JP4205417B2 - スクリュードライバ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,請求項1の前段に記載した形式のスクリュードライバ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スクリューをワークに締着するために用いられるスクリュードライバ装置においては,駆動モータと被動スピンドルとの間の動力伝達経路中にトルククラッチが配置されている。トルククラッチにより伝達可能なトルク値は,機械的な調整機構により調整可能とされている。上述の構成を有するスクリュードライバ装置は,例えば,ドイツ国登録実用新案第29918610号明細書(特許文献1)に記載されている。このスクリュードライバ装置の調整機構は,トルククラッチと協働する少なくとも1個の弾性素子と,弾性素子と協働するよう被動スピンドルの長手方向軸線に対して平行に変位可能に配置された押圧スリーブと,押圧スリーブと協働するよう押圧スリーブに対して同軸的に配置された制御スリーブと,回動可能な調整スリーブと,調整スリーブの内歯と噛み合う複数の遊星歯車とを有する。これらの遊星歯車は歯型を有すると共に,作業方向で制御スリーブから突出する軸受ピン上に回動可能に担持されるものである。
【0003】
前掲の特許文献1に開示されたスクリュードライバ装置の調整機構における押圧スリーブと,遊星歯車のための軸受ピンを具える制御スリーブとは,いずれも経済的に製造可能ではない。更に,この既知のスクリュードライバ装置は,延長ロッド,スクリューフィーダ等を形状結合等により固定するための保持領域を具えない。
【0004】
【特許文献1】
ドイツ国実用新案第29918610号明細書
【0005】
【発明の課題】
本発明の課題は,延長ロッド,スクリューフィーダ等の補助器具を形状結合等により固定するための保持領域を具え,しかも経済的に製造可能なスクリュードライバ装置を提案することにある。
【0006】
【課題の解決方法】
この課題を解決するため,本発明によるスクリュードライバ装置は,ハウジングを,制御スリーブ及び調整スリーブの間を通して延在させ,制御スリーブ及びハウジングをネジ結合により互いに形状結合させると共に,遊星歯車をハウジングの側方貫通孔内に回動可能に担持したことを特徴とするものである。
【0007】
本発明によるスクリュードライバ装置において,ハウジング及び制御スリーブは,ほぼスリーブ形状であるために経済的に製造可能である。制御スリーブは,ハウジングの内面形状の一部分に適合させた外面形状と,ハウジングの内ネジに適合させた雄ネジとを具える。貫通孔内に回動可能として担持された遊星歯車は,ハウジング内壁から両側で突出すると共に,一方ではハウジングの外側に配置した調整スリーブと,他方では制御スリーブと協働する。
【0008】
スクリュードライバ装置のハウジングに補助器具を固定可能とするために,ハウジングは調整スリーブの打ち込み方向側担部から打ち込み方向に突出した保持領域を有する構成とするのが有利である。補助器具としては,延長ロッド,スクリューフィーダ等が考えられる。
【0009】
保持領域の外面等に少なくとも1個の係止部を配置して,補助器具をハウジングに対して軸線方向に固定し及び/又は回動を防止するのが好適である。
【0010】
係止部は,保持領域を部分的又は全体的に包囲する外周溝として形成するのが好適である。
【0011】
調整スリーブ及び制御スリーブの間に配置した遊星歯車は,制御スリーブの外歯及び調整スリーブの内歯と噛み合う歯型を有する構成とするのが好適である。この場合,調整スリーブが回動すると,制御スリーブは調整スリーブと逆向きに回動する。
【0012】
ハウジングと制御スリーブとのネジ結合により,制御スリーブは,調整スリーブの回動に際して軸線方向に調整可能である。制御スリーブに形成した外歯は,ハウジングに回動可能として配置した遊星歯車に向けて変位する。制御スリーブが最大量だけ変位しても,遊星歯車が制御スリーブの外歯と完全に噛み合いを維持するため,被動スピンドルの長手方向軸線に対して平行に測った制御スリーブの外歯の長さを,同一方向で測った遊星歯車の長手方向寸法以上とするのが好適である。
【0013】
【実施の形態】
以下,本発明を図示の好適な実施形態について更に具体的に説明する。
【0014】
図1〜図3に要部を示すスクリュードライバ装置は,ハウジング1と,駆動部2と,被動スピンドル3と,駆動部2から被動スピンドル3までの動力伝達経路中に介挿された機械的なトルククラッチ4と,被動スピンドル3及びトルククラッチ4の間に配置した調整機構とを具える。この調整機構は,トルククラッチ4で伝達可能とするトルク値を調整可能とするものである。被動スピンドル3は,2個のスピンドル半部から構成される。これらのスピンドル半部は,スクリュードライバ装置をワーク(図示せず)に押圧する際にドッグクラッチ15により互いに結合される。駆動部2は,駆動モータ(図示せず)と結合する。トルククラッチ4は,互いに同軸的に配置されて逆向きに回動可能として2個のクラッチ半部と,クラッチ半部の間に配置した複数の伝達ボールとから構成される。両クラッチ半部は,互いに対向する端面に,伝達ボールを係合させるための凹部を有する。
【0015】
作業方向とは反対側に位置する第1クラッチ半部は,軸線方向に固定されており,ハウジング1内に回動可能に配置される。限界トルク値を超える前に,両クラッチ半部は互いに逆向きに回動する。その際,伝達ボールは凹部から離脱しようとして,第2クラッチ半部を弾性素子5の力に抗して作業方向に押圧する。この押圧動作は,弾性素子5が凹部内に更に突入することが不可能となり,第1クラッチ半部が第2クラッチ半部に対して回動できなくなるまで継続する。
【0016】
弾性素子5は,トルククラッチ4で伝達可能なトルク値を調整するための調整機構の一部を構成する。調整機構は,弾性素子5の他に,押圧スリーブ6と,制御スリーブ7と,調整スリーブ8と,複数の遊星歯車10とから構成される。押圧スリーブ6は,被動スピンドル3の長手方向軸線に対して平行に変位可能であり,弾性素子5と直接協働する。制御スリーブ7は押圧スリーブ6と同軸的に配置され,雄ネジ14を介してハウジング1の内ネジ13と形状結合しつつ協働する。制御スリーブ7の作業側端部領域は,制御スリーブ7の全周に亙って延在する外歯12を外面に有する。ハウジング1の作業方向側部分は,ハウジング1に対して回動可能な調整スリーブ8により包囲される。調整スリーブ8の内壁は少なくとも部分的に内歯9を具える。調整スリーブ8は,解除可能なスナップ結合手段等によりハウジングに対して軸線方向で固定する。調整スリーブ8とハウジング1との間などに配置した係止手段(図示せず)により,ハウジング1に対して調整スリーブ8が自力で回動するのを阻止する。
【0017】
ハウジング1は,内歯9の領域に複数の貫通孔を有し,これらの貫通孔内にそれぞれ歯型11を有する遊星歯車10を回動可能に担持する。本発明によるスクリュードライバ装置は,例えば,ハウジング1の円周方向に等角度間隔(=120°)で配置した3個の遊星歯車10を具える。これらの遊星歯車10は,調整スリーブ8の内歯9及び制御スリーブ7の外歯12と噛み合う。これらの遊星歯車中,図1及び図3には1個の遊星歯車のみを示す。
【0018】
トルククラッチ4により伝達される所望のトルク値は,調整スリーブ8をハウジング1に対して回動させて調整可能とする。調整スリーブ8の回動が遊星歯車10を介して制御スリーブ7に伝達されると,制御スリーブ7は調整スリーブ8に対して逆向きに回動する。ネジ結合によってハウジング1と結合する制御スリーブ7は,ハウジング1に対する回動によって軸線方向に変位する。制御スリーブ7の占める位置に係わらず,遊星歯車10が常に制御スリーブ7の外歯12と完全に噛み合うため,被動スピンドル3の長手方向軸線に対して平行に測った制御スリーブ7の外歯12の長さLは,同一方向で測った遊星歯車10の長手方向寸法以上とする。
【0019】
回転方向に応じて,制御スリーブ7はトルククラッチ4に接近し,又はトルククラッチ4から離間する方向に変位する。制御スリーブ7が軸線方向に変位すると,弾性素子5と協働する押圧スリーブ6も同様に軸線方向に変位する。例えば,制御スリーブ7及び押圧スリーブ6がトルククラッチ4に接近し,弾性素子5を更に圧縮すると,トルククラッチ4で伝達可能なトルク値を高めることができる。
【0020】
図1に示すように,調整スリーブ8から作業方向に突出するハウジング1の部分は,補助器具(図示せず)を保持及び案内するのに有用な保持領域16を具える。補助器具としては,延長ロッド,スクリューフィーダ等が考えられる。保持領域16は,溝として形成され,保持領域16を包囲する係止部17を具える。
【0021】
調整スリーブ8のみならず,制御スリーブ7と遊星歯車10も,伝達すべき力について要求度が低いため,低コストのプラスチック射出成形によって成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好適な実施形態によるスクリュードライバ装置の要部を示す縦断面図である。
【図2】 図1のII−II線に沿う横断面図である。
【図3】 図1のスクリュードライバ装置を一部破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 駆動部
3 被動スピンドル
4 トルククラッチ
5 弾性素子
6 押圧スリーブ
7 制御スリーブ
8 調整スリーブ
9 内歯歯車
10 遊星歯車
11 プロファイル
12 外歯
13 内ネジ
14 雄ネジ
15 ドッグクラッチ
16 保持領域
17 係止部

Claims (7)

  1. ハウジング(1)と,駆動部(2)と,被動スピンドル(3)と,駆動部(2)及び被動スピンドル(3)の間の動力伝達経路に介挿されたトルククラッチ(4)と,トルククラッチ(4)により伝達可能なトルク値を調整するために,被動スピンドル(3)とトルククラッチ(4)との間に配置した調整機構とを具え,
    該調整機構が,トルククラッチと協働する少なくとも1個の弾性素子(5)と,弾性素子(5)と協働するよう被動スピンドル(3)の長手方向軸線に対して平行に変位可能に配置された押圧スリーブ(6)と,押圧スリーブ(6)と協働するよう押圧スリーブ(6)に対して同軸的に配置された制御スリーブ(7)と,回動可能な調整スリーブ(8)と,制御スリーブ(7)及び調整スリーブ(8)の内歯(9)と噛み合う歯型(11)が設けられた複数の遊星歯車(10)とを有するスクリュードライバ装置において,
    ハウジング(1)を,制御スリーブ(7)及び調整スリーブ(8)の間を通して延在させ,制御スリーブ(7)及びハウジング(1)をネジ結合により互いに形状結合させると共に,遊星歯車(10)をハウジング(1)の側方貫通孔内に回動可能に担持したことを特徴とするスクリュードライバ装置。
  2. 請求項1記載の装置において,ハウジング(1)が,調整スリーブ(8)から打ち込み方向に突出する保持領域(16)を有することを特徴とするスクリュードライバ装置。
  3. 請求項2記載の装置において,保持領域(16)が,少なくとも1個の係止部(17)を有することを特徴とするスクリュードライバ装置。
  4. 請求項3記載の装置において,係止部(17)は保持領域(16)を少なくとも部分的に包囲することを特徴とするスクリュードライバ装置。
  5. 請求項3又は4に記載の装置において,係止部(17)を外周溝として形成したことを特徴とするスクリュードライバ装置。
  6. 請求項1記載の装置において,遊星歯車(10)は制御スリーブ(7)の外歯(12)と形状結合しつつ協働することを特徴とするスクリュードライバ装置。
  7. 請求項2記載の装置において,被動スピンドル(3)の長手方向軸線に対して平行に測った制御スリーブ(7)の外歯(12)の長さ(L)を,同一方向で測った遊星歯車(10)の長手方向寸法以上としたことを特徴とするスクリュードライバ装置。
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