JPH09275168A - 試験用icソケット及びこのicソケットに使用可能な可撓性回路基板 - Google Patents

試験用icソケット及びこのicソケットに使用可能な可撓性回路基板

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JPH09275168A
JPH09275168A JP8412896A JP8412896A JPH09275168A JP H09275168 A JPH09275168 A JP H09275168A JP 8412896 A JP8412896 A JP 8412896A JP 8412896 A JP8412896 A JP 8412896A JP H09275168 A JPH09275168 A JP H09275168A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 CSP構造のICデバイスに対しても電気的
試験を正確に実施できる試験用ICソケットを提供す
る。 【解決手段】 ICソケット10は、本体12に移動可
能に設置される支持部材14及び棚部材16、本体12
と棚部材16との間に配置される複数のコンタクト1
8、本体12と支持部材14との間に配置される複数の
付勢部材19、支持部材14及び棚部材16に担持され
る可撓性回路基板20、支持部材14と可撓性回路基板
20との間に介在される弾性シート22、可撓性回路基
板20を介して棚部材16に担持される案内部材24、
並びに本体12に連結される蓋体26を備える。可撓性
回路基板20は、放射状配置された複数の導体76によ
り、ICデバイス200の複数のリードに接触するイン
ナーパッド80のピッチを拡大したピッチを有するアウ
ターパッド84に、コンタクト18を接続可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICデバイスを脱
着可能に支持してICデバイスと外部回路との間を電気
的に接続するICソケットに関し、特に、ICデバイス
の電気的試験を行う際に好適に使用される試験用ICソ
ケットに関する。さらに本発明は、このような試験用I
Cソケットに使用可能な可撓性回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にICデバイスは、電子機器に搭載
される前に、回路の導通試験等の所定の電気的試験を受
ける。特に、集積度の高いICデバイスに関しては、使
用初期に生じがちな欠陥を発見して不良品を除去するた
めに、バーンインテストと称する高温環境下での動作試
験が行われる。この種の電気的試験に際しては、ICデ
バイスを試験回路に対して容易かつ正確に、しかも交換
可能に接続する必要があり、その目的で、ICデバイス
を脱着可能に支持して試験装置の回路基板に搭載され、
ICデバイスと試験回路との間を電気的に接続する試験
用ICソケットが好都合に使用されている。
【0003】従来の典型的な試験用ICソケットとし
て、例えば特表平7−505255号に開示されたもの
が知られている。このICソケットは、無蓋容器状の本
体と、本体内部に移動可能に配置され、ICデバイスを
支持する支持台と、一端の接点部を支持台上所定位置に
配置するとともに他端のテール部を本体底部から外方に
延出して本体底部に固定され、支持台を弾性的に担持す
る複数の弾性コンタクトと、本体に蝶番式に連結される
蓋とを備える。このICソケットを用いる際は、まず試
験装置の回路基板にICソケットを搭載して各コンタク
トのテール部を試験回路に半田付け等により接続する。
次いでICデバイスを支持台に載せ、蓋をICデバイス
に押し付けつつ本体に係着すると、支持台を担持するコ
ンタクトが弾性変形し、その弾性復元力による圧力下
で、ICデバイスのリードとコンタクトの接点部とが接
触する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、ICデバイスに
おける小形化及びリード配置の高密度化が進むに従い、
試験用ICソケットに対しても、そのようなICデバイ
スに適応可能な構造を有することが要求されている。例
えば、BGA(ボールグリッドアレイ)と称するパッケ
ージ構造を有するICデバイスでは、正方格子状に配置
された複数の球状リードの配置間隔(ピッチ)を1.0
mm程度まで縮小可能である。この場合、上記した従来の
ICソケットでは、コンタクトピッチをリードピッチと
同じ1.0mm程度に縮小すると、コンタクト同士の短絡
を生じる危険性が高まるとともに、コンタクトの小径化
により所望の弾性復元力、すなわちコンタクトとリード
との所望の接触圧力を得ることが困難になり、その結
果、試験を正確に実施することが困難になる傾向があ
る。
【0005】仮にICソケットのコンタクトピッチを縮
小できたとしても、回路基板に接続されるコンタクトの
テール部のピッチが同程度に縮小されるので、従来の安
価な単層基板では試験回路とコンタクトとの接続が困難
となり、高価な多層基板を使用せざるを得ない場合があ
る。また、高周波型のICデバイスに上記のICソケッ
トを適用した場合、コンタクトピッチが狭くなると、隣
接する信号線路間でのクロストーク等の雑音が発生し易
くなり、試験の信頼性が低下する危惧が生じる。こうし
た種々の課題は、リードピッチを1.0mm以下にさらに
縮小したCSP(チップサイズパッケージ)と称するパ
ッケージ構造を有するICデバイスに上記ICソケット
を適用する場合に、一層顕著になる。
【0006】さらに、従来の試験用ICソケットは、予
めコンタクトの配置が決められており、支持台上の接点
部のピッチを変更できないので、1つのICソケットを
多様なリード配置を有する異なるICデバイスに適用す
ることは困難であった。
【0007】したがって本発明の目的は、上記した従来
技術の種々の課題を解決し、CSP構造のICデバイス
に対しても従来の試験装置の回路基板を使用して電気的
試験を正確に実施でき、しかも、多様なリード配置を有
する異なるICデバイスに容易に適用できる試験用IC
ソケットを提供することにある。本発明の他の目的は、
そのような試験用ICソケットに好都合に使用可能な可
撓性回路基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ICデバイスを支持する支持部を有した
本体と、本体に支持され、支持部上のICデバイスの複
数のリードの各々に電気的に接続される接点部及び本体
から外方に延出して外部の試験回路に電気的に接続され
るテール部を各々の両端に有した複数のコンタクトとを
具備する試験用ICソケットにおいて、支持部の近傍に
配置されて本体に設けられ、複数のコンタクトの接点部
を各々に受容する複数の貫通孔を備えた多孔棚部と、誘
電体基層とこの基層の第1領域に集中配置される第1端
部及び基層の第2領域に第1領域内での第1端部の配置
間隔よりも大きな配置間隔で分散配置される第2端部を
それぞれに有して誘電体基層に層状形成される複数の独
立した導体とを備える可撓性回路基板であって、支持部
及び多孔棚部に担持され、複数の導体の第1端部が支持
部上でICデバイスの複数のリードに対応配置されてリ
ードにそれぞれ接続されるとともに、複数の導体の第2
端部が多孔棚部の貫通孔に重畳されてコンタクトの接点
部に接続される可撓性回路基板と、支持部に支持された
ICデバイスの複数のリードと可撓性回路基板の複数の
導体の第1端部とを所定圧力下で接触させる加圧手段と
を具備したことを特徴とする試験用ICソケットを提供
する。
【0009】本発明はさらに、上記のICソケットにお
いて、多孔棚部は、支持部を受容する中心貫通孔と中心
貫通孔の周囲に配置されて複数のコンタクトの接点部を
各々に受容する複数の周辺貫通孔とを備え、可撓性回路
基板は、基層の中心に第1領域を配置するとともに第1
領域を包囲する基層の周縁近傍に第2領域を配置してな
る試験用ICソケットを提供する。
【0010】本発明はさらに、上記のICソケットにお
いて、支持部は、本体上に移動可能に設置される支持部
材から形成され、加圧手段は、支持部材に支持されたI
Cデバイスを本体に接近する方向へ押圧する押圧部材
と、押圧部材の押圧力に抗して支持部材を本体から離れ
る方向へ弾性的に付勢する付勢部材とを具備する試験用
ICソケットを提供する。
【0011】本発明はさらに、上記のICソケットにお
いて、コンタクトは、接点部とテール部との間を連結す
る弾性変形可能な連結部を備え、連結部が弾性変形する
ことにより、接点部が、多孔棚部に担持された可撓性回
路基板の導体の第2端部に所定圧力下で弾性的に接触
し、付勢部材は、コンタクトと同一構造の複数の弾性要
素からなり、接点部に対応する弾性要素の一端部が支持
部材に固定され、テール部に対応する弾性要素の他端部
が本体に固定され、かつ連結部に対応する弾性要素の中
間部が支持部材と本体との間で弾性変形することにより
支持部材を本体から離れる方向へ弾性的に付勢する試験
用ICソケットを提供する。
【0012】本発明はさらに、上記のICソケットにお
いて、支持部と可撓性回路基板との間に介在される弾性
シートをさらに具備する試験用ICソケットを提供す
る。
【0013】本発明はさらに、上記のICソケットにお
いて、可撓性回路基板を被覆して多孔棚部に担持され、
可撓性回路基板の第1領域にICデバイスを案内する案
内部材をさらに具備する試験用ICソケットを提供す
る。
【0014】本発明はさらに、上記のICソケットにお
いて、加圧手段は、本体に着脱可能に取付けられる蓋体
を具備し、蓋体が、支持部に担持されたICデバイスを
本体に接近する方向へ直接に押圧する試験用ICソケッ
トを提供する。
【0015】本発明はさらに、上記のICソケットにお
いて、可撓性回路基板は、支持部に対向する基層の主表
面に複数の導体を備え、基層には、それら複数の導体の
第1端部に重畳する位置にそれぞれ案内貫通孔が設けら
れ、第1端部の縁部が主表面における案内貫通孔の開口
内に配置される試験用ICソケットを提供する。
【0016】さらに本発明は、誘電体基層と、この基層
の一表面に層状形成される複数の独立した導体とを備え
る可撓性回路基板において、基層には、複数の導体の第
1端部に重畳する位置にそれぞれ案内貫通孔が設けら
れ、第1端部の縁部が一表面における案内貫通孔の開口
内に配置されることを特徴とする可撓性回路基板を提供
する。
【0017】本発明はさらに、上記の可撓性回路基板に
おいて、複数の導体の第1端部に切込みが設けられ、切
込みを画成する縁部が、案内貫通孔の開口内の複数位置
に配置される可撓性回路基板を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明をその好適な実施の形態に基づき詳細に説明する。図
1〜図3は、本発明の一実施形態による試験用ICソケ
ット10を示す。ICソケット10は、無蓋容器状の本
体12と、本体12上に移動可能に設置される支持部材
14と、支持部材14から独立して本体12上に設置さ
れる棚部材16と、本体12と棚部材16との間に配置
される複数のコンタクト18と、本体12と支持部材1
4との間に配置される複数の付勢部材19と、支持部材
14及び棚部材16に担持される可撓性回路基板20
と、支持部材14と可撓性回路基板20との間に介在さ
れる弾性シート22と、可撓性回路基板20を被覆して
棚部材16に担持される案内部材24と、本体12に蝶
番式に連結される蓋体26とを備える。
【0019】本体12、支持部材14、棚部材16、案
内部材24及び蓋体26は、機械的強度及び耐熱性に優
れた電気絶縁性材料から形成される。本体12は、略矩
形平面形状を有する底部28と、底部28の四辺から略
直立状に延長される壁30とを備える。底部28には、
複数のコンタクト18及び複数の付勢部材19を受容支
持する複数の貫通穴32が設けられる。底部28及び壁
30は、開放された内部空間34を本体12に画成す
る。
【0020】支持部材14は、略矩形の薄板状部材であ
り、ICデバイス200(後述する)を支持する支持部
を構成する略平坦な主表面36と、主表面36の反対側
で主表面36に略平行に延びる裏面38とを備える。主
表面36の周縁には、主表面36から僅かに突出する突
枠40が形成される。裏面38には、裏面38に略直交
して延びる複数の有底凹部42が設けられる。各有底凹
部42は、本体底部28に支持された付勢部材19の一
端部65(後述する)を受容する。それにより支持部材
14は、複数の付勢部材19によって本体底部28の上
方で移動可能に支持される。なお、支持部材14の裏面
38の周縁には、裏面38から僅かに突出する突枠44
が形成され、突枠44から外側へ裏面38に略平行にフ
ランジ46が延設される。
【0021】棚部材16は、図4に拡大して示すよう
に、略矩形薄板状の多孔棚部48と、多孔棚部48の周
縁四隅から略直立状に延長される4つの脚部50とを備
える。多孔棚部48は、略平坦な主表面48aと、脚部
50を延長した側で主表面48aに略平行に延びる裏面
48bとを有する。多孔棚部48の中心には、支持部材
14を受容する略矩形の中心貫通孔52が設けられ、中
心貫通孔52の周囲には、矩形環状に延びる領域に複数
の周辺貫通孔54が格子状の整列配置で設けられる。支
持部材14は、多孔棚部48の裏面48b側から中心貫
通孔52に挿入され、支持部材14のフランジ46が、
中心貫通孔52を画成する周面の裏面48b側に設けた
肩部56に係合する。この係合により棚部材16は、支
持部材14が中心貫通孔52を通って多孔棚部48の主
表面48a側に抜け出ることを防止する。
【0022】多孔棚部48の複数の周辺貫通孔54は、
本体底部28に支持された複数のコンタクト18の接点
部64(後述する)をそれぞれに受容する。各コンタク
ト18の接点部64は、多孔棚部48の裏面48b側か
ら周辺貫通孔54に挿入される。好ましくは周辺貫通孔
54は、コンタクト18の接点部64の挿入を容易にす
るために、図7に示すように多孔棚部48の裏面48b
側から主表面48a側へ向かって徐々に縮径されてい
る。また、好ましくは周辺貫通孔54は、コンタクト1
8の接点部64が自由に移動できるように、隙間を介し
て接点部64を受容可能な寸法を有する。なお、多孔棚
部48の主表面48aの四隅には、可撓性回路基板20
及び案内部材24を多孔棚部48に対して位置決めする
ための突起58が設けられる。
【0023】好ましくは棚部材16の4つの脚部50
は、多孔棚部48に一体的に連結される基端50aを支
点として、末端の自由端50bが弾性的に揺動できるよ
うに構成される。各脚部50の自由端50bには、脚部
50に略直交して外方へ突出する爪60を設けることが
できる。これら爪60は、本体12の壁30の内面に対
応して設けられた肩面62に係合する。本体12の壁3
0の内面は、本体底部28と肩面62との間では底部2
8に略直交して平坦に延び、肩面62にて内部空間34
に隆起し、肩面62から壁30の自由端までが好ましく
は外側へ傾斜して延びる。
【0024】したがって、棚部材16を本体12に取付
ける際には、各脚部50の自由端50bの爪60を本体
12の壁30の傾斜部分に摺接させつつ、各脚部50を
本体12の内部空間34に押し込む。それにより、各脚
部50が内方へ弾性的に撓曲し、爪60が肩面62を越
えたときに各脚部50が外方へ弾性的に復元して爪60
が肩面62に係合する。爪60と肩面62とが係合した
状態では、棚部材16は本体底部28から所定距離だけ
離れて配置され、本体底部28から離れる方向への移動
を制限される。なお棚部材16は、支持部材14と共
に、爪60と肩面62とが係合した状態から本体底部2
8に接近する方向へ幾分移動できることが好ましい。こ
の場合、本体底部28にさらに接近する方向への棚部材
16の移動は、例えば図1に示すように壁30の内面に
設けたストッパ63により制限することができる。
【0025】コンタクト18は、電気良導性の弾性材料
からなるピン状導体であり、棚部材16の多孔棚部48
の周辺貫通孔54に受容される一端の接点部64と、本
体12の底部28に設けた貫通穴32を通して外方に延
出される他端のテール部66と、接点部64とテール部
66との間を連結する弾性変形可能な連結部68とを備
える。テール部66は歯70を有し、歯70により本体
底部28の貫通穴32に固定される。連結部68は、略
C字状に湾曲して、コンタクト18にばね機能を付与す
る。
【0026】コンタクト18は、後述するようにICデ
バイス200の複数のリード202の各々と外部の試験
回路(図示せず)との間を電気的に接続する。この電気
的接続を行わない状態(例えば後述する蓋体26の開放
時)では、好ましくはコンタクト18は、いかなる負荷
も受けずに(すなわち連結部68が変形せずに)接点部
64が多孔棚部48の周辺貫通孔54に遊挿され、接点
部64が多孔棚部48の主表面48aから僅かに突出し
た状態となっている(図7参照)。そして電気的接続時
(例えば蓋体26の閉鎖時)には、各コンタクト18が
後述する接触圧力を受けて独立して変形し、各接点部6
4が周辺貫通孔54内に摩擦を生じることなく容易に引
き込まれる。
【0027】付勢部材19は、コンタクト18と同一構
造の弾性要素からなる。すなわちICソケット10にお
いては、付勢部材19としてコンタクト18を流用する
ことができる。付勢部材19は、コンタクト18の接点
部64に対応する一端部65が支持部材14の有底凹部
42に受容され、テール部66に対応する他端部67が
本体12の底部28に設けた貫通穴32を通して外方に
延出され、連結部68に対応する弾性変形可能な中間部
69が一端部65と他端部67との間を連結する。他端
部67は歯71を有し、歯71により貫通穴32に固定
される。このようにして付勢部材19は、中間部69が
支持部材14と本体底部28との間で弾性変形すること
により、支持部材14を本体底部28から離れる方向へ
弾性的に付勢する。
【0028】支持部材14を本体12に組み込んだとき
には、各付勢部材19は予負荷を受けて中間部69が僅
かに弾性変形した状態にある。したがって支持部材14
は、複数の付勢部材19の付勢力の下で、フランジ46
が棚部材16の中心貫通孔52の肩部56に係合する。
それにより棚部材16は、支持部材14を介して複数の
付勢部材19の付勢力を受ける。そして、棚部材16の
各脚部50の爪60が本体12の壁30の肩面62に係
合したときに、棚部材16及び支持部材14が、複数の
付勢部材19の付勢力に抗して、本体底部28の上方所
定距離の位置に保持される。
【0029】可撓性回路基板20は、図5(a)、
(b)に拡大して示すように、ポリイミド等の有機材料
の誘電体からなる略矩形の基層72と、基層72の主表
面74に層状にエッチング形成される複数の独立した導
体76とを備える。複数の導体76は、基層72の略中
心の第1領域78に集中的に整列配置される一端のイン
ナーパッド80と、第1領域78を包囲する基層周縁近
傍の第2領域82に分散して格子状に整列配置される他
端のアウターパッド84と、インナーパッド80とアウ
ターパッド84とを連結する線状部分86とをそれぞれ
に備えて、基層72の主表面74上に放射状に配置され
る。第1領域78における複数のインナーパッド80の
配置は、ICデバイス200が有する複数のリード20
2の配置に対応したものである。これに対し、第2領域
82における複数のアウターパッド84の配置は、棚部
材16の周辺貫通孔54の配置に対応したものであり、
そのピッチはインナーパッド80のピッチを所望寸法に
拡大したものとなっている。
【0030】基層72には、複数のインナーパッド80
に重畳する位置にそれぞれ案内貫通孔88が設けられ
る。好ましくは各案内貫通孔88は、図7に拡大して示
すように、基層72の主表面74から裏面90に向かっ
て徐々に拡径する(すなわちインナーパッド80に向か
って徐々に収束する)傾斜周面92を有する。案内貫通
孔88は、例えばエッチング工程によって、各インナー
パッド80に到達する深さと傾斜周面92の適当な傾斜
角度とを有して基層72に穿設される。案内貫通孔88
の傾斜周面92は、後述するように、電気的試験時にI
Cデバイス200のリード202を案内してインナーパ
ッド80に正確に接触させる作用を有する。このような
案内貫通孔を有した可撓性回路基板は、例えば特開平6
−252216号に開示される。
【0031】基層72にはさらに、その四隅に近接して
位置決め孔94がそれぞれ貫通形成される。可撓性回路
基板20を支持部材14及び棚部材16に載せる際に
は、基層72の主表面74を支持部材14の主表面36
及び多孔棚部48の主表面48aに対向させ、基層72
の各位置決め孔94に多孔棚部48の各突起58を挿入
して可撓性回路基板20を位置決めする。この状態で、
可撓性回路基板20の複数のアウターパッド84は、多
孔棚部48の複数の周辺貫通孔54にそれぞれ重畳して
配置され、周辺貫通孔54に受容されたコンタクト18
の接点部64に電気的に接続可能な状態に置かれる。ま
た複数のインナーパッド80は、支持部材14の主表面
36上の所定位置に配置され、ICデバイス200の複
数のリード202にそれぞれ電気的に接続可能な状態に
置かれる。
【0032】ICソケット10が適用されるICデバイ
ス200は、前述したCSP構造を有し、パッケージ本
体に正方格子状配置で球状に突設された複数のリード2
02を備える。それらリード202のピッチは、周知の
ように1.0mm以下に設定できる。従来の試験用ICソ
ケットは、このような微細ピッチのICデバイスに対し
て前述したような種々の問題点を露呈し、正確な電気的
試験を実施することが困難であった。しかしながらIC
ソケット10では、可撓性回路基板20を使用したこと
により、CSP構造のICデバイスに対しても正確な試
験を容易に実施できるようになった。すなわち可撓性回
路基板20によれば、基層72上で放射状に配置された
複数の導体76が、ICデバイス200の複数のリード
202に接触するインナーパッド80のピッチをアウタ
ーパッド84のピッチまで拡大するので、アウターパッ
ド84に接続される複数のコンタクト18のピッチは、
例えば従来、安全かつ正確な電気的試験を実施可能な一
般的コンタクトピッチである1mm〜3mm程度に設定可能
となる。その結果、ICソケット10は、CSP構造の
ICデバイスに対しても電気的試験を安全かつ正確に実
施できるのである。
【0033】また、ICソケット10によれば、コンタ
クトピッチを従来の試験用ICソケットと同程度に設定
できるので、従来使用されていた単層構造等の比較的安
価な回路構造を有する回路基板を試験装置に使用でき、
電気的試験に要するコストの高騰を防止できる効果が得
られる。しかもICソケット10では、インナーパッド
80のピッチや案内貫通孔88の寸法が異なる多種類の
可撓性回路基板20を用意し、ICデバイス200のリ
ードピッチに対応したインナーパッドピッチやリード寸
法に対応した案内貫通孔寸法を有する可撓性回路基板2
0を適宜選択、交換して使用するだけで、1つのICソ
ケット10を多様なリード配置、リード寸法を有する異
なるICデバイスに適用することが可能となる。
【0034】ICソケット10はさらに、可撓性回路基
板20を被覆して棚部材16の多孔棚部48に担持され
る案内部材24を備える。案内部材24は、略矩形の板
状部材であり、略平坦な主表面96と主表面96に略平
行な裏面98とを備える。案内部材24の略中央には、
矩形の案内開口100が設けられる。案内開口100
は、主表面96と裏面98との間に延びる貫通孔であ
り、裏面98側では、ICデバイス200の外形寸法よ
り僅かに大きな輪郭を有し、主表面96側には、好まし
くは主表面96に向かって徐々に拡張される傾斜周面1
02が設けられる。また案内部材24には、四隅に近接
して位置決め孔104がそれぞれ貫通形成される。
【0035】案内部材24を、多孔棚部48に担持され
た可撓性回路基板20に載せる際には、裏面98を可撓
性回路基板20の裏面90に対向させ、各位置決め孔1
04に多孔棚部48の各突起58を挿入して案内部材2
4を位置決めする。この状態で図6に示すように、案内
部材24の案内開口100は、可撓性回路基板20の中
心の第1領域78に重畳して配置され、可撓性回路基板
20の複数の案内貫通孔88及びそれらに重畳された複
数のインナーパッド80にICデバイス200の複数の
リード202が接近することを可能にする。同時に、可
撓性回路基板20の第1領域78以外の領域は、案内部
材24によって被覆保護される。
【0036】このようにして案内部材24は、傾斜周面
102を有した案内開口100の作用により、可撓性回
路基板20の第1領域78にICデバイス200を案内
する。案内開口100に収容されたICデバイス200
の複数のリード202は、可撓性回路基板20の複数の
案内貫通孔88に自動的に挿入され、案内貫通孔88の
傾斜周面92により微小な位置ずれを補正されて、それ
ら案内貫通孔88に重畳された複数のインナーパッド8
0に正確に接続可能な状態に置かれる。
【0037】ところで、独立した2つの導体を相互接触
させたときに良好な導通状態を確保するためには、接触
導体間に所定の接触圧力が必要なことは周知である。I
Cソケット10は、可撓性回路基板20の複数のインナ
ーパッド80とICデバイス200の複数のリード20
2との間、及び複数のアウターパッド84と複数のコン
タクト18の接点部64との間にこのような接触圧力を
付与する加圧手段として、本体12に着脱可能に取付け
られる蓋体26を備える。好ましくは蓋体26は、軸1
06を介して本体12の1つの壁30の自由端に蝶番式
に連結される。
【0038】蓋体26は、本体12に対向する略平坦な
主表面108を備え、主表面108の略中央に、ICデ
バイス200を押圧する隆起部110が形成される。隆
起部110は、主表面108に略平行な頂面112を有
する。図2及び図3に示すように、蓋体26を所定の閉
鎖位置に配置すると、蓋体26の隆起部110の頂面1
12が、支持部材14上のICデバイス200を本体底
部28に接近する方向へ直接に押圧し、蓋体26の主表
面108が、多孔棚部48上の案内部材24を本体底部
28に接近する方向へ直接に押圧する。
【0039】他方、支持部材14は、複数の付勢部材1
9により本体底部28から離れる方向へ付勢されてい
る。したがって支持部材14上では、可撓性回路基板2
0の複数のインナーパッド80とICデバイス200の
複数のリード202とが、蓋体26の押圧力と複数の付
勢部材19の付勢力との協働により所定圧力下で接触さ
れ、良好な導通状態が得られる。また、多孔棚部48の
各周辺貫通孔54に受容されたコンタクト18の接点部
64は、コンタクト18自体の弾性復元力と蓋体26の
押圧力との協働により、案内部材24と多孔棚部48と
の間に挟持された可撓性回路基板20の各アウターパッ
ド84に所定圧力下で接触され、やはり良好な導通状態
が得られる。
【0040】なお、このような良好な導通状態を確保す
るために、図7に示すように、蓋体26による押圧力が
加わらない状態では、支持部材14は複数の付勢部材1
9の付勢力を受けて、その主表面36が多孔棚部48の
主表面48aよりも僅かに蓋体26側へ突出して配置さ
れることが好ましい。同様に、多孔棚部48の各周辺貫
通孔54に受容されたコンタクト18の接点部64は、
蓋体26による押圧力が加わらない状態では、多孔棚部
48の主表面48aから僅かに突出していることが望ま
しい。
【0041】蓋体26及び複数の付勢部材19の協働に
よって生じるこのような接触圧力を、可撓性回路基板2
0の複数のインナーパッド80とICデバイス200の
複数のリード202との間に確実に伝えるために、IC
ソケット10はさらに、支持部材14と可撓性回路基板
20との間に弾性シート22を介在させている。弾性シ
ート22は、可撓性回路基板20のインナーパッド80
と支持部材14の主表面36との間で接触圧力を受けて
弾性変形するので、支持部材14の主表面36に微細な
凹凸がある場合や、ICデバイス200の複数のリード
202が微小な寸法差を有する場合にも、各インナーパ
ッド80と各リード202との間に一様に接触圧力を加
えることが可能となる。なお、アウターパッド84にお
いては、各コンタクト18が互いに独立して弾性変形可
能であり、しかも可撓性回路基板20の基層72が弾性
変形可能であるので、案内部材24の裏面98に微細な
凹凸がある場合にも、各アウターパッド84と各コンタ
クト18との間に一様に接触圧力を加えることができ
る。
【0042】さらにICソケット10は、蓋体26の軸
106とは反対側の先端に軸114を介して回動可能に
取付けられた係合要素116を備えることができる。係
合要素116は、その自由端に本体12側へ突出する爪
118を備え、蓋体26が所定の閉鎖位置にあるとき
に、爪118が本体12の壁30の外面に設けた張出部
120に選択的に係合することにより、蓋体26を閉鎖
位置に掛止して蓋体26が生じる押圧力を維持する。
【0043】ICソケット10にICデバイス200を
搭載する際には、まず蓋体26を開放位置に置き、案内
部材24の案内開口100を介して可撓性回路基板20
の中心の第1領域78にICデバイス200を載せる。
このとき、ICデバイス200の複数のリード202
は、可撓性回路基板20の複数の案内貫通孔88に自動
的に挿入され、案内貫通孔88の傾斜周面92により微
小な位置ずれを補正されて、それら案内貫通孔88に重
畳された複数のインナーパッド80に正確に接続可能な
状態に置かれる。次いで、蓋体26を本体12に対し回
動させて上記閉鎖位置に置き、それにより案内部材24
及びICデバイス200を本体底部28に接近する方向
へ押圧して、棚部材16を貫通する複数のコンタクト1
8及び支持部材14を担持する複数の付勢部材19を弾
性的に撓ませる。同時に、係合要素116を本体12の
壁30の張出部120に係合させてこの状態を保持す
る。このとき、可撓性回路基板20の複数のインナーパ
ッド80とICデバイス200の複数のリード202、
及び複数のアウターパッド84と複数のコンタクト18
の接点部64とが、所定の接触圧力下で正確に接触す
る。この状態で、ICデバイス200と複数のコンタク
ト18とが、可撓性回路基板20の複数の導体76を介
して電気的に接続され、コンタクト18のテール部66
に接続された試験回路により、ICデバイス200の電
気的試験が実施される。試験終了後、蓋体26を開放位
置に戻し、試験済のICデバイス200を取り出して、
次の被試験ICデバイス200をICソケット10に搭
載する。
【0044】以上、説明したように、ICソケット10
は、ICデバイスのリードピッチを拡大した所望ピッチ
で複数のコンタクト18を配置できるので、CSP構造
のICデバイスに対しても安全かつ正確な試験を容易に
実施でき、また従来使用されていた比較的安価な回路構
造を有する回路基板を試験装置に使用でき、しかも可撓
性回路基板20を交換するだけで多様なリード配置を有
する異なるICデバイスに適用できるという、格別の作
用効果を奏するものである。
【0045】このような安全かつ正確な試験を実施可能
にするためには、ICソケット10において、支持部材
14を本体12に対して移動可能な構造としたことが寄
与する。このような構造によれば、複数の付勢部材19
と蓋体26との協働により生じる接触圧力を、付勢部材
19の付勢力を調節することにより容易に調整できるの
で、過剰圧力によるリードの破損等の危惧を排除できる
効果が得られる。なお、可撓性回路基板20の各インナ
ーパッド80とICデバイス200の各リード202と
の間に作用する接触圧力は、荷重で示した場合に数十g
程度であることが好ましい。
【0046】上記の点に関しICソケット10では、支
持部材14を本体底部28から離れる方向へ弾性的に付
勢する付勢部材19に複数のコンタクト18を流用でき
るので、付勢部材19として作用するコンタクト18の
形状、材料、本数等を適宜選択することにより付勢力を
容易に調節できる。しかも、それら付勢部材19を、導
体として作用するコンタクト18と同一工程で本体12
に組み込むことができるので、部品種類及び製造工程数
を削減し、コストを低減することができる。
【0047】また、蓋体26を本体12に蝶番式に連結
した上記構成では、蓋体26が案内部材24及びICデ
バイス200を本体底部28に接近する方向へ押圧する
際に、案内部材24及びICデバイス200のいずれに
も軸106に近い箇所から順次押圧力が加えられるの
で、軸106に近い位置にあるコンタクト18の接点部
64やICデバイス200のリード202に過剰な圧力
が加わる傾向がある。このような危惧を排除するために
は、棚部材16及び支持部材14の双方を本体12に対
して弾性的に移動可能な構造とすることが好ましい。
【0048】以上、本発明の好適な実施形態を説明した
が、本発明に係る試験用ICソケットは、上記以外の様
々な構成を有することができる。例えば、複数のコンタ
クト18と同一構造の複数の付勢部材19を使用する代
わりに、図8に示すように、本体底部28と支持部材1
4との間に1つの圧縮コイルばね122を、所望の圧縮
状態で配置することもできる。この場合、本体底部28
には、コンタクト18のテール部66を受容する貫通穴
32の代わりに、圧縮コイルばね122を位置決めする
突部124が設けられ、同様に支持部材14には、コン
タクト18の接点部64を受容する有底凹部42の代わ
りに、圧縮コイルばね122を位置決めする突部126
が設けられる。或いはまた、支持部材14の全体に平衡
して付勢力を加えることができる位置に、圧縮コイルば
ね122より小さな複数の圧縮コイルばねを配設するこ
ともできる。
【0049】また、ICデバイスを支持する支持部が本
体に対して移動可能であることを要件として、上記実施
形態における支持部材14と棚部材16とを相互に固定
的に連結してもよい。或いは、本体に対して移動可能な
支持部材の周囲に、本体に固定的に連結された多孔棚部
を形成することもできる。
【0050】可撓性回路基板において、複数の導体のイ
ンナーパッドを配置する第1領域とアウターパッドを配
置する第2領域とは、上記したような所望のピッチ拡大
効果が得られる位置であれば、ICソケット10のよう
に基層の中心及びその周囲の領域に限らず、基層のどの
ような位置に設けてもよい。この場合、第1領域及び第
2領域の相対配置に対応して、支持部と多孔棚部との相
対配置、案内部材の案内開口の位置、蓋体の隆起部11
0の位置等が設定される。
【0051】また、可撓性回路基板は、主表面上のみに
導体を配置した上記線路構造以外に、例えばヴィアホー
ルを介して主表面の導体と裏面のインナーパッドとが接
続される線路構造を有することもできる。
【0052】本発明に係るICソケットは、様々な材料
から形成できる。例えば上記各実施形態において、電気
絶縁性材料からなる本体12、支持部材14、棚部材1
6、案内部材24及び蓋体26は、PPS(ポリフェニ
レンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレ
ート)、PEI(ポリエーテルイミド)、PES(ポリ
エーテルスルホン)等の、耐熱性及び機械的強度に優れ
た樹脂材料から形成されることが好ましい。また、コン
タクト18は、ベリリウム銅や燐青銅等のばね性を有す
る金属材料からなることが好ましく、それらコンタクト
の少なくとも接点部分には、ニッケル下地の金メッキを
施すことが望ましい。弾性シート22は、フッ素ゴムや
シリコンゴム等のゴムからなることが好ましい。可撓性
回路基板20の基層72はポリイミドやポリエステル等
の誘電体からなり、導体76は銅箔からなることが好ま
しい。導体76の少なくともインナーパッド80及びア
ウターパッド84には、ニッケル下地の金メッキを施す
ことが望ましい。
【0053】本発明に係るICソケットは、様々な方法
で製造できる。例えば上記各実施形態において、電気絶
縁性材料からなる本体12、支持部材14、棚部材1
6、案内部材24及び蓋体26は、樹脂材料から射出成
型により形成できる。また、可撓性回路基板20は、例
えば次のようにして製造できる。
【0054】まず、ポリイミド等の基層72の主表面7
4にメッキ工程により銅箔層を形成する。次に、銅箔層
を有した基層72の両面に、圧着又は塗布により感光性
レジストを形成する。次いで、ガラスマスクを介して感
光性レジストの所望部分を露光し、銅箔層側の感光性レ
ジストに導体76を、かつ基層72側の感光性レジスト
に案内貫通孔88及び位置決め孔94をそれぞれ形成す
る。続いて、感光性レジストを現像し、導体及び各孔の
部分の感光性レジストを除去する。次に、銅箔層を電極
層として感光性レジストの上記除去部分に銅メッキを施
して導体76を形成し、その後、基層72側の感光性レ
ジストを介してエッチングにより案内貫通孔88及び位
置決め孔94を形成する。最後に、感光性レジストを除
去し、エッチングにより銅箔層を除去する。
【0055】上記製造工程において形成される基層72
の案内貫通孔88及び位置決め孔94の内周面は、エッ
チング工程中の化学反応によって厚さ方向へテーパ状に
傾斜して形成される。この傾斜角度は、エッチング液の
種類及び温度、感光性レジストの種類、感光性レジスト
を被覆する面の表面処理に基づく相互密着力の大きさ等
の、材料及び加工条件に影響されるものである。したが
って、可撓性回路基板20の案内貫通孔88の傾斜内周
面92の傾斜角度は、上記諸条件の適切な選択によって
適宜設定することができる。
【0056】このようにして形成される可撓性回路基板
の導体の、特にインナーパッドの部分は、図9に示すよ
うに様々な形状とすることができる。図9(a)は、無
孔平板状のインナーパッド130を示す。この場合、球
状のリード202は、実質的にインナーパッド130の
1点に接触する。図9(b)は、二股状のインナーパッ
ド132を示す。この場合、リード202は、インナー
パッド132の2本の直線縁部134に線状に接触す
る。図9(c)は、円形孔136を有したインナーパッ
ド138を示す。この場合、リード202は、インナー
パッド138の孔136の円形縁部に線状に接触する。
図9(d)は、ストリップ状のインナーパッド140を
示す。この場合、リード202は、インナーパッド14
0の先端の直線縁部142に点状に接触する。図9
(e)は、H字孔144を有したインナーパッド146
を示す。この場合、リード202は、インナーパッド1
46の2つの直線縁部148に線状に接触する。
【0057】このように、本発明に係る可撓性回路基板
では、インナーパッドとICデバイスのリードとの接触
形態を、リードの寸法、材質、表面処理状態等の諸条件
に対応して、適宜選択することができる。例えば図9
(b)、(c)及び(e)に示す接触形態によれば、リ
ードがインナーパッドの縁部に線状に接触することによ
り、リード表面に形成されがちな酸化被膜がインナーパ
ッドにより破壊されるので、図9(a)及び(d)に示
すような点接触の形態に比べて良好な信号伝送が行われ
る。
【0058】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、複数のコンタクトとICデバイスの複数のリードと
の間に、リードに接続される第1端部の配置間隔よりも
大きな配置間隔でコンタクトに接続される第2端部をそ
れぞれに有する複数の導体を備えた可撓性回路基板を介
在させ、ICデバイスのリードピッチを所望寸法に拡大
したピッチで複数のコンタクトを配置できるようにし
た。その結果、本発明によれば、CSP構造のICデバ
イスに対しても安全かつ正確な試験を容易に実施でき、
また従来使用されていた比較的安価な回路構造を有する
回路基板を試験装置に使用でき、しかも可撓性回路基板
を交換するだけで多様なリード配置を有する異なるIC
デバイスに適用できるという、極めて有用な試験用IC
ソケットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるICソケットの分解斜
視図である。
【図2】図1のICソケットを組立てた状態で、かつI
Cデバイスを搭載した状態で示す図3の線II−IIに沿っ
た断面図である。
【図3】図1のICソケットを組立てた状態で、かつI
Cデバイスを搭載した状態で示す図2の線 III−III に
沿った断面図である。
【図4】図1のICソケットにおける棚部材の拡大斜視
図である。
【図5】図1のICソケットにおける可撓性回路基板の
拡大平面図で、(a)主表面、及び(b)裏面、を示
す。
【図6】図1のICソケットを組立てた状態で、かつ蓋
部を除去した状態で示す一部切欠き平面図である。
【図7】図1のICソケットにおけるICデバイス搭載
前の状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるICソケットを、
図2に対応して示す部分拡大断面図である。
【図9】本発明のICソケットに使用可能な可撓性回路
基板のインナーパッド部分の様々な変形例を、基層及び
リードと共に平面図及び断面図で示す図で、(a)無孔
平板状インナーパッド、(b)二股状インナーパッド、
(c)円形孔付インナーパッド、(d)ストリップ状イ
ンナーパッド、及び(e)H字孔付インナーパッド、を
示す。
【符号の説明】
10…ICソケット 12…本体 14…支持部材 16…棚部材 18…コンタクト 20…可撓性回路基板 22…弾性シート 24…案内部材 26…蓋体 48…多孔棚部 52…中心貫通孔 54…周辺貫通孔 64…接点部 72…基層 76…導体 78…第1領域 80…インナーパッド 82…第2領域 84…アウターパッド 88…案内貫通孔 100…案内開口

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ICデバイスを支持する支持部を有した
    本体と、該本体に支持され、該支持部上のICデバイス
    の複数のリードの各々に電気的に接続される接点部及び
    該本体から外方に延出して外部の試験回路に電気的に接
    続されるテール部を各々の両端に有した複数のコンタク
    トとを具備する試験用ICソケットにおいて、 前記支持部の近傍に配置されて前記本体に設けられ、前
    記複数のコンタクトの前記接点部を各々に受容する複数
    の貫通孔を備えた多孔棚部と、 誘電体基層と該基層の第1領域に集中配置される第1端
    部及び該基層の第2領域に該第1領域内での該第1端部
    の配置間隔よりも大きな配置間隔で分散配置される第2
    端部をそれぞれに有して該誘電体基層に層状形成される
    複数の独立した導体とを備える可撓性回路基板であっ
    て、前記支持部及び前記多孔棚部に担持され、該複数の
    導体の該第1端部が前記支持部上でICデバイスの複数
    のリードに対応配置されて該リードにそれぞれ接続され
    るとともに、該複数の導体の該第2端部が前記多孔棚部
    の前記貫通孔に重畳されて前記コンタクトの前記接点部
    に接続される可撓性回路基板と、 前記支持部に支持されたICデバイスの複数のリードと
    前記可撓性回路基板の複数の前記導体の前記第1端部と
    を所定圧力下で接触させる加圧手段と、を具備したこと
    を特徴とする試験用ICソケット。
  2. 【請求項2】 前記多孔棚部は、前記支持部を受容する
    中心貫通孔と該中心貫通孔の周囲に配置されて前記複数
    のコンタクトの前記接点部を各々に受容する複数の周辺
    貫通孔とを備え、前記可撓性回路基板は、前記基層の中
    心に前記第1領域を配置するとともに該第1領域を包囲
    する該基層の周縁近傍に前記第2領域を配置してなる請
    求項1に記載の試験用ICソケット。
  3. 【請求項3】 前記支持部は、前記本体上に移動可能に
    設置される支持部材から形成され、前記加圧手段は、該
    支持部材に支持されたICデバイスを前記本体に接近す
    る方向へ押圧する押圧部材と、該押圧部材の押圧力に抗
    して該支持部材を前記本体から離れる方向へ弾性的に付
    勢する付勢部材とを具備する請求項1又は2に記載の試
    験用ICソケット。
  4. 【請求項4】 前記コンタクトは、前記接点部と前記テ
    ール部との間を連結する弾性変形可能な連結部を備え、
    該連結部が弾性変形することにより、該接点部が、前記
    多孔棚部に担持された前記可撓性回路基板の前記導体の
    前記第2端部に所定圧力下で弾性的に接触し、前記付勢
    部材は、前記コンタクトと同一構造の複数の弾性要素か
    らなり、前記接点部に対応する該弾性要素の一端部が前
    記支持部材に固定され、前記テール部に対応する該弾性
    要素の他端部が前記本体に固定され、かつ前記連結部に
    対応する該弾性要素の中間部が前記支持部材と前記本体
    との間で弾性変形することにより該支持部材を該本体か
    ら離れる方向へ弾性的に付勢する請求項3に記載の試験
    用ICソケット。
  5. 【請求項5】 前記支持部と前記可撓性回路基板との間
    に介在される弾性シートをさらに具備する請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の試験用ICソケット。
  6. 【請求項6】 前記可撓性回路基板を被覆して前記多孔
    棚部に担持され、該可撓性回路基板の前記第1領域にI
    Cデバイスを案内する案内部材をさらに具備する請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の試験用ICソケット。
  7. 【請求項7】 前記加圧手段は、前記本体に着脱可能に
    取付けられる蓋体を具備し、該蓋体が、前記支持部に担
    持された前記ICデバイスを前記本体に接近する方向へ
    直接に押圧する請求項1〜6のいずれか1項に記載の試
    験用ICソケット。
  8. 【請求項8】 前記可撓性回路基板は、前記支持部に対
    向する前記基層の主表面に前記複数の導体を備え、該基
    層には、それら複数の導体の前記第1端部に重畳する位
    置にそれぞれ案内貫通孔が設けられ、該第1端部の縁部
    が該主表面における該案内貫通孔の開口内に配置される
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の試験用ICソケッ
    ト。
  9. 【請求項9】 誘電体基層と、該基層の一表面に層状形
    成される複数の独立した導体とを備える可撓性回路基板
    において、 前記基層には、前記複数の導体の第1端部に重畳する位
    置にそれぞれ案内貫通孔が設けられ、該第1端部の縁部
    が該一表面における該案内貫通孔の開口内に配置される
    ことを特徴とする可撓性回路基板。
  10. 【請求項10】 前記複数の導体の前記第1端部に切込
    みが設けられ、該切込みを画成する前記縁部が、前記案
    内貫通孔の前記開口内の複数位置に配置される請求項9
    に記載の可撓性回路基板。
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