JP4182308B2 - ゴルフボ−ル - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は飛び特性が優れたソリッドタイプのゴルフボ−ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフボ−ルは、糸ゴムを球状に巻き付けて形成した芯をバラタカッバ−で被覆した、いわゆる糸ゴムタイプと、反発係数が高い硬質ゴム製の球芯(コア)を引き裂き抵抗並びに耐摩耗性に優れる樹脂カバ−で被覆した、いわゆるソリッドタイプが一般的であるが、後者の方が飛距離の面で優れているところから、ゴルファ−には、このタイプの方が圧倒的に好評である。
【0003】
しかしながら、ソリッドゴルフボ−ルは、ヒットしたときの比較的硬い打感、ショ−トアイアンによる打球のスピンがかかり難いなど、未だ改良の余地があり、これ等に対して次のような改良例が知られている。
その第1は、コアとカバ−の間に、カバ−よりも硬度が低い比較的薄肉の樹脂製中間層を配置した構造である。
【0004】
そして第2は、上記樹脂中間層をコアとカバ−の間に配置した構造において、例えば特開平10−216270号公報にみられるように、中間層(以下内カバ−と云う)の表面全体に小突起を設け、その外側をカバ−(以下外カバ−と云う)によって被覆したものである。これに類似する構造として、小突起を外カバ−の内周面に設け、上記内カバ−内へ突出させた構造も提案されている。この場合も内カバ−は、通常外カバ−より硬度が低い樹脂材が用いられ、また突起の高さは、内カバ−上に設ける場合、外カバ−の厚みよりも多少低く、また外カバ−側に設けたときは、内カバ−の厚みよりも多少低く設定される場合が多い。そうすることによって、内カバ−より延びる突起相互間には外カバ−材が、または外カバ−より延びる突起相互間には内カバ−材が介在するため、ゴルフボ−ルを半径方向にみたとき小突起の部分は、外カバ−と内カバ−をミックスした性質の第三の層が実質上存在することとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような内カバ−から外カバ−内へ、または外カバ−から内カバ−内へ多数の突起が延びる構造は、上に述べたボ−ルをヒットしたときの打感と、スピンのかかり難さの面で多少の改善はみられるが、十分とは云えず、なお改良の余地を残していると云うのが現状である。
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、打感の改善およびロフトが大きいショ−トアイアンでヒットしたとき、ボ−ルへのスピンが増大し、一方ロフトが小さい、特にドライバ−でヒットしたときは、逆にスピンがかかり難く、従って飛距離が稼げると云う、飛び性能に優れるゴルフボ−ルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記のゴルフボールを提供する。
[1]球状の硬質ゴム製コアを、内側から順に第1カバー、第2カバー及び第3カバーの少なくとも3層のゴム又は樹脂材によって被覆したゴルフボ−ルにおいて、上記第2カバーは、径方向外側に開口する直径0.5〜4mmの多数の小孔を有すると共に、上記第3カバーはその内面に上記第2カバーの小孔内へ延びる多数の突起を形成し、またこれらカバーは、第1、第2、第3カバーの順に硬度が高いことを特徴とするゴルフボ−ル。
[2]上記第2カバーの小孔は、そのカバー厚みの50〜100%の深さを有する請求項1記載のゴルフボ−ル。
[3]上記第2カバーは、50〜500個の小孔を有する請求項1又は2記載のゴルフボ−ル。
[4]上記第1、第2、第3カバーは、それぞれ10〜50°、10〜55°および40〜70°のショアD硬度を有する請求項1、2又は3記載のゴルフボ−ル。
[5]上記ゴム製コアが、ポリイソプレンゴムを主成分とする加硫ゴムにて形成される請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボ−ル。
[6]上記第2カバーの小孔の形状として、円筒状、ボ−ル中心に向かって先細りの円錐形状、又は円錐台状が採用される請求項1〜5のいずれか1項記載のゴルフボ−ル。
[7]上記コア及び/又は上記カバーの外表面に、深さ0.01〜0.2mmの凹凸粗面が形成される請求項1〜6のいずれか1項記載のゴルフボ−ル。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明においては、上記第2カバ−に設けた小孔は0.5〜4mm の直径を有し、50〜500個周上に実質上均等に設けることが好ましい。
また第2カバ−の小孔は、この第2カバ−の厚みの50〜100%が好ましく、70〜100%がより好ましい。
また、上記第1、第2、第3カバ−は、それぞれ10〜50°、10〜55°および40〜70°の範囲のショアD 硬度を有し、且つこれ等硬度範囲において第1、第2、第3カバ−の順に外側カバーほど高いことが好ましい。
【0008】
【実施例】
以下図面に基づき説明する。
図1は本発明をにおける一実施例を示すゴルフボ−ルの断面図であり、図2は、同ボ−ル第2カバ−の平面拡大図であるする。
図1においてゴルフボ−ル1 は、中心部を占めるコア2 を順次被覆した第1カバ−3 、第2カバ−4 および第3カバ-5 よりなる。最も外側の第3カバ−5 の外表面は、図示を省略しているが、常法により多数のディンプルを具備する。
【0009】
コア2 の材質については、特に限定はないが、例えばポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、天然ゴム、シリコンゴム等を主成分とする加硫ゴムを用いることが出来る。しかし、反発性を高めるためには、ポリイソプレンゴムを主成分とする加硫ゴムが好適であり、この実施例において適用している。コア2 の硬さは、100kg の荷重をコア2 に加えたときの変形量として、2〜6mm が好ましい。
【0010】
コア2 と隣り合って配置される第1カバ−3 の材料については、樹脂材料、ゴム材料の何れでもよく、従って特別限定はないが、耐久性の面から耐衝撃性に強いポリエステルエラストマ−、アイオノマ−樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系エラストマ−、水添ブタジエン樹脂等を主成分として用いることができる。
第1カバ−3 の硬さとして、ショアD 硬度が10〜50°、好ましくは15〜35°である。また同カバ−3 の厚みは0.5〜5mm が好ましい。
【0011】
図1において第1カバ−3 と隣り合って配置された、第2カバ−4 の材料についても、樹脂材料、ゴム材料の何れでもよく特に限定はないが、耐久性の面から耐衝撃性に強いポリエステルエラストマ−、アイオノマ−樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系エラストマ−、水添ブタジエン樹脂等を主成分として用いることができる。
第2カバ−4 の硬さとして、ショアD 硬度が10〜55°、好ましくは15〜40°の範囲にあって上記第1カバ−3 の硬度よりも大であることを要する。同カバ−4 の厚みは0.5〜5mm が好ましい
【0012】
図1において第2カバ−4 に近接し、且つ最も外側に配置された第3カバ−5 の材料は、耐摩耗、耐カット性に優れるアイオノマ−樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびバラタゴムを含む混合物を使用することができる。
第3カバ−5 の硬さとして、ショアD 硬度は40〜70°、より好ましくは50〜65°の範囲にあって、上記第2カバ−の硬度よりも大であることを要する。
第3 カバ−4 の厚みは、後述する突起の高さをの除いて0.5〜4.0mm である。
【0013】
第2カバ−4 には、周囲全体に亘り径方向外側に向かって開口した小孔7 が50〜500個実質上均等に配置され(図2)、これら小孔7 内に第3カバ−5 の一部が内側表面より突出進入し充満することによって突起9 を形成している。小孔の直径は最大部分で0.5〜4mm であり、小孔の形状は円筒状、ボ−ル中心に向かって先細りの円錐形状、円錐台状等の形状が考えられ、また深さは内カバ−の厚みの50
0〜100%、好ましくは70〜100%である。図示の例では100%、即ち、円筒状貫通孔を形成している。
【0014】
コア2 、第1カバ−3 、第2カバ−4 それぞれの外側表面には、深さ0.01〜0.2mm の凹凸粗面を形成することができる。そうすることによって、コア2と接する第1カバ−3 、第1カバ−3 と接する第2カバ−4 、そして第2カバ−4 と接する第3カバ−5 それぞれの内表面の一部が上記凹凸粗面に馴染むように入り組み、凹凸界面を形成することとなる。
上記凹凸粗面を形成する場合は、コアおよび第1、第2、第3カバ−それぞれを成形するとき使用する金型の内壁面に、ロ−レット加工、サンドブラスト等のショットブラスト加工、または各種研磨加工を施した金型を用い、凹凸粗面を直接型付けしたり、滑らかな内壁面を備えた金型を用いて形成した成形体(コア、第1および第2カバ−)を、例えば必要な粗さのサンドペ−パ−、または砥石を貼り付けたボ−ルミル内に入れて回転させたり、また成形体に対しセンタレス研磨、バレル研磨、サンドブラスト等のショットブラスト等によって凹凸、または粗面を設けることができる。
【0015】
本発明になる実施例のゴルフボ−ルと、比較例3種類のゴルフボ−ルの間で打撃テストを行い飛び性能を評価した。テストに使用したボ−ルの内容については表1に示し、テスト結果を表2に示す。
【0016】
表1
表2
【0017】
表1において、コア欄の硬さとは、平板上でコアに100kg の荷重を加えたときの変形量を示し、硬度とはショアD 硬度を意味する。
表1には表示を省略しているが、4層構造の実施例1、比較例2および3は、共通してコア半径を17.1mm とし、第1カバ−の厚みを1.2mm 、第2カバ−の厚みを1.3mm 、第3カバ−の厚みを1.7mm した。一方3層構造の比較例1について、コアの半径を17.3mm 、第2カバ−(内カバ−)の厚みを2.0mm 、第3カバ−(外カバ−)の厚みを2.0mm とした。また実施例1、比較例1、2および3には、共通して第2カバ−に対し、図1および2に示す小孔7 として直径1.0mm の円筒状貫通孔を300個周上均等に設けると共に、第1カバ−の内周面にこれ等の小孔を満たす突起9 を形成した。
【0018】
表2において、W1、I9およびSWは、それぞれ1番ウッド、9番アイアンおよびサンドウェッジを意味し、HSはヘッドスピ−ドを、そしてこれと並記はれた2桁の数値はそれ等の値(m/s)である。
【0019】
【発明の効果】
本発明のゴルフボ−ルは、表2に示されているように、全体に比較的ソフトな打感が得られ、ロフトが大きいショ−トアイアンでヒットしたときには、ボ−ルへのスピンが増大し、一方、ロフトが小さいドライバ−でヒットしたときは、逆にスピンがかかり難く、従って飛距離を有利に稼げるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すゴルフボ−ルの断面図。
【図2】図1における第2カバ−の平面拡大図。
【符号の説明】
1 ゴルフボ−ル
2 コア
3 第1カバ−
4 第2カバ−
5 第3カバ−
7 小孔
9 突起
Claims (7)
- 球状の硬質ゴム製コアを、内側から順に第1カバー、第2カバー及び第3カバーの少なくとも3層のゴム又は樹脂材によって被覆したゴルフボ−ルにおいて、上記第2カバーは、径方向外側に開口する直径0.5〜4mmの多数の小孔を有すると共に、上記第3カバーはその内面に上記第2カバーの小孔内へ延びる多数の突起を形成し、またこれらカバーは、第1、第2、第3カバーの順に硬度が高いことを特徴とするゴルフボ−ル。
- 上記第2カバーの小孔は、そのカバー厚みの50〜100%の深さを有する請求項1記載のゴルフボ−ル。
- 上記第2カバーは、50〜500個の小孔を有する請求項1又は2記載のゴルフボ−ル。
- 上記第1、第2、第3カバーは、それぞれ10〜50°、10〜55°および40〜70°のショアD硬度を有する請求項1、2又は3記載のゴルフボ−ル。
- 上記ゴム製コアが、ポリイソプレンゴムを主成分とする加硫ゴムにて形成される請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボ−ル。
- 上記第2カバーの小孔の形状として、円筒状、ボ−ル中心に向かって先細りの円錐形状、又は円錐台状が採用される請求項1〜5のいずれか1項記載のゴルフボ−ル。
- 上記コア及び/又は上記カバーの外表面に、深さ0.01〜0.2mmの凹凸粗面が形成される請求項1〜6のいずれか1項記載のゴルフボ−ル。
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