以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に、例示的な実施形態に係るレンズ鏡筒の分解斜視図を示す。
実施形態に係るレンズ鏡筒100は、デジタルスチルカメラに搭載される。レンズ鏡筒100は、マスターフランジ190と、後述する各種の枠体と、これらの枠体に保持されたレンズで構成される撮像光学系と、該撮像光学系を通過して入射する光を電気信号に変換して出力する撮像素子101とを備えている。このレンズ鏡筒100は、一例であり、デジタルスチルカメラに限らず、ビデオカメラやカメラ機能付き携帯電話端末などにも搭載が可能である。撮像光学系は、第1レンズ群301と、第2レンズ群302と、フォーカスレンズ303とを含んでいる。第1レンズ群301、第2レンズ群302、フォーカスレンズ303は、1又は複数のレンズで構成されている。撮像光学系は、被写体の光学像を撮像素子101の受光面に形成する。
レンズ鏡筒100は、各種の枠体として、第1レンズ群301を保持する1群枠110と、第2レンズ群302を保持する2群枠120と、貫通カム枠130と、直進枠140と、カム枠150と、駆動枠160と、固定枠170と、フォーカスレンズ303を保持する3群枠180とを備えている。これら1群枠110、2群枠120、貫通カム枠130、直進枠140、カム枠150、駆動枠160、固定枠170及び3群枠180は、光軸Xに対して同軸上に配置されている。
マスターフランジ190には、撮像素子101が固定されている。また、マスターフランジ190には、固定枠170が固定されている。固定枠170の内周面には、所定の軌跡に沿って延びるカム溝171と光軸方向に延びる直進溝とが形成されている。固定枠170には、ズームモータユニット173が取り付けられている。
駆動枠160の外周面には、駆動カムフォロアとギア部とが設けられている。駆動枠160は、固定枠170内に収容される。このとき、駆動枠160の駆動カムフォロアは、固定枠170のカム溝171に係合し、駆動枠160のギア部は、ズームモータユニット173に噛合する。駆動枠160は、ズームモータユニット173により光軸回りに回転駆動され、カム溝171に沿って固定枠170に対して相対的に光軸回りに回転しながら光軸方向に移動する。駆動枠160の内周面には、周方向に延びる円周溝と光軸方向に延びる直進溝とが形成されている。
貫通カム枠130の外周面には、固定枠170の直進溝に係合する第1係合突起と、駆動枠160の円周溝に係合する第2係合突起とが設けられている。貫通カム枠130は、駆動枠160内に収容される。このとき、貫通カム枠130の第2係合突起は、駆動枠160の円周溝に係合している。これにより、貫通カム枠130は、駆動枠160に対して光軸回りに相対的に回転自在となる一方、駆動枠160に対して相対的に光軸方向に移動できないようになっている。つまり、貫通カム枠130は、駆動枠160と一体的に光軸方向に移動する。貫通カム枠130は、駆動枠160内に収容された状態で、固定枠170内に収容される。このとき第1係合突起は、固定枠170の直進溝に係合する。固定枠170の直進溝は光軸方向に延びているため、貫通カム枠130は、固定枠170に対して相対的に回転不能な状態で光軸方向に相対移動可能に支持されている。貫通カム枠130には、所定の軌跡に沿って延びる貫通カム溝131が形成されている。また、貫通カム枠130の内周面には、光軸方向に延びる直進溝132が形成されている。
カム枠150の外周面には、カムフォロア151,151,…が設けられている。カム枠150は、貫通カム枠130内に収容される。このとき、カム枠150のカムフォロア151,151,…は、貫通カム枠130の貫通カム溝131を貫通して、駆動枠160の直進溝に係合している。これにより、カム枠150は、駆動枠160と一体的に回転し且つ駆動枠160に対し相対的に光軸方向に進退自在に保持されている。また、カムフォロア151,151,…が貫通カム枠130の貫通カム溝131にも係合しているので、駆動枠160が回転駆動されると、カム枠150は、貫通カム溝131の形状に従って、貫通カム枠130に対して相対的に回転しながら、相対的に光軸方向に移動する。カム枠150の内周には、1群カム溝210及び2群カム溝220が設けられている。また、カム枠150の内周面には、係合突起が設けられている。
直進枠140は、カム枠150内に収容される。直進枠140の外周面には、円周方向に延びる円周溝が形成されている。この円周溝には、カム枠150の係合突起が係合する。これら係合突起と円周溝との係合により、直進枠140は、カム枠150に対して相対的に回転可能である一方、光軸方向には相対的に移動できないようになっている。つまり、カム枠150が回転しながら光軸方向に移動するときには、直進枠140は、カム枠150と共に光軸方向に移動する。また、直進枠140は、その後端部において、外方に突出する係合突起を有している。直進枠140の後端部は、カム枠150からはみ出しており、係合突起は、貫通カム枠130の直進溝132に係合する。これら係合突起と直進溝132との係合により、直進枠140は、貫通カム枠130に対して相対的に回転しないようになっている。また、直進枠140には、直進溝が形成されている。
1群枠110は、1群カムフォロア111を有する。1群枠110は、直進枠140内に収容されている。1群枠110は、直進枠140の直進溝に係合しており、直進枠140に対し光軸方向に進退自在で且つ直進枠140に対して相対的に回転しないようになっている。1群カムフォロア111は、カム枠150の1群カム溝210に係合している。カム枠150が回転すると、1群枠110は、1群カムフォロア111と1群カム溝210とで構成される第1カム機構によって、カム枠150に対して相対的に回転しながら、カム枠150に対して相対的に光軸方向に移動する。この1群枠110が第1移動枠を構成し、1群カムフォロア111が第1カムフォロアを構成する。
2群枠120は、2群カムフォロア121を有する。2群枠120は、直進枠140内に収容されている。2群枠120は、直進枠140の直進溝に係合しており、直進枠140に対し光軸方向に進退自在で且つ直進枠140に対して相対的に回転しないようになっている。2群カムフォロア121は、カム枠150の2群カム溝220に係合している。カム枠150が回転すると、2群枠120は、2群カムフォロア121と2群カム溝220とで構成される第2カム機構によって、カム枠150に対して相対的に回転しながら、カム枠150に対して相対的に光軸方向に移動する。この2群枠120が第2移動枠を構成し、2群カムフォロア121が第2カムフォロアを構成する。
3群枠180は、マスターフランジ190に設けられたガイドポールに摺動自在に係合している。3群枠180は、マスターフランジ190に設けられたアクチュエータによって、他の枠体とは独立して光軸方向に駆動される。
ここで、固定枠170のカム溝171と、貫通カム枠130の貫通カム溝131と、カム枠150の1群カム溝210及び2群カム溝220とを、回転角度に対し適切な形状に設定することによって、第1レンズ群301及び第2レンズ群302を駆動枠160の回転量に応じて適切な位置に配置させることができると共に、撮影可能状態に無いとき(即ち、沈胴状態)のレンズ鏡筒100の光軸方向の長さを短くすることができる。
このように構成されたレンズ鏡筒100においては、ズームモータユニット173が駆動枠160を回転駆動すると、1群枠110及び2群枠120が光軸方向に移動する。これにより、撮像光学系に焦点距離が調整される。それに加えて、3群枠180を被写体とレンズ鏡筒100との距離に基づいて適切な位置に移動させることによって、光が撮像素子101上に結像し、画像が撮影される。
続いて、カム枠150及び1群カムフォロア111の構成について詳しく説明する。図2は、カム枠150の内周面の展開図を示す。図2において、「光軸方向」は、撮像光学系の光軸と平行な方向を示し、「周方向」は、光軸回りの周方向を示す。また、図3は、図2のIII−III線における1群カム溝210及び2群カム溝220の断面図を示し、図4は、図2のIV−IV線における1群カム溝210及び2群カム溝220の断面図を示す。図3,4は、1群カム溝210の軸線方向(延びる方向)に直交する面で切断した断面図である。尚、図3,4には、1群カムフォロア111も図示している。図5は、1群カムフォロア111の斜視図を示す。
カム枠150は、ポリカーボネートなどの樹脂で形成されている。カム枠150は、例えば、金型で成形される。尚、カム枠150は、樹脂以外の材料、例えば、金属で形成されてもよい。
カム枠150の内周面には、3本の1群カム溝210,210,…と、3本の2群カム溝220,220,…が形成されている。1群カム溝210及び2群カム溝220は共に、底を有する溝である。これら1群カム溝210が第1カム溝を構成し、2群カム溝220が第2カム溝、即ち、第2の溝を構成する。尚、1群カム溝210及び2群カム溝220の少なくとも一方は、貫通溝(即ち、底を有さない溝)であってもよい。また、1群カム溝210及び2群カム溝220の少なくとも一方は、カム枠150の外周面に形成されていてもよい。
1群カム溝210は、沈胴領域211と撮影可能領域212とを含んでいる。撮影可能領域212のうち、沈胴領域211に近い端部が広角端であり、沈胴領域211から離れた端部が望遠端である。
2群カム溝220は、1群カム溝210と同様に、沈胴領域221と撮影可能領域222とを含んでいる。撮影可能領域222のうち、沈胴領域221に近い端部が広角端であり、沈胴領域221から離れた端部が望遠端である。
1群及び2群カムフォロア111,121がそれぞれ1群及び2群カム溝210,220のうち、周方向と平行な領域を通過するときは、1群及び2群枠110,120は、カム枠150に対して光軸方向に移動しない。一方、1群及び2群カムフォロア111,121が1群及び2群カム溝210,220のうち、周方向に対して傾きを有する領域を通過するときは、1群及び2群枠110,120は、カム枠150に対して光軸方向に相対的に移動する。
レンズ鏡筒100が非撮影時、例えば、電源がOFFのときには、1群及び2群カムフォロア111,121がそれぞれ沈胴領域211,221に位置する。このとき、レンズ鏡筒100は、沈胴状態となり、光軸方向の寸法が最も小さくなる。レンズ鏡筒100は、電源がOFFからONになると、ズームモータユニット173が作動し、1群及び2群カムフォロア111,121がそれぞれ撮影可能領域212,222の広角端まで移動させられる。撮影時にはズームモータユニット173により1群及び2群枠110,120が駆動され、1群及び2群カムフォロア111,121はそれぞれ、1群及び2群カム溝210,220の撮影可能領域212,222内を移動する。こうして、撮像光学系の焦点位置が調整される。
1群カム溝210と2群カム溝220とは、隣接して設けられている。そのため、1群カム溝210は、2群カム溝220に接近する部分と2群カム溝220から離間する部分とがある。詳しくは、撮影可能領域における1群カム溝210は、広角端から望遠端に向かって、2群カム溝220と比較的離れた第1離間領域213と、2群カム溝220と比較的近接した近接領域214と、2群カム溝220と比較的離れた第2離間領域215とを含む。この近接領域214が第1領域に相当し、第1及び第2離間領域213,215が第2領域に相当する。
近接領域214における1群カム溝210の断面形状は、第1及び第2離間領域213,215における1群カム溝210の断面形状と異なっている。詳しくは、第1及び第2離間領域213,215における1群カム溝210は、底に向かって溝幅(溝の軸線及び溝の深さ方向の両方に直交する方向の寸法)が単調に小さくなるテーパー形状となっている。このとき、1群カム溝210の両側面の傾斜角度は、略同じである。
一方、近接領域214における1群カム溝210のうち、底近傍部分は、両側面の傾斜角度が略同じであるテーパー形状であって、第1及び第2離間領域213,215における底近傍の部分と同様の形状となっている。しかしながら、近接領域214における1群カム溝210のうち、開口端側(即ち、カム枠150の内周面側)の部分は、2つの側面のうち2群カム溝220に近い側の側面に、1群カム溝210の内側に突出する突出部216が設けられている。突出部216における1群カム溝210の側面は、傾斜面ではなく、溝の深さ方向に平行な面となっている。
このように、近接領域214における1群カム溝210の溝幅(特に、開口端側の部分の溝幅)は、第1及び第2離間領域213,215における1群カム溝210の溝幅よりも狭くなっている。そして、1群カムフォロア111は、1群カム溝210の溝幅に対応させて、切欠部112が形成されている。
詳しくは、1群カムフォロア111は、基本的には、先端に向かって細くなるテーパー状に形成されている。1群カムフォロア111の先端部111aの傾斜角度及び幅は、1群カム溝210の底近傍部分の傾斜角度及び幅と略同じとなっている。1群カムフォロア111の先端部111aは、1群カムフォロア111の先端が1群カム溝210の底に当接した状態において、1群カム溝210の底近傍部分に嵌るようになっている。厳密には、1群カムフォロア111が1群カム溝210内を円滑に摺動できる程度の隙間が1群カムフォロア111の先端部111aと1群カム溝210の底近傍部分の側面との間に設けられている。一方、1群カムフォロア111の基端部111bは、テーパー形状ではあるものの、段差状に縮径している。これにより、1群カムフォロア111の基端部111bと1群カム溝210の開口端側の部分の側面との間の隙間は、1群カムフォロア111の先端部111aと1群カム溝210の底近傍部分の側面との間の隙間よりも大きくなっている。そして、1群カムフォロア111の基端部111bのうち、1群カムフォロア111が1群カム溝210を通過する際に突出部216と対面する部分には、切欠部112が形成されている。つまり、1群カムフォロア111の基端部111bは、周方向の一部の区間だけ、1群カムフォロア111の太さが細くなるように切り欠かれている。すなわち、1群カムフォロア111の基端部111bは、近接領域214における1群カム溝210の溝幅方向への寸法(即ち、1群カム溝210の軸線及び深さ方向の両方に直交する方向への幅)が、第1及び2離間領域213,215における1群カム溝210の溝幅方向への寸法よりも小さくなっている。
こうすることで、1群カム溝210の溝幅が部分的に狭くなる構成であっても、1群カムフォロア111に1群カム溝210を円滑に通過させることができる。
このように突出部216を設けることによって、1群カム溝210と2群カム溝220とが近接する部分において、1群カム溝210と2群カム溝220とを隔てている隔壁152の厚みを増加させることができる。突出部216が存在しない構成の場合、1群カム溝210と2群カム溝220との間の隔壁152の厚みが薄く、1群カムフォロア111がちょうど1群カム溝210の近接領域214に位置する状態において、デジタルスチルカメラの落下等によりレンズ鏡筒100に衝撃が加わると、1群カム溝210と2群カム溝220との間の隔壁152が破損したり、変形したりする虞がある。それに対し、1群カム溝210に突出部216を設けることによって、隔壁152を突出部216の分(図中にハッチングで図示)だけ厚くすることができる。これにより、隔壁152の強度を向上させることができる。
続いて、1群枠110及びマスターフランジ190について、さらに詳しく説明する。図6は、1群枠110の斜視図であり、図7は、マスターフランジ190の斜視図であり、図8は、沈胴状態における1群枠110及びマスターフランジ190の部分拡大図である。
1群枠110は、光軸方向に延びる円筒状の筒体119と、筒体119の外周面に設けられた前記1群カムフォロア111,111,…とを有している。1群枠110は、樹脂で形成されている。筒体119と1群カムフォロア111,111,…とは、一体的に形成されている。1群カムフォロア111,111,…は、カム枠150の外周面のうち、光軸方向の撮像面側の端部において、周方向に間隔を開けて3箇所に設けられている。
筒体119の光軸方向の撮像面側の端面113のうち、1群カムフォロア111,111,…に対応する部分には、光軸方向の撮像面側に突出する3つの突出部114,114,…が設けられている。カム枠150の周方向における、これら1群カムフォロア111,111,…の位置と、突出部114,114,…の位置とは一致している。換言すれば、1群カムフォロア111,111,…の光軸方向の撮像面側に突出部114,114,…が設けられている。
この突出部114,114,…を設けることによって、1群カムフォロア111,111,…が破損する危険性を低減することができる。すなわち、レンズ鏡筒100に落下等の衝撃が加わったとき、1群カムフォロア111,111,…にも衝撃が加わる。1群カムフォロア111,111,…は、筒体119のうち光軸方向端部に設けられているため、衝撃が加わった際には、筒体119の壁部ごと破損し易くなっている。それに対して、突出部114を設けることによって、1群カムフォロア111が設けられている、筒体119の光軸方向端部を光軸方向の撮像面側に拡大することができる。こうすることで、1群カムフォロア111が、筒体119の光軸方向端面113から光軸方向内側へ実質的に遠ざかることになる。その結果、筒体119のうち1群カムフォロア111が設けられている部分の強度が向上する。こうして、1群カムフォロア111,111,…が破損する危険性を低減することができる。
前記マスターフランジ190には、レンズ鏡筒100が沈胴状態となったときに、1群枠110の突出部114,114,…が嵌る陥没部191,191,…が形成されている。沈胴状態においては、レンズ鏡筒100はできる限りコンパクトになることが好ましい。ところが、突出部114,114,…を設けることによって、1群枠110の光軸方向の寸法が大きくなってしまう。そこで、マスターフランジ190に陥没部191,191,…を形成することによって、突出部114,114,…を設ける構成であっても、沈胴状態において、1群枠110をコンパクトに収納することができる。つまり、沈胴状態におけるレンズ鏡筒100の光軸方向の寸法を小さくすることができる。尚、突出部114,114,…を吸収するためにマスターフランジ190を全体的に薄くするのではなく、突出部114,114,…に対応する部分だけを陥没させることによって、マスターフランジ190の強度を維持することができる。
さらに、沈胴状態においては、各突出部114の光軸方向端面114aは、各陥没部191の底面に当接する。これにより、沈胴状態において1群枠110の光軸Xに対する傾きを抑制することができる。また、突出部114を陥没部191の底まで伸ばすことができる。これにより、突出部114を拡大することができ、1群カムフォロア111の破損の危険性をさらに低減することができる。
したがって、本実施形態に係るレンズ鏡筒(100)は、少なくとも1つのレンズを含む第1レンズ群(第1レンズ群301)を有する光学系(撮像光学系)と、第1カム溝(1群カム溝210)を有するカム枠(150)と、第1カム溝と係合する第1カムフォロア(1群カムフォロア111)を有する第1移動枠(1群枠110)とを備え、前記第1移動枠は、前記カム枠に対して相対的に回転すると、前記第1レンズ群と共に前記カム枠に対して光軸方向に移動し、前記第1カム溝のうち、前記光学系の焦点距離を広角端から望遠端の間で変更させるときに前記第1カムフォロアが通過する領域(撮影可能領域212)は、互いに隣接する第1領域(近接領域214)及び第2領域(第1及び第2離間領域213,215)を含み、前記第1領域は、前記第2領域よりも溝幅が狭い。
前記カム枠は、前記第1カム溝とは別の第2の溝(2群カム溝220)を有する。
前記第1領域には、前記第2領域の何れの部分よりも、前記第2の溝に近接する部分を含んでいる。
前記レンズ鏡筒100は、第2カムフォロア(2群カムフォロア121)を有する第2移動枠(2群枠120)をさらに備え、前記光学系は、少なくとも1つのレンズを含む第2レンズ群(第2レンズ群302)をさらに有し、前記第2の溝は、前記第2カムフォロアと係合する2群カム溝(2群カム溝220)であり、前記第2移動枠は、前記カム枠に対して相対的に回転すると、前記第2レンズ群と共に前記カム枠に対して光軸方向に移動する。
前記第1領域では、前記第1カム溝の側面のうち前記第2の溝に近接する側の側面が該第1カム溝の内側へ突出している。
前記第1カムフォロアは、前記第1領域における前記第1カム溝の溝幅方向への寸法が、前記第2領域における前記第1カム溝の溝幅方向への寸法よりも小さい。
前記第1領域における前記第1カム溝は、該第1カム溝の開口端側の部分の溝幅が前記第2領域よりも狭くなっている一方、該第1カム溝の底側の部分の溝幅が前記第2領域と同じに構成されており、前記第1カムフォロアのうち前記第1カム溝の開口端側の部分に相当する部分(基端部111b)は、前記第1領域における前記第1カム溝の溝幅方向への寸法が、前記第2領域における前記第1カム溝の溝幅方向への寸法よりも小さく、前記第1カムフォロアのうち前記第1カム溝の底側の部分に相当する部分(先端部111a)は、前記第1領域における前記第1カム溝の溝幅方向への寸法が、前記第2領域における前記第1カム溝の溝幅方向への寸法と同じである。
また、本実施形態のレンズ鏡筒(100)は、カム溝(1群カム溝210)を有するカム枠(150)と、カム溝と係合するカムフォロア(1群カムフォロア111)を有する移動枠(1群枠110)とを備え、前記カムフォロアは、前記移動枠の外周面又は内周面のうち、光軸方向端部に設けられており、前記移動枠のうち、前記カムフォロアが設けられた部分の光軸方向端面(113)には、光軸方向に突出する突出部(114)が設けられている。
前記レンズ鏡筒は、マスターフランジ(190)をさらに備え、前記マスターフランジには、前記移動枠が沈胴状態になったときには、前記突出部が嵌る陥没部(191)が形成されている。
前記移動枠が沈胴状態になったときには、前記突出部は、前記陥没部の底に当接する。
前記の構成によれば、1群カム溝210と2群カム溝220が近接した部分の隔壁152を補強することができ、レンズ鏡筒100を衝撃に対して強くすることができる。
また、1群枠110のうち1群カムフォロア111が設けられた部分を補強することによって、1群カムフォロア111を破損し難くすることができる。この点においても、レンズ鏡筒100を衝撃に対して強くすることができる。
さらに、1群カム溝210と2群カム溝220との間の隔壁152は、1群枠110の1群カムフォロア111が当接する部分である。1群枠110は、レンズ鏡筒100において最も被写体側に位置する枠体であり、レンズ鏡筒100が落下等する際に最も衝撃を受けやすい部材である。つまり、隔壁152を補強することにより、レンズ鏡筒100を効果的に補強することができる。ただし、1群枠110以外の枠体に設けられたカムフォロアが当接する、2つの溝の間の隔壁又は溝と切欠部との間の隔壁を、前述と同様の構成により補強してもよい。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
前記実施形態では、カム枠150の1群カム溝210の溝幅について説明しているが、これに限られるものではない。つまり、カムフォロアが係合するカム溝であれば、カム枠150の以外の部材においても同様の構成を採用することができる。
また、1群カム溝210の形状も、前記実施形態に限られるものではない。つまり、1群カム溝210は、テーパー状の溝となっているが、両側面が溝の深さ方向と平行に延びていてもよいし、一方の側面だけが溝の深さ方向と平行に延びていてもよい。また、1群カム溝210は、有底状の溝であるが、スリットのような貫通溝であってもよい。
さらに、1群カム溝210の突出部216の形状は、前記実施形態に限られるものではない。例えば、突出部216と、1群カム溝210の側壁との間に段差が形成されていてもよい。また、突出部216は、1群カム溝210の近接領域214の全域に亘って設けられていなくてもよく、近接領域214を越えて、第1及び/又は第2離間領域213,215に設けられていてもよい。つまり、1群カム溝210の近接領域214のうちの最も溝幅が狭い部分の溝幅が、1群カム溝210の第1又は第2離間領域213,215の最も溝幅が広い部分の溝幅よりも狭ければ、突出部216は任意の形状を採用することができる。
また、1群カム溝210は、第1及び第2離間領域213,215が設けられているが、何れか一方の離間領域だけであってもよい。また、近接領域214、第1及び第2離間領域213,215は、1群カム溝210及び2群カム溝220の形状に応じて任意に配置することができる。つまり、1群カム溝210の近接領域214のうち、2群カム溝220に最も近接する部分が、1群カム溝210の第1又は第2離間領域213,215のどの部分よりも2群カム溝220に近接していれば、第1領域としての近接領域と第2領域としての離間領域を任意に設定することができる。
また、近接領域214において1群カム溝210が近接する対象は、2群カム溝220であるが、これに限られるものではない。例えば、1群カム溝210が近接する対象は、カム溝ではなく、他の部材の動きを規制するため(例えば、回転止めのため)の係合溝であってもよい。または、1群カム溝210が近接する対象は、図9に示すように、カム枠に設けられた切欠部154であってもよい。この場合、1群カム溝210の近接領域214には、1群カム溝210の撮影可能領域212の中で最も切欠部154に近接する部分を含む。レンズ鏡筒の小型化により、他の部材との干渉を避ける等の目的で切欠部154を設ける場合がある。このような場合であっても、衝撃により破損する危険性を低減することができる。
また、2群カム溝220は、前記の構成に限られるものではない。例えば、2群カム溝220は、貫通溝であってもよい。
また、前記の構成では、1群カム溝210に突出部216を設けることによって1群カム溝210と2群カム溝220との間の隔壁152を補強しているが、これに限られるものではない。例えば、2群カム溝220に同様の突出部を設けてもよい。この場合、2群カム溝220の撮影可能領域222のうち、1群カム溝210に近接した部分を含む近接領域において、2群カム溝220の側面のうち1群カム溝210に近接する側の側壁に2群カム溝220の内側に突出する突出部を設ける。さらに、2群カムフォロア121には、1群カムフォロア111の切欠部112と同様の切欠部が設けられる。
また、1群カムフォロア111は、前記の構成に限られるものではない。例えば、切欠部112は、1群カムフォロア111の周方向の一部の区間に設けられているが、1群カムフォロア111の全周に設けられていてもよい。ただし、切欠部112を1群カムフォロア111のうち突出部216と対面する部分にだけ設ける方が、1群カムフォロア111の強度の点で好ましい。また、1群カムフォロア111は、先端部111aと基端部111bとで段差を有しているが、段差を有していなくてもよい。さらに、1群カムフォロア111は、1群カム溝210と同様のテーパー形状となっているが、1群カム溝210に係合する限りにおいては、任意の形状とすることができる。
また、1群カム溝210は、カム枠150の内周面に設けられているが、これに限られるものではない。1群カム溝210は、カム枠150の外周面に設けられていてもよい。その場合、第1カムフォロアは、1群カム溝210に対してカム枠150の外側から係合する。
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。