JP2000159983A - 熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物

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JP2000159983A
JP2000159983A JP10341561A JP34156198A JP2000159983A JP 2000159983 A JP2000159983 A JP 2000159983A JP 10341561 A JP10341561 A JP 10341561A JP 34156198 A JP34156198 A JP 34156198A JP 2000159983 A JP2000159983 A JP 2000159983A
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thermoplastic polyester
polyester elastomer
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hard segment
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JP10341561A
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Koji Kobayashi
幸治 小林
Shoichi Gyobu
祥一 形舞
Hidetaka Miyaji
英孝 宮地
Seiji Nakayama
誠治 中山
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】繊維、フィルム、シートをはじめとする各種成
形材料に用いることができ、特にブーツ、ギア、チュー
ブなどの成形材料としても適する、耐熱性、成形加工
性、機械特性に優れ、且つ高融点のポリエステルエラス
トマー組成物を提供する。 【解決手段】熱可塑性ポリエステルエラストマーに対し
て実質的にハードセグメントを構成する重量%と、結晶
融点およびビカット軟化温度が特定の関係にあり、滑剤
を含有する組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー組成物に関し、詳しくは成形加工性、耐
水性、耐熱性に優れた高融点の熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー組成物、特に繊維、フィルム、シートをはじ
めとする各種成形材料に用いることの出来る熱可塑性ポ
リエステルエラストマー組成物、さらに詳しくは、ブー
ツ、ギヤ、チューブなどの成形材料に適し、自動車、家
電部品等の耐熱性が要求される用途、例えば、ジョイン
トブーツや、電線被覆材などに有用な熱可塑性ポリエス
テルエラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステルエラストマー組成
物は、構成成分の熱可塑性ポリエステルエラストマーと
しては、従来よりポリブチレンテレフタレート(PB
T)単位をハードセグメント、ポリテトラメチレングリ
コール(PTMG)をソフトセグメントとするポリエー
テルエステルエラストマー(特公昭49-48195,49-31558
号公報)、PBT単位をハードセグメント、ポリカプロ
ラクトン(PCL)単位をソフトセグメントとするポリ
エステルエステルエラストマー(特公昭48-4116 号、特
開昭59-12926号、特開昭59-15117号公報)、及びPBT
単位をハードセグメント、二量体脂肪酸をソフトセグメ
ントとするポリエステルエステルエラストマー(特開昭
54-127955 号公報)等が知られ、実用化されている。し
かしながら、ハードセグメントにPBTを用いる場合、
PBTの融点が230℃以下なのでエラストマーとして
の融点は230℃以上になることはない。これらを改善
するため、高融点のポリエチレンナフタレートやポリシ
クロヘキサンジメチレンテレフタレートをハードセグメ
ントに用いるエラストマーが提案されている(特開平05
-202176 号公報) が、ソフトセグメントとして主にポリ
テトラメチレングリコールを使用しているため、弾性性
能の問題からハードセグメントの割合が60重量%以下
に限定され、230℃以上の高融点を有するエラストマ
ーは得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を解消し、成形加工性、耐水性、耐熱性に優れ
た高融点の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成物を
提供することを課題とするものである。なお前記高融点
について説明する。一般に、エラストマーの融点や軟化
点はハードセグメントの含量が増えて、弾性率が高くな
ると向上する。従って、弾性率を高くするとエラストマ
ーの高融点化や高軟化点化は可能ではある。しかし弾性
率の高いエラストマーは、ハードセグメントの含量が増
加するため、当然ガラス転移温度が高くなり、優れた弾
性性能を発現することはできない。本発明では、エラス
トマーを高融点化しつつも、弾性率やガラス転移温度は
必要以上に高くならないようにすることをポイントと捉
え、すなわち同程度の弾性率を有していても、融点が充
分に高くなるものを高融点エラストマーと定義し、本発
明はこの高融点エラストマーの射出成形性、押出成形
性、ブロー成形性を著しく改良することを課題の一つと
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは熱可塑性ポ
リエステルエラストマーに対して実質的にハードセグメ
ントを構成する重量%と結晶融点およびビカット軟化温
度が特定の関係にあり、滑剤を含有する組成物を用いる
ことで、上記課題が解決されることを見いだし、本発明
を完成するに到った。すなわち本発明は、(A)熱可塑
性ポリエステルエラストマー対し、(B)滑剤を含有す
る組成物が下記数式(1)で示される結晶融点および下
記数式(2)で示されるビカット軟化温度を有し、且つ
切断時伸びが100%以上であることを特徴とする熱可
塑性ポリエステルエラストマー組成物である。 結晶融点 :y≧200+0.5x (1) ビカット軟化温度:z≧50+1.5x (2) (ここでxは該組成物の熱可塑性ポリエステルエラスト
マーに対して実質的にハードセグメントを構成する重量
%であり、yはDSCにより室温から20℃/分で昇温
し測定した結晶融点(℃)、zはASTM D1525
に基づいて測定したビカット軟化温度(℃)を示す。ま
た切断時伸びはJIS K6251に基づいて測定した
値である。) 好ましい実施態様としては、該組成物のベースレジンに
対して実質的にハードセグメントを構成する重量%であ
るxが30〜95の範囲内であり、熱可塑性ポリエステ
ルエラストマーにおけるハードセグメントが下記一般式
(1)で示される繰り返し単位から構成さる。
【化2】 (式中Rは炭素数6〜18の芳香族基を示す。) また、上記のハードセグメントを構成する重量%と、結
晶融点の関係は好ましくは、y≧200+0.55xで
あり、より好ましくはy≧200+0.6xである。ま
た上記のハードセグメントを構成する重量%と、ビカッ
ト軟化点の関係は、好ましくはz≧50+1.7xであ
り、より好ましくはz≧70+1.7xである。この上
記数式(1)(2)を満足しない場合は、耐熱性が充分
でなく自動車、家電部品等の耐熱性が要求される用途に
用いることが困難である。またビカット軟化温度はAS
TM D1525により測定することを原則とするが、
サンプルの形状によっては該規格に準ずるような樹脂の
軟化温度を測定した温度により定義することができるも
のとする。たとえば動的粘弾性測定装置により測定した
貯蔵弾性率(E’)が低下し始める温度、もしくはJI
S K7121により定義される補外融解開始温度など
を用いることができる。本発明においては、ビカット軟
化温度の代用として動的粘弾性測定による貯蔵弾性率の
低下し始める温度を用いるものとする。動的粘弾性は、
例えば東洋ボールドウィン社製のレオバイブロンDDV
−IIを用いて測定するものであり、厚み100〜50
0μmの測定資料を毎分2℃の昇温速度で昇温し、周波
数110Hzにより測定することで得られた貯蔵弾性率
から軟化温度を求める。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の熱可塑性ポリエステルエラストマー組成
物において、前記数式(1)と(2)を満たすために、
熱可塑性ポリエステルエラストマーの繰り返し単位を構
成する酸成分は、芳香族ジカルボン酸を主体とし、具体
的にはテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェ
ニルジカルボン酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸より選ばれる一種もしくは二種以上の組
み合わせを用いることが好ましく、特にテレフタル酸、
ナフタレンジカルボン酸より選ばれる一種もしくは二種
の組み合わせを用いることが好ましい。芳香族ジカルボ
ン酸は好ましくは全酸成分の70モル%以上、より好ま
しくは80モル%以上である。その他の酸成分として
は、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が用いら
れ、脂環族ジカルボン酸としてはシクロヘキサンジカル
ボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などが挙げられる。こ
れらは樹脂の融点を大きく低下させない範囲で用いら
れ、その量は好ましくは全酸成分の30モル%未満、よ
り好ましくは20モル%未満である。
【0006】実質的にハードセグメントを構成する繰り
返し単位に用いるグリコール成分は、特に限定しない
が、炭素数が1〜25のアルキレングリコールを用いる
ことができる。例えばエチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールヘプタ
ン、ジメチロールペンタン、トリシクロデカンジメタノ
ール、メチルペンタンジオール、2,4−ジエチル−
1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールXのエチレ
ンオキサイド誘導体(XはA,S,F)などである。こ
れらのグリコールから選ばれた1種または2種以上のグ
リコールを各種特性のバランスにより適切な組み合わせ
で用いられるが、特にシクロヘキサンジメタノールを用
いることが好ましく、前記ジカルボン酸とからなるハー
ドセグメントの結晶性を妨げないことが前提であるた
め、これらのグリコールの共重合量は全グリコールに対
して、20モル%以下であることが望ましい。1,4−
シクロヘキサンジメタノールにはシス体及びトランス体
の2種類の異性体が存在するが、トランス体の割合が多
い方が好ましい。また、ハードセグメントは一般式
(1)で示される繰り返し単位から構成されるのが望ま
しい。実質的にハードセグメントを構成する繰り返し単
位は、好ましくは全ポリマー中、30〜95重量%、よ
り好ましくは40〜80重量%、特に50〜75重量%
が望ましい。95重量%を超えると柔軟性に劣り、弾性
性能を有するエラストマーが得られ難く、また30重量
%未満では融点が低下し、耐熱性に劣るようになるので
好ましくない。実質的にハードセグメントを構成する繰
り返し単位とは、熱可塑性ポリエステルエラストマーの
繰り返し単位を構成する酸成分と、実質的にハードセグ
メントを構成する繰り返し単位に用いるグリコール成分
よりなる。
【0007】また、熱可塑性ポリエステルエラストマー
の実質的にソフトセグメントを構成する繰り返し単位に
用いるグリコール成分は、特に限定しないが、例えばポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール、またはそれらの誘導体で
ある両末端エチレンオキシサイド付加物が望ましい。ポ
リアルキレングリコールの分子量としては400〜60
00好ましくは800〜3000、特に1000〜20
00が望ましい。分子量が400未満では弾性性能が不
充分であり、また得られるエラストマーのブロック性が
低下するため、ポリマーの融点や軟化温度が低下する。
また分子量が6000を超えると相分離しやすくなり、
これも弾性性能が不充分となる原因ともなるので好まし
くはない。
【0008】熱可塑性ポリエステルエラストマーの実質
的にソフトセグメントを構成する他のグリコール成分と
して水添ダイマージオールを用いることが好ましい。水
添ダイマージオールとは、もちろんその製法はこれに限
定はしないが、例えば不飽和脂肪酸(炭素数15〜2
1)の二量体であるダイマー酸を水素化して得られる下
記一般式(2)で示される化合物を主成分(50重量%
以上)とする化合物、あるいは下記一般式(2)で示さ
れる化合物と下記一般式(3)で示される化合物との混
合物のことである。
【0009】
【化3】 (前記式中R1 、R2 、R3 、R4 は実質的に不飽和基
を含まず、また実質的に直鎖状であり、そのうちR1
2 はアルキル基、R3 、R4 はアルキレン基であり、
1 〜R4 の炭素数の総和は22〜34である。)
【0010】
【化4】 (前記式中R5 、R6 、R7 、R8 は実質的に不飽和基
を含まず、また実質的に直鎖状であり、そのうちR5
6 はアルキル基、R7 、R8 はアルキレン基であり、
5 〜R8 の炭素数の総和は25〜37である。)
【0011】また、熱可塑性ポリエステルエラストマー
の実質的にソフトセグメントを構成する他のグリコール
成分としては、水添ダイマージオール誘導体が挙げられ
る。水添ダイマージオール誘導体とは、実質的に水添ダ
イマージオールから誘導されるジオール化合物であり、
具体的には水添ダイマージオールのエチレンオキサイド
及び/又はプロピレンオキサイド付加物などが挙げられ
る。オキサイド化合物の付加は、水添ダイマージオール
の両末端でも片末端のみでもよい。また付加するオキサ
イド化合物のモル数は、水添ダイマージオールと等モル
ないし20倍のモル数が好ましい。
【0012】実質的にソフトセグメントを構成するポリ
アルキレングリコールと水添ダイマージオールから誘導
されるジオール化合物の割合は、各種特性のバランスに
より適切な組み合わせで用いられるため特に限定はしな
いが、双方の重量和に対するポリアルキレングリコール
の割合は0.01〜0.99、好ましくは0.05〜
0.95、特に0.1〜0.9が望ましい。0.01よ
りも少ないとエラストマーとしての弾性性能に欠け、
0.99よりも多いとハードセグメントとの相溶性に欠
けこれもエラストマーとしての弾性性能に欠けるように
なるので好ましくはない。
【0013】本発明熱可塑性ポリエステルエラストマー
において、少量に限って三官能以上のポリカルボン酸や
ポリオール成分を含むこともできる。例えば無水トリメ
リット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチ
ルプロパン、グリセリン、無水ピロメリット酸などを3
モル%以下使用できる。
【0014】次に本発明熱可塑性ポリエステルエラスト
マーを得る方法としては、公知の任意の方法を採用する
ことができる。例えば、溶融重合法、溶液重合法、固相
重合法などいずれも適宜用いられる。溶融重合法の場
合、エステル交換法でも直接重合法であってもよい。樹
脂の粘度を向上させるため、溶融重合後に固相重合を行
うことはもちろん望ましいことである。反応に用いる触
媒としては、アンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタ
ン触媒が良好である。特にチタン触媒は、詳しくはテト
ラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテ
トラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリなどのシ
ュウ酸金属塩などが好ましい。またその他の触媒として
は公知の触媒であれば特に限定はしないが、ジブチルス
ズオキサイド、ジブチルスズジラウリレートなどのスズ
化合物、酢酸鉛などの鉛化合物が挙げられる。
【0015】また本発明で用いる滑剤として炭化水素
系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコー
ル系、金属石鹸系、天然ワックス系、シリコーン系、フ
ッ素系化合物が挙げられる。具体的には、流動パラフィ
ン、合成パラフィン、合成硬質パラフィン、合成イソパ
ラフィン石油炭化水素、塩素化パラフィン、パラフィン
ワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン、フ
ルオロカルボン油、炭素数12以上のラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン
酸、ベヘニン酸等の脂肪酸化合物、ヘキシルアミド、オ
クチルアミド、ステアリルアミド、パルミチルアミド、
オレイルアミド、エルシルアミド、エチレンビスステア
リルアミド、ラウリルアミド、ベヘニルアミド、メチレ
ンビスステアリルアミド、リシノールアミド等の炭素数
3〜30の飽和或いは不飽和脂肪族アミド及びその誘導
体、脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価ア
ルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、
脂肪酸の脂肪アルコールエステルであるブチルステアレ
ート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレ
ート等、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エ
チレングリコール、分子量200ないし10000以上
のポリエチレングリコール、ポリグリセロール、カルナ
ウバロウ、カンデリラロウ、クイボタロウ、、モンタン
ロウ、ジメチルシリコーン、シリコンガム、四フッ化エ
チレンなどの滑剤が挙げられる。また、直鎖飽和脂肪
酸、側鎖酸、シノール酸、ポリメチレン環を有する化合
物からなる金属塩で金属が(Li,Mg,Ca,Sr,
Ba,Zn,Cd,Al,Sn,Pb)から選ばれた金
属石鹸も挙げることができる。
【0016】上記記載の滑剤としては熱可塑性ポリエス
テルエラストマー100重量部に対して0.01〜5重
量部、好ましくは0.1〜3重量部が好ましい。滑剤が
5重量部を越える場合では、滑剤がブリードすることか
ら製品外観を損なうため好ましくない。また、滑材が
0.01重量部未満では、押出時や成形時の離型効果が
認められない。また、滑剤は二種類以上の組み合わせで
も特に問題ない範囲で含有してもよい。
【0017】本発明の樹脂組成物の配合方法としては、
加熱ロール、押出機、バンバリミキサー等の混練機を用
いて配合することができる。また、熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー樹脂組成物を製造する際のエステル交換
反応の前又は重縮合反応前のオリゴマー中に、添加及び
混合することができる。
【0018】さらに本発明の組成物は、添加剤として公
知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系
の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、
ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリ
チル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物等の
分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合
物、カルボジイミド系化合物等の反応基を有する化合
物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制
酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助
剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができ
る。これらの添加物の配合方法としては、加熱ロール、
押出機、バンバリミキサー等の混練機を用いて配合する
ことができる。また、熱可塑性ポリエステルエラストマ
ー樹脂組成物を製造する際のエステル交換反応の前又は
重縮合反応前のオリゴマー中に、添加及び混合すること
ができる。
【0019】本発明で使用する熱可塑性ポリエステルエ
ラストマーの還元粘度は、好ましくは0.5〜4.0、
より好ましくは0.5〜3.0である。還元粘度が0.
5未満だと機械特性に劣り、4.0を越えると成形性に
劣るので好ましくない。なお、本発明熱可塑性ポリエス
テルエラストマー組成物の融点の下限は特に限定ない
が、一般的には150℃以上が好ましい。耐熱性を必要
とする用途には、200℃以上が好ましいが、特に耐熱
性を必要とする用途には、230℃以上が好ましい。と
ころで、Adv.Chem..Ser.,176,12
9(1979).によると、ポリシクロヘキサンジメチ
レンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの
みからなるポリエステルエラストマーでは、ポリシクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレートを50重量%以上含
有すると相分離し、エラストマーとしての弾性性能は発
現しないと記載されている。しかしながら、驚くべきこ
とに、本発明では、ソフトセグメントをポリアルキレン
グリコールのみから、ポリアルキレングリコール及び水
添ダイマージオール及び/又はその誘導体の併用系に変
えることで、50重量%以上のハードセグメント量にお
いても、充分な弾性性能を発現することが本発明者など
により見いだされた。この理由は定かでないが、シクロ
ヘキサン骨格を有する水添ダイマージオール及び/又は
その誘導体がポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ
ートとポリアルキレングリコールの相溶化剤として働い
ているために、両者の相溶性が改善されていると推定さ
れる。
【0020】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。なお、これらの実施例において各測定項目は、以
下の方法に従った。また得られたポリマー中のポリシク
ロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリテトラメチ
レングリコールなどの重量%はプロトンNMRによって
測定した値である。 還元粘度:ポリマー0.05gを25mlの混合溶媒
(フェノール/テトラクロロエタン=60/40)に溶
かして、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定し
た。 結晶融点、結晶化温度:結晶融点はDSC にて室温から
20℃/分で昇温し測定した。結晶化温度は室温から2
0℃/分で融点より約20℃高い温度まで昇温し、その
温度で2分間溶融保持した後、10℃/分で降温し測定
した。 表面硬度:ASTM D2240により測定した。 曲げ弾性率:ASTM D790により測定した。 引張強さ、切断時伸び:JIS K6251により測
定した。 ビカット軟化温度:ASTM D1525により測定
した。 冷却時間:100×100×2mmの成形品を射出成
形し、冷却に要する時間を測定した。
【0021】ポリエステル合成例1 ジメチルテレフタレート460重量部、シクロヘキサン
ジメタノール460重量部、水添ダイマージオール(東
亞合成社製;HP1000)50重量部、ポリテトラメ
チレングリコール(分子量1000)300重量部、酸
化防止剤A−7(表1に示す)2重量部、テトラブチル
チタネート0.9重量部を仕込み、室温から260℃ま
で2時間かけて昇温し、その後260℃で1時間加熱し
エステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧に
すると共に昇温し、45分かけて275℃、1torr
以下にして初期重縮合反応を行った。さらに275℃、
1torr以下の状態で4時間重合反応を行い、ポリマ
ーをペレット状に取り出しポリマーAを得た。得られた
ポリマーの還元粘度は1.04であり、ポリマー中のポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレート成分、ポリ
テトラメチレングリコール成分、水添ダイマージオール
成分の重量%はそれぞれ65%、30%、5%であっ
た。
【0022】ポリエステル合成例2 ジメチルテレフタレート530重量部、シクロヘキサン
ジメタノール750重量部、水添ダイマージオール(東
亞合成社製;HP1000)50重量部、ポリテトラメ
チレングリコール(分子量1000)200重量部、酸
化防止剤A−7(表1に示す)2重量部、テトラブチル
チタネート0.9重量部を仕込み、室温から260℃ま
で2時間かけて昇温し、その後260℃で1時間加熱し
エステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧に
すると共に昇温し、45分かけて275℃、1torr
以下にして初期重縮合反応を行った。さらに275℃、
1torr以下の状態で4時間重合反応を行い、ポリマ
ーをペレット状に取り出しポリマーBを得た。得られた
ポリマーの還元粘度は1.10であり、ポリマー中のポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレート成分、ポリ
テトラメチレングリコール成分、水添ダイマージオール
成分の重量%はそれぞれ75%、20%、5%であっ
た。
【0023】ポリエステル合成例3 ジメチルテレフタレート570重量部、1,4−ブタン
ジオール580重量部、ポリテトラメチレングリコール
(分子量1000)350重量部、酸化防止剤A−7
(表1に示す)2重量部、テトラブチルチタネート0.
9重量部を仕込み、室温から200℃まで2時間かけて
昇温し、その後200℃で1時間加熱しエステル交換反
応を行った。次いで缶内を徐々に減圧にすると共に昇温
し、45分かけて245℃、1torr以下にして初期
重縮合反応を行った。さらに245℃、1torr以下
の状態で3時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状
に取り出しポリマーCを得た。得られたポリマーの還元
粘度は1.49であり、ポリマー中のポリブチレンテレ
フタレート成分、ポリテトラメチレングリコール成分の
重量%はそれぞれ65%、35%であった。
【0024】実施例1〜7、比較例1、2 ポリマー合成例1〜3で得られたポリマーA〜Cと表1
に示す充填剤を表2,3に従い配合し、押出機を用い
て、ペレット状に取り出し、熱風乾燥機にて水分率0.
1%以下に乾燥を行った。それぞれ適宜適正化の条件で
射出成形を行い、各測定を行った。結果を3,4に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】下記表2,3の配合表については重量部で
示す。
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】表4、5中のxはポリエステルエラストマ
ーの実質的にハードセグメントを構成する重量%であ
る。
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
【発明の効果】以上より、本発明の熱可塑性ポリエステ
ルエラストマー組成物は、従来の同程度の弾性率を有す
るポリエステルエラストマー組成物と比べると融点が約
60℃、ビカット軟化温度が約50℃も高く、耐熱性に
優れている。また、冷却時間が著しく改良されたことが
わかる。つまり、高融点ポリエステルエラストマーと滑
剤の相乗効果により、高いレベルの成形性を有し、従来
にない高温域での使用に耐えることができる。すなわち
本発明は、耐熱性、成形加工性、機械特性に優れ、且つ
高融点であるため、繊維、フィルム、シートをはじめと
する各種成形材料に用いることができる。また、ブー
ツ、ギア、チューブなどの成形材料としても適してい
る。例えば、タイミングベルト、ジョイントブーツや、
電線被覆材などに有用であり、産業界に寄与すること大
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山 誠治 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J002 AE03X AE04X AE05X CF10W CP03X EC066 EF056 EG006 EH036 EH046 EP016 FD030 FD040 FD070 FD17X FD176 FD200

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)熱可塑性ポリエステルエラストマー
    に対し、(B)滑剤を配合してなる組成物が下記数式
    (1)で示される結晶融点および下記数式(2)で示さ
    れるビカット軟化温度を有し、且つ切断時伸びが100
    %以上であることを特徴とする熱可塑性ポリエステルエ
    ラストマー組成物。 結晶融点 :y≧200+0.5x (1) ビカット軟化温度:z≧50+1.5x (2) (ここでxは該組成物の熱可塑性ポリエステルエラスト
    マーに対して実質的にハードセグメントを構成する重量
    %であり、yはDSCにより室温から20℃/分で昇温
    し測定した結晶融点(℃)、zはASTM D1525
    に基づいて測定したビカット軟化温度(℃)を示す。ま
    た切断時伸びはJIS K6251に基づいて測定した
    値である。)
  2. 【請求項2】熱可塑性ポリエステルエラストマーに対し
    て実質的にハードセグメントを構成する重量%であるx
    の範囲が30〜95である請求項1に記載の熱可塑性ポ
    リエステルエラストマー組成物。
  3. 【請求項3】熱可塑性ポリエステルエラストマーにおけ
    るハードセグメントが下記一般式(1)で示される繰り
    返し単位から構成される請求項1および2に記載の熱可
    塑性ポリエステルエラストマー組成物。 【化1】 (式中Rは炭素数6〜18の芳香族基を示す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002194189A (ja) * 2000-12-27 2002-07-10 Du Pont Toray Co Ltd ポリエステルブロック共重合体組成物
JP2005336427A (ja) * 2004-05-31 2005-12-08 Nok Corp フレキシブルブーツ用成形材料
CN115215995A (zh) * 2022-08-19 2022-10-21 东莞理工学院 含磷氮的受阻酚基阻燃剂及其制备方法和应用

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