JP4206634B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーの製造方法に関し、さらに詳しくは、残留重合性単量体、揮発性の重合開始剤分解生成物等が少なく環境安全性に優れるトナーを短時間で高収率に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真用トナーは、重合によって得られた結着樹脂を、着色剤、帯電制御剤、離型剤などと混練、粉砕、分級して得られる着色重合体粒子からなる粉砕法トナーと;重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、離型剤等の混合物を懸濁重合、乳化重合、分散重合などの方法で重合して得られる着色重合体粒子からなる重合法トナー;結着樹脂の粒子と、着色剤並びに帯電制御剤を含有してなる粒子とを、結着樹脂のガラス転移温度より高い温度で攪拌して会合させた粒子を、濾過、乾燥することにより得られる着色重合体粒子からなる会合法トナー;等に大別される。何れの手法でも重合工程で完全に重合性単量体を反応させることは困難であり、わずかに未反応重合性単量体がトナー中に残留してしまう。重合性単量体の残留したトナーを静電画像形成装置で使用すると、画像定着時の加熱等により残留重合性単量体がトナー中から揮発して作業環境を悪化させたり、不快な臭気を発生させる。また、残留重合性単量体の多い電子写真用トナーは、保存中にブロッキングが発生しやすい、画像定着時にオフセットしやすい、静電画像現像装置の部材上にフィルミングしやすいなどの問題がある。
【0003】
着色重合体粒子中の残留重合性単量体などの揮発性物質を減らすために、重合反応後の各工程で揮発性物質の除去処理をすることが多く検討されている。
例えば、重合体が懸濁液、乳化液等の状態にあるときにスチームストリッピング処理する方法が知られている。しかし、スチームストリッピングでは、加熱により、着色重合体粒子が熱凝集を起こし、粒径分布が広くなる。更に、熱凝集が進むとブロック化することもある。
また、着色重合体粒子を加熱乾燥することによって、水分とともに未反応の重合性単量体や揮発性の化合物を取り除くことも行われている。乾燥のために、スプレー乾燥機、流動層乾燥機、棚段式乾燥機または真空乾燥機が用いられている。これらの乾燥方法では、揮発成分を低減するために長時間を要し、また揮発成分が蒸発するときに凝集などを起こし、粒径分布が広くなることがあった。さらに、着色重合体粒子が揮発成分の排気に同伴して系外に排出されてしまうので収率が低くなることが多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、残留重合性単量体、揮発性の重合開始剤分解生成物等が少なく環境安全性に優れるトナーを短時間で高収率に製造する方法を提供することにある。本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、特定の方法で固定されたバグフィルタに排気を高速度で通気させて、特定の含水率を有する着色重合体粒子に、特定の微粒子を添加し、混合しながら着色重合体粒子を真空乾燥することによって、前記目的を達成できることを見いだし、この知見に基づいて、本発明を完成するに到った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、バグフィルタが締め付け手段及び目張り手段によって排気口に固定されている真空乾燥機を用いて、バグフィルタにおける1時間の平均通気速度の最大値が1〜30m/分となる条件で、含水率が10〜60%の湿潤状態にある着色重合体粒子に、着色重合体粒子よりも小さい粒径の微粒子を添加し、混合しながら着色重合体粒子を真空乾燥することを含むトナーの製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーの製造方法は、バグフィルタが締め付け手段及び目張り手段によって真空乾燥機の排気口に固定されている真空乾燥機を用いて、バグフィルタにおける1時間の平均通気速度の最大値が1〜30m/分となる条件で、着色重合体粒子を真空乾燥することを含む。
【0007】
本発明において用いられる真空乾燥機は、バグフィルタを備えている。バグフィルタは一般に含塵ガスから粉塵を除去するために使用され、堆積粉塵の払い落とし形式により、機械的振動式、逆圧式、パルスジェット式などに分類される。バグフィルタは袋状のろ布から形成されており、その形状は封筒形や円筒形などがある。また、ろ布を複数取り付けて装置を区切って多室構造にし一室ごとに払い落としをするものと、装置を区切らず払い落としを部分的に行うものとがある。本発明においてはいずれの形式のものでもよいが、バグフィルタの上流部と下流部との圧力差が1.5kPaを超えた場合に不活性ガスをバグフィルタの下流部に吹き込むようにしたもの、特にパルスジェット式のものが、乾燥時間を短縮でき、収率よくトナーが製造できるので好ましい。不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、二酸化炭素などを挙げることができる。
【0008】
図1は、本発明に用いることができるバグフィルタの一例を示す図である。着色重合体粒子を同伴した排気が下部から入り、円筒状のろ布(バグフィルタ)2を通過して上部へ吐き出される構造になっている。バグフィルタの上流部と下流部との圧力差を圧力差計3で測定し、その圧力差が1.5kPaを超えたときに、パルスジェット吹き出し口4から窒素などの不活性ガスをバグフィルタ下流部に吹き込み、バグフィルタに堆積した粒子を払い落とすことができるようになっている。
【0009】
バグフィルタは真空乾燥機の排気口に取り付けられる。バグフィルタの取り付けは締め付け手段と目張り手段とで固定される。締め付け手段とは、バグフィルタと排気口とを締め付けることによって固定する手段のことをいい、具体的にはボルト止め、バンド止めなどの手段がある。また目張り手段とはバグフィルタと排気口との隙間を埋めて漏れをなくす手段のことをいい、具体的には、シール材、パッキング材、接着剤などの手段がある。シール材や接着剤としてはシリコーン系シーラント(例えばセメダイン8060、スリーボンド5211、スリーボンド5222など)、合成ゴム系接着剤(例えばスリーボンド1521C)、瞬間強力接着剤(例えばスリーボンド1700シリーズ)などが挙げられる。パッキング材としては、石綿パッキング材、フェルトパッキング材、ゴムパッキング材などが挙げられる。図2は図1のバグフィルタの取り付け部の拡大図である。円筒状のろ布2の端14にパッキング材12が取り付けられていて、このパッキング材12にはシリコーンシール材が塗布されている。そしてこのパッキング材部分を、ゲージプレート16と抑えプレート15とで挟み、ボルト17とナットで締め付け固定されている。
【0010】
本発明において用いられる真空乾燥器としては、箱型(棚段型)、マニホールド型などの材料静置式真空乾燥装置;トンネル型、ベルト型、ロール型、ドラム型などの機械搬送式真空装置;円筒(溝)攪拌型、円筒回転型、特殊回転型などの機械攪拌式真空装置などが挙げられる。これらのうち、円筒(溝)攪拌型の真空乾燥装置が好適に用いられる。乾燥器内では、着色重合体粒子を静置したまま真空乾燥してもよいが、揮発成分の蒸発または昇華を促すために攪拌することが好ましい。
真空乾燥機としてより具体的には、市販の神鋼パンテック社製SVミキサー、特にSV−001VTなどのTシリーズ、大川原製作所社製コニカルリボン混合乾燥機、あるいは日本乾燥機社製コニカルブレンダードライヤーなどが挙げられる。
図3は、本発明で使用可能な真空乾燥機の一例を示す図である。図3の装置では撹拌翼としてスクリュー翼22を用いている。乾燥機内は加熱減圧され、着色重合体粒子が該攪拌機で撹拌されながら乾燥される。蒸発した揮発成分は排気口へと導かれ、バグフィルタ24を通過し、凝縮器23で揮発成分は液化分離される。凝縮器の下流にはコンプレッサー(図示せず)が設けられており、このコンプレッサーの運転条件で乾燥機内圧力を調整する。バグフィルタにおける通気速度は、ジャケット温度と凝縮器の冷却水温度と乾燥機内圧力のいずれか、またはそれらの組合せで調整することができるが、主にジャケット温度にて調整する。
【0011】
本発明に用いる着色重合体粒子は、着色剤を含有した粒子状の重合体である。着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイト、ニグロシンベース、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、オリエントオイルレッド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート等の染顔料類;コバルト、ニッケル、三二酸化鉄、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを挙げることができる。さらに、磁性カラートナー用着色剤としては、C.I.ダイレクトレッド1及び4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1及び2、C.I.アシッドブルー9及び15、C.I.ベーシックブルー3及び5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4及び6等が、顔料として黄鉛、カドミウムイエロ、ミネラルファーストイエロ、ネーブルイエロ、ネフトールイエロS、ハンザイエロG、パーマネントイエロNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエログリーンG等が挙げられ、
【0012】
フルカラートナー用マゼンタ着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1〜209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1〜35等が、マゼンタ染料としては、C.I.ソルベントレッド1〜121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8〜27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料;C.I.ベーシックレッド1〜40、C.I.ベーシックバイオレット1〜28などの塩基性染料等が挙げられ、フルカラートナー用シアン着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2〜17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45及びフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
また、フルカラートナー用イエロ着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロ1〜138、C.I.バットイエロ1〜20等が挙げられる。
これら着色剤は、着色重合体粒子を構成する重合体100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部の割合で用いられる。
【0013】
着色重合体粒子は、その製法として、たとえば、(1)樹脂と着色剤とその他の添加剤とを溶融混練した後、粉砕し、必要に応じて分級する方法;(2)着色剤やその他の添加剤を分散した単量体を重合し、洗浄、乾燥する方法;(3)単量体を含む混合物を重合し微粒子を得、この微粒子を他の添加剤と混合し凝集させ、洗浄、乾燥する方法;などを挙げることができる。これらのうち、(2)の方法が、分級などの手間がかからず、真球状の粒子が得られるので好適である。
【0014】
着色重合体粒子を構成する樹脂として、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体やポリエステル樹脂が通常用いられる。
着色剤やその他の添加剤を分散した重合性単量体を重合する方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、析出重合法、分散重合法、などが挙げられ、これらのうち、トナー用の着色重合体粒子として好適な粒径を容易に得ることが可能な懸濁重合法が好適である。
重合する方法においては、着色重合体粒子を構成する樹脂を得るための重合性単量体の重合を一段で行ってもよいし、二段階に分けて行ってもよい。二段階に分けて重合する方法では、一段目に重合する単量体と二段目に重合する単量体との種類を変えて、一段目重合で形成されるコア粒子を柔らかくし、二段目重合で形成されるシェルを堅くすることによって、低温定着性と高温保存性とのバランスを良好にすることができる。
【0015】
重合性単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;等のモノビニル系単量体が挙げられる。これらのモノビニル系単量体は、単独で用いてもよいし、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらのモノビニル系単量体のうち、スチレン系単量体またはアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、特にスチレン系単量体とエチレン性不飽和カルボン酸エステルが、好適に用いられる。
【0016】
これらのモノビニル系単量体とともに、任意の架橋性モノマーを、定着性、特にオフセット性改善のために重合性単量体として用いることが好ましい。架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明では、架橋性モノマーを、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
【0017】
また、本発明では、保存性と定着性とのバランスを良くするためにマクロモノマーをモノビニル系単量体とともに重合性単量体として使用することが好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性官能基を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。数平均分子量が1,000より小さいものを用いると、着色重合体粒子の表面部分が柔らかくなり、保存性が低下するようになる。逆に数平均分子量が30,000より大きいものを用いると、マクロモノマーの溶融性が悪くなり、定着性が低下するようになる。
マクロモノマー分子鎖の末端に有するビニル重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などを挙げることができ、共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好適である。
本発明に用いるマクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独でまたは2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマー、特開平3−203746号公報の第4頁〜第7頁に開示されているものなどを挙げることができる。
マクロモノマーの量は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好適には0.03〜5重量部、さらに好適には0.05〜1重量部である。マクロモノマーの量が少ないと、保存性と定着性とのバランスが向上しない。マクロモノマーの量が極端に多くなると定着性が低下するようになる。
【0018】
単量体を重合するための重合開始剤、分子量調整剤などの重合副資材は、通常の重合法で用いられているものを用いることができる。
本発明に用いる重合開始剤としては、使用される単量体に可溶なものを使用することが好ましい。より具体的には、メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキソド、t−ブチルパーオキシ−2エチルヘキサニエート、ジ−イソ−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート等の過酸化物類;2,2‘−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1‘−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;を例示することができる。
前記重合開始剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、特に1〜10重量部用いることが好ましい。
【0019】
本発明で必要に応じて使用される分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;α−メチルスチレンダイマー等を例示することができる。これらの分子量調整剤は、重合開始以前、あるいは、重合の途中で反応系中に添加することができる。
前記分子量調整剤は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、特に0.1〜5重量部用いることが好ましい。
【0020】
本発明に用いる着色重合体粒子を得るための重合において、単量体を水媒体中で安定に分散(懸濁)させるために分散安定剤が用いられる。
分散安定剤としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;リン酸カルシウムなどのリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等水溶性高分子;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。これらのうち、金属化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適である。
難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する分散安定剤は、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸物のコロイドを用いることが好ましい。
本発明に用いる難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が大きくなると重合の安定性が崩れ、トナーの収率が低下する。
分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部の割合で使用する。この割合が少ないと充分な重合安定性や分散安定性を得ることが困難であり、凝集物が生成し易くなる。この割合が多いと微粒子増加により粒径分布が広がり易い。
【0021】
本発明に用いる着色重合体粒子には、着色剤以外に、離型剤(ワックス)、帯電制御剤などが含有されていてもよい。
本発明で必要に応じて使用される離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレン等の低分子量ポリオレフィン、ワックス;ペンタエリスリトールやジペンタエリスリトールのごとき多価アルコールとステアリン酸のごとき脂肪族モノカルボン酸とからなるエステル化合物(具体的には、 ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトララウレート、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、グリセロールトリアラキン酸等)などを挙げられる。前記離型剤は、着色重合体粒子を構成する重合体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、特に1〜10重量部用いることが好ましい。
【0022】
帯電制御剤としては、例えば、ボントロンN01(オリエント化学社製)、ニグロシンベースEX(オリエント化学社製)、スピロブラックTRH(保土ケ谷化学社製)、T−77(保土ケ谷化学社製)、ボントロンS−34(オリエント化学社製)、ボントロンE−81(オリエント化学社製)、ボントロンE−84(オリエント化学社製)、ボントロンE−89(オリエント化学社製)、ボントロンF−21(オリエント化学社製)、COPY CHRGE NX(クラリアント社製)、COPY CHRGE NEG(クラリアント社製)、TNS−4−1(保土ケ谷化学社製)、TNS−4−2(保土ケ谷化学社製)、LR−147(日本カーリット社製);特開平11−15192号公報、特開平3−175456号公報、特開平3−243954号公報などに記載の4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、特開平3−243954号公報、特開平1−217464号公報、特開平3−15858号公報などに記載のスルホン酸(塩)基含有共重合体;等を用いることができる。これらのうち、4級アンモニウム(塩)基含有共重合体、又はスルホン酸(塩)基含有共重合体が好適である。帯電制御剤は、着色重合体粒子を構成する重合体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部の割合で用いられる。
【0023】
本発明の製造方法においては、1時間の平均通気速度の最大値が1〜30m/分、好ましくは4〜25m/分となる条件でバグフィルタを気体が通過するようにする。この範囲にすることによって、乾燥時間が大幅に短縮できる。なお、ここで、通気速度とは排気量(真空乾燥機運転条件における1分当たりの排気体積[m3/分])をろ布面積[m2]で除した値である。通気速度は通常、乾燥工程の経過に伴って変動をする。本発明においては乾燥開始から1時間毎の通気速度の平均値を求め、その最大値が前記の範囲に成るようにする。
【0024】
真空乾燥における圧力は、通常、12400Pa以下、好ましくは9600Pa以下、さらに好ましくは7500Pa以下である。圧力が高いと揮発物の蒸発が少なくなり、乾燥効率が低くなる。また、圧力が高いと乾燥機内温度が高くなり、熱劣化が起きやすくなる。
真空乾燥におけるジャケット温度は、通常、15〜80℃、好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは25〜50℃である。ジャケット温度が高いと着色重合体粒子同士の熱凝集が起きやすくなる。逆に低いと乾燥速度が低くなり、乾燥に時間を要するようになる。ジャケット温度とは、乾燥機の容器内を加熱するために容器周囲または内部に取り付けられた発熱体部分の温度をいう。
さらに、本発明においては、真空乾燥時の着色重合体粒子自体の温度が、重要になる場合がある。すなわち、本発明においては、着色重合体粒子自体の温度を、好ましくは50℃以下に、さらに好ましくは35℃以下にする。着色重合体粒子自体の温度が高くなると、着色重合体粒子同士が凝集、融着などする傾向になる。
【0025】
本発明の製造方法においては、好適には、着色重合体粒子に、その粒子よりも小さい粒径をもつ微粒子を添加して真空乾燥する。
微粒子の添加時期は、真空乾燥中にその微粒子が着色重合体粒子と共存するようになれば特に限定されないが、含水率が60%以下、好ましくは10〜60%、より好ましくは15〜50%、特に好ましくは20〜45%の湿潤状態にある着色重合体粒子に微粒子を添加し、混合しながら乾燥することが好ましい。例えば、重合法あるいは凝集法により生成した着色重合体粒子を洗浄し、濾過した後の湿潤状態にある着色重合体粒子に、微粒子を添加し、着色重合体粒子と微粒子とを混合しながら乾燥する。
【0026】
微粒子としては、各種有機微粒子及び/または無機微粒子を用いることができる。微粒子として、着色重合体粒子の体積平均粒径(dv)よりも小さな平均粒径を有する硬質の微粒子を使用すると、乾燥工程の後、分級により着色重合体粒子と固体微粒子を分離しやすいので、好ましい。微粒子の平均粒径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
有機微粒子としては、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法等の湿式重合法、気相法等により重合及び/または造粒したスチレン系重合体微粒子、(メタ)アクリレート系重合体微粒子、オレフィン系重合体微粒子、含フッ素系重合体微粒子、含窒素(メタ)アクリレート系重合体微粒子、シリコーン系重合体微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、カーボンブラック、グラファイト等の各種有機微粒子が挙げられる。
【0027】
無機微粒子としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム、ダイアモンドカーボンランダム等の各種炭化物;窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物;ホウ化ジルコニウム等のホウ化物;酸化鉄、酸化クロム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化チタン、酸化スズ、アルミナ、シリカ等の各種酸化物;二硫化モリブデン等の硫化物;フッ化炭素等のフッ化物;ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸;滑石、ベントナイトなどの各種非磁性無機微粒子;などが挙げられる。
これら有機微粒子及び無機微粒子の表面をシランカップリング剤やチタンカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルにより表面処理したものが好適である。これらの中でも、疎水化シリカ微粒子などの表面処理シリカ微粒子が特に好ましい。
【0028】
微粒子は、湿潤状態にある着色重合体粒子100重量部(固形分基準)に対して、通常0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.03〜0.2重量部の割合で添加する。微粒子の添加量が過小であると、乾燥工程における着色重合体粒子の凝集防止効果が小さく、また、乾燥後の着色重合体粒子の流動性向上効果も小さくなる。固体微粒子の添加量が過大であると、乾燥後、分級工程でトナーの過剰流動が発生し、生産工程でラインもれしやすくなる。
微粒子は着色重合体粒子に添加し、次いで乾燥させることもできるし、着色重合体粒子を乾燥させながら微粒子を添加して乾燥させてもよい。
【0029】
本発明の製法においては、真空乾燥の後、必要に応じて外添処理を行う。この外添処理は、着色重合体粒子表面に添加剤(以下、外添剤ということがある。)を付着、埋設等することによって、粒子帯電特性、粒子の流動性などを調整することができる。
外添剤としては、シリカ粒子、酸化チタン粒子などの無機粒子;ポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、スチレン−メタクリレート共重合体粒子、コアがポリスチレンでシェルがポリメチルメタクリレートで構成されるまたはコアがポリメチルメタクリレートでシェルがポリスチレンで構成されるコアシェル粒子などの有機樹脂粒子が挙げられる。これらのうち、特に好ましくは疎水化処理されたシリカ粒子が挙げられる。また、疎水化シリカ粒子と有機樹脂粒子とを組み合わせて用いることによって、帯電特性が良好になるので好ましい。外添剤を前記着色重合体粒子に付着させるには、通常、外添剤と前記着色重合体粒子とをヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)などの混合器に仕込み、撹拌して行う。
【0030】
本発明の製法で得られるトナーは、その体積平均粒径が、通常、0.5〜20μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜8μmである。粒径が大きくなると解像度が低下傾向になる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
本実施例では、以下の方法で評価した。
(粒径及び粒径分布)
重合体粒子の体積平均粒径(dv)及び粒径分布(体積平均粒径/個数平均粒径)は、マルチサイザー(コールター社製、ベックマン・コールター)により測定した。マルチサイザーによる測定は、アパーチャー径=100μm、媒体=イソトンII、濃度=10%、測定粒子個数=100,000個の条件で行った。
(シェル厚み)
コア・シェル構造の重合トナーのシェルの厚みは、厚ければ、マルチサイザーや電子顕微鏡で測定が可能であるが、実施例及び比較例のように薄い場合には、以下の式を用いて算出する。
x=r(1+s/100ρ)1/3 −r (1)
ただし、
r:シェル用単量体の添加前のコア重合体粒子の平均粒径(マルチサイザーの体積粒径:μm)の半径
x:シェル厚み(μm)
s:シェル用単量体の添加部数(コア用単量体100部に対する部数)
ρ:シェル重合体の密度(g/cm3 );通常ρ=1.0として算定。
(球形度)
重合トナーの球形度は、粒子の絶対最大長を直径とした円の面積(Sc)を粒子の実質投影面積(Sr)で割った値(Sc/Sr)であり、重合トナーの反射型電子顕微鏡写真から100個の値を測定し、その平均値を算出した。
【0032】
(定着温度)
重合トナーの定着温度は、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印字速度=16枚/分)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行うことにより評価した。定着試験は、改造プリンターの定着ロールの温度を変化させて、それぞれの温度での現像剤の定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めることにより行った。定着率は、温度を変化させたとき、定着ロールの温度を安定化させるため5分間以上放置し、その後、改造プリンターで印刷した試験用紙における黒ベタ領域のテープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID前、テープ剥離後の画像濃度をID後とすると、定着率は、次式から算出することができる。
定着率(%)=(ID後/ID前)×100
ここで、テープ剥離操作とは、試験用紙の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。また、画像濃度は、マクベス社製反射式画像濃度測定機を用いて測定した。この定着試験において、定着率80%に該当する定着ロール温度を現像剤の定着温度(℃)とした。
【0033】
(保存性)
重合トナーの保存性の評価は、重合トナー試料を密閉した容器に入れて、密閉した後、55℃に温度を制御した恒温水槽の中に沈め、一定時間経過した後に取り出して、凝集したトナーの重量を測定することによって行った。容器から取り出した試料を42メッシュの篩いの上にできるだけ構造を破壊しないように注意して移し、粉体測定機(商品名:パウダーテスター、細川ミクロン社製)の振動の強度メモリを4.5に設定して、30秒間振動した後、篩い上に残ったトナーの重量を測定し、凝集したトナーの重量とした。この凝集したトナーの重量と試料の重量とからトナーの凝集率(重量%)を算出した。
【0034】
(印字耐久試験)
温度23℃、相対湿度50%の条件で、市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印字速度=16枚/分)を用いて、このプリンターの現像装置に評価する重合トナーを入れ、初期から連続印字を行い、反射濃度計(マクベス製)で印字濃度が1.3以上で、かつ、白色度計(日本電色製)で測定した非画像部の感光体上のカブリが15%以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べた。
カブリは、感光体上の非画像部に粘着テープ(住友スリーエム社製スコッチメンディングテープ810−3−18)を付着させて調べた。具体的には、印字前の感光体の非画像部に粘着テープを付着させてから剥し、これを白紙に貼り付けて、白色度Aを測定する。一方、印字後の感光体の非画像部に粘着テープを付着させてから剥し、これを白紙に貼り付けて、白色度Bを測定する。カブリは、次の式により算出することができる。なお、連続印字は、5%印字濃度で行い、印字濃度及びカブリは、500枚毎に調べた。
カブリ(%)=A−B
【0035】
(吸熱ピーク温度)
ASTM−D−3418−82に準拠して測定した。昇温速度10℃/分で昇温させてDSC曲線を測定し、そのピークトップを吸熱ピークとした。使用した示差走査熱量計は、セイコー電子工業社製「SSC5200」である。
(溶解量)
低軟化点物質のスチレンに対する溶解量は、25℃に保持したスチレン100g中に溶解する低軟化点物質の量(g/100gST)を測定した。
【0036】
(酸価)
JIS−K−1557−1970に準じて測定した。具体的には、試料約50gを300mlビーカーに正しく秤量し、これにアセトン(80v/v%)128mlを加え、溶解後、この溶液をPH計を用いて、0.1NのNaOH水溶液で電位差滴定を行った。得られた滴定曲線の変曲点を終点にする。酸価は、以下の式から求めた。
A=〔5.61×(B−C)×f〕/S
ここで、
A:酸価(mgKOH/g)
B:試料の滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
C:空試験の滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
f:0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液のファクター
S:試料の量(g)
【0037】
(含水率)
1gの重合トナー試料を0.1mgまで精秤した(w1)。105℃の乾燥機(各部位での温度誤差1℃以下)に試料を入れて1時間乾燥し、冷却後、再度精秤した(w2)。これらの測定値を用い、以下の式により含水率を算出した。
含水率(%)=[(w1−w2)/w1]×100
(乾燥時間)
乾燥開始から重合体粒子をサンプリングし、その都度、トナーの含水率を測定する。この含水率が0.3%以下になった時間を乾燥時間とした。
【0038】
(流動性)
目開きが各々150μm、75μm、及び45μmの3種の篩いをこの順に上から重ねて、一番上の篩い上に測定する重合トナー4gを精秤して載せる。次いで、この重ねた3種の篩いを粉体測定機(細川ミクロン社製、商品名「パウダーテスター」)を用いて、振動強度目盛り4の条件で15秒間振動した後、各篩い上に残った現像剤の重量を測定する。各測定値を以下の式▲1▼、▲2▼、及び▲3▼に入れて、a、b、及びcの値を求め、次に、これらの値を式▲4▼に入れて、流動性の値を算出する。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を求めた。
▲1▼a=〔(150μm篩に残った重合体重量(g) )/4g〕×100
▲2▼b=〔(75μm篩に残った重合体重量(g) )/4g〕×100×0.6
▲3▼c=〔(45μm篩に残った重合体重量(g) )/4g〕×100×0.2
▲4▼流動性(%)=100−(a+b+c)
【0039】
(残留単量体および揮発性化合物の量)
マス・スペクトロメーターJMS−DX303(HF)(日本電子製)を用いて、後記条件で測定した。
カラム:HP−5
カラム温度:50℃〜300℃(10℃/分で昇温)
インジェクション温度:280℃
試料の調整:20mlの密閉容器にトナー0.2グラムを入れ、150℃で10分間加熱して発生したガスを測定試料とする。
(臭気の評価)
前述の画質評価において、印字紙の出口付近の臭気を5人で官能検査した。5人が不快な臭気を感じない(○)、2人以下の人が不快な臭気を感じるを(△)、3人以上の人が不快な臭気を感じるを(×)と評価した。
【0040】
実施例1
スチレン80.5部とn−ブチルアクリレート19.5部からなるコア用重合性単量体(得られる共重合体の計算Tg=55℃)と、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名#25)7部、帯電制御剤(保土ケ谷化学社製、商品名スピロンブラックTRH)1部、ジビニルベンゼン0.3部、及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、AA6、Tg=94℃)0.3部を通常の攪拌装置で攪拌、混合した後、メディア型分散機により、均一分散した。ここに、低軟化点物質としてジペンタエリスリトールテトラミリステート〔吸熱ピーク温度=63℃、スチレンに対する溶解量20(g/100gST:25℃)、酸価1(mgKOH/g)以下〕15部を添加し、混合、溶解して、コア用重合性単量体混合物(混合液)を得た。
室温でイオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)5.8部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。生成した前記コロイドの粒径分布を粒径分布測定器(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)により測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.36μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.62μmであった。
【0041】
メチルメタクリレート(計算Tg=105℃)3部と水100部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。水分散液中のシェル用重合性単量体の液滴の粒径は、粒径分布測定器(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)により測定したで測定したところ、D90が1.6μmであった。
水酸化マグネシウムコロイド分散液に、コア用重合性単量体混合物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこに重合開始剤のt−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」)5部を添加し、エバラマイルダーを用いて15,000rpmの回転数で30分間高剪断攪拌して、分散液中で重合性単量体組成物の液滴を造粒した。
造粒した重合性単量体混合物の液滴分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、95℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ100%に達したときに、サンプリングし、コアとなる着色重合体粒子の体積平均粒径を測定した。この結果、着色重合体粒子の体積平均粒径は、6.4μmであった。次に、シェル用重合性単量体の水分散液及び水溶性開始剤〔和光純薬社製、商品名「VA−086」;2,2′アゾビス[2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド]〕0.3部を蒸留水65部に溶解し、それを反応器に投入した。3時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5の重合体粒子の水分散液を得た。シェル用重合性単量体の使用量とコア粒径から算定したシェル厚は0.03μmで、球形度(Sc/Sr)は1.1であり、DSC測定では、63℃付近に低軟化点物質の吸熱ピークが現れた。
【0042】
前記により得られたコア・シェル構造の重合体粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸により系のpHを4以下に調整して酸洗浄(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した。次いで、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化して、水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した。このようにして、湿潤状態の重合体粒子(ウエットケーキ)を得た。
ウェットケーキを105℃で、1 時間熱風乾燥機により乾燥させた後、含水率を測定したところ、38%であった。この含水率38%のウェットケーキ100部に対して、固体微粒子として疎水化シリカ(日本アエロジル社製、商品名「R972」;平均粒子径16nm)0.1部を添加した。次に、疎水化シリカを添加したウエットケーキを、図3に示す構造の真空乾燥装置に入れ、容器内の圧力3900Paの減圧下で撹拌翼を回転させ混合しながら乾燥を行った。
この真空乾燥装置の排気口にはバグフィルタが設けられている。このバグフィルタは図1に示す構造をなしており、着色重合体粒子を同伴した排気が下部から入り、円筒状のろ布(バグフィルタ)を通過して上部へ吐き出される構造になっている。バグフィルタの上流部と下流部との圧力差を圧力差計で測定し、その圧力差が1.5kPaを超えたときに、パルスジェット吹き出し口から窒素をバグフィルタ下流部に吹き込み、バグフィルタに堆積した粒子を払い落とすことができるようになっている。ろ布は図2に示すように、円筒状のろ布の端にパッキング材が取り付けられていて、このパッキング材にはシリコーンシール材が塗布されている。そしてこのパッキング材部分を、ゲージプレートと抑えプレートとで挟み、ボルトとナットで締め付け固定されている。
【0043】
バグフィルタの下流には、凝縮器が設けてあり、この凝縮器で揮発成分が液化され分離除去される。凝縮器の下流にはコンプレッサーが設けられており、このコンプレッサーの運転条件で乾燥機内圧力を調整する。バグフィルタにおける1時間の平均通気速度の最大値が11m/分になるように、ジャケット温度を調整した。着色重合体粒子自体の温度は、約30℃で、乾燥が完了する直前に約33℃に上昇した。乾燥の途中、何度か乾燥状態を確認するために、重合体粒子をサンプリングし、含水率を測定し、含水率が0.3%以下になったところで乾燥を停止した。
次に乾燥された重合体粒子を分級して、乾燥粒子を得た。乾燥粒子の流動性を測定したところ55%であった。
【0044】
乾燥されたコア・シェル構造の重合体粒子100部に、疎水化処理したコロイダルシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−200」;平均粒子径12nm)0.6部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合してトナーを調製した。前記で得られたトナーを用いて定着温度を測定したところ、130℃であった。また、このトナーの保存性は、4%と非常に良好であった。また、トナーの画像評価を行った結果、画像濃度が高く、カブリやムラの無い解像度の極めて良好な画像が得られた。カブリが15%以上になった耐久印字枚数は、23,000枚であった。また残留単量体の量は40ppmであり、重合開始剤の分解生成物であるt−ブチルアルコールは80ppm、1−ヘプテンは2ppm、臭気の評価は○であった。
以上の操作と同じ操作で、20回連続してトナーを製造した。この20回の製造における乾燥時間の平均値は11時間、平均収率は99%以上であった。
【0045】
実施例2
平均通気速度の最大値が24m/分となるように調整した以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。20回の製造における乾燥時間の平均値は7時間、平均収率は99%以上であった。
【0046】
比較例1
平均通気速度の最大値が32m/分となるように調整した以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。20回の製造における乾燥時間の平均値は16時間、平均収率は95%であった。20回の製造後、バグフィルタと凝縮器を開放したところ、トナーの漏れがあることを確認した。
比較例2
円筒状のろ布の端のパッキング材をはずし、そのろ布の端を、ゲージプレートと抑えプレートとで挟み、ボルトとナットで締め付け固定したバグフィルタに変更し、平均通気速度の最大値が2m/分となるように調整した以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。20回の製造における乾燥時間の平均値は24時間、平均収率は92%であった。20回の製造後、バグフィルタと凝縮器を開放したところ、トナーの漏れがあることを確認した。特にろ布の固定部分での漏れが顕著であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の製法によれば、着色重合体粒子を短時間で高収率で乾燥できる。また、この方法で得られたトナーは、その残留単量体が非常に少なくなるので環境安全性が高い。さらに、熱凝集などを引き起こさずに乾燥できるので、画像特性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バグフィルタの一例を示す図。
【図2】 ろ布取り付け部の拡大図。
【図3】 本発明の製法に用いる真空乾燥機の一例を示す図。
【符号の説明】
2:ろ布
3:圧力差計
4:パルスジェット吹き出し口
12:パッキング材
22:スクリュー翼
23:凝縮器
24:バグフィルタ
Claims (4)
- バグフィルタが締め付け手段及び目張り手段によって排気口に固定されている真空乾燥機を用いて、バグフィルタにおける1時間の平均通気速度の最大値が1〜30m/分となる条件で、含水率が10〜60%の湿潤状態にある着色重合体粒子に、着色重合体粒子よりも小さい粒径の微粒子を添加し、混合しながら着色重合体粒子を真空乾燥することを含むトナーの製造方法。
- 着色重合体粒子自体の温度が50℃以下になるようにする請求項1記載のトナーの製造方法。
- 着色重合体粒子よりも小さい粒径の微粒子は、湿潤状態にある着色重合体粒子100重量部 ( 固形分基準 ) に対して0.01〜1重量部の割合で添加されることを含む請求項1記載のトナーの製造方法。
- バグフィルタの上流部と下流部との圧力差が1.5kPaを超えた場合に不活性ガスをバグフィルタの下流部に吹き込むことを含む請求項1記載のトナーの製造方法。
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