JP4200397B2 - 熱可塑性ポリエステルエラストマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性ポリエステルエラストマーに関し、詳しくは耐水性、耐候性、耐熱性に優れた高融点の熱可塑性ポリエステルエラストマー、特に繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料に用いることの出来る熱可塑性ポリエステルエラストマー、さらに詳しくは、ブーツ、ギア、チューブなどの成形材料に適し、自動車、家電部品等の耐熱性が要求される用途、例えばジョイントブーツや、電線被覆材などに有用な熱可塑性ポリエステルエラストマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、従来よりポリブチレンテレフタレート(PBT)単位をハードセグメント、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)をソフトセグメントとするポリエーテルエステルエラストマー(特公昭49-48195,49-31558 号公報)、PBT単位をハードセグメント、ポリカプロラクトン(PCL)単位をソフトセグメントとするポリエステルエステルエラストマー(特公昭48-4116号、特開昭59-12926号、特開昭59-15117号公報)、及びPBT単位をハードセグメント、二量体脂肪酸をソフトセグメントとするポリエステルエラストマー(特開昭54-127955 号公報)等が知られ、実用化されている。しかしながら、ハードセグメントにPBTを用いる場合、PBTの融点が230℃以下なのでエラストマーとしての融点は230℃以上になることはない。これらを改善するため、高融点のポリエチレンナフタレートやポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートをハードセグメントに用いるエラストマーが提案されている(特開平05-202176 号公報)が、ソフトセグメントとして主にポリテトラメチレングリコールを使用しているため、弾性性能の問題からハードセグメントの割合が60重量%以下に限定され、230℃以上の高融点を有するエラストマーは得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を解消し、耐水性、耐候性、耐熱性、耐熱老化性、滞留安定性に優れた高融点の熱可塑性ポリエステルエラストマーを提供することを課題とするものである。なお前記融点について説明する。一般にエラストマーの融点や軟化点はハードセグメントの含量が増えて、弾性率が高くなると向上する。従って、弾性率の高いエラストマーの高融点化は可能である。しかし弾性率の高いエラストマーは、ハードセグメントの含量が増加するため、当然ガラス転移温度が高くなり、優れた弾性性能を発現することはできない。本発明では、エラストマーを高融点化しつつも、弾性率やガラス転移温度は必要以上に高くならないようにすることをポイントと捉え、すなわち同程度の弾性率を有していても、融点が充分に高くなるものを高融点エラストマーと定義し、本発明はこの高融点エラストマーの耐熱老化性及び滞留安定性を著しく改良することが課題の一つとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは特定のハードセグメント及び複数の特定のソフトセグメントからなる熱可塑性ポリエステルエラストマーと少なくとも一種類以上の酸化防止剤を含有する組成物を用いることで、上記課題が解決することを見いだし、本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、下記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位から構成され、還元粘度が0.5〜4.0である熱可塑性ポリエステルエラストマーに少なくとも一種類以上の光安定剤が含有されていることを特徴とする組成物である。
【0005】
【化5】
【0006】
【化6】
【0007】
【化7】
【0008】
【化8】
(式中Rは炭素数6〜18の芳香族、Gは分子量400〜6000のポリオキシアルキレン基、Dは水添ダイマージオール及びまたはその誘導体残基、R‘は炭素数1〜25のアルキレン基を示す。またa,b,cはそれぞれ全ポリマー中の各繰り返し単位が占める重量%を、dは全ポリマー中のモル%を示し、aは50〜75重量%、bとcとの和に対するbの割合は0.01〜0.99、dは0〜20モル%である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下の本発明について詳細に説明する。本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、前記一般式 (1)〜(4) で示される繰り返し単位を構成する酸成分は、芳香族ジカルボン酸を主体とし、具体的にはテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸より選ばれる一種もしくは二種以上の組み合わせを用いることが好ましく、芳香族ジカルボン酸は全酸成分の70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。その他の酸成分としては、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が用いられ、脂環族ジカルボン酸としてはシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などが挙げられる。これらは樹脂の融点を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の30モル%未満、好ましくは20モル%未満である。
【0010】
前記一般式(1)で示される繰り返し単位(以下エステル単位(1)という)を構成するグリコール成分は、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。1,4−シクロヘキサンジメタノールにはシス体及びトランス体の2種類の異性体が存在するが、トランス体の割合が多い方が好ましい。
エステル単位(1)は全ポリマー中、30〜95重量%、好ましくは40〜80重量%、特に50〜75重量%が望ましい。95重量%を超えると柔軟性に劣り、弾性性能を有するエラストマーが得られ難く、また30重量%未満では融点が低下し、耐熱性に劣るようになるので好ましくない。
【0011】
前記一般式(2)で示される繰り返し単位(以下エステル単位(2)という)を構成するグリコール成分は、特に限定しないが、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、またはそれらの誘導体である両末端エチレンオキシサイド付加物が望ましい。ポリアルキレングリコールの分子量としては400〜6000好ましくは800〜3000、特に1000〜2000が望ましい。分子量が400未満では弾性性能が不充分であり、また得られるエラストマーのブロック性が低下するため、ポリマーの融点や軟化温度が低下する。また分子量が6000を超えると相分離しやすくなり、これも弾性性能が不充分となる原因ともなるので好ましくはない。
【0012】
前記一般式(3)で示される繰り返し単位(以下エステル単位(3)という)を構成するグリコール成分である水添ダイマージオールとは、もちろんその製法はこれに限定はしないが、例えば不飽和脂肪酸(炭素数15〜21)の二量体であるダイマー酸を水素化して得られる下記一般式(5)で示される化合物を主成分(50重量%以上)とする化合物、あるいは下記一般式(5)で示される化合物と下記一般式(6)で示される化合物との混合物のことである。
【0013】
【化9】
(前記式中R1 、R2 、R3 、R4 は実質的に不飽和基を含まず、また実質的に直鎖状であり、そのうちR1 、R2 はアルキル基、R3 、R4 はアルキレン基であり、R1 〜R4 の炭素数の総和は22〜34である。)
【0014】
【化10】
(前記式中R5 、R6 、R7 、R8 は実質的に不飽和基を含まず、また実質的に直鎖状であり、そのうちR5 、R6 はアルキル基、R7 、R8 はアルキレン基であり、R5 〜R8 の炭素数の総和は25〜37である。)
【0015】
なお水添ダイマージオール誘導体とは、実質的に水添ダイマージオールから誘導されるジオール化合物であり、具体的には水添ダイマージオールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。オキサイド化合物の付加は、水添ダイマージオールの両末端でも片末端のみでもよい。また付加するオキサイド化合物のモル数は、水添ダイマージオールと等モルないし20倍のモル数が好ましい。
【0016】
前記一般式(4)で示される繰り返し単位(以下エステル単位(4)という)を構成するグリコール成分としては、炭素数が1〜25のアルキレングリコールを用いることができる。例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールペンタン、トリシクロデカンジメタノール、メチルペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールXのエチレンオキサイド誘導体(XはA,S,F)などである。これらのグリコールは各種特性のバランスにより適切な組み合わせで用いられるが、シクロヘキサンジメタノールと芳香族ジカルボン酸からなるエステル単位(1)の結晶性を妨げないことが前提であるため、これらのグリコールの共重合量は全グリコールに対して、20モル%以下であることが望ましい。
【0017】
前記エステル単位(2)とエステル単位(3)の割合は、各種特性のバランスにより適切な組み合わせで用いられるため特に限定はしないが、エステル単位(2)とエステル単位(3)との重量和に対するエステル単位(2)の割合は0.01〜0.99、好ましくは0.05〜0.95、特に0.1〜0.9が望ましい。0.01よりも少ないとエラストマーとしての弾性性能に欠け、0.99よりも多いとハードセグメントとの相溶性に欠けこれもエラストマーとしての弾性性能に欠けるようになるので好ましくはない。
【0018】
本発明熱可塑性ポリエステルエラストマーにおいて、少量に限って三官能以上のポリカルボン酸やポリオール成分を含むこともできる。例えば無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチルプロパン、グリセリン、無水ピロメリット酸などを3モル%以下使用できる。
【0019】
次に本発明熱可塑性ポリエステルエラストマーを得る方法としては、公知の任意の方法を採用することができる。例えば、溶融重合法、溶液重合法、固相重合法などいずれも適宜用いられる。溶融重合法の場合、エステル交換法でも直接重合法であってもよい。樹脂の粘度を向上させるため、溶融重合後に固相重合を行うことはもちろん望ましいことである。
反応に用いる触媒としては、アンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタン触媒が良好である。特にチタン触媒は、詳しくはテトラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリなどのシュウ酸金属塩などが好ましい。またその他の触媒としては公知の触媒であれば特に限定はしないが、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウリレートなどのスズ化合物、酢酸鉛などの鉛化合物が挙げられる。
【0020】
また本発明で用いる光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアゾール系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、琥珀酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミル〕〕、2−n−ブチルマロン酸のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステル、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N‘−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、ポリ〔(N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン)−(4−モノホリノ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラミチルピペラジノン)〕、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ドデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ドデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,6,11−トリス〔{4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ}ウンデカン、1−〔2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトロメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N‘−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などを挙げることができる。
【0021】
本発明に配合することのできるベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアゾール系、ニッケル系、サリチル系光安定剤としては、2,2‘−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2’−ヒドロキシ−5‘−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3‘,5’−ジ−t−アミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2‘−ヒドロキシ−3’、5‘−ビス(α,α−ジメチルベンジルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2‘−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5‘−メチルフェニル)−5−クロロベンアゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3‘,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾチリアゾール、2,5−ビス−〔5‘−t−ブチルベンゾキサゾリル−(2)〕−チオフェン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル燐酸モノエチルエステル)ニッケル塩、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサリックアシッド−ビス−アニリド85〜90%と2−エトキシ−5−t−ブチル−2‘−エチル−4’−t−ブチルオキサリックアシッド−ビス−アニリド10〜15%の混合物、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−エトキシ−2‘−エチルオキサザリックアシッドビスアニリド、2−〔2’−ヒドロオキシ−5‘−メチル−3’−(3‘’,4‘’,5‘’,6‘’−テトラヒドロフタルイミド−メチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−(2‘−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−i−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、サリチル酸フェニル等の光安定剤を挙げることができる。
【0022】
特に好ましい光安定剤としては、300℃ 熱天秤を用いて10℃/分で加熱した条件下で、10%重量減少した温度が250℃以上であることが好ましい。10%加熱減量した温度が、250℃未満の場合では、光安定剤が昇華し外観を著しく劣ることになり好ましくない。
上記記載の光安定剤を樹脂組成物に配合するには、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、光安定剤0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部、特に0.1〜5重量部の範囲が好ましい。光安定剤が20重量部を越えると、ブリードによる外観不良が発生し、好ましくない。また、光安定剤が0.01未満であると、耐光性が劣り好ましくない。これらの光安定剤は一種類のみで用いても、二種類以上の光安定剤を組み合わせても良く、特にヒンダードアミン系光安定剤とベンゾフェノン系光安定剤及び/又はベンゾトリアゾール系光安定剤の組み合わせが耐光性を著しく改良することから好ましい。これら組み合わせの光安定剤の合計添加量としては、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部である。光安定剤の合計添加量が20重量部を越えると、ブリードによる外観不良が発生し、好ましくない。また、光安定剤が0.1未満であると、著しい耐光性の改良効果は認められない。
【0023】
次に、本発明の樹脂組成物中に配合できるヒンダートフェノール系酸化防止剤としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−トルエン、n−オクタデシル−β−(4‘−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5‘−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6‘−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−モノエチル−フォスフェート)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンテリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ビス〔3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3‘−t−ブチルフェニル)酪酸〕グリコールエステル、トリフェロール、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、N,N‘−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、2,2’−オキサミドビス〔エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,1,3−トリス(3‘,5’−ジ−t−ブチル−4‘−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミックアヒドトリエステルウイズ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナアミド)などを挙げることができる。
【0024】
本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物に含有されるヒンダードフェノール系酸化防止剤としては 0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤が5重量部を越える場合では、酸化防止剤がブリードすることから製品外観を損なうため好ましくない。また、酸化防止剤が0.05重量部未満では、押出し時や成形時に発泡などの熱劣化や耐熱老化性が非常に劣り好ましくない。本発明では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は一種類だけではなく、2種類以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤の組み合わせでも特に限定しない。
さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と公知のヒンダードフェノール系以外の酸化防止剤を組み合わせることで、耐熱老化性と滞留安定性と製品外観を著しく向上することができる。他の酸化防止剤としては、硫黄系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などを挙げることができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物の配合方法としては、加熱ロール、押出機、バンバリミキサー等の混練機を用いて配合することができる。また、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を製造する際のエステル交換反応の前又は重縮合反応前のオリゴマー中に、添加及び混合することができる。
【0026】
さらに本発明の組成物は、添加剤として公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物等の分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物等の反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。
これらの添加物の配合方法としては、加熱ロール、押出機、バンバリミキサー等の混練機を用いて配合することができる。また、熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物を製造する際のエステル交換反応の前又は重縮合反応前のオリゴマー中に、添加及び混合することができる。
【0027】
得られた本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマーの還元粘度は0.5〜4.0、好ましくは0.5〜3.0であることが好ましい。還元粘度が0.5未満だと機械特性に劣り、4.0を越えると成形性に劣るので好ましくない。
なお、本発明熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点の下限は特に限定ないが、一般的には150℃以上が好ましい。耐熱性を必要とする用途には、200℃以上が好ましいが、特に耐熱性を必要とする用途には、230℃以上が好ましい。ところで、Adv.Chem..Ser.,176,129(1979).によると、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールのみからなるポリエステルエラストマーでは、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートを50重量%以上含有すると相分離し、エラストマーとしての弾性性能は発現しないと記載されている。しかしながら、驚くべきことに、本発明では、ソフトセグメントをポリアルキレングリコールのみから、ポリアルキレングリコール及び水添ダイマージオール及び/又はその誘導体の併用系に変えることで、50重量%以上のハードセグメント量においても、充分な弾性性能を発現することが本発明者などにより見いだされた。この理由は定かでないが、シクロヘキサン骨格を有する水添ダイマージオール及び/又はその誘導体がポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートとポリアルキレングリコールの相溶化剤として働いているために、両者の相溶性が改善されていると推定される。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、これらの実施例において各測定項目は、以下の方法に従った。また得られたポリマー中のポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレングリコールなどの重量%はプロトンNMRによって測定した値である。
▲1▼ 還元粘度:ポリマー0.05gを25mlの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40)に溶かして、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
▲2▼ 結晶融点:結晶融点はDSC にて室温から20℃/分で昇温し測定した。
▲3▼ 表面硬度:ASTM D2240により測定した。
▲4▼ 曲げ弾性率:ASTM D790により測定した。
▲5▼ 引張強さ、切断時伸び:JIS K6351 により測定した。
▲6▼ 耐光性:83℃、500時間、フェードメーター照射後の切断時伸び保持率をJIS K6351により測定した。
▲7▼ビカット軟化温度:ASTM D1525により測定した。
【0029】
ポリエステル合成例1
ジメチルテレフタレート460重量部、シクロヘキサンジメタノール450重量部、水添ダイマージオール(東亞合成社製;HP1000)100重量部、ポリテトラメチレングリコール(分子量1000)250重量部、酸化防止剤A−7(表1に示す)2重量部、テトラブチルチタネート0.9重量部を仕込み、室温から260℃まで2時間かけて昇温し、その後260℃で1時間加熱しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧にすると共に昇温し、45分かけて275℃、1torr以下にして初期重縮合反応を行った。さらに275℃、1torr以下の状態で4時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出しポリマーAを得た。得られたポリマーの還元粘度は1.03であり、ポリマー中のポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート成分、ポリテトラメチレングリコール成分、水添ダイマージオール成分の重量%はそれぞれ65%、25%、10%であった。その結果を表2に示す。
【0030】
ポリエステル合成例2
ポリエステル合成例1においてポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート成分を75重量%、ポリテトラメチレングリコール成分、水添ダイマージオール成分をそれぞれ17重量%、8重量%となるようにした以外は全てポリエステル合成例1と同様にして、また反応温度を適宜適正化して、熱可塑性ポリエステルエラストマーを重合し、ポリマーBを得た。
【0031】
比較合成例1
ポリエステル合成例1においてポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート成分の代わりにポリブチレンテレフタレート成分を65重量%、ポリテトラメチレングリコール成分35重量%となるようにした以外は全てポリエステル合成例1と同様にして、また反応温度を適宜適正化して、熱可塑性エラストマーを重合し、ポリマーCを得た。その結果を表5に示すが、得られたエラストマーは、切断時伸びや耐光性は充分だが特に融点が低く、耐熱性が劣ることが判る。
【0032】
実施例1〜8、比較例1〜3
ポリエステル合成例1,2及び比較合成例1で得られたポリマーA〜Cと表1に示す光安定剤、酸化防止剤を表2,3に従い配合し、押出機を用いて、ペレット状に取り出し、熱風乾燥機にて水分率 0.1%以下に乾燥を行った。それぞれ適宜適正化の条件で射出成形を行い、各測定を行った。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【発明の効果】
以上かかる構成よりなる本発明熱可塑性ポリエステルエラストマーは、表4,5からも明らかなように、耐光性が著しく改良されており、同程度の弾性率を有する従来のポリエステルエラストマーと比べると、融点が約60℃も高く、ビカット軟化点も50℃前後高い。さらに耐光性も優れることから、耐熱性と耐光性を両立することができる従来にない熱可塑性ポリエステルエラストマーであることが判る。すなわち本発明は、耐熱性、耐熱老化性、滞留安定性、機械特性に優れ、且つ高融点であるため、繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成形材料に用いることができる。またブーツ、ギア、チューブなどの成形材料としても適している。例えば、ジョイントブーツや、電線被覆材などに有用であり、産業界に寄与すること大である。
Claims (2)
- (A) 下記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位から構成され、還元粘度が0.5〜4.0である熱可塑性ポリエステルエラストマー100重量部に対し、(B) 光安定剤 0.05〜5重量部からなる組成物である熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
- (A) 上記一般式(1)〜(4)で示される繰り返し単位から構成され、還元粘度が0.5〜4.0である熱可塑性ポリエステルエラストマー及び(B) 光安定剤及び、(C)ヒンダードフェノール系酸化防止剤からなる組成物である請求項1記載の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物。
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