JP4187281B2 - 試験用icソケット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICデバイスを脱着可能に支持してICデバイスと外部回路との間を電気的に接続するICソケットに関し、特に、ICデバイスの電気的試験を行う際に好適に使用される試験用ICソケットに関する
【0002】
【従来の技術】
一般にICデバイスは、電子機器に搭載される前に、回路の導通試験等の所定の電気的試験を受ける。特に、集積度の高いICデバイスに関しては、使用初期に生じがちな欠陥を発見して不良品を除去するために、バーンインテストと称する高温環境下での動作試験が行われる。この種の電気的試験に際しては、ICデバイスを試験回路に対して容易かつ正確に、しかも交換可能に接続する必要があり、その目的で、ICデバイスを脱着可能に支持して試験装置の回路基板に搭載され、ICデバイスと試験回路との間を電気的に接続する試験用ICソケットが好都合に使用されている。
【0003】
従来の典型的な試験用ICソケットとして、例えば特表平7−505255号に開示されたものが知られている。このICソケットは、無蓋容器状の本体と、本体内部に移動可能に配置され、ICデバイスを支持する支持台と、一端の接点部を支持台上所定位置に配置するとともに他端のテール部を本体底部から外方に延出して本体底部に固定され、支持台を弾性的に担持する複数の弾性コンタクトと、本体に蝶番式に連結される蓋とを備える。このICソケットを用いる際は、まず試験装置の回路基板にICソケットを搭載して各コンタクトのテール部を試験回路に半田付け等により接続する。次いでICデバイスを支持台に載せ、蓋をICデバイスに押し付けつつ本体に係着すると、支持台を担持するコンタクトが弾性変形し、その弾性復元力による圧力下で、ICデバイスのリードとコンタクトの接点部とが接触する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ICデバイスにおける小形化及びリード配置の高密度化が進むに従い、試験用ICソケットに対しても、そのようなICデバイスに適応可能な構造を有することが要求されている。例えば、BGA(ボールグリッドアレイ)と称するパッケージ構造を有するICデバイスでは、正方格子状に配置された複数の球状リードの配置間隔(ピッチ)を1.0mm程度まで縮小可能である。この場合、上記した従来のICソケットでは、コンタクトピッチをリードピッチと同じ1.0mm程度に縮小すると、コンタクト同士の短絡を生じる危険性が高まるとともに、コンタクトの小径化により所望の弾性復元力、すなわちコンタクトとリードとの所望の接触圧力を得ることが困難になり、その結果、試験を正確に実施することが困難になる傾向がある。
【0005】
仮にICソケットのコンタクトピッチを縮小できたとしても、回路基板に接続されるコンタクトのテール部のピッチが同程度に縮小されるので、従来の安価な単層基板では試験回路とコンタクトとの接続が困難となり、高価な多層基板を使用せざるを得ない場合がある。また、高周波型のICデバイスに上記のICソケットを適用した場合、コンタクトピッチが狭くなると、隣接する信号線路間でのクロストーク等の雑音が発生し易くなり、試験の信頼性が低下する危惧が生じる。こうした種々の課題は、リードピッチを1.0mm以下にさらに縮小したCSP(チップサイズパッケージ)と称するパッケージ構造を有するICデバイスに上記ICソケットを適用する場合に、一層顕著になる。
【0006】
さらに、従来の試験用ICソケットは、予めコンタクトの配置が決められており、支持台上の接点部のピッチを変更できないので、1つのICソケットを多様なリード配置を有する異なるICデバイスに適用することは困難であった。
【0007】
したがって本発明の目的は、上記した従来技術の種々の課題を解決し、CSP構造のICデバイスに対しても従来の試験装置の回路基板を使用して電気的試験を正確に実施でき、しかも、多様なリード配置を有する異なるICデバイスに容易に適用できる試験用ICソケットを提供することにある
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ICデバイスを支持する支持部を有した本体と、本体に支持され、支持部上のICデバイスの複数のリードの各々に電気的に接続される接点部及び本体から外方に延出して外部の試験回路に電気的に接続されるテール部を各々の両端に有した複数のコンタクトとを具備する試験用ICソケットにおいて、支持部から独立して本体に設けられ、支持部を受容する中心貫通孔と中心貫通孔の周囲に配置されて複数のコンタクトの接点部を各々に受容する複数の周辺貫通孔を備えた多孔棚部と、誘電体基層とこの基層の第1領域に集中配置される第1端部及び基層の第2領域に第1領域内での第1端部の配置間隔よりも大きな配置間隔で分散配置される第2端部をそれぞれに有して誘電体基層に層状形成される複数の独立した導体とを備える可撓性回路基板であって、支持部及び多孔棚部に担持され、複数の導体の第1端部が支持部上でICデバイスの複数のリードに対応配置されてリードにそれぞれ接続されるとともに、複数の導体の第2端部が多孔棚部の周辺貫通孔に重畳されてコンタクトの接点部に接続される可撓性回路基板と、支持部に支持されたICデバイスの複数のリードと可撓性回路基板の複数の導体の第1端部とを所定圧力下で接触させる加圧手段であって、支持部に支持されたICデバイスを本体に接近する方向へ押圧する加圧手段と、加圧手段の押圧力に抗して支持部を本体から離れる方向へ弾性的に付勢する付勢部材とを具備し、支持部と多孔棚部との双方が、付勢部材の付勢力を受けながら、加圧手段の押圧方向へ、本体に対して弾性的に移動可能であること、を特徴とする試験用ICソケットを提供する。
【0009】
本発明はさらに、上記のICソケットにおいて、撓性回路基板は、基層の中心に第1領域を配置するとともに第1領域を包囲する基層の周縁近傍に第2領域を配置してなる試験用ICソケットを提供する。
【0010】
本発明はさらに、上記のICソケットにおいて、支持部は、本体上に移動可能に設置される支持部材から形成される試験用ICソケットを提供する。
【0011】
本発明はさらに、上記のICソケットにおいて、コンタクトは、接点部とテール部との間を連結する弾性変形可能な連結部を備え、連結部が弾性変形することにより、接点部が、多孔棚部に担持された可撓性回路基板の導体の第2端部に所定圧力下で弾性的に接触し、付勢部材は、コンタクトと同一の部材からなる複数の弾性要素を含み、接点部に対応する弾性要素の一端部が支持部材に固定され、テール部に対応する弾性要素の他端部が本体に固定され、かつ連結部に対応する弾性要素の中間部が支持部材と本体との間で弾性変形することにより支持部材を本体から離れる方向へ弾性的に付勢する試験用ICソケットを提供する。
【0012】
本発明はさらに、上記のICソケットにおいて、支持部と可撓性回路基板との間に介在される弾性シートをさらに具備する試験用ICソケットを提供する。
【0013】
本発明はさらに、上記のICソケットにおいて、可撓性回路基板を被覆して多孔棚部に担持され、可撓性回路基板の第1領域にICデバイスを案内する案内部材をさらに具備する試験用ICソケットを提供する。
【0014】
本発明はさらに、上記のICソケットにおいて、加圧手段は、本体に着脱可能に取付けられる蓋体を具備し、蓋体が、支持部に担持されたICデバイスを本体に接近する方向へ直接に押圧する試験用ICソケットを提供する。
【0015】
本発明はさらに、上記のICソケットにおいて、可撓性回路基板は、支持部に対向する基層の主表面に複数の導体を備え、基層には、それら複数の導体の第1端部に重畳する位置にそれぞれ案内貫通孔が設けられ、第1端部の縁部が主表面における案内貫通孔の開口内に配置される試験用ICソケットを提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明をその好適な実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施形態による試験用ICソケット10を示す。ICソケット10は、無蓋容器状の本体12と、本体12上に移動可能に設置される支持部材14と、支持部材14から独立して本体12上に設置される棚部材16と、本体12と棚部材16との間に配置される複数のコンタクト18と、本体12と支持部材14との間に配置される複数の付勢部材19と、支持部材14及び棚部材16に担持される可撓性回路基板20と、支持部材14と可撓性回路基板20との間に介在される弾性シート22と、可撓性回路基板20を被覆して棚部材16に担持される案内部材24と、本体12に蝶番式に連結される蓋体26とを備える。
【0019】
本体12、支持部材14、棚部材16、案内部材24及び蓋体26は、機械的強度及び耐熱性に優れた電気絶縁性材料から形成される。本体12は、略矩形平面形状を有する底部28と、底部28の四辺から略直立状に延長される壁30とを備える。底部28には、複数のコンタクト18及び複数の付勢部材19を受容支持する複数の貫通穴32が設けられる。底部28及び壁30は、開放された内部空間34を本体12に画成する。
【0020】
支持部材14は、略矩形の薄板状部材であり、ICデバイス200(後述する)を支持する支持部を構成する略平坦な主表面36と、主表面36の反対側で主表面36に略平行に延びる裏面38とを備える。主表面36の周縁には、主表面36から僅かに突出する突枠40が形成される。裏面38には、裏面38に略直交して延びる複数の有底凹部42が設けられる。各有底凹部42は、本体底部28に支持された付勢部材19の一端部65(後述する)を受容する。それにより支持部材14は、複数の付勢部材19によって本体底部28の上方で移動可能に支持される。なお、支持部材14の裏面38の周縁には、裏面38から僅かに突出する突枠44が形成され、突枠44から外側へ裏面38に略平行にフランジ46が延設される。
【0021】
棚部材16は、図4に拡大して示すように、略矩形薄板状の多孔棚部48と、多孔棚部48の周縁四隅から略直立状に延長される4つの脚部50とを備える。多孔棚部48は、略平坦な主表面48aと、脚部50を延長した側で主表面48aに略平行に延びる裏面48bとを有する。多孔棚部48の中心には、支持部材14を受容する略矩形の中心貫通孔52が設けられ、中心貫通孔52の周囲には、矩形環状に延びる領域に複数の周辺貫通孔54が格子状の整列配置で設けられる。支持部材14は、多孔棚部48の裏面48b側から中心貫通孔52に挿入され、支持部材14のフランジ46が、中心貫通孔52を画成する周面の裏面48b側に設けた肩部56に係合する。この係合により棚部材16は、支持部材14が中心貫通孔52を通って多孔棚部48の主表面48a側に抜け出ることを防止する。
【0022】
多孔棚部48の複数の周辺貫通孔54は、本体底部28に支持された複数のコンタクト18の接点部64(後述する)をそれぞれに受容する。各コンタクト18の接点部64は、多孔棚部48の裏面48b側から周辺貫通孔54に挿入される。好ましくは周辺貫通孔54は、コンタクト18の接点部64の挿入を容易にするために、図7に示すように多孔棚部48の裏面48b側から主表面48a側へ向かって徐々に縮径されている。また、好ましくは周辺貫通孔54は、コンタクト18の接点部64が自由に移動できるように、隙間を介して接点部64を受容可能な寸法を有する。なお、多孔棚部48の主表面48aの四隅には、可撓性回路基板20及び案内部材24を多孔棚部48に対して位置決めするための突起58が設けられる。
【0023】
好ましくは棚部材16の4つの脚部50は、多孔棚部48に一体的に連結される基端50aを支点として、末端の自由端50bが弾性的に揺動できるように構成される。各脚部50の自由端50bには、脚部50に略直交して外方へ突出する爪60を設けることができる。これら爪60は、本体12の壁30の内面に対応して設けられた肩面62に係合する。本体12の壁30の内面は、本体底部28と肩面62との間では底部28に略直交して平坦に延び、肩面62にて内部空間34に隆起し、肩面62から壁30の自由端までが好ましくは外側へ傾斜して延びる。
【0024】
したがって、棚部材16を本体12に取付ける際には、各脚部50の自由端50bの爪60を本体12の壁30の傾斜部分に摺接させつつ、各脚部50を本体12の内部空間34に押し込む。それにより、各脚部50が内方へ弾性的に撓曲し、爪60が肩面62を越えたときに各脚部50が外方へ弾性的に復元して爪60が肩面62に係合する。爪60と肩面62とが係合した状態では、棚部材16は本体底部28から所定距離だけ離れて配置され、本体底部28から離れる方向への移動を制限される。なお棚部材16は、支持部材14と共に、爪60と肩面62とが係合した状態から本体底部28に接近する方向へ幾分移動できることが好ましい。この場合、本体底部28にさらに接近する方向への棚部材16の移動は、例えば図1に示すように壁30の内面に設けたストッパ63により制限することができる。
【0025】
コンタクト18は、電気良導性の弾性材料からなるピン状導体であり、棚部材16の多孔棚部48の周辺貫通孔54に受容される一端の接点部64と、本体12の底部28に設けた貫通穴32を通して外方に延出される他端のテール部66と、接点部64とテール部66との間を連結する弾性変形可能な連結部68とを備える。テール部66は歯70を有し、歯70により本体底部28の貫通穴32に固定される。連結部68は、略C字状に湾曲して、コンタクト18にばね機能を付与する。
【0026】
コンタクト18は、後述するようにICデバイス200の複数のリード202の各々と外部の試験回路(図示せず)との間を電気的に接続する。この電気的接続を行わない状態(例えば後述する蓋体26の開放時)では、好ましくはコンタクト18は、いかなる負荷も受けずに(すなわち連結部68が変形せずに)接点部64が多孔棚部48の周辺貫通孔54に遊挿され、接点部64が多孔棚部48の主表面48aから僅かに突出した状態となっている(図7参照)。そして電気的接続時(例えば蓋体26の閉鎖時)には、各コンタクト18が後述する接触圧力を受けて独立して変形し、各接点部64が周辺貫通孔54内に摩擦を生じることなく容易に引き込まれる。
【0027】
付勢部材19は、コンタクト18と同一構造の弾性要素からなる。すなわちICソケット10においては、付勢部材19としてコンタクト18を流用することができる。付勢部材19は、コンタクト18の接点部64に対応する一端部65が支持部材14の有底凹部42に受容され、テール部66に対応する他端部67が本体12の底部28に設けた貫通穴32を通して外方に延出され、連結部68に対応する弾性変形可能な中間部69が一端部65と他端部67との間を連結する。他端部67は歯71を有し、歯71により貫通穴32に固定される。このようにして付勢部材19は、中間部69が支持部材14と本体底部28との間で弾性変形することにより、支持部材14を本体底部28から離れる方向へ弾性的に付勢する。
【0028】
支持部材14を本体12に組み込んだときには、各付勢部材19は予負荷を受けて中間部69が僅かに弾性変形した状態にある。したがって支持部材14は、複数の付勢部材19の付勢力の下で、フランジ46が棚部材16の中心貫通孔52の肩部56に係合する。それにより棚部材16は、支持部材14を介して複数の付勢部材19の付勢力を受ける。そして、棚部材16の各脚部50の爪60が本体12の壁30の肩面62に係合したときに、棚部材16及び支持部材14が、複数の付勢部材19の付勢力に抗して、本体底部28の上方所定距離の位置に保持される。
【0029】
可撓性回路基板20は、図5(a)、(b)に拡大して示すように、ポリイミド等の有機材料の誘電体からなる略矩形の基層72と、基層72の主表面74に層状にエッチング形成される複数の独立した導体76とを備える。複数の導体76は、基層72の略中心の第1領域78に集中的に整列配置される一端のインナーパッド80と、第1領域78を包囲する基層周縁近傍の第2領域82に分散して格子状に整列配置される他端のアウターパッド84と、インナーパッド80とアウターパッド84とを連結する線状部分86とをそれぞれに備えて、基層72の主表面74上に放射状に配置される。第1領域78における複数のインナーパッド80の配置は、ICデバイス200が有する複数のリード202の配置に対応したものである。これに対し、第2領域82における複数のアウターパッド84の配置は、棚部材16の周辺貫通孔54の配置に対応したものであり、そのピッチはインナーパッド80のピッチを所望寸法に拡大したものとなっている。
【0030】
基層72には、複数のインナーパッド80に重畳する位置にそれぞれ案内貫通孔88が設けられる。好ましくは各案内貫通孔88は、図7に拡大して示すように、基層72の主表面74から裏面90に向かって徐々に拡径する(すなわちインナーパッド80に向かって徐々に収束する)傾斜周面92を有する。案内貫通孔88は、例えばエッチング工程によって、各インナーパッド80に到達する深さと傾斜周面92の適当な傾斜角度とを有して基層72に穿設される。案内貫通孔88の傾斜周面92は、後述するように、電気的試験時にICデバイス200のリード202を案内してインナーパッド80に正確に接触させる作用を有する。このような案内貫通孔を有した可撓性回路基板は、例えば特開平6−252216号に開示される。
【0031】
基層72にはさらに、その四隅に近接して位置決め孔94がそれぞれ貫通形成される。可撓性回路基板20を支持部材14及び棚部材16に載せる際には、基層72の主表面74を支持部材14の主表面36及び多孔棚部48の主表面48aに対向させ、基層72の各位置決め孔94に多孔棚部48の各突起58を挿入して可撓性回路基板20を位置決めする。この状態で、可撓性回路基板20の複数のアウターパッド84は、多孔棚部48の複数の周辺貫通孔54にそれぞれ重畳して配置され、周辺貫通孔54に受容されたコンタクト18の接点部64に電気的に接続可能な状態に置かれる。また複数のインナーパッド80は、支持部材14の主表面36上の所定位置に配置され、ICデバイス200の複数のリード202にそれぞれ電気的に接続可能な状態に置かれる。
【0032】
ICソケット10が適用されるICデバイス200は、前述したCSP構造を有し、パッケージ本体に正方格子状配置で球状に突設された複数のリード202を備える。それらリード202のピッチは、周知のように1.0mm以下に設定できる。従来の試験用ICソケットは、このような微細ピッチのICデバイスに対して前述したような種々の問題点を露呈し、正確な電気的試験を実施することが困難であった。しかしながらICソケット10では、可撓性回路基板20を使用したことにより、CSP構造のICデバイスに対しても正確な試験を容易に実施できるようになった。すなわち可撓性回路基板20によれば、基層72上で放射状に配置された複数の導体76が、ICデバイス200の複数のリード202に接触するインナーパッド80のピッチをアウターパッド84のピッチまで拡大するので、アウターパッド84に接続される複数のコンタクト18のピッチは、例えば従来、安全かつ正確な電気的試験を実施可能な一般的コンタクトピッチである1mm〜3mm程度に設定可能となる。その結果、ICソケット10は、CSP構造のICデバイスに対しても電気的試験を安全かつ正確に実施できるのである。
【0033】
また、ICソケット10によれば、コンタクトピッチを従来の試験用ICソケットと同程度に設定できるので、従来使用されていた単層構造等の比較的安価な回路構造を有する回路基板を試験装置に使用でき、電気的試験に要するコストの高騰を防止できる効果が得られる。しかもICソケット10では、インナーパッド80のピッチや案内貫通孔88の寸法が異なる多種類の可撓性回路基板20を用意し、ICデバイス200のリードピッチに対応したインナーパッドピッチやリード寸法に対応した案内貫通孔寸法を有する可撓性回路基板20を適宜選択、交換して使用するだけで、1つのICソケット10を多様なリード配置、リード寸法を有する異なるICデバイスに適用することが可能となる。
【0034】
ICソケット10はさらに、可撓性回路基板20を被覆して棚部材16の多孔棚部48に担持される案内部材24を備える。案内部材24は、略矩形の板状部材であり、略平坦な主表面96と主表面96に略平行な裏面98とを備える。案内部材24の略中央には、矩形の案内開口100が設けられる。案内開口100は、主表面96と裏面98との間に延びる貫通孔であり、裏面98側では、ICデバイス200の外形寸法より僅かに大きな輪郭を有し、主表面96側には、好ましくは主表面96に向かって徐々に拡張される傾斜周面102が設けられる。また案内部材24には、四隅に近接して位置決め孔104がそれぞれ貫通形成される。
【0035】
案内部材24を、多孔棚部48に担持された可撓性回路基板20に載せる際には、裏面98を可撓性回路基板20の裏面90に対向させ、各位置決め孔104に多孔棚部48の各突起58を挿入して案内部材24を位置決めする。この状態で図6に示すように、案内部材24の案内開口100は、可撓性回路基板20の中心の第1領域78に重畳して配置され、可撓性回路基板20の複数の案内貫通孔88及びそれらに重畳された複数のインナーパッド80にICデバイス200の複数のリード202が接近することを可能にする。同時に、可撓性回路基板20の第1領域78以外の領域は、案内部材24によって被覆保護される。
【0036】
このようにして案内部材24は、傾斜周面102を有した案内開口100の作用により、可撓性回路基板20の第1領域78にICデバイス200を案内する。案内開口100に収容されたICデバイス200の複数のリード202は、可撓性回路基板20の複数の案内貫通孔88に自動的に挿入され、案内貫通孔88の傾斜周面92により微小な位置ずれを補正されて、それら案内貫通孔88に重畳された複数のインナーパッド80に正確に接続可能な状態に置かれる。
【0037】
ところで、独立した2つの導体を相互接触させたときに良好な導通状態を確保するためには、接触導体間に所定の接触圧力が必要なことは周知である。ICソケット10は、可撓性回路基板20の複数のインナーパッド80とICデバイス200の複数のリード202との間、及び複数のアウターパッド84と複数のコンタクト18の接点部64との間にこのような接触圧力を付与する加圧手段として、本体12に着脱可能に取付けられる蓋体26を備える。好ましくは蓋体26は、軸106を介して本体12の1つの壁30の自由端に蝶番式に連結される。
【0038】
蓋体26は、本体12に対向する略平坦な主表面108を備え、主表面108の略中央に、ICデバイス200を押圧する隆起部110が形成される。隆起部110は、主表面108に略平行な頂面112を有する。図2及び図3に示すように、蓋体26を所定の閉鎖位置に配置すると、蓋体26の隆起部110の頂面112が、支持部材14上のICデバイス200を本体底部28に接近する方向へ直接に押圧し、蓋体26の主表面108が、多孔棚部48上の案内部材24を本体底部28に接近する方向へ直接に押圧する。
【0039】
他方、支持部材14は、複数の付勢部材19により本体底部28から離れる方向へ付勢されている。したがって支持部材14上では、可撓性回路基板20の複数のインナーパッド80とICデバイス200の複数のリード202とが、蓋体26の押圧力と複数の付勢部材19の付勢力との協働により所定圧力下で接触され、良好な導通状態が得られる。また、多孔棚部48の各周辺貫通孔54に受容されたコンタクト18の接点部64は、コンタクト18自体の弾性復元力と蓋体26の押圧力との協働により、案内部材24と多孔棚部48との間に挟持された可撓性回路基板20の各アウターパッド84に所定圧力下で接触され、やはり良好な導通状態が得られる。
【0040】
なお、このような良好な導通状態を確保するために、図7に示すように、蓋体26による押圧力が加わらない状態では、支持部材14は複数の付勢部材19の付勢力を受けて、その主表面36が多孔棚部48の主表面48aよりも僅かに蓋体26側へ突出して配置されることが好ましい。同様に、多孔棚部48の各周辺貫通孔54に受容されたコンタクト18の接点部64は、蓋体26による押圧力が加わらない状態では、多孔棚部48の主表面48aから僅かに突出していることが望ましい。
【0041】
蓋体26及び複数の付勢部材19の協働によって生じるこのような接触圧力を、可撓性回路基板20の複数のインナーパッド80とICデバイス200の複数のリード202との間に確実に伝えるために、ICソケット10はさらに、支持部材14と可撓性回路基板20との間に弾性シート22を介在させている。弾性シート22は、可撓性回路基板20のインナーパッド80と支持部材14の主表面36との間で接触圧力を受けて弾性変形するので、支持部材14の主表面36に微細な凹凸がある場合や、ICデバイス200の複数のリード202が微小な寸法差を有する場合にも、各インナーパッド80と各リード202との間に一様に接触圧力を加えることが可能となる。なお、アウターパッド84においては、各コンタクト18が互いに独立して弾性変形可能であり、しかも可撓性回路基板20の基層72が弾性変形可能であるので、案内部材24の裏面98に微細な凹凸がある場合にも、各アウターパッド84と各コンタクト18との間に一様に接触圧力を加えることができる。
【0042】
さらにICソケット10は、蓋体26の軸106とは反対側の先端に軸114を介して回動可能に取付けられた係合要素116を備えることができる。係合要素116は、その自由端に本体12側へ突出する爪118を備え、蓋体26が所定の閉鎖位置にあるときに、爪118が本体12の壁30の外面に設けた張出部120に選択的に係合することにより、蓋体26を閉鎖位置に掛止して蓋体26が生じる押圧力を維持する。
【0043】
ICソケット10にICデバイス200を搭載する際には、まず蓋体26を開放位置に置き、案内部材24の案内開口100を介して可撓性回路基板20の中心の第1領域78にICデバイス200を載せる。このとき、ICデバイス200の複数のリード202は、可撓性回路基板20の複数の案内貫通孔88に自動的に挿入され、案内貫通孔88の傾斜周面92により微小な位置ずれを補正されて、それら案内貫通孔88に重畳された複数のインナーパッド80に正確に接続可能な状態に置かれる。次いで、蓋体26を本体12に対し回動させて上記閉鎖位置に置き、それにより案内部材24及びICデバイス200を本体底部28に接近する方向へ押圧して、棚部材16を貫通する複数のコンタクト18及び支持部材14を担持する複数の付勢部材19を弾性的に撓ませる。同時に、係合要素116を本体12の壁30の張出部120に係合させてこの状態を保持する。このとき、可撓性回路基板20の複数のインナーパッド80とICデバイス200の複数のリード202、及び複数のアウターパッド84と複数のコンタクト18の接点部64とが、所定の接触圧力下で正確に接触する。この状態で、ICデバイス200と複数のコンタクト18とが、可撓性回路基板20の複数の導体76を介して電気的に接続され、コンタクト18のテール部66に接続された試験回路により、ICデバイス200の電気的試験が実施される。試験終了後、蓋体26を開放位置に戻し、試験済のICデバイス200を取り出して、次の被試験ICデバイス200をICソケット10に搭載する。
【0044】
以上、説明したように、ICソケット10は、ICデバイスのリードピッチを拡大した所望ピッチで複数のコンタクト18を配置できるので、CSP構造のICデバイスに対しても安全かつ正確な試験を容易に実施でき、また従来使用されていた比較的安価な回路構造を有する回路基板を試験装置に使用でき、しかも可撓性回路基板20を交換するだけで多様なリード配置を有する異なるICデバイスに適用できるという、格別の作用効果を奏するものである。
【0045】
このような安全かつ正確な試験を実施可能にするためには、ICソケット10において、支持部材14を本体12に対して移動可能な構造としたことが寄与する。このような構造によれば、複数の付勢部材19と蓋体26との協働により生じる接触圧力を、付勢部材19の付勢力を調節することにより容易に調整できるので、過剰圧力によるリードの破損等の危惧を排除できる効果が得られる。なお、可撓性回路基板20の各インナーパッド80とICデバイス200の各リード202との間に作用する接触圧力は、荷重で示した場合に数十g程度であることが好ましい。
【0046】
上記の点に関しICソケット10では、支持部材14を本体底部28から離れる方向へ弾性的に付勢する付勢部材19に複数のコンタクト18を流用できるので、付勢部材19として作用するコンタクト18の形状、材料、本数等を適宜選択することにより付勢力を容易に調節できる。しかも、それら付勢部材19を、導体として作用するコンタクト18と同一工程で本体12に組み込むことができるので、部品種類及び製造工程数を削減し、コストを低減することができる。
【0047】
また、蓋体26を本体12に蝶番式に連結した上記構成では、蓋体26が案内部材24及びICデバイス200を本体底部28に接近する方向へ押圧する際に、案内部材24及びICデバイス200のいずれにも軸106に近い箇所から順次押圧力が加えられるので、軸106に近い位置にあるコンタクト18の接点部64やICデバイス200のリード202に過剰な圧力が加わる傾向がある。このような危惧を排除するためには、棚部材16及び支持部材14の双方を本体12に対して弾性的に移動可能な構造とすることが好ましい。
【0048】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る試験用ICソケットは、上記以外の様々な構成を有することができる。例えば、複数のコンタクト18と同一構造の複数の付勢部材19を使用する代わりに、図8に示すように、本体底部28と支持部材14との間に1つの圧縮コイルばね122を、所望の圧縮状態で配置することもできる。この場合、本体底部28には、コンタクト18のテール部66を受容する貫通穴32の代わりに、圧縮コイルばね122を位置決めする突部124が設けられ、同様に支持部材14には、コンタクト18の接点部64を受容する有底凹部42の代わりに、圧縮コイルばね122を位置決めする突部126が設けられる。或いはまた、支持部材14の全体に平衡して付勢力を加えることができる位置に、圧縮コイルばね122より小さな複数の圧縮コイルばねを配設することもできる。
【0049】
また、ICデバイスを支持する支持部が本体に対して移動可能であることを要件として、上記実施形態における支持部材14と棚部材16とを相互に固定的に連結してもよい。或いは、本体に対して移動可能な支持部材の周囲に、本体に固定的に連結された多孔棚部を形成することもできる。
【0050】
可撓性回路基板において、複数の導体のインナーパッドを配置する第1領域とアウターパッドを配置する第2領域とは、上記したような所望のピッチ拡大効果が得られる位置であれば、ICソケット10のように基層の中心及びその周囲の領域に限らず、基層のどのような位置に設けてもよい。この場合、第1領域及び第2領域の相対配置に対応して、支持部と多孔棚部との相対配置、案内部材の案内開口の位置、蓋体の隆起部110の位置等が設定される。
【0051】
また、可撓性回路基板は、主表面上のみに導体を配置した上記線路構造以外に、例えばヴィアホールを介して主表面の導体と裏面のインナーパッドとが接続される線路構造を有することもできる。
【0052】
本発明に係るICソケットは、様々な材料から形成できる。例えば上記各実施形態において、電気絶縁性材料からなる本体12、支持部材14、棚部材16、案内部材24及び蓋体26は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PEI(ポリエーテルイミド)、PES(ポリエーテルスルホン)等の、耐熱性及び機械的強度に優れた樹脂材料から形成されることが好ましい。また、コンタクト18は、ベリリウム銅や燐青銅等のばね性を有する金属材料からなることが好ましく、それらコンタクトの少なくとも接点部分には、ニッケル下地の金メッキを施すことが望ましい。弾性シート22は、フッ素ゴムやシリコンゴム等のゴムからなることが好ましい。可撓性回路基板20の基層72はポリイミドやポリエステル等の誘電体からなり、導体76は銅箔からなることが好ましい。導体76の少なくともインナーパッド80及びアウターパッド84には、ニッケル下地の金メッキを施すことが望ましい。
【0053】
本発明に係るICソケットは、様々な方法で製造できる。例えば上記各実施形態において、電気絶縁性材料からなる本体12、支持部材14、棚部材16、案内部材24及び蓋体26は、樹脂材料から射出成型により形成できる。また、可撓性回路基板20は、例えば次のようにして製造できる。
【0054】
まず、ポリイミド等の基層72の主表面74にメッキ工程により銅箔層を形成する。次に、銅箔層を有した基層72の両面に、圧着又は塗布により感光性レジストを形成する。次いで、ガラスマスクを介して感光性レジストの所望部分を露光し、銅箔層側の感光性レジストに導体76を、かつ基層72側の感光性レジストに案内貫通孔88及び位置決め孔94をそれぞれ形成する。続いて、感光性レジストを現像し、導体及び各孔の部分の感光性レジストを除去する。次に、銅箔層を電極層として感光性レジストの上記除去部分に銅メッキを施して導体76を形成し、その後、基層72側の感光性レジストを介してエッチングにより案内貫通孔88及び位置決め孔94を形成する。最後に、感光性レジストを除去し、エッチングにより銅箔層を除去する。
【0055】
上記製造工程において形成される基層72の案内貫通孔88及び位置決め孔94の内周面は、エッチング工程中の化学反応によって厚さ方向へテーパ状に傾斜して形成される。この傾斜角度は、エッチング液の種類及び温度、感光性レジストの種類、感光性レジストを被覆する面の表面処理に基づく相互密着力の大きさ等の、材料及び加工条件に影響されるものである。したがって、可撓性回路基板20の案内貫通孔88の傾斜内周面92の傾斜角度は、上記諸条件の適切な選択によって適宜設定することができる。
【0056】
このようにして形成される可撓性回路基板の導体の、特にインナーパッドの部分は、図9に示すように様々な形状とすることができる。図9(a)は、無孔平板状のインナーパッド130を示す。この場合、球状のリード202は、実質的にインナーパッド130の1点に接触する。図9(b)は、二股状のインナーパッド132を示す。この場合、リード202は、インナーパッド132の2本の直線縁部134に線状に接触する。図9(c)は、円形孔136を有したインナーパッド138を示す。この場合、リード202は、インナーパッド138の孔136の円形縁部に線状に接触する。図9(d)は、ストリップ状のインナーパッド140を示す。この場合、リード202は、インナーパッド140の先端の直線縁部142に点状に接触する。図9(e)は、H字孔144を有したインナーパッド146を示す。この場合、リード202は、インナーパッド146の2つの直線縁部148に線状に接触する。
【0057】
このように、本発明に係る可撓性回路基板では、インナーパッドとICデバイスのリードとの接触形態を、リードの寸法、材質、表面処理状態等の諸条件に対応して、適宜選択することができる。例えば図9(b)、(c)及び(e)に示す接触形態によれば、リードがインナーパッドの縁部に線状に接触することにより、リード表面に形成されがちな酸化被膜がインナーパッドにより破壊されるので、図9(a)及び(d)に示すような点接触の形態に比べて良好な信号伝送が行われる。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、複数のコンタクトとICデバイスの複数のリードとの間に、リードに接続される第1端部の配置間隔よりも大きな配置間隔でコンタクトに接続される第2端部をそれぞれに有する複数の導体を備えた可撓性回路基板を介在させ、ICデバイスのリードピッチを所望寸法に拡大したピッチで複数のコンタクトを配置できるようにした。その結果、本発明によれば、CSP構造のICデバイスに対しても安全かつ正確な試験を容易に実施でき、また従来使用されていた比較的安価な回路構造を有する回路基板を試験装置に使用でき、しかも可撓性回路基板を交換するだけで多様なリード配置を有する異なるICデバイスに適用できるという、極めて有用な試験用ICソケットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるICソケットの分解斜視図である。
【図2】図1のICソケットを組立てた状態で、かつICデバイスを搭載した状態で示す図3の線II−IIに沿った断面図である。
【図3】図1のICソケットを組立てた状態で、かつICデバイスを搭載した状態で示す図2の線 III−III に沿った断面図である。
【図4】図1のICソケットにおける棚部材の拡大斜視図である。
【図5】図1のICソケットにおける可撓性回路基板の拡大平面図で、(a)主表面、及び(b)裏面、を示す。
【図6】図1のICソケットを組立てた状態で、かつ蓋部を除去した状態で示す一部切欠き平面図である。
【図7】図1のICソケットにおけるICデバイス搭載前の状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるICソケットを、図2に対応して示す部分拡大断面図である。
【図9】本発明のICソケットに使用可能な可撓性回路基板のインナーパッド部分の様々な変形例を、基層及びリードと共に平面図及び断面図で示す図で、(a)無孔平板状インナーパッド、(b)二股状インナーパッド、(c)円形孔付インナーパッド、(d)ストリップ状インナーパッド、及び(e)H字孔付インナーパッド、を示す。
【符号の説明】
10…ICソケット
12…本体
14…支持部材
16…棚部材
18…コンタクト
20…可撓性回路基板
22…弾性シート
24…案内部材
26…蓋体
48…多孔棚部
52…中心貫通孔
54…周辺貫通孔
64…接点部
72…基層
76…導体
78…第1領域
80…インナーパッド
82…第2領域
84…アウターパッド
88…案内貫通孔
100…案内開口

Claims (8)

  1. ICデバイスを支持する支持部を有した本体と、該本体に支持され、該支持部上のICデバイスの複数のリードの各々に電気的に接続される接点部及び該本体から外方に延出して外部の試験回路に電気的に接続されるテール部を各々の両端に有した複数のコンタクトとを具備する試験用ICソケットにおいて、
    前記支持部から独立して前記本体に設けられ、前記支持部を受容する中心貫通孔と該中心貫通孔の周囲に配置されて前記複数のコンタクトの前記接点部を各々に受容する複数の周辺貫通孔を備えた多孔棚部と、
    誘電体基層と該基層の第1領域に集中配置される第1端部及び該基層の第2領域に該第1領域内での該第1端部の配置間隔よりも大きな配置間隔で分散配置される第2端部をそれぞれに有して該誘電体基層に層状形成される複数の独立した導体とを備える可撓性回路基板であって、前記支持部及び前記多孔棚部に担持され、該複数の導体の該第1端部が前記支持部上でICデバイスの複数のリードに対応配置されて該リードにそれぞれ接続されるとともに、該複数の導体の該第2端部が前記多孔棚部の前記周辺貫通孔に重畳されて前記コンタクトの前記接点部に接続される可撓性回路基板と、
    前記支持部に支持されたICデバイスの複数のリードと前記可撓性回路基板の複数の前記導体の前記第1端部とを所定圧力下で接触させる加圧手段であって、前記支持部に支持されたICデバイスを前記本体に接近する方向へ押圧する加圧手段と、
    前記加圧手段の押圧力に抗して前記支持部を前記本体から離れる方向へ弾性的に付勢する付勢部材と、
    を具備し、
    前記支持部と前記多孔棚部との双方が、前記付勢部材の付勢力を受けながら、前記加圧手段の押圧方向へ、前記本体に対して弾性的に移動可能であること、
    を特徴とする試験用ICソケット。
  2. 記可撓性回路基板は、前記基層の中心に前記第1領域を配置するとともに該第1領域を包囲する該基層の周縁近傍に前記第2領域を配置してなる請求項1に記載の試験用ICソケット。
  3. 前記支持部は、前記本体上に移動可能に設置される支持部材から形成される請求項1又は2に記載の試験用ICソケット。
  4. 前記コンタクトは、前記接点部と前記テール部との間を連結する弾性変形可能な連結部を備え、該連結部が弾性変形することにより、該接点部が、前記多孔棚部に担持された前記可撓性回路基板の前記導体の前記第2端部に所定圧力下で弾性的に接触し、前記付勢部材は、前記コンタクトと同一の部材からなる複数の弾性要素を含み、前記接点部に対応する該弾性要素の一端部が前記支持部材に固定され、前記テール部に対応する該弾性要素の他端部が前記本体に固定され、かつ前記連結部に対応する該弾性要素の中間部が前記支持部材と前記本体との間で弾性変形することにより該支持部材を該本体から離れる方向へ弾性的に付勢する請求項3に記載の試験用ICソケット。
  5. 前記支持部と前記可撓性回路基板との間に介在される弾性シートをさらに具備する請求項1〜4のいずれか1項に記載の試験用ICソケット。
  6. 前記可撓性回路基板を被覆して前記多孔棚部に担持され、該可撓性回路基板の前記第1領域にICデバイスを案内する案内部材をさらに具備する請求項1〜5のいずれか1項に記載の試験用ICソケット。
  7. 前記加圧手段は、前記本体に着脱可能に取付けられる蓋体を具備し、該蓋体が、前記支持部に担持された前記ICデバイスを前記本体に接近する方向へ直接に押圧する請求項1〜6のいずれか1項に記載の試験用ICソケット。
  8. 前記可撓性回路基板は、前記支持部に対向する前記基層の主表面に前記複数の導体を備え、該基層には、それら複数の導体の前記第1端部に重畳する位置にそれぞれ案内貫通孔が設けられ、該第1端部の縁部が該主表面における該案内貫通孔の開口内に配置される請求項1〜7のいずれか1項に記載の試験用ICソケット。
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