JP4191415B2 - 発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物および、それらからなる予備発泡粒子 - Google Patents
発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物および、それらからなる予備発泡粒子 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、緩衝包装材、通函、断熱材、自動車のバンパー芯材などに用いられるポリプロピレン系樹脂の型内発泡成形体の製造に好適に使用しうるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子およびそれに用いる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリプロピレン系樹脂粒子を発泡剤とともに水系分散媒に分散させ、昇温して一定圧力、一定温度としてポリオレフィン系樹脂粒子中に発泡剤を含浸したのち、低圧雰囲気下に放出して予備発泡粒子を得る方法が知られている。発泡剤としては、プロパン、ブタンといった揮発性有機発泡剤を使用する方法(例えば、特公昭56−1344号公報)、炭酸ガス、窒素、空気などの無機ガスを使用する方法(例えば特公平4−64332号公報、特公平4−64334号公報)が開示されている。
【0003】
しかしながら、揮発性有機発泡剤は、高価でありコスト高となる。また、プロパン、ブタンなどの揮発性有機発泡剤は、ポリオレフィン系樹脂を可塑化する作用があり、高発泡倍率を得やすい反面、その可塑化作用のため、予備発泡粒子の発泡倍率および結晶状態のコントロールが難しいといった欠点を有している。
【0004】
炭酸ガス、窒素、空気などの無機ガスを使用する場合は、ポリオレフィン系樹脂への含浸能が低いため、一般に3〜6MPa程度の高い圧力で含浸させる必要がある。このため、発泡剤をポリオレフィン系樹脂に含浸させるための含浸槽は高い耐圧性能が必要となり、設備コスト高となる欠点を有している。
【0005】
これらの欠点を解決し、型内発泡成形体の製造に好適に使用しうるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を経済的に製造する方法として、ポリオレフィン系樹脂中に親水性化合物を含有させることにより、分散媒に使用する水を発泡剤として利用する方法(例えば特開平10−306179号公報、特開平11−106576号公報)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発泡倍率バラツキ、セル径バラツキに関して、従来以上に要求水準が高くなっており、前記、水を発泡剤として利用し、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造する方法においても、発泡倍率バラツキ、セル径バラツキが要求水準に満たない場合が発生しており、更なる改良が求められている。
【0007】
発泡倍率バラツキが大きい場合、型内発泡成形体としたときの重量の変動が大きくなる問題が発生する。近年、製品の品質規格がより厳しくなっており、型内発泡成形体の重量検査工数を削減するため、従来よりさらに発泡倍率バラツキの小さい予備発泡粒子が求められている。
【0008】
また、セル径バラツキがあると色ムラとなり外観を損なうことから更なる改善を求められている。顔料、染料などを含有させることにより着色した型内発泡成形体の場合、特に黒色に着色した型内発泡成形体の場合、未着色の白色の型内発泡成形体より色ムラが目立つため、セル径バラツキの改善要求が強い。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、従来知られているポリプロピレン系樹脂、親水性ポリマー、無機充填剤からなる発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に特定のトリアジン骨格を有する化合物を含有させることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)親水性ポリマー、および(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物からなることを特徴とする予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、(B)親水性ポリマーを0.01〜20重量部含むことを特徴とする前記に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0012】
より好ましい実施態様としては、(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物を0.05〜5重量部含むことを特徴とする前記いずれか1項に記載の発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0013】
さらなる実施態様としては、(D)無機充填剤を含むことを特徴とする前記いずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0014】
さらなる実施態様としては、(D)無機充填剤を0.005〜10重量部含むことを特徴とする前記いずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0015】
さらに好ましい実施態様としては、ポリプロピレン系樹脂がエチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体の群から選ばれる1種または混合物である前記いずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0016】
さらに好ましい実施態様としては、親水性ポリマーがエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンで架橋してなるエチレン系アイオノマー樹脂である前記いずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0017】
さらに好ましい実施態様としては、トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物がメラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物の群から選ばれる1種または混合物である前記いずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0018】
さらに好ましい実施態様としては、前記いずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に関する。
【0019】
より好ましい実施態様としては、示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に2つの融解ピークを有する前記に記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物には、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)親水性ポリマー、(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物が含まれる。
【0021】
本発明に用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマー、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。特に、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体が良好な発泡性を示し、好適に使用し得る。
【0022】
前記ポリプロピレン系樹脂は、発泡性、成形性に優れ、型内発泡成形体としたときの機械的強度、耐熱性に優れた予備発泡粒子を得るには、融点は、通常、130〜165℃、更には135℃〜155℃のものが好ましく、メルトインデックス(以下、MI値)は、通常、0.5〜30g/10分、更には2〜20g/10分のものが好ましい。
【0023】
前記融点が130℃未満の場合、耐熱性、機械的強度が十分でない傾向がある。また、融点が165℃を超える場合、型内発泡成形時の融着を確保することが難しくなる傾向がある。前記MI値が0.5g/10分未満の場合、高発泡倍率の予備発泡粒子が得られにくく、30g/10分を超える場合、破泡し易く、予備発泡粒子の連泡率が高くなる傾向にある。
【0024】
ここで、前記融点とは、示差走査熱量計によってポリプロピレン系樹脂1〜10mgを40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線における吸熱ピークのピーク温度をいう。また、前記MI値とはJIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16Kgで測定した値である。
【0025】
本発明に用いる(B)親水性ポリマーとしては、エチレン−アクリル酸−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂などのカルボキシル基含有ポリマー;ナイロン6、ナイロン6,6、共重合ナイロンなどのポリアミド;ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体などの熱可塑性ポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンで架橋させたエチレン系アイオノマー樹脂が良好な含水率を与え、良好な発泡性を与えることから好ましい。更には、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をカリウムイオンで架橋させたエチレン系アイオノマー樹脂がより大きな平均セル径を与えことから、より好ましい。
【0026】
前記親水性ポリマーの使用量は、親水性ポリマーの種類にもより、特に限定されないが、通常、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、使用量の上限は20重量部が好ましく、10重量部がより好ましい。一方、使用量の下限は0.01重量部が好ましく、0.1重量部がより好ましい。さらに好ましくは、使用量の上限は5重量部、使用量の下限は0.3重量部である。0.01重量部未満の場合、高発泡倍率の予備発泡粒子が得られにくい。20重量部を超える場合、耐熱性、機械的強度の低下が大きくなる傾向がある。
【0027】
本発明においては(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物を用いる。ここで単位トリアジン骨格あたりの分子量とは、1分子中に含まれるトリアジン骨格数で分子量を除した値である。単位トリアジン骨格あたりの分子量が300を超えると発泡倍率バラツキ、セル径バラツキを抑える効果が十分に発揮されない傾向にある。本発明に用いる(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としては、例えば、メラミン(化学名1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)、アンメリン(同1,3,5−トリアジン−2−ヒドロキシ−4,6−ジアミン)、アンメリド(同1,3,5−トリアジン−2,4−ヒドロキシ−6−アミン)、シアヌル酸(同1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオール)、イソシアヌル酸(同1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)、アセトグアナミン(同1,3,5−トリアジン−2,6−ジアミン−4−メチル)、ベンゾグアナミン(同1,3,5−トリアジン−2,6−ジアミン−4−フェニル)、トリス(メチル)イソシアヌレート、トリス(エチル)イソシアヌレート、トリス(ブチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、メラミン・イソシアヌル酸縮合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。特に、発泡倍率バラツキ、セル径バラツキを抑える効果が高いメラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物が好適に使用し得る。
【0028】
これらトリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物は、より均一で良好なセル構造を得るのに、通常、平均粒子径0.1〜800μm、更には1〜100μmのものが好ましく、粒子径は均一であるほど好ましい。また、固結防止のためにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウムなどの金属セッケンを0.1〜1%配合したものでもかまわない。
【0029】
さらに、これらトリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物は、ポリプロピレン系樹脂組成物とする際の加工温度で粒子として存在するものがより好ましい。融点を持つ場合は、融点が180℃以上のものが好ましい。融点を持たず分解する場合は、分解温度が230℃以上のものが好ましい。
【0030】
これらトリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物の使用量は、特に限定されないが、通常、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、使用量の上限は5重量部が好ましく、3重量部がより好ましい。一方、使用量の下限は0.05重量部が好ましく、0.1重量部がより好ましい。0.05重量部未満の場合、発泡倍率バラツキおよびセル径バラツキの抑制効果が充分に発揮されない傾向がある。5重量部を超える場合、セル径が微細化するとともに連泡率が上昇し、成形性を悪化させる傾向にある。
【0031】
本発明に用いる(D)無機充填剤としては、タルク、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、ラポナイト、セピオライトなどのクレー、天然あるいは合成シリカ、天然あるいは合成炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。特に、平均粒径1〜20μmのタルク、平均粒径1〜20μmのマイカ、平均粒径0.1〜10μmの膨潤性マイカ、平均粒径0.1〜10μmのカオリン、平均粒径0.1〜10μmの湿式合成シリカおよびその表面改質品、平均粒径0.001〜0.05μmの乾式合成シリカおよびその表面改質品、平均粒径0.05〜0.5μmの軽質炭酸カルシウムおよびその表面改質品、平均粒径1〜20μmの精製ベントナイト、平均粒径0.05〜0.5μmのアタパルジャイト、平均粒径10〜200μmのラポナイトが良好なセル構造を与え、好適に使用しうる。
【0032】
前記無機充填剤はセル造核剤として働き、均一なセル形成を助ける働きをするものであり、必ず使用しなければならないものではないが、使用することにより発泡性を高める、つまり高発泡倍率の予備発泡粒子を得やすくなる。その使用量は、特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、使用量の上限は10重量部が好ましく、5重量部がより好ましい。一方、下限は0.005重量部が好ましく、0.01重量部がより好ましい。10重量部を超えると、予備発泡粒子を型内発泡成形体としたときの機械的強度、耐衝撃性などが劣る傾向にある。
【0033】
本発明の(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)親水性ポリマー、(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物、必要により含有される(D)無機充填剤からなる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物は、通常、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融し、円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状等のような所望の粒子形状で、その粒子の粒重量が0.2〜10mg、好ましくは0.5〜6mgの樹脂粒子に加工される。この際、必要によりカーボンブラックなどの着色剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、耐候剤などの添加剤を添加することができる。
【0034】
本発明における予備発泡粒子の製造には、従来から知られている方法を利用できる。例えば、密閉容器内に、前記樹脂粒子、分散剤および分散助剤を含む水系分散媒を仕込み、攪拌しながら昇温して一定温度として樹脂粒子に含水させ、窒素、空気などの無機ガス(炭酸ガスを除く)で一定圧力に保持した後、2〜10mmφの開口オリフィスを通して、密閉容器内圧より低圧雰囲気下に放出する方法により、予備発泡粒子が製造される。該低圧雰囲気は、発泡倍率をより高くするために高温に保持されていることが好ましく、特に水蒸気により90〜100℃に保持されていることが好ましい。使用する密閉容器には特に限定はなく、予備発泡製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよいが、例えばオートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
【0035】
分散剤として例えば塩基性第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の難水溶性無機化合物、分散助剤としては例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、n-パラフィンスルホン酸ソーダ、皺オレフィンスルホン酸ソーダ等のアニオン系界面活性剤が使用される。これらの中でも塩基性第三リン酸カルシウムとn-パラフィンスルホン酸ソーダの使用が良好な分散性を得る上で好ましい。これら分散剤及び分散助剤の使用量は、その種類や用いるポリプロピレン系樹脂の種類・量などによって異なるが、通常、水100重量部に対して分散剤0.1〜3重量部、分散助剤0.0001〜0.1重量部である。
【0036】
また、前記樹脂粒子の水中での分散性を良好なものにするために、通常、水100重量部に対して樹脂粒子20〜100重量部使用するのが好ましい。
【0037】
かくして得られた予備発泡粒子は示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線において、2つの融解ピークを有するものが好ましい。2つの融解ピークを有する予備発泡粒子の場合、型内発泡成形性が良く、機械的強度や耐熱性の良好な型内発泡成形体が得られる。
【0038】
ここで、予備発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線とは、予備発泡粒子1〜10mgを示差走査熱量計によって10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線のことである。
【0039】
前記のごとく2つの融解ピークを有する予備発泡粒子は、予備発泡時の容器内温度を適切な値に設定することにより容易に得られる。通常、該容器内温度は、発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物の主成分であるポリプロピレン系樹脂の融点以上、好ましくは融点+5℃以上、融解終了温度未満、好ましくは融解終了温度−2℃以下の温度から選定される。
【0040】
ここで、前記融解終了温度とは、示差走査熱量計によってポリプロピレン系樹脂1〜10mgを40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線の融解ピークのすそが高温側でベースラインの位置に戻ったときの温度である。
【0041】
上記のようにして得た予備発泡粒子は、従来から知られている方法により、型内発泡成形体にすることができる。例えば、イ)予備発泡粒子を無機ガスで加圧処理して粒子内に無機ガスを含浸させ所定の粒子内圧を付与した後、金型に充填し、蒸気等で加熱融着させる方法、ロ)予備発泡粒子をガス圧力で圧縮して金型に充填し粒子の回復力を利用して、蒸気等で加熱融着させる方法、ハ)特に前処理することなく金型に充填し、蒸気等で加熱融着させる方法、などの方法が利用しうる。
【0042】
本発明の好ましい実施の態様としては、
(A)融点が130〜165℃、MI値が0.5〜30g/10分のポリプロピレン系樹脂(融点Tm℃、融解終了温度Te℃)100重量部、(B)親水性ポリマーとしてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂0.01〜20重量部、(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてイソシアヌル酸、メラミンまたはイソシアヌル酸・メラミン縮合物0.05〜5重量部、(D)無機充填剤としてタルク0〜10重量部を混合し、押出機よりストランド状に押出し、冷却後このストランドをカットして1〜5mgの円筒状樹脂粒子とする。この際、上記(B)親水性ポリマー、(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物、(D)無機充填剤は事前に作製したマスターバッチで添加するのが好ましい。オートクレーブ型耐圧容器にこの樹脂粒子100部に対して、水100〜500重量部、分散剤として塩基性第三リン酸カルシウム0.1〜15重量部、分散助剤としてn−パラフィンスルフォン酸ソーダ0.0001〜0.5重量部を仕込み、昇温してTm〜Te℃の一定温度とし、空気により1〜3MPaの一定圧力に加圧したのち、2〜10mmφの開口オリフィスを通して、90〜100℃の水蒸気雰囲気中に放出して予備発泡粒子とする方法が挙げられる。
【0043】
【実施例】
次に本発明を実施例および比較例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例1〜12のポリプロピレン系樹脂組成物の組成を表1、発泡条件および得られた予備発泡粒子の物性を表5に示す。実施例13〜24のポリプロピレン系樹脂組成物の組成を表2、発泡条件および得られた予備発泡粒子の物性を表6に示す。実施例25〜34のポリプロピレン系樹脂組成物の組成を表3、発泡条件および得られた予備発泡粒子の物性を表7に示す。比較例1〜9のポリプロピレン系樹脂組成物の組成を表4、発泡条件および得られた予備発泡粒子の物性を表8に示す。
【0044】
(実施例1)
エチレン−プロピレンランダム共重合体(融点146℃、融解終了温度160℃、MI値9g/10分)100重量部、親水性ポリマーとしてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をカリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(商品名ハイミランSD100 三井デュポンポリケミカル社製 )2重量部、トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてイソシアヌル酸(商品名ネオクロールシアヌル酸P 四国化成工業社製)1重量部、着色剤としてカーボンブラック2.6重量部を50mmφ単軸押出機で溶融混練し、直径2.2mmφの円筒ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、1.8mg/粒の樹脂粒子を得た。
得られた樹脂粒子100重量部(65Kg)、水200重量部、塩基性第三リン酸カルシウム0.5重量部、n−パラフィンスルフォン酸ソーダ0.01重量部を容量0.35m3のオートクレーブ中に仕込み、攪拌下、オートクレーブ内容物を表5記載の容器内温度まで加熱した。その後、オートクレーブ内圧を圧縮空気で表5記載の容器内圧力まで昇圧し、該容器内温度で30分間保持した後、オートクレーブ下部のバルブを開き、3.2mmφの開口オリフィスを通して、オートクレーブ内容物を100℃の蒸気飽和雰囲気下に放出して予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子の物性として、発泡倍率、示差走査熱量測定におけるDSC曲線の融解ピークの数、連泡率、平均セル径、セル径バラツキ、発泡倍率バラツキを測定した。結果を表5に示す。
【0045】
(実施例2)
エチレン−プロピレンランダム共重合体(融点146℃、融解終了温度160℃、MI値9g/10分)100重量部、親水性ポリマーとしてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をカリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(商品名ハイミランSD100 三井デュポンポリケミカル社製 )2重量部、トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下のイソシアヌル酸(商品名ネオクロールシアヌル酸P 四国化成工業社製)1重量部、無機充填剤としてタルク(平均粒径8μm)0.15重量部、着色剤としてカーボンブラック2.6重量部を50mmφ単軸押出機で溶融混練し、直径2.2mmφの円筒ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、1.8mg/粒の樹脂粒子を得た。
実施例1と同様の方法により予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表5に示す。
【0046】
(実施例3〜7)
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をカリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(商品名ハイミランSD100 三井デュポンポリケミカル社製)の添加量、イソシアヌル酸(商品名ネオクロールシアヌル酸P 四国化成工業社製)の添加量およびタルク(平均粒径8μm)の添加量を表1記載の量とした以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表5に示す。
【0047】
(実施例8)
無機充填剤としてマイカ(平均粒径8μm)を使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表5に示す。
【0048】
(実施例9)
無機充填剤としてカオリン(平均粒径0.4μm)を使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表5に示す。
【0049】
(実施例10)
無機充填剤として精製ベントナイト(商品名:BEN−GEL−23 豊潤鉱業社製)を使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表5に示す。
【0050】
(実施例11)
無機充填剤としてラポナイト(商品名:ラポナイトXLG 日本シリカ工業社製)を使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表5に示す。
【0051】
(実施例12)
無機充填剤としてシリカ(商品名:NIPGEL AZ−204 日本シリカ工業社製)を使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表5に示す。
【0052】
(実施例13)
無機充填剤として軽質炭酸カルシウム(商品名:Brilliant−1500白石工業社製)を使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表6に示す。
【0053】
(実施例14〜16)
親水性ポリマーとしてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をナトリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(商品名ハイミラン1707 三井デュポンポリケミカル社製 )を表2に記載の添加量で使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表6に示す。
【0054】
(実施例17)
トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてメラミン(商品名メラミン BASF社製)を使用した以外は実施例1と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表6に示す。
【0055】
(実施例18)
トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてメラミン(商品名メラミン BASF社製)を使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表6に示す。
【0056】
(実施例19〜28)
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をカリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(商品名ハイミランSD100 三井デュポンポリケミカル社製)の添加量、メラミン(商品名メラミン BASF社製)の添加量を表2および表3記載の量とした以外は実施例18と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表6および表7に示す。
【0057】
(実施例29)
親水性ポリマーとしてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をナトリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(商品名ハイミラン1707 三井デュポンポリケミカル社製 )を使用した以外は実施例18と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表7に示す。
【0058】
(実施例30)
ポリプロピレン系樹脂としてプロピレン−ブテン−1ランダム共重合体(融点148℃、融解終了温度161℃、MI値8g/10分)を使用した以外は実施例18と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表7に示す。
【0059】
(実施例31)
ポリプロピレン系樹脂としてエチレン−プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体(融点148℃、融解終了温度161℃、MI値8g/10分)を使用した以外は実施例18と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表7に示す。
【0060】
(実施例32)
トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてメラミン・イソシアヌル酸縮合物を使用した以外は実施例18と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表7に示す。
【0061】
(実施例33)
トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてイソシアヌル酸(商品名ネオクロールシアヌル酸P 四国化成工業社製)を表3に記載の添加量で使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表7に示す。
【0062】
(実施例34)
トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてメラミン(商品名メラミン BASF社製)を表3に記載の添加量で使用した以外は実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表7に示す。
【0063】
(比較例1)
エチレン−プロピレンランダム共重合体(融点146℃、融解終了温度160℃、MI値9g/10分)100重量部、親水性ポリマーとしてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をカリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(商品名ハイミランSD100 三井デュポンポリケミカル社製 )2重量部、無機充填剤としてタルク(平均粒径8μm)0.15重量部、カーボンブラック2.6重量部を50mmφ単軸押出機で溶融混練し、直径2.2mmφの円筒ダイよりストランド状に押出し、水冷後、カッターで切断し、1.8mg/粒の樹脂粒子を得た。
【0064】
実施例1と同様の方法により表8記載の発泡条件で予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0065】
(比較例2)
無機充填剤としてマイカ(平均粒径8μm)を使用した以外は比較例1と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0066】
(比較例3)
無機充填剤としてカオリン(平均粒径0.4μm)を使用した以外は比較例1と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0067】
(比較例4)
無機充填剤として精製ベントナイト(商品名:BEN−GEL−23 豊潤鉱業社製)を使用した以外は比較例1と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0068】
(比較例5)
親水性ポリマーとしてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をナトリウムイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂(商品名ハイミラン1707 三井デュポンポリケミカル社製 )使用した以外は比較例1と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0069】
(比較例6)
ポリプロピレン系樹脂としてプロピレン−ブテン−1ランダム共重合体(融点148℃、融解終了温度161℃、MI値8g/10分)を使用した以外は比較例1と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0070】
(比較例7)
ポリプロピレン系樹脂としてエチレン−プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体(融点148℃、融解終了温度161℃、MI値8g/10分)を使用した以外は比較例1と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0071】
(比較例8)
イソシアヌル酸に換えて、単位トリアジン骨格あたりの分子量が589である2,6−ジ−tert−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−イルアミノ)フェノール(商品名IRGANOX565 チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)を使用した以外は、実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0072】
(比較例9)
イソシアヌル酸に換えて、単位トリアジン骨格あたりの分子量が784である1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(商品名IRGANOX3114 チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)を使用した以外は、実施例2と同様の方法で樹脂粒子、予備発泡粒子を得、物性測定をおこなった。結果を表8に示す。
【0073】
予備発泡粒子の物性評価法を以下に示す。
【0074】
(発泡倍率)
予備発泡粒子の重量測定後、100mLのメスシリンダー中でエタノールに浸漬した時の体積を測定して真の密度を求め、その値でポリプロピレン系樹脂組成物樹脂粒子の密度を除して算出した。
【0075】
(示差走査熱量測定におけるDSC曲線の融解ピークの数)
前予備発泡粒子1〜10mgを示差走査熱量計によって10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線のおける融解ピークの数を読み取った。
【0076】
(連泡率)
空気比較式比重計(ベックマン社製、930型)を用いて、予備発泡粒子の独立気泡体積(V0)を求め、同一サンプルについて別途エタノール浸漬体積(V1)を求め、
連泡率(%)=(( V1− V0)/ V1)×100
により算出した。連泡率は高くなるに従い予備発泡粒子を型内発泡成形する際の成形性の悪化、型内発泡成形体とした時の圧縮強度等の機械的強度の低下を引き起こす。顕著な成形性の悪化、機械的強度の低下を引き起こさないためには、連泡率は6%以下であることが望ましい。
【0077】
(平均セル径)
得られた予備粒子の中から任意に30個の予備発泡粒子を取り出し、JIS K6402に準拠してセル径を測定し、平均セル径(d)を算出した。予備発泡粒子を型内発泡成形する際の成形性、型内発泡成形体とした時の色目から平均セル径は100〜500μm程度が良好とされている。50μm未満に微細化した場合には型内発泡成形する際の成形性が悪化する傾向にある。
【0078】
(セル径バラツキ)
平均セル径(d)とセル径のバラツキを表す標準偏差(σ)との比(セル径バラツキU)を
U(%)=(σ/d)×100
で算出した。
Uが小さいほどセルが均一であることを示す。Uの値を以下の基準に従って分類し、評価した。
◎:Uの値が10%未満
○:Uの値が10%以上20%未満
△:Uの値が20%以上35%未満
×:Uの値が35%以上
(発泡倍率バラツキ)
得られた予備発泡粒子0.3〜1LをJIS Z8801標準篩(3.5、4、5、6、7、8、9、10メッシュの8種)で篩い分けしたときの各篩に残った予備発泡粒子の重量分率Wi、発泡倍率Kiから加重平均倍率Kav、倍率標準偏差σmを
Kav =Σ(Ki×Wi)
σm=√[Σ{Wi×(Kav−Ki)2}]
により算出し、これらの値を用いて発泡倍率バラツキVを
V(%)=(σm/Kav)×100
により算出した。
Vが小さいほど発泡倍率バラツキが小さいことを示す。Vの値を以下の基準に従って分類し、評価した。
◎:Vの値が7.5%未満
○:Vの値が7.5%以上10%未満
△:Vの値が10%以上12.5%未満
×:Vの値が12.5%以上15%未満
××:Vの値が15%以上
実施例1〜7、14〜29、32〜34に示す通り、(A)ポリプロピレン系樹脂としてエチレン−プロピレンランダム共重合体100重量部、(B)親水性ポリマーとしてエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をイオン架橋したエチレン系アイオノマー樹脂0.01〜20重量部、(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてイソシアヌル酸、メラミンあるいはイソシアヌル酸・メラミン縮合物0.05〜10重量部、(D)無機充填剤としてタルク0〜10重量部からなるポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子の場合、所望の倍率の予備発泡粒子を得ることができ、セル径バラツキ、発泡倍率バラツキが小さい。
【0079】
また、実施例1〜7、14〜29、32に示す通り、(C)トリアジン骨格を有し単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物としてイソシアヌル酸、メラミンあるいはイソシアヌル酸・メラミン縮合物の添加量を0.05〜5重量部とすることで、得られる予備発泡粒子のセル径バラツキ、発泡倍率バラツキを小さくできるだけでなく、連泡率を低減させることも可能となる。
【0080】
また、実施例8〜13に示す通り、無機充填剤としてマイカ、カオリン、ベントナイト、ラポナイト、シリカ、炭酸カルシウムを使用した場合でもセル径バラツキ、発泡倍率バラツキが小さい予備発泡粒子が得られる。実施例30、31に示す通り、ポリプロピレン系樹脂としてプロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体を使用した場合にも同様にセル径バラツキ、発泡倍率バラツキが小さい予備発泡粒子が得られる。
【0081】
一方、比較例1〜7に示す通り、トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物を添加しない場合は、得られる予備発泡粒子のセル径バラツキ、発泡倍率バラツキは実施例1〜34に比べて大きいものであることがわかる。
【0082】
また、比較例8、9に示す通り、トリアジン骨格を有しているが、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300を超える化合物を添加した場合は、得られる予備発泡粒子のセル径バラツキ、発泡倍率バラツキは実施例1〜34に比べて大きいものであることがわかる。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】
【表8】
【0091】
【発明の効果】
(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)親水性ポリマー、(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物、からなる発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物からなる樹脂粒子を用いることにより、発泡倍率バラツキ、セル径バラツキの少ない予備発泡粒子を得ることができる。これにより型内発泡成形体とした時の重量バラツキ、色ムラが少なくなる。
Claims (10)
- (A)ポリプロピレン系樹脂、(B)親水性ポリマー、および(C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物からなることを特徴とする予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- (B)親水性ポリマーを0.01〜20重量部含むことを特徴とする請求項1記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- (C)トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物を0.05〜5重量部含むことを特徴とする請求項1または2記載の発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- さらに(D)無機充填剤を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- (D)無機充填剤を0.005〜10重量部含むことを特徴とする請求項4記載の発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- ポリプロピレン系樹脂がエチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体の群から選ばれる1種または混合物である請求項1から5のいずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 親水性ポリマーがエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体をアルカリ金属イオンで架橋してなるエチレン系アイオノマー樹脂である請求項1から6のいずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- トリアジン骨格を有し、単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物がメラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物の群から選ばれる1種または混合物である請求項1から7のいずれか1項に記載の予備発泡粒子用発泡性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を基材樹脂とすることを特徴とするポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
- 示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に2つの融解ピークを有する請求項9記載のポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子。
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