JP4185939B2 - 紫外線硬化樹脂の状態推定方法 - Google Patents

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Description

この発明は紫外線を照射されることで硬化する紫外線硬化樹脂の状態を推定する方法に関し、特に光重合開始剤の特性に基づいて紫外線硬化樹脂の状態を推定する方法に関するものである。
近年、多くの産業分野において、接着剤やコーティング剤の硬化方法として紫外線硬化法(Ultra Violet Curing)が利用されている。紫外線硬化法は、熱エネルギーを利用する熱硬化方法に比較して、有害物質を大気中に放散しない、硬化時間が短い、熱に弱い製品にも適応できるなどの多くの利点を有しているからである。
紫外線硬化法では、紫外線照射前においては主に液体である一方、紫外線照射後においては固体に変化する紫外線硬化樹脂が用いられる。このような紫外線硬化樹脂は、主剤としてモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方を含み、さらに光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、照射される紫外線を受けてラジカルやカチオンを発生し、発生したラジカルやカチオンがモノマーやオリゴマーと重合反応を生じる。この重合反応に伴いモノマーやオリゴマーはポリマーに変化し、分子量が極めて大きくなるとともに、融点が低下する。この結果、紫外線硬化樹脂は液体状態を維持できなくなって固体に変化する。したがって、紫外線硬化法においては、紫外線硬化樹脂の硬化度は、重合度に応じて定まることになる。
一方、目視による紫外線硬化樹脂の硬化度や品質異常有無の判断は困難であり、硬化反応(重合反応)に伴う紫外線硬化樹脂の状態を容易に判断する方法が要望されている。そこで、たとえば特許第2651036号公報(特許文献1)には、硬化可能コーティング材料の硬化程度を監視する方法が開示されている。この方法によれば、紫外線硬化可能材料と、硬化可能材料の硬化度の関数として変化するような発光を行なう蛍光成分を含むプローブとからなる材料系に対して、紫外線硬化可能材料の硬化度を測定するためにプローブの発光を測定するステップからなる。
特許第2651036号公報
しかしながら、上述の特許第2651036号公報(特許文献1)に開示されるように、硬化可能材料の硬化度の関数として変化するように発光するプローブを紫外線硬化樹脂に添加する方法は、汎用的な紫外線硬化法に適用することが困難である場合が多い。すなわち、上述のプローブのように特別な材料を添加することはコスト的に不利であり、また、品質上の観点からそのようなプローブを添加することが許されない場合も多い。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、多くの紫外線硬化樹脂に適用可能な、紫外線硬化樹脂の状態を容易に推定できる状態推定方法を提供することである。
本願発明者らは、紫外線硬化樹脂に対する紫外線照射に応じて、紫外線硬化樹脂に含まれる光重合開始剤自体が紫外線硬化樹脂の状態(たとえば、硬化度)と相関のある観測可能な蛍光を放射することを発見し、この発見に基づいて新たな紫外線硬化樹脂の状態推定方法を発明した。
この発明によれば、モノマーまたはオリゴマーの少なくとも一方からなる主剤と、光重合開始剤とを含む紫外線硬化樹脂の状態を推定する方法である。この発明に係る方法は、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する照射ステップと、照射ステップにおいて照射される紫外線を受けて、光重合開始剤によって放射される蛍光を検出する検出ステップと、検出ステップにおいて検出される蛍光に基づいて、紫外線硬化樹脂の状態を推定する推定ステップとからなる。
この発明によれば、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂に含まれる光重合開始剤から紫外線硬化樹脂の状態(たとえば、硬化度)と相関のある蛍光を放射させる。そして、光重合開始剤によって放射される蛍光に基づいて、紫外線硬化樹脂の状態を推定する。これにより、上述のプローブのように特別な材料を添加することなく、紫外線硬化樹脂の状態を推定できる。
好ましくは、推定ステップは、紫外線硬化樹脂に対する硬化反応を生じさせるための硬化用紫外線の照射中において、紫外線硬化樹脂における硬化反応に伴って生じる蛍光強度の時間的変化に基づいて、紫外線硬化樹脂の状態を推定する。
さらに好ましくは、推定ステップは、蛍光強度の増加に続いて、蛍光強度の増加速度の低下、蛍光強度の増加停止、および蛍光強度の減少のいずれかが生じた時点で、光重合開始剤が実質的に消費されたとみなす。
さらに好ましくは、推定ステップは、蛍光強度の増加に続いて、蛍光強度の増加速度の低下、蛍光強度の増加停止、および蛍光強度の減少のいずれかが生じた時点で、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなす。
さらに好ましくは、推定ステップは、蛍光強度の増加開始後において、増加開始前における蛍光強度に対するその蛍光強度の差または比が予め設定されたしきい値を超過した時点で、紫外線硬化樹脂が特定の硬化度に到達したとみなす。
さらに好ましくは、推定ステップは、その蛍光強度が予め設定されたしきい値を超過した時点で、紫外線硬化樹脂が特定の硬化度に到達したとみなす。
さらに好ましくは、推定ステップは、検出される蛍光強度の時間的変化と、予め設定された基準となる時間的変化とを比較することにより紫外線硬化樹脂の状態を推定する。
さらに好ましくは、推定ステップは、特定の基準時点から蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間を取得し、当該取得した所要時間を予め設定された基準値と比較することにより紫外線硬化樹脂の状態を推定する。
また好ましくは、推定ステップは、紫外線硬化樹脂に対する硬化反応を生じさせるための硬化用紫外線の照射前において検出される蛍光強度に基づいて、紫外線硬化樹脂の状態を推定する。
また好ましくは、推定ステップは、紫外線硬化樹脂に対する硬化反応を生じさせるための硬化用紫外線の照射後において検出される蛍光強度に基づいて、紫外線硬化樹脂の状態を推定する。
また好ましくは、推定ステップは、硬化反応を生じた後の紫外線硬化樹脂から検出される蛍光強度に基づいて、紫外線硬化樹脂に蓄積されている構造的ストレスの状態を推定する。
また好ましくは、照射ステップは、周期的に強度変化する、光重合開始剤によって放射される蛍光を検出するための検出用紫外線を照射し、検出ステップは、紫外線硬化樹脂から放射される光を受光する受光ステップと、受光ステップにおいて受光される光から検出紫外線の強度変化周期に対応する周期成分を蛍光として抽出する抽出ステップとを含む。
さらに好ましくは、硬化用紫外線は、時間的に略一定の強度を有する紫外線であり、検出用紫外線は、所定周期で放射され、パルス状の光強度を有する紫外線である。
この発明によれば、多くの紫外線硬化樹脂に適用可能な、紫外線硬化樹脂の状態を容易に推定できる状態推定方法を実現できる。
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
この発明の実施の形態に従う紫外線硬化樹脂の状態推定方法は、本願発明者らが発見した、紫外線照射に応じて紫外線硬化樹脂に含まれる光重合開始剤自体が当該紫外線硬化樹脂の状態(たとえば、硬化度)と相関のある観測可能な蛍光を放射する現象に基づくものである。
図1は、この発明の実施の形態に従う紫外線硬化樹脂の状態推定方法を実現する一実施形態の概略構成図である。
図1を参照して、この発明の実施の形態に従う紫外線硬化樹脂の状態推定方法は、状態推定装置100と、硬化用紫外線照射装置200とを用いて、試料台6上に配置された紫外線硬化樹脂12の状態を推定する。そして、状態推定装置100は、硬化用紫外線照射装置200からの硬化用紫外線54により硬化反応を生じる紫外線硬化樹脂12の状態を推定する。
状態推定装置100は、蛍光検出用ヘッド部104と、状態推定部102とからなる。蛍光検出用ヘッド部104は、状態推定部102から受けた照射指令に応じて、蛍光を検出するための検出用紫外線50を紫外線硬化樹脂12に向けて照射する一方、紫外線硬化樹脂12から放射される蛍光52を受光して、検出される蛍光強度を状態推定部102へ出力する。
状態推定部102は、硬化用紫外線照射装置200からの照射状態信号に基づいて、蛍光検出用ヘッド部104へ照射指令を与える。そして、状態推定部102は、蛍光検出用ヘッド部104において検出された蛍光強度に基づいて、紫外線硬化樹脂12の状態を推定する。
硬化用紫外線照射装置200は、紫外線照射ヘッド部204と、照射制御部202とからなる。紫外線照射ヘッド部204は、照射制御部202からの照射指令に応じて、紫外線硬化樹脂12を硬化させるための硬化用紫外線54を発生して照射する。照射制御部202は、ユーザなどの外部からの指令(図示しない)に応じて、紫外線照射ヘッド部204へ照射指令を与えるとともに、その照射指令に同期して照射状態信号を状態推定部102へ出力する。
紫外線硬化樹脂12は、金属板8上に配置された環状部材10の内側に注入され、主として硬化用紫外線54を受けて硬化反応を生じる。硬化用紫外線54は、紫外線硬化樹脂12において直径約14mmの範囲に集束するようにして照射される。後述の一連の実験例では、紫外線硬化樹脂12の直径(環状部材10(図3)の内径)は7mmであるので、硬化用紫外線54は、紫外線硬化樹脂12の全体に照射される。
(紫外線硬化樹脂)
この発明の実施の形態に従う状態推定方法の対象となる紫外線硬化樹脂は、紫外線照射前においては主に液体である一方、紫外線照射後においては固体に変化(硬化)する。なお、本明細書内において、「紫外線硬化樹脂」とは、紫外線照射前における液体の状態、ならびに紫外線照射後における固体の状態のいずれも含む総称的な意味で使用する。
紫外線照射前(硬化前)における紫外線硬化樹脂は、モノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方、光重合開始剤、ならびに各種添加剤を含む。モノマーおよびオリゴマーは主剤であり、紫外線を受けて光重合開始剤が発生するラジカルやカチオンにより重合反応(主鎖反応および架橋反応など)を生じる。そして、この重合反応に伴いモノマーおよびオリゴマーは、ポリマーに変化して分子量が極めて大きくなるとともに融点が低下する。この結果、紫外線硬化樹脂は、液体から固体へ変化する。
モノマーおよびオリゴマーは、一例として、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコンアクリレート、およびエポキシアクリレートなどからなる。モノマーは、単量体とも呼ばれ、重合反応によって重合体を合成する場合の原料となる状態である。一方、オリゴマーは、低重合体とも呼ばれ、重合度が2〜20程度の比較的重合度の低い状態である。
光重合開始剤は、紫外線を受けてラジカルを発生するラジカル重合開始剤、および紫外線を受けてカチオンを発生するカチオン重合開始剤に大別される。なお、ラジカル重合開始剤は、アクリル系のモノマーおよびオリゴマーに対して使用され、カチオン重合開始剤は、エポキシ系やビニールエーテル系のモノマーおよびオリゴマーに対して使用される。さらに、ラジカル重合開始剤およびカチオン重合開始剤の混合物からなる光重合開始剤も実用化されている。
ラジカル重合開始剤は、ラジカルの発生過程に応じて、水素引抜型および分子内開裂型に大別される。水素引抜型は、一例として、ベンゾフェノンおよびオルソベンゾイル安息香酸メチルなどからなる。一方、分子内開裂型は、一例として、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、オキソベンゾイル安息香酸メチル(OBM)、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド(BMS)、イソプロピルチオキサントン(IPTX)、ジエチルチオキサントン(DETX)、エチル4−(ジエチルアミノ)ベンゾエート(DAB)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−オン、ベンジルジメチルケタール(BDK)、および1,2αヒドロキシアルキルフェノンなどからなる。
カチオン重合開始剤は、一例として、ジフェニルヨードニウム塩などからなる。
なお、本明細書内において、「光重合開始剤」とは、光重合反応を開始させる能力が残存しているものに限らず、当初の光重合開始剤が光重合反応に寄与することによって変化したり光重合反応の対象となるモノマーやオリゴマーが周囲に存在しなかったりすることにより、もはや光重合反応の開始に寄与しない物質となったものをも含む意味で使用する。光重合開始反応に寄与した後の光重合開始剤は、多くの場合、ほぼ当初の分子の大きさを保持したまま、あるいは2つまたはそれ以上の数の分子に分裂した状態で、ポリマーの末端に結合している。当初の光重合開始剤の分子が分裂した場合には、分裂後の分子のうちの少なくとも一部のものが蛍光放射に寄与すると考えられる。
(光重合開始剤からの蛍光放射)
表1は、代表的な紫外線硬化樹脂に対する蛍光放射の有無を調べた結果を示す表である。表1においては、スペクトルアナライザーを用いて、複数の紫外線硬化樹脂(合計22種類)の各々に対して、波長365nmの紫外線を照射した場合における蛍光放射の有無、および蛍光放射に係るピーク波長について調査した結果を示す。
Figure 0004185939
表1を参照して、調査したすべての紫外線硬化樹脂において、照射紫外線(波長365nm)に比較して波長の長い蛍光が放射されていることを確認できた。
紫外線硬化樹脂は、紫外線を受けて重合反応を生じることで硬化するように構成されている。そのため、このような重合反応を生じさせる光重合開始剤は、(1)重合反応を開始させるための活性種(ラジカルや酸など)を生成する能力(量子収率、モル吸光係数)が高い、(2)反応性の高い活性種を生成する、(3)活性種の生成能力を発揮するための励起エネルギーのスペクトル域が紫外線領域である、などの性質を有している。すなわち、光重合開始剤は、紫外線を吸収しやすい分子構造のものが採用され、紫外線吸収したことによるエネルギー(電子)を他の分子に与えやすいものとなっている。
一方、紫外線硬化樹脂の主剤であるモノマーおよびオリゴマーは、蛍光をほとんど発しないと考えられる。それは、モノマーおよびオリゴマーは、キャリア(電子)が分子内をスムーズに動きにくい構造をとるからである。
以上のような理由から、本願発明者らは、光重合開始材が紫外線を受けて蛍光を放射する性質を本質的に有すると、結論付けた。
しかしながら、本願発明者らの知る限り、光重合開始剤が蛍光を放射することの認識を示す先行技術文献は存在しない。これは、以下のような事情が背景にあったものと考えられる。
まず、光重合開始剤が蛍光を放射することについて上記のような理解が理論上可能であるものの、実際に測定してみると、この蛍光の強度は非常に微弱であり、肉眼では認識し難いレベルであった。このことは、一般に蛍光材料として知られている物質が肉眼で容易に認識できる程度の蛍光を放射するのと対照的である。上述の特許文献1に記載されるような、プローブから放射される蛍光により硬化度を推定しようとする試みも、高い強度の蛍光が得られる材料を添加するという発想に基づくものである。
また、光重合開始剤により放射される蛍光強度が微弱であることに加えて、紫外線硬化樹脂の場合には、樹脂を硬化させるための強い紫外線が照射されている最中に蛍光検出をする必要がある。そのため、後述するような、波長フィルタによる蛍光の分離、硬化のための紫外線とは別に蛍光検出用紫外線をパルス放射し、それと同期して蛍光を検出するなどの測定上の工夫をしないと蛍光を検出しにくい。さらに、紫外線LED(Light Emitting Diode)を入手可能になった最近にいたるまでは、紫外線光源は紫外線ランプのみであり、紫外線をパルス放射すること自体が困難であった。
(蛍光測定)
図2は、状態推定装置100のより詳細な概略構成図である。
図2を参照して、状態推定部102は、CPU(Central Processing Unit)40と、表示部42と、操作部44と、記憶部46と、照射警告部48とからなる。
CPU40は、操作部44からの操作指令および硬化用紫外線照射装置200(図1)からの照射状態信号に応じて、蛍光検出用ヘッド部104へ照射指令を出力する。また、CPU40は、蛍光検出用ヘッド部104へ与える照射指令に対応して、蛍光検出用ヘッド部104から放射される検出用紫外線50に対する防護を促すために、照射警告部48を点灯または点滅する。そして、CPU40は、蛍光検出用ヘッド部104により検出された蛍光強度を受けて、対象となる紫外線硬化樹脂の状態を推定し、その推定結果などを表示部42へ出力する。同時に、CPU40は、蛍光検出用ヘッド部104により検出された蛍光強度を示す信号(アナログ,デジタル)を外部装置(図示しない)などへ出力する。さらに、CPU40は、記憶部46から予め格納された各種データを読出し、また計測されたデータなどを記憶部46へ格納する。
表示部42は、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode-Ray tube)などのディスプレイを含み、CPU40から受けた蛍光強度変化のグラフなどを表示する。
操作部44は、各種スイッチなどからなり、ユーザからの操作を受付けて、その操作に応じた操作指令をCPU40へ出力する。
照射警告部48は、一例としてLEDやランプなどからなり、状態推定装置100に近接する位置にいるユーザなどに対して、紫外線が照射中であることを表示する。
記憶部46は、一例としてEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read only Memory)などからなり、測定データや紫外線硬化樹脂の種類と対応付けられた各種データなどを格納する。
蛍光検出用ヘッド部104は、投光駆動回路20と、投光素子22と、ハーフミラー24と、光フィルタ26と、受光素子28と、HPF(High Pass Filter)30と、増幅回路32と、S/H(Sample and Hold)34と、アナログデジタル変換部(ADC)36とからなる。
投光駆動回路20は、CPU40から受けた照射指令に従い、所定の周期でパルス状の電圧を投光素子22へ印加する。
投光素子22は、一例として紫外線LEDからなり、投光駆動回路20により印加されたパルス電圧に応じて、検出用紫外線50を発生して放射する。この発明の実施の形態においては、投光素子22は、主発光ピークを365nmにもつ検出用紫外線50を照射する。
ハーフミラー24は、投光素子22と同一の光軸上に配置され、投光素子22から放射される検出用紫外線50を透過する一方、測定対象である紫外線硬化樹脂(図示しない)により放射される蛍光52の伝播経路を変化させて、光フィルタ26へ導く。一例として、ハーフミラー24の反射面は、金属蒸着により形成される。
光フィルタ26は、投光素子22から放射される検出用紫外線50などの外乱光を取除くために配置されたものであり、紫外領域の光を減衰させる一方で可視領域の光を透過するように構成される。この発明の実施の形態においては、光フィルタ26は、波長が410nm以上の光を透過する誘電体多層膜のフィルタである。
受光素子28は、一例としてフォトダイオードからなり、光フィルタ26を透過して入射する蛍光の強度に応じた電流を発生し、HPF30へ出力する。
HPF30は、受光素子28から受けた蛍光強度信号のうち、直流成分及び低周波成分を除去し、検出用紫外線50により生じた成分を抽出するように所定の周波数以上の信号だけを通過させる。
増幅回路32は、HPF30を通過した信号を所定の増幅率(電流電圧変換率)で増幅して、S/H回路34へ出力する。
S/H回路34は、投光素子22の発光タイミングと同期して受光強度信号をサンプリングし、サンプリングした信号値を次回のサンプリング時まで保持することにより、パルス状の投光が行われる所定の周期毎に各周期における信号の最大振幅値を検出し、検出した最大振幅値を各周期内において維持する。
アナログデジタル変換部36は、S/H回路34から出力される電圧信号(アナログ信号)をデジタル値に変換して、CPU40へ出力する。
図3は、蛍光検出用ヘッド部104の光学系を示す概略構成図である。
図3を参照して、蛍光検出用ヘッド部104は、集束レンズ38をさらに備える。そして、投光素子22、ハーフミラー24、集束レンズ38および対象とする紫外線硬化樹脂12が同一直線上に配置され、投光素子22から放射された検出用紫外線50が、集束レンズ38を介して紫外線硬化樹脂12において直径約7mmの範囲に集束するように構成される。後述の一連の実験例では紫外線硬化樹脂12の直径(環状部材10(図3)の内径)は7mmであるので、検出用紫外線50は、紫外線硬化樹脂12のほぼ全体に照射される。そして、紫外線硬化樹脂12から放射された蛍光52は、検出用紫外線50と同一の経路を逆方向に伝播してハーフミラー24で反射されて伝播経路を変化させる。さらに、蛍光52は、光フィルタ26を介して受光素子28へ入射する。
なお、投光素子22の照射面から集束レンズ38までの距離と、集束レンズ38から紫外線硬化樹脂12までの距離とは、略同一となるように構成される。
このように、ハーフミラー24が紫外線硬化樹脂12から受けた蛍光52の伝播方向を変化させることで、同一直線上を伝播する検出用紫外線50と蛍光52とを分離することができ、微弱な強度を有する蛍光52を確実に検出できる。
再度、図1を参照して、上述したように、紫外線硬化樹脂12に含まれる光重合開始剤は、紫外線を受けると蛍光を放射するので、硬化用紫外線54に対しても蛍光を放射する。すなわち、光重合開始剤は、それぞれ硬化用紫外線54および検出用紫外線50を受けて蛍光を放射する。
そこで、この発明の実施の形態に従う状態推定装置100では、周期的に強度変化する検出用紫外線50を放射し、光重合開始剤によって放射される蛍光を検出する。紫外線硬化樹脂12の周囲環境が、紫外線硬化樹脂12が放射する蛍光と同じ波長域を含む光で照明されている場合は、この周囲環境の照明光が外乱光となる。そこで、周囲環境の照明光が例えば商用電源の周波数で変動するのであれば、検出用紫外線50の強度変化周期は、周囲環境の照明光のそのような変動周期よりも短くしておく。また、硬化用紫外線54は直流状に強度変化なく照射されることが多いが、硬化用紫外線54が周期的に強度変化させられる場合には、検出用紫外線50の強度変化周期は、硬化用紫外線54の強度変化周期とは異なる周期にしておく(例えば、硬化用紫外線54の強度変化周期よりも短い周期にしておく)。すなわち、状態推定装置100は、周囲環境の照明光や硬化用紫外線54に対して、周波数上で分離可能な検出用紫外線50を放射することで、非常に微弱な強度の蛍光を検出し、紫外線硬化樹脂12の状態を推定する。
一例として、この発明の実施の形態に従う状態推定装置100においては、検出用紫外線50として、パルス状の紫外線を周期的に放射する。一方、硬化用紫外線照射装置200は、その強度が時間的に略一定である硬化用紫外線54を放射する。そして、蛍光検出用ヘッド部104におけるHPF30は、受光素子28により受光された光強度の時間的変化から直流成分及び低周波成分を除去し、検出用紫外線50の強度変化周期(パルスの放射周期)に対応する周期成分を抽出することで蛍光を検出する。
図4は、蛍光検出における各部の時間波形を示す模式図である。
図4(a)は、紫外線照射ヘッド部204から照射される硬化用紫外線54の時間波形である。
図4(b)は、蛍光検出用ヘッド部104から照射される検出用紫外線50の時間波形である。
図4(c)は、受光素子28により受光される光強度の時間波形である。
図4(d)は、HPF30から出力される信号の時間波形である。
図4(e)は、S/H回路34から出力される信号の時間波形である。
図4(a)を参照して、照射制御部202は、ユーザなどから照射開始指令を与えられると、紫外線照射ヘッド部204から一定強度の硬化用紫外線54の放射を開始する。なお、この発明の実施の形態においては、紫外線照射ヘッド部204は、その波長が365nmで、かつ照射強度Pf=20mWの硬化用紫外線54を放射することとし、以下の説明においても同様である。
図4(b)を参照して、状態推定部102は、硬化用紫外線54の照射開始を示す照射状態信号が照射制御部202から入力されると、蛍光検出用ヘッド部104からその強度がパルス状に変化する検出用紫外線50を所定周期で放射する。なお、この発明の実施の形態においては、蛍光検出用ヘッド部104は、その波長が365nmで、ピーク照射強度Pd=12mWおよびパルス幅Tp=18μsでパルス状に変化する検出用紫外線50を、放射周期T=0.35msとして放射することとし、以下の説明においても同様である。
図4(c)を参照して、光重合開始剤が放射する蛍光は、紫外線硬化樹脂12の状態(たとえば、硬化度)と相関があるので、硬化用紫外線54の照射に伴って、紫外線硬化樹脂12における硬化度が変化すると、光重合開始材によって放射される蛍光の強度も変化する。上述したように、一定強度の硬化用紫外線54(図4(a))および強度がパルス状に変化する検出用紫外線50(図4(b))が紫外線硬化樹脂12に照射されるので、受光素子28により受光される光強度は、それぞれ硬化用紫外線54および検出用紫外線50を受けて生じる蛍光が合成された時間波形を有する。
図4(d)を参照して、受光素子28から出力された受光強度信号は、HPF30へ与えられて、検出用紫外線50により生じた成分が抽出される。換言すれば、HPF30は、微分器として機能し、検出用紫外線50のパルス成分に対応する成分を抽出する。
図4(e)を参照して、HPF30から出力された受光強度信号は、S/H回路34により検出用紫外線50の照射周期毎に最大振幅値を検出され、その検出された最大振幅値が各周期内において維持される。このS/H回路34から出力される受光強度信号が、光重合開始剤から放射された蛍光強度として状態推定部102へ出力される。
以上のように、状態推定装置100は、周囲環境の照明光や硬化用紫外線54と周波数領域上において分離可能な検出用紫外線50を用いることで、外乱光となる周囲環境の照明光や硬化用紫外線54による蛍光の影響を排除して、非常に微弱な強度の蛍光を検出できる。
なお、図4は、説明の便宜上、紫外線硬化樹脂12の硬化時間が検出用紫外線50の放射周期に比較して非常に短い場合について例示したが、通常の紫外線硬化樹脂12の硬化時間は、検出用紫外線50の放射周期(0.35ms)に比較して非常に長い(数s〜数10s程度)。そのため、紫外線硬化樹脂12の硬化時間に対して、十分に多くの検出用紫外線50を紫外線硬化樹脂12へ照射することができるので、放射される蛍光を正確に検出できる。
さらに、状態推定部102のCPU40(図2)は、アナログデジタル変換部36を介して、S/H回路34から受けた蛍光強度を移動平均処理して、各時点における光重合開始剤の蛍光強度を算出する。この発明の実施の形態においては、CPU40は、256個のデータ(0.35ms×256=89.6ms)に対して移動平均を実行することとし、以下の説明においても同様である。
(測定結果)
上述した状態推定装置100を用いて、市販されている紫外線硬化樹脂(5種類)に対して硬化反応に伴う蛍光強度の変化を測定した。同時に、各硬化反応の途中過程における紫外線硬化樹脂の硬化度についても測定した。
図5は、ケミテック社製ケミシールU−1542における蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。
図6は、ケミテック社製ケミシールU−406Bにおける蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。
図7は、ケミテック社製ケミシールU−1481における蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。
図8は、スリーボンド社製3065における蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。
図9は、スリーボンド社製3114Bにおける蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。
図5〜図9のいずれの場合においても、対象とする紫外線硬化樹脂の硬化度は、JIS K7215に規定される測定方法に従って測定を行なった。また、その硬化度の単位は、「ショアーD硬度」である。なお、紫外線硬化法の特性上、硬化反応の途中過程において紫外線照射を中断しても重合反応は進行するため、同一のサンプルに対して、複数の時点における硬化度をそれぞれ測定することはできない。そこで、いずれの場合においても、複数のサンプルに対して同一条件下で硬化用紫外線54を照射し、各測定時点においていずれか1つを抜き出して硬化度を測定する方法を採用した。
また、図2に示す増幅回路32における増幅率(電流電圧変換率)は、0.18V/μAであり、蛍光検出用ヘッド部104から出力される蛍光強度と蛍光の受光パワーとは、250nW/1Vの関係にある。
図5を参照して、ケミテック社製ケミシールU−1542は、規格値(カタログ硬度)が50(ショアーD硬度)の紫外線硬化樹脂である。なお、規格値とは、各紫外線硬化樹脂が予め定められた条件下で生じる最大硬化度を示すものであり、硬化用紫外線54の強度や照射時間に応じて、規格値を超過する場合や規格値に到達しない場合もある。
この紫外線硬化樹脂のショアーD硬度は、照射開始後から約20秒で規格値に到達している。一方、蛍光強度は、照射開始後約20秒で一旦減少した後、比較的ゆっくりと増加を継続する。
図6を参照して、ケミテック社製ケミシールU−406Bは、規格値(カタログ硬度)が80(ショアーD硬度)の紫外線硬化樹脂である。この紫外線硬化樹脂のショアーD硬度は、照射開始後から約40秒で規格値に到達している。一方、蛍光強度は、照射開始後約25秒で一旦減少した後に増加し、照射開始後約70秒でその増加速度が低下する。
図7を参照して、ケミテック社製ケミシールU−1481は、規格値(カタログ硬度)が80(ショアーD硬度)の紫外線硬化樹脂である。この紫外線硬化樹脂のショアーD硬度は、照射開始後から約90秒で規格値に到達している。一方、蛍光強度は、照射開始直後においてわずかに減少した後に照射開始後約20秒で増加を開始し、照射開始後約90秒でその増加速度が低下する。
図8を参照して、スリーボンド社製3065は、規格値(カタログ硬度)が80(ショアーD硬度)の紫外線硬化樹脂である。この紫外線硬化樹脂のショアーD硬度は、照射開始後から約50秒で規格値に到達している。一方、蛍光強度は、照射開始後約15秒において増加を開始し、照射開始後約40秒でその増加速度が低下し、さらに、照射開始後約60秒で増加がほぼ停止する。
図9を参照して、スリーボンド社製3114Bは、規格値(カタログ硬度)が80(ショアーD硬度)の紫外線硬化樹脂である。この紫外線硬化樹脂のショアーD硬度は、照射開始後から約70秒で規格値に到達している。一方、蛍光強度は、照射開始後約30秒において増加を開始し、照射開始後約40秒で増加が停止する。
図5〜図9に示されるように、紫外線硬化樹脂に硬化用紫外線54を照射し、硬化反応を生じさせると、蛍光強度は一旦減少する場合もあるものの、総じて増加することが認められる。これは次のような理由によると考えられる。
硬化反応(重合反応)の進行に伴って、光重合開始剤が消費される(未反応の光重合開始剤が減少する)ので、紫外線の吸収により生じた光エネルギーのうち、活性種(ラジカルや酸など)の生成に使用される化学的エネルギーとしての使用量が減少する。一方で、光重合開始剤は、重合反応に用いられた後であっても、紫外線を吸収しやすい性質を残しているため、紫外線の吸収により生じる光エネルギーが減少することなく、蛍光や熱といった化学的エネルギーとは異なる形のエネルギーに変換される。このため、紫外線硬化樹脂の硬化反応の進行に従って蛍光強度が増加する傾向が現れる。さらに、この傾向は、紫外線硬化樹脂の基本的な組成に由来するものであるから、ほとんどの種類の紫外線硬化樹脂に共通してみられるものとなる。
図10は、紫外線硬化樹脂の構成成分単体についての蛍光強度の時間波形を示す図である。図10は、上述した図5〜図9と同様にして、紫外線硬化樹脂の構成成分である光重合開始剤1,2、アクリル系モノマーおよびエポキシ系モノマーのそれぞれについて、硬化用紫外線54を照射しつつ、各成分物質が生じる蛍光強度を測定したものである。さらに、図10においては、紫外線硬化樹脂についての蛍光強度の時間波形も併せて示す。
一例として、紫外線硬化樹脂にはスリーボンド社製3065を用い、光重合開始剤1にはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製IRGACURE(登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブン−1)を用い、光重合開始剤2にはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製IRGACURE(登録商標)184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)を用いた。また、エポキシ系モノマーには、その原料である4,4−イソプロピリデンフェノール(ビスフェノールA)を代用した。なお、光重合開始剤1,2、アクリル系モノマーおよびエポキシ系モノマーは、対比して示した紫外線硬化樹脂(スリーボンド社製3065)に必ずしも含まれている物質ではないことを付言しておく。
図10を参照して、紫外線硬化樹脂の蛍光強度は、図8と同様に硬化反応の進行とともに増加している。なお、図10における紫外線硬化樹脂は、図8と同一であるが、測定条件(温度など)の違いにより、若干異なる時間波形となっている。
光重合開始剤1および2は、いずれについても硬化用紫外線54の照射に伴って蛍光強度の増加が認められ、紫外線硬化樹脂についての蛍光強度変化と傾向が共通している。また、光重合開始剤1および2の蛍光強度の絶対値は、紫外線硬化樹脂の蛍光強度に絶対値に比較して小さいが、桁違いに小さいわけではなく、紫外線硬化樹脂の放射する蛍光が光重合開始剤によるものであるとの見解と矛盾しない。この実験における光重合開始剤1および2のように、重合反応の対象であるモノマーやオリゴマーが存在しない環境下では、光重合開始剤が紫外線硬化樹脂の中に存在している場合にくらべて小さな強度の蛍光しか放射されないという可能性もある。
一方、アクリル系モノマーおよびエポキシ系モノマーは、いずれについても硬化用紫外線54の照射に伴った蛍光強度の増加が認められない。また、アクリル系モノマーおよびエポキシ系モノマーの蛍光強度の絶対値は、紫外線硬化樹脂および光重合開始剤の蛍光強度に絶対値に比較して小さい。
したがって、図10の測定結果によれば、紫外線硬化樹脂と同様に蛍光強度が時間的に増加する物質は光重合開始剤1および2のみであることが認められる。そのため、光重合開始剤自体が蛍光を放射すると改めて特定することができる。
図11は、図8に示すスリーボンド社製3065についての硬化用紫外線54の照射パワーと蛍光強度との関係を示す図である。図11においては、図8における硬化用紫外線54の照射パワーを100%とし、相対的に照射パワーを50%および10%とした場合についての蛍光強度を測定した。
図11を参照して、照射パワーを50%および100%とした場合には、蛍光強度は、照射開始後から急激に増加した後、照射開始後約60秒でその増加速度が低下しながらも継続して増加する。照射パワーを10%とした場合には、照射パワーを50%および100%とした場合に比較して、蛍光強度の絶対値は小さくなる。一方、照射パワーを100%とした場合には、照射パワーを50%とした場合に比較して、蛍光強度の絶対値は小さくなる。
また、長時間経過後の蛍光強度は照射パワーにかかわらずほぼ同じ大きさになる。
図12は、図9に示すスリーボンド社製3114Bについての硬化用紫外線54のパワーと蛍光強度との関係を示す図である。図12においては、図9における硬化用紫外線54の照射パワーを100%とし、相対的に照射パワーを50%および10%とした場合についての蛍光強度を測定した。
図12を参照して、照射パワーを50%とした場合には、蛍光強度は、照射開始後から急激に増加した後、照射開始後約40秒でその増加速度を低下させ、緩やかに減少していく。照射パワーを10%とした場合には、照射パワーを50%および100%とした場合に比較して、蛍光強度の絶対値は小さくなる。一方、照射パワーを100%とした場合には、照射パワーを50%とした場合に比較して、蛍光強度の絶対値は小さくなる。
(蛍光強度の時間的変化にみられる特徴)
蛍光強度の時間的変化には次のような特徴がみられる。各特徴についての発明者らの解釈を併せて以下に示す。
第1の特徴として、硬化度は、硬化用紫外線54の照射が開始されると直ちに増加するのに対し、蛍光強度は、硬化用紫外線54の照射が開始されてもしばらくは低いレベルのまま変化しないか、紫外線硬化樹脂によっては一時的な減少がみられる。これは、硬化用紫外線54の照射開始からしばらくの間は、光エネルギーの多くが活性種の生成などの化学反応に使われてしまい、蛍光に変換される光エネルギーが抑制されるためと考えられる。また、蛍光強度が減少するのは、化学反応に伴って生じる熱エネルギーにより紫外線硬化樹脂自体の温度が上昇し、蛍光発光が抑制されるためと考えられる。
第2の特徴として、硬化用紫外線54の照射開始からしばらく経つと、蛍光強度は、前後の変化に比べて大きな変化速度で増加する。活性種の生成が終了して吸収された紫外線の光エネルギーを蛍光に変換するように作用する光重合開始剤が現れ、時間の経過とともにその比率が急激に増加するためと考えられる。
第3の特徴として、その後、蛍光強度は、増加が緩やかとなるか、紫外線硬化樹脂によっては増加が停止する。この段階で光重合開始剤が消費し尽くされ、もはや新たな活性種の生成がなくなると考えられる。この段階までに硬化度が最終的な値に到達する紫外線硬化樹脂もあれば、さらに時間をかけて最終的な値に達する紫外線硬化樹脂もある。さらに時間がかかる場合であっても、新たな活性種の生成がないことにより硬化反応(重合反応)が停止することはなく、最終的な硬化度の値に達するまで硬化反応が進行していくものと考えられる。
第4の特徴として、蛍光強度の増加が緩やかになった後もわずかな増加速度ながら増加を続ける紫外線硬化樹脂がある一方、わずかな減少速度ながら減少に転じる紫外線硬化樹脂もある。硬化用紫外線54の照射状態(パワーおよび照射時間)にかかわらず、蛍光強度が一旦減少する場合にも、やがて増加に転じる。いずれの場合にも、その後数日間という長い時間をかけて、増加が緩やかになったときまたは減少を開始したときの蛍光強度よりも大きな蛍光強度が検出される紫外線硬化樹脂が多い。
これらの特徴から、光重合開始剤が活性種の生成を終えた直後には、まだ吸収した紫外線のエネルギーをすべて蛍光に変換するわけではなく、他に吸収したエネルギーを消費する事象があることがわかる。重合反応(硬化反応)が終了した直後の高分子には分子レベルの構造的ストレスが蓄積しており、このストレスが徐々に開放されていく緩和現象が存在することが知られているが、吸収された紫外線の光エネルギーは、ストレス状態の緩和を抑制することに消費されると考えられる。
第5の特徴として、蛍光強度(例えば、増加が停止するレベル)は硬化用紫外線54の照射パワーによって異なる。硬化用紫外線54の照射パワーが小さい間は、照射パワーを大きくすると蛍光強度も大きくなるが、照射パワーには、大きな蛍光強度を生じさせる境界値が存在し、それよりも照射パワーが大きいと蛍光強度は逆に小さくなる傾向がある。
このような境界値より大きな照射パワーで硬化させると、紫外線硬化樹脂内に大きな構造的ストレスが生じ、この構造的ストレスにより紫外線硬化樹脂の内部に生じた蛍光が外部へ放射されるのを妨げられることが蛍光強度が小さくなる理由であると考えられる。また、このような境界値より小さな照射パワーで硬化させると、初期段階で紫外線硬化樹脂の外表面付近に生じる硬化反応により、その後の硬化用紫外線54が紫外線硬化樹脂内に到達するのを妨げられることが蛍光強度が小さくなる理由であると考えられる。
以上の理解に基づき、状態推定部102は、以下の詳述するような処理に従い、紫外線硬化樹脂の状態推定を行なう。
(紫外線硬化樹脂の状態推定)
図13は、この発明の実施の形態に従う状態推定方法に係る全体処理を示すフローチャートである。
図13を参照して、CPU40は、硬化用紫外線照射装置200からの照射状態信号に基づいて、硬化用紫外線54の照射が開始されたか否かを判断する(ステップS2)。硬化用紫外線54の照射が開始されていない場合(ステップS2においてNOの場合)には、CPU40は、「スタート」へ戻る。
硬化用紫外線54の照射が開始されている場合(ステップS2においてYESの場合)には、CPU40は、蛍光検出用ヘッド部104へ照射指令を与える(ステップS4)。すると、蛍光検出用ヘッド部104は、検出用紫外線50を対象とする紫外線硬化樹脂へ照射する。そして、CPU40は、検出用紫外線50を受けて、当該紫外線硬化樹脂に含まれる光重合開始剤により放射される蛍光の蛍光強度を蛍光検出用ヘッド部104から取得する(ステップS6)。
続いて、CPU40は、取得した蛍光強度を記憶部46へ格納する(ステップS8)とともに、所定数以上の蛍光強度データが記憶部46に蓄積されているか否かを判断する(ステップS10)。所定数以上の蛍光強度データが蓄積されていない場合(ステップS10においてNOの場合)には、CPU40は、ステップS4へ戻る。
所定数以上の蛍光強度データが蓄積されている場合(ステップS10においてYESの場合)には、CPU40は、記憶部46から所定数の蛍光強度データを読出し、平均化処理(移動平均)を実行して、当該時点の蛍光強度を算出する(ステップS12)。
さらに、CPU40は、算出された蛍光強度に基づいて、紫外線硬化樹脂の状態推定処理を実行する(ステップS14)。具体的には、CPU40は、後述するような処理フローを含むサブルーチンを呼び出して実行する。
続いて、CPU40は、状態推定処理の結果などを表示部42などへ出力し(ステップS16)、検出終了条件を満たすかどうか判断する(ステップS8)。検出終了条件としては、硬化用紫外線54の照射が開始されてから所定の時間が経過したこと、ステップS14で例えば最大硬化度に到達したと判定されたというような特定の結果が得られたことなどの条件が適宜採用される。検出終了条件が満たされていない場合(ステップS18においてNOの場合)には、CPU40は、ステップS4へ戻る。一方、検出終了条件が満たされた場合(ステップS18においてYESの場合)には、CPU40は、「スタート」へ戻る。
(蛍光強度の変化速度に基づく光重合開始剤についての状態推定)
上述したように、放射される蛍光強度は、光重合開始剤の化学的状態に応じて変化するものと考えられる。そこで、検出される蛍光強度の時間的変化のうち、蛍光強度の変化速度に基づいて、光重合開始剤が実質的に消費された時点を推定する。なお、紫外線硬化樹脂には、収率や温度変動などを考慮して、理論的必要量に対して所定の余裕率を乗じた量の光重合開始剤が含まれていることが多い。そのため、光重合開始剤が「実質的に消費される」とは、光重合開始剤が合成反応(硬化反応)を十分に生じるだけの活性種(ラジカルや酸など)を生成した状態を意味し、以下同様である。
光重合開始剤が「実質的に消費される」と、検出される蛍光強度の増加が抑制されると考えられる。そこで、蛍光強度が増加開始後において、その増加速度が低下する場合、増加が停止する(変化速度がゼロとなる)場合、および蛍光強度が減少する(変化速度がマイナス値となる)場合などの特徴を捉えて、光重合開始剤が実質的に消費されたとみなすことができる。
図14は、蛍光強度の変化速度に基づく光重合開始剤についての状態推定を説明するための図である。なお、図14は、硬化用紫外線54(図1)の照射開始時点を基準時刻(ゼロ時刻)としている。
図14(a)は、蛍光強度の増加に続いて、ある時点からその増加速度が低下する場合である。
図14(b)は、蛍光強度の増加に続いて、ある時点からその増加が停止する場合である。
図14(c)は、蛍光強度の増加に続いて、ある時点から蛍光強度が減少する場合である。
図14(a)を参照して、蛍光強度の変化速度(単位時間あたりの変化量)がr1以下に低下する時刻tcにおいて、光重合開始剤が実質的に消費されたとみなすことができる。すなわち、硬化用紫外線54の照射開始後、蛍光強度の増加に続いて、その増加速度が低下する時点を検出することで、光重合開始剤が実質的に消費された時点を推定できる。
図14(b)を参照して、蛍光強度の変化速度が0に近いr2以下に低下する時刻tcにおいて、光重合開始剤が実質的に消費されたとみなすことができる。すなわち、硬化用紫外線54の照射開始後、蛍光強度の増加に続いて、その増加が停止する時点を検出することで、光重合開始剤が実質的に消費された時点を推定できる。
図14(c)を参照して、蛍光強度の変化速度がマイナス値へ変化する時刻tcにおいて、光重合開始剤が実質的に消費されたとみなすことができる。すなわち、硬化用紫外線54の照射開始後、蛍光強度の増加に続いて、蛍光強度が減少に転じる時点を検出することで、光重合開始剤が実質的に消費された時点を推定できる。
図15は、蛍光強度の変化速度に基づく光重合開始剤についての状態推定に係るフローチャートである。なお、図15に示すフローチャートは、図13の状態推定処理(ステップ14)において呼び出されるサブルーチンとして定義することもできる。
図15を参照して、CPU40は、硬化用紫外線54の照射開始直後であるか否かを判断する(ステップS100)。硬化用紫外線54の照射開始直後である場合(ステップS100においてYESの場合)には、CPU40は、前回蛍光強度に取得した蛍光強度をセットし(ステップS102)、前回変化速度にゼロをセットする(ステップS104)。そして、CPU40は、元の処理に戻る。
硬化用紫外線54の照射開始直後でない場合(ステップS100においてNOの場合)には、CPU40は、蛍光強度の増加開始後であるか否かを判断する(ステップS106)。なお、蛍光強度の増加開始後とは、後述するステップS112において、CPU40が蛍光速度の増加開始であると判定した後を意味する。
蛍光強度の増加開始後でない場合(ステップS106においてNOの場合)には、CPU40は、今回取得した蛍光強度と前回蛍光強度との差から変化速度を算出する(ステップS108)。そして、CPU40は、算出した変化速度がゼロより大きいか否かを判断する(ステップS110)。算出した変化速度がゼロより大きい場合(ステップS110においてYESの場合)には、CPU40は、蛍光強度の増加開始であると判定し(ステップS112)、元の処理に戻る。一方、算出した変化速度がゼロより大きくない場合(ステップS110においてNOの場合)には、CPU40は、元の処理に戻る。なお、蛍光速度の増加開始を判断するための値は、ゼロ以外の予め定められた正の値でもよい。
蛍光強度の増加開始後である場合(ステップS106においてYESの場合)には、CPU40は、今回取得した蛍光強度と前回蛍光強度との差から変化速度を算出する(ステップS114)。そして、CPU40は、蛍光強度の変化速度に特徴点が生じたか否かを判断する(ステップS116)。具体的には、CPU40は、算出した変化速度が前回変化速度より小さいか否か(ステップS118)、算出した変化速度が略ゼロであるか否か(ステップS120)、および算出した変化速度がマイナス値であるか否か(ステップS122)、のうちいずれかを判断する。いずれの判断基準を採用するかは、あらかじめユーザが指定することもできる。そして、蛍光強度の変化速度に特徴点が生じた場合(ステップS116においてYESの場合)には、CPU40は、光重合開始剤が実質的に消費されたとみなし(ステップS124)、元の処理に戻る。
一方、蛍光強度の変化速度に特徴点が生じていない場合(ステップS116においてNOの場合)には、CPU40は、元の処理に戻る。
上述した、蛍光強度の変化速度に基づく光重合開始剤についての状態推定によれば、紫外線硬化樹脂に硬化反応(重合反応)を生じさせる光重合開始剤が実質的に全て反応した時点を容易に推定できる。この時点以降においては、硬化用紫外線54の照射を終了したとしても、紫外線硬化樹脂における硬化反応は進行する。したがって、紫外線硬化樹脂における硬化反応が完了するまで硬化用紫外線54の照射を継続する必要はなく、光重合開始剤が実質的に全て反応した時点で硬化用紫外線54の照射を終了することができる。よって、紫外線硬化樹脂に対する硬化用紫外線54の照射時間を最適化でき、製造ラインなどの生産効率を向上させることができる。
(蛍光強度の変化速度に基づく硬化度についての状態推定)
上述したように、放射される蛍光強度は、紫外線硬化樹脂の重合反応(硬化反応)の反応度合に応じて変化するものと考えられる。そこで、検出される蛍光強度の時間的変化のうち、蛍光強度の変化速度に基づいて、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達した時点を推定する。なお、紫外線硬化樹脂には、製造者などにより規格値(カタログ硬度)が規定されていることが多いが、ここでいう「最大硬化度」とは、各照射条件において当該紫外線硬化樹脂が到達可能な硬化度を意味し、以下同様とする。また、この硬化度は規格値(カタログ硬度)とは必ずしも一致しない。
紫外線硬化樹脂が「最大硬化度」に到達すると、検出される蛍光強度の増加が抑制されると考えられる。そこで、蛍光強度の増加に続いて、その増加速度が低下する場合、増加が停止する(変化速度がゼロとなる)場合、および蛍光強度が減少する(変化速度がマイナス値となる)場合などの特徴を捉えて、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなすことができる。
なお、これらの蛍光強度の変化速度に特徴点を見出す方法およびフローチャートは、上述した図14および図15と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
上述した、蛍光強度の変化速度に基づく硬化度についての状態推定によれば、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達した時点を容易に推定できる。これにより、硬化用紫外線54の照射時間が不足して、紫外線硬化樹脂における硬化反応(重合反応)が不十分になる事態を回避できる。特に、紫外線硬化樹脂は、温度や経年などによってその性質が大きく変化するが、この方法によれば、各処理時点における最適な照射時間で硬化反応を生じさせることができる。
(蛍光強度の変化量に基づく硬化度についての状態推定)
上述したように、放射される蛍光強度は、紫外線硬化樹脂の重合反応(硬化反応)の反応度合に応じて変化するものと考えられる。そこで、検出される蛍光強度の時間的変化のうち、蛍光強度の変化前後の変化量に基づいて、紫外線硬化樹脂が特定の硬化度に到達した時点を推定する。一例として、蛍光強度の増加開始後において、増加開始前の蛍光強度に対する蛍光強度の差または比が予め設定されたしきい値を超過した時点を見出して、紫外線硬化樹脂が特定の硬化度に到達したとみなすことができる。例えば、判断の基準とする蛍光強度の変化量を適切に選ぶことにより、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなすことができる。すなわち、紫外線硬化樹脂において十分に重合反応が生じたと判断する。また、より小さな蛍光強度の変化量を判断の基準とすることにより、紫外線硬化樹脂が最大硬化度よりも小さな特定の硬化度に到達したとみなすこともできる。この場合には、蛍光強度に所定の変化量が生じたことを捉えて、その時点で所望の程度の硬化度まで、例えば紫外線硬化樹脂で仮止めした部材が大きくは動かない程度の硬化度まで、硬化が進行したと判断する。紫外線硬化樹脂の多くは、紫外線照射によりある程度まで重合反応を進行させると、その後は紫外線を照射しなくても連鎖反応によりしだいに硬化が進行する性質を有する。半硬化状態の紫外線硬化樹脂を加熱するとこの連鎖反応が促進される。このような、紫外線硬化樹脂が十分硬化していない段階で紫外線照射をやめる硬化のさせ方は、紫外線硬化樹脂を用いて部材の接着を行なうに際し、紫外線照射による仮止めをしたい場合に利用される。仮止めをした後には、まだ紫外線硬化樹脂が柔らかいので接着される部材の位置の微調整をすることもできる。また、このような硬化のさせ方は、短時間の紫外線照射により接着箇所が半硬化状態とされた多数の製品をまとめて加熱して硬化促進する場合にも利用される。こうすると、硬化箇所毎に最大硬化度にいたるまで紫外線を照射する場合にくらべて、硬化処理全体の時間を短縮できることがある。
図16は、蛍光強度の変化量に基づく硬化度についての状態推定を説明するための図である。なお、図16は、硬化用紫外線54(図1)の照射開始時点を基準時刻(ゼロ時刻)としている。
図16を参照して、時刻t0において硬化用紫外線54の照射開始後、蛍光強度が増加を開始した時刻をt1としたときに、蛍光強度の増加開始前、例えば時刻t0の直後または時刻t1の直前における蛍光強度L1に対する、蛍光強度の増加開始後の蛍光強度L2の差ΔL(=L2−L1)が予め設定されたしきい値を超過する時刻t2において、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなすことができる。
また、蛍光強度L1に対する蛍光強度L2の比(=L2/L1)が予め設定されたしきい値を超過する時刻t2において、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなすこともできる。
図17は、蛍光強度の変化量に基づく硬化度についての状態推定に係るフローチャートである。なお、図17に示すフローチャートは、図13の状態推定処理(ステップ14)において呼び出されるサブルーチンとして定義することもできる。
図17を参照して、CPU40は、硬化用紫外線54の照射開始直後であるか否かを判断する(ステップS150)。硬化用紫外線54の照射開始直後である場合(ステップS150においてYESの場合)には、CPU40は、前回蛍光強度に取得した蛍光強度をセットする(ステップS152)。そして、CPU40は、元の処理に戻る。
硬化用紫外線54の照射開始直後でない場合(ステップS150においてNOの場合)には、CPU40は、蛍光強度の増加開始後であるか否かを判断する(ステップS154)。なお、蛍光強度の増加開始後とは、後述するステップS160において、CPU40が蛍光速度の増加開始であると判定した後を意味する。
蛍光強度の増加開始後でない場合(ステップS154においてNOの場合)には、CPU40は、今回取得した蛍光強度と前回蛍光強度との差から変化速度を算出する(ステップS156)。そして、CPU40は、算出した変化速度がゼロより大きいか否かを判断する(ステップS158)。算出した変化速度がゼロより大きい場合(ステップS158においてYESの場合)には、CPU40は、蛍光強度の増加開始であると判定し(ステップS160)、その時点の蛍光強度を基準蛍光強度として格納し(ステップS162)、元の処理に戻る。一方、算出した変化速度がゼロより大きくない場合(ステップS158においてNOの場合)には、CPU40は、元の処理に戻る。なお、蛍光速度の増加開始を判断するための値は、ゼロ以外の予め定められた正の値でもよい。
蛍光強度の増加開始後である場合(ステップS154においてYESの場合)には、CPU40は、基準蛍光強度に対する蛍光強度の変化量が予め設定されたしきい値を超過したか否かを判断する(ステップS164)。具体的には、CPU40は、基準蛍光強度に対する今回取得した蛍光強度の差がしきい値を超過しているか否か(ステップS166)、または基準蛍光強度に対する今回取得した蛍光強度の比がしきい値を超過しているか否か(ステップS168)のうちいずれかを判断する。いずれの判断基準を採用するかは、あらかじめユーザが指定することもできる。そして、基準蛍光強度に対する蛍光強度の変化量が予め設定されたしきい値を超過している場合(ステップS164においてYESの場合)には、CPU40は、光紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなし(ステップS170)、元の処理に戻る。
一方、基準蛍光強度に対する蛍光強度の変化量が予め設定されたしきい値を超過していない場合(ステップS164においてNOの場合)には、CPU40は、元の処理に戻る。
上述した、蛍光強度の変化量に基づく硬化度についての状態推定によれば、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達した時点を容易に推定できる。これにより、硬化用紫外線54の照射時間が不足して、紫外線硬化樹脂における硬化反応(重合反応)が不十分になる事態を回避できる。特に、紫外線硬化樹脂は、温度や経年などによってその性質が大きく変化するが、この方法によれば、各処理時点における最適な照射時間で硬化反応を生じさせることができる。
(蛍光強度の絶対値に基づく硬化度についての状態推定)
上述したように、放射される蛍光強度は、紫外線硬化樹脂の重合反応(硬化反応)の反応度合に応じて変化するものと考えられる。そこで、検出される蛍光強度の時間的変化のうち、蛍光強度の絶対値に基づいて、紫外線硬化樹脂が特定の硬化度に到達した時点を推定する。一例として、検出される蛍光強度が予め設定されたしきい値を超過した時点を見出して、紫外線硬化樹脂が特定の硬化度に到達したとみなすことができる。特定の硬化度は、最大硬化度または最大硬化度よりも小さな値の任意の硬化度でありうることは前述の場合と同様である。
図18は、蛍光強度の絶対値に基づく硬化度についての状態推定を説明するための図である。なお、図18は、硬化用紫外線54(図1)の照射開始時点を基準時刻(ゼロ時刻)としている。
図18を参照して、硬化用紫外線54の照射開始後、蛍光強度がしきい値Lまで増加する時刻tcにおいて、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなすことができる。
図19は、蛍光強度の絶対値に基づく硬化度についての状態推定に係るフローチャートである。なお、図19に示すフローチャートは、図13の状態推定処理(ステップ14)において呼び出されるサブルーチンとして定義することもできる。
図19を参照して、CPU40は、今回取得した蛍光強度がしきい値を超過しているか否かを判断する(ステップS200)。今回取得した蛍光強度がしきい値を超過している場合(ステップS200においてYESの場合)には、CPU40は、光紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなし(ステップS202)、元の処理に戻る。
一方、今回取得した蛍光強度がしきい値を超過していない場合(ステップS200においてNOの場合)には、CPU40は、元の処理に戻る。
なお、予め設定されるしきい値は、紫外線硬化樹脂の種類および量、ならびに硬化用紫外線54の照射条件などに応じて変化すると考えられる。そのため、各紫外線硬化樹脂および照射条件毎にしきい値を試験的に求めておく。
上述した、蛍光強度の絶対値に基づく硬化度についての状態推定によれば、紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達した時点を容易に推定できる。これにより、硬化用紫外線54の照射時間が不足して、紫外線硬化樹脂における硬化反応(重合反応)が不十分になる事態を回避できる。この方法によれば、比較的安定した条件下で繰り返し硬化作業を行なうような場合に、各処理時点における最適な照射時間で硬化反応を生じさせることができる。
(基準となる時間的変化との比較による紫外線硬化樹脂の状態推定)
製造ラインなどでは、略同一の照射条件において、同一種類の紫外線硬化樹脂が繰り返し硬化処理される。そのため、紫外線硬化樹脂の種類別に蛍光強度の代表的な時間的変化を予め取得しておき、当該蛍光強度の時間的変化との比較により、紫外線硬化樹脂の状態推定を行なうことが実用的かつ有効的である。
図20は、基準となる時間的変化との比較による紫外線硬化樹脂の状態推定を説明するための図である。なお、図20は、硬化用紫外線54(図1)の照射開始時点を基準時刻(ゼロ時刻)としている。
図20(a)は、予め設定された基準となる時間的変化の一例である。
図20(b)は、図20(a)と同一の照射条件および紫外線硬化樹脂における蛍光強度の時間的変化の一例である。
図20(a)を参照して、ユーザは、基準となる時間的変化の一例として、紫外線硬化樹脂の相対的な硬化度(最大硬化度を100%とする)と蛍光強度との関係を予め試験的に取得しておく。なお、このような時間的変化は、紫外線硬化樹脂や状態推定装置の製造者により提供されてもよいし、ユーザにより複数の同一サンプルに対する測定結果から導出してもよい。
図20(a)の蛍光強度の時間的変化においては、一例として、硬化度50%において検出される蛍光強度がL50であるとする。また、硬化度が50%になる時刻はtpである。
図20(b)を参照して、硬化用紫外線の照射開始後、検出される蛍光強度がL50となる時刻tpにおいて、対象とする紫外線硬化樹脂における硬化度が50%になったと推定することができる。すなわち、検出される蛍光強度が図20(a)に示す基準となる時間的変化のいずれの位置と対応するのかを判定し、当該対応する位置情報に基づいて、紫外線硬化樹脂の状態(この場合は特定の硬化度になったこと)を推定することができる。
さらに、時刻tp以降における蛍光強度の時間的変化が図20(a)に示す基準となる時間的変化と大きく乖離する場合(図20(b)におけるNG)には、対象とする紫外線硬化樹脂に異常が生じていると推定できる。なお、異常の内容としては、紫外線硬化樹脂の種類誤り、紫外線硬化樹脂の量誤り、紫外線硬化樹脂の品質変化、紫外線硬化樹脂の保管中における意図しない硬化反応の進行、および照射条件(紫外線照射ヘッド部の位置ずれ、照射パワーの誤り、装置故障など)の変化、などが挙げられる。
図21は、基準となる時間的変化との比較による紫外線硬化樹脂の状態推定に係るフローチャートである。なお、図21に示すフローチャートは、図13の状態推定処理(ステップ14)において呼び出されるサブルーチンとして定義することもできる。
図21を参照して、CPU40は、ユーザなどから入力される紫外線硬化樹脂および照射条件などの特定情報を取得し(ステップS250)、取得した特定情報に基づいて、記憶部46などから基準となる蛍光強度の時間的変化を読出す(ステップS252)。そして、CPU40は、今回取得した蛍光強度が基準となる時間的変化のいずれの位置に対応するのかを判定する(ステップS254)。
CPU40は、判定結果に基づいて、基準となる時間的変化の位置から対象とする紫外線硬化樹脂の状態(硬化度)を推定する(ステップS256)。そして、CPU40は、元の処理に戻る。
なお、取得した蛍光強度と、基準となる時間的変化との比較には、ある時点における蛍光強度(絶対値)だけではなく、ある時点からの所定期間における蛍光強度の特徴的変化などを抽出して用いることもできる。
上述した、基準となる時間的変化との比較による紫外線硬化樹脂の状態推定によれば、基準となる時間的変化に対する相対的な紫外線硬化樹脂の状態を容易に推定できる。また、基準となる時間的変化からの乖離の有無を監視することで、紫外線硬化樹脂などの異常を早期に発見することができる。
(蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間に基づく紫外線硬化樹脂の状態推定)
上述した状態推定方法と同様に、略同一の照射条件において、同一種類の紫外線硬化樹脂が繰り返し処理される場合には、予め代表的なサンプルについての蛍光強度の時間的変化を取得しておき、当該蛍光強度の時間的変化との比較により、紫外線硬化樹脂の状態推定を行なうことが実用的かつ有効的である。一例として、蛍光強度の時間的変化において特定の時間的変化が生じるまでの所要時間を取得し、当該所要時間を予め設定された基準値と比較することにより、紫外線硬化樹脂の状態を推定する。
図22は、蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間に基づく紫外線硬化樹脂の状態推定を説明するための図である。なお、図22は、硬化用紫外線54(図1)の照射開始時点を基準時刻(ゼロ時刻)としている。
図22(a)は、予め設定された基準となる時間的変化の一例である。
図22(b)は、図22(a)と同一の照射条件および紫外線硬化樹脂における蛍光強度の時間的変化の一例である。
図22(a)を参照して、特定の時間的変化の一例として、蛍光強度の増加開始に着目し、その増加開始時刻tsを予め取得しておく。なお、特定の時間的変化はいずれであってもよく、その他の例として、蛍光強度の増加に続いて増加速度が低下する時点、蛍光強度の増加に続いて増加が停止する時点、蛍光強度の増加に続いて蛍光強度が減少する時点、増加開始後に増加開始前の蛍光強度に対する蛍光強度の差または比が予め設定されたしきい値を超過した時点、および蛍光強度が予め設定されたしきい値を超過する時点などに着目してもよい。
図22(b)を参照して、硬化用紫外線の照射開始後、検出される蛍光強度が時刻t1(t1≒ts)において増加開始する場合(「OK」の場合)には、対象とする紫外線硬化樹脂において正常な硬化反応が生じていると推定できる。一方、硬化用紫外線の照射開始後、検出される蛍光強度が時刻t2(t2≫ts)において増加開始する場合(「NG」の場合)には、対象とする紫外線硬化樹脂において異常な硬化反応が生じていると推定できる。
なお、異常の内容としては、紫外線硬化樹脂の種類誤り、紫外線硬化樹脂の量誤り、紫外線硬化樹脂の品質変化、紫外線硬化樹脂の保管中における意図しない硬化反応の進行、および照射条件(紫外線照射ヘッド部の位置ずれ、照射パワーの誤り、装置故障など)の変化、などが挙げられる。
図23は、蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間に基づく紫外線硬化樹脂の状態推定に係るフローチャートである。なお、図23に示すフローチャートは、図13の状態推定処理(ステップ14)において呼び出されるサブルーチンとして定義することもできる。
図23を参照して、CPU40は、ユーザなどから入力される紫外線硬化樹脂および照射条件などの特定情報を取得し(ステップS300)、取得した特定情報に基づいて、記憶部46などから基準となる特定の時間的変化および所要時間を読出す(ステップS302)。そして、CPU40は、取得した蛍光強度に特定の時間的変化が生じているか否かを判断する(ステップS304)。
取得した蛍光強度に特定の時間的変化が生じている場合(ステップS304においてYESの場合)には、CPU40は、硬化用紫外線54の照射開始からの所要時間を算出する(ステップS306)。さらに、CPU40は、基準となる所要時間に対する算出した所要時間の偏差が予め設定されたしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS308)。基準となる所要時間に対する算出した所要時間の偏差が予め設定されたしきい値以上でない場合(ステップS308においてNOの場合)には、CPU40は、対象とする紫外線硬化樹脂が正常であると推定する(ステップS310)。一方、基準となる所要時間に対する算出した所要時間の偏差が予め設定されたしきい値以上である場合(ステップS308においてYESの場合)には、CPU40は、対象とする紫外線硬化樹脂が異常であると推定する(ステップS312)。そして、CPU40は、元の処理に戻る。
また、取得した蛍光強度に特定の時間的変化が生じていない場合(ステップS304においてNOの場合)には、CPU40は、元の処理に戻る。
上述した、蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間に基づく紫外線硬化樹脂の状態推定によれば、蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間を基準値と比較することで、紫外線硬化樹脂の異常を発見することができる。これにより、不良品の大量発生などを抑制でき、生産歩留り向上を実現できる。
(硬化用紫外線の照射前後における紫外線硬化樹脂の状態推定)
製造ラインなどにおいては、硬化用紫外線の照射前および照射後(完了後)において、紫外線硬化樹脂の状態を推定し、異常の有無を判断できればより効率的な製造が可能となる。すなわち、硬化用紫外線の照射前においては、紫外線硬化樹脂の種類誤り、紫外線硬化樹脂の量誤り、紫外線硬化樹脂の品質変化、および紫外線硬化樹脂の保管中における意図しない硬化反応の進行などを発見することができる。また、硬化用紫外線の照射後においては、紫外線硬化樹脂の種類誤り、紫外線硬化樹脂の量誤り、紫外線硬化樹脂の品質変化、および硬化用紫外線の照射不足あるいは照射過多などを発見することができる。
図24は、硬化用紫外線の照射前後における紫外線硬化樹脂の状態推定に係るフローチャートである。
図24を参照して、CPU40は、硬化用紫外線照射装置200からの照射状態信号に基づいて、硬化用紫外線54の照射前または照射後であるか否かを判断する(ステップS350)。いずれの判断基準を採用するかは、あらかじめユーザが指定することもできる。硬化用紫外線54の照射前または照射後でない場合(ステップS350においてNOの場合)には、CPU40は、硬化用紫外線54の照射前または照射後まで待つ(ステップS350)。
硬化用紫外線54の照射前または照射後である場合(ステップS350においてYESの場合)には、CPU40は、硬化用紫外線54の照射前または照射後に応じた、紫外線硬化樹脂および照射条件などの特定情報を取得し(ステップS352)、取得した特定情報に基づいて、記憶部46などから基準となる蛍光強度を読出す(ステップS354)。そして、CPU40は、蛍光検出用ヘッド部104へ照射指令を与える(ステップS356)。すると、蛍光検出用ヘッド部104は、検出用紫外線50を対象とする紫外線硬化樹脂へ照射する。そして、CPU40は、検出用紫外線50を受けて、当該紫外線硬化樹脂に含まれる光重合開始剤により放射される蛍光の蛍光強度を蛍光検出用ヘッド部104から取得する(ステップS358)。
続いて、CPU40は、取得した蛍光強度を記憶部46へ格納する(ステップS360)とともに、所定数以上の蛍光強度データが記憶部46に蓄積されているか否かを判断する(ステップS362)。所定数以上の蛍光強度データが蓄積されていない場合(ステップS362においてNOの場合)には、CPU40は、ステップS356〜S362を繰返し実行する。
所定数以上の蛍光強度データが蓄積されている場合(ステップS362においてYESの場合)には、CPU40は、記憶部46から所定数の蛍光強度データを読出し、平均化処理を実行して、当該時点の蛍光強度を算出する(ステップS364)。
さらに、CPU40は、算出した蛍光強度がステップS354において読出した基準となる蛍光強度に対する算出した当該時点の蛍光強度の偏差が予め設定されたしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS366)。基準となる蛍光強度に対する算出した当該時点の蛍光強度の偏差が予め設定されたしきい値以上でない場合(ステップS366においてNOの場合)には、CPU40は、照射前または照射後の紫外線硬化樹脂が正常であると推定する(ステップS368)。一方、基準となる蛍光強度に対する算出した当該時点の蛍光強度の偏差が予め設定されたしきい値以上である場合(ステップS366においてYESの場合)には、CPU40は、照射前または照射後の紫外線硬化樹脂が異常であると推定する(ステップS370)。そして、CPU40は、処理を終了する。
上述した、硬化用紫外線の照射前における紫外線硬化樹脂の状態推定によれば、硬化反応を生じさせる前に紫外線硬化樹脂の異常の有無を検査できる。これにより、当初から異常な紫外線硬化樹脂に対して、硬化用紫外線54を無駄に照射しなくても済む。したがって、製造ラインなどの生産効率を向上させることができる。
また、上述した、硬化用紫外線の照射後における紫外線硬化樹脂の状態推定によれば、硬化反応が完了した紫外線硬化樹脂の異常の有無を検査できる。これにより、硬化用紫外線の照射不足あるいは照射過多などの不適合な紫外線硬化樹脂を発見できる。
(蛍光強度に基づく紫外線硬化樹脂における構造的ストレスの推定)
上述したように、蛍光強度は、硬化用紫外線照射後の紫外線硬化樹脂における構造的ストレスの度合と関連していると考えられる。概略すると、紫外線硬化樹脂における構造的ストレスの蓄積が大きいほど蛍光強度は小さくなる傾向がある。すなわち、硬化用紫外線照射後の紫外線硬化樹脂における蛍光強度が大きいほど、蓄積している構造的ストレスが小さいと考えられる。
そこで、硬化用紫外線照射後の紫外線硬化樹脂に対して検出される蛍光強度に基づいて、紫外線硬化樹脂における構造的ストレスの状態を推定できる。このように構造的ストレスを推定することで、紫外線硬化樹脂の硬化反応の良否などを判定できる。この結果、硬化不良による剥離や割れなどが生じる可能性のある紫外線硬化樹脂の製品への混入を回避できるようになる。
図25は、蛍光強度に基づく紫外線硬化樹脂における構造的ストレスの推定を説明するための図である。なお、図25は、硬化用紫外線54(図1)の照射開始時点を基準時刻(ゼロ時刻)としている。
図25を参照して、硬化用紫外線の照射終了から所定の期間経過した時点の蛍光強度がL2である紫外線硬化樹脂に比較して、蛍光強度がL1(L1>L2)である紫外線硬化樹脂の方が構造的ストレスは小さいと推定できる。
また、多くの実験結果によれば、時間の経過(1〜2日程度)とともに蛍光強度が増加することが判明しており、これは時間の経過にしたがって構造的ストレスが緩和されるためと考えられる。そのため、硬化用紫外線の照射後における紫外線硬化樹脂の蛍光強度を検出することで、構造的ストレスの緩和度合についても推定することができる。
なお、上述したさまざまな状態推定処理は、一例であって、紫外線硬化樹脂の種類や用途などに応じて、必要な処理を実行することができる。すなわち、すべての処理を実行可能とする必要はなく、いずれか1つの処理を実行可能であっても、本願発明に係る状態推定方法は成立する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態に従う紫外線硬化樹脂の状態推定方法を実現する一実施形態の概略構成図である。 状態推定装置のより詳細な概略構成図である。 蛍光検出用ヘッド部の光学系を示す概略構成図である。 蛍光検出における各部の時間波形を示す模式図である。 ケミテック社製ケミシールU−1542における蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。 ケミテック社製ケミシールU−406Bにおける蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。 ケミテック社製ケミシールU−1481における蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。 スリーボンド社製3065における蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。 スリーボンド社製3114Bにおける蛍光強度と硬化度との関係を示す図である。 紫外線硬化樹脂の構成成分単体についての蛍光強度の時間波形を示す図である。 図8に示すスリーボンド社製3065についての硬化用紫外線の照射パワーと蛍光強度との関係を示す図である。 図9に示すスリーボンド社製3114Bについての硬化用紫外線のパワーと蛍光強度との関係を示す図である。 この発明の実施の形態に従う状態推定方法に係る全体処理を示すフローチャートである。 蛍光強度の変化速度に基づく光重合開始剤についての状態推定を説明するための図である。 蛍光強度の変化速度に基づく光重合開始剤についての状態推定に係るフローチャートである。 蛍光強度の変化量に基づく硬化度についての状態推定を説明するための図である。 蛍光強度の変化量に基づく硬化度についての状態推定に係るフローチャートである。 蛍光強度の絶対値に基づく硬化度についての状態推定を説明するための図である。 蛍光強度の絶対値に基づく硬化度についての状態推定に係るフローチャートである。 基準となる時間的変化との比較による紫外線硬化樹脂の状態推定を説明するための図である。 基準となる時間的変化との比較による紫外線硬化樹脂の状態推定に係るフローチャートである。 蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間に基づく紫外線硬化樹脂の状態推定を説明するための図である。 蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間に基づく紫外線硬化樹脂の状態推定に係るフローチャートである。 硬化用紫外線の照射前後における紫外線硬化樹脂の状態推定に係るフローチャートである。 蛍光強度に基づく紫外線硬化樹脂における構造的ストレスの推定を説明するための図である。
符号の説明
6 試料台、8 金属板、10 環状部材、12 紫外線硬化樹脂、20 投光駆動回路、22 投光素子、24 ハーフミラー、26 光フィルタ、28 受光素子、30 HPF、32 増幅回路、34 S/H回路、36 アナログデジタル変換部(ADC)、38 集束レンズ、42 表示部、44 操作部、46 記憶部、48 照射警告部、50 検出用紫外線、52 蛍光、54 硬化用紫外線、100 状態推定装置、102 状態推定部、104 蛍光検出用ヘッド部、200 硬化用紫外線照射装置、202 照射制御部、204 紫外線照射ヘッド部。

Claims (13)

  1. モノマーまたはオリゴマーの少なくとも一方からなる主剤と、光重合開始剤とを含む紫外線硬化樹脂の状態を推定する方法であって、
    前記紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する照射ステップと、
    前記照射ステップにおいて照射される紫外線を受けて、前記光重合開始剤によって放射される蛍光を検出する検出ステップと、
    前記検出ステップにおいて検出される蛍光に基づいて、前記紫外線硬化樹脂の状態を推定する推定ステップとからなる、紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  2. 前記推定ステップは、前記紫外線硬化樹脂に対する硬化反応を生じさせるための硬化用紫外線の照射中において、前記紫外線硬化樹脂における硬化反応に伴って生じる蛍光強度の時間的変化に基づいて、前記紫外線硬化樹脂の状態を推定する、請求項1に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  3. 前記推定ステップは、蛍光強度の増加に続いて、蛍光強度の増加速度の低下、蛍光強度の増加停止、および蛍光強度の減少のいずれかが生じた時点で、前記光重合開始剤が実質的に消費されたとみなす、請求項2に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  4. 前記推定ステップは、蛍光強度の増加に続いて、蛍光強度の増加速度の低下、蛍光強度の増加停止、および蛍光強度の減少のいずれかが生じた時点で、前記紫外線硬化樹脂が最大硬化度に到達したとみなす、請求項2に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  5. 前記推定ステップは、蛍光強度の増加開始後において、増加開始前における蛍光強度に対するその蛍光強度の差または比が予め設定されたしきい値を超過した時点で、前記紫外線硬化樹脂が特定の硬化度に到達したとみなす、請求項2に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  6. 前記推定ステップは、その蛍光強度が予め設定されたしきい値を超過した時点で、前記紫外線硬化樹脂が特定の硬化度に到達したとみなす、請求項2に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  7. 前記推定ステップは、検出される蛍光強度の時間的変化と、予め設定された基準となる時間的変化とを比較することにより前記紫外線硬化樹脂の状態を推定する、請求項2に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  8. 前記推定ステップは、特定の基準時点から蛍光強度が特定の時間的変化を生じるまでの所要時間を取得し、当該取得した所要時間を予め設定された基準値と比較することにより前記紫外線硬化樹脂の状態を推定する、請求項2に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  9. 前記推定ステップは、前記紫外線硬化樹脂に対する硬化反応を生じさせるための硬化用紫外線の照射前において検出される蛍光強度に基づいて、前記紫外線硬化樹脂の状態を推定する、請求項1に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  10. 前記推定ステップは、前記紫外線硬化樹脂に対する硬化反応を生じさせるための硬化用紫外線の照射後において検出される蛍光強度に基づいて、前記紫外線硬化樹脂の状態を推定する、請求項1に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  11. 前記推定ステップは、硬化反応を生じた後の前記紫外線硬化樹脂から検出される蛍光強
    度に基づいて、前記紫外線硬化樹脂に蓄積されている構造的ストレスの状態を推定する、請求項1に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  12. 前記照射ステップは、周期的に強度変化する、前記光重合開始剤によって放射される蛍光を検出するための検出用紫外線を照射し、
    前記検出ステップは、
    前記紫外線硬化樹脂から放射される光を受光する受光ステップと、
    前記受光ステップにおいて受光される光から前記検出紫外線の強度変化周期に対応する周期成分を前記蛍光として抽出する抽出ステップとを含む、請求項2〜10のいずれか1項に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
  13. 前記硬化用紫外線は、時間的に略一定の強度を有する紫外線であり、
    前記検出用紫外線は、所定周期で放射され、パルス状の光強度を有する紫外線である、請求項12に記載の紫外線硬化樹脂の状態推定方法。
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