JPWO2010143655A1 - 周縁が円弧である非円形ディンプルゴルフボール - Google Patents

周縁が円弧である非円形ディンプルゴルフボール Download PDF

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Abstract

【課題】 楕円形ディンプルゴルフボールを提供する。【構成】 本発明のゴルフボールは、球体または多面体からなる疑似球体の表面に、短軸の1.2倍以上の長軸を有する周囲縁が一対の円弧でからなる非円形であって、その周囲縁において乱流が発生する深さを有するディンプルを複数個形成してなる非楕円形ディンプルゴルフボールにあり、円形ディンプルに比して剥離境界での剥離幅を縮小させて抗力を低減させるものである。多面体は三角形、五角形又は六角形から実質的に構成されることができる。【選択図】 図1

Description

この発明は、ゴルフボールの空気力学特性を改善するディンプルを非円形としたゴルフボールに関する。
従来、ゴルフボールにおいては20〜70m/secの速度で回転しながら飛行するため、この速度領域ではディンプルのないものよりも周囲縁が円形(以下単に円形という)のディンプルを有するものの方が抗力が小さく、同じ初速度を与えられると、長い飛距離を得ることができることは広く認識されている。そして、低速では大きな円形ディンプルが好ましく、高速では小さな円形ディンプルが好ましいことも広く知られている。
そこで、近年、ゴルフボールの飛距離に影響を与える揚抗比(揚力/抗力)を大きくすることを念頭にディンプルの形状、ディンプルの断面形状が種々検討されている。例えば、円形ディンプルでない、ディンプルの周縁を三角形とし、所定の間隔をおいて分散配置とするもの(特許文献1)、ディンプルの表面形状を三角形とし、かつ、断面形状を逆円錐形状とするもの(特許文献2)、ディンプルの表面形状を多角形状とし、隣接するディンプルの境界にリッジ形状を形成するもの(特許文献3)が提案されている。
すなわち、従来のゴルフボールにおいては揚抗比(揚力/抗力)を大きくするためにはいずれにしてもディンプルは必須のものであり、要すれば隣接するディンプル間には所定の平面又はリッジ部が必要であるとの考えが支配的であった。
他方、ゴルフボールには重量、サイズ、初速、対称性等に基準を設け、これに適合したボールを公認する制度(R&A Rules)があり、飛距離を支配する初速に影響を与える反発係数は一定の範囲に制限されている。そこで、所定の反発係数の範囲でゴルフボールの飛距離を増大させる技術として3ピース、4ピースボール及び材質の開発が種々おこなわれている。
米国特許第4,830,378号明細書 特開平06−190082号公報 特開2005−185341号公報
そこで、本件発明者らは反発係数の制限のあるボールの改善において、円形ディンプルが形成されて以来、ディンプルの数、寸法の改善とともに3ピース、4ピースなどのボールの層数の検討が行われているものの、実際の空力特性からの改善検討が一向に進んでいないことに鑑み、空気力学的観点から鋭意検討の結果、円形ディンプルが最善であるという従来の常識を打ち破る知見を得るに至った。即ち、ゴルフボールの表面に円形ディンプルを形成することは揚力を上げ、抗力を減少させるには必要であるが、発明者らの知見では回転しながら飛行するボールにとって従来のゴルフボール表面の円形ディンプルはそこで発生するスピンの量の増大により逆に抗力も増大させることが見出された。その結果、アマチュアのヒッテングではよくおこる現象であるが、打撃時クラブの打撃面がゴルフボールに対してスクエアになっていない場合、円形ディンプルではボールのフックまたはスライスの度合いが拡大されやすいという現象を招来させる。他方、ボールの初速はボールの反発係数の影響を大きく受けるが、ボール初速に一定の制限がある現状では、ゴルフボールの改善には空中飛行時の空気抵抗を如何に低減させ、同時にボールの直進性を向上させるかが肝要であるとの認識に至った。
そこで、本発明の第1の目的は、スピン量が増大しても揚抗比(揚力/抗力)を大きくすることのできるようにしたゴルフボールを提供することを課題とする。そして、第2の目的は打撃時のクラブの打撃面がゴルフボールに対してスクエアに当たっていない場合にも、直進性に優れるゴルフボールを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、空気力学実験およびその考察から従来の考え方は必ずしも正しいものでないことがわかった。すなわち、回転しながら飛行するゴルフボールは図4(A)に示すように、その最大径付近に剥離境界が存在し、その剥離境界からゴルフボールの後方に発生する渦の影響により抗力が発生するので、その剥離境界の上下幅である剥離幅の影響を大きく受ける。そのため、従来の考えは、円形ディンプルの形成によりこの渦の剥離位置をより後方に移動させ、剥離幅を縮小させて抗力を減少させるとともに、ディンプルによるゴルフボールの上下の空気流速差により揚力を得ようとするものであり、円形ディンプルの形成は必須であるとする考えが支配的である。しかしながら、回転しながら飛行するゴルフボールと周囲空気との間にはディンプルにおける渦の発生は避けられないものの、円形ディンプルを形成しない(本発明者らはゴルフボールを正三角形多面体で形成し、その多面体稜線に溝を形成した)場合、抗力の減少は著しいものの十分な揚力が得られず、結果としてゴルフボールとして必要な飛距離が得られないことが見出された。
本発明は、上記ゴルフボールの新たな空気力学的知見に基づいてなされたもので、球体表面をランド部とし、そのランド部に複数のディンプルを形成してなるゴルフボールにおいて、前記複数のディンプルの一部または全部が、球体に内接する多面体の頂点を結ぶ稜線の両側に沿って延びる一対の同一または異なる曲率を有する円弧で形成される周縁で囲まれた非円形ディンプルであって、その非円形ディンプルの内接多面体の稜線に添う長軸が稜線に直交する短軸の1.2倍以上であることを特徴とする非円形ディンプルを有するゴルフボールにある。
非円形ディンプルは、その周囲縁において乱流が発生するリッジと深さを有すると、円形ディンプルと違ってディンプルの周囲縁部で形成される渦が時間差をもって形成され、発生した渦が非円形ディンプルの周囲縁に沿って流れる結果、ディンプルによる揚力を受けながらスピン量が増大しても、図4(B)に示すようにボールに形成される剥離幅を縮小させて抗力を減少させるものと思われ、同じ初速(同じ反発係数)であっても飛距離が向上することが見出される。かかる現象は縦渦を発生させ、また、ディンプルの周囲縁が円弧で形成されたこのボールは縦渦の流れが円形ディンプルと違ってボールの進行方向に対して一定でないため(円形ディンプルではその周囲縁と空気の接触方向は常に一定となる)、周囲縁で発生した縦渦がディンプルの周囲縁に止まらず、周囲縁に沿って流れる。本発明は機能上このような現象が起こることを基本としている。ディンプルはボールの対称性を考慮すると、一対の同一曲率を有する円弧で形成される楕円形状に周囲縁が形成されるのが好ましい。
本発明は球体(球体と実質的に類似する多面体からなる疑似球体を含む)の表面に、球体に内接する多面体の頂点を結ぶ稜線の全体に両側に沿って延びる一対の同一または異なる曲率を有する円弧で形成される周縁で囲まれた非円形ディンプルを形成する。三角形多面体を例にすると、図8に示すように、非円形ディンプルの稜線に直交する短軸Dsの1.2倍以上、好ましくは2倍以上10倍まで、より好ましくは2倍以上5倍までの長軸DL(非円形ディンプルの稜線に添う軸)を有する周囲縁を有するディンプルを複数個形成してなる。ここで、ディンプルは一対の円弧2aと2bからなり、円弧2aと2bの曲率が同一の場合は楕円形となり、円弧2aと2bの曲率が異なる場合は擬似楕円形となる。非円形ディンプルの深さは円形ディンプルと同様に、ボール周囲の空気流を受けて乱流を発生させるに必要な深さが必要であり、通常0.2mmから0.5mmの範囲で形成される。
本発明におけるディンプルの形成は、ボール表面全体に均一に形成するのが好ましく、前記球体に内接する三角形、五角形又は六角形多面体を仮想し、区分した面体の各綾線上にディンプルの長軸が位置するように非円形ディンプルを形成するのが好ましい。三角形多面体では図5(a)に示す正二十面体を基本とし、各三角形を図6(a)に示すように上下二段に分け、4分割すると、80面体が形成され、図6(b)に示すように3段に分け、9分割すると、180面体が形成され、図6(c)に示すように4段に分け、16分割すると320面体が形成されることになる。ここで、各稜線に添って非円形または楕円形状のディンプルを形成する場合、80面体では120個、180面体では270個、320面体では480個のディンプルが形成されることになる。各面体でのランド部の占める面積は形成されるディンプル短軸径Dsによって変化するが、特に80面体ではディンプルに囲まれるランド部の占める面積を調整し、揚力を向上させるために、図9に示すように各面の非円形ディンプル2で囲まれるランド部1に少なくとも1個の円形または多角形ディンプル3を形成するのが好ましい場合がある。
前記球体に内接する多面体が5角形または6角形あるいは5角形及び6角形の組合せ多面体である場合は、各面体の稜線に添って上記非円形ディンプルを形成してもよいが、5角形の場合を例にすると、図7(a)に示すように、正12面体を基本とし、その展開図における各5角形面の頂点からその面の中心に至る線分で分割された三角形を形成し(図7(b))、図8に示すように各三角形の稜線に添って延びる非円形ディンプルを形成してゴルフボールを製造することができる。
上記非円形のディンプルは各稜線の全体に渡って形成されるのを基本とするが、図10に示すようにディンプル2が稜線の中央部にのみ形成され、頂点部分にランド部が形成される場合は揚力を向上させるために、球体に内接する多面体の頂点には円形または多角形ディンプル4を形成してゴルフボールを製造してもよい。
要するに、本発明では球体に内接する多角形多面体を基準にし、その頂点を結ぶ稜線または各面を更に三角形で分割した内接多面体を仮想し、その頂点を結ぶ稜線に一対の円弧で囲まれる非円形ディンプルを形成し、従来の円形ディンプルに代替することを要旨とするものであり、非円形ディンプルのランド部(球体表面)での占める面積が小さく、揚力不足になる場合は残るランド部に円形または多角形ディンプルを形成して揚力の向上を図ることができるものである。
従来の円形ディンプルでは周囲縁で形成される渦が滞留する傾向にあるが、本発明によれば、ボール表面のディンプルを一対の円弧で囲まれる非円形で構成することによりディンプル周囲縁で形成される渦は時間差をもって形成される結果、楕円形周囲縁に沿って流れ、滞留することがない。したがって、円形ディンプルを形成したゴルフボール比してスピン量が増大しても、抗力を増大させない結果、飛距離が向上する。また、ボールの有するフックまたはスライスとなる空気抵抗を増大させることがないので、直進性に優れる。
本発明の第1の実施形態によるゴルフボールの全体を示す斜視図である。 第2の実施形態を示す斜視図である。 第3の実施形態を示す斜視図である。 円形ディンプルのゴルフボールの剥離境界のできる状況(A)と本発明に係る円形ディンプルのゴルフボールの剥離境界のできる状況(B)の概念図である。 正二十面体の立体図(a)と展開図(b)である。 図5の正二十面体の各三角形の4分割(a)、9分割(b)、16分割(c)の態様を示す説明図である。 正十二面体の立体図(a)と展開図(b)で、展開図には正五角形の分割例を示す。 多面体の各面が三角形である場合の一対の円弧でディンプルを形成する方法を示す説明図である。 非円形ディンプルで囲まれるランド部に円形ディンプルを配する場合の説明図である。 非円形ディンプルが内接する多面体の稜線全体に渡らない場合の頂点を含むランド部に円形ディンプルを配する場合の説明図である。 第2の実施形態の模式図である。 図11のA-A線断面図である。 図11のB-B線断面図である。
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態によるゴルフボールを示す。図において、1は球体をなすゴルフボールであって、球体に内接する三角形の180面体の頂点を結ぶ綾線に沿って短軸(稜線に直交する軸)に対し3.7倍長の長軸(稜線に平行な軸)となる楕円形ディンプル2を形成し、ディンプルの深さ0.3mmとしたものである。
図2は球体をなすゴルフボール11であって、球体に内接する三角形の180面体の頂点を結ぶ綾線に沿って短軸に対し1.9倍長の長軸を形成し、深さ0.3mmとした楕円形ディンプル12が形成してある。図11は図2の模式線図で、図12は図11のA-A線拡大断面図、図13は図11のB-B線拡大断面図である。
図3は球体をなすゴルフボール21であって、三角形の仮想320面体で形成した綾線に沿って短軸に対し4.0倍長の長軸を形成し、深さ0.3mmとした楕円形ディンプル22が形成してある。
上記実施例では、球体の場合を例にしたが、三角形、五角形又は六角形多面体の各稜線に楕円形ディンプルを形成してもよい。また、上記実施例では球体に内接する三角形180面体、320面体の稜線に楕円形ディンプルを形成したが、三角形80面体の稜線に非円形ディンプルを形成することができる。すなわち、本発明ではディンプルの周囲縁を一対の円弧で囲まれる楕円形または非円形とし、周囲縁で乱流を時間差をもって発生させ、形成される渦を円弧からなる周囲縁に沿って流すようにすることを要旨とし、当業者であれば、その要旨を逸脱することなく、変形および修正を加えることができる。なお、本発明はゴルフボールのカバー形状に関するものであるから、ゴルフボールは2ピース、3ピースだけでなく、4ピース等種々の内部構造のゴルフボールに適用できるのは言うまでもない。
1,11,21 球体からなるゴルフボール
2,12,22 楕円形ディンプル

Claims (7)

  1. 球体表面をランド部とし、そのランド部に複数のディンプルを形成してなるゴルフボールにおいて、
    前記複数のディンプルの一部または全部が、ゴルフボールを形成する球体に内接する多面体の頂点を結ぶ稜線全体に渡ってその両側に沿って延びる一対の同一または異なる曲率を有する円弧を周縁とする非円形ディンプルであって、その非円形ディンプルの内接多面体の稜線に添う長軸が稜線に直交する短軸の1.2倍以上であることを特徴とする、周縁が円弧である非円形ディンプルゴルフボール。
  2. 前記ディンプルの外形が一対の同一曲率を有する円弧で形成された楕円形である請求項1記載のゴルフボール。
  3. 前記球体に内接する多面体が正三角形80乃至320面体であって、各稜線に添って延びる非円形ディンプルを120乃至480個形成してなる請求項1記載のゴルフボール。
  4. 前記球体に内接する多面体が正三角形80面体であって、稜線の両側に沿って延びる周縁を有する非円形ディンプル120個と非円形ディンプルに囲まれるランド部に少なくとも1個の円形または多角形ディンプルを形成してなる請求項1記載のゴルフボール。
  5. 前記球体に内接する多面体が5角形または6角形あるいは5角形及び6角形の組合せ多面体であって、各多角形面がその頂点からその面中心に至る線分で分割された三角形を形成し、各三角形の稜線に添って延びる非円形ディンプルを形成してなる請求項1記載のゴルフボール。
  6. 前記複数のディンプルの一部または全部が、ゴルフボールを形成する球体に内接する多面体の頂点を結ぶ稜線の中央部分に両側に沿って延びる一対の同一または異なる曲率を有する円弧を周縁とする非円形ディンプルであって、前記内接多角形の頂点を含むランド部に少なくとも1個の円形または多角形ディンプルを形成してなる請求項1記載のゴルフボール。
  7. 前記ディンプルの周縁がゴルフボールの飛行時に空気流を受けて縦渦が発生するエッジ角度及び深さを有する請求項1記載のゴルフボール。
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