JP4211115B2 - 中空粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は超微細粒子径でかつ粒子内が中空である新規中空粒子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明は粒子径が極めて小さく粒子径分布が狭く、しかも中空であるシリカ中空超微粒子およびその製造方法に関する。粒子の外径(粒径と同じ)と内径は透過型電子顕微鏡(TEM)写真から直接測定する方法により求めた。このようにTEMで明確に中空を観察でき、その内径および外径を計測でき、しかも粒径が40nmより小さいシリカ粒子はいままでに何らの開示もなされていない。
このような中空超微粒子は、電子材料の中でもサブミクロンの微細加工を施される材料の補強および空隙の付与に供される場合、特にその特徴を発揮する。
当該超微粒子のその他の応用分野は吸着剤、各種のカラム用充填剤、易滑剤、塗料、樹脂、ゴムおよび紙の充填剤、化粧品等広範囲に広がっている
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、シリカ微粒子はアルカリ金属珪酸塩の中和あるいは珪酸ソーダ水溶液のイオン交換法等による製造方法が知られている。これらはいずれも中空粒子や多孔質粒子はえられないし、金属イオンの除去は極めて難しい。さらに、特公平4-70255には、ストーバー法を基本としたゾルーゲル法に、特定アルコールによる処理を加えることにより多孔質シリカ微粒子を得る方法が開示されている。しかしながら、粒径の範囲は0.05〜10μmにとどまっている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(イ)一般式(2)で表される化合物を下記(ロ)〜(ヘ)の存在下、加水分解、縮合して得られる中空粒子の液体分散体を乾燥および焼成することを特徴とする中空粒子の製造方法を提供するものである。
(イ)一般式2 (R1)nSi(OR2)(4-n)
(式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、R2は炭素数1〜5のアルキル基、nは0〜2の数を示す。)
(ロ)水
(ハ)下記一般式(3)で表されるアルコール
一般式(3) R3OH
(式中、R3は炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
(ニ) , Nージメチルホルムアミド、N , Nージメチルアセトアミド、またはN−メチルピロリドン
(ホ)ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびそれらの共重合物、
(ヘ)触媒
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の中空粒子の外径および内径は、透過型電子顕微鏡(TEMと略記)により特定され、外径平均が5〜40nm、好ましくは10〜30nm、外径/内径比が1.2〜8,好ましくは2〜6である。
本発明において、中空とは単一の空孔を粒子内に有するものである。
【0006】
本発明の一般式(1)におけるR1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などを挙げることができるが、反応時間が短い、工業的に入手が容易であるという点でメチル基、エチル基などが特に好ましい。
【0007】
また、一般式(1)においてnは0〜2であるが、製造条件の範囲の広さという点からは0〜1が特に好ましい。
【0008】
本発明の中空粒子は、前記一般式(2)で表される化合物を、特定の条件下で加水分解し、縮合することにより得られる。
【0009】
(イ)前記一般式(2)におけるR1のアルキル基としては、前記一般式(1)のR1と同様の基を挙げることができる。
【0010】
一般式(2)で表される化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシランなどが挙げられ、これらのうちでは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシランを使用することが特に好ましい。
【0011】
本発明において、一般式(2)で表される化合物は,二種以上混合して使用することができる。
【0012】
なお、一般式(2)におけるnが1または2の化合物は、一般式(2)で表される化合物全体の50モル%以下の混合比で使用することが好ましい。
【0013】
(ロ)水は特に限定するものではない。
【0014】
(ハ)前記一般式(3)におけるR3としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
【0015】
一般式(3)で表されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールが挙げられ、これらのうちではエタノールが特に好ましい。
【0016】
一般式(3)のR3のアルキル基の炭素数が4以上であると、一般式(2)で表される化合物を溶解し、水や触媒などと均一溶液を形成することが困難となる。
【0017】
(ニ)酸アミド類、ジオールおよびジオールの半エーテル類は水および本発明のアルコールと相溶性を持つことが必須である。
【0018】
酸アミド類としては、N,Nージメチルホルムアミド、N,Nージメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどを、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールを、ジオールの半エーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーエテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテルを挙げることができる。これらのうち、N,Nジメチルアセトアミドが、製造条件の選択が広くできるという点で特に好ましい。
【0019】
(ホ)水溶性ポリマーは、本発明の触媒が溶解した水溶液に溶解するもので、具体的には、カルボキシル基含有ポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびそれらの共重合物などが好ましい。
【0020】
カルボキシル基含有ポリマーの分子量は、通常、10,000〜1,000,000である。
【0021】
(ヘ)触媒は一般式(2)で表される化合物のアルコキシド基の加水分解および縮合反応の触媒として機能する。
【0022】
本発明における触媒としては、有機酸、有機塩、金属錯体などが挙げられるが、(ホ)水溶性ポリマーの溶解性を考慮すると有機塩基が好適である。
本発明において使用できる有機塩基としてアンモニア、エタノールアミンが好適に用いられる。
上記(イ)〜(ヘ)の化合物を反応させるに当たり、反応器への添加順序として▲1▼触媒(ヘ)を溶解した水(ロ)を入れ、次に▲2▼水溶性ポリマー(ホ)を入れて水溶性ポリマーが完全に溶解した後、▲3▼アルコール(ハ)を添加し続いて▲4▼酸アミド類(ニ)を添加し、そして攪拌が十分なことおよび所定の温度になったことを確認して▲5▼一般式(2)で表される化合物(イ)を添加して反応をスタートさせることが好ましい。
【0023】
ただし、上記工程▲1▼において、反応器とは別の容器触媒と水とを混合し、触媒が完全に水に溶解したことを確認して反応器に入れる、上記工程▲5▼において、一般式(2)で表される化合物をアルコールおよび酸アミド類またはいずれか一方の一部で溶解して添加するなどの方法をとることもできる。
【0024】
本発明において、各成分の混合比率はモル比で、通常(イ):(ロ):(ハ+ニ):(ヘ)=1:(10〜100):(10〜100):(0.1〜10)である。ただし、(ハ):(ニ)=1:(1〜0.3)が好ましい。
また、(ホ)は(イ)の1モルに対して1〜20g使用することが好適である。
本発明において、各成分を反応させる際の攪拌速度は反応混合物が均一に混合される程度でよく、特に限定はされない。
【0025】
反応温度は、使用するアルコールおよび酸アミド類の沸点および反応時間を考慮して任意に決めることができる。反応時間は一般式(2)で表される化合物の種類、反応温度、触媒の種類と量に依存してその最適値は変化する性質のものであり、限定されない。
【0026】
このようにして得られた本発明の中空粒子の液体分散体を真空乾燥し、さらに500℃以上の温度で焼成することにより当該粒子の粉体を得ることができる。この焼成温度については含まれる有機物を実質的に除去できる温度が望ましい。
本発明の中空粒子は、ポリマーなどの充填剤、改質剤などとして広く使用することができる。
【0027】
【実施例】
実施例1
攪拌機および温度計付き500mlのガラス製丸底フラスコに、1.0gのポリアクリル酸(分子量450,000)を溶解した70gの1重量%アンモニア水溶液、次にエタノール120g、ジメチルアセトアミド100gを攪拌しながら順次添加し、温度を25℃に維持する。これらが十分混合した後、最後にテトラエトキシシラン16gを添加して攪拌を5時間続け反応を完了させた。
【0028】
この反応生成液の一部をエタノールにより50〜100倍に希釈し、それをTEM用カーボングリッド上で乾燥しTEM観察を行った。その結果、外径約20nm内径約5nmの中空超微粒子が観察された。また、反応生成液の一部を200℃で乾燥させ粉末を得、さらにその粉末を600Cで焼成した。得られた中空粒子の比表面積をBET法により求めた結果、536m2/gであった。
【0029】
またT−PLOT解析により求めた2nm以上の空孔の比表面積は450m2/gであった。この二つの比表面積の差はミクロな(2nm未満)の空孔の比表面積を表しており、このことは536m2/gという大きな比表面積は2nm以上のいわゆるメソスコピックとマクロスコピックな空孔の比表面積を示しており、TEM観察の中空粒子であることを裏付けている。
【0030】
比較例1
ジメチルアセトアミドを添加せず、エタノルールを200g添加すること以外は実施例1と同様に反応させた。反応後、実施例1と同様にTEM用を調整しTEM観察を行なったところ、40〜50nmのシリカ粒子が形成されていたが、中空状態あるいは多孔質状態は認められなかった。つぎに、実施例1と同様に、サンプルを調整し、BET法により比表面積を求めたところ、69m2/gであり得られた粒子が中空あるいは多孔質でないことを示していた。
【0031】
【発明の効果】
本発明の中空粒子は従来のシリカ微粒子よりも粒子径が小さいため、電子材料の中でもサブミクロンの微細加工を施される材料、吸着剤、各種のカラム用充填剤、易滑剤、塗料、樹脂、ゴムおよび紙の充填剤、化粧品等に広範囲に利用することが可能である。
【0032】
また、本発明の中空粒子の製造方法は、単一の中空を有する微粒子を簡便に、かつ安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた中空粒子の電子顕微鏡写真を示す。

Claims (1)

  1. (イ)一般式(2)で表される化合物を下記(ロ)〜(ヘ)の存在下、加水分解、縮合して得られる中空粒子の液体分散体を乾燥および焼成することを特徴とする中空粒子の製造方法。
    (イ)一般式(2) (R1)nSi(OR2)(4-n)
    (式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、R2は炭素数1〜5のアルキル基、nは0〜2の数を示す。)
    (ロ)水
    (ハ)下記一般式(3)で表されるアルコール
    一般式(3) R3OH
    (式中、R3は炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
    (ニ) , Nージメチルホルムアミド、N , Nージメチルアセトアミド、またはN−メチルピロリドン
    (ホ)ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびそれらの共重合物、
    (ヘ)触媒
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