JP3406856B2

JP3406856B2 - ゴルフボール

Info

Publication number: JP3406856B2
Application number: JP05532099A
Authority: JP
Inventors: 高志丸子; 久山岸; 篤史仲村; 寛増谷
Original assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Current assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Priority date: 1999-03-03
Filing date: 1999-03-03
Publication date: 2003-05-19
Anticipated expiration: 2019-03-03
Also published as: JP2000245874A; US6217463B1

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、少なくともコア、
内層カバー及び外層カバーからなる多層のソリッドゴル
フボールに関し、さらに詳述すると、外層カバーの内表
面に内層カバー内に侵入する凸型リブが形成されている
ゴルフボールに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ゴルフボールの飛距離の増大と良好なフィーリング
性能とを両立させるために様々な検討及び提案が試みら
れており、中でもソリッドコアとカバーとからなるゴル
フボールにおいては、コア及びカバーの硬度や大きさ
（直径、厚み）などを調整することが一般的に行われて
いる。

【０００３】例えば、米国特許第５，４３９，２２７号
公報には、ソリッドコアと内層カバーと外層カバーとか
らなるスリーピースゴルフボールにおいて、内層カバー
より外層カバーを硬く形成したゴルフボールが提案され
ている。また、米国特許第５，４９０，６７４号公報に
は、内層と外層とからなるソリッドコアにカバーを被覆
してなるスリーピースゴルフボールにおいて、内層コア
を外層コアより硬く形成したゴルフボールが提案されて
いる。

【０００４】上記のようなゴルフボールを構成する各層
の境界面は、凹凸のない滑らかな球面であることが一般
的であるが、米国特許第２，３７６，０８５号公報、同
第５，６９２，９７３号公報には、ソリッドコアの周囲
にカバーをインジェクション成形する際に、コアの偏心
を抑制する目的で、コアの表面に複数の突起を設けたゴ
ルフボールが提案されている。

【０００５】しかし、上述したゴルフボールにおけるコ
ア表面の突起は、インジェクション成形時のサポートピ
ンの代用を図るためのものであり、このサポートピン様
突起の形状効果について積極的に活用を試みているもの
ではない。すなわち、前記提案は、ソリッドコアの偏心
を抑制するとともに、カバー内に異なる材質の材料が入
らないようにする技術に関し、カバー層が均一な厚みに
なるようにカバーと同一の材料にてコア表面に突起を形
成することにより、突起とカバーとを一体化させるもの
であって、突起自体がボール性能に関与するものではな
い。

【０００６】また最近、ツーピースゴルフボールのソリ
ッドコアとカバー、多層ソリッドコアの隣接する層、多
層カバーの隣接する層の間などに凹凸を設けたゴルフボ
ールが提案されている（特開平９−２８５５６５号公
報）。このゴルフボールは、打撃時にボールに加わる外
力の方向によってプレーヤーに異なる打感を与えること
ができるものである。

【０００７】しかし、上記ゴルフボールは、打感の点で
は改良されているが、飛び性能の向上、耐久性などの点
で十分なものではなく、さらなる改良の余地を残してい
た。

【０００８】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、外層カバーの内表面に内層カバー内に侵入する凸型
リブが形成されている内部構造を有し、従来のソリッド
ゴルフボールにない優れた飛距離性能、コントロール性
能、打感を達成できるゴルフボールを提供することを目
的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、前記目的を達成するために、ゴルフボール
を構成する各層間の形状効果、すなわち、凸型リブ形状
を構成する部材の断面２次モーメントを増大させること
により、部材の硬度を硬くすることなく、効率的に曲げ
強度を補強できることに着目して鋭意検討を行った。

【００１０】その結果、ゴルフボールの外層カバーの内
表面に内層カバー内に侵入する凸型リブを形成するとと
もに、外層カバーの硬度を内層カバーの硬度より高くし
た場合、リブの形状効果によって凸型リブを構成する部
材の曲げ強度が増大するため、ドライバー等によって比
較的速いヘッドスピードで打撃した時には、バックスピ
ン量が低減して飛距離が増大するとともに、ショートア
イアン等によって比較的遅いヘッドスピードで打撃した
時には、部材硬度を従来よりも高くすることがないの
で、良好なコントロール性能と軟らかいフィーリングが
維持されることを見出した。

【００１１】さらに、本発明者らは検討を続けた結果、
外層カバーの内表面に想定した正８面体又は正２０面体
を利用して後述する特定の態様で前記凸型リブを網目状
に配置した場合、前記飛距離、コントロール性能、フィ
ーリングがより向上するとともに、リブ形状の配置が均
一となるため、リブ形状による補強効果を最大限に効率
良く発揮することができ、またシンメトリー性の確保に
も役立つという利点が得られることを知見した。

【００１２】本発明は、前記知見に基づいてなされたも
ので、下記（１）〜（４）のゴルフボールを提供する。（１）少なくともコア、内層カバー及び外層カバーから
なり、外層カバーの内表面に内層カバー内に侵入する凸
型リブが形成されているとともに、外層カバーの硬度が
内層カバーの硬度より高く、かつ、外層カバーの内表面
に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三角形の頂
点をＡ点、中心をＢ点、各辺の中点をＣ点、中心Ｂと各
頂点Ａとを結ぶ線上の点をＤ点としたときに、Ａ点とＤ
点とを結ぶ線、Ｂ点とＤ点とを結ぶ線及びＣ点とＤ点と
を結ぶ線に沿って、幅が０．３〜２．５ｍｍ、長さが
３．０〜１５．０ｍｍの前記凸型リブが網目状に配置さ
れていることを特徴とするゴルフボール。

【００１３】（２）少なくともコア、内層カバー及び外
層カバーからなり、外層カバーの内表面に内層カバー内
に侵入する凸型リブが形成されているとともに、外層カ
バーの硬度が内層カバーの硬度より高く、かつ、外層カ
バーの内表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球
面三角形の頂点をＡ点、中心をＢ点、各辺の中点をＣ
点、中心Ｂと各頂点Ａとを結ぶ線上の点をＤ点としたと
きに、Ａ点とＤ点とを結ぶ線、Ｂ点とＣ点とを結ぶ線及
びＣ点とＤ点とを結ぶ線に沿って、幅が０．３〜２．５
ｍｍ、長さが３．０〜１５．０ｍｍの前記凸型リブが網
目状に配置されていることを特徴とするゴルフボール。

【００１４】（３）少なくともコア、内層カバー及び外
層カバーからなり、外層カバーの内表面に内層カバー内
に侵入する凸型リブが形成されているとともに、外層カ
バーの硬度が内層カバーの硬度より高く、かつ、外層カ
バーの内表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球
面三角形の頂点をＡ点、中心をＢ点、各辺を三等分する
点をＥ点としたときに、Ａ点とＥ点とを結ぶ線、Ｂ点と
Ｅ点とを結ぶ線及びＥ点とＥ点とを結ぶ線に沿って、幅
が０．３〜２．５ｍｍ、長さが３．０〜１５．０ｍｍの
前記凸型リブが網目状に配置されていることを特徴とす
るゴルフボール。

【００１５】（４）少なくともコア、内層カバー及び外
層カバーからなり、外層カバーの内表面に内層カバー内
に侵入する凸型リブが形成されているとともに、外層カ
バーの硬度が内層カバーの硬度より高く、かつ、外層カ
バーの内表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球
面三角形の頂点をＡ点、各辺の中点をＣ点としたとき
に、Ａ点とＣ点とを結ぶ線及びＣ点とＣ点とを結ぶ線に
沿って、幅が０．３〜２．５ｍｍ、長さが３．０〜１
５．０ｍｍの前記凸型リブが網目状に配置されているこ
とを特徴とするゴルフボール。

【００１６】以下、本発明につき図面を参照して詳しく
説明する。図１は本発明に係るゴルフボールの一例を模
式的に示す断面図である。本発明のゴルフボールは、少
なくともソリッドコア２と、該コア２を被覆する内層カ
バー４と、この内層カバー４を被覆する外層カバー６と
から構成されている。また、外層カバー６の硬度は内層
カバー４の硬度より高い。

【００１７】本発明において、コアの１００ｋｇ荷重負
荷時の変形量は２．５〜８．０ｍｍ、特に２．５〜６．
０ｍｍであることが好ましい。コアの上記変形量が２．
５ｍｍ未満であるとコアが硬すぎて打感が悪くなること
があり、８．０ｍｍを超えるとコアが軟らかすぎて反発
性を確保できない場合が生じる。

【００１８】また、外層カバーの硬度はショアＤ硬度で
５６以上、特に５８〜６８であることが望ましく、外層
カバーと内層カバーとの硬度差はショアＤ硬度で５以
上、特に１０以上であることが適当である。外層カバー
のショアＤ硬度が５６未満であると外層カバーが軟らか
すぎてリブの効果が十分に得られないことがあり、６８
を超えるとカバー割れが生じるなど耐久性に問題が生じ
ることがある。また、前記硬度差が５未満であると、両
層の硬度差が小さくなりすぎてリブの効果が十分に得ら
れなくなる。

【００１９】本発明のゴルフボールは、外層カバー６の
内表面に内層カバー４内に侵入する凸型リブ８が形成さ
れている。この場合、本発明では、リブが下記（１）〜
（４）の態様により網目状に配置されている。

【００２０】（１）図２に示すように、外層カバーの内
表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三角形
２０の頂点をＡ点、中心（内心：内接円の中心）をＢ
点、各辺の中点をＣ点、中心Ｂと各頂点Ａとを結ぶ線上
の点（本例では中点）をＤ点としたときに、Ａ点とＤ点
とを結ぶ線２２、Ｂ点とＤ点とを結ぶ線２４及びＣ点と
Ｄ点とを結ぶ線２６に沿ってリブ８を配置する態様。具
体例を図３に示す。図３は、外層カバーの内表面に想定
した正８面体を用いて、内層カバー４の外表面に、外層
カバーの内表面のリブに対応する凹部１２を（１）の態
様で形成した例を示している。

【００２１】（２）図４に示すように、外層カバーの内
表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三角形
２０の頂点をＡ点、中心をＢ点、各辺の中点をＣ点、中
心Ｂと各頂点Ａとを結ぶ線上の点（本例では中点）をＤ
点としたときに、Ａ点とＤ点とを結ぶ線２２、Ｂ点とＣ
点とを結ぶ線２８及びＣ点とＤ点とを結ぶ線に沿ってリ
ブ８を配置する態様。具体例を図５に示す。図５は、外
層カバーの内表面に想定した正８面体を用いて、内層カ
バー４の外表面に、外層カバーの内表面のリブに対応す
る凹部１２を（２）の態様で形成した例を示している。

【００２２】（３）図６に示すように、外層カバーの内
表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三角形
２０の頂点をＡ点、中心をＢ点、各辺を三等分する点を
Ｅ点としたときに、Ａ点とＥ点とを結ぶ線３０、Ｂ点と
Ｅ点とを結ぶ線３２及びＥ点とＥ点とを結ぶ線３４に沿
ってリブ８を配置する態様。具体例を図７に示す。図７
は、外層カバーの内表面に想定した正８面体を用いて、
内層カバー４の外表面に、外層カバーの内表面のリブに
対応する凹部１２を（３）の態様で形成した例を示して
いる。

【００２３】（４）図８に示すように、外層カバーの内
表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三角形
２０の頂点をＡ点、各辺の中点をＣ点としたときに、Ａ
点とＣ点とを結ぶ線３６及びＣ点とＣ点とを結ぶ線３８
に沿ってリブ８を配置する態様。具体例を図９に示す。
図９は、外層カバーの内表面に想定した正２０面体を用
いて、内層カバー４の外表面に、外層カバーの内表面の
リブに対応する凹部１２を（４）の態様で形成した例を
示している。

【００２４】なお、本発明では、シンメトリー性を損な
わないのであれば、前述した各線の一部のみに沿ってリ
ブを配置してもよい。図１０にその例を示す。図１０の
例は、図６に示したリブ配列において、正８面体又は正
２０面体の各球面三角形２０のＥ点とＥ点とを結ぶ線３
４の内、同じ辺上にある２つのＥ点を結ぶ線に沿って配
置したリブを取り除いたものである。

【００２５】本発明のゴルフボールでは、前記のように
してリブを網目状に配置するとともに、図１１に示すよ
うに、必要に応じリブ８に複数の切り欠き１０を形成す
ることができる。このような切り欠き１０を形成した場
合、前述した飛距離、コントロール性能、フィーリング
がさらに向上するとともに、外表面にリブに対応する凹
部を有する内層カバーをインジェクション成形する際
に、前記切り欠きの部分が成形時における樹脂の流動経
路として機能し、これにより内層カバーが良好に成形さ
れて、ゴルフボールのシンメトリー性が向上する。この
場合、図１１に示すように、上記流動経路としての機能
が効果的に発揮される点で、リブ８が交差すること及び
リブ８がリング状をなすことが切り欠き１０により防止
されていることが望ましい。

【００２６】切り欠き１０の幅ａ（隣接するリブ８間の
距離、図１１参照）は０．５〜１０．０ｍｍ、特に２．
０〜８．０ｍｍとすることが好ましい。切り欠きの幅ａ
が０．５ｍｍより小さいと成形時に切り欠きの部分を樹
脂が良好に流れないことがあり、１０．０ｍｍを超える
とゴルフボールのシンメトリー性に問題が生じることが
ある。

【００２７】なお、図２〜図１０に示したように軸線が
直線状とならないリブが隣接している場合、前述した切
り欠き１０の幅ａ（隣接するリブ８間の距離）は、図１
２に示すように、隣接するリブの軸線の交点を通過する
距離とする。すなわち、切り欠き１０の幅ａは、距離ａ
1及び距離ａ2の合計とする。

【００２８】リブ８の幅ｂは、０．３〜２．５ｍｍ、特
に０．５〜２．０ｍｍであることが適当である。リブ８
の幅ｂが０．３ｍｍより小さいとリブが細すぎてリブの
効果が十分に得られないことがあり、２．５ｍｍを超え
るとリブが太すぎて打撃時のフィーリングとゴルフボー
ルのシンメトリー性が悪化することがある。また、切り
欠き１０によって区画されたリブ８の長さｃは３．０〜
１５．０ｍｍ、特に４．０〜１０．０ｍｍとすることが
好ましい。

【００２９】切り欠き１０の形状は、金型作製時の工具
を選択することにより、任意の形状とすることができ
る。例えば、切り欠き１０の形状としては、図１３に示
すように、リブ８を横方向から見た場合に円弧状となる
もの（ａ）、矩形状となるもの（ｂ）、台錐状となるも
の（ｃ）等が挙げられる。

【００３０】さらに、リブ８の高さｄは、内層カバーの
厚さｅの０．３〜１．０倍、特に０．５〜１．０倍であ
ることが適当である（図１参照）。上記割合が０．３よ
り小さいとリブが低すぎてリブの効果が十分に得られな
いことがある。

【００３１】また、外層カバー６のリブ８を含まない厚
さｆは０．５〜３．０ｍｍ、特に０．８〜２．５ｍｍで
あることが適当である。外層カバーの上記厚さｆが０．
５ｍｍより小さいとリブをうまく成形できないことがあ
り、３．０ｍｍを超えると外層カバーが厚くなりすぎて
打感が悪くなることがある。

【００３２】次に、本発明のゴルフボールを構成する各
層成分について説明する。本発明のゴルフボールにおい
て、ソリッドコアの材質としては、基材ゴムとして、例
えば１，４−シスポリブタジエン、ポリイソプレン、天
然ゴム、シリコーンゴム等を主成分として挙げることが
でき、特に反発性を向上させるために、１，４−シスポ
リブタジエンを主成分とすることが推奨される。

【００３３】上記ゴム成分以外に架橋剤としてメタクリ
ル酸亜鉛、アクリル酸亜鉛等の不飽和脂肪酸の亜鉛塩、
マグネシウム塩やトリメチルプロパンメタクリレート等
のエステル化合物などを配合し得るが、特に反発性の高
さからアクリル酸亜鉛を好適に使用し得る。これら架橋
剤の配合量は、上記基材ゴム１００重量部に対し１５〜
４０重量部であることが好ましい。また、加硫剤の配合
量は基材ゴム１００重量部に対し０．１〜５重量部とす
ることができる。

【００３４】ゴム組成物には、さらに必要に応じて、老
化防止剤や比重調整用の充填剤として酸化亜鉛や硫酸バ
リウム等を配合することができ、充填剤の配合量は、基
材ゴム１００重量部に対し５〜１３０重量部である。

【００３５】ソリッドコア用ゴム組成物の好適な実施態
様は、以下に示す通りである。１，４−シスポリブタジエン１００重量部酸化亜鉛５〜４０重量部アクリル酸亜鉛１５〜４０重量部硫酸バリウム０〜４０重量部パーオキサイド０．１〜５．０重量部加硫条件：好ましくは１５０±１０℃の条件で５〜２０
分間加硫を行う。

【００３６】そして、上記コア用ゴム組成物は、通常の
混練機（例えばバンバリーミキサー、ニーダー及びロー
ル等）を用いて混練し、得られたコンパウンドをコア用
金型を用いてインジェクション成形又はコンプレッショ
ン成形により成形する。

【００３７】なお、コアは多層構造に形成することもで
き、例えば、内核と該内核を被覆する包囲層とからなる
多層構造にすることができる。ここで、内核は、前記コ
ア用ゴム組成物と同様のゴム組成物にて形成でき、また
包囲層は、ゴム系材料でも形成できるが、アイオノマー
樹脂、ナイロン等のアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ハ
イトレル等のポリエステル系エラストマーなどの樹脂系
材料にて形成することが好ましい。また、包囲層の厚さ
（ｍｍ）と内核の直径（ｍｍ）との比率は、１：９〜
１：７２、特に１：１１〜１：３６であることが好まし
い。

【００３８】このようにして得られたソリッドコアは、
その直径が好ましくは２９．０〜３８．０ｍｍ、より好
ましくは３０．０〜３７．０ｍｍ、さらに好ましくは３
２．０〜３７．０ｍｍ、ショアＤ硬度が好ましくは２０
〜５０、より好ましくは２５〜４５であり、重量は通常
１２〜３６．０ｇ程度である。

【００３９】内層カバーの材料に関しては、特に制限な
く、樹脂材料及びゴム材料のいずれでもよいが、耐久性
を考慮して耐衝撃性の良い樹脂材料を用いることが好ま
しい。例えば、ポリエステルエラストマー等のポリエス
テル樹脂、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、スチ
レン系エラストマー、水添ブタジエン樹脂及びこれらの
混合物などが挙げられるが、特にポリエステルエラスト
マー等のポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂を主成
分とすることが推奨される。具体的には、ハイトレル３
０７８，４０４７，４７６７（東レ・デュポン社製）等
の市販品を用いることができる。この場合、内層カバー
の硬度は、ショアＤ硬度で１０〜５０、特に１５〜４５
とすることが好ましい。

【００４０】本発明では、リブが外層カバー内表面から
コア方向に延びるようにする。すなわち、外層カバーが
内層カバーに対して侵入するようにする。そのために
は、内層カバーの成形と同時にその表面に凹部を形成す
ることが好ましい。具体的には、内層カバー成形用金型
のキャビティ内面に凹部に対応した凸部を形成してお
き、この金型を用いて通常の成形を行うことにより、外
表面に多数の凹部を形成した内層カバーがコアの周囲に
被覆される。

【００４１】そして、この表面に凹部を形成した内層カ
バーの周囲に外層カバー材を通常のインジェクション成
形又はコンプレッション成形（好ましくはインジェクシ
ョン成形）により被覆形成することで、内層カバー内に
リブが形成される。

【００４２】外層カバーの材質は特に制限されず、公知
の外層カバー材料を用いることができ、例えばアイオノ
マー樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及び
バラタゴム等から任意に選択することができるが、特に
アイオノマー樹脂が好ましく、具体的には、「サーリ
ン」（デュポン社製）、「ハイミラン」（三井・デュポ
ンポリケミカル社製）などの市販品を用いることができ
る。

【００４３】上記外層カバー材には所望により二酸化チ
タン、硫酸バリウム等を添加して、比重などを調整する
ことができる。さらに、必要に応じてＵＶ吸収剤、酸化
防止剤、金属石鹸等の分散剤などを添加することもでき
る。なお、外層カバーは１種の材料からなる単層構造と
してもよく、異種の材料からなる層を積層した２層以上
の多層構造としてもよい。

【００４４】このようにして得られたゴルフボールは、
その表面に多数のディンプルが形成されており、必要に
応じて表面に塗装及びスタンプなどの仕上げ処理を施す
ことができる。また、ボール全体の硬度は１００ｋｇの
荷重を負荷した時に生じる変形量で好ましくは２．６〜
４．０ｍｍ、より好ましくは２．８〜３．８ｍｍであ
り、ボール直径及び重量はＲ＆Ａのゴルフ規則に従い、
直径４２．６７ｍｍ以上、重量４５．９３ｇ以下に形成
することができる。

【００４５】

【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるもの
ではない。なお、表１の配合量は全て重量部である。

【００４６】［実施例、比較例]表１に示した配合処方
のコア用ゴム組成物をニーダーで混練し、コア用金型内
で１５５℃の温度で約１５分間加硫することにより、実
施例１〜５、比較例１〜４のゴルフボールのソリッドコ
アを作製した。

【００４７】

【表１】

【００４８】表１に示した配合処方の内層カバー用組成
物を混練後、前記コアの周囲にインジェクション成形で
被覆した。得られた内層カバーの周囲に表１に示した配
合処方の外層カバー材をインジェクション成形により被
覆し、通常の塗装を施して実施例１〜５及び比較例１〜
３のゴルフボールを作製した。また、比較例４のゴルフ
ボールは、前記コアの周囲に表１に示した配合処方の外
層カバー材をインジェクション成形により被覆して作製
した。

【００４９】この場合、実施例１〜３、比較例１の内層
カバー成形用金型にはキャビティ内周面に凸部が形成さ
れており、内層カバーの成形と同時にその外表面に凸型
リブに対応する凹部が形成された。そして、これら凹部
に外層カバー材が侵入し、内層カバー内に凸型リブが形
成された。このようにして形成した凸型リブは、前記
の態様（正８面体配列）で網目状に配置されているもの
であった。

【００５０】なお、実施例１はコアが大きいボール、実
施例３はコアが小さいボール、実施例２はコアの大きさ
が実施例１と実施例３の中間のボール、実施例４は内層
カバーをポリウレタン樹脂で形成したボール、実施例５
はコアが硬いボール、比較例１は外層カバーの硬度が内
層カバーの硬度より低いボール、比較例２，３はリブを
設けないスリーピースボール、比較例４はリブを設けな
いツーピースボールである。

【００５１】次いで、得られたゴルフボールについて、
下記の方法により飛び性能及び打球感を評価した。結果
を表２に示す。飛び性能ゴルフボールをスイングロボットにより下記のヘッドス
ピードにて打撃し、初速、飛距離及びスピン量を測定し
た。ドライバー（Ｗ＃１）、ヘッドスピード４５ｍ／ｓ
（ＨＳ４５）、ロフト１１° ドライバー（Ｗ＃１）、ヘッドスピード３５ｍ／ｓ
（ＨＳ３５）、ロフト１４° なお、試験に使用したドライバーはＴｏｕｒＳｔａｇ
ｅＸ１００（ブリヂストンスポーツ（株）製）。

【００５２】打感ゴルフボールをプロゴルファー３名により、ドライバー
を用いて打撃した時の打球感について下記基準により評
価した。 ◎：非常に優れている ○：優れている △：普通 ×：劣る

【００５３】

【表２】

【００５４】

【発明の効果】本発明のゴルフボールは、ドライバー等
によって比較的速いヘッドスピードで打撃した時には、
バックスピン量が低減して飛距離が増大するとともに、
ショートアイアン等によって比較的遅いヘッドスピード
で打撃した時には、バックスピン量が増大して良好なコ
ントロール性能が維持される。また、打撃したときの打
球感についても、ドライバーでのショット時には軟らか
く良好なフィーリングが得られ、ショートアイアンでの
ショット時にはしっかりとしたコシのある良好なフィー
リングが得られる。さらに、外層カバーの内表面に想定
した正８面体又は正２０面体を利用して特定の態様で凸
型リブを網目状に配置したので、前記飛距離、コントロ
ール性能、フィーリングがより向上するとともに、シン
メトリー性の確保と成形の簡便さを得ることができると
いう利点が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るゴルフボールの一例を模式的に示
す断面図である。

【図２】リブを網目状に配置する態様の一例を示す説明
図である。

【図３】内層カバーの外表面に外層カバーの内表面のリ
ブに対応する凹部を形成した例を示す平面図である。

【図４】リブを網目状に配置する態様の一例を示す説明
図である。

【図５】内層カバーの外表面に外層カバーの内表面のリ
ブに対応する凹部を形成した例を示す平面図である。

【図６】リブを網目状に配置する態様の一例を示す説明
図である。

【図７】内層カバーの外表面に外層カバーの内表面のリ
ブに対応する凹部を形成した例を示す平面図である。

【図８】リブを網目状に配置する態様の一例を示す説明
図である。

【図９】内層カバーの外表面に外層カバーの内表面のリ
ブに対応する凹部を形成した例を示す平面図である。

【図１０】リブを網目状に配置する態様の一例を示す説
明図である。

【図１１】凸型リブが形成されている外層カバー内面を
模式的に示す平面図である。

【図１２】軸線が直線状とならないリブが隣接している
場合における切り欠きの幅を示す説明図である。

【図１３】切り欠きの形状例を示す側面図である。

【符号の説明】

２ソリッドコア４内層カバー６外層カバー８凸型リブ１０切り欠き

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者増谷寛埼玉県秩父市大野原20番地ブリヂストンスポーツ株式会社内 (56)参考文献特開平10−216270（ＪＰ，Ａ) 特開平10−258141（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A63B 37/04 A63B 37/12

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくともコア、内層カバー及び外層カ
バーからなり、外層カバーの内表面に内層カバー内に侵
入する凸型リブが形成されているとともに、外層カバー
の硬度が内層カバーの硬度より高く、かつ、外層カバー
の内表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三
角形の頂点をＡ点、中心をＢ点、各辺の中点をＣ点、中
心Ｂと各頂点Ａとを結ぶ線上の点をＤ点としたときに、
Ａ点とＤ点とを結ぶ線、Ｂ点とＤ点とを結ぶ線及びＣ点
とＤ点とを結ぶ線に沿って、幅が０．３〜２．５ｍｍ、
長さが３．０〜１５．０ｍｍの前記凸型リブが網目状に
配置されていることを特徴とするゴルフボール。
【請求項２】少なくともコア、内層カバー及び外層カ
バーからなり、外層カバーの内表面に内層カバー内に侵
入する凸型リブが形成されているとともに、外層カバー
の硬度が内層カバーの硬度より高く、かつ、外層カバー
の内表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三
角形の頂点をＡ点、中心をＢ点、各辺の中点をＣ点、中
心Ｂと各頂点Ａとを結ぶ線上の点をＤ点としたときに、
Ａ点とＤ点とを結ぶ線、Ｂ点とＣ点とを結ぶ線及びＣ点
とＤ点とを結ぶ線に沿って、幅が０．３〜２．５ｍｍ、
長さが３．０〜１５．０ｍｍの前記凸型リブが網目状に
配置されていることを特徴とするゴルフボール。
【請求項３】少なくともコア、内層カバー及び外層カ
バーからなり、外層カバーの内表面に内層カバー内に侵
入する凸型リブが形成されているとともに、外層カバー
の硬度が内層カバーの硬度より高く、かつ、外層カバー
の内表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三
角形の頂点をＡ点、中心をＢ点、各辺を三等分する点を
Ｅ点としたときに、Ａ点とＥ点とを結ぶ線、Ｂ点とＥ点
とを結ぶ線及びＥ点とＥ点とを結ぶ線に沿って、幅が
０．３〜２．５ｍｍ、長さが３．０〜１５．０ｍｍの前
記凸型リブが網目状に配置されていることを特徴とする
ゴルフボール。
【請求項４】少なくともコア、内層カバー及び外層カ
バーからなり、外層カバーの内表面に内層カバー内に侵
入する凸型リブが形成されているとともに、外層カバー
の硬度が内層カバーの硬度より高く、かつ、外層カバー
の内表面に想定した正８面体又は正２０面体の各球面三
角形の頂点をＡ点、各辺の中点をＣ点としたときに、Ａ
点とＣ点とを結ぶ線及びＣ点とＣ点とを結ぶ線に沿っ
て、幅が０．３〜２．５ｍｍ、長さが３．０〜１５．０
ｍｍの前記凸型リブが網目状に配置されていることを特
徴とするゴルフボール。
【請求項５】コアの１００ｋｇ荷重負荷時の変形量が
２．５〜８．０ｍｍ、外層カバーの硬度がショアＤ硬度
で５６〜６８、内層カバーの硬度がショアＤ硬度で１０
〜５０であり、外層カバーと内層カバーとの硬度差がシ
ョアＤ硬度で１０以上である請求項１〜４のいずれか１
項に記載のゴルフボール。
【請求項６】外層カバーの凸型リブを含まない厚さが
０．５〜３．０ｍｍである請求項１〜５のいずれか１項
に記載のゴルフボール。
【請求項７】リブの高さが内層カバーの厚さの０．３
〜１．０倍である請求項１〜６のいずれか１項に記載の
ゴルフボール。
【請求項８】コアの主成分が１，４−シスポリブタジ
エン、コアの直径が２９．０〜３８．０ｍｍ、内層カバ
ーの主成分がポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂で
ある請求項１〜７のいずれか１項に記載のゴルフボー
ル。