JP3599923B2 - ソリッドゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、3層構造からなるソリッドコアをカバーで被覆したソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、単層構造のソリッドコアをカバーで被覆したツーピースソリッドゴルフボールは、飛距離を出すことができるが、打球感が硬いという欠点を有している。そこで、ツーピースソリッドゴルフボールの前記の欠点を改良するものとして、ソリッドコアを2層構造としたスリーピースソリッドゴルフボールが開発されている。
【0003】
例えば、特開昭60−241464号公報に開示されたスリーピースソリッドゴルフボールは、ソリッドコアをインナーコアとアウターコアとに二分して構成したもので、インナーコアをJIS−C硬度50〜70、アウターコアをJIS−C硬度70〜90とし、インナーコアを軟らかく、アウターコアを硬くしてソフトな打球感を得ようとしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ゴルフボールに対する打撃力が大きく、インナーコアまでボールの変形が及ぶ場合には、最適な弾道となるような適度なスピンを得ることができなくなり、飛距離が低下してしまう不具合が生じる。また、ボールの外部が局部的に変形するようなショットでは、アウターコアの硬さの影響により、必ずしも良好な打球感が得られる訳ではない。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、十分な飛距離が得られ、しかも、打球感がソフトであるソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のソリッドゴルフボールは、図1に断面構造を示すように、3層からなるソリッドコア1と、ソリッドコア1を被覆するカバー2とから構成される。
【0007】
ソリッドコア1は、内部層1aと、JIS−C硬度50〜80を有する中間層1bと、中間層1bの硬度よりも高い硬度を有する外被層1cとから構成される。
【0008】
中間層1bの硬度をJIS−C硬度50よりも低くすると、軟らかくなり過ぎるために、反発性が悪くなって飛距離が低下する。逆に、JIS−C硬度80よりも高くすると、硬くなり過ぎるために、打球感が悪くなる。中間層1bの硬度をJIS−C硬度50〜80としても、外被層1cの硬度を中間層1bの硬度よりも低くすると、十分な飛距離を得ることができなくなる。
【0009】
内部層1aは、比較的硬く形成するが、中間層1bの硬度よりも低い硬度にしても構わない場合があり、JIS−C硬度60〜95にするのが好ましい。また、外被層1cは、JIS−C硬度65以上にするのが好ましい。
【0010】
なお、ソリッドコア1の各層1a、1b、1cは、天然ゴムおよび/または合成ゴムを基材とするゴム組成物から形成する。
【0011】
本発明では、中間層1bは、厚さを1〜13mm、内部層1aと中間層1bとを合わせた直径を21〜39mmにするのが好ましいが、これらの範囲は多少変更しても構わない。なお、内部層1aおよびソリッドコア1の直径は、通常、それぞれ6〜30mm程度および37〜41mm程度にするが、これらの範囲に限定されるものではない。ソリッドコア1の各層の寸法(直径または厚さ)を通常から大きく外れた寸法にすると、適したソリッドコア1の硬度分布にならず、本発明の効果を得ることができなくなる。
【0012】
ソリッドコア1を被覆するカバー2は、通常、アイオノマー樹脂またはこれを含んだ材料を基材とする樹脂組成物から形成し、カバー2の厚さは、従来のツーピースソリッドゴルフボール、スリーピースソリッドゴルフボールのカバー厚さと同程度(通常、1.3〜2.8mm)にする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のソリッドゴルフボールは、ソリッドコア1の内部層1aが、直径6〜17mmである場合には、表1に示すソリッドコア1の仕様であると好適である。
【0014】
【表1】
【0015】
さらに、ボールの潰れが大きいショットの際の潰れ過ぎを抑えるために、中間層1bの硬度と比較して、内部層1aの硬度を高くするのが好ましい。硬度を高くしても、内部層1aの直径が小さいので、打球感はソフトである。この仕様のソリッドコア1からなるソリッドゴルフボールは、特に、ボールの潰れが大きいショットの際に、適度なスピンが得られて、飛距離が低下することがない。
【0016】
次に、本発明のソリッドゴルフボールは、ソリッドコア1の内部層1aが、直径17〜30mmである場合には、表2に示すソリッドコア1の仕様であると好適である。
【0017】
【表2】
【0018】
さらに、このソリッドゴルフボールは、表1に示す仕様のものと比較して、内部層1aの直径が大きいため、内部層1aの硬度を低くし、中間層1bがより外部に設けられるので、中間層1bの硬度を高くするのが好ましい。この仕様のソリッドコア1からなるソリッドゴルフボールは、特に、ボールの潰れが小さいショットの際に、打球感が良好である。
【0019】
このように、ソリッドコア1の仕様によって、特性が異なる2種類のソリッドゴルフボールが得られるが、内部層1aと、JIS−C硬度50〜80を有する中間層1bと、中間層1bの硬度よりも高い硬度を有する外被層1cとから構成される3層構造のソリッドコア1によって、いずれも高反発性が得られるとともに、スピン数の減少による弾道の低下がないので、十分な飛距離が得られ、しかも、軟らかい中間層1bによって、ソフトな打球感が得られる。
【0020】
【実施例】
実施例1〜5および比較例2、3
表3の配合による内部層1a用、中間層1b用および外被層1c用のゴム組成物を使用して、表4の実施例1〜5および比較例2、3に示した直径、重量、硬度を有する3層構造のソリッドコア1を作製した。アイオノマー樹脂100重量部に対し、二酸化チタン1.5重量部を配合したカバー2用の樹脂組成物を使用して、ソリッドコア1を被覆し、研磨、塗装を施して実施例1〜5および比較例2、3のソリッドゴルフボールを作製した。
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
*1(キャリー)、*2(スピン数):スイングロボット装置を利用して、ウッド1番クラブ(1W)によりクラブヘッド速度40m/secで打って測定。
【0024】
*3(打球感):男子上級ゴルファーが、ウッド1番クラブ(1W)およびアイアン9番クラブ(9I)により打って評価。◎→極めて良い、○→良い、×→悪い。
【0025】
比較例1
従来のツーピースソリッドゴルフボールであり、表3の配合によるゴム組成物を使用して作製した単層構造のソリッドコアを実施例1〜5および比較例2、3で使用したカバー用の樹脂組成物を使用して被覆し、研磨、塗装を施して作製した。
【0026】
実施例1〜5および比較例1〜3につき、キャリー、スピン数、打球感を表4に示した。表4に示したように、実施例1〜5のソリッドゴルフボールは、比較例1の従来のツーピースソリッドゴルフボールと比較して、ほぼ同程度の飛距離が得られた。また、実施例1〜5のソリッドゴルフボールは、打球感が良いという評価が得られた。
【0027】
これに対して、比較例2のソリッドゴルフボールは、ソリッドコアの中間層が硬過ぎて、打球感が悪かった。比較例3のソリッドゴルフボールは、ソリッドコアの外被層が中間層よりも軟らかく、十分な飛距離が得られなかった。
【0028】
【発明の効果】
本発明のソリッドゴルフボールによれば、十分な飛距離が得られ、ツーピースソリッドゴルフボールの欠点である打球感の悪さを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のソリッドゴルフボールの断面構造図である。
【符号の説明】
1…ソリッドコア 1a…内部層
1b…中間層 1c…外被層
2…カバー
Claims (3)
- 内部層、中間層および外被層からなる3層構造のソリッドコアと、前記ソリッドコアを被覆するカバーとによって構成される4層構造のソリッドゴルフボールにおいて、
前記内部層、前記中間層および前記外被層はゴム組成物からなり、かつ前記カバーは樹脂組成物からなり、
前記中間層は、JIS−C硬度50〜80に設定され、前記外被層は、JIS−C硬度65以上で且つ前記中間層の硬度よりも高く設定され、
前記外被層と前記中間層との硬度差がJIS−C硬度で25以下に設定されることを特徴とするソリッドゴルフボール。 - 請求項1記載のゴルフボールにおいて、前記内部層は、JIS−C硬度60〜95に設定され、前記外被層は、JIS−C硬度85以下に設定されることを特徴とするソリッドゴルフボール。
- 請求項1または2記載のゴルフボールにおいて、前記中間層は、厚さが1〜13mm、前記内部層と前記中間層とを合わせた直径が21〜39mmに設定されることを特徴とするソリッドゴルフボール。
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