JP4200604B2 - スラストニードル軸受用保持器の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばカーエアコンやマグネットクラッチなどの自動車部品に使用されるスラストニードル軸受用保持器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スラストニードル軸受は、針状ころと、この針状ころを組み込む保持器とから構成されている。この保持器は、一般に低炭素鋼板をプレス成形によって成形した一対の環状鋼板からなり、この環状鋼板の内外周部には円筒部が設けられ、一方の環状鋼板の円筒部を他方の環状鋼板の円筒部に嵌合させて一体化される。また、針状ころは、環状鋼板の周方向に一定間隔に設けられたポケットに組み込まれる。このため、プレス成形後の環状鋼板には、浸炭焼き入れ処理が施され、表面を硬化させることにより摩耗を防止することが行われている。
上記浸炭焼き入れ処理は、800℃程度で行われるので、熱応力によって反りを発生させる。このため、反りを矯正する手段が採用されているが、コストがかかるために、反りの発生を低減することが行われている。
例えば特願平10−267962公報のスラスト針状ころ軸受用保持器では、波形を環状鋼板に形成したり、実公平6−48183公報のスラスト針状ころ軸受用保持器では環状鋼板に穴部を設けたりして、反りが発生しにくい形状が採用されている。ところが、上記環状鋼板に波形や穴部を加工する方法は、コスト低減効果が小さい。そこで、反りの原因となる熱応力や変態応力を低減すべく、浸炭焼き入れ温度を低めに設定したり、軟窒化処理を施したりすることが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、浸炭焼き入れ温度を低く設定した低温焼き入れでは、浸炭量が不足するケースがあって確実に所要の硬化層深さが得られず、軟窒化処理の場合では、表面に十分な厚さの化合物層が得られない。このため、いずれの方法も、カーエアコンやマグネットクラッチなど比較的過酷な条件で用いる用途には耐摩耗性および耐久性の面から適用できないという問題がある。
【0004】
上記のような従来の問題点に鑑み、この発明は、所要の耐摩耗性と耐久性を付与し、かつ、熱処理歪を低減できるスラストニードル軸受用保持器の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明のスラストニードル軸受用保持器の製造方法は、低炭素鋼からなる保持器の素材を、プレス成形した後、690℃〜760℃にて浸炭窒化焼き入れを行って、表面炭素濃度が0.3〜3.0%、表面窒素濃度が0.1〜1.0%、硬さがHv≧600の保持器を得ることを特徴とするものである。
【0006】
上記構成のスラストニードル軸受用保持器の製造方法では、通常の浸炭焼き入れ温度より低い温度で焼き入れしているにもかかわらず、十分な硬化層深さが得られ、耐久性を低下させることなく熱処理歪を低減することができる
すなわち、この発明は、浸炭と同時に窒素を表面に浸透させる浸炭窒化処理を低炭素鋼に施すと、窒素の侵入拡散に伴って低炭素鋼の変態点が低下することにより焼き入れ加熱温度域のオーステナイトの組成範囲が拡大して、浸炭が促進されるとの知見を得、かかる知見に基づいて完成させるに至ったものである。
なお、浸炭窒化温度を690℃〜760℃としたのは、760℃を超えると熱処理歪が大きくなり、690℃未満では、所要の硬化層深さが得られないためである。
硬さをHv≧600としたのは、600未満では摩耗量が増大するためである。
表面炭素濃度を0.3〜3.0%としたのは、0.3%未満では所要の浸炭硬化量が得られず、3.0%を超えると硬化の増加量が小さくなるためである。
表面窒素濃度を0.1〜1.0%としたのは、0.1%未満では浸炭促進効果が不十分であり、1.0%を超えると硬化層深さの増加量が小さくなるためである。
【0007】
【実施例】
以下この発明の実施例について詳述する。ただし、この発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、低炭素鋼板(SPCD、厚さ0.4mm)をプレス成形して、内径42mm、外径58mmの環状鋼板を製作し、この環状鋼板に浸炭窒化処理を施した。
浸炭窒化処理は、変成ガスが97%、C4H10が0.3%、NH3が2.7%の雰囲気下で、図1に示すように、720℃に加熱し35分間保持した後に、油冷し、その後240℃で90分間焼戻しを行い、空冷した。
[実施例2]
実施例2として、実施例1と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、実施例1と同一形状の環状鋼板を製作した。
浸炭窒化処理は、720℃での保持時間を15分とした以外は、実施例1と同じ条件で処理した。
[実施例3]
実施例3として、実施例1と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、実施例1と同一形状の環状鋼板を製作した。
浸炭窒化処理は、油冷後の加熱温度を300℃とした以外は、実施例1と同じ条件で処理した。
[比較例1]
比較例1として、実施例1と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、実施例1と同一形状の環状鋼板を製作し、表面硬化処理として、800℃に加熱する通常の浸炭処理を施した。
【0008】
【表1】
【0009】
表1は、上記実施例1〜3と比較例1との熱処理品質の調査結果である。表1から明らかなように、実施例1〜3の表面炭素濃度は0.71〜0.92%、表面窒素濃度は0.18〜0.42%、硬さはHv=628〜746の範囲に調整できることが分かる。さらに、実施例1では、処理温度が、比較例の800℃に比べ、720℃と低いにもかかわらず、表面硬さを増加させることができることが分かる。
また、実施例3の表面硬さは、油冷後の加熱温度が、実施例1,2の240℃に比べ300℃と高いにもかかわらず、表面硬さの低下が小さい。この結果から、この発明が、焼戻し軟化抵抗を増大させることが分かる。このため、この発明では、Hv≧600を確保できる焼戻し温度の選択の幅が広い。
次に、表2は、上記実施例1〜3について、耐久試験を行った結果を示している。試験条件は、表3に示しているように、ミスアライメントを10′、偏芯量0.27mm、油温100℃、回転数1200rpmで荷重を1.05kNまで変化させた。表2から明らかなように、実施例はいずれも比較例とほぼ同等の耐摩耗特性と、耐疲労特性を有していることが分かる。
【0010】
【表2】
【0011】
【表3】
【0012】
[実施例4]
実施例4として、低炭素鋼板(SPCD、厚さ0.4mm)をプレス成形して、内径45mm、外径62mmの外保持器(部品1)を製作し、この部品1に浸炭窒化処理を施した。
浸炭窒化処理は、変成ガスが97%、C4H10が0.3%、NH3が2.7%の雰囲気下で、図1に示すように、720℃に加熱し35分間保持した後に、油冷し、その後240℃で90分間焼戻しを行い、空冷した。
[実施例5]
実施例5として、実施例4と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、内径49mm、外径69mmの内保持器(部品2)を製作し、実施例1と同じ条件で浸炭窒化処理を行った。
[実施例6]
実施例6として、実施例4と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、部品2を製作し、保持温度を740℃とした以外は実施例4と同じ条件で浸炭窒化処理を行った。
[実施例7]
実施例7として、実施例4と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、内径50mm、外径69mmの外保持器(部品3)を製作し、実施例1と同じ条件で浸炭窒化処理を行った。
[実施例8]
実施例8として、実施例4と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、部品3を製作し、実施例6と同じ条件で浸炭窒化処理を行った。
[比較例2]
比較例2として、実施例4と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、実施例4と同一形状の部品1を製作し、表面硬化処理として、800℃に加熱する通常の浸炭処理を施した。
[比較例3]
比較例3として、実施例4と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、実施例5と同一形状の部品2を製作し、比較例2と同じ浸炭処理を施した。
[比較例4]
比較例4として、実施例4と同一の低炭素鋼板をプレス成形して、実施例7と同一形状の部品3を製作し、比較例2と同じ浸炭処理を施した。
実施例4〜8、比較例2〜4について、熱処理歪(反り量)を測定した結果を表4に示す。
【0013】
【表4】
【0014】
表4より明らかなように、同一形状の部品どうしを比較すると、何れの部品についても、比較例に比べ実施例の方が反り量が少ないことが分かる。
【0015】
【発明の効果】
以上のように、この発明のスラストニードル軸受用保持器の製造方法によれば、環状鋼板の表面に炭素と同時に窒素を浸透させる浸炭窒化によって、十分な硬化層深さと耐久性が確保でき、かつ、熱処理歪を低減することができる。このため、歪矯正のコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)はこの発明の浸炭窒化処理を説明する実施例1,4,5及び7のヒートパターンを示す図であり、(b)は同じく実施例2のヒートパターンを示す図であり、(c)は同じく実施例3のヒートパターンを示す図であり、(d)は同じく実施例6及び8のヒートパターンを示す図である。
Claims (1)
- 低炭素鋼からなる保持器の素材を、プレス成形した後、690℃〜760℃にて浸炭窒化焼き入れを行って、表面炭素濃度が0.3〜3.0%、表面窒素濃度が0.1〜1.0%、硬さがHv≧600の保持器を得ることを特徴とするスラストニードル軸受用保持器の製造方法。
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