.60)、48%水酸化ナトリウム水溶液で
pHを7.0に調製した後、30℃で24時間熟成して
白色粉末スラリーを得た。得られた白色粉末スラリーを
ヌッチェにより固液分離し、2000gの水で洗浄後、
120℃で16時間乾燥し、2−メチルピペラジン含有
リン酸亜鉛130gを得た。
【0060】得られた2−メチルピペラジン含有リン酸
亜鉛の収率は仕込みの硫酸亜鉛に対して>99.9%で
あった。
【0061】この得られた化合物について、元素分析を
測定した結果を表2にあわせて示す。
【0062】表2より明らかなようにこの化合物は、下
式 [C5122][Zn23125] の組成をもった化合物であることが明らかとなった。
【0063】以下、このピペラジン含有リン酸亜鉛を難
燃剤3と称する。
【0064】実施例4〜実施例9 エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー製、商品名:ウ
ルトラセンUE635)、実施例1〜実施例3で得られ
た難燃剤1〜難燃剤3、及びポリリン酸アンモニウム
(ヘキスト製、商品名:Exolit462)を表5に
示すような重量部で配合して120℃の温度でロール混
練し、150℃でプレス成形し、難燃性樹脂組成物を調
製した。
【0065】難燃性の評価は、JIS K7201に規
格化されている酸素指数法による高分子材料の燃焼試験
方法、米国Underwrites Laborato
ries社の規格であるUL94V(試験片の厚さ1/
8インチ)に従って行った。各難燃剤の配合量、樹脂組
成物の燃焼性の評価結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】比較例1 129gの水と79gの75%リン酸を混合し、144
gの硫酸亜鉛7水和物を溶解させてリン酸/亜鉛(モル
比)=1.21のリン酸亜鉛水溶液を調製した。
【0068】上記リン酸亜鉛水溶液に123gの水、4
4gの水酸化ナトリウム及び18gのエチレンジアミン
を混合して調製した水溶液を3時間かけて添加し(エチ
レンジアミン/亜鉛(モル比)=0.60)、5℃で2
1時間熟成して白色粉末スラリーを得た。得られた白色
粉末スラリーをヌッチェにより固液分離し、2000g
の水で洗浄後、120℃で16時間乾燥し、エチレンジ
アミンリン酸亜鉛を得た。得られたエチレンジアミンリ
ン酸亜鉛の収率は99%であった。
【0069】比較例2〜比較例8 エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー製、ウルトラセ
ンUE635)に比較例1で得られたエチレンジアミン
リン酸亜鉛及び所定量の難燃剤を表5に示すような重量
部で配合して120℃の温度でロール混練し、150℃
でプレス成形し、難燃性樹脂組成物を調製した。
【0070】難燃性の評価を実施例4〜実施例9と同様
の方法で実施した。各難燃剤の配合量、樹脂組成物の燃
焼性の評価結果を表4にあわせて示す。
【0071】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/16 C09K 21/02 C09K 21/02 21/04 21/04 21/10 21/10 C07F 3/06 // C07F 3/06 19/00 19/00 C08L 101/00 Fターム(参考) 4H028 AA07 AA10 AA12 AA30 AA40 AB04 BA06 4H048 AA02 AA03 AB80 AC93 AD17 BB31 BC10 BC16 BE04 BE61 VA66 VB10 4H050 AB80 4J002 AA011 AA021 BA011 BB031 BB061 BB121 BC031 BC041 BC061 BG061 BG101 BN141 BN151 CC031 CC161 CC181 CD001 CF011 CF061 CF071 CF211 CG001 CH071 CK021 CL001 DA058 EH046 EU137 EU188 FD010 FD040 FD050 FD070 FD100 FD136 FD137 FD138

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) [A][Znabcd] (1) (式中、aは1〜2、bは1〜3、cは4〜12、dは
    1〜10の整数を表し、Aはピペラジン骨格を含むアミ
    ン類を表す。)で示されるピペラジン骨格を含むアミン
    含有リン酸亜鉛からなる難燃剤。
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、ピペラジン骨格
    を含むアミン類(A)が、ピペラジン、2−メチルピペ
    ラジン、N−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペ
    ラジン、N,N−ジメチルピペラジン、2,6−ジメチ
    ルピペラジンからなる群より選ばれる化合物であること
    を特徴とする請求項1に記載の難燃剤。
  3. 【請求項3】 リン酸/亜鉛が1.0〜3.0モル比で
    あるリン酸亜鉛水溶液とアミン/亜鉛が0.5〜1.2
    モル比となる量のピペラジン骨格を含むアミンの水溶液
    を混合した後、pHを3〜8に調製し、熟成することを
    特徴とする請求項1の一般式(1)で示されるピペラジ
    ン骨格を含むアミン含有リン酸亜鉛の製造方法。
  4. 【請求項4】 リン酸亜鉛水溶液とピペラジン骨格を含
    むアミンの水溶液との混合時の温度を0〜50℃の範囲
    とすることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は請求項2に記載の難燃剤を
    樹脂に配合してなる難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 樹脂100重量部に対し、請求項1又は
    請求項2に記載の難燃剤を150〜300重量部配合す
    ることを特徴とする請求項5に記載の難燃性樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 請求項1又は請求項2に記載の難燃剤
    と、赤リン、リン化合物、金属化合物及び1,3,5−
    トリアジン誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種
    以上の難燃剤を樹脂に配合してなる難燃性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 樹脂100重量部に対し、請求項1又は
    請求項2に記載の難燃剤を5〜100重量部、赤リン、
    リン化合物、金属化合物及び1、3、5−トリアジン誘
    導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の難燃剤
    を5〜100重量部配合することを特徴とする請求項7
    に記載の難燃性樹脂組成物。
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