JP2009087680A - ハロゲン電球及び反射鏡付きハロゲン電球 - Google Patents

ハロゲン電球及び反射鏡付きハロゲン電球 Download PDF

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Abstract

【課題】高効率化を図ることができる新規構成のハロゲン電球及び当該ハロゲン電球を用いた反射鏡付きハロゲン電球を提供することを目的とする。
【解決手段】ハロゲン電球は、定格電圧が12Vであって、バルブと当該バルブ内に配された発光体(フィラメント体51)とを備える。前記フィラメント体51は、フィラメント線を略扁平形状に一重に巻回してなるフィラメントコイルをその中央で折り返して構成されるフィラメントコイル部55A,55Bを二つ有し、当該二つのフィラメントコイル部55A,55Bの横断面形状は、仮想の長軸と短軸とを有する扁平な形状をすると共に、それぞれのフィラメントコイル部55A,55Bは、前記長軸が略平行する状態で隣接している。
【選択図】図3

Description

本発明はハロゲン電球及び反射鏡付きハロゲン電球に関する。
ハロゲン電球は、バルブと当該バルブ内に配された発光体とを備え、例えば、凹面状の反射鏡内に組み込まれて使用される。このような反射鏡付ハロゲン電球は、例えば商業施設におけるスポットライト等の一般照明用として使用されている。
ハロゲン電球は、定格電圧が12Vと100Vとの二種類に大別でき、特に、12Vのハロゲン電球は、100Vのハロゲン電球に比べて、発光体が小さいため、反射鏡付ハロゲン電球をスポットライト用光源として使用した際に、照射されている領域と、照射されていない領域との境界が、100Vのハロゲン電球よりも明確になる特徴を有している(例えば、特許文献1〜3)。
国際公開第2003/075317号パンフレット 特開2001−345077号公報 特開2002−063869号公報
近年、高効率なハロゲン電球が要求されるようになったが、12Vのハロゲン電球は、通常、その発光体として一本のフィラメント線を外観形状が円筒状の一重巻きにしたフィラメントコイルが用いられ、この構成のハロゲン電球の高効率化は、長年に亘って検討・改善されており、これ以上向上させるのが困難な状況にある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高効率化を図ることができる新規構成のハロゲン電球及び当該ハロゲン電球を用いた反射鏡付きハロゲン電球を提供することを目的とする。
本発明に係るハロゲン電球は、バルブと当該バルブ内に配された発光体とを備え、定格電圧が12Vであるハロゲン電球において、前記発光体は、フィラメント線を一重巻きしてなるフィラメントコイル部を複数有し、それぞれのフィラメントコイル部の横断面形状は、仮想の長軸と短軸とを有する扁平な形状をすると共に、それぞれのフィラメントコイル部は、前記長軸が略平行する状態で隣接していることを特徴としている。
ここで、複数のフィラメントコイル部は、一つのフィラメントコイルを折り返して互いに対向する部分をフィラメントコイル部としても良いし、複数のフィラメントコイルを形成して、互いに対向させた当該フィラメントコイルをフィラメントコイル部としても良い。
さらに、発光体は、複数のフィラメントコイル部をリード線で電気的に接続したものでも良いし、リード線をコイル状にしたもので電気的に接続したものでも良い。
本発明に係るハロゲン電球は、上記構成により、従来の円筒状のフィラメントコイルにより構成した発光体における横断面での外径を略同じ寸法にした場合に、扁平形状の発光体の方が発光体の全長を短くすることができる。これにより、本発明に係るハロゲン電球を従来の発光体よりも点光源に近づけることができ、当該ハロゲン電球を反射鏡に組み込むと、反射鏡の集光効率が向上し、結果として、高効率なハロゲン電球が得られる。
また、前記複数のフィラメントコイル部は、それぞれのフィラメントコイル部のコイル軸心が略平行な状態で隣接していることを特徴とする。これにより、発光体における横断面における寸法(発光体の太さである。)の大型化を防ぐことができる。
また、前記複数のフィラメントコイル部は二つあり、フィラメント線を一重巻きしてなるフィラメントコイルを略中央で折り返して形成される対向する部分が前記二つのフィラメントコイル部となることを特徴としている。これにより、発光体を一つのフィラメントコイルで構成することができ、容易に実施することができる。
一方、本発明に係る反射鏡付きハロゲン電球は、凹面状の反射鏡と、この反射鏡内に配置されたハロゲン電球とを備え、前記ハロゲン電球は、上記構成のハロゲン電球であり、前記ハロゲン電球のバルブの長手方向の中心軸と前記反射鏡の光軸とが略同一軸上に位置していることを特徴としている。本構成によると、上述の理由により、ハロゲン電球を従来の発光体よりも点光源に近づけることができ、結果として、高効率なハロゲン電球が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<実施の形態1>
1.照明装置
図1は、実施の形態1に係るハロゲン電球を有する照明装置の概略構成を示す一部切欠き図である。なお、図1を含む全ての図面において、各部材間の縮尺は統一していない。
照明装置10は、例えば、住宅、店舗、あるいはスタジオ等におけるスポットライト照明として用いられる。照明装置10は、照明器具12と照明用ハロゲン電球14とを有する。
照明器具12は、有底円筒状をした器具本体16と器具本体16に収納された反射鏡18とを有する。
器具本体16の底部には、ハロゲン電球14の口金30(図2参照)を取り付けるための受け具(図示せず)が設けられている。なお、器具本体16は、円筒状に限らず、例えば、横断面形状が多角形や楕円形等の筒状の種々の公知形状とすることができる。
反射鏡18は、ハロゲン電球14を取替え可能とするため、器具本体16に対し、着脱可能である。
反射鏡18は、漏斗状をした硬質ガラス製基体20を有する。基体20において回転楕円面または回転放物面等に形成された凹面部分20Aには、反射面を構成する多層干渉膜22が形成されている。多層干渉膜22は、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等で形成することができる。
また、多層干渉膜22に代えてアルミニウムやクロム等からなる金属膜で反射面を構成することもできる。反射鏡18のミラー径(外径)は100[mm]であり、ビームの開き(ビーム角)が、狭角(約10[°])のものである(数値は一例である)。なお、反射面には必要に応じてファセットを形成しても良い。
反射鏡18は、基体20の開口部(光照射開口部)に設けられた前面ガラス24を有する。本例では、前面ガラス24は基体20に固着されており、ハロゲン電球14の取替えのため、基体20部分が器具本体16と着脱自在な構成となっているが、これに限らず、基体を器具本体に固定し、前面ガラスを基体に対し着脱自在な構成として、ハロゲン電球14を取替えるようにしても構わない。
2.ハロゲン電球
ハロゲン電球14は、前記受け具(不図示)に取り付けられ、反射鏡18内に組み込まれて使用される。組み込まれた(取り付けられた)状態で、図1に示すように、ハロゲン電球14の後述するバルブ26の中心軸Bと反射鏡18の光軸Rとが略同軸上に位置することとなる(中心軸Bと光軸Rとが略一致することとなる)。
ハロゲン電球14は、定格電圧が12[V]で、かつ定格電力が15[W]以上100[W]以下、例えば、50[W]に設定された電球である。
図2に、ハロゲン電球14の一部切欠き正面図を示す。
ハロゲン電球14は、フィラメント体(本発明の「発光体」に相当する。)51と、前記フィラメント体51を内部に収納し且つ気密封止されたバルブ26と、バルブ26の後述する封止部36側に接着剤28によって固着された、例えばE型の口金30とを有している。
バルブ26は、封止切りの残痕であるチップオフ部32、フィラメント体51を収納するフィラメント体収納部34、及び公知のピンチシール法によって形成された封止部36がこの順に連なった構造をしている。
ここで、フィラメント体51は、一本のフィラメント線(図4の「50」である。)を一重に巻いてなるフィラメントコイル55をV字状に折り曲げたものが使用され、折り曲げることにより互いに対向するようになった部分に、図3に示すようなフィラメントコイル部55A,55Bを有する。なお、本明細書では、フィラメントコイルは、特に言及していない場合は、一重に巻いてなるフィラメントコイルを指すものとし、フィラメントコイル部も同様に、一重に巻かれたフィラメントコイルの一部分、複数部分又は全部分を指すものとする。
フィラメント体収納部34は、図2に示すように、略回転楕円体形状をしている。ここで言う「略回転楕円体形状」とは、完全な回転楕円体形を含むことはもちろんのこと、ガラスの加工上ばらつく程度分、完全な回転楕円体形からずれた形状を含むことを意味している。なお、フィラメント体収納部は、上記した形状に限らず、例えば、略円筒形状や略球形状、あるいは略複合楕円体形状としても構わない。
また、バルブの構造も上記したものに限らず、例えば、チップオフ部を備えない構造としても良いし、フィラメント体収納部と封止部との間に円筒状をした円筒部を有する構造としても良い。
なお、フィラメント体収納部34(及びチップオフ部32)の外面には赤外線反射膜が形成されている。もっとも、この赤外線反射膜は必ずしも必要なものではなく、適宜形成されるものである。
バルブ26内には、ハロゲン物質と希ガスとがそれぞれ所定量封入されている。これに加えて、窒素ガスを封入することとしても構わない。
ハロゲン物質は、点灯中、ハロゲンサイクルによって、フィラメント体51(正確にはフィラメントコイル部55A,55Bである。)から蒸発したその構成物質(例えば、タングステンである。)を再びフィラメント体51に戻し、バルブ26の黒化を防止するためのものである。
また、ハロゲンサイクルを活性化させるためには、バルブ26内面における最冷点温度が200[℃]以上であることが好ましい。さらに、ハロゲンサイクルを適切に機能させるためには、バルブ26内の酸素濃度を100[ppm]以下にすることが好ましい。
封止部36内には、一対の金属箔40,42が封着されている。金属箔40,42はモリブデン製である。なお、封止部36に封着されている金属箔40,42の過熱による酸化が原因で、バルブ26の気密性が損なわれるのを防止するため、封止部36の表面を凹凸にして、当該表面積を増やし、封止部36での放熱性を向上させることが好ましい。
金属箔40の一端部には外部リード線44の一端部が、そして他の金属箔42の一端部には外部リード線46の一端部が、それぞれ接合されて電気的に接続されている。外部リード線44,46は、タングステン製である。外部リード線44,46の他端部は、バルブ26の外部に導出されていて、それぞれ、口金30の端子部48,50に電気的に接続されている。
金属箔40の他端部には、フィラメント体51を構成するフィラメント線の一端が、金属箔42の他端部にはフィラメント線の他端が、それぞれ接合されて電気的に接続されている。
なお、本発明では、フィラメント線として、線径が0.07[mm]以上 0.30[mm]以下の範囲のもの、たとえば、0.17[mm]程度のものを使用することができ、フィラメント線の両端部分が封止支持されることで、例えば、定格電圧が100[V]でのフィラメント体のようにリード部を介して保持されることなく、フィラメント体51が保持される。
3.フィラメント体
図3に、フィラメント体51が封止部36で支持されている状態を示す斜視図を示す。
フィラメント体51は、本実施の形態1では、一本のフィラメント線を扁平形状に一重に巻回させてなるフィラメントコイル53一つで構成されている。
フィラメント体51は、図3に示すように、扁平な横断面をした筒形状にフィラメント線が巻かれたフィラメントコイル53を、当該フィラメントコイル53の長手方向(コイル軸心の延伸方向である。)の略中央部53Cで略V字状に屈曲させ、フィラメントコイル53の両端から延出しているフィラメント線の端部部分53A,53Bが封止部に封着されている。
フィラメントコイル部55A,55Bは、フィラメントコイル53の中央部53Dの長手方向の両側部分であって、フィラメントコイル53を前記中央部53Cで略V字状に屈曲させることで互いに対向する部分に存在する。
また、フィラメントコイル部55A,55Bは、その横断面形状が仮想短軸と仮想長軸とを有する扁平形状(ここでは、後述するトラック形状である。)をし、前記仮想長軸同士が平行して対向する状態となっている。
本例で示す略V字状は、封止部36側に開いている。ここで、「略V字状」とは、厳密に文字「V」の形状を意味していないことは言うまでもなく、フィラメントコイルを鋭角に屈曲させた際に必然的に形成されるおおよその形状を意味するものである。したがって、屈曲部も丸みを帯びていることは勿論であり、屈曲部から端部に至る部分も完全に直線である必要はなく、若干湾曲している状態を含むものである。また、鋭角に屈曲させず、積極的に円弧状に屈曲させて、全体的に略U字状とすることも可能である。
4.フィラメントコイル
フィラメントコイル53として、扁平な筒状に一重に巻回されてなるコイル(以下、「扁平コイル」という。)を採用したのは、以下の理由による。すなわち、円筒状に一重に巻回されてなるフィラメントコイル(以下、所謂「円筒コイル」であり、従来の発光体を構成するフィラメントコイルである。)と比較して、横断面形状において、本発明に係る長軸長と、従来技術に係る円筒の直径とが略等しく、さらに横断面形状において、前記直径を一辺とする正方形状内に複数の扁平コイルが対向して配される(より具体的には、短軸長を前記直径の半分よりも小にする。)ように本発明に係るフィラメント体を構成した場合に、一ターン当たりの素線長を長くすることができる関係上、タングステン線の長さが同じであれば、フィラメントコイル部55A,55Bの全長(コイル軸心方向の寸法)を短縮でき、もって、反射鏡の光軸方向(バルブ中心軸)におけるフィラメントコイルのコンパクト化が図れることとなるからである。
なお、フィラメント体のコンパクト化を図ることで、点光源に近づき、反射鏡に組み込んだ際の集光効率が向上して、反射鏡から反射(照射)される光束が増加する、つまり、ハロゲン電球の高効率化を図ることができる。
図4は、フィラメントコイルの製作方法を説明するための図である。
扁平コイルであるフィラメントコイル53は、以下のようにして作製される。すなわち、図4に示すように、円柱状をした芯線(マンドレル)59を複数本(図示例では4本)、平行かつ一列に密着させて並べたものの外周に、タングステンからなるフィラメント線50を所定の等ピッチ(一様ピッチ)で巻回する。
そして、巻回した状態で、焼成して、巻回されたフィラメント線の形状安定化(タングステンの再結晶化)を行う。その後、芯線59を溶解して作製し、再度、焼成して、扁平コイルを構成するフィラメント線内に残留する応力を緩和・除去し、コイル軸心の延長方向から当該コイルを見ると長円形状をした扁平コイルを得ることができる。
フィラメント線50は、タングステンを主成分とし、酸化カリウム等がドープ材として添加されている。また、フィラメント線50の径は、例えば0.1727[mm]で、前記所定の等ピッチは、例えば0.294[mm]に設定されている。
なお、図4の方法で形成されたフィラメントコイル53は、そのコイル軸心の延伸方向から見て、平行に配された2本の線分の対応する端同士を半円で結んでなる、いわゆる(陸上競技の)トラック形状をしている。この形状は、上記した作製方法に由来するものであり、芯線59の本数が多いほど、より扁平したトラック形状となる。すなわち、芯線59の本数で、扁平の度合い(扁平率)を調整することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1に係るフィラメントコイル53は、その横断面形状がトラック形状(長円形状)の扁平形状をしていたが、本発明に係るフィラメントコイルの扁平な形状は、トラック形状に限定するものではない。
本実施の形態2では、横断面形状が長方形状をしたフィラメントコイル部について説明する。この場合、長方形状の長辺が本発明に係る長軸に相当し、短辺が本発明に係る短軸に相当する。
図5の(a)は、フィラメント体71を示す斜視図及び平面図であり、(b)は従来の円筒状のフィラメント901体を示す斜視図及び平面図である。
フィラメント体71は、実施の形態2では、一本のフィラメント線におけるコイル状に形成する予定部分のみを、横断面形状が長方形の芯材(図4の芯材59に相当する。)に一重に巻回させてなる二つのフィラメントコイルを利用して構成されている。つまり、フィラメント体71は、図5の(a)に示すように、長方形状の扁平な筒状に一本のフィラメント線が巻回されてなる二つのフィラメントコイル73A,73Bを、そのコイル軸心が互いに平行となる状態に配して構成される。換言すると、それぞれのフィラメントコイル73A,73Bの横断面形状は略長方形状であり、この長方形状の長軸同士が平行する状態に二つのフィラメントコイル73A,73Bを隣接させてなる。そして、互いに対向している二つのフィラメントコイル73A,73Bが本発明に係る「フィラメントコイル部」に相当する。
本実施の形態2で示す、二つのフィラメントコイル73A,73Bがそのコイル軸心が平行するように配されているとは、厳密に二つのフィラメントコイル73A,73Bが並行になっていることを意味していないことは言うまでもなく、フィラメント体71の封止部(図2の「36」である。)への封着時に傾斜してしまうことを含むことを意味するものである。したがって、各フィラメントコイル73A,73Bのコイル軸心が完全に直線に延出していない状態や、互いに傾斜した状態等を含む概念である。
ここで、実施の形態2の実施例として、定格電圧が12[V]、定格電力が50[W]とした場合の従来の円筒コイル(以下、「従来品」といい、図5の(b)に示す。)と、本実施の形態2に係る扁平コイル(以下、「発明品」という。)との大きさについて説明する。
従来品及び発明品に使用するフィラメント線は、材料がタングステンであり、その素線径が0.1727[mm]である。また、コイル状に巻回させる際のコイルピッチは、0.294[mm]である。なお、使用するフィラメント線の全長は従来品及び発明品とも55.8[mm]である。
従来品用の芯材には、外径が1.15[mm]の円柱状のものが使用され、出来上がったフィラメント体901は、図5の(b)に示すように、外観形状が円筒状となり、その外径1D1が1.5[mm]、高さ1H1が4[mm]である。
一方、発明品のフィラメント体71は、二つのフィラメントコイル73A,73Bからなり、各フィラメントコイル73A,73Bを形成するための芯材には、長辺が1.1546[mm]、短辺が0.25[mm]の四角柱状のものが使用され、出来上がったフィラメントコイル73A,73Bは、図5の(a)に示すように、外観形状が、長辺Daが1.5[mm]、短辺Dbが0.6[mm]の長方形の筒状となり、二つのフィラメントコイル73A,73Bを、同図に示すように、0.3[mm]の間隔L1を置いて、並行に配されている。
このときのフィラメント体71におけるフィラメントコイル73A,73Bの短辺方向の寸法は、1.5[mm]となり(この寸法は、フィラメントコイル73A,73Bの長辺Daと同じである。)、また、その高さH1が2.2[mm]となる。
以上のように、フィラメント体71を二つの扁平なフィラメントコイル73A,73Bから構成する発明品は、従来品における直径1D1を一辺とする正方形状を横断面形状とする筒状に略収まるようにすると、従来品に比べてフィラメント体71の全長(H1)を、従来品の4[mm]から2.2[mm]に短くできる。つまり、フィラメント体の小型化(短尺化)を図ることができる。
図6は、発明品及び従来品のフィラメント体を備えるハロゲン電球を、公知の市販されている反射鏡、具体的にミラー径(外径)50[mm]の狭角の反射鏡に組み込んだ際の光学特性を示し、図7は、発明品及び従来品のフィラメント体を備えるハロゲン電球を、公知の市販されている反射鏡、具体的にミラー径(外径)35[mm]の狭角の反射鏡に組み込んだ際の光学特性を示す。
各図において、フィラメント体として発明品(図5の「71」である。)を使用したハロゲン電球の光学特性を実線で、従来品(図5の「901」である。)を使用したハロゲン電球の光学特性を破線で示す。
両図において、発明品を利用したハロゲン電球の方が、従来品を利用したハロゲン電球よりも、中心の光度(角度が0[度]である。)が高くなっていることが分かる。以下、各図を用いて具体的に説明する。
(a)ミラー径が50mmの場合(図6)
発明品を備えるハロゲン電球の中心の光度は19441[cd]であり、従来品を備えるハロゲン電球の中心の光度は16757[cd]であり、発明品に係るハロゲン電球が従来品に係るハロゲン電球よりも116[%]向上している。
(b)ミラー径が35mmの場合(図7)
発明品を備えるハロゲン電球の中心の光度は11158[cd]であり、従来品を備えるハロゲン電球の中心の光度は8027[cd]であり、発明品に係るハロゲン電球が従来品に係るハロゲン電球よりも139[%]向上している。
(c)反射鏡のミラー径について
図6及び図7での発明品に係るハロゲン電球は、同じ仕様のもの(製造時のばらつきは考慮していない)であり、ハロゲン電球から発せられる光束はほぼ同じであるが、図6及び図7に示すように、ミラー径が小さい(ここでは、図7に示すものはミラー径35mmのものを用いている。)反射鏡を用いた方が、従来品に係るハロゲン電球の光度の増加が大きくなることが分かる。
この理由は以下である。
通常、反射鏡は、当該反射鏡の焦点位置に配された光源から光を所定方向に反射させて集光する。実際の反射鏡においては、焦点付近の領域からの光も反射させて有効に集光させることができ、前記焦点付近の領域が、いわゆる有効領域である。通常、反射鏡のミラー径が大きいほど、前記有効領域が大きくなる。
本例では、ミラー径が50[mm]の場合は有効領域が大きく、この領域では従来品の発光体の大きさでも納まってしまうため(発明品・従来品とも有効領域に収まる部分が略同じ大きさである。)、従来品と発明品との光度の差が小さく、逆に、ミラー径が35[mm]の場合は有効領域が小さく、この領域に従来品の発光体の納まる部分が少ないのに対し、従来品より小型化された発明品ではその大部分が有効領域内に収まることになるため、従来品と発明品との光度の差が大きくなったと考えられる。
(d)スポット形状について
発明者の検討により、扁平な形状のフィラメントコイル部を利用した場合、被照射面におけるスポット形状が、真円形状にならずに、楕円形状になる傾向にあることが判明している。
これに対し、図5において、Daと(Db×2+L1)との比率が、4:3以上3:4以下である範囲内とすることで、目視によるスポット形状を略円形状となることが解析により確認されている。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下の形態とすることもできる。
1.フィラメントコイル
(1)横断面形状
(単)フィラメントコイルは、その横断面形状が上記したトラック形状、長方形状に限らず、他の扁平形状でも構わない。要は、互いに直交する仮想の長軸と仮想の短軸を有する扁平な横断面をした筒状に巻回されていれば構わない。また、扁平率も特定の整数に限らず、任意の整数さらには小数をとり得る。
図8は、扁平なフィラメントコイルの横断面の形状を例示した図である。
本発明において「仮想の短軸と仮想の長軸とを有する扁平な形状」とは、以下に記すような形状のものを含む。当該形状について図8を参照しながら説明する。なお、図8では、仮想の短軸に符号「SX」を、仮想の長軸に符号「LX」を、また、仮想の短軸及び仮想の長軸の両軸と略直交する中心軸(すなわち、コイル軸心である。)に符号「CX」をそれぞれ付している。
(i)同図(a)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、円形を押し潰した形状のもの。
(ii)同図(b)に示すように、コイル軸心CX方向から見て、略楕円形状のもの。
(iii)その他、コイル軸心CX方向から見て、上記(i)〜(ii)に類似した形状のもの。例えば上記(i)において、同図(c)に示すように、仮想の短軸付近が、コイル軸心CX側に凹入状に湾曲していても上記(i)に類似した形状として含む。また、ここでは、加工ばらつきによる上記(i)〜(iii)の変形形状も含む。
(2)配置
上記実施の形態1の例では、フィラメントコイル部55A,55Bは、当該フィラメントコイルの横断面での仮想の長軸が延伸する方向から見たとき(図2の状態である。)に、封止部36側が拡がる「V」字状に対向していた(図2参照)が、例えば、フィラメントコイル部を逆「V」字状に対向させても良い。つまり、隣接する二つのフィラメントコイル部55A,55Bの間隔が、封止部36から遠ざかるほど、狭くなるように、あるいは一旦狭くなった後に再度間隔が広くなるように、さらには、最初は等間隔(平行な状態である。)でその後に間隔が狭くなるように構成しても良い。
また、実施の形態1では、一つのフィラメントコイル53をその長手方向(コイル軸心方向)の略中央で折り返して、「V」字状を構成していたが、実施の形態2で説明したような、二つのフィラメントコイル73A,73Bを用いて「V」字状に配しても良い。
図9は、フィラメントコイルの配置を例示した図である。
図9では、各フィラメントの外観形状を示し、またその横断面形状は、扁平な形状であれば良く、例えば、各実施の形態で説明した形状や、図8に示すような形状であっても良い。
複数のフィラメントコイルを利用してフィラメント体を構成する例として、図9の(a)に示すように、二つのフィラメントコイル81A,81Bを封止部側が広くなる「V」字状でフィラメント体81を構成しても良いし、逆「V」字状であっても良い。ここでは、独立したフィラメントコイルを用いており、両者の電気的接続はリード線82により行われ、フィラメントコイル81A,81Bはフィラメントコイル部に相当する。
さらには、一本のフィラメント線を用いて形成した四つのフィラメントコイル83A,83B,83C,83Dを用いて、各フィラメントコイル83A,83B,83C,83Dを平面視略正方形状に配置してフィラメント体81を構成しても良い。
図9の(b)では、フィラメントコイル83Aとフィラメントコイル83Bとがその一端(ここでは上端であり、フィラメント線の端部83H,83Iから離れた側の端である。)でリード部83Eにより電気的に接続され、フィラメントコイル83Bとフィラメントコイル83Dとがその他端でリード部83Fにより電気的に接続され、フィラメントコイル83Dとフィラメントコイル83Cとがその一端でリード部83Gにより電気的に接続されている。このような接続構造を有することで、フィラメント線の端部83H,83Iが、対向するフィラメントコイル83A,83Cの下端から下方に延出するようになる。
なお、ここでは、一本のフィラメント線を用いて、各フィラメントコイル部に対応する部分にのみフィラメントコイルを形成することで、各フィラメントコイル部間の電気的接続をフィラメント線におけるフィラメントコイルが形成されていない部分で確保しているが、例えば、各フィラメントコイル部を独立したフィラメントコイルとして形成し、各フィラメントコイルの両端同士を、リード線を介して(例えば、リード線を溶接等する。)電気的に接続しても良い。
また、上記実施の形態では、フィラメントコイル部におけるコイル軸心が略直線状に延伸していたが、例えば、曲線状に延伸するようなものであっても良い。さらに、コイル軸心が直線状の部分と曲線状の部分との両方を含むような形状であっても良い。
なお、「略直線状」とは、厳密な意味で言う「直線状」はもちろんのこと、設計的には直線状であるが、プロセス上、不可避的に曲がってしまうものも含む。これに対して「曲線状」とは、弓形状、半円状、半楕円状、半長円状など設計上、積極的に湾曲させているものを意味する。
また、実施の形態2では、フィラメント体(発光体)を二つのフィラメントコイルで構成したのに対し、例えば、フィラメント体(発光体)を三個以上の複数のフィラメントコイルで構成するように、つまり、三つ以上のフィラメントコイルでフィラメント体を構成しても良い。
(3)発光について
実施の形態1では、一つのフィラメントコイルを中央部で折り返して、互いに対向する部分をフィラメントコイル部としていたが、フィラメントコイルのピッチが小さく、折り曲げた際の曲率が小さい場合には、折り曲げた部分で短絡が生じ、発光することはない。逆に、フィラメントコイルのピッチが大きく、折り曲げた際の曲率が大きい場合には、折り曲げた部分でも発光する。
また、折り曲げた部分で短絡が生じていない場合には、フィラメントコイルに流れる電流値によって、当該折り曲げた部分が発光したり発光しなかったりする。つまり、折り曲げた部分での発光は、ランプ設計により、発光させたり、発光させなかったり、適宜できる。
このように発光体を構成するフィラメントコイルの構成によっては、発光体の一部に発光しない部分が含まれることがあるが、本発明に係る発光体は、発光体全てが発光するものに限定するものではなく、発光しない部分が一箇所或いは数箇所あるものも含むものとしている。
(4)フィラメントコイル
上記実施の形態では、管球の一例としてハロゲン電球を示したが、本発明は、ハロゲン電球以外の管球にも適用可能である。要は、フィラメントコイルに電流を流して白熱発光させる光源であれば構わないのである。
2.反射鏡付ハロゲン電球
図10は、反射鏡付きハロゲン電球100の概略構成を示す縦断面図である。
反射鏡付きハロゲン電球100は、反射鏡一体型のハロゲン電球であるが、これに用いているハロゲン電球102は、主として口金が異なる以外は、実施の形態1に係るハロゲン電球14(図2)と基本的に同じ構成なので、共通部分には、同じ符号を付して、その説明については省略する。なお、実施の形態1のハロゲン電球に限らず、実施の形態2や変形例のハロゲン電球の構成を用いても構わない。
反射鏡104は、硬質ガラスまたは石英ガラス等からなり、漏斗状をした基体106を有する。基体106において回転楕円面または回転放物面等に形成された凹面部分106Aには、反射面を構成する多層干渉膜108が形成されている。多層干渉膜108は、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化チタン(TiO)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化亜鉛(ZnS)等で形成することができる。また、多層干渉膜108に代えてアルミニウムやクロム等からなる金属膜で反射面を構成することもできる。反射鏡104のミラー径は100[mm]である。なお、反射面には必要に応じてファセットを形成してもよい。
反射鏡104は、基体106の開口部(光照射開口部)に設けられた前面ガラス110を有する。前面ガラス110は、基体106に公知の止め金具112によって係止されている。なお、止め金具112に代えて、接着剤で固着してもよい。あるいは、両方を併用しても構わない。もっとも、前面ガラスは、反射鏡付きハロゲン電球の必須の構成部材ではなく、無くても構わない。
基体106のネック部106Bは、ハロゲン電球102の口金114の端子部116,118とは反対側に設けられた基体受け部122と嵌合された上、接着剤124で固着されている。なお、基体106の口金114への取り付けに先立って、バルブ26が、口金114に取り付けられている。言うまでも無く、口金114にバルブ26と基体106(反射鏡104)とが取り付けられた状態で(すなわち、反射鏡104内にハロゲン電球102が組み込まれた状態である。)、バルブ26の中心軸と反射鏡104の光軸とが略同軸上に位置する(前記中心軸と前記光軸とが略一致する。)こととなる。
本発明に係るハロゲン電球は、例えば、スポット照明用の光源として好適に利用可能である。
実施の形態1に係るハロゲン電球を有する照明装置の概略構成を示す一部切欠き図である。 ハロゲン電球の一部切欠き正面図を示す図である。 フィラメント体が封止部で支持されている状態を示す斜視図である。 フィラメントコイルの製作方法を説明するための図である。 (a)は、フィラメント体を示す斜視図及び平面図であり、(b)は従来の円筒状のフィラメント体を示す斜視図及び平面図である。 発明品及び従来品のフィラメント体を備えるハロゲン電球を、公知の市販されている反射鏡、具体的にミラー径(外径)50mmの狭角の反射鏡に組み込んだ際の光学特性を示す。 発明品及び従来品のフィラメント体を備えるハロゲン電球を、公知の市販されている反射鏡、具体的にミラー径(外径)35mmの狭角の反射鏡に組み込んだ際の光学特性を示す。 扁平なフィラメントコイルの横断面の形状を例示した図である。 フィラメントコイルの配置を例示した図である。 反射鏡付きハロゲン電球の概略構成を示す縦断面図である。
符号の説明
14 ハロゲン電球
26 バルブ
38 封止部
51,71,81,83 フィラメント体
53 フィラメントコイル
55A,55B フィラメントコイル部
81A,81B フィラメントコイル
83A,83B,83C,83D フィラメントコイル

Claims (4)

  1. バルブと当該バルブ内に配された発光体とを備え、定格電圧が12Vであるハロゲン電球において、
    前記発光体は、フィラメント線を一重巻きしてなるフィラメントコイル部を複数有し、
    それぞれのフィラメントコイル部の横断面形状は、仮想の長軸と短軸とを有する扁平な形状をすると共に、それぞれのフィラメントコイル部は、前記長軸が略平行する状態で隣接している
    ことを特徴とするハロゲン電球。
  2. 前記複数のフィラメントコイル部は、それぞれのフィラメントコイル部のコイル軸心が略平行な状態で隣接している
    ことを特徴とする請求項1に記載のハロゲン電球。
  3. 前記複数のフィラメントコイル部は2つあり、
    フィラメント線を一重巻きしてなるフィラメントコイルを略中央で折り返して形成される対向する部分が前記2つのフィラメントコイル部となる
    ことを特徴とする請求項1に記載のハロゲン電球。
  4. 凹面状の反射鏡と、この反射鏡内に配置されたハロゲン電球とを備えた反射鏡付きハロゲン電球において、
    前記ハロゲン電球は、請求項1〜3の何れか1項に記載のハロゲン電球であり、
    前記ハロゲン電球のバルブの長手方向の中心軸と前記反射鏡の光軸とが略同一軸上に位置している
    ことを特徴とする反射鏡付きハロゲン電球。
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