JP4181896B2 - レンズ鏡筒および撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は銀塩カメラやデジタルスチルカメラに搭載されるレンズ鏡筒に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されているカメラのレンズ鏡筒を図6に示す。同図において、101は直進筒であり、この直進筒101は不図示の差動筒の内側に配置されている。この差動筒が光軸周りに回転しながら繰り出すと、差動筒の動きに連動して、直進筒101が光軸周りに回転することなく光軸方向に繰り出す。
【0003】
直進筒101には、光軸方向に沿って延びるガイド溝部101dが略等間隔に3つ設けられている。ガイド溝部101dには、直進筒101の内側に組み込まれるレンズ保持部材に設けられたカムピン(不図示)が係合する。
【0004】
直進筒101の後端部には、直進筒101の周方向に沿って延びるフランジ部101aが設けられている。
【0005】
フランジ部101aのうちガイド溝部101dと同位相の位置には、カムピンを通すための内径切欠部101cが設けられている。レンズ保持部材を直進筒101に組み込むときは、カムピンを直進筒101の後ろ側から内径切欠部101cを通るようにしてガイド溝部101dに導けばよい。
【0006】
また、フランジ部101aには、内径切欠部101cと同位相の位置に凸部101bが設けられている。この凸部101bは、固定筒に形成された直進溝部(いずれも不図示)と係合することにより、直進筒101が光軸周りに回転するのを阻止している。
【0007】
【特許文献1】
特開平07−043584
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来例では、内径切欠部101cと凸部101bとを同位相の位置に配置している。これは、フランジ部101aのうち内径切欠部101cが形成された箇所は、フランジ部の高さ方向の長さが短くなっているため、強度が弱くなっているからである。
【0009】
即ち、内径切欠部101と同位相の位置に凸部101bを配置して、フランジ部101aの強度が損なわれないようにしているのである。
【0010】
しかしながら、内径切欠部101cと同位相の位置に凸部101bを配置しなければならないとすると、設計の自由度が損なわれる。
【0011】
つまり、凸部101bは、固定筒に形成された直進溝部に係合するように、配置する必要がある。
【0012】
このため、内径切欠部101c、ガイド溝部101d、凸部101b及び固定筒の直進溝部は、同位相の位置に配置しなければならないため、設計の自由度を損なうおそれがある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願第1の発明であるレンズ鏡筒は、光軸方向にガイドされるガイド部を有する第1の鏡筒部材と、前記第1の鏡筒部材の外周側に配置され、前記ガイド部との係合によって前記第1の鏡筒部材を光軸方向にガイドするための溝部を有する第2の鏡筒部材とを有し、
前記第2の鏡筒部材の光軸方向一端部はフランジ部を有し、前記溝部の一端に位置し、前記ガイド部を前記溝部に対して出し入れ可能な開口部を有する為の内径切欠部が前記フランジ部に形成されており、前記第2の鏡筒部材において、前記溝部のうち前記ガイド部を光軸方向にガイドする領域と前記開口部とが周方向で異なる位置に形成されていると共に、前記フランジ部には外径切欠部があり、前記内径切欠部は前記外径切欠部と周方向で異なる位置にあることを特徴とする。
また、本願第2の発明である撮像装置は、レンズ鏡筒と、該レンズ鏡筒により形成された被写体像を光電変換する光電変換素子とを有し、前記レンズ鏡筒は、光軸方向にガイドされるガイド部を有する第1の鏡筒部材と、前記ガイド部との係合によって前記第1の鏡筒部材を光軸方向にガイドするための第1の溝部と、光軸方向一端部に形成されたフランジ部とを有する第2の鏡筒部材とを備え、前記第2の鏡筒部材は、前記ガイド部を前記第1の溝部に対して出し入れ可能な開口部を有する為の内径切欠部が前記フランジ部に形成され、且つ前記フランジ部において、前記第2の鏡筒部材の周方向で前記第1の溝部と異なる位置に形成された前記開口部を有するとともに、前記第1の溝部と前記開口部とをつなぐ第2の溝部を有し、前記フランジ部には外径切欠部があり、前記内径切欠部は前記外径切欠部と周方向で異なる位置にあることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1から図5を用いて本発明の実施形態について説明する。ここで、図1は本実施形態のレンズ鏡筒を構成する直進筒の斜視図、図2はレンズ鏡筒の分解斜視図である。
【0015】
また、図3は1群鏡筒及び2群鏡筒が組み付けられた直進筒の斜視図、図4は1群鏡筒が移動する様子を示した図、図5は本実施形態のレンズ鏡筒を備えたカメラの外観図を示す。
【0016】
図5において、60はカメラ本体であり、このカメラ本体60の前面中央にはズーミングが可能なレンズ鏡筒61が設けられている。
【0017】
また、カメラ本体60の前面における向かって右側には被写体に照明光を照射するストロボ装置を構成する発光窓部62が設けられ、発光窓部62の左側にはファインダ窓64および測光窓63がそれぞれ設けられている。
【0018】
さらに、カメラ本体60の上面には、撮影準備動作(焦点調節動作および測光動作)及び撮影動作(フィルムやCCD等の撮像素子への露光)を開始させるためのレリーズボタン65が設けられている。
【0019】
次に、図2を用いてレンズ鏡筒全体の構成について説明する。1は固定筒であり、この固定筒1の内周面には、カム溝部1aと光軸方向に沿って延びる直進溝部1bとが形成されている。
【0020】
カム溝部1aは、カム筒の外周面に設けられたカムピン2aと係合し、直進溝部1bは、後述する直進筒に設けられたフランジ部3eに形成された凸部3aと係合する。
【0021】
カム筒2の外周面後端には、カム筒2の周方向に延びるギア2bが設けられている。このギア2bは、固定筒1に形成された穴部1cを介して、駆動ギア4と噛み合っている。
【0022】
6から10は減速ギアであり、モータ5の駆動力を増大させている。モータ5の駆動力は、ピニオンギア(ウォームギア)6→第二ギア7→第三ギア8→第四ギア9→第五ギア10→駆動ギア4の順で伝達される。
【0023】
3は直進筒(第2の鏡筒部材)であり、この直進筒3の外周面先端には、抜け止め突起3b(図1参照)が設けられており、カム筒2と相対回転可能な状態で一体となっている。
【0024】
直進筒3の外周面後端には、直進筒3の周方向に延びるフランジ部3eが形成されている。
【0025】
フランジ部3eの高さ方向の長さ(図1で示すBの長さ)は、図6に示した従来例のフランジ部101aより長くなっている。このため、直進筒3の外周面近傍に配置される上述のギア(第3ギア8、駆動ギア4)とフランジ部3との重複(干渉)が問題となる。
【0026】
本実施形態では、フランジ部3eに、第3ギア8との重複を避けるための外径切欠部3jと駆動ギア4との重複を避けるための外径切欠部3kとを設けることにより、この問題を解決している(図1参照)。
【0027】
フランジ部3eの内周側には、直進筒3の内側に配置された1群鏡筒11に設けられたカムピン11aを通すための内径切欠部3lが設けられている。この内径切欠部3lは、フランジ部3eの周方向における外径切欠部3jと外径切欠部3kとの間に形成されている。
【0028】
ここで、内径切欠部3lを外径切欠部3j又は外径切欠部3kと同位相の位置に配置することも考えられる。
【0029】
しかし、同位相の位置に形成すると、フランジ部3eにおける内径切欠部3lが形成された箇所のBの長さが短くなってしまい、フランジ部3eの強度が弱くなる。
【0030】
そこで、本実施形態では、内径切欠部3lの周方向の位置が、外径切欠部3jと外径切欠部3kとの間になるようにしているのである。
【0031】
外径切欠部3j及び外径切欠部3kが形成されていない箇所は、フランジ部3eのBの長さが短くなっていないため、内径切欠部3lを設けたとしても、フランジ部3eの強度上支障がない
【0032】
フランジ部3eには、上述のように固定筒1の直進溝部1bと係合する凸部3aが周方向3箇所に設けられている。
【0033】
ここで、上述のように、フランジ部3eにおけるBの長さは、従来例よりも長くなっている。したがって、フランジ部3eの強度を確保するという観点から、凸部3aを内径切欠部3f、3l(3fについては後述)が形成された位置と同位相の位置に設ける必要がない。
【0034】
その結果、従来例よりも、凸部3aのフランジ部3e上での位置の自由度が高まる。
【0035】
において、11は1群鏡筒(第1の鏡筒部材)で、12は2群鏡筒であり、これらの鏡筒11,12は、図3に示すように、直進筒3の内側に収容される。1群鏡筒11及び2群鏡筒12の内部には、不図示の撮影レンズなどが搭載されている。
【0036】
2群鏡筒12のカムピン12aは、図1に示す直進筒3の2群用直進溝部3cとキー結合し、カム筒2の内周面に形成された2群用カム溝部2cとカム結合している。 カム筒2が光軸周りに回転すると、2群用カム溝部2cの軌跡に沿って2群鏡筒12が移動する。
【0037】
2群用直進溝部3cの後端部には、フランジ部3eの内周側の一部を切り欠いて形成した内径切欠部3fが設けられている。
【0038】
2群鏡筒12を直進筒3に組み込むときは、2群カムピン12aを直進筒3の後方から内径切欠部3fを通すようにして2群用直進溝部3cに導けばよい(図3参照)。
【0039】
図1に示すように、直進筒3には、1群鏡筒11に設けられたカムピン支持部材11bが係合する1群用溝部3dが形成されている。図3に示すように、カムピン支持部材11b上には、1群用カム溝部2dに係合する1群カムピン11aが形成されている。
【0040】
この1群用溝部3dは、内径切欠部3lに接続された第1の案内溝部3i(組み込み溝部)、この第1の案内溝部3iに接続された第2の案内溝部3h(組み込み溝部)及びこの第2の案内溝部3hに接続された1群用直進溝部3gにより構成されている。
【0041】
第1の案内溝部3i及び1群用直進溝部3gは、直進筒3の周方向における異なる位置において光軸方向に延びるように形成されており、第2の案内溝部3hは、直進筒3の周方向に延びるように形成されている。
【0042】
さらにフランジ部3eにおける1群用直進溝部3gを延長した位置に外径切欠部3jが形成されている。
【0043】
1群用直進溝部3gは、1群鏡筒11が1群用カム溝部2dの軌跡に沿って移動する時に、カムピン支持部材11bと係合して、1群鏡筒11が光軸周りに回転するのを阻止する。
【0044】
1群鏡筒11は直進筒3の後方から直進筒3の内側に組み込まれる。具体的には内径切欠部3l→第1の案内溝部3i→第2の案内溝部3h→1群用直進溝部3gの順にカムピン支持部材11bを移動させるように1群鏡筒11を移動及び回転させることで組み込みが完了する(図3参照)。
【0045】
組み込み後の1群鏡筒11が、1群用直進溝部3gに沿って移動する様子を図4に示す。ここで、図4aは沈胴状態、図4bはワイド状態、図4cはテレ状態をそれぞれ示している。
【0046】
同図に示すように、2群鏡筒12のカムピン12aは直進筒3の2群用直進溝部3cのほぼ全領域を摺動しなが移動している。
【0047】
これに対して、1群鏡筒11のカムピン支持部材11bは、1群用溝部3dのうち1群用直進溝部3gのみを使用し、第1案内溝部3i及び第2案内溝部3hを使用していない。
【0048】
これは、第1案内溝部3i及び第2案内溝部3hは、カムピン支持部材11bを1群用直進溝部3gに導くためにのみ設けられたものだからである。
【0049】
したがって、第1案内溝部3i及び第2案内溝部3hは、内径切欠部3lと1群用直進溝部3gとの接続が可能であればどのような方向に形成してもよい。
【0050】
即ち、本実施形態では、第2案内溝部3hを直進筒3の周方向に形成したが、内径切欠部3lと1群用直進溝部3gとの接続が可能あればどのような方向に形成してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、第1案内溝部3iを光軸方向に沿って形成したが、内径切欠部3lと第2案内溝部3hとの接続が可能あればどのような方向に形成してもよい。
【0052】
更に、第1案内溝部3i及び第2案内溝部3hを1つの溝部で構成し、この溝部により内径切欠部3lと1群用直進溝部3gとをつなぐようにしてもよい。
【0053】
このように、本実施形態では内径切欠部3lと1群用直進溝部3gとが案内溝部(3i、3h)によりつながっている。したがって、案内溝部を様々な形状に構成することより、内径切欠部3lと1群用直進溝部3gとの相対位置(直進筒3の周方向における相対位置)を変化させることができるため、設計の自由度を高めることができる。
【0054】
なお、フランジ部3eのBの長さが従来例と同様に短い場合(この場合外径切欠部3j、3kを設ける必要がない)、レンズ鏡筒61の強度を確保しなければならないため、凸部3a及び内径切欠部3lを同位相の位置に配置する必要がある。
【0055】
しかし、この場合であっても、案内溝部(3i、3h)を様々な形状に構成することより、内径切欠部3l(凸部3a)と1群用直進溝部3gとの相対位置(直進筒3の周方向における相対位置)を変化させることができるため、従来例と比較して、設計の自由度を高めることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、組み込み溝部が形成されているため、直進溝部、内径切欠部及び外径切欠部の形成位置(第2の鏡筒構成部材の周方向の位置)の自由度を高めることができ、また、フランジ部の強度が内径切欠部および外径切欠部を設けたことにより必要以上に低下してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態のレンズ鏡筒を構成する直進筒の斜視図
【図2】 本実施形態のレンズ鏡筒の分解斜視図
【図3】 本実施形態の直進筒の斜視図
【図4】 1群鏡筒が移動する様子を示した図
【図5】 本実施形態のレンズ鏡筒が搭載されたカメラの外観図
【図6】 従来例の直進筒の斜視図
【符号の説明】
1 固定筒
2 カム筒
3 直進筒
4 駆動ギア
5 モータ
6 ピニオンギア(ウォームギア)
7 第二ギア
8 第三ギア
9 第四ギア
10 第五ギア
11 1群鏡筒
12 2群鏡筒

Claims (3)

  1. 光軸方向にガイドされるガイド部を有する第1の鏡筒部材と、
    前記第1の鏡筒部材の外周側に配置され、前記ガイド部との係合によって前記第1の鏡筒部材を光軸方向にガイドするための溝部を有する第2の鏡筒部材とを有し、
    前記第2の鏡筒部材の光軸方向一端部はフランジ部を有し、前記溝部の一端に位置し、前記ガイド部を前記溝部に対して出し入れ可能な開口部を有する為の内径切欠部が前記フランジ部に形成されており、
    前記第2の鏡筒部材において、前記溝部のうち前記ガイド部を光軸方向にガイドする領域と前記開口部とが周方向で異なる位置に形成されていると共に、
    前記フランジ部には外径切欠部があり、前記内径切欠部は前記外径切欠部と周方向で異なる位置にある
    ことを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 請求項に記載のレンズ鏡筒と、
    該レンズ鏡筒により形成された被写体像を光電変換する光電変換素子と
    を有することを特徴とする撮像装置。
  3. レンズ鏡筒と、
    該レンズ鏡筒により形成された被写体像を光電変換する光電変換素子とを有し、
    前記レンズ鏡筒は、
    光軸方向にガイドされるガイド部を有する第1の鏡筒部材と、
    前記ガイド部との係合によって前記第1の鏡筒部材を光軸方向にガイドするための第1の溝部と、光軸方向一端部に形成されたフランジ部とを有する第2の鏡筒部材とを備え、
    前記第2の鏡筒部材は、前記ガイド部を前記第1の溝部に対して出し入れ可能な開口部を有する為の内径切欠部が前記フランジ部に形成され、且つ前記フランジ部において、前記第2の鏡筒部材の周方向で前記第1の溝部と異なる位置に形成された前記開口部を有するとともに、前記第1の溝部と前記開口部とをつなぐ第2の溝部を有し、
    前記フランジ部には外径切欠部があり、前記内径切欠部は前記外径切欠部と周方向で異なる位置にある
    ことを特徴とする撮像装置。
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