JP2007245091A - 塗布膜の乾燥方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布膜に斑が発現することを抑制し、均一に乾燥できる乾燥方法及び装置を提供する。
【解決手段】走行する長尺状支持体12に有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した塗布膜の乾燥方法において、塗布直後に乾燥ゾーン14を設けて走行するウエブ12の乾燥される塗布膜面12aを囲み、送風ダクト17Cからプレナムチャンバ21に供給された乾燥風42を該プレナムチャンバ21で拡流してから整流部材19で整流し、拡流及び整流した乾燥風42を、ウエブ幅方向の一方端側から他方端側に向けて吹き出す。
【選択図】 図3

Description

本発明は塗布膜の乾燥方法及び装置に係り、特に、光学補償シート等の製造において、長尺状支持体であるウエブに有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した長尺で広幅な塗布膜面を乾燥する塗布膜の乾燥方法及び装置に関する。
液晶表示装置において視野角特性を改善するために、一対の偏光板と液晶セルとの間に位相差板として光学補償シートを設けている。長尺状の光学補償シートは、長尺状の透明フィルムの表面に配向膜形成用樹脂を含む塗布液を塗布してからラビング処理を行なって配向膜を形成し、その配向膜の上に液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を塗布し、塗布した塗布膜を乾燥することで製造することができる。特許文献1に開示されている液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液の乾燥方法は、該配向膜上に液晶性ディスコティック化合物を含む塗布液を塗布してから正規の乾燥装置で乾燥するまで室内空調条件下で初期乾燥を行なって主として塗布液中の有機溶剤を蒸発させるようにしている。この方法で製造された光学補償シートには、塗布膜1面上に乾燥過程において、図14の塗布膜面1に示したようなブロードな斑A(細い線で示す)とシャープな斑B(太い線で示す)の2種類の斑(ムラ)A、Bが発生し、場合によって製品の得率を下げるという問題があった。
そこで、特許文献2では、塗布直後に乾燥ゾーンを設けて、ウエブ幅方向の一方向側から他方向側に流れる一方向流れの乾燥風を発生することで、乾燥過程で発生するブロードな斑Aとシャープな斑Bを抑制することが開示されている。また、特許文献3では、プレナムチャンバに供給した乾燥風をハニカムと金網からなる整流部材を介して、搬送されるウエブの上方から塗布膜に吹き付けるようにした乾燥用ノズルが開示されている。また、特許文献4では、ウエブの塗布膜面の反対側から多孔質板を介して乾燥風を吹き出す塗布乾燥方法が開示されている。
特開平9−73081号公報 特開2001−170547号公報 特開2004−141759号公報 特開2004−66042号公報
しかしながら、特許文献2の乾燥方法のように、ウエブの幅方向に乾燥風を吹くことで塗布膜のブロードな斑Aとシャープな斑Bを抑制する効果はあるものの、満足するだけの十分な効果が得られていない。また、特許文献3及び4のように、塗布膜面に向けて乾燥風を吹き付けたり、ウエブの裏面から乾燥風を吹き出したりする乾燥方法は、特許文献2のウエブ幅方向に乾燥風を吹く場合に比べてブロードな斑Aとシャープな斑Bを抑制する効果が小さい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、乾燥時にブロード及びシャープな斑状欠陥が塗布膜面上に発現することを効果的に抑制し、塗布膜面を均一に乾燥できる乾燥方法及び装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、前記目的を達成するために、走行するウエブに有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した塗布膜の乾燥方法において、前記塗布直後に乾燥ゾーンを設けて前記走行するウエブの乾燥される塗布膜面を囲み、送風ダクトからプレナムチャンバに供給された乾燥風を該プレナムチャンバで拡流してから整流部材で整流し、前記拡流及び整流した乾燥風を、前記ウエブ幅方向の一方端側から他方端側に向けて吹き出すことを特徴とする塗布膜の乾燥方法を提供する。
本発明者は、ウエブ幅方向の一方端側から他方端側に流れる一方向流れの乾燥風によるブロードな斑及びシャープな斑の防止対策について更なる改良を研究した結果、次のことが分かった。即ち、ウエブ幅方向の一方端から他方端に向けて乾燥風を吹き出すことで、ブロードな斑とシャープな斑の両方の斑を抑制する効果があるが、乾燥風の吹き出しが不均一になったり、乱れたりすると十分な抑制効果を得ることができない。
かかる課題の解決策として、ウエブ幅方向の一方端から他方端に向けて乾燥風を吹き出す構成と、吹き出す乾燥風の均一化及び整流化を行う構成とを組み合わせることで、ブロードな斑とシャープな斑を顕著に抑制することができることが分かった。
本発明は係る知見に基づいてなされたものであり、請求項1では、送風ダクトからプレナムチャンバに供給された乾燥風を該プレナムチャンバで拡流して、送風ダクトからの動圧の乾燥風を静圧の乾燥風に変換する。そして、この静圧の乾燥風を整流部材で整流して、ウエブ幅方向の一方端側から他方端側に向けて吹き出すようにしたので、ブロードな斑とシャープな斑の両方を顕著に抑制することができる。
請求項2は請求項1において、前記送風ダクトからの乾燥風を、前記プレナムチャンバの内壁面に当てるように供給することを特徴とする。
請求項2は、送風ダクトからの動圧の乾燥風を静圧の乾燥風に変換する好ましい方法を示したものであり、送風ダクトからの乾燥風をプレナムチャンバの内壁面に当てるようにした。これにより、送風ダクトからプレナムチャンバに送風された乾燥風は拡流するので、乾燥風の動圧を、プレナムチャンバ内において静圧に変換することができる。
請求項3は請求項1又は2において、前記整流部材は、ハニカム構造であると共に、整流格子のセル寸法M(m)、流路幅d(m)、セル長L(m)が式1及び式2の関係にあることを前提としたときに、式3で表される乾燥ムラ・ピッチP1(m)が式4を満足し、且つ式5で表される乾燥ムラ・ピッチP2(m)が式6を満足することを特徴とする。M≦0.02×d(式1)、L≧(6〜8)×M(式2)、P1=u×(2×L)÷C(式3)、P1≦5×10−3(式4)、P2=u×2×π÷C×{(A/L)×(1/V1+1/V2)}−1/2(式5)、P2≦5×10−2(式6)、但し、空気中の音速C(m/sec)、前記ウエブの搬送速度u(m/sec)、前記プレナムチャンバの容積V1(m)前記乾燥ゾーンの容積V2(m)、整流部材のハニカム構造における1セル分の断面積A(m)とする。
請求項3は、整流部材をハニカム構造としたときに、ブロードな斑とシャープな斑の両方を顕著に抑制することができる条件を規定したものであり、上記の(式1)〜(式6)を満足するようにしたので、上記両方の斑の発現を一層抑制できる。
請求項4は請求項1又は2において、前記整流部材は、金網であると共に、金網の線材径D(m)、線材の間隔L(m)が式7の関係にあることを前提として、前記乾燥風の給気量Q(m/sec)、整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))、乾燥風の金網通過風速W(m/sec)、空気の動粘度ν(m/sec)=粘度μ(Pa・sec)/密度ρ(kg/m)、が式8及び式9を満たすことを特徴とする。開口面積比β=(1−D/L)>0.57(式7)、W=Q÷(B×H)÷β(式8)、L×W÷ν≦50(式9)。
請求項4は、整流部材を金網としたときに、ブロードな斑Aとシャープな斑Bの両方を顕著に抑制することができる条件を規定したものであり、上記の(式5)〜(式7)を満足するようにしたので、上記斑の発現を一層抑制できる。
請求項5は請求項1又は2において、前記整流部材は、2枚の多孔板を2層構造に配置したものであると共に、2枚の多孔板の設置間隔を整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))の0.5〜1倍であることを前提として、多孔板の孔径φ(m)、及び多孔板の孔ピッチδ(m)が、φ<δ(式10)を満たし、且つ乾燥風の吹き出し方向から見て前記2枚の多孔板の孔が重ならないように配置されていることを特徴とする。
請求項5は、整流部材を2枚の多孔板を2層構造としたときに、ブロードな斑とシャープな斑の両方を顕著に抑制することができる条件を規定したものであり、上記(式8)を満足するようにしたので、上記斑の発現を一層抑制できる。
請求項6は請求項1又は2において、前記整流部材が多孔質体で形成されたものであることを特徴とする。
整流部材を多孔質体で形成しても、良好な整流作用を得ることができる。
請求項7は請求項1〜6の何れか1において、前記乾燥風には、前記塗布液と同じ有機溶剤が含有されていることを特徴とする。
請求項7のように、乾燥風に塗布液と同じ有機溶剤を含ませることによって、乾燥ゾーン内の有機溶剤濃度を常に一定に保つことができるので、塗布膜の均一乾燥が向上する。
請求項8の発明は、前記目的を達成するために、走行するウエブに塗布機により有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した塗布膜の乾燥装置において、前記塗布機の直後に設けられ、前記走行するウエブの乾燥される塗布膜面を囲む乾燥ゾーンを形成する乾燥装置本体と、前記乾燥ゾーン内に前記ウエブ幅方向の一方端側から他方端側に向けて乾燥風を吹き出す乾燥風吹出手段と、を有し、前記乾燥風吹出手段は、前記ウエブ幅方向の一方端側に配置され、前記乾燥風の吹出口が前記ウエブの幅方向を臨む壁面に開口された箱状のプレナムチャンバと、前記乾燥風を、前記プレナムチャンバの内壁面に当てるように供給する送風ダクトと、前記プレナムチャンバ内に設けられ、前記吹出口から吹き出す乾燥風を整流する整流部材と、を備えたことを特徴とする塗布膜の乾燥装置を提供する。
請求項8は、本発明を装置として構成したものであり、かかる構成により、プレナムチャンバの吹出口からは、静圧で且つ整流された乾燥風を、ウエブの幅方向に吹き出すことができるので、ブロードな斑とシャープな斑の両方を顕著に抑制することができる。
請求項9は請求項8において、前記ウエブ幅方向の他方端側に前記乾燥風吹出手段に対向配置され、前記吹出口から吹き出された乾燥風を吸引して前記乾燥ゾーンから排気する乾燥風排気手段を設けたことを特徴とする。
請求項9によれば、ウエブ幅方向の他方端に、乾燥風吹出手段に対向して乾燥風排気手段を設けたので、ウエブ幅方向に流れる乾燥風の気流を安定化することができると共に、ウエブ幅方向における風速を均一化することができる。これにより、ブロードな斑とシャープな斑の両方を一層抑制することができる。
請求項10は請求項8又は9において、前記乾燥ゾーンを、前記ウエブの走行方向に直交する仕切板で仕切って複数の分割ゾーンを形成し、分割ゾーンごとに前記乾燥風吹出手段を設けることを特徴とする。
請求項10によれば、分割ゾーンごとに乾燥風吹出手段を設けることにより、分割ゾーンごとに乾燥風の風速を変えることができるので、きめ細かく塗布膜の乾燥条件を設定することができ、塗布膜を一層均一に乾燥できる。
請求項11は請求項10において、前記仕切板の上端と前記塗布膜面との間隔は、0.5〜12mmの範囲に設定されていることを特徴とする。
請求項11によれば、仕切板の上端と塗布膜面との間隔を0.5mm〜12mmとし、塗布膜面が仕切板に当たらない範囲においてできるだけ狭くするようにした。これにより、隣接する分割ゾーン同士の間における乾燥風の出入りが抑制されるので、各分割ゾーンでの乾燥条件精度を向上できるだけでなく、乾燥風のウエブ幅方向の流れを精度良くコントロールし易くなる。従って、ブロードな斑とシャープな斑の両方を一層抑制することができる。
請求項12〜14は、整流部材をハニカム構造、金網、2枚の多孔板で構成した場合であり、ブロードな斑Aとシャープな斑Bの両方を顕著に抑制することができる条件を規定したものである。
請求項15は請求項9において、前記乾燥風排気手段は、前記ウエブ幅方向の他方端側に配置され、前記乾燥風の排気口が前記ウエブの幅方向を臨む壁面に開口された箱状のプレナムチャンバと、前記プレナムチャンバ内に設けられ、前記排気口から吸引された乾燥風を整流する排気側の整流部材と、前記プレナムチャンバ内に吸引された乾燥風を排気する排気ダクトと、を備えたことを特徴とする。
請求項15では、乾燥風排気手段についてもプレナムチャンバと整流部材とを備える方式にしたので、ウエブ幅方向に流れる乾燥風の気流を一層安定化することができる。
請求項16は請求項15において、前記排気側の整流部材は、請求項12〜14の何れか1であることを特徴とする。これは、乾燥エアを吸引する際の整流部材の条件も、吹き出しと吸引の違いはあるものの、基本的には同じだからである。
請求項17は請求項8〜16の何れか1において、前記ウエブは、予め塗布された配向膜形成用樹脂をラビング処理した配向膜層を有すると共に、前記塗布液は液晶性ディスコティック化合物を含むものであることを特徴とする。
本発明の乾燥装置は、光学補償シートを製造する製造工程の乾燥装置として特に有効だからである。
本発明の塗布膜の乾燥方法及び装置によれば、乾燥時にブロード及びシャープな斑状欠陥が塗布膜面上に発生することを効果的に抑制し、塗布膜面を均一に乾燥できる。
以下、添付図面により本発明の塗布膜の乾燥方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の塗布膜の乾燥装置の全体構成を示す側面図であり、また、図2は図1を上方から見た平面図である。尚、図2では、図1に示している上蓋34を取り外して示している。
図1又は図2に示すように、本発明の塗布膜の乾燥装置10は、主として、走行するウエブ12を通過させて塗布膜の乾燥が行なわれる乾燥ゾーン14を形成する乾燥装置本体16と、乾燥ゾーン14内にウエブ12幅方向の一方端側から他方端側に乾燥風を吹き出す乾燥風吹出手段18A、18B、18C、18D、18E、18F、18Gと、乾燥風を吸引して乾燥ゾーン14から排出する乾燥風排気手段18H、18I、18J、18K、18L、18M、18Nとで構成される。この乾燥装置10は、走行するウエブ12に有機溶剤を含む塗布液を塗布する塗布機20の直後に設けられる。
尚、本実施の形態の一例として、ウエブ12は、予め塗布された配向膜形成用樹脂をラビング処理して配向膜となる層を有するものであると共に、塗布液は液晶性ディスコティック化合物を含む有機溶剤性塗布液の例で説明する。
塗布機20としては、例えば、ワイヤーバー20Aを備えたバー塗布装置を使用することができ、複数のパスローラ22、24、26に支持されて走行するウエブ12の下面に塗布液が塗布されて塗布膜が形成される。
乾燥装置本体16は、塗布機20の直後に設けられ、走行するウエブ12の塗布膜面側(ウエブの下面側)に沿った長四角な箱体状に形成され、箱体の各辺のうちの塗布膜面側の辺(箱体の上辺)が切除されている。これにより、走行するウエブ12の乾燥される塗布膜面を囲む乾燥ゾーン14が形成される。乾燥ゾーン14は、乾燥装置本体16を、ウエブ12の走行方向に直交した複数の仕切板28、28…で仕切ることにより、複数の分割ゾーン14A、14B、14C、14D、14E、14F、14G(本試験では7つの分割ゾーン)に分割される。この場合、乾燥ゾーン14を分割する仕切板28の上端と、ウエブ12に形成された塗布膜面との距離は、0.5mm〜12mmの範囲が好ましく、更に好ましくは1mm〜10mmの範囲である。また、乾燥装置本体16の幅はウエブ12の幅よりも大きくなるように形成されており、乾燥ゾーン14の上部には上蓋34(図1参照)が設けられている。
そして、パスローラ22、24、26に支持され走行するウエブ12に塗布機20のワイヤーバー20Aで塗布液を塗布した直後、乾燥装置10によって塗布膜面12aの初期乾燥が行なわれる。この初期乾燥は、塗布直後、遅くとも5秒以内の塗布直後に乾燥風による乾燥を開始することが好ましい。
複数に分割された分割ゾーン14A、14B、14C、14D、14E、14F、14Gごとに、幅方向一方端側に乾燥風吹出手段18A、18B、18C、18D、18E、18F、18Gが設けられると共に、他方端側に乾燥風排気手段18H、18I、18J、18K、18L、18M、18Nが設けられる。
図3は、乾燥ゾーン14のうち分割ゾーン14Cにおけるウエブ幅方向の断面図であり、図4は乾燥風吹出手段18Cを示した概念図である。分割ゾーン14C以外の分割ゾーンの構造も同様である。
図3に示すように、分割ゾーン14Cには、ウエブ12幅方向の一方端側から他方端側に向けて乾燥風42を吹き出す乾燥風吹出手段18Cが設けられている。
乾燥風吹出手段18Cは、図3及び図4に示すように、乾燥風の吹出口aが側面に形成された箱状のプレナムチャンバ21と、プレナムチャンバ21内に乾燥風を供給する送風ダクト17Cと、プレナムチャンバ21内に供給された乾燥風を整流する整流部材19、とで構成される。送風ダクト17Cは、プレナムチャンバ21の底板に開口された接続口に接続される。これにより、送風ダクト17Cからプレナムチャンバ21内に送風された乾燥風は、プレナムチャンバの天井内壁面に当たって拡流される。これにより、送風ダクト17Cからの動圧の乾燥風を静圧の乾燥風に変換する。送風ダクト17Cの接続は、プレナムチャンバ21の底板に限定するものではなく、吹出口aに対向する背板でなければ、側板でもよい。要は、送風ダクト17Cから送風される乾燥風がプレナムチャンバ21の内壁面に当たるように、送風ダクト17Cがプレナムチャンバ21に接続されていればよい。
また、整流部材19はプレナムチャンバ21を吹出口aを有する前室21Aと、吹出口aのない後室21Bとに仕切ると共に、後室21Bに送風ダクト17Cが連通するように接続される。整流部材19としては、ハニカム構造、金網、多孔板、多孔質体を、好ましく使用することができる。
かかる構造の乾燥風吹出手段18Cによれば、送風ダクト17Cからプレナムチャンバ21に供給された乾燥風を該プレナムチャンバ21の内壁面に当てることによって拡流し、これにより送風ダクト17Cからの動圧の乾燥風を静圧の乾燥風に変換する。そして、この静圧の乾燥風42を整流部材19で整流して、ウエブ幅方向の一方端側から他方端側に向けて吹き出す。これにより、図14に示したブロードな斑Aとシャープな斑Bの両方を抑制することができる。
この乾燥風吹出手段18Cは分割ゾーン14A〜14Gごとに個々に乾燥風42の風量(風速)を制御できるようになっている。乾燥風吹出手段18A〜18Gから吹き出される乾燥風42としては、温度・湿度が空調された空調風が好ましい。
乾燥風排気手段18Jは、図3に示すように、乾燥風吹出手段18Cに対向配置され、乾燥風の排出口bが側面に形成されたプレナムチャンバ23と、該プレナムチャンバ23に接続された排気ダクト17Jとで構成される。図3では、プレナムチャンバ23を単に箱体として形成したが、乾燥風吹出手段18Cの場合と同様に、プレナムチャンバ23内に排気側の整流部材を設けることが好ましい。これにより、乾燥風吹出手段18Cから乾燥風排気手段18Jに向けて、即ちウエブ幅方向の一方端側(吹出口側)から他方端側(排出口側)に向けて一方向に流れる乾燥風の気流を安定して形成することができる。従って、ブロードな斑Aとシャープな斑Bの両方を一層抑制することができる。
また、乾燥ゾーン14を設けたことで、塗布膜面12aから蒸発した有機溶剤が塗布膜面12aを覆う乾燥環境が形成される。この乾燥環境下で、乾燥風吹出手段18A〜18Gから分割ゾーン14A〜14Gに吹き出された乾燥風が乾燥風排気手段18H〜18Nから排気されるので、各分割ゾーン14A〜14Gには、乾燥風42はウエブ幅方向の一方端側(吹出口側)から他方端側(排出口側)に向けて一方向に流れる。これにより、塗布膜面12aが有機溶剤で覆われた状態のまま、蒸発した有機溶剤を含む乾燥風42が乾燥風排気手段18H〜18Nから排気されて次第に乾燥される。この場合、乾燥風吹出手段18A〜18Gの吹出口aから吹き出す乾燥風42の風量(風速)が大きすぎると、塗布膜面を有機溶剤が均等に覆わなくなるので、乾燥風42の風量を調整して、風量が大きくなりすぎないようにする必要がある。これにより、塗布膜面近傍における有機溶剤濃度を均等にできるので、塗布膜面12aの各部分から有機溶剤を均等に蒸発させることができる。
この場合、ウエブ12が乾燥ゾーン14を走行することで、乾燥ゾーン14のウエブ搬送方向における入口側と出口側における塗布膜面近傍の有機溶剤濃度が異なる場合があるが、乾燥ゾーン14を、複数の分割ゾーン14A〜14Gに分割したことで解消することができる。即ち、7分割された各分割ゾーン14A〜14Gに設けた各乾燥風吹出手段18A〜18Gの風量を制御して、各分割ゾーン14A〜14Gを流れる乾燥風42の風速を調整することにより、乾燥ゾーン14の入口側と出口側における塗布膜面近傍の有機溶剤濃度の異なりを解消することができる。
乾燥風42としては、乾燥装置10が設置された、例えば空調室等の空調風を使用することができるが、塗布液に含有される有機溶剤と同じ溶剤を含む風を、乾燥風吹出手段18A〜18Gから吹き出すようにしてもよい。
次に、整流部材19として、ハニカム構造、金網、多孔板の何れかを使用したときに、ブロードな斑Aとシャープな斑Bの両方を抑制するための好ましい条件について説明する。尚、この整流部材の好ましい条件は、乾燥風吹出手段18及び乾燥風排気手段18Jともに、同様である。
(1)整流部材がハニカム構造の場合、
整流格子のセル寸法M(m)、流路幅d(m)、セル長L(m)が式1及び式2の関係にあることを前提としたときに、式3で表される乾燥ムラ・ピッチP1(m)が式4を満足し、且つ式5で表される乾燥ムラ・ピッチP2(m)が式6を満足することが好ましい。
M≦0.02×d(式1)、
≧(6〜8)×M(式2)、
P1=u×(2×L)÷C(式3)、
P1≦5×10−3(式4)、
P2=u×2×π÷C×{(A/L)×(1/V1+1/V2)}−1/2(式5)、
P2≦5×10−2(式6)、
但し、空気中の音速C(m/sec)、前記ウエブの搬送速度u(m/sec)、前記プレナムチャンバの容積V1(m)前記乾燥ゾーンの容積V2(m)、整流部材のハニカム構造における1セル分の断面積A(m)とする。尚、ハニカム構造には、六角、OX、フレックス、バイセクト、フェザー等のセルの形状があるが、どの形状でも良い。
ここで、式3で表される乾燥ムラ・ピッチP1(m)及び式5で表される乾燥ムラ・ピッチP2(m)は、乾燥装置の装置寸法と乾燥ムラの間隔(ピッチ)との相関を示している。即ち、図11(ブロードな斑Aの場合)に示すように、ブロードな斑Aの発生位置に合わせて、ウエブ搬送速度uと乾燥風の給気風速との合成ベクトル方向と平行な直線を引いたときに、乾燥ムラ・ピッチP1(m)は直線同士の間隔を意味する。同様に、図12(シャープな斑Bの場合)に示すように、シャープな斑Bの発生位置に合わせて、ウエブ搬送速度uと乾燥風の給気風速との合成ベクトル方向と平行な直線を引いたときに、乾燥ムラ・ピッチP2(m)は直線同士の間隔を意味する。
(2)整流部材が金網の場合
金網の線材径D(m)、線材の間隔L(m)が式7の関係にあることを前提として、前記乾燥風の給気量Q(m/sec)、整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))、乾燥風の金網通過風速W(m/sec)、空気の動粘度ν(m/sec)=粘度μ(Pa・sec)/密度ρ(kg/m)、が式8及び式9を満たすことが好ましい。
開口面積比β=(1−D/L)>0.57(式7)、
W=Q÷(B×H)÷β(式8)、
L×W÷ν≦50(式9)。
(3)整流部材が2枚の多孔板を2層構造に配置したものである場合
2枚の多孔板の設置間隔を整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))の0.5〜1倍であることを前提として、多孔板の孔径φ(m)、及び多孔板の孔ピッチδ(m)が、φ<δ(式10)を満たし、且つ乾燥風の吹き出し方向から見て前記2枚の多孔板の孔が重ならないように配置されていることが好ましい。
尚、乾燥風の吹き出し方向から見て2枚の多孔板の孔が重ならない配置としては、例えば図5〜図8に示す配置を好ましく採用できる。図5〜図8において、実線で示した孔50Aは図の表面側に配置された多孔板であり、点線で示した孔50Bは図の裏面側に配置された多孔板であることを示す。
図5及び図6は、孔50A又は50Bを正方形配置(正方形の角部に孔を形成)した2枚の多孔板を2層構造に配置した場合である。そして、図5は、孔50A又は50Bと孔50A又は50Bとのピッチをδとした場合に、2枚の多孔板のうちの一方の多孔板の孔50Aの縦列を、他方の多孔板の孔50Bの縦列に対してδ/2だけ図5の左右方向にズラすことにより、乾燥風42の吹き出し方向から見て2枚の多孔板の孔50A、50Bが重ならないようにしたものである。
また、図6は、孔50A又は50Bと孔50A又は50Bとのピッチをδとした場合に、2枚の多孔板のうちの一方の多孔板の孔50Aの縦列を、他方の多孔板の孔50Bの縦列に対してδ/2だけ図6の左右方向にズラし、更に孔50Aの横列を孔50Bの横列に対してδ/2だけ図6の上下方向にズラすことにより、乾燥風42の吹き出し方向から見て2枚の多孔板の孔が重ならないようにしたものである。
図7及び図8は、孔50A又は50Bを正三角形配置(正三角形の頂部に孔を形成)した2枚の多孔板を2層構造に配置した場合である。そして、図7は、孔50A又は50Bと孔50A又は50Bとのピッチをδとした場合に、2枚の多孔板のうちの一方の多孔板の孔50Aの縦列を、他方の多孔板の孔50Bに対してδ/2だけ図7の左右方向にズラすことにより、乾燥風42の吹き出し方向から見て2枚の多孔板の孔50A、50Bが重ならないようにしたものである。
また、図8は、孔50A又は50Bと孔50A又は50Bとのピッチをδとした場合に、2枚の多孔板のうちの一方の多孔板の孔50Aの縦列を他方の多孔板の孔50Bに対してδ/2だけ図8の左右方向にズラし、更に孔50Aの横列を、孔50Bの横列に対してxだけ図8の上下方向にズラすことにより、乾燥風42の吹き出し方向から見て2枚の多孔板の孔50A,50Bが重ならないようにしたものである。但し、x=√[δ−(δ/2)]/2
尚、多孔板の孔50A又は50Bは、図5〜図8に示した円形以外、例えば、長円形、楕円形、四角形、多角形でもよい。また、多孔板の孔50A又は50Bの配置が図5及び図6に示した正方形以外に長方形でもよい。また、図7及び図8に示した正三角形以外、例えば二等辺三角形でもよい。
本発明で使用されるウエブ12としては、一般に幅0.3〜5m、長さ45〜10000m、厚さ5〜200μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6ナフタレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等のプラスチックフィルム、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布又はラミネートした紙、アルミニウム、銅、錫等の金属箔等、或いは帯状基材の表面に予備的な加工層を形成させたものが含まれる。更に、前記したウエブ12には、光学補償シート塗布液、磁性塗布液、写真感光性塗布液、表面保護、帯電防止あるいは滑性用塗布液等がその表面に塗布され、乾燥された後、所望する長さ及び幅に裁断されるものも含まれ、これらの代表例としては、光学補償シート、各種写真フィルム、印画紙、磁気テープ、PS版等が挙げられる。
塗布液の塗布方法として、上記したバーコーティング法の他、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法及びスライドコーティング法を使用することができる。特にバーコーティング法、エクストルージョンコーティング法、スライドコーティング法が好適に使用できる。
また、本発明において同時に塗布される塗布液の塗布層の数は単層に限定されるものではなく、必要に応じて同時多層塗布方法にも適用できる。
図9は、光学補償シートの製造工程に、本発明の乾燥装置10を組み込んだものであり、送出機40で送り出されたウエブ12は複数のガイドローラ42、42…によって支持されながらラビング処理装置44、塗布機20そして、初期乾燥を行なう本発明の乾燥装置10、本乾燥を行なう乾燥ゾーン46、加熱ゾーン48、紫外線ランプ50を通過して巻取機52で巻き取られる。
ウエブ12としては、厚さ100μmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士写真フイルム(株)製)を使用した。そして、ウエブ12の表面に、長鎖アルキル変性ポバール(MP−203、クラレ(株)製)の2重量パーセント溶液をフィルム1m2 当り25ml塗布後、60℃で1分間乾燥させて造られた配向膜用樹脂層を形成したウエブ12を、18m/分で搬送走行させながら、樹脂層表面にラビング処理を行って配向膜を形成した。ラビング処理におけるラビングローラ54の押しつけ圧力は、配向膜樹脂層の1cm2当たり98Pa(10kgf/cm2 )とすると共に、回転周速を5.0m/秒とした。
そして、配向膜用樹脂層をラビング処理して得られた配向膜上に、塗布液としては、ディスコティック化合物TE−8の(3)とTE−8の(5)の重量比で4:1の混合物に、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製造)を前記混合物に対して1重量パーセント添加した混合物の40重量%メチルエチルケトン溶液とする液晶性化合物を含む塗布液を使用した。ウエブ12を走行速度18m/分で走行させながら、この塗布液を配向膜上に、塗布液量がウエブ1m2 当り5mlになるようにワイヤーバー20Aで塗布した。そして、塗布直後に、本発明の乾燥装置10を使用して初期乾燥を行なった。
また、乾燥ゾーン14を7分割する仕切板28の上端と塗布膜面との間隔は5〜9mmの範囲に設定して行なった。また、本発明の乾燥装置10で初期乾燥されたウエブ12は、100℃に調整された乾燥ゾーン46及び、130℃に調整された加熱ゾーン48を通過させてネマチック相を形成した後、この配向膜及び液晶性化合物が塗布されたウエブ12を連続搬送しながら、液晶層の表面に紫外線ランプ50により紫外線を照射した。
かかる光学補償シートの製造工程における乾燥装置10において本発明を適用した場合と適用しない場合とで、製造された光学補償シートの斑(ムラ)の発現にどのように影響するかを調べた。尚、ブロード斑A及びシャープ斑Bの発現状況において、△は斑が発現したが発現頻度が少ないことを示し、○は斑が殆ど発現しなかったことを示し、◎は斑が完全に発現しなかったことを示す。
(実施例1)
実施例1は、送風ダクト17Cからの乾燥風42をプレナムチャンバ21の内壁面に当てて、動圧の乾燥風42を静圧の乾燥風42に変換する場合と、変換しない場合とにより、ブロード斑A及びシャープ斑Bの発現にどのように影響するかを調べたものである。
動圧の乾燥風42を静圧の乾燥風42に変換する乾燥風吹出手段18としては、図4のようにプレナムチャンバ21の底板に送風ダクト17Cを接続したものを使用した。また、変換しない乾燥風吹出手段としては、図10に示すように、吹出口aの背板に送風ダクト17Cを繋ぎ、送風ダクト17Cからの乾燥風42が整流部材19を介して吹出口aから直接吹き出されるようにした。
その結果を表1に示す。表1のaは図10の乾燥風吹出手段を使用した場合であり、bは図4の乾燥風吹出手段を使用した場合である。また、試験1〜3は、各分割ゾーン14A〜14Gにおいて各乾燥風吹出手段18A〜18Gから吹き出す乾燥風の風量を変えた場合である。尚、乾燥風排気手段としては、aの場合及びbの場合ともに、整流部材のないプレナムチャンバを使用した。
Figure 2007245091
表1の結果から分かるように、各分割ゾーン14A〜14Gの乾燥風42の速度を変えた試験1〜3の何れの場合にも、動圧の乾燥風42を静圧の乾燥風42に変換する乾燥風吹出手段(図4)は、変換しない乾燥風吹出手段(図10)に比べて、ブロード斑A及びシャープ斑Bの発現ともに少なかった。特に、試験2のように、塗布機20に近い分割ゾーン14Aの風速を1.0m/sec、次の分割ゾーン14Bの風速を1.5m/secとし、それ以後の分割ゾーン14C〜14Gの風速を0.5m/secとした場合に、図4の乾燥風吹出手段を用いた場合には、ブロード斑A及びシャープ斑Bともに全く発現しなかった。
(実施例2)
実施例2は、乾燥風吹出手段18の整流部材19としてハニカム構造のものを使用したときに、ブロード斑Aとシャープ斑Bの両方を顕著に抑制することができる条件を調べたものである。
図13は、ハニカム構造のセル長Lを変化させて式3で表される乾燥ムラ・ピッチP1を0.0001から0.01まで大きくし、且つプレナムチャンバ容積V1を変化させて式5で表される乾燥ムラ・ピッチP2を0.001から0.1まで大きくしていったときに、ブロード斑Aとシャープ斑Bの総合的な発現状況を調べたものである。ブロード斑Aとシャープ斑Bの総合的な発現状況の評価は、発現が少ないほど良い結果とし、□が一番良く、次いで○、その次に△、×が一番悪い。
M≦0.02×d(式1)、
≧(6〜8)×M(式2)、
P1=u×(2×L)÷C(式3)、
P2=u×2×π÷C×{(A/L)×(1/V1+1/V2)}−1/2(式5)、
但し、空気中の音速C(m/sec)、前記ウエブの搬送速度u(m/sec)、前記プレナムチャンバの容積V1(m)前記乾燥ゾーンの容積V2(m)、整流部材のハニカム構造における1セル分の断面積A(m)とする。
その結果、図11から分かるように、P1(m)≦5×10−3(式4)を満足し、且つ、P2(m)≦5×10−2(式6)を満足する領域において、総合評価が良かった。P1(m)≦1×10−3を満足し、且つ、P2(m)≦1×10−2を満足する領域において更に良く、P1(m)≦5×10−4を満足し、且つ、P2(m)≦5×10−3を満足する領域において特に良かった。
(実施例3)
実施例3は、乾燥風吹出手段18の整流部材19として金網を使用したときに、ブロード斑Aとシャープ斑Bの両方を顕著に抑制することができる条件を調べたものである。
その結果を表2に示す。表2のaは式9で表される値が100(L×W÷ν=100)の場合であり、bは式9で表される値が50(L×W÷ν=50)の場合である。但し、金網の線材径D(m)、線材の間隔L(m)が式7の関係にあることを前提として、前記乾燥風の給気量Q(m/sec)、整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))、乾燥風の金網通過風速W(m/sec)、空気の動粘度ν(m/sec)=粘度μ(Pa・sec)/密度ρ(kg/m)とする。
開口面積比β=(1−D/L)>0.57(式7)、
W=Q÷(B×H)÷β(式8)、
L×W÷ν≦50(式9)。
ちなみに、空気の動粘度の値(標準大気圧)は、0℃において13.34×10−6(m/sec)、20℃において15.15×10−6(m/sec)、40℃において17.04×10−6(m/sec)である。
Figure 2007245091
表2の結果から分かるように、各分割ゾーン14A〜14Gの乾燥風42の速度を変えた試験4〜6の何れの場合にも、L×W÷ν=50であるbは、L×W÷ν=100であるaに比べて、ブロード斑A及びシャープ斑Bともに少なかった。特に、試験5のように、塗布機20に近い分割ゾーン14Aの風速を1.0m/sec、次の分割ゾーン14Bの風速を1.5m/secとし、それ以後の分割ゾーン14C〜14Gの風速を0.5m/secとした場合に、bの条件を適用すると、ブロード斑A及びシャープ斑Bともに全く発現しなかった。
この結果から、L×W÷ν≦50を満足することが好ましく、更に好ましくはL×W÷ν≦10であり、特に好ましくはL×W÷ν≦1である。
(実施例4)
実施例4は、乾燥風吹出手段18の整流部材19として2枚の多孔板を2層構造にして使用したときに、ブロード斑Aとシャープ斑Bの両方を顕著に抑制することができる条件を調べたものである。
その結果を表3に示す。表3のaは、多孔板の孔径φ(m)、及び多孔板の孔ピッチδ(m)が、φ<δ(式10)を満たし、且つ2枚の多孔板の孔が重なるようにした場合(即ち、2枚の多孔板の孔の中心が同一直線上になる場合)である。また、表3のbは多孔板の孔径φ(m)、及び多孔板の孔ピッチδ(m)が、φ<δ(式10)を満たし、且つ2枚の多孔板の孔が重ならないようにした場合である(例えば、図5〜図8)。但し、2枚の多孔板の設置間隔を整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))の0.5〜1倍であることを前提とする。
Figure 2007245091
表3の結果から分かるように、各分割ゾーン14A〜14Gの乾燥風42の速度を変えた試験7〜9の何れの場合にも、2枚の多孔板の孔が重ならないbは、重なるaに比べて、ブロード斑A及びシャープ斑Bともに少なかった。特に、試験8のように、塗布機20に近い分割ゾーン14Aの風速を1.0m/sec、次の分割ゾーン14Bの風速を1.5m/secとし、それ以後の分割ゾーン14C〜14Gの風速を0.5m/secとした場合に、bの条件を適用すると、ブロード斑A及びシャープ斑Bともに全く発現しなかった。
本発明の乾燥装置の側面図 本発明の乾燥装置の平面図 本発明の乾燥装置の分割ゾーンをウエブの幅方向で見た断面図 乾燥風吹出手段の概念図 乾燥風吹出手段の整流部材を2枚の多孔板を2層構造にした場合の2枚の多孔板の孔の位置関係を示した説明図 図5の別の態様図 図5の更に別の態様図 図5の更に他の態様図 光学補償シートの製造工程の工程図 実施例1において比較例として使用した乾燥風吹出手段の概念図 乾燥ムラ・P1の説明図 乾燥ムラ・P2の説明図 実施例2の説明図 従来の乾燥方式で発生した斑(ムラ)発生状況図
符号の説明
10…乾燥装置、12…ウエブ、14…乾燥ゾーン、14A〜14G…分割ゾーン、16…乾燥装置本体、17C…送風ダクト、17J…排気ダクト、18A〜18G…乾燥風吹出手段、18H〜18N…乾燥風排気手段、19…整流部材(ハニカム構造の部材)、19…整流部材、20…塗布機、21、23…プレナムチャンバ、22、24、26…パスローラ、28…仕切板、42…乾燥風、50A、50B…多孔板の孔、A…ブロードな斑、B…シャープな斑

Claims (17)

  1. 走行するウエブに有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した塗布膜の乾燥方法において、
    前記塗布直後に乾燥ゾーンを設けて前記走行するウエブの乾燥される塗布膜面を囲み、
    送風ダクトからプレナムチャンバに供給された乾燥風を該プレナムチャンバで拡流してから整流部材で整流し、
    前記拡流及び整流した乾燥風を、前記ウエブ幅方向の一方端側から他方端側に向けて吹き出すことを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
  2. 前記送風ダクトからの乾燥風を、前記プレナムチャンバの内壁面に当てるように供給することを特徴とする請求項1の塗布膜の乾燥方法。
  3. 前記整流部材は、ハニカム構造であると共に、整流格子のセル寸法M(m)、流路幅d(m)、セル長L(m)が式1及び式2の関係にあることを前提としたときに、式3で表される乾燥ムラ・ピッチP1(m)が式4を満足し、且つ式5で表される乾燥ムラ・ピッチP2(m)が式6を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布膜の乾燥方法。
    M≦0.02×d(式1)、
    ≧(6〜8)×M(式2)、
    P1=u×(2×L)÷C(式3)、
    P1≦5×10−3(式4)、
    P2=u×2×π÷C×{(A/L)×(1/V1+1/V2)}−1/2(式5)、
    P2≦5×10−2(式6)、
    但し、空気中の音速C(m/sec)、前記ウエブの搬送速度u(m/sec)、前記プレナムチャンバの容積V1(m)前記乾燥ゾーンの容積V2(m)、整流部材のハニカム構造における1セル分の断面積A(m)とする。
  4. 前記整流部材は、金網であると共に、金網の線材径D(m)、線材の間隔L(m)が式7の関係にあることを前提として、前記乾燥風の給気量Q(m/sec)、整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))、乾燥風の金網通過風速W(m/sec)、空気の動粘度ν(m/sec)=粘度μ(Pa・sec)/密度ρ(kg/m)、が式8及び式9を満たすことを特徴とする請求項1又は2の塗布膜の乾燥方法。
    開口面積比β=(1−D/L)>0.57(式7)、
    W=Q÷(B×H)÷β(式8)、
    L×W÷ν≦50(式9)。
  5. 前記整流部材は、2枚の多孔板を2層構造に配置したものであると共に、2枚の多孔板の設置間隔を整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))の0.5〜1倍であることを前提として、多孔板の孔径φ(m)、及び多孔板の孔ピッチδ(m)が、φ<δ(式10)を満たし、且つ乾燥風の吹き出し方向から見て前記2枚の多孔板の孔が重ならないように配置されていることを特徴とする請求項1又は2の塗布膜の乾燥方法。
  6. 前記整流部材が多孔質体で形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2の塗布膜の乾燥方法。
  7. 前記乾燥風には、前記塗布液と同じ有機溶剤が含有されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1の塗布膜の乾燥方法。
  8. 走行するウエブに塗布機により有機溶剤を含む塗布液を塗布して形成した塗布膜の乾燥装置において、
    前記塗布機の直後に設けられ、前記走行するウエブの乾燥される塗布膜面を囲む乾燥ゾーンを形成する乾燥装置本体と、
    前記乾燥ゾーン内に前記ウエブ幅方向の一方端側から他方端側に向けて乾燥風を吹き出す乾燥風吹出手段と、を有し、
    前記乾燥風吹出手段は、
    前記ウエブ幅方向の一方端側に配置され、前記乾燥風の吹出口が前記ウエブの幅方向を臨む壁面に開口された箱状のプレナムチャンバと、
    前記乾燥風を、前記プレナムチャンバの内壁面に当てるように供給する送風ダクトと、 前記プレナムチャンバ内に設けられ、前記吹出口から吹き出す乾燥風を整流する整流部材と、を備えたことを特徴とする塗布膜の乾燥装置。
  9. 前記ウエブ幅方向の他方端側に前記乾燥風吹出手段に対向配置され、前記吹出口から吹き出された乾燥風を吸引して前記乾燥ゾーンから排気する乾燥風排気手段を設けたことを特徴とする請求項8の塗布膜の乾燥装置。
  10. 前記乾燥ゾーンを、前記ウエブの走行方向に直交する仕切板で仕切って複数の分割ゾーンを形成し、分割ゾーンごとに前記乾燥風吹出手段を設けることを特徴とする請求項8又は9の塗布膜の乾燥装置。
  11. 前記仕切板の上端と前記塗布膜面との間隔は、0.5〜12mmの範囲に設定されていることを特徴とする請求項10の塗布膜の乾燥装置。
  12. 前記整流部材は、ハニカム構造であると共に、整流格子のセル寸法M(m)、流路幅d(m)、セル長L(m)が式1及び式2の関係にあることを前提としたときに、式3で表される乾燥ムラ・ピッチP1(m)が式4を満足し、且つ式5で表される乾燥ムラ・ピッチP2(m)が式6を満足することを特徴とする請求項8〜11の何れか1に記載の塗布膜の乾燥装置。
    M≦0.02×d(式1)、
    ≧(6〜8)×M(式2)、
    P1=u×(2×L)÷C(式3)、
    P1≦5×10−3(式4)、
    P2=u×2×π÷C×{(A/L)×(1/V1+1/V2)}−1/2(式5)、
    P2≦5×10−2(式6)、
    但し、空気中の音速C(m/sec)、前記ウエブの搬送速度u(m/sec)、前記プレナムチャンバの容積V1(m)前記乾燥ゾーンの容積V2(m)、整流部材のハニカム構造における1セル分の断面積A(m)とする。
  13. 前記整流部材は、金網であると共に、金網の線材径D(m)、線材の間隔L(m)が式7の関係にあることを前提として、前記乾燥風の給気量Q(m/sec)、整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))、乾燥風の金網通過風速W(m/sec)、空気の動粘度ν(m/sec)=粘度μ(Pa・sec)/密度ρ(kg/m)、が式8及び式9を満たすことを特徴とする請求項8〜11の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
    開口面積比β=(1−D/L)>0.57(式7)、
    W=Q÷(B×H)÷β(式8)、
    L×W÷ν≦50(式9)。
  14. 前記整流部材は、前記整流部材は、2枚の多孔板を2層構造に配置したものであると共に、2枚の多孔板の設置間隔を整流部材の流路内寸(幅B(m)×高さH(m))の0.5〜1倍であることを前提として、多孔板の孔径φ(m)、及び多孔板の孔ピッチδ(m)が、φ<δ(式10)を満たし、且つ乾燥風の吹き出し方向から見て前記2枚の多孔板の孔が重ならないように配置されていることを特徴とする請求項8〜11の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
  15. 前記乾燥風排気手段は、
    前記ウエブ幅方向の他方端側に配置され、前記乾燥風の排気口が前記ウエブの幅方向を臨む壁面に開口された箱状のプレナムチャンバと、
    前記プレナムチャンバ内に設けられ、前記排気口から吸引された乾燥風を整流する排気側の整流部材と、
    前記プレナムチャンバ内に吸引された乾燥風を排気する排気ダクトと、を備えたことを特徴とする請求項9の塗布膜の乾燥装置。
  16. 前記排気側の整流部材は、請求項12〜14の何れか1であることを特徴とする請求項15の塗布膜の乾燥装置。
  17. 前記ウエブは、予め塗布された配向膜形成用樹脂をラビング処理した配向膜層を有すると共に、前記塗布液は液晶性ディスコティック化合物を含むものであることを特徴とする請求項8〜16の何れか1の塗布膜の乾燥装置。
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