JP3157248U - 楕円形ディンプルゴルフボール - Google Patents

Abstract

【課題】楕円形ディンプルゴルフボールを提供する。【解決手段】球体の表面に、短軸の１．２倍以上の長軸を有する楕円形の周囲縁であって、その周囲縁において乱流が発生する深さを有するディンプル２を複数個形成する。楕円形ディンプルは前記球体を三角形多面体と仮想するとき、区分した場合の各稜線上に楕円形長軸が位置するように形成する。スピンしながら飛行するゴルフボールは楕円形ディンプルの周囲縁で形成される渦が楕円形ディンプルの周囲縁に沿って流れる結果、ディンプルによる揚力を受けながらスピン量が増大しても、抗力を増大させないので、同一初速度では円形ディンプルより長い飛距離を得ることができる。【選択図】図１

Description

この考案は、ゴルフボールの飛距離を大きくするために設けられるディンプルを楕円形としたゴルフボールに関する。

従来、ゴルフボールにおいては２０〜７０ｍ／secの速度で回転しながら飛行するため、この速度領域ではディンプルのないものよりも周囲縁が円形（以下単に円形という）のディンプルを有するものの方が抗力が小さく、同じ初速度を与えられると、長い飛距離を得ることができることは広く認識されている。そして、低速では大きな円形ディンプルが好ましく、高速では小さな円形ディンプルが好ましいことも広く知られている。

そこで、近年、ゴルフボールの飛距離に影響を与える揚抗比（揚力／抗力）を大きくすることを念頭にディンプルの形状、ディンプルの断面形状が種々検討されている。例えば、ディンプルの表面形状を三角形とし、所定の間隔をおいて分散配置し、逆三角錐形状とするもの（特許文献１）、ディンプルの表面形状を三角形とし、所定の間隔をおいて分散配置し、逆円錐形状の断面形状とするもの（特許文献２）、ディンプルの表面形状を多角形状とし、隣接するディンプルの境界にリッジ形状を形成するもの（特許文献３）が提案されている。

すなわち、従来のゴルフボールにおいては揚抗比（揚力／抗力）を大きくするためにはいずれにしてもディンプルは必須のものであり、要すれば隣接するディンプル間には所定の平面又はリッジ部が必要であるとの考えが支配的であった。

米国特許第４，８３０，３７８号明細書 特開平０６−１９００８２号公報 特開２００５−１８５３４１号公報

しかしながら、ゴルフボールの表面に円形ディンプルを形成することは揚力を上げ、抗力を減少させるには必要であるが、考案者らの知見では回転しながら飛行するボールにとって従来のゴルフボール表面の円形ディンプルはそこで発生するスピンの量の増大により逆に抗力も増大させることが見出された。

そこで、本考案は、スピン量が増大しても揚抗比（揚力／抗力）を大きくすることのできるようにしたゴルフボールを提供することを課題とする。

本考案者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、空気力学実験およびその考察から従来の考え方は必ずしも正しいものでないことがわかった。すなわち、回転しながら飛行するゴルフボールはその最大径付近に剥離点が存在し、その剥離点からゴルフボールの後方に発生する渦の影響により抗力が発生し、その剥離幅の影響を大きく受ける。そのため、従来は、円形ディンプルの形成によりこの渦の剥離位置をより後方に移動させ、剥離幅を縮小させて抗力を減少させるとともに、ディンプルによるゴルフボールの上下の空気流速差により揚力を得ようとするもので、円形ディンプルの形成は必須であるとする考えである。しかしながら、回転しながら飛行するゴルフボールと周囲空気との間にはディンプルにおける渦の発生は避けられないものの、ディンプルを形成しない場合揚力が得られず、十分な飛距離が得られないことが見出された。

本考案は、上記知見に基づいてなされたもので、ディンプルは形成するものの、そのディンプル形状を短軸に対し１．２倍以上の長軸を有する周囲縁が楕円形で、その周囲縁において乱流が発生する深さを有する楕円形ディンプルとすると、円形ディンプルと違ってディンプルの周囲縁部で形成される渦が時間差をもって形成され、発生した渦が楕円形ディンプルの周囲縁に沿って流れる結果、ディンプルによる揚力を受けながらスピン量が増大しても、抗力を増大させず、同じ初速であっても飛距離を５％以上向上させることを見出した。

本考案は球体または多面体からなる疑似球体の表面に、短軸の１．２倍以上、より好ましくは２倍以上５倍までの長軸を有する周囲縁が楕円形のディンプルを複数個形成してなることを特徴とする楕円形ディンプルゴルフボールにある。ここで、楕円形ディンプルの深さは乱流を発生させるに必要な深さが必要であり、通常０．２から０．５ｍｍの範囲で形成される。本考案において、惰円形とは短軸より１．２倍以上長い長軸を有するものをいい、ボールのスピンによって周囲縁で形成される乱流が周囲縁に沿って流れ易い形状である点で円形と区別されるものであり、幾何学上の種々の楕円形、変形楕円形等を含むものである。

本考案における楕円形ディンプルの形成は、ボール表面全体に均一に形成するのが好ましく、前記球体を三角形多面体と仮想して区分した場合の各稜線上に楕円形長軸が位置するように楕円形ディンプルを形成するのが好ましい。三角形多面体では８０面体以上３２０面体程度が好ましい。

楕円形のディンプルの形状によっては揚力を向上させるために、適宜楕円形に代えて円形ディンプルを形成してもよい。

従来の円形ディンプルでは周囲縁で形成される渦が滞留する傾向にあるが、本考案によれば、ボール表面のディンプルを楕円形で構成することによりディンプル周囲縁で形成される渦は時間差をもって形成される結果、楕円形周囲縁に沿って流れ、滞留することがない。したがって、円形ディンプルを形成したゴルフボールに比してスピン量が増大しても、抗力を増大させない結果、飛距離が向上する。

本考案の第１の実施形態によるゴルフボールの全体を示す斜視図である。 第２の実施形態を示す斜視図である。 第３の実施形態を示す斜視図である。 第２の実施形態の模式図である。 図４のA-A線断面図である。 図４のB-B線断面図である。

以下、本考案を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図１は本考案の一実施形態によるゴルフボールの光造形写真を示す。図において、１はおよそ直径43ｍｍの球体をなすゴルフボールであって、三角形の仮想１８０面体で形成した稜線に沿って短軸に対し３．７倍長の長軸となる楕円形ディンプル２を形成し、ディンプルの深さ０．３ｍｍとしたものである。

図２は球体をなすゴルフボール１１の光造形写真であって、三角形の仮想１８０面体で形成した稜線に沿って短軸に対し１．９倍、即ちおよそ２倍長の長軸を形成し、深さ０．３ｍｍとした楕円形ディンプル１２を形成してある。図４は図２の模式線図で、図５は図４のA-A線拡大断面図、図６は図４のB-B線拡大断面図、である。

図３は球体をなすゴルフボール２１の光造形写真であって、三角形の仮想３２０面体で形成した稜線に沿って短軸に対し４．０倍長の長軸を形成し、深さ０．３ｍｍとした楕円形ディンプル２２を形成してある。

本考案ではディンプルの周囲縁を楕円形とし、周囲縁で乱流を時間差をもって発生させ、形成される渦を楕円形周囲縁に沿って流すようにすることを要旨とし、当業者であれば、その要旨を逸脱することなく、変形および修正を加えることができる。

１，１１,２１ 球体からなるゴルフボール
２，１２，２２ 楕円形ディンプル

Claims (1)

1. ゴルフボールの球体表面に、球体を三角形多面体と仮想するとき、その各稜線に長軸が沿うように楕円形ディンプルが形成され、該楕円形ディンプルは短軸の１．２倍以上の長軸を有する楕円形の周囲縁に囲まれ、楕円形ディンプルの深さは乱流を発生させるに必要な深さ、０．２から０．５ｍｍの範囲で形成されることを特徴とする楕円形ディンプルゴルフボール。