JP4301661B2 - ボールグリッドアレイ構造のデバイスに使用されるコンタクトフィルム及びデバイス実装構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半田ボールを外部端子とするボールグリッドアレイ(Ball Grid Array)構造のデバイスに使用されるコンタクトフィルム及びかかるデバイスの実装構造体に関し、特に、外部端子である半田ボールとの電気的接触の確認を容易にすることができ、またより安定した接触を提供することができるデバイスのコンタクトフィルム及びデバイスの実装構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯端末、携帯電話、デジタルカメラ等の短小軽薄化された情報機器に内蔵される半導体デバイスは、ますます超小型化の要求が厳しい。かかる要求に応えるものとして、パッケージの外部端子に半田ボールを格子状に配置したボールグリッドアレイ(BGA)構造の半導体デバイスが広く普及している。マイクロプロセッサやASIC等の大型LSIは、非常に多くの入出力端子が必要であり、超小型化の要求と整合させるためには、BGAパッケージ構造が不可欠になりつつある。
【0003】
かかるBGAタイプのデバイスにおいて、加速試験や性能試験をどのようにして行うかは、非常に重要な課題である。半田ボールを外部端子とするBGAタイプのデバイスでは、出荷前の試験では、半田ボールを溶融(リフロー)させて試験用基板に実装させることはできない。半田ボールを溶融させて実装するのは、最終的にプリント基板に実装するデバイスのカスタマーであり、デバイスのメーカーは、半田ボールの形状等を劣化させないで試験用基板に実装して加速試験または性能試験を行うことが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来提案されているBGAタイプのデバイス用の試験用ソケットのうち、例えば特開平8-37255号公報においては、ソケットの電極に開口部を設け、その開口部にBGAの半田ボールが収納されるように接触させ、ソケットの蓋を上部から押しつける構成を有する。この試験用ソケットは、電気的接触の確実性を向上させたに過ぎず、実際に電気的接触を確認することはできない。
【0005】
別の提案としては、特開平11-26128号公報において、外部端子への電気的接触を可能にするとともに半田ボールへの損傷をなくすために、柔軟な多層絶縁層の間に導電性の接続パッド及び導電パターンを形成し、表面の絶縁層に形成した窓を通して上記接続パッドが露出され、その接続パッドにデバイスの半田ボールが押しつけて接触されるコンタクトフィルムが開示されている。しかし、柔軟な多層絶縁層を利用することで、試験工程での半田ボールの損傷を防止し、直径にばらつきがある半田ボールに対してもより確実に接触させることが可能になるものの、ここに提案されているコンタクトフィルムでは、半田ボールの電気的接触を確認することはできない。
【0006】
更に、別の提案として、本出願人により出願された特願平xxxxxx(平成10年12月22日出願)には、新規な試験用ソケットとして、BGAタイプのデバイスと接触するコンタクトフィルムを取り付け可能にして、多品種のBGAデバイスに対して共通の試験用ソケットの使用を可能にすることが提案されている。しかし、このコンタクトフィルムも、半田ボールの電気的接触を確認することはできない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、半田ボールとの電気的接触を確認することができるBGAタイプのデバイス用のコンタクトフィルム及びそれを利用した実装構造体を提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、半田ボールとの電気的接触をより安定にすることができるBGAタイプのデバイス用のコンタクトフィルム及びそれを利用した実装構造体を提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、半田ボールに損傷を与えないで電気的接触を行うBGAタイプのデバイス用のコンタクトフィルム及びそれを利用した実装構造体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、外部端子として複数の半田ボールを格子状に配置したボールグリッドアレイのデバイスに対して電気的接触を行うコンタクトフィルムにおいて、半田ボールに対応する位置に設けられる複数のコンタクト用開口部と、その開口部の周囲に半田ボールとの第1の接触を行う第1のコンタクトパターンとを有する第1の絶縁性弾性フィルムと、第1の絶縁性弾性フィルムに積層され、上記開口部に対応する位置に、当該開口部を介して半田ボールとの第2の接触を行う第2のコンタクトパターンを有する第2の絶縁性弾性フィルムとを有し、第1及び第2のコンタクトパターン間における導通の有無により半田ボールの電気的接触の確認を可能にすることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、第1の絶縁性弾性フィルムに設けられた開口部の径を、半田ボールの直径以下であるが、半田ボールの最下点が第2のコンタクトパターンに接触する程度の大きさに形成する。そして、開口部周辺に第1のコンタクトパターンを設け、そこに半田ボールが押しつけられるように実装することにより、半田ボールは損傷を与えられることなく、より確実に第1のコンタクトパターンに接触することができる。しかも、開口部の下側には、半田ボールの最下点が接触する第2のコンタクトパターンが設けられるので、第1及び第2のコンタクトパターン間の電気的接触を確認することにより、半田ボールが第1のコンタクトパターンに接触しているか否かを容易に確認することができる。
【0012】
本発明のより好ましい実施例では、第1の絶縁性弾性フィルムは、多層構造を有する。そして、N列の半田ボールを有するBGAデバイスに対して、第1の絶縁性弾性フィルムはN層で構成される。例えばN=3の場合で説明すると、最外周の半田ボールに対する第1のコンタクトパターンとコンタクト用開口部は、第1層フィルムに形成される。第1層フィルムは、第2周より内側の半田ボールをそれぞれ貫通させる貫通孔を有する。
【0013】
第2周の半田ボールに対する第1のコンタクトパターンとコンタクト用開口部は、第1層フィルムに積層される第2層フィルムに形成される。第2層フィルムには、更に、最外周の半田ボールに対応する位置に下層開口部及びその周りの下層コンタクトパッドと、第3周より内側の半田ボールをそれぞれ貫通させる貫通孔が設けられる。第1層フィルムの第1のコンタクトパターンと第2層フィルムの下層コンタクトパッドとは互いに接触し、いずれかで最外周の半田ボールと接触する。
【0014】
第3周の半田ボールに対する第1のコンタクトパターンとコンタクト用開口部は、第3層フィルムに形成される。第3層フィルムには、更に、最外周と第2周の半田ボールに対応する位置に下層開口部及びその周りの下層コンタクトパッドが設けられる。第1層フィルムの第1のコンタクトパターンと第2、3層フィルムの下層コンタクトパッドとは互いに接触し、いずれかで最外周の半田ボールと接触する。また、第2層フィルムの第1のコンタクトパターンと第3層フィルムの下層コンタクトパッドとは互いに接触し、いずれかで第2周の半田ボールと接触する。
【0015】
BGAが更に第4周以上の半田ボールを有する場合は、第N周の半田ボールに対する第1のコンタクトパターンとコンタクト用開口部は、第N層フィルムに形成され、第1層から第N−1層フィルムまでの貫通孔を通して、第N周の半田ボールがその第1のコンタクトパターンに接触する。その場合、最外周の半田ボールは、第1層フィルムの第1のコンタクトパターンと第2層から第N層フィルムまでの下層コンタクトパッドのいずれかと接触する。
【0016】
上記多層構造を有する第1の絶縁性弾性フィルムの最下層に第2の絶縁性弾性フィルムが積層される。この第2の絶縁性弾性フィルムに設けられた第2のコンタクトパターンに、貫通孔や開口部を介して半田ボールの最下部が接触されるように、BGAタイプのデバイスがコンタクトフィルムに押しつけられる。そして、第1及び第2のコンタクトパターン間における導通の有無をチェックすることで、半田ボールが第1のコンタクトパターンに接触しているかを間接的にチェックすることが可能になる。
【0017】
更に、第1のコンタクトパターンに加えてそれより下層の下層コンタクトパッドを設けることにより、半田ボールの径にばらつきがあり、小さい径の半田ボールに対して、下層コンタクトパッドが確実に接触することができる。従って、半田ボールの径がばらついている場合でも、半田ボールの第1のコンタクトパターンへの接触の確実性を高くすることができる。
【0018】
より好ましい実施例では、各層フィルムの貫通孔の周りには、第1のコンタクトパターンや下層コンタクトパッドと同様にしてダミーパッドが設けられる。このダミーパッドを貫通孔に設けることにより、多層構造のコンタクトフィルムの変形または撓みの程度を、複数列の半田ボールの位置において同程度にすることができ、加圧力を均等化して半田ボールとコンタクトフィルムとの接触の確実性を高くすることができる。
【0019】
本発明の別の側面によれば、ボールグリッドアレイのデバイスを実装する実装構造体において、前記デバイスを収納する収納開口を有する基板と、前記基板の裏面側に設けられた上記コンタクトフィルムとを有し、コンタクトフィルムの第1及び第2の引き出しパターンが、基板内の配線パターンに接続されていることを特徴とする。かかるデバイス実装構造体は、試験用ソケットとして利用することができる。コンタクトフィルムを介して半田ボールが基板の配線パターンに接続される。しかも、その半田ボールとコンタクトフィルムの第1のコンタクトパターンとの接触確認は、第1及び第2のコンタクトパターン間における接続チェックにより間接的に行われる。
【0020】
基板内に複数の収納開口を設けて、それぞれの収納開口に対して上記のコンタクトフィルムを設けることで、複数のBGAデバイスを基板に実装することができる。かかるデバイス実装構造体は、バーイン試験用または機能試験用の実装基板として有用である。
【0021】
コンタクトフィルムを取り替え可能に基板に取り付けるようにすることで、複数種類のBGAデバイスに対して、コンタクトフィルムを交換するだけで、共通のデバイス実装構造体を使用することができる。また、消耗したコンタクトフィルムを取り換えて使用することにより、デバイス実装構造体の寿命を長くすることが可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
図1は、BGAタイプのデバイスの外形図である。図1(A)はデバイスの側面図であり、図1(B)はデバイスの底面図である。内部にLSIを収納したパッケージ本体1の底面に、内部のLSIとの電気的接続を行うための外部端子として、半田ボールSBが格子状に配置される。図1の例では、3列の半田ボールSBがパッケージ本体1の外周部に近接して設けられる。即ち、半田ボールSBは、3周にわたって配置される。
【0024】
図2は、本実施の形態例におけるBGAタイプのデバイスを実装するデバイス実装構造体を示す図である。図2(A)はデバイス実装構造体の断面図であり、図2(B)はその底面図である。図2に示されたデバイス実装構造体は、内部に導電パターンと導電ビアホールが設けられたプリント基板10と、デバイス本体1の背面に形成された半田ボールと接触するコンタクトフィルム30とで構成される。基板10には、デバイス1を収納する収納開口11が設けられ、その収納開口11の下面側を塞ぐように、コンタクトフィルム30が押さえ板14と共に固定ネジ17によって基板10の下面に取り付けられる。固定ネジ17をはずすことにより、コンタクトフィルム30は取り替え可能である。
【0025】
基板10の収納開口11には、収納されたBGAデバイス1をコンタクトフィルム30に加圧する加圧手段として、上蓋部12が開閉可能に取り付けられる。上蓋部12は、基板10に取り付けられた回転可能なロックレバー13によって、デバイス1を加圧する閉状態になる。ロックレバー13を開くことにより、収納開口11に収納されているデバイス1を取り換えることができる。
【0026】
上蓋部12には、圧力調整ネジ18とそれとデバイス1の上面との間に介在される弾性体であるゴムシート台座19とが設けられる。圧力調整ネジ18を回転することで、収納されるデバイス1の厚みに応じた最適の圧力が弾性体台座19を介してデバイス1に与えられる。また、ゴムシート台座19は、バーイン試験の時の高温に耐えられる耐熱性ゴムで形成されていることが望ましい。
【0027】
コンタクトフィルム30の周囲であって、基板10の底面と押さえ板14との間に、コンタクトフィルム30の厚みに応じた厚さのコンタクトフィルム固定枠15及び弾性体の厚み調整板16とが設けられる。従って、図2(B)の底面図に示される通り、下側から、押さえ板14,コンタクトフィルム30及び固定枠15,基板10の積層アセンブリが、基板10の固定ネジ孔17Aに挿入された固定ネジ17により一体に固定される。
【0028】
図2に示されたデバイス収納構造体は、基板10が単一の収納開口11を有する場合は、デバイスのソケットとして機能する。また、基板10に複数の収納開口11が設けられ、それぞれの収納開口11に対してコンタクトフィルム30と押さえ板14が取り付けられる場合は、複数のデバイス1を実装できるバーイン試験用基板または機能試験用基板として機能する。
【0029】
コンタクトフィルム30、押さえ板14、固定枠15、厚み調整板16を、デバイスの種類に応じて取り換えることにより、他品種のデバイスに対して、上蓋部12を有する基板10を共通に使用することができる。
【0030】
コンタクトフィルム30には、後述する通り、半田ボールSBにコンタクトする第1のコンタクトパターンと、半田ボールSBの最下部にコンタクトする第2のコンタクトパターンとが設けられ、それらの第1及び第2のコンタクトパターンは、それぞれの引き出しパターンを介して、基板10の裏面側に設けられた接続パッドに導通する。裏面側の接続パッドは、基板10に設けられた導通ビアホール20を介して表面パッド22に接続される。この表面パッド22を利用して、第1及び第2のコンタクトパターン間の接続をチェックすることで、半田ボールSBが第1のコンタクトパターンに電気的に接触しているか否かをチェックすることができる。
【0031】
第1のコンタクトパターンは、基板10に設けられた図示しない接続パターンにより、バーイン試験や機能試験の為に必要な信号の入出力がデバイス1に対して行われる。
【0032】
図3は、本実施の形態例におけるデバイス実装構造体の詳細断面図である。図3には、コンタクトフィルム30の構造が詳しく示される。図3の例は、デバイス1の裏面に、図1の如く3列の半田ボールSBが格子状に配置されている場合のコンタクトフィルム30の構成が示される。
【0033】
コンタクトフィルム30は、第1層フィルム310と、第2層フィルム320と、第3層フィルム330とが積層された第1の絶縁性弾性フィルムと、第2の絶縁性弾性フィルム340とが積層される。従って、合計で4層のフィルムで構成される。このフィルムは、例えば、ポリイミド等の絶縁性で且つ可撓性のフィルムであり、半田ボールSBが押しつけられることにより、僅かに撓む程度の弾力性を有する。
【0034】
第1層フィルム310には、最外周の半田パッドSB1に対応する位置に、コンタクト用開口部311とその周りに形成された第1のコンタクトパターン312が設けられ、2周目及び3周目の半田パッドSB2,SB3に対応する位置に、半田パッドが非接触となる貫通孔313とその周りに形成されたダミーパッド314が設けられる。
【0035】
第1のコンタクトパターン312は、第1層フィルム310の上面から開口部311の側面及び下面に形成され、所定の径を有する導電性のパターンである。同様にダミーパッド314も、貫通孔313の側面と上面及び下面上に形成される。第1層フィルム310上には、第1のコンタクトパターン312につながる第1の引き出しパターン315が形成される。第1の引き出しパターン315は、基板10の下面の接続パッドに接触して押しつけられる。このコンタクトパターン、ダミーパッド、引き出しパターンなどはメッキにより形成される。
【0036】
第1層フィルム310においては、最外周の半田パッドSB1が、コンタクト用開口部311の中に収納され、その周囲に形成されたメッキパターンである第1のコンタクトパターン312にコンタクトされ、第1の引き出しパターン315を介して、基板10に設けられた接続端子やビアホールを介して、図示しない入出端子の導電パターンに電気的に導通される。これにより、基板10の図示しない入出力端子とBGAデバイスの半田バンプSB1とが電気的に接続される。
【0037】
第2層フィルム320においては、最外周の半田パッドSB1に対応する位置に、下層開口部326とその周りに形成された下層コンタクトパッド327が設けられ、2周目の半田パッドSB2に対応する位置に、コンタクト用開口部321とその周りに形成された第1のコンタクトパターン322が設けられ、3周目の半田パッドSB3に対応する位置に、その半田パッドが非接触となる貫通孔323とその周りに形成されたダミーパッド324が設けられる。第1のコンタクトパターン322は、コンタクトフィルム30の周囲に延びる第1の引き出しパターン325につながっている。
【0038】
下層開口部326は、第1層フィルムのコンタクト用開口部311よりは径が小さく、また下層コンタクトパッド327の外径は、第1のコンタクトパターン312よりも小さい。そして、下層コンタクトパッド327は、第2層フィルムの上面、開口部326の側面、及び下面に形成されたメッキ層である。この下層コンタクトパッド327は、第1層フィルムの第1のコンタクトパターン312と接触している。
【0039】
第2層フィルム320のコンタクト用開口部321と第1のコンタクトパターン322の構成は、第1層フィルム310に設けられたコンタクト用開口部311と第1のコンタクトパターン312と同じように、フィルムの上面、側面、下面に設けられ、第2周の半田パッドSB2とコンタクトする。第2層フィルム320の貫通孔323は、第3周の半田パッドSB3が貫通する程度の径を有し、その周りにはダミーパッド324が設けられる。
【0040】
第3層フィルム330には、最外周及び第2周の半田パッドSB1、SB2に対応する位置に、下層開口部336とその周りの下層コンタクトパッド337が、第3周の半田パッドSB3に対応する位置に、コンタクト用開口部331とその周りの第1のコンタクトパターン332とが設けられる。
【0041】
第3層フィルム330に設けられる下層コンタクトパッド337と、第1のコンタクトパターン332とは、第1層及び第2層フィルムと異なり、フィルム上面にしか設けられない。そして、下層コンタクトパッド337はその上層の下層コンタクトパッド327や第1のコンタクトパターン322と接触している。また、第1のコンタクトパターン332は、その上の貫通孔313,323を貫通する半田バンプSB3に接触する。そして、第1のコンタクトパターン332は、第1の引き出しパターン335につながる。
【0042】
第1周、第2周、第3周の半田パッドSB1,SB2,SB3の最下部は、それぞれ開口部や貫通孔を介して第4層フィルム340に形成された第2のコンタクトパターン341にコンタクトする。これらの第2のコンタクトパターン341は、コンタクトフィルム30の外側の第2の引き出しパターン345を経由して、基板10に設けられたチェック用パッド224の接続される。
【0043】
最外周の半田パッドSB1は、第1層フィルムの第1のコンタクトパターン312,第2層及び第3層の下層コンタクトパッド327,337で形成される半球状のコンタクト形状のいずれかの位置に接触する。かかる半球状のコンタクト形状は、半田バッドSB1の径にばらつきがあり、標準よりも小さい径の半田パッドであっても、コンタクトを容易にし、従って半田パッドの第1のコンタクトパターンへのコンタクトの確実性を高めることができる。
【0044】
貫通孔313、323の周囲にも、コンタクトパターンやコンタクトパッドと同様にダミーパッド314,324が形成される。かかる構成にすることにより、半田ボールがコンタクトフィルム30に押しつけられた場合、それぞれの開口部や貫通孔で同様の撓みを生成し、従って、全ての半田バンプに対して均一の形状変化をコンタクトフィルム30に与えることができ、デバイス本体1からの加圧量を格子状に配置された半田ボールに均一に与えることができる。その結果、半田ボールの変更を防止し、コンタクトの確実性を高めることができる。
【0045】
図3の例の基板10は、6層構造であり、それぞれの層には、所定の導電パターンが形成される。コンタクトフィルム30の第1の引き出しパターン315,325,335と第2の引き出しパターン345は、それぞれ基板10に形成された下面の接続パッドから、ビアホール20を経由して、表面の接続パッド221,222,223,224にそれぞれ接続される。そして、これらの接続パッド間の導通をチェックすることにより、半田パッドが、第1のコンタクトパターンに電気的に導通しているかを間接的にチェックすることができる。
【0046】
図4は、コンタクトフィルムの展開図である。図3にて示した通り、コンタクトフィルム30は、4つのフィルム310,320,330,340が積層されている。第1層フィルム310の外形が最も小さく、それより下層のフィルム320,330,340の外形が順番に大きくなる。それにより、それぞれのフィルムの第1のコンタクトパターンにつながる第1の引き出しパターン315,325,335,345に接続された接続パッド316,326,336,346が、それぞれ露出される。
【0047】
接続パッド316〜346は、それぞれ1列に配列されているが、第1のコンタクトパターンのピッチが狭い場合は、2列または3列に配列されることが好ましい。または、第1の引き出しパターン315〜345は、扇型に広がるように設けられても良い。それにより、各フィルムの接続パッド316〜346のピッチを、第1のコンタクトパターンのピッチよりも大きくすることができる。
【0048】
各フィルムには、積層時の位置合わせマークとしてのパッド40,42が設けられる。このパッドを整合させて積層させることで、各フィルムの貫通孔や開口部の位置を整合(マッチング)させることができる。各フィルムには、固定ネジが挿入される固定ネジ孔17Aが設けられる。この固定ネジ孔17Aは、固定ネジの挿入を容易にするために、一定のマージンを有するので、積層時の位置合わせに利用することはあまり好ましくない。しかし、この固定ネジ孔17Aを高精度に形成することで、積層時の位置合わせに利用することも可能である。
【0049】
図4に示される通り、それぞれのフィルムの第1のコンタクトパターンにつながる第1の引き出しパターン315〜345は、外側の下層コンタクトパッドの間を通過して、接続パッド316〜346に接続される。
【0050】
図5は、コンタクトフィルムの各層の一部構成図である。図5には、第1層〜第4層フィルム310〜340の一部上面図が示される。但し、図4の各層フィルムの形状が、角部が切り取られて全体として十文字形状であるのに対して、図5ではかかる形状は示されていない。しかしながら、図5には、各フィルムに形成されているコンタクト用開口部311,321,331、その周りの第1のコンタクトパターン312,322,332、貫通孔313,323、その周りのダミーパッド314,324、下層開口部326,336、その周りの下層コンタクトパッド327,337が、デバイス1に対してどのように配置されているかが、詳細に示される。
【0051】
また、各フィルムには、第1のコンタクトパターン312,322,332と基板10に接続するための接続パッド316326,336とをつなぐ第1の引き出しパターン315,325,335がそれぞれ示される。図5に示される通り、この第1の引き出しパターンは、第1層フィルム310では、第1のコンタクトパターン312から直接つながるパターンであり、第2層フィルム320では、第1の引き出しパターン325が、最外周の半田パッドに対応する下層コンタクトパッド327の間を通って外部への接続パッド326につながる。更に、第3層フィルム330では、第1の引き出しパターン335が、外側の下層コンタクトパッド337の間を通って接続パッド336につながる。
【0052】
後述する通り、半田パッドに接触する最上層の第1のコンタクトパターンの外径は、下層コンタクトパッドの外径よりも大きい。しかも、各層に形成される貫通孔とその周りのダミーパッドの外径は、下層コンタクトパッドより大きく、第1のコンタクトパターンと同程度になる。従って、第1のコンタクトパターン312,322,332を、第1層、第2層、第3層の順に外側から形成することにより、内側の周に形成される第1のコンタクトパターンから、第1の引き出しパターンをフィルム周辺の接続パッドに引き出すことができる。
【0053】
図5には、第4層目のフィルム340(第2の絶縁性弾性フィルム)の平面図が示される。各半田ボールの最下面に接触する第2のコンタクトパターン341が格子状に配置され、それらの第2のコンタクトパターン341は、第2の引き出しパターン345を介して接続パッド346に接続される。この最下層のフィルム340には、外径が小さい第2のコンタクトパターン341が設けられるだけであるので、それから引き出される第2の引き出しパターン345は、比較的スペースに余裕を持って形成することができる。
【0054】
図6は、コンタクトフィルムの各層の表裏面のパターンを示す図である。図6には、開口部や貫通孔の具体的寸法例、その周りに形成される第1のコンタクトパターンや下層コンタクトパッド、ダミーパッドの外径例が示される。図6(A)は表面側を、(B)は裏面側を示す。
【0055】
第1層フィルム310の表面側には、最外周の半田パッドの位置にコンタクト用開口部311とその周りの太い第1のコンタクトパターン312、及びそれにつながる第1の引き出しパターン315が設けられる。また、第2周、第3周の半田パッドの位置に、貫通孔313とその周りのダミーパッド314が設けられる。第1層フィルムの裏面側には、第1のコンタクトパターン312とダミーパッド314が設けられる。図示される通り、コンタクト用開口部311に比べて貫通孔313の径は大きい。
【0056】
第2層フィルム320の表面側には、最外周の半田パッドの位置に、下層開口部326とその周りの下層コンタクトパッド327が設けられる。また、第2周の半田パッドの位置に、コンタクト用開口部321とその周りの第1のコンタクトパターン322が設けられる。そして、第3周の半田パッドの位置に、貫通孔323とその周りのダミーパッド324が設けられる。裏面側にも、同様に下層コンタクトパッド327、第1のコンタクトパターン322、ダミーパッド324がそれぞれ設けられる。
【0057】
下層開口部326は、第1層フィルムのコンタクト用開口部311より小さい径を有し、またその周りの下層コンタクトパッド327は、第1のコンタクトパターン312,322よりも小さい外径を有する。これにより、第1の引き出しパターン325は、下層コンタクトパッド327の間を通り抜けて設けることが可能になる。
【0058】
半田パッドとの接触を実現する第1の絶縁性弾性フィルムを構成する多層フィルムの最下層である第3層フィルム335には、表面側にのみ下層コンタクトパッド337、第1のコンタクトパターン332が形成される。裏面側にはこれらのパッドやパターンは形成されない。図5に示した通り、第3層フィルムの下には、第2のコンタクトパターン341が設けられたコンタクト確認用のフィルム340が積み重ねられるからであり、第2のコンタクトパターン341とコンタクトパターンやパッドとの絶縁性を確実にするためである。
【0059】
第3層フィルム330の下層開口部336は、第2層フィルム320の下層開口部326よりも小さい径に形成される。また、第3周の半田パッドに接続される第1のコンタクトパターン332は、下層コンタクトパッド337の間を通り抜けて形成される第1の引き出しパターン335により、基板への接続パッドへ導き出される。
【0060】
上記実施の形態例に示したコンタクトフィルム30は、3周の半田ボールを有するBGAデバイスに対応して、3列の開口部などを有する3層のフィルムと、コンタクト確認用の最下層フィルムとの合計4層構成になっている。N周の半田ボールを有するデバイスに対応させるためには、半田ボールへの接触を行うためのフィルムをN層にする必要がある。そして、更に、その接触確認のための第2のコンタクトパターンを有する最下層のフィルムも必要であるから、合計でN+1層構成が必要である。
【0061】
図7は、バーイン試験用実装構造体の例を示す斜視図である。この例では、基板10に複数のデバイス収納開口11が設けられ、それぞれの収納開口11の上部に上蓋部12が、収納開口11の裏面側にコンタクトフィルム30及び押さえ板14が設けられる。図7の例では、基板10に複数のBGAデバイスを実装することができるので、バーイン試験用の実装構造体として有用である。図7の実装構造体は、デバイスの機能試験においても利用することができる。
【0062】
以上の実施の形態に従って、本発明をまとめると以下の通りである。
【0063】
1.外部端子として複数の半田ボールを格子状に配置したボールグリッドアレイのデバイスに対して電気的接触を行うコンタクトフィルムにおいて、
前記半田ボールに対応する位置に設けられる複数のコンタクト用開口部と、その開口部の周囲に前記半田ボールとの第1の接触を行う第1のコンタクトパターンとを有する第1の絶縁性弾性フィルムと、
前記第1の絶縁性弾性フィルムに積層され、前記開口部に対応する位置に、当該開口部を介して前記半田ボールとの第2の接触を行う第2のコンタクトパターンを有する第2の絶縁性弾性フィルムと、
前記第1及び第2のコンタクトパターンにつながる第1及び第2の引き出しパターンとを有することを特徴とするコンタクトフィルム。
【0064】
2.上記1において、
前記第1の絶縁性弾性フィルムは、少なくとも第1層及び第2層フィルムを有し、当該第1層フィルムには、最外周の半田ボールの位置に対応して前記コンタクト用開口部及び第1のコンタクトパターンが、第2周より内側の半田ボールの位置に対応して当該半田ボールより径が大きい貫通孔がそれぞれ設けられ、前記第2層フィルムには、前記最外周の半田ボールの位置に対応して下層開口部が、前記第2周の半田ボールの位置に対応して前記コンタクト用開口部と第1のコンタクトパターンがそれぞれ設けられ、
前記最外周の半田ボールの第1のコンタクトパターンにつながる第1の引き出しパターンは、前記第1層フィルムに設けられ、前記第2周の半田ボールの第1のコンタクトパターンにつながる第1の引き出しパターンは、前記第2層フィルム上に、前記最外周の半田ボールに対応する下層開口部の間を通過するように設けられることを特徴とするコンタクトフィルム。
【0065】
3.上記2において、
前記第1の絶縁性弾性フィルムは、第N層フィルム(Nは3以上の整数)を更に積層し、前記第N層フィルムに、前記第N周の半田ボールの位置に対応する前記コンタクト用開口部及び第1のコンタクトパターンが設けられていることを特徴とするコンタクトフィルム。
【0066】
4.上記2または3において、
前記下層開口部の周りに下層コンタクトパッドが設けられ、当該下層コンタクトパッドは上層に設けられた第1のコンタクトパターンと接触していることを特徴とするコンタクトフィルム。
【0067】
5.上記4において、
前記下層開口部は、上層に設けられたコンタクト用開口部よりも小さい径を有することを特徴とするコンタクトフィルム。
【0068】
6.上記4または5において、
前記下層コンタクトパッドの外径は、それに対応する前記第1のコンタクトパターンの外径より小さいことを特徴とするコンタクトフィルム。
【0069】
7.上記6において、
前記第2周の半田ボールの第1のコンタクトパターンにつながる第1の引き出しパターンは、前記第2層フィルム上に、前記最外周の半田ボールに対応する下層コンタクトパッドの間を通過するように設けられることを特徴とするコンタクトフィルム。
【0070】
8.上記2または3において、
前記貫通孔の周りにダミーパッドが設けられていることを特徴とするコンタクトフィルム。
【0071】
9.外部端子として複数の半田ボールを格子状に配置したボールグリッドアレイのデバイスを実装する実装構造体において、
前記デバイスを収納する収納開口を有する基板と、
前記基板の裏面側に設けられた、上記1乃至8のいずれかのコンタクトフィルムとを有し、
前記コンタクトフィルムの第1及び第2の引き出しパターンが、前記基板内の配線パターンに接続されていることを特徴とするデバイス実装構造体。
【0072】
10.上記9において、
前記コンタクトフィルムが、取り替え可能に前記基板に圧接して取り付けられることを特徴とするデバイス実装構造体。
【0073】
11.上記9または10において、
更に、前記基板の表面側に設けられ、前記収納開口内に収納された前記デバイスを、前記コンタクトフィルムに押しつける加圧手段を有することを特徴とするデバイス実装構造体。
【0074】
12.上記10において、
更に、前記コンタクトフィルムの前記基板と反対側に、取り替え可能に取り付けられ、当該コンタクトフィルムを前記デバイスに押しつける押さえ板を有することを特徴とするデバイス実装構造体。
【0075】
13.上記12において、
更に、前記コンタクトフィルムの周囲の前記押さえ板と基板との間に挿入され、前記コンタクトフィルムに対応する厚みを有する外枠部材を有することを特徴とするデバイス実装構造体。
【0076】
14.上記9乃至13のいずれかにおいて、
前記基板内に複数の収納開口が設けられ、それぞれの収納開口の裏面側に前記コンタクトフィルムが設けられていることを特徴とするデバイス実装構造体。
【0077】
15.上記9乃至13のいずれかに記載されたデバイス実装構造体を有するデバイス試験用ソケット。
【0078】
16.上記14に記載されたデバイス実装構造体を有するデバイス試験用のテストボード。
【0079】
17.上記14に記載されたデバイス実装構造体を有するデバイス試験用のバーインボード。
【0080】
本発明は、以上説明した実施の形態例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載されたものとその均等物を含むものである。
【0081】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、ボールグリッドアレイタイプのデバイスに対して、半田ボールへのコンタクトを確認することが容易にできるコンタクトシートを提供することができる。また、そのコンタクトシートを利用したデバイスの実装構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】BGAタイプのデバイスの外形図である。
【図2】本実施の形態例におけるBGAタイプのデバイスを実装するデバイス実装構造体を示す図である。
【図3】本実施の形態例におけるデバイス実装構造体の詳細断面図である。
【図4】コンタクトフィルムの展開図である。
【図5】コンタクトフィルムの各層の一部構成図である。
【図6】コンタクトフィルムの各層の表裏面のパターンを示す図である。
【図7】バーイン試験用実装構造体の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
310〜330 第1の絶縁性弾性フィルム
340 第2の絶縁性弾性フィルム
311,321,331 コンタクト用開口部
312,322,332 第1のコンタクトパターン
313,323 貫通孔
314,324 ダミーパッド
315,325,335 第1の引き出しパターン
345 第2の引き出しパターン
326,336 下層開口部
327,337 下層コンタクトパッド
341 第2のコンタクトパターン
10 基板
11 収納開口
30 コンタクトフィルム
Claims (3)
- 外部端子として複数の半田ボールを格子状に配置したボールグリッドアレイのデバイスに対して電気的接触を行うコンタクトフィルムにおいて、
前記半田ボールに対応する位置に設けられる複数のコンタクト用開口部と、その開口部の周囲に前記半田ボールとの第1の接触を行う第1のコンタクトパターンとを有する第1の絶縁性弾性フィルムと、
前記第1の絶縁性弾性フィルムに積層され、前記開口部に対応する位置に、当該開口部を介して前記半田ボールとの第2の接触を行う第2のコンタクトパターンを有する第2の絶縁性弾性フィルムと、
前記第1及び第2のコンタクトパターンにつながる第1及び第2の引き出しパターンとを有することを特徴とするコンタクトフィルム。 - 請求項1において、
前記第1の絶縁性弾性フィルムは、少なくとも第1層及び第2層フィルムを有し、当該第1層フィルムには、最外周の半田ボールの位置に対応して前記コンタクト用開口部及び第1のコンタクトパターンが、第2周より内側の半田ボールの位置に対応して当該半田ボールより径が大きい貫通孔がそれぞれ設けられ、前記第2層フィルムには、前記最外周の半田ボールの位置に対応して下層開口部が、前記第2周の半田ボールの位置に対応して前記コンタクト用開口部と第1のコンタクトパターンがそれぞれ設けられ、
前記最外周の半田ボールの第1のコンタクトパターンにつながる第1の引き出しパターンは、前記第1層フィルムに設けられ、前記第2周の半田ボールの第1のコンタクトパターンにつながる第1の引き出しパターンは、前記第2層フィルム上に、前記最外周の半田ボールに対応する下層開口部の間を通過するように設けられることを特徴とするコンタクトフィルム。 - 外部端子として複数の半田ボールを格子状に配置したボールグリッドアレイのデバイスを実装する実装構造体において、
前記デバイスを収納する収納開口を有する基板と、
前記基板の裏面側に設けられた、上記1または2のいずれかのコンタクトフィルムとを有し、
前記コンタクトフィルムの第1及び第2の引き出しパターンが、前記基板内の配線パターンに接続されていることを特徴とするデバイス実装構造体。
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