JP4183727B2 - 電子線照射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子線照射装置に関する。特に、不活性気体の使用が効率的になる電子線照射装置に関する。
帯状の被照射体に電子線を照射して、該被照射体に架橋、硬化、改質等の処理を施す、電子線照射装置が知られている。被照射体としては、例えば、樹脂フィルム自体、電子線硬化性樹脂塗料を塗工した樹脂フィルム等が代表的である。ところが、一般に、電子線により誘起される、分子の架橋等の反応(処理)は、雰囲気中の酸素によって阻害される。これを防ぐ為に、例えば、下記の如き工夫がなされている。
特許文献1に記載の電子線照射装置では、電子線硬化性樹脂塗料を塗工したフィルムを被照射体とする。該フィルムに塗工された塗膜を電子線で架橋、硬化させるに際し、塗工されたフィルムを、前記塗膜を間に介して、該フィルムの走行速度と同期する周速度をもって回転する金属ドラム上に密着させ、この状態でフィルム側から電子線を照射する。この電子線照射装置は、金属ドラム密着により、電子線硬化性樹脂塗料を雰囲気中の酸素から遮断し、硬化(電子線による被照射体の処理)阻害を防止する方式である。以下、この方式を「方式A」と称することがある。
方式Aによる電子線照射装置では、電子線が、被照射体全層を透過、貫通した上で、電子線の処理を必要とする層(塗膜)に達する。その為、電子線処理が本来不要な途中の層迄、電子線の影響を受け、フィルムに対して、望まない反応(黄変、強度劣化等)が生じる。途中のフィルム層にエネルギーが吸収される為、本来処理が必要な層(塗膜)に達する電子線のエネルギーが無駄になる。電子線照射装置に、金属ドラム、及びその回転駆動機構が必要であり、その為、装置が必要以上に重厚長大となる。更に、電子線照射の処理内容が、特に塗膜の硬化処理の場合、塗膜の表面艶が金属ドラムの表面艶に強制的に規制されてしまう。
上記欠点が無い方式の電子線照射装置として、例えば下記の如き装置が知られている。
特許文献2、特許文献3、特許文献4に記載の電子線照射装置は、内部に窒素等の不活性気体を供給、充填した閉鎖空間から成る照射室中で、被照射体に電子線を照射する方式である。以下、この方式を「方式B」と称することがある。
上記照射室は、帯状の被照射体を該照射室内に搬入させる為の搬入開口部、及び搬出させる為の搬出開口部とを有する。照射室の搬入開口部の上流側(被照射体搬送方向に対して上流側)には、制動放射のX線を捕捉する為の空洞、及びダクトが形成されると共に、該空洞内に不活性気体(窒素)を吹出す為の、被照射体に向かってノズル状に突出するエアナイフが設けられている。該エアナイフにより、外部から被照射体に随伴して流入する空気中の酸素を遮断し、又遮断し切れない酸素は稀釈する。
即ち、方式Bは、被照射体を、電子線による処理反応を阻害し無い窒素等の不活性気体中に浸すことで、電子線による被照射体の処理に対する酸素の阻害を防止する方式である。
特公平5−36212号公報 特公昭63−8440号公報 特開平5−60899号公報 実開平6−80200号公報
方式Bによる電子線照射装置では、装置の重厚長大化が防げ、且つ、電子線による被照射体の処理が特に塗膜の硬化の場合に、処理面(塗膜面)が艶の規制を受けないという利点が得られる。その反面、帯状の被照射体を走行させつつ電子線照射を継続する間、絶えず、外部から被照射体に随伴して酸素が、照射室に向かって流入し続ける。この為、酸素濃度を十分低水準に保ち続ける為には、絶えず多量の不活性気体の供給が必要であった。また、そのための経費も多大となってしまう。
特に、被照射体の処理速度(走行速度)を高速化すると、速度増加に伴って、流入酸素量も増え、急激に照射室内の酸素濃度が上昇し、電子線処理阻害を防止し切れなくなる。
本発明の課題は、電子線照射装置の重厚長大化を抑えることができ、特に、塗膜の硬化の場合に処理面が艶の規制を受けない利点を持つ方式Bによる電子線照射装置を、更に改良し、帯状の被照射体の走行速度を高速度化させても、照射室の酸素濃度が増化することを抑止し、且つ、不活性気体の消費量も低減する事にある。
上記課題を解決すべく、本発明の電子線照射装置は、
(A)電子線を発生させ、該電子線を透過窓部から外部に放射する電子線発生部;
(B)該電子線発生部の透過窓部に隣接し、周囲を囲繞する隔壁と、該隔壁に開口し帯状の被照射体を搬入させる搬入開口部、及び搬出させる搬出開口部とを有し、不活性気体で充填された閉鎖空間であって、前記透過窓部から放射される電子線が、外部から搬入されて走行する帯状の被照射体に対して照射される、照射室;
(C)該照射室の、被照射体走行方向に於ける上流側に隣接して設けられ、帯状の被照射体を搬入させる搬入開口部、及び搬出させる搬出開口部とを有する閉鎖空間であって、該閉鎖空間内に該帯状の被照射体を走行させて前記照射室迄導入すると共に、該被照射体の照射面側に不活性気体を吹付けて、該被照射体の表面近傍に随伴して流入する空気中の酸素を稀釈乃至遮断する、酸素遮断部;
(D)とを具備し、帯状の被照射体を走行させながら、該被照射体に電子線を照射する、電子線照射装置であって、
(C1)前記酸素遮断部は、走行する帯状の被照射体の照射面側と対面する表面側隔壁と、該被照射体の照射面とは反対面側に対面する裏面側隔壁、及び該被照射体の両側面側に対面する1対の側面隔壁とによって、該被照射体を囲繞すると共に;
(C2)該酸素遮断部の表面側隔壁と裏面側隔壁との間の間隙Wsと、前記照射室に於いて該照射室を走行する帯状の被照射体を挟んだ表面側隔壁と裏面側隔壁との間隙Weとの間には; Ws<We なる関係を有し;
(C3)該酸素遮断部の表面側隔壁と裏面側隔壁との間の間隙Wsは、該酸素遮断部の全域に亘って、同一乃至略同一であり;
(C4)該酸素遮断部の表面側隔壁には、吹出口が該表面側隔壁よりも突出も凹没もし無い状態で形成された、不活性気体の吹出スリットを有する:
(E)電子線照射装置とした。
この様な構成とすることで、金属ドラムが不要な方式であるので、先ず、電子線照射装置の重厚長大化を抑えることができ、特に塗膜の硬化処理の場合に処理面が艶の規制を受け無い。しかも、本発明固有の構成の酸素遮断部により、帯状の被照射体の走行速度を高速度化させても、照射室の酸素濃度が増大することを抑止し、且つ、不活性気体の消費量も低減できる。従って、不活性気体の使用が効率的になる。
本発明の電子線照射装置の一形態においては、前記酸素遮断部の被照射体通過方向に於ける上流側に、更に、該被照射体上表面に未硬化状態の液状の電子線硬化性樹脂を塗工する、塗工部が設けられてもよい。
この様な構成とすることで、電子線硬化性樹脂の塗膜形成と、該塗膜の電子線による処理がインラインで効率的に行える。
本発明の電子線照射装置の一形態において、前記酸素遮断部の表面側隔壁と裏面側隔壁との間の間隙Wsは前記被照射体の厚みよりも1〜20mmの範囲で大きく設定されてもよい。この範囲に設定すれば、被照射体の走行速度を200m/min.程度まで増速しても照射室Eの酸素濃度を100ppm以下に抑えることができる。
本発明の電子線照射装置の一形態において、前記スリットからの前記不活性気体の吹き出し方向が被照射体の走行方向と直交する方向に対して前記走行方向の上流側に傾くように前記スリットが形成されてもよい。このようにスリットを傾けることにより、スリットから吹付けられた不活性気体を被照射体に随伴して侵入する空気に対してナイフエッジのように当てて、随伴空気を効率よく被照射体から剥取って酸素遮断部の搬入開口部から押し出すことができる。
本発明の電子線照射装置の一形態において、前記スリットに対して前記被照射体の走行方向下流側には、前記不活性気体を前記被照射体に対して前記スリットと同一の側から給気する給気孔が設けられてもよい。この形態によれば、スリットから吹付ける不活性気体により被照射体の随伴空気を剥取って照射室への随伴空気の侵入を抑えつつ、被照射体を給気孔から給気する不活性気体による支持層で支持することができる。それにより、スリットからの不活性気体の吹付けに伴う被照射体の表裏の圧力バランスの変化に起因する被照射体のばたつきを抑えつつ、酸素遮断部において被照射体を円滑に走行させることができる。
前記給気孔を設ける態様においては、前記スリットから吹き出す不活性気体の流速よりも前記給気孔から吹き出す不活性気体の流速を低下させる絞り弁をさらに備えてもよい。このような絞り弁を設けることにより、スリットからは随伴空気を十分に排出できるように高速で不活性気体を吹付けつつ、給気孔からは被照射体の支持に必要な程度の不活性気体を給気させて被照射体のばたつきを適切に抑えることができる。
なお、給気孔を設ける形態において、該給気孔は前記被照射体の走行方向に対して直交する方向に延びる貫通孔として形成されてもよい。このような貫通孔とすれば、給気孔から給気される不活性気体を給気孔の周囲に比較的滞留させて不活性気体による被照射体の支持層を効率的に形成することができる。さらに、前記給気孔の径が前記スリットの間隙よりも大きく設定されることにより、給気孔から給気される不活性気体の流速を比較的容易に抑えることができる。
(1)本発明の電子線照射装置によれば、先ず、装置の重厚長大化を抑えることができ、塗膜の硬化処理時に処理面が艶の規制を受けず、任意の艶面が可能となる。しかも、帯状の被照射体の走行速度を高速化時に、照射室の酸素濃度増大を抑止し、且つ、不活性気体の消費量も低減できる。よって、不活性気体の使用が効率的になる。
(2)また、酸素遮断部の上流側に塗工部を設けた場合には、電子線硬化性樹脂の塗膜形成と、該塗膜の電子線処理とがインラインで効率的に行える。
[図1]本発明の電子線照射装置の基本的な形態(塗工部無し)を、概念的な部分断面図で示す説明図。
[図2]本発明の特徴部分である酸素遮断部Sの一形態を示す拡大断面図。
[図3]酸素遮断部S及び照射部Eを、夫々2分割できる一形態を示す説明図。
[図4]塗工部も有する電子線照射装置の一形態を示す説明図。
[図5]酸素遮断部に関する他の形態を示す断面図。
[図6]図5の酸素遮断部の表面側隔壁の一部を同図の矢印VI方向から見た状態を示す図。
[図7]図5の酸素遮断部に対して不活性気体を供給するための配管構成を示す斜視図。
符号の説明
C 冷却器
D 乾燥機
e 電子線
E 照射室
照射室可動側
照射室固定側
E1 照射室の搬入開口部
E2 照射室の搬出開口部
E3 表面側隔壁
E4 裏面側隔壁
E5 透過窓部
F 被照射体
Lc 搬送ローラ
Ln 搬送ローラ
M 移動手段
Mw 滑車
Ml レール
N 不活性気体
P 導管
P1 集合部
P2 集合部
P3 分配管
P4 分配管
P5 合流部
P6 主配管
P7 絞り弁
P8 絞り弁
P9 絞り弁
P10 絞り弁
R 電子線発生部
Ra 巻出ロール
Rr 巻取ロール
S 酸素遮断部
酸素遮断部可動側
酸素遮断部固定側
S1 酸素遮断部の搬入開口部
S2 酸素遮断部の搬出開口部
S3 表面側隔壁
S4 裏面側隔壁
S5 吹出スリット
S6 空間
S7 給気孔
S8 空間
T 塗工部
T1 版胴
T2 インキパン
T3 ドクターブレード
T4 圧胴
V 走行方向
Ws 酸素遮断部での隔壁の間隔
We 照射室での隔壁の間隔
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態を説明する。
〔図面の概要〕
先ず、図1は、本発明の電子線照射装置の基本的な形態(塗工部無し)を概念的に示す部分断面図的な説明図である。図2は、本発明の特徴部分である酸素遮断部Sの拡大断面図である。図3は、酸素遮断部S及び照射部Eを夫々2分割できる一形態を示す説明図である。即ち、図3は、酸素遮断部Sに、相互に嵌合可能かつ水平方向に分割して引き離すことが可能な酸素遮断部可動側S及び酸素遮断部固定側Sとを設け、照射部Eに、相互に嵌合可能かつ水平方向に分割して引き離し可能な照射部可動側E及び照射部固定側Eとを設けた一形態を示す説明図である。図4は、酸素遮断部Sの上流側に、塗工部も有する形態を示す説明図である。なお、本発明の電子線照射装置は、その趣旨を逸脱しない範囲内で、これら図面に限定されるものではない。
〔装置全体の概要〕
装置全体の概要を、図1に例示する本発明の電子線照射装置の基本的な一形態を参照して説明する。
図1に例示する様に、本発明の電子線照射装置は、電子線eを発生する電子線発生部R、電子線を走行する帯状の被照射体Fに照射する照射室E、該照射室Eの上流側に隣接配置した酸素遮断部S、とを備えている。なお、図中、帯状の被照射体Fは、巻出ロールRaから巻き出されて搬送ローラLcで案内されて、電子線照射装置に酸素遮断部Sの搬入開口部S1から入り、照射室E内を走行しながら電子線eを照射された後、照射室の搬出開口部E2から装置外部に出て、搬送ローラLnで案内されて巻取ロールRrに巻き取られる。
酸素遮断部Sは図2の断面図の如く、照射室Eの上流側に隣接して設けられる。尚、本発明に於いて「上流」、及び「下流」とは、帯状の被照射体Fの走行方向Vを基準とし、電子線照射装置から見て被照射体Fの供給元の方向、即ち巻出ロールRaの方向を「上流」と云う。又、電子線照射装置から見て被照射体Fの送出先の方向、即ち巻取ロールRrの方向を「下流」と云う。
この様な電子線照射装置において、本発明で特徴的な構成は、酸素遮断部Sでの被照射体Fを挟んだ表面側隔壁と裏面側隔壁との間隙Wsと、照射室Eでの被照射体を挟んだ表面側隔壁と裏面側隔壁との間隙Weとが、Ws<Weなる関係を有している上、更に、該間隙Wsが酸素遮断部の全域に亘って同一乃至略同一で、且つその表面側隔壁に、吹出口が該表面側隔壁よりも突出も凹没もし無い状態で形成され不活性気体を吹出す吹出スリットS5を有することにある。
なお、照射室Eに導管Pから不活性気体Nが導入されることにより、室内は酸素濃度が低い状態に維持される。また、電子線発生部Rで発生させた電子線eは透過窓部E5を透過し、この電子線が被照射体Fに照射される。また電子線が照射される位置の被照射体の裏側には、冷却器C(電子線捕捉器)が設けられている。
なお、酸素遮断部及び照射室で用いられる不活性気体Nは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の稀ガス元素、窒素等であるが、通常、コスト等の面から主に窒素が用いられる。
また、被照射体Fは、帯状で薄膜のフィルム(乃至シート)状ものであれば、特に制限は無い。被照射体Fの厚みは、通常、5〜300μm程度のものが対象となる。電子線処理の具体例を挙げれば、例えば、ポリエチレン等の樹脂フィルム自体を被照射体とし、これに対して電子線照射により分子の架橋(反応)行なう処理等である。この他、例えば、ポリエステル等の樹脂から成るフィルム、紙、金属箔等のフィルム状の基材表面に、アクリレートのモノマーやプレポリマー等から成る電子線硬化性樹脂塗料の塗膜を塗工形成したものを被照射体として、この被照射体が有する前記塗膜を、電子線照射により、架橋、硬化させる処理等である。
〔酸素遮断部〕
次に、本発明の特徴的部分である酸素遮断部Sの構成について、その一形態を示す図2を参照して、詳述する。
酸素遮断部Sは、周囲を隔壁で囲繞された閉鎖空間(但し、被照射体Fの搬入・搬出部分を除く)として形成されている。これら隔壁は、走行する帯状の被照射体Fの照射面側と対面する表面側隔壁S3と、該被照射体の照射面とは反対面側に対面する裏面側隔壁S4、及び該被照射体の両側面側に対面する1対の側面隔壁(図示せず)とから成る。これら隔壁の材料は、通常は、鉄、アルミニウム等の金属が用いられる。
酸素遮断部Sは、又、被照射体Fを該酸素遮断部Sに搬入させる搬入開口部S1、及び該酸素遮断部Sから搬出させる搬出開口部S2とを有する。また、酸素遮断部Sの表面側隔壁S3には、不活性気体を酸素遮断部に吹出す吹出スリットS5が1箇所以上開口している。
そして、本発明では、この酸素遮断部Sの表面側隔壁S3と裏面側隔壁S4との間隙Wsは、後述する照射室Eでの該照射室を走行する帯状の被照射体を挟んだ該照射室の表面側隔壁E3と裏面側隔壁E4との間隙Weと、Ws<We、なる関係の間隔とする。
この為、先ず、酸素遮断部Sの搬入開口部S1に入る段階で、搬入開口部S1より外側の空気は隔壁に弾かれて侵入を阻まれる。次いで、被照射体Fの表裏面に粘性抵抗で付着、随伴して酸素遮断部S内に侵入した高酸素濃度の空気に対しては、間隙Wsが狭く、その流体抵抗は大となる。よって、随伴空気は被照射体表面から剥取られ、又照射室Eに向かう随伴空気の速度も減速される。
これに加えて、表面側隔壁S3に設けられた不活性気体を吹出す吹出スリットS5から不活性気体Nが酸素遮断部Sに連続供給される。この為、酸素遮断部S内の酸素は稀釈(低濃度化)される。且つ酸素遮断部S内の上流部の酸素は、搬入開口部S1から流出する不活性気体に引きずられて外部に押出される。
しかも、間隙Wsは、酸素遮断部Sの被照射体走行方向における全域に亘って、同一ないし略同一の値とする。間隙Wsの値は、小さい程、空気中の酸素の流入による照射室内の酸素濃度上昇を阻止する点で好ましいが、狭くし過ぎると走行する被照射体と接触する不都合を生じ易くなる為、両者を勘案して適宜数値を決定する。通常間隙Wsの値は被照射体の厚みよりも1〜20mm程度多い程度とする。この範囲に設定した場合、被照射体の走行速度を200m/min.程度まで増速しても照射室Eの酸素濃度を100ppm以下に抑えることができる。
また、酸素遮断部Sの表面側隔壁S3には、不活性気体を酸素遮断部に吹出す吹出スリットS5が1箇所以上開口している。該吹出スリットS5は、図2の如く、表面側隔壁S3、より詳しくは隔壁3の内面に対して突出も凹没もし無い状態で形成される。即ち、表面側隔壁S3は、吹出スリットS5部分も含めて、被照射体F側の内面は、実質上凹凸の無視出来る、ほぼ平坦な面を成す。但し、図示の如く完全な平面の他、滑らかな彎曲面でも良い。この場合、搬送される帯状の被照射体の搬送経路も、同様に前記隔壁と同一又は略同一の湾曲面である。
以上の様に、酸素遮断部S内の間隙Wsが狭幅であることに加えて、間隙Wsは、酸素遮断部Sの全域に亘って、同一乃至略同一であり、且つ、吹出スリットS5は表面側隔壁S3から突出も凹没もし無い(略平面)状態で形成してあるので、酸素遮断部S内に吹出された不活性気体流は、対流したり、淀んだりすること無く、随伴空気層の剥離、酸素の希釈、上流外部への押出し等が円滑に実施される。その為、酸素遮断部Sから、照射室E内に流入する酸素量を大幅に低減出来ることになる。
また、不活性気体使用量の観点からは、酸素遮断部Sの表面側隔壁と裏面隔壁との間の間隙Wsを小さく、又は狭く設定し、且つ間隙Wsは酸素遮断部Sの全域に亘って同一乃至略同一としたので、酸素遮断部Sの内容積は、必要最小限に押さえられる。その為、酸素遮断部S内に供給すべき不活性気体量も必要最小限で済むことになる。よって、酸素濃度低減化の為の不活性気体使用量を節約出来る。
なお、不活性気体を吹出させる吹出スリットS5は、空気中の酸素流入阻止の点からは、酸素遮断部S内に於いて、より上流に設けることが好ましい。
吹出スリットS5には導管Pが接続され、導管Pを経由して、不活性気体Nが供給される。又、図2の例では、不活性気体の噴出量及び吹出し圧力の変動を緩衝する為、吹出スリットS5の背後に空間S6を設けてある。従って、導管Pからの不活性気体Nは、空間6を経由してスリットS5に供給される。
なお、吹出スリットS5は、被照射体Fの電子線照射による処理面側に少なくとも設ける。通常は、電子線照射側が処理面になる為、図2の例の如くの構成では、吹出スリットS5は、表面側隔壁S3に設けられている。尚、吹出スリットS5を、電子線照射による処理面及びその反対面の両面に設けることも出来る。
〔電子線発生部〕
電子線発生部Rは、電子線を発生させ、その電子線を透過窓部E5から外部に放射するものであり、既存の電子線発生装置を適宜採用することができる。なお、この様な電子線発生装置は、例えば、株式会社NHVコーポレーション、米国のエナジー・サイエンス社(ESI社)等から市販されている。
〔照射室〕
照射室Eは、前述図1の如く、電子線発生部Rの透過窓部E5に隣接して、周囲を隔壁で囲繞した閉鎖空間(被照射体の搬入・搬出部分は除く)を構成する。照射室E内には、不活性気体Nを充填して低酸素濃度(通常300ppm以下程度)に保ち、この様な低酸素濃度雰囲気中で被照射体Fに電子線eを照射することで、架橋、重合、分解、硬化等の所定の電子線処理を施す。
照射室Eの隔壁は、通常、鉄、アルミニウム等の金属が用いられる。特に制動放射のX線を遮蔽する必要の有る部分は、鉛等のX線遮蔽能力の高い金属を用い、十分な厚みに形成する。
更に、照射室Eは、その上流側の酸素遮断部Sとも接続している。照射室Eの酸素遮断部S側の隔壁には、被照射体Fを搬入する搬入開口部E1を有し、また、照射室Eに於ける下流側には、被照射体Fを搬出させる搬出開口部E2を有する。そして、搬入開口部E1、搬出開口部E2間を、帯状の被照射体Fが走行する。なお、被照射体Fの走行を助ける為に、照射室内部には、適宜搬送ローラLcが設置される。また、図1及び図2の形態では、酸素遮断部Sの搬出開口部S2と照射室Eの搬入開口部E1とが一致し、又は兼用されている。
照射室E中の酸素濃度を低く保つ為に、照射室E内には、導管Pを経由して不活性気体Nを供給し、充填する。又、被照射体Fの電子線発生部Rとは反対側には、被照射体Fを透過して来た電子線を捕捉すると共に、捕捉時に発生する熱を冷却する為の冷却器(電子線補捕捉器)Cを有する。
尚、前記の如く、照射室Eの被照射体Fを挟んだ両隔壁間の間隙Weは、酸素遮断部Sの表面側隔壁S3と裏面側隔壁S4との間隙Wsよりも大きく、あるいは広くする。照射室Eには、酸素遮断部Sで完全には除去出来無かった酸素が、被照射体Fの走行に随伴して流入する。その量は少ないとは言え、長時間積分されると酸素濃度の増加は、やはり無視出来無くなる。その為、照射室E内にも導管Pを経由して、継続的に不活性気体を供給するとともに、流入して来た酸素を稀釈し、濃度増加を鈍感にする為、ある程度容積は大きいことが必要である。それ故、間隙WeはWe>Wsを満たしつつ大きめに設定する。
この様にWe>Wsなる関係で、照射室Eを酸素遮断部Sよりも容積大とする事によって、照射室E内にまで酸素遮断部Sから流入して来た酸素は、更に大幅に稀釈される。
そして、酸素遮断部Sでの酸素低濃度化、及び照射室Eでの酸素低濃度化によって、照射室内の酸素濃度は低濃度に保つことが出来、被照射体Fの走行速度を高速度化させた場合でも、酸素濃度は増加し難くなる。
更に、不活性気体の使用量の点でも、照射室Eは、その上流部に酸素遮断部Sを設けたことにより、被照射体周囲に随伴する空気が照射室E内に入る時点で、既に酸素濃度は低減されている。このため、照射室E内に供給する不活性気体量は少なくて済む。
なお、前述した酸素遮断部S内も、表面側隔壁と裏面隔壁との間の間隙Wsを小さく、あるいは狭く設定し、且つ間隙Wsは、酸素遮断部Sの全域に亘って、同一乃至略同一としたので、酸素遮断部Sの内容積は、必要最小限に押さえられる。その為、酸素遮断部S内に供給すべき不活性気体量も必要最小限で済む。
よって、酸素濃度低減化の為の不活性気体使用量を節約出来ることになる。
〔分割構造〕
なお、図1及び図2では、明示的に描いていないが、通常は、被照射体を電子線照射装置内に通す紙通しが容易に行え、また装置の保守作業等も容易にできる様に、電子線照射装置は該装置内を走行する被照射体の走行面乃至は該走行面近傍を分割面として、分割できる様な構造をとる。もちろん、紙通しや保守作業等で支障が無い場合には、分割構造としなくても良い。
図3は、本発明の電子線照射装置に採用した分割構造の一例であり、電子線照射装置内の被照射体走行面が垂直乃至は略垂直で、該装置を水平方向に2分割可能とした構造の例である。
図3に示す分割構造では、本発明の電子線照射装置は、その酸素遮断部Sを、嵌合可能な酸素遮断部可動側S、酸素遮断部固定側Sに2分割し、又、照射部Eも相互に嵌合可能な照射部可動側E、照射部固定側Eに2分割した構成の一形態を示す。そして、酸素遮断部可動側Sと照射部可動側Eを水平方向に可動可能とし、酸素遮断部固定側Sと照射部固定側Eを固定とする。又、酸素遮断部可動側Sと照射部可動側Eの可動側、及び酸素遮断部固定側Sと照射部固定側Eの固定側の各々の嵌合面には、パッキング等の密閉手段を設けることにより、両者嵌合時には、照射室E及び酸素遮断部Sは外部とは密封、遮断される。電子線照射装置の動作を停止し、内部の保守、点検、清掃等を行なう時には、酸素遮断部可動側Sと照射部可動側Eの可動側、及び酸素遮断部固定側Sと照射部固定側Eの固定側の両者は分離される。図3はこの分離した状態を図示する。
可動側の酸素遮断部可動側Sと照射部可動側Eは、移動手段Mによって、床面上に固定された酸素遮断部固定側S及び照射部固定側Eに対して、接近離脱自在とされる。
なお、移動機構Mとしては、床面上に設けたレールMl、滑車Mw、及び必要に応じて油圧シリンダーとピストン等の駆動機構(図示せず)を備えた機構を利用することができる。図3では電子線発生部Rが設けられる側を固定側S、Eとしたが、電子線発生部Rの側を可動側としてもよい。
次に、図4を参照して、本発明の電子線照射装置の別の実施形態を説明する。
図4は、図1で例示した形態の電子線照射装置に対して、更に塗工部Tを設けて成る電子線照射装置の一形態を図示した説明図である。図4で例示する電子線照射装置は、図1の電子線照射装置の酸素遮断部Sと巻出ロールRaとの間に、被照射体Fに沿って、塗工部Tを有する。塗工部Tは公知の塗工手段を適宜採用すれば良いが、図示の例では、塗工部Tは、公知のグラビアコータであり、電子線硬化性樹脂からなる液状インキを入れたインキパンT2と、インキパンT2中の塗料に下半分が含浸された状態で回転するグラビア印刷版からなる版胴T1、版胴T1表面の余剰の塗料を掻落とすドクターブレードT3、及び被照射体Fを版胴T1とは反対側から加圧して、版胴体T1表面の微小セル内に充填された塗料を被照射体F表面に転移させる為の圧胴T4とから成る。尚、塗工部として、図示したグラビアコータ以外に、ロールコータ、カーテンフローコータ、コンマコータ等を用いても良い。
更に、図示の形態では、塗工部Tと酸素遮断部Sとの間に被照射体Fに沿って、更に、乾燥機Dを有している。該乾燥機Dは、塗料中に稀釈溶剤を含んでいる場合、これを乾燥除去する為のものである。塗料中に稀釈溶剤を含まない場合は、乾燥機Dは省略し得る。乾燥機Dは、熱風吹付、赤外線輻射等の公知の方式、構造のものを使用し得る。
次に、図5〜図7を参照して酸素遮断部Sの他の形態を説明する。なお、上述した図1〜図4の形態と共通する部分には同一の参照符号を付し、相違点を中心として説明する。
図5に示すように、この形態では、酸素遮断部Sの上流側にスリットS5が設けられるとともに、そのスリットS5の下流側に複数の給気孔S7が設けられている。スリットS5は、不活性気体Nの吹き出し方向が被照射体Fの走行方向Vと直交する方向よりも上流側に斜めに傾くようにして設けられている。つまり、図5において吹付け角度θは鋭角であり、一例として60°に設定される。これにより、スリットS5から被照射体Fに吹付けられる不活性気体が被照射体Fに対してナイフエッジを当てたように作用して随伴空気に対する剥取り効果が高まり、随伴空気の照射室Eへの侵入を効率よく抑えることができる。なお、スリットS5の吹出口が表面側隔壁S3に対して突出も凹没もし無い状態で形成されていること、スリットS5の背後に導管Pからの不活性気体Nが導入される空間S6が設けられることは図2の形態と同じである。この形態では、図6に示すように、スリットS5が酸素遮断部Sの幅方向、すなわち図6の左右方向において被照射体Fと同等又はそれ以上の長さに亘って直線状に連なるように設けられている。なお、スリットS5の本数は1本に限らず、被照射体Fの走行方向に関して複数本のスリットS5が設けられてもよい。
一方、図5及び図6に示すように、各給気孔S7は円形の吹出口を有し、かつ被照射体Fの走行方向に対して直交する方向に延びる貫通孔として形成されている。給気孔S7は被照射体Fに対してスリットS5と同一の側から不活性気体を給気するように表面側隔壁S3に設けられている。酸素遮断部Sの幅方向に関して給気孔S7は千鳥状に並べられている。給気孔S7の個数、配置及び寸法は適宜に設定してよいが、後述する理由から、給気孔S7からの不活性気体の給気においては、スリットS5のように随伴空気を剥取るようなナイフエッジ作用を考慮しなくてよい。従って、給気孔S7の断面形状は円形等のように異方性がないか又は少ない形状でよく、その径dもスリットS5の間隙t(図6参照)よりも大きくてよい。給気孔S7の表面側隔壁S3における開口部分は表面側隔壁S3に対して突出も凹没もし無い状態で形成されている。給気孔S7の背後には導管Pからの不活性気体Nが導入される空間S8が設けられる。
図7は酸素遮断部Sに対する配管を示している。空間S6及びS8の夫々に対して、複数の導管Pが酸素遮断部Sの幅方向に沿って適宜のピッチで並べて接続されている。空間S6に対する導管Pは集合部P1にて集合し、空間S8に対する導管Pは集合部P2にて集合する。集合部P1、P2はさらに分配管P3、P4を介して合流部P5で合流し、その合流部P5が主配管P6を介して共通の気体供給源と接続される。分配管P3、P4には不活性気体の流量あるいは圧力を調整するための絞り弁P7、P8が設けられ、かつ集合部P2、P3と導管Pとの間にも同様に絞り弁P9、P10が設けられている。絞り弁P7、P8が設けられていることにより、スリットS5から吹き出す不活性気体の流速と、給気孔S7のそれぞれから吹き出す不活性気体の流速とを互いに独立して調整することができる。また、各絞り弁P9の開度を調整することにより、酸素遮断部Sの幅方向において、スリットS5から吹き出す不活性気体の流速のばらつきを抑えることができる。各絞り弁P10の開度を調整することにより、酸素遮断部Sの幅方向において、各給気孔S7から吹き出す不活性気体の流速のばらつきを抑えることができる。
以上の形態では、酸素遮断部SのスリットS5から吹き出す不活性気体により被照射体Fの随伴空気を剥取って搬入開口部S1から押し出しつつ、給気孔S7から給気される不活性気体の圧力により被照射体Fのばたつきを抑え、それにより照射室Eへの酸素の侵入をさらに効率よく抑えることができる。即ち、スリットS5のように細長い孔から高速で不活性気体を吹付けた場合、フィルム状の被照射体Fの表裏で圧力バランスが崩れて被照射体Fが表面側隔壁S3に引き寄せられる。被照射体Fには走行方向に張力が作用しているから、被照射体Fが表面側隔壁S3に引き寄せられると、これを戻そうとする力が発生し、これらの力が交互に作用することによって被照射体Fが間隙Wsの方向にばたつくことがある。ばたつきが生じると酸素遮断部Sを通過して照射室Eに侵入する酸素量が増すおそれがある。特にこの形態では間隙Wsが小さいのでその傾向が高く、しかも被照射体Fの速度が高い程その傾向も高くなる。しかし、図5〜図7の形態によれば、スリットS5の下流側に隣接して多数の給気孔S7を設けているので、これらの給気孔S7から給気される不活性気体により被照射体Fに対する不活性気体の支持層を形成し、その支持層により間隙Wsの方向に関する被照射体Fのばたつきを抑えて被照射体Fを真っ直ぐ円滑に走行させ、それにより酸素遮断部Sにおける酸素遮断効果を高めることができる。
なお、絞り弁P7〜P10は、スリットS5から吹付ける不活性気体の流速よりも給気孔S7から吹付ける不活性気体の流速を小さく調整できる限りにおいて適宜に省略、又は追加してよい。固定絞りによりスリットS5及び給気孔S7のそれぞれから所望の状態で不活性気体を吹付けることができる場合には、開度調整可能な絞り弁を省略してもよい。被照射体Fのばたつきを抑えられる限りにおいて、給気孔S7の個数は1以上の適宜の数に設定してよい。

Claims (8)

  1. (A)電子線を発生させ、該電子線を透過窓部から外部に放射する電子線発生部;
    (B)該電子線発生部の透過窓部に隣接し、周囲を囲繞する隔壁と、該隔壁に開口し帯状の被照射体を搬入させる搬入開口部、及び搬出させる搬出開口部とを有し、不活性気体で充填された閉鎖空間であって、前記透過窓部から放射される電子線が、外部から搬入されて走行する帯状の被照射体に対して照射される、照射室;
    (C)該照射室の、被照射体走行方向に於ける上流側に隣接して設けられ、帯状の被照射体を搬入させる搬入開口部、及び搬出させる搬出開口部とを有する閉鎖空間であって、該閉鎖空間内に該帯状の被照射体を走行させて前記照射室迄導入すると共に、該被照射体の照射面側に不活性気体を吹付けて、該被照射体の表面近傍に随伴して流入する空気中の酸素を稀釈乃至遮断する、酸素遮断部;
    (D)とを具備し、帯状の被照射体を走行させながら、該被照射体に電子線を照射する、電子線照射装置であって、
    (C1)前記酸素遮断部は、走行する帯状の被照射体の照射面側と対面する表面側隔壁と、該被照射体の照射面とは反対面側に対面する裏面側隔壁、及び該被照射体の両側面側に対面する1対の側面隔壁とによって、該被照射体を囲繞すると共に;
    (C2)該酸素遮断部の表面側隔壁と裏面側隔壁との間の間隙Wsと、前記照射室に於いて該照射室を走行する帯状の被照射体を挟んだ表面側隔壁と裏面側隔壁との間隙Weとの間には;
    Ws<We
    なる関係を有し;
    (C3)該酸素遮断部の表面側隔壁と裏面側隔壁との間の間隙Wsは、該酸素遮断部の全域に亘って、同一乃至略同一であり;
    (C4)該酸素遮断部の表面側隔壁には、吹出口が該表面側隔壁よりも突出も凹没もし無い状態で形成された、不活性気体の吹出スリットを有する:
    (E)電子線照射装置。
  2. 前記酸素遮断部の被照射体通過方向に於ける上流側に、更に、該被照射体上表面に未硬化状態の液状の電子線硬化性樹脂を塗工する、塗工部が設けられた請求項1に記載の電子線照射装置。
  3. 前記酸素遮断部の表面側隔壁と裏面側隔壁との間の間隙Wsが前記被照射体の厚みよりも1〜20mmの範囲で大きく設定されている請求項1又は2に記載の電子線照射装置。
  4. 前記スリットからの前記不活性気体の吹き出し方向が被照射体の走行方向と直交する方向に対して前記走行方向の上流側に傾くように前記スリットが形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
  5. 前記スリットに対して前記被照射体の走行方向下流側には、前記不活性気体を前記被照射体に対して前記スリットと同一の側から給気する給気孔が設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子線照射装置。
  6. 前記スリットから吹き出す不活性気体の流速よりも前記給気孔から吹き出す不活性気体の流速を低下させる絞り弁を備えた請求項5に記載の電子線照射装置。
  7. 前記給気孔は前記被照射体の走行方向に対して直交する方向に延びる貫通孔として形成されている請求項5又は6に記載の電子線照射装置。
  8. 前記給気孔の径が前記スリットの間隙よりも大きい請求項7に記載の電子線照射装置。
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