本発明に係るレンズ鏡胴を有する撮像装置の一例としてのデジタルカメラ10を、図1ないし図3を用いて説明する。
デジタルカメラ10は、図1に示すように、カメラ本体11の前面側に撮影光学系としての撮影レンズ系12を取付けたレンズ鏡胴20、ストロボ発光部13が設けられている。また、デジタルカメラ10の上面側には、デジタルカメラ10全体を起動する電源ボタン14、モード切替ダイアル15、レリーズボタン16が設けられている。
モード切替ダイアル15は、各種のシーンモード、静止画モード、動画モード等を設定するものである。レリーズボタン16は、被写体を撮影する際に押圧する押圧操作部材である。デジタルカメラ10では、レリーズボタン16の押圧操作により、撮影レンズ系12を通して撮像素子29(図3参照)の受光面に受光した被写体像の画像データが記録処理される。
撮影レンズ系12は、後述するように、3群構成とされている(図2および図3参照)。レンズ鏡胴20は、撮影レンズ系12の光軸(以下、単に光軸という)に沿って、所定の沈胴位置(図11参照)と所定の撮影待機位置(図12参照)との間で移動(繰り出し)可能とされている。なお、図1に示すデジタルカメラ10は、電源オフ時であって、撮影レンズ系12が鏡胴ユニット(カメラ本体11)内の沈胴位置にあり、その撮影レンズ系12(後述する第1レンズ群33のうち最も物体側に位置するレンズ)が開閉自在なレンズバリア17で保護されている。以下では、撮影レンズ系12の光軸方向をZ軸方向とし、そこに直交する面をX−Y平面とする。
レンズ鏡胴20は、図2に示すように、レンズ鏡胴駆動ユニット60によって、レンズ鏡胴20が所定の沈胴位置(図11参照)と所定の撮影待機位置(図12参照)との間で光軸方向(Z軸方向)に沿って移動される。レンズ鏡胴駆動ユニット60は、中央演算処理部61と、モータドライバ62と、回転筒駆動モータ63と、第3群駆動モータ64と、回転筒位置検出部65と、第3群位置検出部66と、を有する。中央演算処理部61は、モータドライバ62に対して、その初期設定、駆動モータの選択、駆動電圧の設定および駆動方向等の命令を与える。モータドライバ62は、中央演算処理部61からの命令にしたがって、回転筒駆動モータ63および第3群駆動モータ64のモータ系を適宜駆動制御する。
回転筒駆動モータ63は、後述するように、第1レンズ群33を保持する第1レンズ群保持枠25、第2レンズ群34を保持する第2レンズ群保持枠26およびシャッタ保持枠28の移動のために、回転筒23(図3等参照)を回転駆動させる。第3群駆動モータ64は、第3レンズ群35を保持する第3レンズ群保持枠27を移動させる。
また、中央演算処理部61は、回転筒位置検出部65および第3群位置検出部66で検出された位置情報信号を取得可能である。その中央演算処理部61は、その位置情報信号に基づいて、回転筒23の回転姿勢および第3レンズ群保持枠27(第3レンズ群35)の位置を適正に制御する。
次に、本発明に係るレンズ鏡胴20の概略的な構成を、図3を用いて説明する。
レンズ鏡胴20は、壁部材21と、固定筒22と、回転筒23と、ライナー24と、第1レンズ群保持枠25と、第2レンズ群保持枠26と、第3レンズ群保持枠27と、シャッタ保持枠28と、撮像素子29と、回転枠30と、第1伝達ギア31と、第2伝達ギア32と、第1レンズ群33と、第2レンズ群34と、第3レンズ群35と、を有する。
このレンズ鏡胴20では、Z軸(光軸)方向で見て物体側から順に、第1レンズ群33と第2レンズ群34と第3レンズ群35とからなる撮影レンズ系12が収容されている。この撮影レンズ系12(レンズ鏡胴20)では、上述したレンズ鏡胴駆動ユニット60により、各レンズ群をZ軸方向に沿って適宜移動させることで焦点距離調節が行われるとともに、フォーカスレンズとしての機能を有する第3レンズ群35をZ軸方向に沿って適宜移動させることでピント調節が行われる。
レンズ鏡胴20では、平板状の壁部材21に、CCD等で構成される撮像素子29が、撮影レンズ系12のZ軸上に設けられている。この壁部材21には、筒状を呈する固定筒22が取り付けられている。固定筒22の内壁には、ライナー24の固定のための係合凹所22aと、回転筒23の回転を許容しつつZ軸方向への移動を防止するための環状溝22bと、が設けられている。係合凹所22aは、後述するライナー24の係合突起24aのX−Y平面に沿う方向での係合を可能とすべく、固定筒22の内壁が凹状に切り欠かれて形成されている。環状溝22bは、後述する回転筒23の摺動突起23aのX−Y平面に沿う方向での係合を可能としかつ周方向への相対的な移動を可能とすべく、固定筒22の内壁が同一のX−Y平面に沿って(図3で見て等しい高さ位置で)延在する長尺な凹状に切り欠かれて形成されている。この固定筒22の内側に、回転筒23が収容される。
回転筒23は、筒状を呈し、基端部(図3で見た下側)に摺動突起23aが設けられている。この摺動突起23aは、固定筒22の環状溝22bに係合可能であるとともに、その環状溝22b内を摺動可能とされている。この回転筒23は、摺動突起23aを固定筒22の環状溝22bに係合させることにより、固定筒22に対して、Z軸方向の位置を変えることなく回転可能となる。回転筒23は、上述したレンズ鏡胴駆動ユニット60の回転筒駆動モータ63(図2参照)から回転駆動力を受けることにより、固定筒22の内方で、その固定筒22に対してZ軸方向の位置を変えることなく回転する。
回転筒23の内壁には、ライナー24に対する回転を許容しつつ光軸方向への移動を防止するための環状溝23bと、第1レンズ群保持枠25の移動のための第1カム溝23cと、シャッタ保持枠28の移動のための第2カム溝23dと、第1伝達ギア31が噛み合わされる内壁ギア溝23eと、が設けられている。環状溝23bは、後述するライナー24の係合突起24bのX−Y平面に沿う方向での係合を可能としかつ係合された係合突起24bの周方向への相対的な移動を可能とすべく、回転筒23の内壁が、同一のX−Y平面に沿って(図3で見て等しい高さ位置で)延在する長尺な凹状に切り欠かれて形成されている。第1カム溝23cは、後述する第1レンズ群保持枠25のカムピン25aのX−Y平面に沿う方向での係合を可能としかつ係合されたカムピン25aを案内すべく、回転筒23の内壁が、周方向で見た回動位置に応じてZ軸(光軸)方向の位置が変化するように延在する長尺な凹状(ヘリコイド状)に切り欠かれて形成されている。第2カム溝23dは、後述するシャッタ保持枠28のカムピン28aのX−Y平面に沿う方向での係合を可能としかつ係合されたカムピン28aを案内すべく、回転筒23の内壁が、第1カム溝23cよりも基端側(図3で見て下側)で、周方向で見た回動位置に応じてZ軸(光軸)方向の位置が変化するように延在する長尺な凹状(ヘリコイド状)に切り欠かれて形成されている。内壁ギア溝23eは、後述する第1伝達ギア31とのX−Y平面に沿う方向での噛み合いを可能とすべく、第1カム溝23cよりも先端側(図3で見て上側)で、各ギア歯が周方向に並列するように回転筒23の内壁に設けられて形成されている。この内壁ギア溝23eは、周方向で見て回転筒23と第1レンズ群保持枠25との相対的な回転可能な角度範囲に延在し、Z方向で見て回転筒23と後述する第1伝達ギア31との相対的な移動可能な長さ範囲に延在している。この回転筒23の内方に、ライナー24が位置している。
ライナー24は、筒状を呈し、基端部(図3で見た下側)に係合突起24aが設けられ、先端部(図3で見た上側)に係合突起24bが設けられている。係合突起24aは、固定筒22の係合凹所22aに係合可能である。係合突起24bは、回転筒23の環状溝23bに係合可能であるとともに、その環状溝23b内を摺動可能とされている。ライナー24は、係合突起24aを固定筒22の係合凹所22aに係合させることにより固定筒22に固定され、係合突起24bを回転筒23の環状溝23bに係合させることにより、固定筒22に対して回転可能とされた回転筒23の回転を許容する。
このライナー24には、後述する第1レンズ群保持枠25の案内突起25bおよび後述するシャッタ保持枠28の案内突起28bを案内するための直進切欠部24cと、後述する第1伝達ギア31のZ軸方向への相対的な移動を許容する許容切欠部24dとが設けられている(図3では、直進切欠部24cと許容切欠部24dとの境界が明確には示されていない)。直進切欠部24cは、後述する第1レンズ群保持枠25のカムピン25aの回転筒23の第1カム溝23cへの係合およびシャッタ保持枠28の案内突起28bの回転筒23の第2カム溝23dへの係合を許すべくライナー24の周壁部を貫通するように、基端(図3で見た下側)からZ軸方向の中間位置までライナー24の周壁部を切り欠いて形成されている。この直進切欠部24cは、後述する第1レンズ群保持枠25の案内突起25bおよびシャッタ保持枠28の案内突起28bが係合可能であり、その案内突起25bおよび案内突起28bのZ軸方向への相対的な移動を許容しつつ周方向への移動を防止する。許容切欠部24dは、第1伝達ギア31の回転筒23の内壁ギア溝23eへの噛み合いを許すべくライナー24の周壁部を貫通するように、ライナー24の周壁部の中間位置をZ軸方向の所定の範囲で切り欠いて形成されている。この許容切欠部24dは、後述するようにライナー24に対するZ軸方向への第1伝達ギア31の移動を許容する。
レンズ鏡胴20では、係合突起24aの係合凹所22aへの係合によりライナー24が固定筒22に固定される。また、回転筒23は、固定筒22とライナー24との間において、摺動突起23aの環状溝22bへの係合と係合突起24bの環状溝23bへの係合とにより、固定筒22およびライナー24に対してZ軸回りに回転可能であるとともに、Z軸方向への移動が防止されている。
なお、このレンズ鏡胴20では、上述したように、ライナー24を固定筒22に固定し、かつライナー24と固定筒22との間で回転筒23の回転を可能としつつ光軸方向への移動を防止する構成とされていたが、回転筒23を回転に伴って固定筒22から繰り出させるとともに、ライナー24を固定筒22に対する回転を防止しつつ回転筒23の繰り出しに伴って固定筒22から繰り出す構成としてもよい。この場合、固定筒22の内壁に設けられる環状溝22bを、周方向で見た回動位置に応じてZ軸(光軸)方向の位置が変化するように延在するヘリコイド状のカム溝とするとともに、固定筒22の内壁に設けられる係合凹所22aを、Z軸方向へと延在する直進溝とすればよい。
ライナー24の内方に配置される第1レンズ群保持枠25は、第1レンズ群33をZ軸(光軸)方向へ移動可能に保持するものである。この第1レンズ群保持枠25は、全体に筒状を呈し、その中間位置で軸線方向に直交する面を形成する中間壁部25cに、第1レンズ群33の支持のための段付きの筒状部25dを有する。第1レンズ群保持枠25には、外壁部25eの撮像素子29側の後端部(図3で見た下側)に、径方向外側へ向けて突出する案内突起25bと、その先端から径方向外側へ向けて突出するカムピン25aと、が設けられている。案内突起25bは、周方向で見た両側面がライナー24の直進切欠部24cに嵌合する大きさ寸法とされており、その直進切欠部24c内でのZ軸(光軸)方向への摺動が可能とされている。カムピン25aは、ライナー24の直進切欠部24cを経て、回転筒23の第1カム溝23cに係合する大きさ寸法とされており、その第1カム溝23c内での延在方向への摺動が可能とされている。このため、第1レンズ群保持枠25は、案内突起25bの直進切欠部24cへの係合によりライナー24に対する回転が防止されつつZ軸(光軸)方向への移動が可能である。また、第1レンズ群保持枠25は、カムピン25aの第1カム溝23cへの係合により、ライナー24に対して回転筒23が回転すると、Z軸(光軸)方向への移動力が付与されるので、直進切欠部24cの案内作用との協働により、ライナー24すなわち固定筒22に対する回転が防止されつつZ軸(光軸)方向へ移動する。
この第1レンズ群保持枠25には、中間壁部25cに第1伝達ギア31と第2伝達ギア32とが互いに噛み合いつつ回転可能に設けられている。また、第1レンズ群保持枠25の外壁部25eには、第1伝達ギア31の一部を外方へと露出させるための開口部25fが設けられている。第1伝達ギア31は、その開口部25fおよびライナー24の許容切欠部24dを経て、回転筒23の内壁ギア溝23eに噛み合わされている。また、その第1伝達ギア31と噛み合わされた第2伝達ギア32は、後述する回転枠30の外壁ギア溝30aに噛み合わされている。このため、第1伝達ギア31と第2伝達ギア32とは、第1レンズ群保持枠25に対する回転筒23の回転力を回転枠30へと伝達する回転力伝達機構として機能する。
その回転枠30は、段付き筒状部25dを取り囲む筒状を呈し、その段付き筒状部25dすなわち第1レンズ群保持枠25に対して回転可能に設けられている。この回転枠30は、図示は略すが段付き筒状部25dすなわち第1レンズ群保持枠25に対してZ軸(光軸)方向への移動が防止されている。回転枠30には、先端側(図3で見て上側)の外壁に外壁ギア溝30aが設けられており、内壁にカム溝30bが設けられている。外壁ギア溝30aは、第2伝達ギア32とのX−Y平面に沿う方向での噛み合いを可能とすべく、各ギア歯が周方向に並列するように設けられて形成されている。カム溝30bは、後述する第2レンズ群保持枠26のカムピン26aのX−Y平面に沿う方向での係合を可能としかつ係合されたカムピン26aを案内すべく、回転枠30の内壁が、周方向で見た回動位置に応じてZ軸(光軸)方向の位置が変化するように延在する長尺な凹状(ヘリコイド状)に切り欠かれて形成されている。この回転枠30は、後述するように、第1レンズ群保持枠25の内方に設けられ、その第1レンズ群保持枠25に対する回転筒23の回転駆動力が回転力伝達機構を介して伝達されることにより、第2レンズ群保持枠26を第1レンズ群保持枠25に対してZ軸(光軸)方向に移動させる第二の保持枠駆動手段として機能する。
この回転枠30の内方に、第2レンズ群保持枠26が設けられている。この第2レンズ群保持枠26は、第2レンズ群34を第1レンズ群保持枠25に対してZ軸(光軸)方向へ移動可能に保持するものであり、全体に筒状を呈し、内方に第2レンズ群34の支持のための支持部26bを有する。この第2レンズ群保持枠26は、図示は略すが、第1レンズ群保持枠25に対して回転が防止されつつZ軸(光軸)方向への移動が可能に、第1レンズ群保持枠25に保持されている。第2レンズ群保持枠26には、先端部(図3で見た上側)に、径方向外側へ向けて突出するカムピン26aが設けられている。カムピン26aは、回転枠30のカム溝30bに係合する大きさ寸法とされており、そのカム溝30b内での延在方向への摺動が可能とされている。
この第2レンズ群保持枠26は、第1レンズ群保持枠25との間に設けられた付勢手段としてのコイルバネ36により、第1レンズ群保持枠25に対して撮像素子29側(図3で見た下側)へと付勢されている。図3の例では、コイルバネ36は、第1レンズ群保持枠25の段付き筒状部25dの先段位置(図3で見た下側)を取り囲みつつ、第2レンズ群保持枠26の内壁に沿って延在するように設けられている。
この第2レンズ群保持枠26(第2レンズ群34)の撮像素子29側(図3で見た下側)に、シャッタ保持枠28が設けられている。シャッタ保持枠28は、撮影レンズ系12の光軸上にシャッタ(図示せず)を位置させるべく当該シャッタを出入自在に保持するものである。このシャッタ保持枠28は、ライナー24の内方に位置する筒状を呈し、撮像素子29側の後端部に、径方向外側へ向けて突出する案内突起28bと、その先端から径方向外側へ向けて突出するカムピン28aと、が設けられている。案内突起28bは、周方向で見た両側面がライナー24の直進切欠部24cに嵌合する大きさ寸法とされており、その直進切欠部24c内でのZ軸(光軸)方向への摺動が可能とされている。カムピン28aは、ライナー24の直進切欠部24cを経て、回転筒23の第2カム溝23dに係合する大きさ寸法とされており、その第2カム溝23d内での延在方向への摺動が可能とされている。このため、シャッタ保持枠28は、案内突起28bの直進切欠部24cへの係合によりライナー24に対する回転が防止されつつZ軸(光軸)方向への移動が可能である。また、シャッタ保持枠28は、カムピン28aの第2カム溝23dへの係合により、ライナー24に対して回転筒23が回転すると、Z軸(光軸)方向への移動力が付与されるので、直進切欠部24cの案内作用との協働により、ライナー24すなわち固定筒22に対する回転が防止されつつZ軸(光軸)方向への移動が可能である。
このシャッタ保持枠28の撮像素子29側(図3で見た下側)に、第3レンズ群保持枠27が設けられている。第3レンズ群保持枠27は、第3レンズ群35をZ軸(光軸)方向へ移動可能に保持するものであり、全体に筒状を呈する。この第3レンズ群保持枠27は、上述したレンズ鏡胴駆動ユニット60の第3群駆動モータ64(図2参照)によりZ軸(光軸)方向への移動が可能とされており、上述したようにピント調節のためにZ軸方向に沿って適宜移動される。
このため、レンズ鏡胴20(デジタルカメラ10)では、回転筒23がレンズ鏡胴駆動ユニット60の回転筒駆動モータ63(図2参照)から回転駆動力を付与されると、固定筒22の内方で、回転筒23がZ軸(光軸)方向の位置を変えることなく回転する。これに伴って、第1レンズ群保持枠25(第1レンズ群33)およびシャッタ保持枠28が、ライナー24(その直進切欠部24cの案内作用)により回転が防止されつつ、第1カム溝23cおよび第2カム溝23dの案内作用によりZ軸方向に移動する。このため、回転筒23と第1レンズ群保持枠25とが相対的に回転することとなり、回転筒23の内壁ギア溝23eに噛み合わされた第1伝達ギア31が回転し、それに噛み合わされた第2伝達ギア32も回転する。すると、第2伝達ギア32に外壁ギア溝30aが噛み合わされた回転枠30が、第1伝達ギア31の内方で、当該第1伝達ギア31に対するZ軸方向の位置を変えることなく回転する。すなわち、回転枠30は、回転筒23およびライナー24に対するZ軸方向の位置を第1レンズ群保持枠25とともに変化させつつ、第1レンズ群保持枠25に対して回転する。すると、第2レンズ群保持枠26は、第1レンズ群保持枠25に対して回転が防止されつつZ軸(光軸)方向への移動が可能であることから、回転する回転枠30のカム溝30bにカムピン26aが係合されていることにより、第1レンズ群保持枠25に対して回転が防止されつつZ軸(光軸)方向へ移動する。
すなわち、レンズ鏡胴20(デジタルカメラ10)は、回転筒23を回動駆動すると、回転筒23に対して第1レンズ群33を保持する第1レンズ群保持枠25がZ軸(光軸)方向へと移動するものであって、その第1レンズ群保持枠25の内方(外形を形作る外壁部25eの内側)において、第1レンズ群33を実際に保持する支持部としての段付き筒状部25dを取り巻くように設けられた回転枠30に、回転筒23への回転駆動力を伝達して回転枠30を回転させ、その回転枠30に設けたカム溝30bに係合させた第2レンズ群保持枠26のカムピン26aを介して、第2レンズ群保持枠26(第2レンズ群34)を第1レンズ群保持枠25に対してZ軸方向へと移動させるものである。
よって、このレンズ鏡胴20(それを有するデジタルカメラ10)では、回転筒23の内壁における第1レンズ群保持枠25(第1レンズ群33)の移動のための第1カム溝23cの設計自由度を向上させることができるとともに、回転枠30の内壁における第2レンズ群保持枠26(第2レンズ群34)の移動のためのカム溝30bの設計自由度を向上させることができる。これは、以下のことによる。レンズ鏡胴20では、沈胴状態におけるレンズ鏡胴20の光軸方向の長さ寸法は、収容する撮影レンズ系12の光軸方向の長さ寸法、または回転筒23の光軸方向の長さ寸法により規定される。このため、回転筒23の光軸方向の長さ寸法を可能な限り小さくしつつ、沈胴状態において各レンズ群(上記した例では、第1レンズ群33および第2レンズ群34)ができる限り近接していることが望ましい。ここで、回転筒23の内壁に第1レンズ群保持枠25のカム溝と第2レンズ群保持枠26のカム溝との双方を設けることとすると、Z軸(光軸)方向で見ると両カム溝が極めて近接して(設計によっては重なり合って)しまう。すると、両カム溝およびそれらに係合される各カムピン、ひいては回転筒23自体における強度(剛性)を確保する必要があることから、回転筒23の光軸方向の長さ寸法を大きくしない限り、互いのカム溝が他方のカム溝の位置を制限することとなるので、両カム溝の設計自由度が低くなってしまう。各カム溝の設計は、撮影状態における各レンズ群(上記した例では、第1レンズ群33および第2レンズ群34)の位置、すなわち撮影レンズ系12におけるレンズ設計に影響を及ぼすことから、撮影性能の向上を図ることが困難となってしまう。これに対し、本発明のレンズ鏡胴20では、Z軸(光軸)方向で見て両カム溝が極めて近接して(設計によっては重なり合って)しまう虞のある第1レンズ群保持枠25(第1レンズ群33)の移動のための第1カム溝23cを回転筒23の内壁に設けるとともに、第2レンズ群保持枠26(第2レンズ群34)の移動のためのカム溝30bを回転枠30の内壁に設ける構成であるので、回転筒23の光軸方向の長さ寸法の増大を招くことなく、双方のカム溝(23cおよび30b)の設計自由度を向上させることができる。
また、レンズ鏡胴20(それを有するデジタルカメラ10)では、第1レンズ群保持枠25の内方(外形を形作る周壁部である外壁部25eの内側)において、第1レンズ群33を実際に支持する支持部である段付き筒状部25dを取り巻くように設けられた回転枠30に、回転筒23への回転駆動力を伝達して当該回転枠30を回転させ、その回転枠30に設けたカム溝30bに係合させた第2レンズ群保持枠26のカムピン26aを介して、第1レンズ群保持枠25に対して第2レンズ群保持枠26をZ軸方向へと移動させるものであることから、レンズ鏡胴20ひいてはデジタルカメラ10の大きさ寸法の増大を招くことなく、2つのレンズ群(第1レンズ群33および第2レンズ群34)の移動のための各カム溝の設計自由度を向上させることができる。これは、以下のことによる。上述したように、回転筒23の光軸方向の長さ寸法を可能な限り小さくしつつ、沈胴状態において各レンズ群(上記した例では、第1レンズ群33および第2レンズ群34)ができる限り近接していることが望ましいことから、回転筒23の内壁に第1レンズ群保持枠25のカム溝を設けることとして、その回転筒23の内方に別個の回転筒(以下、第2回転筒という)を設けるとともに、その第2回転筒の内方に別個のライナー(以下、第2ライナーという)および第2レンズ群保持枠を設ける構成とすることが考えられる。すると、第2回転筒および第2ライナーを設ける分だけ、Z軸(光軸)方向に直交する方向で見た大きさ寸法、すなわちレンズ鏡胴の径寸法が増大してしまう。これに対し、本発明のレンズ鏡胴20では、第2レンズ群保持枠26(第2レンズ群34)の移動のための回転枠30を、第1レンズ群保持枠25の内方(外壁部25eの内側)であって第1レンズ群33を支持する段付き筒状部25dを取り巻くように設ける構成であるので、回転筒23の内壁に第1レンズ群保持枠25のカム溝を設け、その回転筒23の内方に第2回転筒を設けるとともに、その第2回転筒の内方に第2ライナーおよび第2レンズ群保持枠を設ける構成に比較して、径寸法を小さくすることができる。
さらに、レンズ鏡胴20(それを有するデジタルカメラ10)では、カムピン26aを回転枠30のカム溝30bに係合させることにより第1レンズ群保持枠25に対してZ軸(光軸)方向への移動が可能な第2レンズ群保持枠26が、コイルバネ36により第1レンズ群保持枠25に対して撮像素子29側(図3で見た下側)へと付勢されていることから、第2レンズ群保持枠26が撮像素子29側へと押し付けられて位置決めされる。このため、第2レンズ群保持枠26の位置、特に、撮影待機位置における第1レンズ群保持枠25に対する第2レンズ群保持枠26の位置関係において、第2レンズ群保持枠26を移動させるための各機構におけるガタつき(カムピン26aとカム溝30bとの遊び等に起因する)の影響をなくすことができるので、第1レンズ群保持枠25に対する第2レンズ群保持枠26の移動を円滑なものとしつつ第1レンズ群33と第2レンズ群34との間隔寸法の精度を向上することができる。なお、図3の例では、第1レンズ群保持枠25と第2レンズ群保持枠26との間に圧縮ばねとしてのコイルバネ36を設けるものとしていたが、引張ばねを設けて第2レンズ群保持枠26を第1レンズ群保持枠25側(物体側)へと引っ張る(引き寄せる)もの(引張手段を用いる)であってもよく、図3の例に限定されるものではない。
レンズ鏡胴20(それを有するデジタルカメラ10)では、第1レンズ群保持枠25に対する回転筒23の回転力を回転枠30へと伝達する回転力伝達機構が、回転筒23の内壁に設けられた内壁ギア溝23eと、伝達ギア(この例では2つの第1伝達ギア31および第2伝達ギア32)と、回転枠30の外壁に設けられた外壁ギア溝30aと、により構成されていることから、内壁ギア溝23eと外壁ギア溝30aとにおけるギア比を適宜設定することで、回転筒23の回転速度すなわち第1レンズ群保持枠25の移動量と、回転枠30の回転速度すなわち第2レンズ群保持枠26の移動量と、をそれぞれ適宜調節することができるとともに、伝達ギアの個数を適宜調節することで、回転筒23の回転方向に対する回転枠30の回転方向を適宜設定することができるので、双方のカム溝(23cおよび30b)の設計自由度を向上させることができる。
レンズ鏡胴20(それを有するデジタルカメラ10)では、回転筒23の内壁において、第1レンズ群保持枠25の移動のための第1カム溝23cよりもZ軸(光軸)方向で見て物体側に、回転力伝達機構としての内壁ギア溝23eが設けられていることから、第1レンズ群保持枠25および第2レンズ群保持枠26の移動のための両カム溝(23cおよび30b)の設計自由度の低下を招くことなく、Z軸(光軸)方向で見て第2レンズ群34の像面側に位置する光学部材としてのシャッタ保持枠28の移動のための第2カム溝23dの設計自由度を向上させることができる。
したがって、本発明に係るレンズ鏡胴20(それを有するデジタルカメラ10)では、大きさ寸法の増大を招くことなく、2つのレンズ群(第1レンズ群33および第2レンズ群34)の移動のためのカム溝の設計自由度を向上させることができる。
次に、本発明に係るレンズ鏡胴の具体的な構成の一例について、図4ないし図12を用いて説明する。以下の具体的な構成例のレンズ鏡胴20´(図4ないし図12)では、基本的な構成は上記した図1ないし図3のレンズ鏡胴20と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、図4ないし図12に示す矢印Zは、デジタルカメラ10にレンズ鏡胴20´として装着された状態における光軸方向(図1参照)を示している。また、図4、図11および図12では、理解容易のために、壁部材21と固定筒22と第3レンズ群保持枠27(第3レンズ群35)とシャッタ保持枠28と撮像素子29との図示は省略して示している。
図4は、組み付けられたレンズ鏡胴20´の位置関係を、壁部材21側から見て固定筒22を省略して示す。なお、図4では、第1レンズ群33は、第2レンズ群保持枠26´(第2レンズ群34)等に隠れていて見えていない。壁部材21に取り付けられた固定筒22(図2参照)の内方(その空間)には、上述したように、回転筒23とライナー24と第1レンズ群保持枠25と第2レンズ群保持枠26´(第2レンズ群34)と回転枠30と第1伝達ギア31と第2伝達ギア32とが互いに組み合わされて収容されている(図4参照)。
図5は、回転筒23を基端側(壁部材21側)から見た模式的な斜視図である。回転筒23は、図5に示すように、筒状を呈し、外壁に3つの摺動突起23aが設けられている。また、回転筒23の内壁には、環状溝23bと、6本の第1カム溝23c(明確に図示されているのは3本)と、3本の第2カム溝23d(明確に図示されているのは1本)と、内壁ギア溝23eと、が設けられている。
各摺動突起23aおよび各第2カム溝23dは、周方向で見て略等しい間隔を置いて設けられている。各第1カム溝23cは、周方向で見て適宜間隔を置いて設けられている。内壁ギア溝23eは、Z軸(光軸)方向で見て、各第1カム溝23cの先端(図5で見て下側の端部)よりも下方であって環状溝23bの上方に位置されており、回転筒23と第1伝達ギア31との相対的な移動可能な長さ範囲に延在している。この内壁ギア溝23eは、周方向で見た所定の領域(周方向で見て回転筒23と第1レンズ群保持枠25との相対的な回転可能な角度範囲)に渡って形成されている。
この回転筒23の内壁には、ライナー24を基端側(壁部材21側)から内方に配置する際に、そのライナー24の各係合突起24bを受け入れつつ、各係合突起24bを環状溝23bに係合させるための3つの挿入溝23f(明確に図示されているのは2本)が設けられている。各挿入溝23fは、周方向で見て略等しい間隔を置いて設けられており、基端面(図5で見て上側の端面)から環状溝23bに至るまでZ軸(光軸)方向に延在している。また、回転筒23の外壁には、レンズ鏡胴駆動ユニット60の回転筒駆動モータ63(図2参照)からの回転駆動力を回転筒23に伝達するための駆動ギア溝23gが設けられている。駆動ギア溝23gは、周方向で見て、固定筒22(図3参照)内での回転筒23の回転可能な範囲に渡って複数のギア歯が並列されて形成されている。この回転筒23の内方に、配置されるライナー24を図6に示す。図6は、ライナー24を基端側(壁部材21側)から見た模式的な斜視図である。
ライナー24は、図6に示すように、基端部(図6で見た上端部)がフランジ状とされた筒状を呈し、フランジ状の基端部(外壁)に3つの係合突起24aが設けられ、外壁に3つの係合突起24b(図示されているのは2個)が設けられている。また、ライナー24の周壁部には、6本の直進切欠部24cと、1本の許容切欠部24dと、が設けられている。
各直進切欠部24cは、ライナー24の周壁を、基端部(図6で見た上端部)から所定の高さ位置まで切り欠いて形成されている。この所定の高さ位置とは、Z軸(光軸)方向で見て、ライナー24(回転筒23)に対して第1レンズ群保持枠25が最も物体側へと移動した状態(撮影待機位置(図11参照))におけるその第1レンズ群保持枠25の案内突起25b(カムピン25a)の位置である。また、各直進切欠部24cは、Z軸(光軸)方向で見て、後述する第1レンズ群保持枠25の案内突起25bおよび後述するシャッタ保持枠28の案内突起28bの挿通を可能とする形状で、フランジ状の基端部(図6で見た上端部)を貫通している。これにより、ライナー24では、第1レンズ群保持枠25を基端側(壁部材21側)から内方に配置することができる。
許容切欠部24dは、ライナー24の周壁を、所定の高さ位置から先端部(図6で見た下端部)まで切り欠いて形成されている。この所定の高さ位置とは、Z軸(光軸)方向で見て、ライナー24(回転筒23)に対して第1レンズ群保持枠25が最も撮像素子29側へと移動した状態(沈胴位置(図12参照))におけるその第1レンズ群保持枠25に設けられた第1伝達ギア31の位置である。また、許容切欠部24dは、周方向で見て、ライナー24の内方に配置される第1レンズ群保持枠25に設けられる第1伝達ギア31が、回転筒23の内壁ギア溝23eに噛み合うことを可能とする長さ寸法とされている。このライナー24の内方に配置される第1レンズ群保持枠25に第2レンズ群保持枠26´(第2レンズ群34)と回転枠30とが組み合わされた状態を図7に示し、その第1レンズ群保持枠25のみを図8に示す。この図8(a)は、第1レンズ群保持枠25を基端側(壁部材21側)から見た模式的な斜視図であり、図8(b)は、(a)を上方から見た(Z軸(光軸)方向で撮像素子29側から見た)模式的な正面図である。
第1レンズ群保持枠25は、図8に示すように、全体に筒状を呈し、外壁部25eの外面に、6つのカムピン25aと、6つの案内突起25bと、開口部25fと、が設けられている。この開口部25fには、中間壁部25cに渡り、第1伝達ギア31を回転可能に軸支するための台座部25gが形成されている。また、第1レンズ群保持枠25の中間壁部25cには、台座部25gの近接位置に、第2伝達ギア32を回転可能に軸支するための台座部25hが設けられている。第1レンズ群保持枠25は、この例では、一体的に形成された中間壁部25cと外壁部25eとに、筒状部25d´が取り付けられて構成されている(図11および図12参照)。
第1レンズ群33の支持のための筒状部25d´には、台座フランジ部25iと、3つの直進切欠部25jと、3つの係合突起25k(図示されているのは2個)と、が設けられている。台座フランジ部25iは、第1レンズ群33のうち最も撮像素子29側に位置するレンズを、物体側から当接して位置決めするストッパとして機能する(図11および図12参照)。各直進切欠部25jは、後述する第2レンズ群保持枠26´の案内脚部26cを、Z軸(光軸)方向で摺動可能に受け入れるべく、筒状部25d´をZ軸方向に切り欠いて形成されている。この各直進切欠部25jは、Z軸方向で見て、筒状部25d´の先端(図8(a)で見た上端)から、台座フランジ部25iを超えて、中間壁部25cに至り、その中間壁部25cの表面を凹ませる長さ寸法とされている。各係合突起25kは、筒状部25d´の先端部(図8(a)で見た上端部)の外壁から、径方向へ突出して形成されている。この各係合突起25kは、後述する回転枠30の環状溝30cに係合可能であるとともに、その環状溝30c内を摺動可能とされている。なお、第1レンズ群保持枠25では、中間壁部25cと外壁部25eとを架け渡すように、複数のリブが設けられている。この第1レンズ群保持枠25の筒状部25d´を取り巻くように設けられる回転枠30を図9に示す。図9は、回転枠30を基端側(壁部材21側)から見た模式的な斜視図である。
回転枠30は、図9に示すように、全体に筒状を呈し、先端部(図9で見て下側)の外壁に外壁ギア溝30aが設けられ、内壁に、3本のカム溝30b(明確に図示されているのは2本)と、3本の環状溝30c(明確に図示されているのは2本)と、3本の挿入溝30d(明確に図示されているのは2本)と、が設けられている。
各環状溝30cは、第1レンズ群保持枠25の筒状部25d´に設けられた係合突起25kを各々摺動可能に受け入れるものである。これにより、回転枠30は、筒状部25d´すなわち第1レンズ群保持枠25に対して、Z軸(光軸)方向への移動が防止されつつ回転可能とされる。各挿入溝30dは、各々が対応する環状溝30cの周方向で見た一端に連続するように、内壁がZ軸(光軸)方向に切り欠かれて形成されている。この各挿入溝30dは、回転枠30を基端側(壁部材21側)から第1レンズ群保持枠25の筒状部25d´を取り巻くように配置する際に、その筒状部25d´の各係合突起25kを受け入れつつ、各係合突起25kを環状溝30cに係合させるために設けられている。この回転枠30の内方に設けられる第2レンズ群保持枠26´を図10に示す。図10は、第2レンズ群保持枠26´を基端側(壁部材21側)から見た模式的な斜視図である。
第2レンズ群保持枠26´は、3つのカムピン26a(図示されているのは2つ)と、第2レンズ群34を支持する支持部26b、3本の案内脚部26cを有する。支持部26bは、第2レンズ群34を取り巻く環状を呈する。各案内脚部26cは、支持部26bの外方位置に周方向で見て略等しい間隔を置いて設けられている。この各案内脚部26cは、支持部26bから径方向へと突出するとともに、そこからZ軸(光軸)方向へと物体側(図10で見て下側)へと延出されている。各案内脚部26cは、第1レンズ群保持枠25の筒状部25d´の直進切欠部25j(図8参照)に、Z軸(光軸)方向に挿入可能とされている。この各案内脚部26cが各直進切欠部25jに挿入されることにより、第2レンズ群保持枠26´は、筒状部25d´すなわち第1レンズ群保持枠25に対して、回転が防止されつつZ軸(光軸)方向への移動が可能とされる。この各案内脚部26cの先端部(図10で見て下側)から、径方向外側へ向けて突出するカムピン26aが設けられている。
この第2レンズ群保持枠26´は、図11および図12に示すように、第1レンズ群保持枠25との間に設けられた付勢手段としてのコイルバネ36´により、第1レンズ群保持枠25に対して撮像素子29側(図3で見た下側)へと付勢されている。この例では、コイルバネ36´は、一端が第1レンズ群保持枠25の筒状部25d´の内方で台座フランジ部25iに当接し、他端が第2レンズ群保持枠26´の各案内脚部26cの内方で支持部26bに当接するように設けられている。
このレンズ鏡胴20´は、次のように組み付ける。先ず、第1レンズ群33を保持した第1レンズ群保持枠25の筒状部25d´の内方で台座フランジ部25iに当接させるようにコイルバネ36´を配置し、その上から筒状部25d´の各直進切欠部25jに各案内脚部26cを挿入しつつ第2レンズ群34を保持した第2レンズ群保持枠26´を配置する。その筒状部25d´に被せるように回転枠30を装着する。このとき、第1レンズ群保持枠25の筒状部25d´の各係合突起25kを、回転枠30の各挿入溝30dに挿入して、回転枠30を押し下げ(第1レンズ群保持枠25の中間壁部25c側へ移動させる)、各係合突起25kを環状溝30cに係合可能な状態としつつ各カムピン26aをカム溝30bに係合させる。
回転筒23内に、ライナー24を挿入する。このとき、周方向で見て、ライナー24の各直進切欠部24cが、回転筒23の第1カム溝23cおよび第2カム溝23dの挿入位置(基端側の端部)に一致し、かつ許容切欠部24dが回転筒23の内壁ギア溝23eと対向する位置関係とし、ライナー24の各係合突起24bを各挿入溝23fに挿入して、環状溝23bに係合させる。このライナー24(回転筒23)の内方に、第2レンズ群保持枠26´および回転枠30が組み付けられた第1レンズ群保持枠25を、挿入する。このとき、周方向で見て、第1レンズ群保持枠25の開口部25fが、ライナー24の許容切欠部24dおよび回転筒23の内壁ギア溝23eと対向する位置関係とする。第1レンズ群保持枠25の各案内突起25bをライナー24の各直進切欠部24cに挿入しつつ、各案内突起25bのカムピン25aを回転筒23の各第1カム溝23cに係合させる。
その後、図4に示すように、第1レンズ群保持枠25に、第1伝達ギア31および第2伝達ギア32を取り付ける。この第1伝達ギア31は、開口部25fおよびライナー24の許容切欠部24dを経て回転筒23の内壁ギア溝23eと噛み合うように、開口部25fに設けられた台座部25gに軸部材31aを介して取り付けられる。第2伝達ギア32は、その第1伝達ギア31および回転枠30の外壁ギア溝30aと噛み合うように、中間壁部25cに設けられた台座部25hに軸部材32aを介して取り付けられる。
このライナー24、第1レンズ群保持枠25等が取り付けられた回転筒23は、シャッタ保持枠28と第3レンズ群保持枠27(第3レンズ群35)とが取り付けられた後、回転筒23の摺動突起23aが固定筒22の環状溝22bへと係合され、かつ、ライナー24の係合突起24aが固定筒22の係合凹所22aに固定されて(図3参照)、レンズ鏡胴20´が組み付けられる。
このレンズ鏡胴20´では、図11に示す沈胴状態のとき、第1伝達ギア31が、Z軸(光軸)方向で見て回転筒23の内壁ギア溝23eの基端側(図5で見て上側)に噛み合い、第1レンズ群保持枠25の各カムピン25a(図7等参照)が、回転筒23の各第1カム溝23cにおける基端側(図5で見て上側)に係合し、第2レンズ群保持枠26´の各カムピン26aが、回転枠30の各カム溝30bにおける先端側(図9で見て下側)に係合している。
このレンズ鏡胴20´(デジタルカメラ10)では、図11に示す沈胴状態において、回転筒23が駆動ギア溝23gを介してレンズ鏡胴駆動ユニット60の回転筒駆動モータ63(図2参照)から繰り出し方向への回転駆動力が付与されると、回転筒23が固定筒22(図3参照)の内方でZ軸(光軸)方向の位置を変えることなく回転する。すると、第1レンズ群保持枠25(第1レンズ群33)は、ライナー24に対して、その直進切欠部24cへの第1レンズ群保持枠25の各案内突起25bの係合による案内作用により回転が防止され、かつ回転筒23の各第1カム溝23cへの第1レンズ群保持枠25の各カムピン25aの係合による案内作用によりZ軸方向の物体側(図11で見て左側)に移動する。このため、回転筒23と第1レンズ群保持枠25とが相対的に回転することとなり、回転筒23の内壁ギア溝23eに噛み合わされた第1伝達ギア31が回転し、それに噛み合わされた第2伝達ギア32も回転する。すると、第2伝達ギア32に外壁ギア溝30aが噛み合わされた回転枠30は、その環状溝30cに第1伝達ギア31の筒状部25d´の各係合突起25kが摺動可能に係合されていることにより、第1伝達ギア31の内方であって筒状部25d´の外周位置で、その筒状部25d´に対するZ軸方向の位置を変えることなく回転する。すなわち、回転枠30は、回転筒23およびライナー24に対するZ軸方向の位置を第1レンズ群保持枠25と共に変化させつつ、第1レンズ群保持枠25に対して回転する。すると、第2レンズ群保持枠26´は、その各案内脚部26cが第1レンズ群保持枠25の筒状部25d´の各直進切欠部25jに係合されることにより、筒状部25d´(第1レンズ群保持枠25)に対して回転が防止されつつZ軸(光軸)方向に移動可能であることから、各カムピン26aの回転枠30の各カム溝30bへの係合により、第1レンズ群保持枠25に対して、回転が防止されつつZ軸(光軸)方向の撮像素子29(図3参照)側(図11で見て右側)へ移動する。
これにより、レンズ鏡胴20´では、図12に示すように、第1レンズ群保持枠25が回転筒23に対してZ軸(光軸)方向の物体側(図12で見て左側)へと繰り出されるとともに、第2レンズ群保持枠26´が第1レンズ群保持枠25から撮像素子29側(図12で見て右側)へと繰り出される。換言すると、第2レンズ群保持枠26´は、第1レンズ群保持枠25に対するZ軸(光軸)方向での位置が撮像素子29側(図12で見て右側)へと後退する。これにより、第1レンズ群33(そのうち最も撮像素子29側に位置するレンズ)と第2レンズ群34との間隔が撮影に適切なものとされて、撮影レンズ系12(図3参照)が撮影待機位置とされる。
この具体例のレンズ鏡胴20´は、基本的には図3のレンズ鏡胴20と等しい構成であることから、同様の効果を得ることができる。
すなわち、レンズ鏡胴20´(それを有するデジタルカメラ10)では、第1レンズ群保持枠25(第1レンズ群33)の移動のための第1カム溝23cを回転筒23の内壁に設けるとともに、第2レンズ群保持枠26´(第2レンズ群34)の移動のためのカム溝30bを回転枠30の内壁に設ける構成であるので、回転筒23の光軸方向の長さ寸法の増大を招くことなく、双方のカム溝(23cおよび30b)の設計自由度を向上させることができる。
また、レンズ鏡胴20´(それを有するデジタルカメラ10)では、第2レンズ群保持枠26´(第2レンズ群34)の移動のための回転枠30を、第1レンズ群保持枠25の内方(外壁部25eの内側)であって第1レンズ群33を支持する筒状部25d´を取り巻くように設ける構成であるので、回転筒23の内壁に第1レンズ群保持枠25のカム溝を設け、その回転筒23の内方に第2回転筒を設けるとともに、その第2回転筒の内方に第2ライナーおよび第2レンズ群保持枠を設ける構成に比較して、径寸法を小さくすることができる。
さらに、レンズ鏡胴20´(それを有するデジタルカメラ10)では、カムピン26aを回転枠30のカム溝30bに係合させることにより第1レンズ群保持枠25に対してZ軸(光軸)方向への移動が可能な第2レンズ群保持枠26´が、コイルバネ36´により第1レンズ群保持枠25に対して撮像素子29側(図12で見た右側)へと付勢されていることから、第2レンズ群保持枠26´を移動させるための各機構におけるガタつきをなくすことができるので、第1レンズ群保持枠25に対する第2レンズ群保持枠26´の移動を円滑なものとしつつ撮影待機位置における第1レンズ群33と第2レンズ群34との間隔寸法の精度を向上することができる。
レンズ鏡胴20´(それを有するデジタルカメラ10)では、第1レンズ群保持枠25に対する回転筒23の回転力を回転枠30へと伝達する回転力伝達機構が、回転筒23の内壁に設けられた内壁ギア溝23eと、2つの伝達ギア(第1伝達ギア31および第2伝達ギア32)と、回転枠30の外壁に設けられた外壁ギア溝30aと、により構成されていることから、内壁ギア溝23eと外壁ギア溝30aとにおけるギア比を適宜設定することで、回転筒23の回転速度すなわち第1レンズ群保持枠25の移動量と、回転枠30の回転速度すなわち第2レンズ群保持枠26´の移動量と、をそれぞれ適宜調節することができるとともに、伝達ギアの個数を適宜調節することで、回転筒23の回転方向に対する回転枠30の回転方向を適宜設定することができるので、双方のカム溝(23cおよび30b)の設計自由度を向上させることができる。
レンズ鏡胴20´(それを有するデジタルカメラ10)では、回転筒23の内壁において、第1レンズ群保持枠25の移動のための第1カム溝23cよりもZ軸(光軸)方向で見て物体側に、回転力伝達機構としての内壁ギア溝23eが設けられていることから、第1レンズ群保持枠25および第2レンズ群保持枠26´の移動のための両カム溝(23cおよび30b)の設計自由度の低下を招くことなく、Z軸(光軸)方向で見て第2レンズ群34の像面側に位置する光学部材としてのシャッタ保持枠28の移動のための第2カム溝23dの設計自由度を向上させることができる。
したがって、本発明に係るレンズ鏡胴20´(それを有するデジタルカメラ10)では、大きさ寸法の増大を招くことなく、2つのレンズ群(第1レンズ群33および第2レンズ群34)の移動のためのカム溝の設計自由度を向上させることができる。
なお、上記した実施例では、本発明に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラ10について説明したが、複数個のレンズ群のうちの第一のレンズ群を光軸方向に移動させるべく保持する第一のレンズ群保持枠とカム溝を介して係合するとともに第一のレンズ群保持枠を取り巻きつつ光軸回りに回転駆動される回転筒と、複数個のレンズ群のうちの第一のレンズ群よりも像面側に位置する第二のレンズ群を光軸方向に移動させるべく保持する第二のレンズ群保持枠とカム溝を介して係合する第二の保持枠駆動手段と、を備え、その第二の保持枠駆動手段は、第一のレンズ群保持枠の内方に設けられ、その第一のレンズ群保持枠に対する回転筒の回転駆動力が回転力伝達機構を介して伝達されることにより、第二のレンズ群保持枠を光軸方向に移動させるレンズ鏡胴を有する撮像装置もしくは携帯型情報端末装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例では、第一のレンズ群として第1レンズ群33、第二のレンズ群として第2レンズ群34、第一のレンズ群保持枠として第1レンズ群保持枠25、および第二のレンズ群保持枠として第2レンズ群保持枠26(26´)に適用したレンズ鏡胴20(20´)を示したが、第二のレンズ群が第一のレンズ群よりも像面側に位置するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した実施例では、第二の保持枠駆動手段が、段付き筒状部25d(筒状部25d´)を取り囲む筒状を呈し、その段付き筒状部25dすなわち第1レンズ群保持枠25に対してZ軸(光軸)方向への移動が防止されつつ回転可能とされた回転枠30により構成されていたが、第一のレンズ群保持枠(25)の内方に設けられ、その第一のレンズ群保持枠に対する回転筒23の回転駆動力が回転力伝達機構を介して伝達されることにより、第二のレンズ群保持枠(26(26´))を第一のレンズ群保持枠(25)に対して光軸方向に移動させるものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
上記した実施例では、回転力伝達機構が、回転筒23の内壁に設けられた内壁ギア溝23eと、2つの伝達ギア(第1伝達ギア31および第2伝達ギア32)と、回転枠30の外壁に設けられた外壁ギア溝30aと、により構成されていたが、第一のレンズ群保持枠(25)に対する回転筒23の回転力を回転枠30へと伝達するものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。