(参考形態1)
以下、参考形態について、それぞれ図面を用いて説明する。
図1は、参考形態1において、ハロゲン電球が反射鏡を備えた照明器具に組み込まれてなる照明装置の一部を切り欠いた概略構成図である。
図1に示すように、第1の参考形態である照明装置110は、一例として主にスポットライト等の一般照明用であって、開口部111から光が出射され、かつ内部に反射鏡112が収納されている円筒状の照明器具113と、反射鏡112内に組み込まれた定格電力65[W](定格電圧110[V])のハロゲン電球114とを備えている。
ハロゲン電球114の定格電圧は、上記電圧に限らず、100[V]以上250[V]以下の範囲内で設定されていれば良い。
ハロゲン電球114のバルブ115の長手方向の中心軸X6と反射鏡112の光軸Y6とは、略同一軸上に位置している。
照明器具113の底部には、ハロゲン電球114の口金116(図2参照)が取り付けられる受け具(図示せず)が設けられている。
反射鏡112には、前面ガラス118が取り付けられ、かつ内面に回転楕円体外周面または回転放物面等からなる回転体の反射面119が形成されている。この反射面119には、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等からなる多層干渉膜が形成されている。また、この反射面には必要に応じてファセットを形成してもよい。
なお、照明装置110では、ハロゲン電球114を取り替えるために、反射鏡112が照明器具113と脱着可能になっており、そのほか、反射鏡112自体は照明器具113に固定され、前面ガラス118が反射鏡112と脱着可能になっていても良い。
また、照明器具113自体は円筒状に限らず、公知の種々の形状のものを使用することができる。
反射鏡112を含む照明器具113自体は公知のものであるので、その他の詳細については省略し、ハロゲン電球114についてその詳細を説明する。したがって、照明器具としては、図1に示す照明器具113以外にも公知の種々のタイプの照明器具(スタジオ用を含む)を用いることができる。
図2は、参考形態1において、照明装置に組み込み予定のハロゲン電球の一部を切り欠いた概略構成図である。
ハロゲン電球114は、図2に示すように、石英ガラスや硬質ガラス等からなるバルブ115と、このバルブ115の封止部120側に接着剤121によって固着された例えばE形の口金116とを備えている。
バルブ115には、封止切りの残痕であるチップオフ部122、略回転楕円体形状の発光部123、縮径部124、略円筒状の筒部125および公知のピンチシール法によって形成された封止部120がそれぞれ順次連なるように形成されている。このバルブ115の外面のうち、チップオフ部122、発光部123および縮径部124の外面には、可視光透過赤外線反射膜126が形成されている。
なお、ここで言う「略回転楕円体形状」とは、完全な回転楕円体形状の場合はもちろんのこと、ガラスの加工上のばらつきによって完全な回転楕円体形状からずれてしまう場合も含むことを意味している。
なお、バルブ115の形状としてはチップオフ部122、略回転楕円体形状の発光部123、縮径部124、筒部125および封止部120がそれぞれ順次連なって形成されたものに限らず、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部、縮径部および封止部が順次連なって形成されたバルブや、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ、またはチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略円筒形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ等の公知の種々の形状のバルブを用いることができる。もちろん、発光部の形状として上記した略回転楕円体形状に代えて、略球形状のものや略複合楕円体形状のものも用いることができる。
発光部123内には、フィラメント体127が設けられているとともに、ハロゲン物質と希ガス、またはハロゲン物質と希ガスと窒素ガスとがそれぞれ所定量封入されている。フィラメント体127には、例えばタングステン製の内部リード線128の一端部がそれぞれ電気的に、かつ機械的に接続されている。内部リード線128の他端部は、封止部120に封止されているモリブデン製の金属箔129を介して外部リード線130の一端部に接続されている。外部リード線130の他端部は、バルブ115の外部に導出されており、口金116の端子部分117a,117bにそれぞれ電気的に接続されている。そのほか、フィラメント体127を構成するフィラメント要素について、以下に説明する配置を実現するためのサポート線228が、その一端がステムガラス328に支持されて伸びている。
図3は、参考形態1におけるハロゲン電球に備えられたフィラメント体を支持し、これに通電するリード線およびサポート線を示した概略斜視図であり、図4は、参考形態1においてハロゲン電球のバルブ内に設けられているフィラメント体およびそれを支持し、通電するリード線ならびにサポート線を示した概略斜視図であり、図5は、参考形態1におけるハロゲン電球に備えられたフィラメント体をバルブ軸X6方向と垂直な方向に切断した概略断面図である。
フィラメント体127は、図3ないし図5に示すように、複数の、例えば4つのフィラメント要素(コイル)131,132,133,134を有している。これら4つのフィラメント要素(コイル)131,132,133,134は、電気的に直列接続されている。また、このフィラメント体127は、反射鏡112に対するその位置が反射鏡112の焦点F6を含む位置にある。つまり、フィラメント体127を、4つのフィラメント要素(コイル)131,132,133,134を一体的に見立てた一つの柱体(図5の破線で示す部分)としたとき、焦点F6がその柱体の内部または表面上に位置している。したがって、実際のフィラメント体127で見た場合、その焦点F6はフィラメント要素(コイル)131,132,133,134の内部もしくは表面上、または各コイル(131,132)、(131,133)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)同士の間に位置している。本参考形態では、フィラメント体127の中心点が反射鏡112の焦点F6上にほぼ位置している。もっとも、図5に示すようにフィラメント体の表面上の点F0が焦点F6上に位置していてもよい。
なお、図1では、フィラメント要素(コイル)131,132,133,134を一体化し、フィラメント体127を一つの柱体と捉えて模式的に示している。また、図5では、フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の輪郭のみを模式的に示している。
各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134は、いずれもタングステン製であり、かつ略直線状に真っ直ぐ伸びた一重巻きコイルであって、その長手方向から見たときの輪郭が略円形形状とは異なる形状、好ましくは扁平形状、例えば長方形状、あるいは曲線部が外側に向くように互いに対向する2つの半円部とそれらをつなぐ平行な2つの直線部とからなる略トラック形状(長円形状)を有している。
各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134をその長手方向から見たときの輪郭が略トラック形状(長円形状)となるように成形すると、従来のコイルの長手方向のコイル長さに比べて、各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の長手方向のコイル長さLs4(図4参照)が短縮される。
ただし、ここで言う「略円形形状」とは、真円を含むのはもちろんのこと、製造上のばらつきや加工の精度等によって真円からは多少その形状がくずれてしまった真円に近い円も含むことを意味している。つまり、「略円形形状とは異なる形状」とは、真円あるいは上記真円に近い円とは異なるようにしている形状を意味している。また、「略直線状に真っ直ぐ伸びた」とは、芯線に巻き付けた後のコイルを積極的に曲げてはいないという意味であって、製造上の加工ばらつきや加工の精度等によって曲がってしまった場合も含むものとする。もっとも、ここで言う略直線状に真っ直ぐ伸びた一重巻きコイルとは、単に略直線状に真っ直ぐに巻いた一重巻きコイルを含むことはもちろんのこと、例えばその一重巻きコイルを、そのコイルの長手方向の中心軸を回転軸としてねじったもの等も含むものとする。
また、これらフィラメント要素(コイル)131,132,133,134において、その長手方向から見たときの輪郭が略円形形状とは異なる輪郭として、上記した略トラック形状以外に、略楕円形状、略扁平楕円形状、略多角形形状等であってもよく、特にその輪郭(略円形形状を除く)に限定されるものではない。これらの輪郭は、フィラメント要素(コイル)の作製プロセスにおいて、素線を巻き付ける芯線数、芯線の形状、それら芯線の配置等を適宜変更することによって実現することができる。
また、フィラメント要素(コイル)131,132,133,134をその長手方向から見たときの輪郭が略トラック形状(長円形状)となるように成形する場合、これらのフィラメント要素(コイル)131,132,133,134は、線径(素線径)が0.015[mm]〜0.100[mm]、例えば0.040[mm]のタングステン線を、直径0.4[mm]の芯線を2本平行に隣接して並べたものにピッチ0.05[mm]〜0.07[mm]で巻き付けて作製されている。したがって、上記半円部の半径は0.24[mm]、上記直線部の長さは0.4[mm]となる。また、各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134は、そのコイル長Ls4(図4参照)が4[mm]、最大幅Wmax(図5参照)が0.88[mm]、最小幅Wmin(図5参照)が0.48[mm]である。
なお、フィラメント要素(コイル)131,132,133,134は、上記芯線が3本平行に隣接して並べられたものに上記タングステン線を上記ピッチで巻き付けて作製されていても良い。かかる場合、各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134のコイル長さLs4(図4参照)がさらに短くなって、反射鏡112内における中心照度に寄与する領域(以下、「中心照度寄与領域」という。)におけるフィラメント体127の割合をさらに向上させることができて好ましい。
このように、フィラメント要素(コイル)131,132,133,134をその長手方向から見た輪郭におけるフィラメント要素(コイル)の最大幅Wmaxを長くするにしたがって、各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134のコイル長さLs4を短縮することができるが、同時にフィラメント要素(コイル)同士の間隙が狭くなり、耐振動性、耐衝撃性および寿命が低下するので、当該耐振動性、耐衝撃性および寿命を損ねない限度において、上記最大幅Wmaxを決定するのがより好ましい。
ここで、フィラメント体127を構成する複数のフィラメント要素(コイル)131,132,133,134を一つのコイルすなわちフィラメント体(図4、図5中、破線で囲まれたもの)として見立て、反射鏡112との組み合わせにおいてその一つのコイル(フィラメント体)が反射鏡112内における中心照度に大きく寄与する領域(以下、単に「中心照度寄与領域」という)内に収まるように、フィラメント体127の寸法や形状、すなわち各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の形状(略円形形状を除く)、寸法、配置(コイル(フィラメント要素)同士の間隔を含む)が適宜決定される。したがって、フィラメント体127が上記中心照度寄与領域内に収まれば、フィラメント体127の寸法や形状、すなわち各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の形状(略円形形状を除く)、寸法、配置は、上記のそれに限定されるものではない。もっとも、上述したとおり、一般的にフィラメント体127を構成するタングステン線の素線長や素線径はハロゲン電球114の定格電圧、定格電力および定格寿命時間(例えば3000時間)に応じてほぼ決定されるので、その素線長や素線径の範囲内で各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の形状(略円形形状を除く)や寸法が適宜決定される。一例として、定格電力65[W]のハロゲン電球に用いられるもののタングステン線の素線長は例えば420[mm]〜480[mm]、素線径は例えば0.05[mm]〜0.06[mm]、定格電力20[W]のハロゲン電球に用いられるもののタングステン線の素線長は例えば250[mm]〜300[mm]、素線径は0.02[mm]〜0.03[mm]、定格電力100[W]のハロゲン電球に用いられるもののタングステン線の素線長は例えば540[mm]〜620[mm]、素線径は0.07[mm]〜0.08[mm]である。
次に、各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の位置関係は、図4および図5に示すとおりである。
すなわち、図4に示すとおり各々のフィラメント要素(コイル)131,132,133,134の一端面は略同一平面上にある。また、フィラメント要素(コイル)131,132,133,134のコイル長Ls4が全て同じであるために、各々のフィラメント要素(コイル)131,132,133,134の他端面も略同一平面上にある。特に、フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の端面のうち、封止部120とは反対側の端面は、それぞれ略同一平面上に位置していることが好ましい。これにより、各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134によって照射される照射面への照度を一様にし、均一な配光曲線を得ることができる。
また、図5に示すとおり、各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134をその長手方向から見た場合において、フィラメント要素(コイル)131はその長手方向の中心軸a41がバルブ115の長手方向の中心軸X6上に位置しており、各フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の長手方向の中心軸a41,a42,a43,a44がバルブ115の長手方向の中心軸X6と平行である。フィラメント要素(コイル)132は、コイル軸方向に垂直な平面において、その最大幅部を跨いでその図心を通る中心線b42がフィラメント要素(コイル)131の最大幅部を跨ぎかつ図心を通る中心線b41と平行であって、かつその長手方向の中心軸a42とフィラメント要素(コイル)131の長手方向の中心軸a41との間の距離r4が0.88[mm]となる位置に配置されている。
フィラメント要素(コイル)133は、コイル軸方向に垂直な平面において、その最大幅部を跨いでその図心を通る中心線b43とフィラメント要素(コイル)131の最大幅部を跨ぎかつ図心を通る中心線b41とが30[°]に交わるように、なおかつその長手方向の中心軸a43とフィラメント要素(コイル)131の長手方向の中心軸a41との間の距離r4が0.88[mm]となる位置に配置されている。フィラメント要素(コイル)134は、コイル軸方向に垂直な平面において、その最大幅部を跨いでその図心を通る中心線b44とフィラメント要素(コイル)131の最大幅部を跨ぎかつ図心を通る中心線b41とが30[°]に交わるように、なおかつその長手方向の中心軸a44とフィラメント要素(コイル)131の長手方向の中心軸a41との間の距離r4が0.88[mm]となる位置に配置されている。フィラメント要素(コイル)133の中心軸a43とフィラメント要素(コイル)134の中心軸a44との間の距離r5は1.52[mm]である。
ここで、隣合うフィラメント要素(コイル)同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)は、コンパクトなフィラメント体127を得るために可能な限り接近していることが好ましい。しかし、隣合うフィラメント要素(コイル)同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)が接近しすぎていると、点灯中、ハロゲン電球114に振動が加わった際、隣合うフィラメント要素(コイル)同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)がその振動によって接触して短絡するおそれがある。また、フィラメント要素(コイル)同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)が最も隣接している部分は、その他の部分よりもフィラメント要素(コイル)131,132,133,134の温度が高くなるために、タングステン線のタングステンの蒸発が激しく、短寿命になるおそれがある。そこで、点灯中、ハロゲン電球114に振動が加わった場合でも、隣合うフィラメント要素(コイル)同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)が接触して短絡するのを防止するとともに、短寿命化を防止するために、上記距離r4は、0.88[mm]以上にすることが好ましい。
《参考形態1におけるハロゲン電球が装着された照明装置の効果》
以上のとおり第1の参考形態にかかる照明装置110の構成によれば、第一に一重巻きコイルを用いているので、多重巻きコイルに比べて耐振動性を高くすることができ、ピッチを多重巻きコイルのピッチに比して十分に小さくすることができるとともに、第二に一重巻きコイルを分割して複数化し、しかもコイル(フィラメント要素)131,132,133,134を長手方向から見た輪郭が略円形形状とは異なる輪郭、好ましくは扁平形状、例えば長方形状、略トラック形状(長円形状)となるようにしているので、フィラメント要素(コイル)131,132,133,134の軸方向長さLs4すなわちフィラメント体127の長手方向の長さを短縮化することができる。その結果、反射鏡112内における中心照度寄与領域内に存在するフィラメント体127の割合を増加させることができ、集光効率を向上させることができる。
そのうえ、バルブ115において、反射鏡112の光軸Y6(バルブ115の軸X6)上にその長手方向の中心軸a41が位置するようにフィラメント要素(コイル)131が配されていることから、反射鏡112の光軸Y6(バルブ115の軸X6)上にフィラメント要素(コイル)が配されていない場合に比べて、中心照度を向上させ、集光効率を向上させることができる。
なお、上記した第1の参考形態では、図1の示すとおりの照明器具113(反射鏡112を含む)を用いた場合について説明したが、この照明器具113に代えて公知の種々の照明器具(反射鏡を含む)を用いた場合であっても、上記と同様の作用効果を得ることができる。つまり、第1の参考形態にかかる照明装置110に用いられているハロゲン電球114の構成によれば、上述したとおり第一に一重コイルを用いているので、多重コイルとは異なり耐振動性を高くすることができ、ピッチを多重コイルのピッチに比して十分に小さくすることができるとともに、第二に一重コイルを分割して複数化し、しかもフィラメント要素(コイル)131,132,133,134を長手方向から見た外形形状が略円形形状とは異なる形状となるようにしているので、フィラメント体127として光軸Y6方向に対して十分に短縮化することができ、その結果、公知の適当な照明器具の反射鏡に組み込まれた状態において、反射鏡内における中心照度寄与領域内に存在するフィラメント体127の割合を増加させることができ、集光効率を向上させることができる。
<評価試験>
次に、第1の参考形態である照明装置110の作用効果を確認するための評価試験を行った。ただし、試験を簡素化するために、照明装置そのものではなく、ハロゲン電球114(以下、単に「参考品A」という)単体を公知の反射鏡付きハロゲン電球(松下電器産業株式会社製、品番:JDR110V65WKN/5E11)の反射鏡(前面ガラス含む)(狭角タイプ)、また別の公知の反射鏡付きハロゲン電球(松下電器産業株式会社製、品番:JDR110V65WKM/5E11)の反射鏡(前面ガラス含む)(中角タイプ)、さらに別の公知の反射鏡付きハロゲン電球(松下電器産業株式会社製、品番:JDR110V65WKW/5E11)の反射鏡(前面ガラス含む)(広角タイプ)にそれぞれ組み込んだものを用いて評価試験を行った。
そして、各々のミラー角の反射鏡付きハロゲン電球を5本ずつ作製し、作製した各々の反射鏡付きハロゲン電球を定格電力、定格電圧で点灯させ、反射鏡付きハロゲン電球から距離1[m]離れた照射面における中心照度[lx]を測定した。もちろん、本実験における中心照度の値は、照明装置としての値ではないものの、照明装置としての値と同等である。
また、比較のため、フィラメント体として三重巻きコイルを用いている点を除いて第1の参考形態である照明装置110に用いられている定格電力65[W](定格電圧110[V])のハロゲン電球114と同じ構成を有している定格電力65[W](定格電圧110[V])のハロゲン電球(以下、「比較品A」という)を15本作製し、これら作製した比較品Aを5本ずつ、参考品Aと同じ公知の反射鏡(前面ガラス含む)にそれぞれ組み込み、中心照度[lx]を測定した。
なお、用いた三重巻きコイルは、素線であるタングステン線の素線長が460[mm]、素線径が0.052[mm]であり、一次コイルのマンドレル径が0.12[mm]、一次コイルのピッチが0.14[mm]、二次コイルのマンドレル径が0.28[mm]、二次コイルのピッチが0.55[mm]、三次コイルのマンドレル径が1.2[mm]、三次コイルのピッチが1.5[mm]である。
また、後述する中心照度[lx]の値は、5本のサンプルの平均値を示す。さらに、ここでは「集光効率」を電力当たりの照度[lx/W]と定義しているので、参考品Aの中心照度と比較品Aの中心照度との対比が実質的に参考品Aの集光効率と比較品Aの集光効率との対比となる。
実験の結果、参考品Aでは中心照度が狭角タイプで9390[lx]、中角タイプで5092[lx]、広角タイプで2072[lx]であったのに対して、比較品Aでは中心照度が狭角タイプで5587[lx]、中角タイプで3005[lx]、広角タイプで1421[lx]であった。
このように参考品Aでは、その中心照度が比較品Aに比して狭角タイプで1.68倍、中角タイプで1.69倍、広角タイプで1.45倍向上していることがわかる。
なお、参考品Aのビーム角は、それぞれのビーム角のタイプにおいて比較品Aとほぼ同じであった。
ここで、本比較においては、参考品Aと比較品Aのハロゲン電球を同一の電力(65[W])で点灯させたので、上記照度の向上率は、集光効率[lx/W]の向上率と一致する。すなわち、参考品Aが比較品Aに対して集光効率の向上を実現したことが確認された。
(実施の形態1)
実施の形態1の照明装置では、フィラメント体の構成が参考形態1と異なるのみであるので、その他の説明は省略する。
図6は、実施の形態1におけるハロゲン電球に備えられたフィラメント体を支持し、これに通電するリード線およびサポート線を示した概略斜視図であり、図7は、実施の形態1におけるハロゲン電球のバルブ内に設けられているフィラメント体およびそれを支持し、それに通電するリード線ならびにサポート線を示した概略斜視図であり、図8は、実施の形態1におけるハロゲン電球に備えられたフィラメント体をバルブ軸X6方向と垂直な方向に切断した概略断面図である。
実施の形態1において、フィラメント体136は、図7,8に示すとおり参考形態1で用いられた3つのフィラメント要素(コイル)131,132,133を有し、それら3つのコイル131,132,133の配置が参考形態1で示したそれと異なる。その配置は、次のとおりである。すなわち、図7に示すとおり各フィラメント要素(コイル)131,132,133の長手方向の中心軸a41,a42,a43がバルブ115の長手方向の中心軸X6と平行であって、各フィラメント要素(コイル)131,132,133を長手方向から見た場合において、フィラメント要素(コイル)131は、その長手方向の中心軸a41がバルブ115の長手方向の中心軸X6と重なるように配されており、フィラメント要素(コイル)132は、その最小幅部を跨いでその図心を通る中心線c42とフィラメント要素(コイル)131の最小幅部を跨ぎかつ図心を通る中心線c41とが略同一軸上になるように配され、なおかつその長手方向の中心軸a42とフィラメント要素(コイル)131の長手方向の中心軸a41との間の距離r6が0.88[mm]となる位置に配置されており、フィラメント要素(コイル)133は、その最小幅部を跨いでその図心を通る中心線c43がフィラメント要素(コイル)131の最小幅部を跨ぎかつ図心を通る中心線c41と略同一軸上になるように配され、なおかつその長手方向の中心軸a43とフィラメント要素(コイル)131の長手方向の中心軸a41との間の距離r7が0.88[mm]となる位置に配置されている。
なお、上記中心線c41,c42,c43は、フィラメント要素(コイル)131,132,133の長手方向の中心軸a41,a42,a43を通り、かつ、当該軸a41,a42,a43に垂直な平面において、フィラメント要素(コイル)131,132,133の最大幅部を跨ぎかつ図心を通る中心線b41,b42,b43と垂直に交わる直線である。
図示はしないが、芯線の径0.4[mm]を100[%]としたとき、径を例えば110[%]〜200[%]の範囲内で増やした芯線を用いてフィラメント要素(コイル)を作製しても良い。かかる場合、フィラメント要素(コイル)131,132,133の長手方向のコイル長さLs4がさらに短くなって、中心照度寄与領域内に占めるフィラメント要素(コイル)131,132,133の割合が増加し、好ましい。この場合、フィラメント要素(コイル)131,132,133同士の間隙が狭くなり、耐衝撃性、耐震性および寿命の低下する恐れがあるが、適宜、フィラメント要素(コイル)131,132,133どうしの間隙が広がるように調整されれば、さらに好ましい。
《実施の形態1におけるハロゲン電球を装着した照明装置の効果》
実施の形態1にかかる照明装置では、参考形態1に比べると、フィラメント体136において反射鏡112の光軸Y6(バルブ115の中心軸X6)上のフィラメント要素(コイル)131とその軸同士が平行なフィラメント要素(コイル)の数が減っているので、反射鏡112の光軸Y6(バルブ115の中心軸X6)上のフィラメント要素(コイル)131から出射された光を、フィラメント要素(コイル)131の周囲に配されたフィラメント要素(コイル)によって当該光が遮られることなく、中心照度の向上に寄与させることができ、集光効率を向上させることができる。
さらに、実施の形態1にかかる照明装置では、参考形態1に比べると、フィラメント体におけるフィラメント要素(コイル)の数が減ったので、フィラメント要素(コイル)同士の間隙を広げることができ、耐衝撃性、耐振動性および寿命を向上させることができる。
そのうえ、実施の形態1における照明装置では、各フィラメント要素(コイル)131,132,133の軸が同一平面上に配されるように、バルブ115内に設けられているので、照射面における配光の均一化を図ることができる。
<評価試験>
{中心照度(集光効率)比較試験}
本発明の第1の実施の形態であるフィラメント体136を備えた照明装置110の中心照度が、参考形態1のフィラメント体126を備えた照明装置110のそれに比べて、向上していることを確認するために比較試験を行った。
(フィラメント要素(コイル)の寸法)
コイル素線径:0.053[mm]
コイル素線長:463[mm]
コイル全長:5.5[mm]
コイルピッチ(コイル素線中心軸間距離):0.074[mm]
コイル断面輪郭:略トラック状(長円状)
コイル最大幅(Wmax):1.0[mm]
コイル最小幅(Wmin):0.5[mm]
(実施例1) 実施例1のフィラメント体は、上記フィラメント要素(コイル)を3本備えており、各フィラメント要素(コイル)は、実施の形態1で示したように配され、かつ長さが5.5[mm]になっている。
(比較例1) 比較例1のフィラメント体は、上記フィラメント要素(コイル)を4本備えており、各フィラメント要素(コイル)は、参考形態1で示したように配され、かつ長さが4.0[mm]になっている。
(試験内容)
実施例1のフィラメント体および比較例1のフィラメント体のそれぞれに対し、以下の条件下で反射鏡の光軸に配されたフィラメント要素(以下、「中央フィラメント要素」という。)を固定し、中央フィラメント要素を囲うように林立するフィラメント要素(以下、「周辺フィラメント要素」という。)と中央フィラメント要素との軸間距離を変動させ、それに伴って中心照度がどのように変化するかシミュレーション試験を行った。
(その他の試験条件)
定格電力:65[w]
定格電圧:110[V]
ランプ光束:1100[lm]
反射鏡外径:50[mm](反射鏡開口径:41[mm])
反射鏡のタイプ:狭角タイプ(ビーム角:10[°]、誤差許容範囲:±2.5[°])
(試験結果)
シミュレーション試験の結果を図9に示す。図9に示すように、実施例1および比較例1のそれぞれにおいて、従来のフィラメント体が用いられたハロゲン電球に比べて中心照度の大きい上記軸間距離が存在することが確認でき、なおかつ、実施例1と比較例1とを比べると実施例1の中心照度が比較例1のそれより大きいことが確認できた。
(考察)
上記試験結果から、中央フィラメント要素から発せられる光束が周辺フィラメント要素に遮蔽されたために、周辺フィラメント要素の数が実施例1より多い比較例1において、中心照度が実施例1のそれに比べて低くなったと考えられる。
したがって、フィラメント体において、反射鏡の光軸に中央フィラメント要素が配され、その周囲に周辺フィラメント要素が配された構成を採用するとき、周辺フィラメント要素の数を増加させるに伴い、中心照度が低下傾向を示すと考えられる。
{最適間隙評価試験}
実施の形態1のフィラメント体136において、中心照度を最も高くすることが可能な、中央フィラメント要素と周辺フィラメント要素との間隙を確認するために、シミュレーション試験および実測試験の両方の評価試験を行った。
フィラメント要素の寸法やその他の試験条件は、上記評価試験と同じであるので、説明を省略する。
(シミュレーション試験の内容)
上記評価試験において用いられた実施例1のフィラメント体を備えたハロゲン電球において、中央フィラメント要素と周辺フィラメント要素との間隙を変動させ、それに伴って変化する中心照度を測定し、最も高い中心照度の得られる最適間隙を探るべくシミュレーション試験を行った。
(シミュレーション試験の結果)
シミュレーション試験の結果を図10に示す。図10に示すように、フィラメント要素どうしの間隙が0.015[mm]では、従来のフィラメント体を備えたハロゲン電球と比べて低いが、当該間隙が0.02[mm]から0.1[mm]までの間において、従来のものに比べて中心照度が増大し、かつ間隙の増大に伴って中心照度が上昇し、フィラメント要素同士の間隙が0.1[mm]から0.2[mm]の間において、中心照度が最大となり、フィラメント要素どうしの間隙が0.2[mm]以上では、当該間隙が大きくなるにしたがって、中心照度が低下し、したがって、フィラメント要素どうしの間隙が0.02[mm]以上1.3[mm]以下で従来のフィラメント体を備えたハロゲン電球に比べて中心照度が大きくなることが確認できた。
(シミュレーション試験の結果についての考察)
フィラメント要素どうしの間隙がかぎりなく0[mm]に近いと、各コイルから発せられた光が各コイルに遮られてしまうために、中心照度が従来のものに比べて低下したと考えられる。そして、フィラメント要素どうしの間隙が0.1[mm]以上0.2[mm]以下で中心照度が最大となるのは、当該間隙の場合に上記中心照度寄与領域にフィラメント体の存在する割合が最も高くなると考えられ、当該間隙が0.2[mm]を超えると、当該中心照度寄与領域にフィラメント体の存在する割合が徐々に減り、その結果、当該間隙が1.3[mm]を越えた時点で、従来のものに比べて中心照度が低くなったと考えられる。
したがって、定格電圧等の制約下では、理論上、フィラメント要素どうしの間隙が0.02[mm]以上1.3[mm]以下であれば、従来のものに比べて中心照度の増大、集光効率の向上を図ることができると考えられる。
(実測試験の内容)
上記評価試験において用いられた実施例1のフィラメント体を備えたハロゲン電球において、中央フィラメント要素と周辺フィラメント要素との間隙を変動させ、それに伴って変化する中心照度を測定し、最も高い中心照度の得られる最適間隙を探るべく実測試験を行った。同時に、所望のビーム角が得られる最適間隙を探るべく、上記間隙を変動させながら、それに伴って変化するビーム角を実際に測定した。
但し、試験を簡素化するために、照明装置そのものではなく、公知のハロゲン電球(松下電器産業株式会社製、品番:JDR110V65WKN/5E11、ミラー最外径:50[mm]、ミラー開口径:41[mm])のうち、フィラメント体を、当該比較試験にかかるフィラメント体に置換したものを用いて比較試験を行った。
比較試験では、サンプルのフィラメント体はいずれも、素線径が0.053[mm]、素線長さが463[mm]、そのピッチが0.074[mm]に設定され、タングステンを巻いてなるフィラメント要素を備えており、当該フィラメント要素では、その軸に垂直な平面において、輪郭は略トラック形状(長円形状)であり、上述した最大幅Wmaxが1[mm]、最小幅Wminが0.5[mm]に設定されている。
(実測試験の結果)
フィラメント要素同士の間隙と中心照度との関係を示した実測試験の結果を図11に、フィラメント要素同士の間隙とビーム角との関係を示した実測試験の結果を図12に示す。
図11から分かるように、当該間隙が0.3[mm]未満では、フィラメント要素どうしにおいて、アーク放電が発生し、また、短絡が発生したため、中心照度を測定することができず、当該間隙が0.3[mm]以上1.25[mm]未満では、中心照度が従来のものに比べて増大し、当該間隙が1.25[mm]以上では、中心照度が従来のものに比べて低くなった。
また、図12から分かるように、当該間隙が0.3[mm]未満では、上記の理由からビーム角を測定することができず、当該間隙が0.3[mm]以上0.75[mm]以下では、測定したビーム角が設定したビーム角の規格内(7.5度以上12.5度以下)に収まり、当該間隙が0.75[mm]より大きく1.1[mm]以下では、測定したビーム角が一般的に中角タイプと呼ばれるビーム角の下限(15度)を下回り、当該間隙が1.1[mm]より大きい場合では、測定したビーム角が一般的に中角タイプと呼ばれるビーム角の範囲に収まった。
(実測試験の結果についての考察)
上記試験結果から、定格電圧等の制約下では、設定したビーム角の規格(7.5度以上12.5度以下)を満たし、中心照度の増大、集光効率の向上を図るために、上記間隙は0.3[mm]以上0.75[mm]以下に設定されることが望ましい。なお、上記設定した規格(7.5度以上12.5度以下)を超えて、一般に中角タイプと呼ばれるビーム角の下限以下でも良いとするなら、上記間隙を0.3[mm]以上1.1[mm]以下に設定しても良い。
{中心照度および配光特性評価試験}
実施の形態1におけるフィラメント体136の構成によって、中心照度の増大および配光の均一化を図ることができることを確認するための評価試験を行った。
コイルの素線径、コイルの素線長、その他の条件は、中心照度(集光効率)比較試験で示したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
当該評価試験にて用意したサンプルは以下のとおりである。
図13は、当該評価試験で用いられた各サンプルについて、コイル軸に垂直な平面におけるコイル配置を模式的に示した概略構成図である。
(比較例1) 図13(a)は、比較例1のフィラメント体を、二次コイルの軸に垂直な平面において切断した概略断面図である。図13(a)に示すように、比較例1のフィラメント体は、所謂2重巻きコイルであり、詳細には、フィラメント体を螺旋状に巻いてなる1次コイルがさらに巻かれて2次コイルを形成している。
(比較例2) 図13(c)は、比較例2のフィラメント体を、その中心軸に垂直な平面において切断した断面図である。図13(c)に示すように、比較例2のフィラメント体では、4つのフィラメント要素(コイル)が設けられ、コイル巻き軸に垂直な平面において、略トラック(長円)状のコイル(フィラメント要素)が四方に配され、2つのフィラメント要素(コイル)の最大幅部をX軸が跨り、そして、残り2つのフィラメント要素(コイル)の最大幅部をY軸が跨って、かつX軸とY軸との直交点と反射鏡の光軸とが重なるように4つのフィラメント要素が配されている。
(比較例3) 図13(b)は、比較例3のフィラメント体を、その中心軸に垂直な平面において切断した断面図である。図13(b)に示すように、比較例3のフィラメント体は、コイル巻き軸に垂直な平面において、比較例2のフィラメント体を、X軸とY軸との直交点を軸にして45[°]回転させ、上記直交点を通りかつ最大幅部を跨ぐ中心線が45[°]の角度をもって配された隣り合うコイル(フィラメント要素)の最小間隙に反射鏡の光軸が配されるように、すなわちフィラメント体の中心軸が当該光軸からずれるように配されている。
(比較例4) 図13(d)は、比較例4のフィラメント体を、その中心軸に垂直な平面において切断した概略断面図である。図13(d)に示すように、比較例4のフィラメント体では、3つのフィラメント要素(コイル)が設けられ、コイル巻き軸に垂直な平面において、略トラック(長円)状のコイル(フィラメント要素)が、フィラメント要素(コイル)の中心軸を結ぶと直角二等辺三角形状となるように配され、かつ当該二等辺の交点が反射鏡の光軸と重なるように配されている。
(参考例1) 図13(e)は、参考例1のフィラメント体を、その中心軸に垂直な平面において切断した断面図である。図13(e)に示すように、参考例1のフィラメント体は、参考形態1で示したフィラメント体と同じであり、当該フィラメント体では、コイル巻き軸に垂直な平面において、2つのフィラメント要素(コイル)131,132の最短幅を跨ぐ中心線がY軸と重なるように配され、Y軸とX軸とが直交し、当該直交点と反射鏡の光軸とが重なるように配されている。
(実施例1) 図13(f)は、実施例1のフィラメント体を、その中心軸に垂直な平面において切断した断面図である。図13(f)に示すように、実施例1のフィラメント体は、実施の形態1で示したフィラメント体と同じであり、当該フィラメント体では、コイル巻き軸に垂直な平面において、3つのフィラメント要素(コイル)131,132,133それぞれの最小幅部を跨ぐ中心線がX軸上に配され、フィラメント要素131の最大幅部を跨ぐ中心線がY軸上に配され、当該X軸と当該Y軸とが直交し、当該直交点と反射鏡の光軸とが重なるように配されている。
(実施例2) 図13(g)は、実施例2のフィラメント体を、その中心軸に垂直な平面において切断した断面図である。図13(g)に示すように、実施例2のフィラメント体は、コイル巻き軸に垂直な平面において、フィラメント要素(コイル)の最大幅と最小幅との比が実施例1のフィラメント体と異なるのみであるので、その他の説明は省略する。当該フィラメント体を構成する各フィラメント要素は、コイル巻き軸に垂直な平面において、最大幅と最小幅との比が3:1となるように形成されている。
(評価試験の内容)
上記各サンプルを既述の条件で点灯させ、光源から1[m]離れた照射面における中心照度を測定し、比較例1の中心照度を基準とした各サンプルの照度比を求め、そして、図13で示したX軸、Y軸に対応した照射面でのそれらにおけるビーム角を測定し、その測定結果から照射面における配光の均一化を評価した。なお、評価基準は以下のとおりである。すなわち、X軸,Y軸におけるビーム角が7.5度以上12.5度以下であり、なおかつX軸およびY軸のうちいずれか一方におけるビーム角を基準にして他方のビーム角との差を算出したとき、当該差が、狭いほうのビーム角の10%以下である場合に照射面における配光の均一性が良いと判定した。
(評価試験の結果)
評価試験の結果を表1に示す。表1に示すように、比較例1のサンプルの中心照度ならびにビーム角を基準にして、その他のサンプルを評価すると、比較例2のサンプルでは、X軸のビーム角とY軸のそれとの間に大差はないが、いずれのビーム角も所望のビーム角である7.5度以上12.5度以下の範囲を大幅に上回り、なおかつ、中心照度が比較例1のそれに比べて低く(照度比にして12%減)、照射面において、同心円に近い配光が得られるが、中心部が暗く、配光の均一化を図れていない。
また、比較例3のサンプルでは、比較例1のサンプルに比べて中心照度が増大しているが(照度比にして17%増)、Y軸のビーム角が、12.5度を超えており、そのうえX軸のそれに比べて大きく、照射面において、配光がいびつで、同心円には程遠く、配光の均一化を図れていない。
そして、比較例4のサンプルでは、比較例1のサンプルに比べて中心照度が増大しているが(照度比にして40%増)、X軸のビーム角が7.5度を下回り、Y軸のそれに比べて小さく、照射面において、配光がいびつで、同心円には程遠く、配光の均一化を図れていない。
これらに対して、参考例1のサンプルでは、中心照度が比較例1のそれと比べて増大し(照度比にして28%増)、なおかつ、X軸のビーム角とY軸のそれとが大差なく、かついずれのビーム角も7.5度以上12.5度以下の範囲に収まり、所望の狭いビーム角が得られると共に配光の均一化を図ることができる。
また、実施例1のサンプルでは、X軸のビーム角とY軸のそれとが大差なく、かついずれのビーム角も7.5度以上12.5度以下の範囲に収まり、所望の狭いビーム角が得られるとともに中心照度が参考例1に比べて大きく、配光の均一化をよりいっそう図ることができる。
そして、実施例2のサンプルでは、X軸のビーム角とY軸のそれとが大差なく、かついずれのビーム角も7.5度以上12.5度以下の範囲に収まり、所望の狭いビーム角が得られるとともに中心照度が実施例1に比べて大きく、配光の均一化をよりいっそう図ることができる。
(考察)
上記結果および考察から、実施例1のサンプルでは、参考例1のサンプルに比べて周辺フィラメント要素(コイル)の数を減らしたことによって、中心フィラメント要素から発せられた光が周辺フィラメント要素に遮られることを抑制することができ、その結果、中心照度を増大させることができたと考えられる。
そのうえ、比較例4のサンプルおよび実施例1のサンプルにおける上記結果、考察から、フィラメント要素の巻き軸が同一平面上に配されるように、フィラメント要素をバルブ内に設けることによって、配光の均一化を図ることができたと考えられる。
さらに、上記結果および考察から、実施例2のサンプルのように、フィラメント要素の巻き軸に垂直な平面での各フィラメント要素の略トラック(長円)状の輪郭において、最大幅を最小幅に比べて大きくするにしたがって、各フィラメント要素の巻き軸方向の長さを短縮することができ、それによって上記中心照度寄与領域にフィラメント体が存在する割合を増大させることができ、したがって、よりいっそう中心照度を増大させることができると考えられる。ただし、最大幅を最小幅に比べて大きくするにしたがって、耐衝撃性、耐振動性および寿命が低下傾向を示すと考えられるので、当該弊害を抑制できる限度において、最大幅を最小幅に比べて大きくすることがより好ましいと考えられる。
(実施の形態2)
図14は、実施の形態2における反射鏡付きハロゲン電球の概略断面図である。
図14に示すように、本発明の第2の実施の形態である定格電力65[W](定格電圧110[V])の反射鏡付きハロゲン電球137は、ミラー径φ5が35[mm]〜100[mm]、例えば最外径50[mm]の凹面状の反射鏡138と、この反射鏡138の内部に配置されたハロゲン電球139と、反射鏡138の端部に取り付けられた例えばE形の口金140とを備えている。
ハロゲン電球139のバルブ142の長手方向の中心軸X8は、反射鏡138の光軸Y7と略一致している。
反射鏡138は、硬質ガラスまたは石英ガラス等からなり、一端部に光を照射する開口部143を、他端部に筒状のネック部144をそれぞれ有し、内面に回転楕円面または回転放物面等からなる回転体の反射面145が形成されている。開口部143には、前面ガラス146が設けられ、かつ公知の止め金具(図示せず)によって固定されている。前面ガラス146の固定方法としては、止め金具に代えて公知の接着剤(図示せず)を用いたり、止め金具と接着剤とを併用したりすることもできる。もっとも、前面ガラス146は必ずしも設ける必要はない。
ネック部144の外側には、口金140がこのネック部144のほぼ全体を覆うように設けられ、接着剤147を介して固着されている。一方、ネック部144内には、ハロゲン電球139の封止部148が挿入され、同じく接着剤147を介して固着されている。
反射面145には、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等からなる多層干渉膜が形成されている。反射面145には必要に応じてファセットを形成してもよい。
ハロゲン電球139は、石英ガラスや硬質ガラス等からなるバルブ142と、上記した第1の参考形態である照明装置110におけるハロゲン電球114で用いられている発光体127とを備えている。つまり、ハロゲン電球139は、バルブ142の形状が異なる点を除いてハロゲン電球114と同じ構成を有している。したがって、ハロゲン電球139の構成の詳細については、主にハロゲン電球114の構成と異なる点について説明する。
発光体127の両端部には、例えばタングステン製の内部リード線128の一端部がそれぞれ電気的に、かつ機械的に接続されている。内部リード線128の他端部は、封止部148に封止されているモリブデン製の金属箔129を介して外部リード線130の一端部に接続されている。外部リード線130の他端部は、バルブ142の外部に導出しており、口金140の端子部分141a,141bにそれぞれ電気的に接続されている。
バルブ142には、封止切りの残痕であるチップオフ部149、一端部(チップオフ部148側の端部)がテーパ状になった略円筒形状の発光部150、および公知のピンチシール法によって形成された封止部148がそれぞれ順次連なるように形成されている。このバルブ142の外面には可視光透過赤外線反射膜が形成されていないが、必要に応じて発光部150等の外面に可視光透過赤外線反射膜を形成してもよい。
なお、バルブ142の形状としてはチップオフ部149、一端部がテーパ状になった略円筒形状の発光部150、および封止部148がそれぞれ順次連なって形成されたものに限らず、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、テーパ部分のない略円筒形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部、縮径部、筒部および封止部がそれぞれ順次連なって形成されたバルブ、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部、縮径部および封止部が順次連なって形成されたバルブ、またはチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ等の公知の種々の形状のバルブを用いることができる。もちろん、発光部の形状として略回転楕円体形状に代えて、略球形状のものや略複合楕円体形状のものも用いることができる。
発光体127は、図4および図5に示すように、並置された複数の、例えば4つのコイル131,132,133,134を有している。これら4つのコイル131,132,133,134は、電気的に直列接続されている。また、この発光体127は、反射鏡138に対するその位置が反射鏡138の焦点F7を含む位置にある。つまり、発光体127を、4つのコイル131,132,133,134を一体的に見立てて一つの柱体(図4および図5の破線で示す部分)としたとき、焦点F7がその柱体の内部または表面上に位置している。したがって、実際の発光体127で見た場合、その焦点F7はコイル131,132,133,134の内部もしくは表面上、または各コイル(131,132)、(131,133)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)同士の間に位置している。図14に示す例では、発光体127の中心点が反射鏡138の焦点F7上にほぼ位置している。もっとも、図5に示すように発光体の表面上の点F0が焦点F7上に位置していてもよい。
なお、図14では、コイル131,132,133,134を一体化し、発光体127を一つの柱体と捉えて模式的に示している。
次に、各コイル131,132,133,134の位置関係は、図4および図5に示すとおりである。
すなわち、図4に示すとおり各々のコイル131,132,133,134の一端面は略同一平面上にある。また、コイル131,132,133,134のコイル長Ls4が全て同じであるために、各々のコイル131,132,133,134の他端面も略同一平面上にある。特に、コイル131,132,133,134の端面のうち、封止部120とは反対側の端面は、それぞれ略同一平面上に位置していることが好ましい。これにより、各コイル131,132,133,134によって照射される照射面への照度を一様にし、均一な配光曲線を得ることができる。
また、図5に示すとおり各コイル131,132,133,134をその長手方向から見た場合において、コイル131とコイル133とは、バルブ142の長手方向の中心軸X7を挟んで1.2[mm]の間隔をあけて対向し、かつ各コイル131,133の長軸方向b41(b43)が略一致しつつ、その中心軸X7に対して垂直に交わるように配置されている。一方、コイル132とコイル134とは、バルブ142の長手方向の中心軸X7を挟んで0.4[mm]の間隔をあけて対向し、かつ各コイル132,134の長軸方向b42(b44)が略一致しつつ、その中心軸X7に対して垂直に交わるように配置されている。そして、長軸方向b41(b43)と長軸方向b42(b44)とは垂直に交わっており、その交点は中心軸X7上にある。
ここで、隣合うコイル同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)は、コンパクトな発光体127を得るために可能な限り接近していることが好ましい。しかし、隣合うコイル同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)が接近しすぎていると、点灯中、ハロゲン電球114に振動が加わった際、隣合うコイル同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)がその振動によって接触して短絡するおそれがある。また、コイル同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)が最も隣接している部分は、その他の部分よりもコイル131,132,133,134の温度が高くなるために、タングステン線のタングステンの蒸発が激しく、短寿命になるおそれがある。そこで、点灯中、ハロゲン電球114に振動が加わった場合でも、隣合うコイル同士(131,132)、(131,134)、(132,133)、(132,134)、(133,134)が接触して短絡するのを防止するとともに、短寿命化を防止するために、0.2[mm]以上にすることが好ましい。
以上のとおり本発明の第2の実施の形態にかかる反射鏡付きハロゲン電球137の構成によれば、第一に一重巻きコイルを用いているので、多重巻きコイルとは異なり耐振動性を高くすることができ、ピッチを多重巻きコイルのピッチに比して十分に小さくすることができるとともに、第二に一重巻きコイルを分割して複数化し、しかもコイル131,132,133,134(図4、図5参照)を長手方向から見た外形形状が略円形形状とは異なる形状となるようにしているので、発光体127として光軸Y7方向に対して十分に短縮化することができる。その結果、反射鏡138内における中心照度に寄与する領域に存在する発光体127の割合を増加させることができ、集光効率を向上させることができる。
また、このように中心照度を向上させることができるために、従来の反射鏡付きハロゲン電球のように可視光透過赤外線反射膜を形成して中心照度を向上させる必要がなくなり、つまり従来の二重巻きコイルを用いた反射鏡付きハロゲン電球であって、バルブの外面に可視光透過赤外線反射膜が形成されているものの中心照度とほぼ同じ中心照度を得ることができる。その結果、可視光透過赤外線反射膜自体のコストやそのプロセスにかかるコストを削減することができ、また膜形成のためのプロセスを省くことができるので、生産効率を大幅に向上させることができる。
なお、上記した本発明の第2の実施の形態にかかる反射鏡付きハロゲン電球137においても、図4および図5に示すフィラメント体127に代えて、実施の形態1のフィラメント体136を用いた場合であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態である照明装置は、本発明の第2の実施の形態にかかる反射鏡付きハロゲン電球137が図1に示す第1の参考形態である照明装置110の照明器具113(反射鏡112を除く)に取り付けられている点を除いて第1の参考形態である照明装置110と同じ構成を有している。
以上のとおり本発明の第3の実施の形態にかかる照明装置の構成によれば、第一に一重巻きコイルを用いているので、多重巻きコイルとは異なり耐振動性を高くすることができ、ピッチを多重巻きコイルのピッチに比して十分に小さくすることができるとともに、第二に一重巻きコイルを分割して複数化し、しかもコイル131,132,133,134(図4,5参照)を長手方向から見た外形形状が略円形形状とは異なる形状となるようにしているので、発光体127(図1等参照)として光軸Y6方向に対して十分に短縮化することができる。その結果、反射鏡138(図14参照)内における中心照度に寄与する領域に存在する発光体127の割合を増加させることができ、集光効率を向上させることができる。
なお、上記した本発明の第3の実施の形態にかかる照明装置においても、図4および図5に示すフィラメント体127に代えて、実施の形態1で用いられたフィラメント体136を用いた場合であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。
(参考形態2)
以下、参考形態について、図面を用いて説明する。
図15に示すように、第2の参考形態である定格電力65[W](定格電圧110[V])の反射鏡付きハロゲン電球1は、凹面状の反射鏡2と、この反射鏡2の内部に配置されたハロゲン電球3と、反射鏡2の端部に取り付けられた例えばE形の口金4とを備えている。
本参考形態において、反射鏡2のミラー径φ1は、35[mm]以上100[mm]以下であれば良く、本参考形態では、50[mm]に設定している。
ハロゲン電球3の長手方向の中心軸X1は、反射鏡2の光軸Y1と略一致している。
反射鏡2は、硬質ガラスまたは石英ガラス等からなり、一端部に光を照射する開口部5を、他端部に筒状のネック部6をそれぞれ有し、内面に回転楕円面または回転放物面等からなる反射面7が形成されている。反射面7には必要に応じてファセットを形成してもよい。
開口部5には、前面ガラス8が設けられ、かつ公知の止め金具(図示せず)、公知の接着剤(図示せず)またはそれらの併用によって固定されている。もっとも、前面ガラス8は必ずしも設ける必要はない。
ネック部6の外側には、口金4がこのネック部6のほぼ半分を覆うように設けられ、接着剤9を介して固着されている。一方、ネック部6内には、後述するハロゲン電球3の封止部12が挿入され、同じく接着剤9を介して固着されている。
反射面7には、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等からなる多層干渉膜が形成されている。
ハロゲン電球3は、封止切りの残痕であるチップオフ部10、略円筒状の発光部11、および公知のピンチシール法によって形成された封止部12がそれぞれ順次連なって形成された石英ガラスや硬質ガラス等からなるバルブ13と、発光体であるフィラメント体14、内部リード線15、金属箔16および外部リード線17がそれぞれ順次接続された組立体18とを有している。
バルブ13の外面には、必要に応じて可視光透過赤外線反射膜を形成してもよい。
発光部11内には、既述のフィラメント体14が配置されているとともに、ハロゲン物質と希ガスとがそれぞれ所定量封入されている。フィラメント体14の両端部には、例えばタングステン製の内部リード線15の一端部がそれぞれ接続されている。内部リード線15の他端部は、封止部12に封止されているモリブデン製の金属箔16を介して外部リード線17の一端部に接続されている。外部リード線17の他端部は、バルブ13の外部に導出しており、口金4の端子部分4a,4bにそれぞれ電気的に接続されている。
フィラメント体14は、図16および図17に示すように直線状に伸びた複数の1重巻きコイルからなり、各々が、例えばタングステン製であって、かつ各々が電気的に直列接続されている1つの中央フィラメント要素19と3つの周辺フィラメント要素20,21,22とから構成されている。この一重巻きコイルを構成しているタングステン線の線径は0.015[mm]〜0.100[mm]、例えば0.050[mm]である。
なお、図16および図17では、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22をそれぞれ模式的に円柱体として描いている。
中央フィラメント要素19は、その長手方向の中心軸a1が反射鏡2の光軸Y1上に略位置している。周辺フィラメント要素20,21,22は、中央フィラメント要素19の周りに、その長手方向の中心軸b1,c1,d1が中央フィラメント要素19の長手方向の中心軸a1と略平行になるように配置されている。また、これら3つの周辺フィラメント要素20,21,22は、図17に示すように、各々の長手方向の中心軸b1,c1,d1と中央フィラメント要素19の長手方向の中心軸a1に対して垂直な任意の平面P1とが交わる交点をそれぞれ結んだ際、中央フィラメント要素19の長手方向の中心軸a1上の点を重心(「図心」)とする略正三角形を形成するように配列されている。つまり、中央フィラメント要素19と各々の周辺フィラメント要素20,21,22との間の距離D1は全て略等しく、かつある一つの周辺フィラメント要素20(21または22)とこれと隣り合う二つの周辺フィラメント要素21,22(20,22または20,21)との間の距離D2はそれぞれ略等しいことを意味している。
なお、ここで言う「略位置している」とは、理想的には中心軸a1が反射鏡2の光軸Y1上に完全に位置していることが好ましいが、製造工程における位置合わせ精度のばらつきによって実用上、中心軸a1が反射鏡2の光軸Y1からずれる場合があり、その場合も含むことを意味している。また、「略平行」および「略正三角形」についても、フィラメント体14の組立工程における組立て精度のばらつきによって完全に平行にし、完全な正三角形を形成することは難しく、実用上、完全な平行および完全な正三角形からずれた位置関係およびずれた形状になる場合があり、その場合も含むことを意味している。距離D1および距離D2が「略等しい」もこれと同様である。
また、中央フィラメント要素19は、図16に示すように反射面7を形成している回転体の焦点F1の位置を含み、かつ中央フィラメント要素19の中心軸a1上にある中心点A1が上記焦点F1の位置よりも開口部5とは反対側に位置するように配置されている。
また、周辺フィラメント要素20,21,22もこれに準じており、各周辺フィラメント要素20,21,22は、それぞれ後述する反射鏡2内の点Fb1,Fc1,Fd1(図16では、点Fb1,Fc1のみを図示する)の位置を含み、かつ各周辺フィラメント要素20,21,22の中心軸b1,c1,d1上にある中心点B1,C1,D1(図16では、点B1,C1のみを図示する)が上記の点Fb1,Fc1,Fd1の位置よりも開口部5とは反対側に位置するように配置されている。ただし、点Fb1,Fc1,Fd1は、反射面7を形成している回転体の焦点F1の位置を含むとともに反射鏡2の光軸Y1に対して垂直に交わる平面Q1と、中心軸b1,c1,d1との交点をそれぞれ示す。一例として、焦点F1と中心点A1との間の距離は2.35[mm]であり、点Fb1,Fc1,Fd1と中心点B1,C1,D1との間の距離はそれぞれ1.21[mm]である。
ここで、周辺フィラメント要素20,21,22の開口部5側の端は、それぞれ略同一平面内に位置していることが好ましい。これにより、各周辺フィラメント要素20,21,22によって照射される照射面への照度を一様にし、均一な配光曲線を得ることができる。
このようなフィラメント体14は、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22が一つの円柱体内に収まり、この円柱体を、仮想的に中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22を一体化した1つのフィラメントとしてみなすことができる。
中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長は、中央フィラメント要素19のコイル長をLC1[mm]、周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長をLS1[mm]とした場合、後述する理由により、0.2≦LS1/LC1≦0.9なる関係式を満たすように設定されている。ただし、各周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長LS1はそれぞれ略等しい。もちろん、「略等しい」とは、上記と同様にコイルの製造工程上におけるばらつきによって、各々のコイル長LS1がばらつく場合も含むことを意味している。
一般的に、フィラメント体14のコイルを構成するタングステン線の長さはハロゲン電球3の定格電力に応じて決定される。一例として、定格電力65[W]のハロゲン電球3に用いられるもののタングステン線の長さは例えば420[mm]〜480[mm]、定格電力20[W]のハロゲン電球3に用いられるもののタングステン線の長さは例えば250[mm]〜300[mm]、定格電力100[W]のハロゲン電球3に用いられるもののタングステン線の長さは例えば540[mm]〜620[mm]である。したがって、各コイル長LC1,LS1は、コイルのピッチ(隣り合うコイル部分同士の間隔)pやコイルの最大外径R1を適宜変更することによって調整することができる。その一例として、定格電力65[W]のハロゲン電球3に用いられるものの場合、その一重巻きのコイルのピッチpは、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22のいずれにおいても0.05[mm]〜0.07[mm]の範囲に設定されている。また、その一重巻きのコイルの最大外径R1は、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22のいずれにおいても0.5[mm]〜1.2[mm]の範囲に設定されている。
また、中央フィラメント要素19と各々の周辺フィラメント要素20,21,22との間の距離D1は、それぞれ0.1[mm]〜2.2[mm]の範囲に設定されていることが好ましい。これにより、上記従来のハロゲン電球に比べて、上記中心照度寄与領域内におけるフィラメント体14の密度をより大きくすることができ、中心照度を極めて高くすることができ、また点灯中、中央フィラメント要素19と周辺フィラメント要素20,21,22との間でアーク放電が発生し、そのアーク放電によって中央フィラメント要素19や周辺フィラメント要素20,21,22が断線するのを防止することができる。一方、距離D1が0.1[mm]未満の場合、点灯中、中央フィラメント要素19と周辺フィラメント要素20,21,22との間でアーク放電が発生し、そのアーク放電によって中央フィラメント要素19や周辺フィラメント要素20,21,22が断線するおそれがある。また、距離D1が2.2[mm]を超える場合、上記従来のハロゲン電球に比べて、中心照度寄与領域内におけるフィラメント体14の密度が小さくなり、中心照度を極めて十分に高くすることができなくなったり、周辺フィラメント要素20,21,22によって照射面における中心部分の周辺領域の照度が増大したりするおそれがある。
ここで、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22を構成するコイルとして、一重巻きコイル以外に二重巻きコイルや三重巻きコイルも用いることができるが、中心照度をより大きくするという観点からは、二重巻きコイルや三重巻きコイルに比してピッチpを小さくすることができ、中心照度寄与領域内におけるフィラメント体14の密度をより大きくすることができる一重巻きコイルを用いることが好ましい。
次に、中央フィラメント要素19のコイル長をLC1[mm]、周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長をLS1[mm]とした場合、0.2≦LS1/LC1≦0.9なる関係式を満たすように規定した理由について説明する。
まず、上記した定格電力65[W]の反射鏡付きハロゲン電球1について、中央フィラメント要素19のコイル長LC1、および周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長LS1を表2に示すとおり種々変化させたものをそれぞれ5本ずつ作製した。そして、各々作製したものを定格電力で点灯させ、そのビーム角(度)および中心照度[lx]を調べたところ、表2および図18(LS1/LC1とビーム角との関係)に示すとおりの結果が得られた。また、代表的な配光曲線としてLS1/LC1=0.9の場合のものを図19に、LS1/LC1=0.6の場合のものを図20にそれぞれ示した。
なお、作製した各サンプルにおいて、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22はいずれも一重巻きコイルからなり、そのピッチpが0.05[mm]〜0.07[mm]、最大外径R1が0.65[mm]のものを用いた。また、距離D1は1.5[mm]である。
また、表2中、「ビーム角」は5本のサンプルの平均値を示す。ビーム角は現在市販されているものの主流である10度(許容範囲:7.5度〜12.5度)を評価基準とした。
さらに、「中心照度」は5本のサンプルの平均値を示す。現在、市販されているビーム角10度の定格電力65[W](定格電圧110[V])の反射鏡付きハロゲン電球(以下、「従来品」という)では、その中心照度が例えば6500[cd]である。そこで、評価基準としては、市場からの要望等を考慮し、従来品の中心照度(6500[lx]、中心光度換算で6500[cd])に対して約10%増し、つまり7200[lx](中心光度換算で7200[cd])以上を評価基準とした。
表2から明らかなように、0.2≦LS1/LC1≦0.9なる関係式を満たす場合、例えばLS1/LC1=(0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9)の場合、その中心照度は従来品の中心照度(6500[lx]、中心光度換算で6500[cd])を越える8500[lx](中心光度換算で8500[cd])以上であり、しかもそのビーム角は7.5度〜12.5度の範囲にあり、いずれも上記した評価基準を満たすことがわかった。このことは図19および図20に示す配光曲線からも明らかであり、照射面における中心部分の照度は高く、照射光がその中心部分の周辺領域へ広がっていない。一方、LS1/LC1>0.9なる関係式を満たす場合、例えばLS1/LC1=(1.0)の場合、その中心照度は従来品の中心照度(6500[lx]、中心光度換算で6500[cd])を越えており上記した評価基準を満足するものの、そのビーム角は13.0度であって上記した評価基準を満たさないことがわかった。また、LS1/LC1<0.2なる関係式を満たす場合、例えばLS/LC=(0,0.1)の場合、そのビーム角は7.5度であって上記した評価基準を満足するものの、その中心照度は上記した評価基準を満たさないことがわかった。このような結果となった理由については次のように考えられる。LS1/LC1≦0.9なる関係式を満たし、中央フィラメント要素19のコイル長LC1を周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長LS1に対して適度な範囲で相対的に長くすることにより、照射面における中心部分の周辺領域の照度の増減に大きく寄与する周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長LS1を適度に短くすることができる一方、その分、照射面における中心部分の照度(中心照度)の増減に大きく寄与する中央フィラメント要素19のコイル長LC1をできるだけ長くすることができる。その結果、第一に、周辺フィラメント要素20,21,22による照射面の中心部分に対する照度の増大への寄与を残しつつ、照射面における中心部分の周辺領域の照度を可能な限り低減することができる。第二に、中央フィラメント要素19のコイル長LC1の増大によって照射面の中心部分への照度を一層増大させることができる。そして、これらの結果が重なり合って図19および図20に示すような良好な配光曲線が得られたと考えられる。しかしながら、LS1/LC1<0.2なる関係式を満たしてしまうと、中央フィラメント要素19のコイル長LC1は長くなるものの、反射鏡2内における中心照度寄与領域から外れる部分も多くなる上、中央フィラメント要素19のコイル長LC1に対する周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長LS1の相対的な長さがあまりにも小さくなりすぎ、周辺フィラメント要素20,21,22を設置した効果が著しく減ってしまったと考えられる。一方、LS1/LC1>0.9なる関係式を満たす場合では、中央フィラメント要素19のコイル長LCが周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長LS1に対して相対的に十分長くないので、周辺フィラメント要素20,21,22によって照射面における中心部分の周辺領域の照度が増大してしまい、所望のビーム角が得られなかったと考えられる。
したがって、中央フィラメント要素19のコイル長をLC1[mm]、周辺フィラメント要素20,21,22のコイル長をLS1[mm]とした場合、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22の両者の寄与によって中心照度を増大させつつ、所望のビーム角(狭角)を得て良好な配光特性を実現するために、0.2≦LS1/LC1≦0.9なる関係式を満たすように、すなわち、(LS1/LC1)の値が0.2以上0.9以下となるようにすべきことがわかった。
以上のとおり第2の参考形態にかかる反射鏡付きハロゲン電球1の構成によれば、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22の両者の寄与によって中心照度を上げつつも、周辺フィラメント要素20,21,22による照射光の広がりを抑制することができ、狭いビーム角を得て良好な配光特性を実現することができる。
(参考形態3)
次に、第3の参考形態である照明装置は、例えばスポットライト等の一般照明として使用されるものであって、上記した第2の参考形態である定格電力65[W]の反射鏡付きハロゲン電球1が公知の種々の照明器具(図示せず)に取り付けられた構成を有している。
このような第3の参考形態にかかる照明装置の構成によれば、中心照度が高く、狭いビーム角で良好な配光特性を実現することができる照明装置を提供することができる。
(参考形態4)
次に、第4の参考形態である照明装置は、例えばスポットライト等の一般照明として使用されるものであって、上記した第2の参考形態である定格電力65[W]の反射鏡付きハロゲン電球1に用いられているハロゲン電球3と、このハロゲン電球3の封止部12側の端部に取り付け可能な公知の種々の口金、例えばE形の口金(図示せず)とを備えた構成を有するハロゲン電球が、当該照明装置内に備えられた反射鏡部に取り付けられてなる。
なお、反射鏡部は、その反射面が回転楕円面または回転放物面等からなり、照明器具に固定されて取り替え不可能なものであってもよく、使用用途等に合わせて取り替え可能なものであってもよい。
このような第4の参考形態にかかるハロゲン電球の構成によれば、上記した第2の参考形態である反射鏡付きハロゲン電球1と同様に、中央フィラメント要素19および周辺フィラメント要素20,21,22の両者の寄与によって中心照度を上げつつも、周辺フィラメント要素20,21,22による照射光の広がりを抑制することができ、狭いビーム角を得て良好な配光特性を実現することができる。
そして、上記した本発明の第2の実施の形態である照明装置と同様に、中心照度が高く、狭いビーム角で良好な配光特性を実現することができる照明装置を提供することができる。
なお、上記各参考形態では、3つの周辺フィラメント要素20,21,22を略正三角形を形成するように配列した場合について説明したが、これ以外に、4つの周辺フィラメント要素を略正方形を形成するように配列した場合や、5つの周辺フィラメント要素を略正五角形を形成するように配列した場合、6つの周辺フィラメント要素を略正六角形を形成するように配列した場合、またはそれ以上の場合であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記各参考形態では、定格電力65[W]のハロゲン電球3を用いた場合について説明したが、これに限らず、例えば定格電力20[W]〜150[W]のハロゲン電球を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記各参考形態では、ハロゲン電球3におけるガラスバルブ13の形状としてチップオフ部10、略円筒状の発光部11および封止部12がそれぞれ順次連なって形成されたものを用いた場合について説明したが、これに限らずチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略球状または略回転楕円体状の発光部および封止部が順次連なって形成されたガラスバルブや、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略球状または略回転楕円体状の発光部、縮径部および封止部が順次連なって形成されたガラスバルブ、またはチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略球状または略回転楕円体状の発光部、縮径部、円筒部および封止部が順次連なって形成されたガラスバルブ等の公知の種々の形状のガラスバルブを用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記各参考形態では、ハロゲン電球3を用いた場合について説明したが、この種のハロゲン電球3に代えて公知の種々の白熱電球を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができるものである。
以下、参考形態について、それぞれ図面を用いて説明する。
(参考形態5)
図21に示すように、第5の参考形態である定格電力65[W](定格電圧110[V])のハロゲン電球31は、石英ガラスや硬質ガラス等からなるバルブ32と、後述するバルブ32の封止部40側に公知の接着剤33によって固着された例えばE形の口金34とを備えている。
バルブ32には、封止切りの残痕であるチップオフ部36、略回転楕円体形状の発光部37、縮径部38、略円筒状の筒部39および公知のピンチシール法によって形成された封止部40がそれぞれ順次連なるように形成されている。このバルブの外面のうち、チップオフ部36、発光部37および縮径部38の外面には、可視光透過赤外線反射膜41が形成されている。
なお、ここで言う「略回転楕円体形状」とは、完全な回転楕円体形状の場合はもちろんのこと、ガラスの加工上のばらつきによって完全な回転楕円体形状からずれてしまう場合も含むことを意味している。
発光部37内には、フィラメント体42が配置されているとともに、ハロゲン物質と希ガス、またはハロゲン物質と希ガスと窒素ガスとがそれぞれ所定量封入されている。
フィラメント体42の両端部には、例えばタングステン製の内部リード線43の一端部がそれぞれ接続されている。内部リード線43の他端部は、封止部40に封止されているモリブデン製の金属箔44を介して外部リード線45の一端部に接続されている。外部リード線45の他端部は、バルブ32の外部に導出しており、口金34の端子部分35a,35bにそれぞれ電気的に接続されている。
フィラメント体42は、図22および図23に示すように、3つのフィラメント要素46,47,48を有している。これらのフィラメント要素46,47,48は、いずれもタングステン製であって、直線状に伸びた円筒状の一重巻きコイルからなり、各々が電気的に直列に接続されている。この一重巻きコイルを構成しているタングステン線の線径は0.015[mm]〜0.100[mm]、例えば0.050[mm]である。
なお、図22および図23では、フィラメント要素46,47,48をそれぞれ模式的に円柱体として描いている。
また、これら3つのフィラメント要素46,47,48は、図23に示すように、その長手方向の中心軸b2,c2,d2がバルブ32の長手方向の中心軸X2と略平行であり、かつバルブ32の長手方向の中心軸X2を囲むように林立した状態であって、各々の長手方向の中心軸b2,c2,d2とバルブ32の長手方向の中心軸X2に対して垂直な任意の平面P2とが交わる交点をそれぞれ結んだ際、バルブ32の長手方向の中心軸X2上の点を重心(図心)とする略正三角形を形成するように配列されている。つまり、ある一つのフィラメント要素46(47または48)とこれと隣り合う二つのフィラメント要素47,48(46,48または46,47)との間の距離D3はそれぞれ略等しく、かつ各フィラメント要素46,47,48とバルブ32の長手方向の中心軸X2との間の距離D4もそれぞれ略等しいことを意味している。
なお、ここで言う「略平行」および「略正三角形」とは、フィラメント体42の組立工程やバルブ32とフィラメント体42との組立工程における組立て精度のばらつきによって完全に平行にし、完全な正三角形を形成することは難しく、実用上、完全な平行からずれた位置関係、および完全な正三角形からずれた形状となり得る場合があり、その場合も含むことを意味している。距離D3および距離D4が「略等しい」もこれと同様である。
このようなフィラメント体42は、各フィラメント要素が外径(最大外径)r1[mm]を有する一つの円柱体内に収まり、この円柱体を、仮想的に各フィラメント要素46,47,48を一体化した1つのフィラメントとしてみなすことができる。そうした場合において、バルブ32のうち、フィラメント体42が位置している部分の最大内径をR2(図21参照)[mm]、1つのフィラメントとみなしたフィラメント体42の最大外径をr1[mm]としたとき、後述する理由により、0.25≦r1/R2≦0.75なる関係式を満たすように設定されている。
その際、個々のフィラメント要素46,47,48の最大外径r0およびコイル長LS2は、各フィラメント要素46,47,48から照射面へ照射される照度が一様になるようにするために、最大外径r0およびコイル長LS2のうちの少なくとも一方の寸法を同じ大きさにすることが好ましく、いずれの寸法も同じ大きさにすることがさらに好ましい。もっとも、その最大外径r0およびコイル長LS2は、フィラメント要素の製造工程における加工ばらつきによって、個々のフィラメント要素46,47,48間でばらつく場合がある。
また、各フィラメント要素46,47,48の端のうち、封止部40とは反対側の端は、それぞれ略同一平面内に位置していることが好ましい。これにより、各フィラメント要素46,47,48によって照射される照射面への照度を一様にし、均一な配光曲線を得ることができる。
ここで、最大外径r1は、各フィラメント要素46,47,48の最大外径r0と隣り合う二つのフィラメント要素の間の距離D3(または上記距離D4)を適宜変更することによって調整することができる。また、一般的に、フィラメント体42のコイルを構成するタングステン線の長さはハロゲン電球の定格電力に応じて決定される。一例として、定格電力65[W]のハロゲン電球に用いられるもののタングステン線の長さは例えば420[mm]〜480[mm]、定格電力20[W]のハロゲン電球に用いられるもののタングステン線の長さは例えば250[mm]〜300[mm]、定格電力100[W]のハロゲン電球に用いられるもののタングステン線の長さは例えば540[mm]〜620[mm]である。したがって、各フィラメント要素46,47,48の最大外径r0は、各フィラメント要素46,47,48のコイル長LS2や、コイルのピッチ(隣り合うコイル部分同士の間隔)を適宜変更することによって調整することができる。一例として、定格電力65[W]のハロゲン電球に用いられるものの場合、図8および図9に示すように、フィラメント体42が同寸法の一重巻きコイルからなる3つのフィラメント要素46,47,48から構成されているとして、コイル長LS2は4.0[mm]〜6.7[mm]の範囲に設定されている。また、コイルのピッチは、0.05[mm]〜0.07[mm]の範囲に設定されている。
ここで、フィラメント要素46,47,48を構成するコイルとして、一重巻きコイル以外に二重巻きコイルや三重巻きコイルも用いることができる。
次に、バルブ32のうち、フィラメント体42が位置している部分の最大内径をR2[mm]、フィラメント体42の最大外径をr1[mm]とした場合、0.25≦r1/R2≦0.75なる関係式を満たすように規定した理由について説明する。
まず、上記した定格電力65[W]のハロゲン電球31において、バルブ32のうち、フィラメント体42が位置している部分の最大内径R2を12mmと一定にし、フィラメント体42の最大外径r1[mm]を、隣り合う二つのフィラメント要素の間の距離D3を適宜変えることによって表3に示すとおり種々変化させたものをそれぞれ10本ずつ作製した。そして、各々作製したものを定格電力で点灯させ、3500時間点灯経過時までと4000時間点灯経過時までとにフィラメント体42が断線したものの本数、およびフィラメント体42が断線しなかったもののうち、4000時間点灯経過時においてバルブ32の内面に黒化が発生したものの本数についてそれぞれ調べたところ、同じく表3に示すとおりの結果が得られた。
なお、表3中、「断線の有無」欄において、分母が全サンプル数を、分子が全サンプル数のうちフィラメント体42が断線したものの本数をそれぞれ示している。また、「黒化の有無」欄についても、分母が全サンプル数のうち断線しなかったものの数を、分子が断線しなかったサンプル数のうちバルブ32の内面に黒化が発生したものの本数をそれぞれ示している。ただし、黒化の判定は、目視においてバルブ32の内面に黒い着色物が付着していることを確認できた場合を「黒化有り」と判定している。この黒い着色物は、フィラメント体42の構成材料であるタングステンが点灯中に蒸発し、付着したものである。
また、点灯方法としては、5.5時間点灯、0.5時間消灯を1サイクルとしてこれを繰り返した。「点灯経過時間」とはその点灯時間の累積時間である。
また、作製した各サンプルにおいて、フィラメント要素46,47,48はいずれも同じ形状、同じ寸法の一重巻きコイルからなり、そのピッチpが0.05[mm]〜0.07[mm]、最大外径r0が0.65[mm]、コイル長LS2が5.4[mm]である。
表3から明らかなように、0.25≦r1/R2≦0.75なる関係式を満たす場合、例えばr1/R2=(0.25,0.35,0.50,0.75)の場合、いずれのサンプルについても3500時間点灯経過時までにフィラメント体42が断線したものはなく、また4000時間点灯経過時までにバルブ32の内面に黒化が発生したものもなかった。特に、0.35≦r1/R2≦0.75なる関係式を満たす場合、例えばr1/R2=(0.35,0.50,0.75)の場合、いずれのサンプルについても4000時間点灯経過時までにフィラメント体42が断線したものはなかった。
一方、0.25>r1/R2なる関係式を満たす場合、例えばr1/R2=(0.20)の場合、10本中8本のサンプルは4000時間点灯経過時までにフィラメント体42が断線してしまったが、断線せずに残った2本のサンプルはいずれもバルブ32の内面に黒化が発生していなかった。また、r1/R2>0.75なる関係式を満たす場合、例えばr1/R2=(0.80)の場合、10本中全サンプルにおいて4000時間点灯経過時までにフィラメント体42が断線したものはなかったものの、10本中全てのものにおいてバルブ32の内面に黒化が発生していた。
なお、断線した場所は、いずれのサンプルもフィラメント要素46,47,48の中央付近であった。
このような結果となった理由については次のように考えられる。
つまり、0.25>r1/R2なる関係式を満たす場合、バルブ32とフィラメント体42との間の隙間が大きくなり、点灯中、バルブ32とフィラメント体42との間で発生する対流層が厚くなる。その結果、点灯中に蒸発したフィラメント体42の構成材料であるタングステンの移動速度が速くなり、それに応じてタングステンの蒸発量が増加する。
したがって、フィラメント体42を構成するコイルのタングステン線(以下、単に「タングステン線」という)がこのタングステンの蒸発によって細り、断線に至ったと考えられる。一方、r1/R2>0.75なる関係式を満たす場合、バルブ32とフィラメント体42との間の隙間は小さくなるものの、バルブ32がフィラメント体42に近接しすぎて、点灯中、バルブの温度がかなり高温になる。そして、逆に高温となったバルブ32からの輻射熱によってフィラメント体42の温度が異常に上昇し、フィラメント体42の構成材料であるタングステンの蒸発が促進されてしまい、蒸発したタングステンがバルブの内面に付着してしまったと考えられる。もっとも、後者の場合でもタングステンの蒸発によってタングステン線が細るという現象は見られたものの、断線にまでは至っていない。これは、後者の場合、前者の場合に比して対流層が薄く、タングステンの蒸発速度が遅いためであると考えられる。なお、今回の実験では、バルブ32の破損は見られなかったものの、このようにバルブ32の内面が黒化すると熱を吸収しやすくなるので、バルブ32の温度がさらに高温になり、バルブ32が破損してしまうおそれがある。
これらに対して、0.25≦r1/R2≦0.75なる関係式を満たす場合、バルブ32とフィラメント体42との間の隙間が適度に小さいので、バルブ32とフィラメント体42との間で発生する対流層が極めて薄くなり、その結果、点灯中に蒸発したタングステンの移動速度が遅くなり、それに応じてタングステンの蒸発量が著しく低減したためであると考えられる。しかも、バルブ32がフィラメント体42に近接しすぎていないので、点灯中、バルブ32の温度が過剰に高温となることはなく、それ故、フィラメント体42の温度も異常に上昇することはなかったためであると考えられる。
したがって、バルブ32のうち、フィラメント体42が位置している部分の最大内径をR2[mm]、フィラメント体42の最大外径をr1[mm]とした場合、バルブ32の内面が黒化するのを防止しつつ、フィラメント体42の断線を防止し、長寿命化を図るために、0.25≦r1/R2≦0.75なる関係式を満たせばよいことがわかった。特に、一層の長寿命化を図るために、0.35≦r1/R2≦0.75なる関係式を満たせばよいことがわかった。
以上のとおり第5の参考形態にかかるハロゲン電球31の構成によれば、バルブ32とフィラメント体42との間で発生する対流層を極めて薄くすることができるので、フィラメント体42の構成材料であるタングステンの蒸発量を著しく低減することができ、その結果、フィラメント体42を構成するコイルのタングステン線が細って断線するのを防止することができ、長寿命化を図ることができる。しかも、バルブ32とフィラメント体42との間の隙間が適度に保たれているので、点灯中、バルブ32とフィラメント体42とが共に異常に高温になるのを抑制することができるので、バルブ32が破損したり、フィラメント体42の構成材料であるタングステンの過剰な蒸発によってバルブ32の内面が黒化したりするのを防止することができる。
なお、上記第5の参考形態では、3つのフィラメント要素46,47,48を略正三角形を形成するように配列した場合について説明したが、これ以外に、4つのフィラメント要素を略正方形を形成するように配列した場合や、5つのフィラメント要素を略正五角形を形成するように配列した場合、6つのフィラメント要素を略正六角形を形成するように配列した場合、またはそれ以上の場合であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。もちろん、このとき必要に応じて各フィラメント要素で囲まれた空間内に別のフィラメント要素を、例えばそのフィラメント要素と同形状、同寸法のもの、または異なる形状、異なる寸法のものをバルブ2の長手方向の中心軸X上に略位置するように配置したフィラメント体を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記第5の参考形態では、バルブ32の形状としてチップオフ部36、略回転楕円体形状の発光部37、縮径部38、筒部39および封止部40がそれぞれ順次連なって形成されたものを用いた場合について説明したが、これに限らずチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部、縮径部および封止部が順次連なって形成されたバルブや、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ、またはチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略円筒形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ等の公知の種々の形状のバルブを用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。もちろん、発光部の形状として上記した略回転楕円体形状に代えて、略球形状のものや略複合楕円体形状のものも用いることができる。
さらに、上記第5の参考形態では、タングステン線を円筒形状をなすように、つまり長手方向の中心軸b2,c2,d2に対して垂直に切った断面の外形形状が円を描くように巻かれた一重巻きコイルからなるフィラメント要素46,47,48を用いた場合について説明した。しかし、その外形形状に特に限定されるものではなく、例えば図24に示すように、長手方向の中心軸b2,c2,d2に対して垂直に切った断面の外形形状が長円を描くように巻かれたコイルからなるフィラメント要素49,50,51を用いた場合等でも上記と同様の作用効果を得ることができる。図24に示す例でも、各フィラメント要素49,50,51は、バルブ32の長手方向の中心軸X2上の点を中心とし、かつ各フィラメント要素49,50,51に外接する円の直径を最大外径r1とする円柱体内に収めることができる。図24に示すような外形形状を有するフィラメント要素49,50,51から構成されたフィラメント体52でもこのようにしてその最大外径r1を決定することができる。
(参考形態6)
次に、図25に示すように、第6の参考形態である定格電力65[W](定格電圧110[V])のハロゲン電球53は、主にスポットライト等の一般照明用として使用されている公知の照明装置54の反射鏡部55内に組み込まれるものであって、石英ガラスや硬質ガラス等からなるバルブ56と、このバルブ56の後述する封止部66側に公知の接着剤(図示せず)によって固着された例えばE形の口金(図示せず)とを備えている。
ハロゲン電球53のバルブ56の長手方向の中心軸X3と反射鏡部55の光軸Y3とは、略同一軸上に位置している。
照明装置54は、前面の開口部57から光が照射され、かつ内部に上記反射鏡部55とハロゲン電球53の口金が取り付けられる受け具(図示せず)とが収納されている円筒状の照明器具58を有している。
反射鏡部55には、前面の開口部59に前面ガラス60が取り付けられ、かつ内面に回転楕円面または回転放物面等からなる回転体の反射面61が形成されている。この反射面61には、必要に応じてファセットが形成されている場合がある。
バルブ56には、封止切りの残痕であるチップオフ部62、略回転楕円体形状の発光部63、縮径部64、略円筒状の筒部65および公知のピンチシール法によって形成された封止部66がそれぞれ順次連なるように形成されている。このバルブ56の外面のうち、発光部63および縮径部64の外面には、可視光透過赤外線反射膜67が形成されている。
なお、ここで言う「略回転楕円体形状」とは、完全な回転楕円体形状の場合はもちろんのこと、ガラスの加工上のばらつきによって完全な回転楕円体形状からずれてしまう場合も含むことを意味している。
発光部63内には、フィラメント体68が配置されているとともに、ハロゲン物質と希ガス、またはハロゲン物資と希ガスと窒素ガスとがそれぞれ所定量封入されている。
フィラメント体68の両端部には、例えばタングステン製の内部リード線69の一端部がそれぞれ接続されている。内部リード線69の他端部は、封止部66に封止されているモリブデン製の金属箔(図示せず)を介して外部リード線(図示せず)の一端部に接続されている。外部リード線の他端部は、バルブ56の外部に導出しており、口金の端子部分にそれぞれ電気的に接続されている。
フィラメント体68は、図26および図27に示すように、1つの中央フィラメント要素70と3つの周辺フィラメント要素71,72,73とから構成されている。これら中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73は、いずれもタングステン製であって、直線状に円筒状の伸びた一重巻きコイルからなり、各々が電気的に直列に接続されている。この一重巻きコイルを構成しているタングステン線の線径は0.015[mm]〜0.100[mm]、例えば0.050[mm]である。
なお、図26および図27では、中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73をそれぞれ模式的に円柱体として描いている。
中央フィラメント要素70は、このハロゲン電球53が照明装置54の反射鏡部55内に組み込まれた際、その長手方向の中心軸a3が反射鏡部55の光軸Y3上に略位置する。具体的に、中央フィラメント要素70は、その長手方向の中心軸a3がバルブ56の長手方向の中心軸X3上に略位置するように配置されている。そして、ハロゲン電球53が反射鏡部55内に組み込まれた際、バルブ56の長手方向の中心軸X3が反射鏡部55の光軸Y3上に略位置するので、結果的に中央フィラメント要素70の長手方向の中心軸a3が反射鏡部55の光軸Y3上に略位置するようになる。
なお、ここで言う「略位置する」とは、理想的には中心軸a3がバルブ56の長手方向の中心軸X3上に完全に位置していることが好ましいが、製造工程における位置合わせ精度のばらつきによって実用上、中心軸a3が中心軸X3からずれ、結果的に光軸Y3に対してもずれる場合があるが、その場合も含むことを意味している。もちろん、組み込む照明装置の種類によっても中心軸a3が光軸Y3上からずれる場合があり、その場合も含むことを意味している。
周辺フィラメント要素71,72,73は、中央フィラメント要素70の周りに、その長手方向の中心軸b3,c3,d3が中央フィラメント要素70の長手方向の中心軸a3と略平行になるように配置されている。また、これら3つの周辺フィラメント要素71,72,73は、図27に示すように、各々の長手方向の中心軸b3,c3,d3と中央フィラメント要素70の長手方向の中心軸a3に対して垂直な任意の平面P3とが交わる交点をそれぞれ結んだ際、中央フィラメント要素の長手方向の中心軸a3上の点を重心(図心)とする略正三角形を形成するように配列されている。つまり、中央フィラメント要素70と各々の周辺フィラメント要素71,72,73との間の距離D5は全て略等しく、かつある一つの周辺フィラメント要素71(72または73)とこれと隣り合う二つの周辺フィラメント要素72,73(71,73または71,72)との間の距離D6はそれぞれ略等しいことを意味している。
なお、ここで言う「略平行」および「略正三角形」とは、フィラメント体68の組立工程やバルブ56とフィラメント体68との組立工程における組立て精度のばらつきによって完全に平行にし、完全な正三角形を形成することは難しく、実用上、完全な平行からずれた位置関係、および完全な正三角形からずれた形状となり得る場合があり、その場合も含むことを意味している。距離D5および距離D6が「略等しい」もこれと同様である。
また、中央フィラメント要素70は、図26に示すように反射面61を形成している回転体の焦点F2の位置を含み、かつ中央フィラメント要素70の中心軸a3上にある中心点A3が上記焦点F2の位置よりも反射鏡部55における光を照射する開口部59とは反対側に位置するように配置されている。また、周辺フィラメント要素71,72,73もこれに準じており、各周辺フィラメント要素71,72,73はそれぞれ反射鏡部55内の後述する点Fb3,Fc3,Fd3(図26では、点Fb3,Fc3のみを図示する)の位置を含み、かつ各周辺フィラメント要素71,72,73の中心軸b3,c3,d3上にある中心点B3,C3,D3(図26では、点B3,C3のみを図示する)が上記点Fb3,Fc3,Fd3の位置よりも開口部59とは反対側に位置するように配置されている。
ただし、点Fb3,Fc3,Fd3は、反射面61を形成している回転体の焦点F2の位置を含むとともに反射鏡部55の光軸Y3に対して垂直に交わる平面Q3と、中心軸b3,c3,d3との交点をそれぞれ示す。一例として、焦点F2と中心点A3との間の距離は2.35[mm]であり、点Fb3,Fc3,Fd3と中心点B3,C3,D3との間の距離はそれぞれ1.21[mm]である。このように中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73を、中央フィラメント要素70の中心点A3および周辺フィラメント要素71,72,73の中心点B3,C3,D3が反射鏡部55の反射面61の焦点F2に対して、開口部59とは反対側に位置するように配置することにより、反射鏡部55内における中心照度に寄与する領域、すなわち焦点F2を含むその近傍領域(以下、単に「中心照度寄与領域」という)内でのフィラメント体68の密度を大きくすることができ、中心照度を高めることができる。
このようなフィラメント体68は、中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73が外径(最大外径)r3[mm]を有する一つの円柱体内に収まり、この円柱体を、仮想的に中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73を一体化した1つのフィラメントとしてみなすことができる。そうした場合において、バルブ56のうち、フィラメント体68が位置している部分の最大内径をR3(図25参照)[mm]、1つのフィラメントとみなしたフィラメント体68の最大外径をr3[mm]としたとき、バルブ56の内面が黒化するのを防止しつつ、フィラメント体68の断線を防止し、長寿命化を図るために、0.25≦r3/R3≦0.75なる関係式を満たすように設定されている。特に、一層の長寿命化を図るために、0.35≦r3/R3≦0.75なる関係式を満たすように設定されていることが好ましい。
つまり、0.25≦r3/R3≦0.75なる関係式を満たす場合、バルブ56とフィラメント体68との間の隙間が適度に小さいので、バルブ56とフィラメント体68との間で発生する対流層を極めて薄くすることができる。その結果、フィラメント体68の構成材料であって、点灯中に蒸発したタングステンの移動速度を遅くすることができ、それに応じてタングステンの蒸発量を著しく低減することができるので、フィラメント体68を構成するコイルのタングステン線がそのタングステンの蒸発によって細り、断線するのを防止することができ、長寿命化を図ることができる。しかも、バルブ56がフィラメント体68に近接しすぎていないので、点灯中、バルブ56の温度の異常な上昇に伴ってフィラメント体68の温度が過度に上昇することはないので、これに起因してフィラメント体68の構成材料であるタングステンの蒸発量が促進され、蒸発したタングステンがバルブ56の内面に付着し、黒化するのを防止することができる。一方、0.25>r3/R3なる関係式を満たす場合、バルブ56とフィラメント体68との間の隙間が大きくなり、点灯中、バルブ56とフィラメント体68との間で発生する対流層が厚くなる。その結果、点灯中に蒸発したフィラメント体68の構成材料であるタングステンの移動速度が速くなり、それに応じてタングステンの蒸発量が増加し、フィラメント体68を構成するコイルのタングステン線がこのタングステンの蒸発によって細り、断線に至ってしまう。r3/R3>0.75なる関係式を満たす場合、バルブ56とフィラメント体68との間の隙間は小さくなるものの、バルブ56がフィラメント体68に近接しすぎて、点灯中、バルブ56の温度がかなり高温になる。そして、逆に高温となったバルブ56からの輻射熱によってフィラメント体68の温度が過度に上昇し、フィラメント体68の構成材料であるタングステンの蒸発が促進されてしまい、蒸発したタングステンがバルブ56の内面に付着して黒化を招いてしまう。場合によっては、バルブ56の内面の黒化によってバルブ56の温度がさらに高温となり、バルブ56が破損してしまうおそれがある。
最大外径r3は、中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73の最大外径r0と隣り合う二つのフィラメント要素の間の距離D6(または上記距離D5)を適宜変更することによって調整することができる。また、中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73の最大外径r0は、中央フィラメント要素70のコイル長LC3および周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3や、コイルのピッチを適宜変更することによって調整することができる。
ここで、中央フィラメント要素70のコイル長LC3、および周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3は、いずれも同じ長さであってもよい。その際、例えば定格電力65[W]のハロゲン電球用の場合で、コイル長LC3およびコイル長LS3は3.0[mm]〜5.0[mm]の範囲内に設定されていることが好ましい。また、各々の周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3は全て同じであるものの、コイル長LC3とコイル長LS3とは異なっていてもよい。その際、例えば定格電力65[W]のハロゲン電球用の場合で、コイル長LC3が3.5[mm]〜15.0[mm]の範囲内に、コイル長LS3が1.5[mm]〜4.5[mm]の範囲内にそれぞれ設定されていることが好ましい。さらに、コイル長LC3とコイル長LS3とは異なり、かつ各々の周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3もそれぞれ異なっていてもよい。
その際、例えば定格電力65[W]のハロゲン電球用の場合で、コイル長LC3が3.5[mm]〜15.0[mm]の範囲内に設定され、コイル長LS3がいずれも1.5[mm]〜4.5[mm]の範囲内でそれぞれ異なるように設定されていることが好ましい。
一重巻きのコイルのピッチは、中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73のいずれにおいても0.05[mm]〜0.07[mm]の範囲に設定されている。
しかしながら、0.25≦r3/R3≦0.75なる関係式を満たす場合において、個々の周辺フィラメント要素71,72,73の最大外径r0およびコイル長LS3は、各周辺フィラメント要素71,72,73から照射面へ照射される照度が一様になるようにするという観点から、最大外径r0およびコイル長LS3のうちの少なくとも一方の寸法を同じ大きさにすることが好ましく、いずれの寸法も同じ大きさにすることがさらに好ましい。もっとも、その最大外径r0およびコイル長LS3は、周辺フィラメント要素71,72,73の製造工程における加工ばらつきによって、個々の周辺フィラメント要素71,72,73間でばらつく場合がある。
また、各フィラメント要素70,71,72,73の端のうち、開口部59側の端は、それぞれ略同一平面内に位置していることが好ましい。これにより、各フィラメント要素70,71,72,73によって照射される照射面への照度を一様にし、均一な配光曲線を得ることができる。
さらに、中央フィラメント要素70のコイル長LC3[mm]、および周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3[mm]は、中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73の両者の寄与によって中心照度を増大させつつ、所望のビーム角(狭角、例えば10度であって、その許容範囲が7.5度〜12.5度である)を得て良好な配光特性を実現するために、0.2≦LS3/LC3≦0.9なる関係式を満たすことが好ましい。ただし、この場合、各周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3はそれぞれ略等しい。もちろん、「略等しい」とは、上記と同様にコイルの製造工程上におけるばらつきによって、各々のコイル長LS3がばらつく場合も含むことを意味している。
つまり、LS3/LC3≦0.9なる関係式を満たす場合、中央フィラメント要素70のコイル長LC3を周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3に対して適度な範囲で相対的に長くすることができ、照射面における中心部分の周辺領域の照度の増減に大きく寄与する周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3を適度に短くすることができる一方、その分、照射面における中心部分の照度(中心照度)の増減に大きく寄与する中央フィラメント要素70のコイル長LC3をできるだけ長くすることができる。その結果、第一に、周辺フィラメント要素71,72,73による照射面の中心部分に対する照度の増大への寄与を残しつつ、照射面における中心部分の周辺領域の照度を可能な限り低減することができる。第二に、中央フィラメント要素70のコイル長LC3の増大によって照射面の中心部分への照度を一層増大させることができる。そして、これらの結果が重なり合って良好な配光曲線を得ることができる。しかしながら、LS3/LC3<0.2なる関係式を満たしてしまうと、中央フィラメント要素70のコイル長LC3は長くなるものの、反射鏡部55内における上記中心照度寄与領域から外れる部分も多くなる上、中央フィラメント要素70のコイル長LC3に対する周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3の相対的な長さがあまりにも小さくなりすぎ、周辺フィラメント要素71,72,73を設置した効果が著しく減ってしまう。また、LS3/LC3>0.9なる関係式を満たす場合では、中央フィラメント要素70のコイル長LC3が周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3に対して相対的に十分長くないので、つまりLS3/LC3≦0.9なる関係式を満たす場合に比して周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長LS3がLS3/LC3≦0.9なる関係式を満たす場合に比して長くなるので、周辺フィラメント要素71,72,73によって照射面における中心部分の周辺領域の照度が増大してしまい、所望のビーム角、特に狭角のビーム角(例えば10度で、その場合の許容範囲が7.5度〜12.5度である)が得られなくなる。
また、この場合において、中央フィラメント要素70と各々の周辺フィラメント要素71,72,73との間の距離D5は、それぞれ0.1[mm]〜2.2[mm]の範囲に設定されていることが好ましい。これにより、中心照度寄与領域内におけるフィラメント体68の密度をより大きくすることができ、中心照度を極めて高くすることができ、また点灯中、中央フィラメント要素70と周辺フィラメント要素71,72,73との間でアーク放電が発生し、そのアーク放電によって中央フィラメント要素70や周辺フィラメント要素71,72,73が断線するのを防止することができる。一方、距離D5が0.1[mm]未満の場合、点灯中、中央フィラメント要素70と周辺フィラメント要素71,72,73との間でアーク放電が発生し、そのアーク放電によって中央フィラメント要素70や周辺フィラメント要素71,72,73が断線するおそれがある。また、距離D5が2.2[mm]を超える場合、中心照度寄与領域内におけるフィラメント体68の密度が小さくなり、中心照度を極めて十分に高くすることができなくなったり、周辺フィラメント要素71,72,73によって照射面における中心部分の周辺領域の照度が増大したりするおそれがある。
ここで、フィラメント要素70,71,72,73を構成するコイルとして、一重巻きコイル以外に二重巻きコイルや三重巻きコイルも用いることができる。しかし、このハロゲン電球53を照明装置54の反射鏡部55内に組み込んで使用した際、照射面の中心照度をより大きくするという観点からは、二重巻きコイルや三重巻きコイルに比してコイルのピッチを小さくすることができ、上記中心照度寄与領域内(反射鏡部55内において中心照度に寄与する領域、すなわち反射鏡部55内の焦点位置を含むその近傍領域内)におけるフィラメント体68の密度をより大きくすることができる一重巻きコイルを用いることが好ましい。
以上のとおり第6の参考形態にかかるハロゲン電球53の構成によれば、第5の参考形態であるハロゲン電球と同様に、バルブ56とフィラメント体68との間で発生する対流層を極めて薄くすることができるので、フィラメント体68の構成材料であるタングステンの蒸発量を著しく低減することができ、その結果、フィラメント体68を構成するコイルのタングステン線が細って断線するのを防止することができ、長寿命化を図ることができる。しかも、バルブ56とフィラメント体68との間の隙間が適度に保たれているので、点灯中、バルブ56とフィラメント体68とが共に異常に高温になるのを抑制することができるので、バルブ56が破損したり、フィラメント体68の過剰な蒸発によってバルブ56の内面が黒化したりするのを防止することができる。
特に、中央フィラメント要素70のコイル長をLC3[mm]、周辺フィラメント要素71,72,73のコイル長をLS3[mm]とした場合、0.2≦LS3/LC3≦0.9なる関係式を満たすことにより、照明装置54の反射鏡部55内に組み込まれた状態において、中央フィラメント要素70および周辺フィラメント要素71,72,73の両者の寄与によって中心照度を上げつつも、周辺フィラメント要素71,72,73による照射光の広がりを抑制することができ、狭いビーム角を得て良好な配光特性を実現することができる。
また、特に、中央フィラメント要素70と各々の周辺フィラメント要素71,72,73との間の距離D5をそれぞれ0.1[mm]〜2.2[mm]の範囲に設定することにより、上記中心照度寄与領域内におけるフィラメント体68の密度をより大きくすることができ、中心照度を極めて高くすることができるとともに、点灯中、中央フィラメント要素70と周辺フィラメント要素71,72,73との間でアーク放電が発生し、そのアーク放電によって中央フィラメント要素70や周辺フィラメント要素71,72,73が断線するのを防止することができる。
なお、上記第6の参考形態では、3つの周辺フィラメント要素71,72,73を略正三角形を形成するように配列した場合について説明したが、これ以外に、4つの周辺フィラメント要素を略正方形を形成するように配列した場合や、5つの周辺フィラメント要素を略正五角形を形成するように配列した場合、6つの周辺フィラメント要素を略正六角形を形成するように配列した場合、またはそれ以上の場合であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記第6の参考形態では、バルブの形状としてチップオフ部62、略回転楕円体形状の発光部63、縮径部64、筒部65および封止部66がそれぞれ順次連なって形成されたものを用いた場合について説明したが、これに限らずチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部、縮径部および封止部が順次連なって形成されたバルブや、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ、またはチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略円筒形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ等の公知の種々の形状のバルブを用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。もちろん、発光部の形状として上記した略回転楕円体形状に代えて、略球形状のものや略複合楕円体形状のものも用いることができる。
さらに、上記第6の参考形態では、タングステン線を円筒形状をなすように、つまり長手方向の中心軸a3,b3,c3,d3に対して垂直に切った断面の外形形状が円を描くように巻かれた一重巻きコイルからなるフィラメント要素70,71,72,73を用いた場合について説明した。しかし、その外形形状に特に限定されるものではなく、例えば図28に示すように、長手方向の中心軸a3,b3,c3,d3に対して垂直に切った断面の外形形状が長円を描くように巻かれたコイルからなるフィラメント要素74,75,76,77を用いた場合等でも上記と同様の作用効果を得ることができる。図28に示す例でも、各フィラメント要素74,75,76,77は、バルブ56の長手方向の中心軸X3上の点を中心とし、かつ各フィラメント要素75,76,77に外接する円の直径を最大外径r3とする円柱体内に収めることができる。図28に示すような外形形状を有するフィラメント要素74,75,76,77から構成されたフィラメント体78でもこのようにしてその最大外径r3を決定することができる。
(参考形態7)
次に、図29に示すように、第7の参考形態である定格電力65[W](定格電圧110[V])の反射鏡付きハロゲン電球79は、ミラー径φ2が35[mm]〜100[mm]、例えば50[mm]の凹面状の反射鏡80と、この反射鏡80の内部に配置された第2の参考形態である定格電力65[W](定格電圧110[V])のハロゲン電球31(ただし、口金34を除く)と、反射鏡80の端部に取り付けられた例えばE形の口金81とを備えている。
ハロゲン電球31のバルブ32の長手方向の中心軸X4は、反射鏡49の光軸Y4と略一致している。
反射鏡80は、硬質ガラスまたは石英ガラス等からなり、一端部に光を照射する開口部82を、他端部に筒状のネック部83をそれぞれ有し、内面に回転楕円面または回転放物面等からなる回転体の反射面84が形成されている。反射面84には必要に応じてファセットを形成してもよい。
開口部82には、前面ガラス85が設けられ、かつ公知の止め金具86によって固定されている。前面ガラス85の固定方法としては、止め金具86に代えて公知の接着剤(図示せず)を用いたり、止め金具86と接着剤とを併用したりすることもできる。もっとも、前面ガラス85は必ずしも設ける必要はない。
ネック部83の外側には、口金81がこのネック部83のほぼ全体を覆うように設けられ、接着剤87を介して固着されている。一方、ネック部83内には、ハロゲン電球31の封止部40が挿入され、同じく接着剤87を介して固着されている。
反射面84には、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等からなる多層干渉膜が形成されている。
以上のとおり第7の参考形態にかかる反射鏡付きハロゲン電球79の構成によれば、第5の参考形態であるハロゲン電球と同様に、バルブ32とフィラメント体42との間で発生する対流層を極めて薄くすることができるので、フィラメント体42の構成材料であるタングステンの蒸発量を著しく低減することができ、その結果、フィラメント体42を構成するコイルのタングステン線が細って断線するのを防止することができ、長寿命化を図ることができる。しかも、バルブ32とフィラメント体42との間の隙間が適度に保たれているので、点灯中、バルブ32とフィラメント体42とが共に異常に高温になるのを抑制することができるので、バルブ32が破損したり、フィラメント体42の過剰な蒸発によってバルブ32の内面が黒化したりするのを防止することができる。
なお、上記第7の参考形態では、3つのフィラメント要素46,47,48を略正三角形を形成するように配列した場合について説明したが、これ以外に、4つのフィラメント要素を略正方形を形成するように配列した場合や、5つのフィラメント要素を略正五角形を形成するように配列した場合、6つのフィラメント要素を略正六角形を形成するように配列した場合、またはそれ以上の場合であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。もちろん、このとき必要に応じて各フィラメント要素で囲まれた空間内に別のフィラメント要素を、例えばフィラメント要素と同形状、同寸法のもの、または異なる形状、異なる寸法のものをバルブ2の長手方向の中心軸X4上に略位置するように配置させたフィラメント体を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記第7の参考形態では、バルブ32の形状としてチップオフ部36、略回転楕円体形状の発光部37、縮径部38、筒部39および封止部40がそれぞれ順次連なって形成されたものを用いた場合について説明したが、これに限らずチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部、縮径部および封止部が順次連なって形成されたバルブや、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ、またはチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略円筒形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブ等の公知の種々の形状のバルブを用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。もちろん、発光部の形状として上記した略回転楕円体形状に代えて、略球形状のものや略複合楕円体形状のものも用いることができる。
さらに、上記第7の参考形態でも、タングステン線を円筒形状をなすように、つまり長手方向の中心軸b3,c3,d3に対して垂直に切った断面の外形形状が円を描くように巻かれた一重巻きコイルからなるフィラメント要素46,47,48を用いた場合について説明した。しかし、その外形形状に特に限定されるものではなく、例えば図24に示すように、長手方向の中心軸b3,c3,d3に対して垂直に切った断面の外形形状が長円を描くように巻かれたコイルからなるフィラメント要素49,50,51を用いた場合等でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
(参考形態8)
次に、図30に示すように、第8の参考形態である定格電力65[W](定格電圧110[V])の反射鏡付きハロゲン電球88は、ミラー径φ3が35[mm]〜100[mm]、例えば50[mm]の凹面状の反射鏡89と、この反射鏡89の内部に配置されたハロゲン電球90と、反射鏡89の端部に取り付けられた例えばE形の口金91とを備えている。
ハロゲン電球90の後述するバルブ101の長手方向の中心軸X5は、反射鏡89の光軸Y5と略一致している。
反射鏡89は、硬質ガラスまたは石英ガラス等からなり、一端部に光を照射する開口部93を、他端部に筒状のネック部94をそれぞれ有し、内面に回転楕円面または回転放物面等からなる回転体の反射面95が形成されている。反射面95には必要に応じてファセットを形成してもよい。
開口部93には、前面ガラス96が設けられ、かつ公知の止め金具(図示せず)、公知の接着剤(図示せず)またはそれらの併用によって固定されている。もっとも、前面ガラス96は必ずしも設ける必要はない。
ネック部94の外側には、口金91がこのネック部94のほぼ半分を覆うように設けられ、接着剤97を介して固着されている。一方、ネック部94内には、ハロゲン電球90の後述する封止部100が挿入され、同じく接着剤97を介して固着されている。
反射面95には、アルミニウムやクロム等の金属膜の他、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等からなる多層干渉膜が形成されている。
ハロゲン電球90は、封止切りの残痕であるチップオフ部98、略円筒形状の発光部99、および公知のピンチシール法によって形成された封止部100がそれぞれ順次連なって形成された石英ガラスや硬質ガラス等からなるバルブ101を有している。バルブ101の外面には、必要に応じて可視光透過赤外線反射膜を形成してもよい。
なお、ここで言う「略円筒形状」とは、完全な円筒形状の場合はもちろんのこと、ガラスの加工上のばらつきによって完全な円筒形状からずれてしまう場合も含むことを意味している。
発光部99内には、フィラメント体102が設けられているとともに、ハロゲン物質と希ガスと、またはハロゲン物資と希ガスと窒素ガスとがそれぞれ所定量封入されている。
フィラメント体102の両端部には、例えばタングステン製の内部リード線103の一端部がそれぞれ接続されている。内部リード線103の他端部は、封止部100に封止されているモリブデン製の金属箔104を介して外部リード線105の一端部に接続されている。外部リード線105の他端部は、バルブ101の外部に導出しており、口金91の端子部分92a,92bにそれぞれ電気的に接続されている。
本参考形態では、フィラメント体102の構成が、参考形態3におけるフィラメント体68のそれと同様であるので、フィラメント体102を、図26および図27を用いて説明する。
フィラメント体102は、図26および図27に示すように、1つの中央フィラメント要素106と3つの周辺フィラメント要素107,108,109とから構成されている。これら中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109は、いずれもタングステン製であって、直線状に伸びた円筒状の一重巻きコイルからなり、かつ各々が電気的に直列に接続されている。この一重巻きコイルを構成しているタングステン線の線径は、0.015[mm]〜0.100[mm]、例えば0.050[mm]である。
中央フィラメント要素106は、その長手方向の中心軸a5が反射鏡89の光軸Y5上に略位置している。
なお、ここで言う「略位置している」とは、理想的には中心軸a5が反射鏡89の光軸Y5上に完全に位置していることが好ましいが、製造工程における位置合わせ精度のばらつきによって実用上、中心軸a5が反射鏡89の光軸Y5からずれる場合があり、その場合も含むことを意味している。
周辺フィラメント要素107,108,109は、中央フィラメント要素106の周りに、その長手方向の中心軸b5,c5,d5が中央フィラメント要素106の長手方向の中心軸a5と略平行になるように配置されている。また、これら3つの周辺フィラメント要素107,108,109は、図27に示すように、各々の長手方向の中心軸b5,c5,d5と中央フィラメント要素106の長手方向の中心軸a5に対して垂直な任意の平面P5とが交わる交点をそれぞれ結んだ際、中央フィラメント要素の長手方向の中心軸a5上の点を重心(図心)とする略正三角形を形成するように配列されている。つまり、中央フィラメント要素106と各々の周辺フィラメント要素107,108,109との間の距離D7は全て略等しく、かつある一つの周辺フィラメント要素107(108または109)とこれと隣り合う二つの周辺フィラメント要素108,109(107,108または107,109)との間の距離D8はそれぞれ略等しいことを意味している。
なお、ここで言う「略平行」および「略正三角形」とは、フィラメント体102の組立工程における組立て精度のばらつきによって完全に平行にし、完全な正三角形を形成することは難しく、実用上、完全な平行からずれた位置関係、および完全な正三角形からずれた形状になり得る場合があり、その場合も含むことを意味している。距離D7および距離D8が「略等しい」もこれと同様である。
また、中央フィラメント要素106は、図26に示すように反射面95を形成している回転体の焦点F5の位置を含み、かつ中央フィラメント要素106の中心軸a5上にある中心点A5が上記焦点F5の位置よりも開口部93とは反対側に位置するように配置されている。また、周辺フィラメント要素107,108,109もこれに準じており、各周辺フィラメント要素107,108,109はそれぞれ反射鏡89内の後述する点Fb5,Fc5,Fd5(図26では、点Fb5,Fc5のみを図示する)の位置を含み、かつ各周辺フィラメント要素107,108,109の中心軸b5,c5,d5上にある中心点B5,C5,D5(図26では、点B5,C5のみを図示する)が上記点Fb5,Fc5,Fd5の位置よりも開口部93とは反対側に位置するように配置されている。ただし、点Fb5,Fc5,Fd5は、反射面95を形成している回転体の焦点F5の位置を含むとともに反射鏡89の光軸Y5に対して垂直に交わる平面Q5と、中心軸b5,c5,d5との交点をそれぞれ示す。一例として、焦点F5と中心点A5との間の距離は2.35[mm]であり、点Fb5,Fc5,Fd5と中心点B5,C5,D5との間の距離はそれぞれ1.20[mm]である。このように中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,108を、中央フィラメント要素106の中心点A5および周辺フィラメント要素107,108,109の中心点B5,C5,D5が反射鏡89の反射面95の焦点F5に対して開口部93とは反対側に位置するように配置することにより、反射鏡89内における中心照度に寄与する領域、すなわち焦点F5を含むその近傍領域(以下、「中心照度寄与領域」という。)内でのフィラメント体102の密度を大きくすることができ、中心照度を高めることができる。
このようなフィラメント体102は、中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109が外径(最大外径)r6[mm]を有する一つの円柱体内に収まり、この円柱体を、仮想的に中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109を一体化した1つのフィラメントとしてみなすことができる。そうした場合において、バルブ101のうち、フィラメント体102が位置している部分の最大内径をR4[mm]、1つのフィラメントとみなしたフィラメント体102の最大外径をr6[mm]としたとき、後述する理由により、0.25≦r6/R4≦0.75なる関係式を満たすように設定されている。
最大外径r6の大きさは、中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109の最大外径r0と隣り合う2つの周辺フィラメント要素の間の距離D8(または上記距離D7)を適宜変更することによって調整することができる。中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109の最大外径r0は、中央フィラメント要素106のコイル長LC3および周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS3や、コイルのピッチを適宜変更することによって調整することができる。
ここで、中央フィラメント要素106のコイル長LC5および周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS5は、いずれも同じ長さであってもよい。その際、例えば定格電力65[W]のハロゲン電球用の場合で、コイル長LC5およびコイル長LS5は3.0[mm]〜5.0[mm]の範囲内に設定されていることが好ましい。また、各々の周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS5は全て同じであるものの、コイル長LC5とコイル長LS5とは異なっていてもよい。その際、例えば定格電力65[W]のハロゲン電球用の場合で、コイル長LC5が3.5[mm]〜15.0[mm]の範囲内に、コイル長LS5が1.5[mm]〜4.5[mm]の範囲内に設定されていることが好ましい。さらに、コイル長LC5とコイル長LS5とは異なり、かつ各々の周辺フィラメント要素のコイル長LS5もそれぞれ異なっていてもよい。その際、例えば定格電力65[W]のハロゲン電球用の場合で、コイル長LC5が3.5[mm]〜15.0[mm]の範囲内に設定され、コイル長LS5がいずれも1.5[mm]〜4.5[mm]の範囲内でそれぞれ異なるように設定されていることが好ましい。一重巻きのコイルのピッチは、中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109のいずれにおいても0.05[mm]〜0.07[mm]の範囲に設定されている。
しかしながら、個々の周辺フィラメント要素107,108,109の最大外径r0およびコイル長LS5は、各周辺フィラメント要素107,108,109から照射面へ照射される照度が一様になるようにするために、最大外径r0およびコイル長LS5のうちの少なくとも一方の寸法を同じ大きさにすることが好ましく、いずれの寸法も同じ大きさにすることがさらに好ましい。もっとも、その最大外径r0およびコイル長LS5は、周辺フィラメント要素107,108,109の製造工程における加工ばらつきによって、個々の周辺フィラメント要素107,108,109間でばらつく場合がある。
また、フィラメント要素106,107,108,109の開口部93側の端は、それぞれ略同一平面内に位置していることが好ましい。これにより、各フィラメント要素106,107,108,109によって照射される照射面への照度を一様にし、均一な配光曲線を得ることができる。
さらに、中央フィラメント要素106のコイル長LC5[mm]、周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS5[mm]は、後述する理由により、0.2≦LS5/LC5≦0.9なる関係式を満たすことが好ましい。ただし、各周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS5はそれぞれ略等しい。もちろん、「略等しい」とは、上記と同様にコイルの製造工程上におけるばらつきによって、各々のコイル長LS5がばらつく場合も含むことを意味している。
その場合において、中央フィラメント要素106と各々の周辺フィラメント要素107,108,109との間の距離D7は、それぞれ0.1[mm]〜2.2[mm]の範囲に設定されていることが好ましい。これにより、反射鏡89内における中心照度に寄与する上記中心照度寄与領域内におけるフィラメント体102の密度をより大きくすることができ、中心照度を一層高めることができ、また点灯中、中央フィラメント要素106と周辺フィラメント要素107,108,109との間でアーク放電が発生し、そのアーク放電によって中央フィラメント要素106や周辺フィラメント要素107,108,109が断線するのを防止することができる。一方、上記D7が0.1[mm]未満の場合、点灯中、中央フィラメント要素106と周辺フィラメント要素107,108,109との間でアーク放電が発生し、そのアーク放電によって中央フィラメント要素106や周辺フィラメント要素107,108,109が断線するおそれがある。また、上記D7が2.2[mm]を超える場合、上記中心照度寄与領域内に位置するフィラメント体102の密度が小さくなり、中心照度を十分に高めることができなくなったり、周辺フィラメント要素107,108,109によって照射面の中心部分の周辺領域の照度が増大し、所望のビーム角、特に狭角のビーム角(例えば10度で、その場合の許容範囲が7.5度〜12.5度である)が得られなくなったりするおそれがある。
ここで、中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109を構成するコイルとして、一重巻きコイル以外に二重巻きコイルや三重巻きコイルも用いることができるが、中心照度をより大きくするという観点からは、二重巻きコイルや三重巻きコイルに比してピッチを小さくすることができ、反射鏡89内における中心照度に寄与する上記中心照度寄与領域内に位置するフィラメント体102の密度をより大きくすることができる一重巻きコイルを用いることが好ましい。
次に、バルブ101のうち、フィラメント体102が位置している部分の最大内径をR4[mm]、フィラメント体102の最大外径をr6[mm]とした場合、0.25≦r6/R4≦0.75なる関係式を満たすように規定した理由について説明する。
まず、上記した定格電力65[W]の反射鏡付きハロゲン電球88において、バルブ101のうち、フィラメント体102が位置している部分の最大内径R4を9[mm]と一定にし、フィラメント体102の最大外径r6[mm]を、隣り合う二つの周辺フィラメント要素の距離D8を適宜変えることによって表4に示すとおり種々変化させたものをそれぞれ10本ずつ作製した。そして、各々作製したものを定格電力で点灯させ、3500時間点灯経過時までと4000時間点灯経過時までとにフィラメント体102が断線したものの本数、およびフィラメント体102が断線しなかったもののうち、4000時間点灯経過時においてバルブ69の内面に黒化が発生したものの本数についてそれぞれ調べたところ、同じく表4に示すとおりの結果が得られた。
なお、表4中、「断線の有無」欄において、分母が全サンプル数を、分子が全サンプル数のうちフィラメント体102が断線したものの本数をそれぞれ示している。また、「黒化の有無」欄についても、分母が全サンプル数のうち断線しなかったものの数を、分子が断線しなかったサンプル数のうちバルブ101の内面に黒化が発生したものの本数をそれぞれ示している。ただし、黒化の判定は、目視においてバルブ101の内面に黒い着色物が付着していることを確認できた場合を「黒化有り」と判定している。
また、点灯方法としては、5.5時間点灯、0.5時間消灯を1サイクルとしてこれを繰り返した。「点灯経過時間」とはその点灯時間の累積時間である。
また、作製した各サンプルにおいて、中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109はいずれもピッチが0.05[mm]〜0.07[mm]、最大外径r0が0.65[mm]の一重巻きコイルからなる。ただし、中央フィラメント要素のコイル長LC5は5.7[mm]、周辺フィラメント要素のコイル長LS5は3.4[mm]である。
表4から明らかなように、0.25≦r6/R4≦0.75なる関係式を満たす場合、例えばr6/R4=(0.25,0.35,0.50,0.75)の場合、いずれのサンプルについても3500時間点灯経過時までフィラメント体102が断線したものはなく、またバルブ101の内面が黒化したものもなかった。特に、0.35≦r6/R4≦0.75なる関係式を満たす場合、例えばr6/R4=(0.35,0.50,0.75)の場合、いずれのサンプルについても4000時間点灯経過時までフィラメント体102が断線したものはなかった。
一方、0.25>r6/R4なる関係式を満たす場合、例えばr6/R4=(0.20)の場合、10本中6本のサンプルは4000時間点灯経過時までにフィラメント体102が断線してしまったが、断線せずに残った4本のサンプルはいずれもバルブ101の内面に黒化が発生していなかった。また、r6/R4>0.75なる関係式を満たす場合、例えばr6/R4=(0.80)の場合、10本中全てのものにおいて4000時間点灯経過時までにフィラメント体102が断線したものはなかったものの、10本中全てのものにおいてバルブ101の内面に黒化が発生していた。
このような結果となった理由については上述したとおりである。
したがって、バルブ101のうち、フィラメント体102が位置している部分の最大内径をR4[mm]、フィラメント体102の最大外径をr6[mm]とした場合、バルブ101の内面が黒化するのを防止しつつ、フィラメント体102の断線を防止し、長寿命化を図るために、0.25≦r6/R4≦0.75なる関係式を満たせばよいことがわかった。特に、一層の長寿命化を図るために、0.35≦r6/R4≦0.75なる関係式を満たせばよいことがわかった。
次に、中央フィラメント要素106のコイル長をLC5[mm]、周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長をLS5[mm]とした場合、0.2≦LS5/LC5≦0.9なる関係式を満たすように規定した理由について説明する。
まず、上記した定格電力65[W]の反射鏡付きハロゲン電球88について、中央フィラメント要素106のコイル長LC3、および周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS3を表5に示すとおり種々変化させたものをそれぞれ5本ずつ作製した。そして、各々作製したものを定格電力で点灯させ、そのビーム角(度)および中心照度[lx]を調べたところ、表5および図31(LS3/LC3とビーム角との関係)に示すとおりの結果が得られた。また、代表的な配光曲線としてLS3/LC3=0.9の場合のものを図32に、LS3/LC3=0.6の場合のものを図33にそれぞれ示した。
なお、作製した各サンプルにおいて、バルブ101のうち、フィラメント体102が位置している部分の最大内径Rは9.0[mm]である。中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109はいずれも一重巻きコイルからなり、そのピッチが0.05[mm]〜0.07[mm]、最大外径r0が0.65[mm]である。また、フィラメント体102の最大外径r6は4.50[mm]である。距離D7は1.275[mm]である。
また、表5中、「ビーム角」は5本のサンプルの平均値を示す。ビーム角は狭角タイプとして現在市販されているものの主流である10度(許容範囲:7.5度〜12.5度)を評価基準とした。
さらに、「中心照度」は5本のサンプルの平均値を示す。現在、市販されているビーム角10度の定格電力65[W](定格電圧110[V])の反射鏡付きハロゲン電球(以下、「従来品」という)では、その中心照度が例えば6500[lx](中心光度換算で6500[cd])である。そこで、評価基準としては、市場からの要望等を考慮し、従来品の中心照度(6500[lx])に対して約10%増し、つまり7200[lx](中心光度換算で7200[cd])以上を評価基準とした。
表5から明らかなように、0.2≦LS3/LC3≦0.9なる関係式を満たす場合、例えばLS3/LC3=(0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9)の場合、その中心照度は従来品の中心照度(6500[lx])を越える8500[lx](中心光度換算で8500[cd])以上であり、しかもそのビーム角は7.5度〜12.5度の範囲にあり、いずれも上記した評価基準を満たすことがわかった。このことは図32および図33に示す配光曲線からも明らかであり、照射面における中心部分の照度は高く、照射光がその中心部分の周辺領域へ広がっていない。
一方、LS3/LC3>0.9なる関係式を満たす場合、例えばLS3/LC3=(1.0)の場合、その中心照度は従来品の中心照度(6500[lx])を越えており上記した評価基準を満足するものの、そのビーム角は13.0度であって上記した評価基準を満たさないことがわかった。また、LS3/LC3<0.2なる関係式を満たす場合、例えばLS3/LC3=(0,0.1)の場合、そのビーム角は7.5度であって上記した評価基準を満足するものの、その中心照度は上記した評価基準を満たさないことがわかった。
このような結果となった理由については次のように考えられる。
つまり、LS3/LC3≦0.9なる関係式を満たし、中央フィラメント要素106のコイル長LC3を周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS3に対して適度な範囲で相対的に長くすることにより、照射面における中心部分の周辺領域の照度の増減に大きく寄与する周辺フィラメント要素107,108,109のコイルLS3を適度に短くすることができる一方、その分、照射面における中心部分の照度(中心照度)の増減に大きく寄与する中央フィラメント要素106のコイル長LC3をできるだけ長くすることができる。その結果、第一に、周辺フィラメント要素107,108,109による照射面の中心部分に対する照度の増大への寄与を残しつつ、照射面における中心部分の周辺領域の照度を可能な限り低減することができる。第二に、中央フィラメント要素106のコイル長LC3の増大によって照射面の中心部分への照度を一層増大させることができる。そして、これらの結果が重なり合って図32および図33に示すような良好な配光曲線が得られたと考えられる。しかしながら、LS3/LC3<0.2なる関係式を満たしてしまうと、中央フィラメント要素106のコイル長LC3は長くなるものの、反射鏡89内における中心照度寄与領域から外れる部分も多くなる上、中央フィラメント要素106のコイル長LC3に対する周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS3の相対的な長さがあまりにも小さくなりすぎ、周辺フィラメント要素107,108,109を設置した効果が著しく減ってしまったと考えられる。一方、LS3/LC3>0.9なる関係式を満たす場合では、中央フィラメント要素106のコイル長LC3が周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長LS3に対して相対的に十分長くないので、周辺フィラメント要素107,108,109によって照射面における中心部分の周辺領域の照度が増大してしまい、所望のビーム角が得られなかったと考えられる。
したがって、中央フィラメント要素106のコイル長をLC3[mm]、周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長をLS3[mm]とした場合、中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109の両者の寄与によって中心照度を増大させつつ、所望のビーム角(狭角)を得て良好な配光特性を実現するために、0.2≦LS3/LC3≦0.9なる関係式を満たせばよいことがわかった。
以上のとおり第8の参考形態にかかる反射鏡付きハロゲン電球88の構成によれば、上記した第5の参考形態であるハロゲン電球31と同様に、バルブ101とフィラメント体102との間で発生する対流層を極めて薄くすることができるので、フィラメント体102の構成材料であるタングステンの蒸発量を著しく低減することができ、その結果、フィラメント体102を構成するコイルのタングステン線が細って断線するのを防止することができ、長寿命化を図ることができる。しかも、バルブ101とフィラメント体102との間の隙間が適度に保たれているので、点灯中、バルブ101とフィラメント体102とが共に異常に高温になるのを抑制することができるので、バルブ101が破損したり、フィラメント体102の過剰な蒸発によってバルブ101の内面が黒化したりするのを防止することができる。
特に、中央フィラメント要素106のコイル長をLC3[mm]、周辺フィラメント要素107,108,109のコイル長をLS3[mm]とした場合、0.2≦LS3/LC3≦0.9なる関係式を満たすことにより、中央フィラメント要素106および周辺フィラメント要素107,108,109の両者の寄与によって中心照度を上げつつも、周辺フィラメント要素107,108,109による照射光の広がりを抑制することができ、狭いビーム角を得て良好な配光特性を実現することができる。
また、特に、中央フィラメント要素106と各々の周辺フィラメント要素107,108,109との間の距離D7をそれぞれ0.1[mm]〜2.2[mm]の範囲に設定することにより、上記中心照度寄与領域内におけるフィラメント体102の密度をより大きくすることができ、中心照度を極めて高くすることができるとともに、点灯中、中央フィラメント要素106と周辺フィラメント要素107,108,109との間でアーク放電が発生し、そのアーク放電によって中央フィラメント要素106や周辺フィラメント要素107,108,109が断線するのを防止することができる。
なお、上記第8の参考形態では、3つの周辺フィラメント要素107,108,109を略正三角形を形成するように配列した場合について説明したが、これ以外に、4つの周辺フィラメント要素を略正方形を形成するように配列した場合や、5つの周辺フィラメント要素を略正五角形を形成するように配列した場合、6つの周辺フィラメント要素を略正六角形を形成するように配列した場合、またはそれ以上の場合であっても上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記第8の参考形態では、バルブ101の形状としてチップオフ部98、略円筒形状の発光部99および封止部100がそれぞれ順次連なって形成されたものを用いた場合について説明したが、これに限らずチップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部および封止部が順次連なって形成されたバルブや、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部、縮径部および封止部が順次連なって形成されたバルブ、チップオフ部(場合によっては無い場合もある)、略回転楕円体形状の発光部、縮径部、筒部および封止部が順次連なって形成されたバルブ等の公知の種々の形状のバルブを用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。もちろん、発光部の形状として上記した略回転楕円体形状に代えて、略球形状のものや略複合楕円体形状のものも用いることができる。
さらに、上記第8の参考形態では、タングステン線を円筒形状をなすように、つまり長手方向の中心軸a5,b5,c5,d5に対して垂直に切った断面の外形形状が円を描くように巻かれた一重巻きコイルからなるフィラメント要素106,107,108,109を用いた場合について説明した。しかし、その外形形状に特に限定されるものではなく、例えば図28に示すように、長手方向の中心軸a5,b5,c5,d5に対して垂直に切った断面の外形形状が長円を描くように巻かれたコイルからなるフィラメント要素74,75,76,77を用いた場合等でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
(参考形態9)
次に、第9の参考形態である照明装置は、例えばスポットライト等の一般照明として使用されるものであって、上記した第7の参考形態である定格電力65[W]のハロゲン電球31が公知の種々の照明器具(図示せず)に取り付けられた構成を有している。
照明器具には、通常、平面状もしくは曲面状の反射板、または凹面状の反射鏡部が形成されている。ハロゲン電球31から放射された放射光は、反射板または反射鏡部に反射され、照明器具の光照射開口部から照射される。
このような第9の参考形態にかかる照明装置の構成によれば、長寿命な照明装置を実現することができる。
(参考形態10)
次に、第10の参考形態である照明装置は、例えばスポットライト等の一般照明として使用されるものであって、上記した第6の参考形態である定格電力65[W]のハロゲン電球53が公知の種々の照明器具(図示せず)に取り付けられた構成を有している。
照明器具には、その反射面が回転楕円面または回転放物面等からなる凹面状の反射鏡部が形成されている。もっとも、反射鏡部は、照明器具に固定されて取り替え不可能なものであってもよく、使用用途等に合わせて取り替え可能なものであってもよい。ハロゲン電球53から放射された放射光は、反射鏡部に反射され、照明器具の光照射開口部から照射される。
このような第10の参考形態にかかる照明装置の構成によれば、長寿命な照明装置を実現することができる。
(参考形態11)
次に、第11の参考形態である照明装置は、例えばスポットライト等の一般照明として使用されるものであって、上記した第7の参考形態である定格電力65[W]の反射鏡付きハロゲン電球79が公知の種々の照明器具(図示せず)に取り付けられた構成を有している。
このような第11の参考形態にかかる照明装置の構成によれば、長寿命な照明装置を実現することができる。
(参考形態12)
次に、第12の参考形態である照明装置は、例えばスポットライト等の一般照明として使用されるものであって、上記した第8の参考形態である定格電力65[W]の反射鏡付きハロゲン電球88が公知の種々の照明器具(図示せず)に取り付けられた構成を有している。
このような第12の参考形態にかかる照明装置の構成によれば、長寿命な照明装置を実現することができる。
なお、上記各参考形態では、定格電力65[W]のハロゲン電球を用いた場合について説明したが、これに限らず、例えば定格電力20[W]〜150[W]のハロゲン電球を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記各参考形態では、ハロゲン電球を用いた場合について説明したが、この種のハロゲン電球に代えて公知の種々の白熱電球を用いた場合でも上記と同様の作用効果を得ることができるものである。