本発明に係るレンズ鏡胴の一実施例としてのレンズ鏡胴10の概略的な構成を、図1ないし図21を用いて説明する。
レンズ鏡胴10を含む光学装置は、図2に示すように、第1レンズ群11、第2レンズ群12、シャッタ/絞りユニット13、固体撮像素子14、カバーガラス15、第1レンズ保持枠21、第2レンズ保持枠22、直進筒23、回転筒24、固定筒25、回転カムユニット26、連結枠27、ベース部材28、ライナー29、板ばね30(図3参照)、板ばね受け部材31、段付枠部32、基板33、駆動装置34(図1参照)、調整保持機構64、を具備している。
この光学装置(撮影光学系)は、被写体側から第1レンズ群11および第2レンズ群12が順次配列されるとともに、その間にシャッタ/絞りユニット13が挿入配置される。この第2レンズ群12の像面側には、CCD(電荷結合素子)等を用いて構成される固体撮像素子14と、その受光面を覆うカバーガラス15と、が配置される。固体撮像素子14は、基板33に実装され、カバーガラス15は、ベース部材28に設けられている。その基板33は、ベース部材28に固定されており、図示を略す電子部品が実装されて電子回路部を構成している。
第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなる。この第1レンズ群11は、それらを一体的に保持する第1レンズ保持枠21および連結枠27を介して直進筒23に固定保持されている。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなる固定レンズ12aと、1枚以上のレンズからなる調整レンズ12bと、を有する。固定レンズ12aは、第2レンズ保持枠22に固定保持されている。この固定レンズ12aは、実施例1では、4つのレンズで構成されており、第2レンズ群12における被写体側(物体側(第1レンズ群11側))に配置されている。調整レンズ12bは、後述する調整レンズ保持枠61に保持され、その調整レンズ保持枠61が調整保持機構64を介して第2レンズ保持枠22に保持されており、第2レンズ保持枠22すなわち固定レンズ12aに対する位置調整が可能とされている。この調整保持機構64については、後に詳細に説明する。調整レンズ12bは、実施例1では、両面が非球面とされた単一のレンズで構成されており、第2レンズ群12における像面側(撮像面側(固体撮像素子14側))に配置されている。この第2レンズ群12は、それらを一体的に保持する第2レンズ保持枠22により、回転カムユニット26を介して直進筒23に保持されている。
シャッタ/絞りユニット13は、シャッタおよび開口絞りを含むものである。このシャッタ/絞りユニット13は、直進筒23に固定保持されている。これら第1レンズ群11から第2レンズ群12は、焦点距離可変のズームレンズ或いは固定焦点距離レンズとしての撮像光学系を構成する。この撮像光学系の結像位置に、上述した電子回路部(固体撮像素子14)が配置される。この明細書では、撮像光学系における光学的な軸線、すなわち第1レンズ群11から第2レンズ群12の中心軸位置となる回転対称軸を、撮像光学系すなわちレンズ鏡胴10の撮影光軸OAとする。
固定筒25は、全体に円筒形状を呈し(図1参照)、ベース部材28に固定されている。この固定筒25の内周面には、案内溝25aと直進溝25bとが設けられている。案内溝25aは、撮影光軸OAに直交する面に沿って設けられ、環状を呈する。直進溝25bは、撮影光軸OA方向に沿って設けられている。この固定筒25の内周に回転筒24が嵌合されている。
回転筒24は、全体に円筒形状を呈する。この回転筒24の外周面には、キー部24aが設けられている。キー部24aは、撮影光軸OAに直交する面に沿って、回転中心から放射方向へ向けて(以下、径方向ともいう)基端部から突出形成され、固定筒25の案内溝25aに係合している。このような構成により、回転筒24と固定筒25とは、撮影光軸OA(撮影光路)方向への相対的な移動が防止されつつ、撮影光軸OA回りに相対的な回転移動が可能とされている。このため、回転筒24は、ベース部材28に対して、撮影光軸OA(撮影光路)方向の位置を固定したまま、撮影光軸OA回りの回転が可能とされている。回転筒24は、図示は略すが基板33すなわち固定筒25に固定的に設けられた駆動装置34(図1参照)からの駆動力が伝達されることにより、固定筒25に対して回転駆動される。
この回転筒24の内周面には、図3に示すように、軸方向に沿う直進溝24bと、カム溝24cと、が形成されている。その直進溝24bには、回転カムユニット26の後述する第1キー突起56d(図8等参照)が係合される。このため、回転カムユニット26は、固定筒25(ベース部材28)に対する回転筒24の回転駆動に伴って、固定筒25(ベース部材28)に対して回転駆動することが可能とされている。
その回転筒24と固定筒25との間には、図2に示すように、連結枠27の基端部側が挿入されている。この連結枠27の基端部近傍の外周面には、突起部27aが突接されている。その突起部27aは、固定筒25の直進溝25bに係合している。このため、連結枠27は、固定筒25に対して、撮影光軸OA(撮影光路)方向への移動(直進移動)が可能とされているとともに、撮影光軸OA回りの回転が防止されている。この連結枠27は、先端部(被写体側)が、第1レンズ保持枠21に接続されており、直進筒23の先端部に固定されている。この回転筒24の内周に直進筒23が嵌合されている。
その直進筒23は、全体に円筒形状を呈し、軸線方向(撮影光軸OA方向に等しい)で見た中間位置に、内径寸法を小さくする鍔部23aが設けられている(図7等参照)。直進筒23では、鍔部23aの前方側(被写体側)の空間で、第1レンズ群11(第1レンズ保持枠21)およびシャッタ/絞りユニット13を収容保持し、鍔部23aの後方側(像面側)の空間で、第2レンズ群12を保持する第2レンズ保持枠22および回転カムユニット26を収容保持している。この収容保持については、後に詳細に説明する。
この直進筒23の外周面には、図4に示すように、カムフォロア23bと直進溝23cとが設けられている。カムフォロア23bは、外周面から突設されており、回転筒24のカム溝24c(図3参照)に係合されている。このカムフォロア23bは、実施例1では、周方向で見て6箇所(図4では3つのみ図示)に点在されており、同じくカム溝24cも6箇所に設けられている(図3参照)。直進溝23cは、外周面に対して凹状とされており、撮影光軸OA方向に延在する。この直進溝23cは、実施例1では、対を為して設けられている。直進溝23cには、図5に示すように、その延在方向(撮影光軸OA方向)への摺動自在にライナー29が嵌合される。そのライナー29は、ベース部材28から撮影光軸OA方向に延出された板状を呈し、実施例1では、直進溝23cに対応すべく対を為して設けられている。このため、直進筒23は、ベース部材28すなわちそこに固定された固定筒25に対して、撮影光軸OA(撮影光路)方向への移動(直進移動)が可能とされているとともに、撮影光軸OA回りの回転が防止されている。これにより、直進筒23は、固定筒25に対して回転駆動される回転筒24の回転姿勢に応じて、カムフォロア23bが係合する回転筒24のカム溝24cのカム軌跡に倣うように、ベース部材28(固定筒25)に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向に直進移動される。
この直進筒23の内周面には、図2および図7に示すように、鍔部23aの近傍位置で周方向に延在する環状溝23dが設けられている。この環状溝23dは、撮影光軸OAに直交する面に沿って設けられた環状を呈し、一端(開放端23e)が撮影光軸OA方向像面側に開放されている。
上述したように、直進筒23の鍔部23aの前方側(被写体側)の空間に、第1レンズ群11(第1レンズ保持枠21)およびシャッタ/絞りユニット13が収容保持される。このシャッタ/絞りユニット13は、鍔部23aに押し当てられるように収容され、その被写体側に第1レンズ群11を保持する第1レンズ保持枠21と、それを取り巻く板ばね受け部材31と、が収容されている。第1レンズ保持枠21は、周縁の先端箇所で連結枠27に接続されており、板ばね30(図4等参照)により被写体側から板ばね受け部材31へ向けて押圧されている。これらの被写体側で第1レンズ群11(その最も被写体側に位置するレンズ)の前面の周縁部(有効エリアの外側位置)を取り巻くように、段付枠部32が設けられている。
また、上述したように、直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)の空間に、第2レンズ群12を保持する第2レンズ保持枠22および回転カムユニット26が収容保持される。この直進筒23では、当該空間において、3つのガイド軸(第1ガイド軸51、第2ガイド軸52および第3ガイド軸53)が設けられている。この各ガイド軸は、当該空間における第2レンズ保持枠22の位置決めのために設けられており、撮影光軸OA回りに所定の間隔を置く位置で、鍔部23aから撮影光軸OA方向に延在されている。実施例1では、第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とは、第1ガイド軸51から撮影光軸OAへと向かう方向に関して、略線対称となる位置関係とされている(図6等参照)。この鍔部23aでは、第1ガイド軸51と第2ガイド軸52との間および第2ガイド軸52と第3ガイド軸53との間に、後述する第2付勢部材55の他端55bが固定される。当該空間には、直進筒23内での第2レンズ保持枠22の移動のために、後述するように回転カムユニット26を構成する第1回転カム筒56と第2回転カム筒57とが設けられている(図8および図9参照)。
第1回転カム筒56は、図8に示すように、直進筒23に嵌入(内接)可能な円筒形状を呈する。その第1回転カム筒56には、図10に示すように、その円筒内周面に対して凸状とされた環状凹部56aが設けられている。その環状凹部56aは、被写体側縁部(図10を正面視して上側)で進退カム面56bを形成し、周方向で見た所定の位置に回転係合部56cが設けられている。また、第1回転カム筒56の外周面には、第1キー突起56dと第2キー突起56eとが設けられている。この第1キー突起56dは、第1回転カム筒56の外周面における像面側(図10を正面視して下側)端部から、撮影光軸OAに直交する面に沿って、撮影光軸OAから放射方向へ向けて(以下、径方向ともいう)延出され、その延出端から被写体側(図10を正面視して上側)に延在されており(先端部分)、第1回転カム筒56の外周面に直交する断面で見て全体にL字形状の板状を呈する。この第1キー突起56dは、直進筒23の像面側端部を跨ぐことが可能とされ、かつ先端部分が直進筒23の外周面に沿って延在可能とされており(図8参照)、その先端部分が回転筒24の内周面に形成された直進溝24b(図3参照)に係合される。このため、第1回転カム筒56は、直進筒23内において、回転筒24と一体的に撮影光軸OA回りに回転するとともに、撮影光軸OA(撮影光路)方向には回転筒24との相対的な移動が可能とされている。
第2キー突起56eは、第1回転カム筒56の外周面における被写体側(図10を正面視して上側)端部から径方向に延出されている。この第2キー突起56eは、直進筒23の内周面に形成された開放端23eを経て環状溝23dに係合される(図2および図7参照)。このため、第1回転カム筒56は、直進筒23内において、当該直進筒23に対する撮影光軸OA方向への移動が防止されつつ、直進筒23との相対的な回転が可能とされている。
この第1回転カム筒56の環状凹部56aに第2回転カム筒57が配置される(図9参照)。この第2回転カム筒57は、図11に示すように、板状部材が環状とされた円筒形状を呈し、第1回転カム筒56に内接可能な大きさ寸法とされている(図8および図9参照)。第2回転カム筒57は、像面側縁部(図11(a)を正面視して上側)に補助カム面57aが形成され、周方向で見た所定の位置の周壁面に回転係合部57bが設けられている。この第2回転カム筒57は、補助カム面57aを進退カム面56bに対向させるように、像面側端部から第1回転カム筒56の環状凹部56aへと嵌入され、回転係合部57bを回転係合部56cに係合させることにより、第1回転カム筒56に装着される(図8および図9参照)。この第1回転カム筒56内に第2回転カム筒57が嵌入装着された筒体(図9参照)では、図12に示すように、内周面すなわち第1回転カム筒56の環状凹部56a内で、進退カム面56bと補助カム面57aとを撮影光軸OA方向で対向されていることから、その進退カム面56bと補助カム面57aとにより内周面に進退カム溝が形成される。この進退カム溝には、第2レンズ保持枠22の後述する案内嵌入部43(カム突起43a)が係合される。当該筒体は、上述したように、回転筒24と一体的に撮影光軸OA回りに回転可能で、かつ撮影光軸OA(撮影光路)方向には回転筒24との相対的な移動が可能であるとともに、直進筒23に対する撮影光軸OA方向への移動が防止されつつ直進筒23との相対的な回転が可能に、直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)の空間に設けられる。当該空間では、第2レンズ群12が、直進筒23内に回転カムユニット26を介して支持された第2レンズ保持枠22に保持される(図2および図6参照)。
この第2レンズ保持枠22は、図13に示すように、全体に筒形状を呈し、外観形状が、後側(像面側)となる一端側(図13を正面視して上側)が相対的に径寸法(径方向で見た撮影光軸OAを基準とする外径寸法)の大きい段付きの形状とされている。第2レンズ保持枠22は、全体に、直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)への挿通が可能であり、かつ鍔部23aの内方(鍔部23aの規定する内径位置)へと挿通することのできない外径寸法とされている(図2および図6参照)。
この第2レンズ保持枠22では、第2レンズ群12の保持のために、中心位置を撮影光軸OA方向に沿って貫通する保持孔22aが設けられている。この保持孔22aは、後側(像面側(図13を正面視して上側))が後述する間隔環66および調整レンズ保持枠61の嵌合が可能な大内径部とされており、その前側が当該大内径部よりも小さな内径寸法で第2レンズ群12における固定レンズ12aに適合する内径形状の小内径部とされている(図2参照)。このため、保持孔22aの中心軸線が、第2レンズ群12におけるレンズ光軸となり、実施例1では、基本的に、第2レンズ群12のレンズ光軸が撮影光軸OAに一致するものとされている。この小内径部の前側(被写体側)すなわち第2レンズ保持枠22の前端には、嵌合させて収容した第2レンズ群12(固定レンズ12a)の脱落を防止するための内縁突起部22bが設けられている。この第2レンズ保持枠22では、大内径部側(被写体側)の開口から、固定レンズ12a、間隔環66および調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)の順に、第2レンズ保持枠22の保持孔22aへと挿入されて、第2レンズ群12が収容される。これについては、後に詳細に説明する。
この第2レンズ保持枠22には、付勢機構保持部41と、2つの当接突起部42と、3つの案内嵌入部43と、2つのカム受部44と、径側付勢部材保持部45と、2つの軸側付勢部材保持部46と、2つの係合突起部47と、が設けられている。
付勢機構保持部41は、第2レンズ保持枠22の外周面から径方向に延出された板状を呈し、軸受凹所41aと保持貫通孔41bとが設けられている。軸受凹所41aは、付勢機構保持部41の延出端が開放するように切り欠かれて形成されている。この軸受凹所41aは、撮影光軸OA(第2レンズ保持枠22の軸線)に直交する面に沿う断面形状がU字形状とされており、直進筒23の鍔部23aに設けられた第1ガイド軸51を延在方向へと摺動自在に受け入れることが可能とされている(図14ないし図16等参照)。保持貫通孔41bは、後述するばね受部材48および第1付勢部材54を保持すべく断面矩形状を呈し、付勢機構保持部41を撮影光軸OA方向に貫通して形成されている。この保持貫通孔41bには、撮影光軸OA側の内側端面(第2レンズ保持枠22の外周面)に支持突起41cが設けられている。この軸受凹所41aと保持貫通孔41bとは、前側(被写体側(図13を正面視して下側))で連通されている(図14および図16参照)。
この保持貫通孔41b内に保持されるばね受部材48は、図14ないし図16に示すように、軸受凹所41aと保持貫通孔41bとの連通箇所において、第2レンズ保持枠22の径方向へと移動可能に設けられており、軸受凹所41aに保持された第1ガイド軸51と第1付勢部材54の一端54aとに当接可能とされている。このばね受部材48は、第1付勢部材54からの付勢力を適切に第1ガイド軸51へと伝達するために設けられている。そのばね受部材48に一端54aが当接される第1付勢部材54は、保持貫通孔41bの内側端面との間で、ばね受部材48を第1ガイド軸51に向けて付勢する。この第1付勢部材54は、実施例1では、圧縮コイルばねが用いられており、保持貫通孔41b内において、連通箇所を経て一端54aが第1ガイド軸51に当接され、かつ他端54bで支持突起41cを受け入れつつそれが設けられた軸線側の内側端面に当該他端54bが当接されて設けられる。なお、第1付勢部材54は、上記した機能を有するものであれば、圧縮コイルばねではなく板ばねやねじりコイルばね等であってもよく、実施例1に限定されるものではない。
2つの当接突起部42は、第2レンズ保持枠22の外周面から径方向に延出された柱状を呈する。この両当接突起部42は、付勢機構保持部41の軸受凹所41aに第1ガイド軸51を保持させるように、第2レンズ保持枠22を直進筒23の鍔部23aの後方側の空間に収容した状態において、一方(42aともいう)が第2ガイド軸52に当接可能とされており、他方(42bともいう)が第3ガイド軸53に当接可能とされている(図6等参照)。この両当接突起部42は、実施例1では、付勢機構保持部41の保持貫通孔41b内における第1付勢部材54の付勢方向(撮影光軸OAに直交する面において、第1ガイド軸51と撮影光軸OAとを結ぶ方向)に関して、線対称となる位置関係とされている(図14参照)。両当接突起部42は、後述するように、直進筒23の鍔部23aの後方側の空間において、撮影光軸OAに直交する面内での第2レンズ保持枠22の位置決めのために設けられている。
3つの案内嵌入部43は、第2レンズ保持枠22の外周面から径方向に延出された柱状を呈し、延出端にカム突起43aが設けられている。この各カム突起43aは、上述した第1回転カム筒56と第2回転カム筒57とにより形成される進退カム溝に係合可能とされている(図6参照)。
2つのカム受部44は、第2レンズ保持枠22の後側縁部(像面側)から撮影光軸OA方向に延出された板状を呈する。この両カム受部44は、後述する調整レンズ保持枠61の当接端部62に対応すべく、第2レンズ保持枠22の周方向(撮影光軸OA回りの方向)で見て所定の間隔を置いて設けられている。これは、後述するように、両カム受部44が調整カム部材65を支持し、調整保持機構64を構成するものであることによる。この各カム受部44は、第2レンズ保持枠22の径方向に穿設された支持孔44aと、その支持孔44aを取り囲むカム受凹所44bと、そのカム受凹所44b内で支持孔44aの被写体側(図13を正面視して下方)位置に設けられた回転規制凸部44cと、カム受凹所44bを取り囲む当接面44dと、を有する。この支持孔44aは、その軸線方向が撮影光軸OAに直交する面に沿って撮影光軸OAに向かう方向(径方向)とされている。また、当接面44dは、支持孔44aの軸線方向に直交するものとされている。
径側付勢部材保持部45は、第2レンズ保持枠22の後側縁部(像面側)から撮影光軸OA方向に延出された板状を呈する。この径側付勢部材保持部45は、後述する径側付勢部材58(図6等参照)を保持するものであり、実施例1では、第2レンズ保持枠22の周方向(撮影光軸OA回りの方向)の両端部に開放しかつ撮影光軸OA方向像面側(図13を正面視して上方)に開放する保持スリット45aを有する。その径側付勢部材58は、図6および図15に示すように、撮影光軸OAに直交する面に沿って後述する2つの調整カム部材65に向けた付勢力を後述する調整レンズ保持枠61に付与するものである。すなわち、径側付勢部材58は、後述する調整レンズ保持枠61を後述する一方の調整カム部材65(651)へ向けて付勢する機能と、後述する調整レンズ保持枠61を後述する他方の調整カム部材65(652)へ向けて付勢する機能と、を併せ持つものとされている。この径側付勢部材58は、実施例1では、単一の板状のばね部材で形成されており、一方の延在端58aで、後述する一方の調整カム部材65(651)へ向けて付勢し、他方の延在端58bで、後述する他方の調整カム部材65(652)へ向けて付勢している。このため、径側付勢部材58は、一方の延在端58aと他方の延在端58bとが、2つの径方向付勢手段として機能する。なお、この径側付勢部材58は、上記した2つの機能に応じて個別に設けられた2つのばね部材で形成されていてもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
2つの軸側付勢部材保持部46は、図13に示すように、第2レンズ保持枠22の後側縁部(像面側)から撮影光軸OA方向に延出された板状を呈する。この両軸側付勢部材保持部46は、第2レンズ保持枠22の周方向(撮影光軸OA回りの方向)で見て所定の間隔を置いて設けられており、実施例1では、撮影光軸OAに関して対称な位置関係とされている(図6参照)。各軸側付勢部材保持部46には、軸側付勢部材59(図6等参照)が取り付けられる。その軸側付勢部材59は、撮影光軸OA方向(第2レンズ群12のレンズ光軸方向)で見た固定レンズ12aと調整レンズ12bとの間隔(位置関係)が相対的に変化することを防止するために、後述する調整レンズ保持枠61に撮影光軸OA方向の被写体側への付勢力を付与するものであり、実施例1では、図14ないし図16に示すように、板状のばね部材で形成されている。このため、軸側付勢部材59は、軸方向付勢手段として機能する。なお、軸側付勢部材59は、上記した機能を有するものであればよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
2つの係合突起部47は、図13に示すように、第2レンズ保持枠22の外周面から径方向に延出され、かつその延出端から像面側(図13を正面視して上方)に延出された板状を呈し、撮影光軸OA方向および径方向を含む断面で見て全体にL字形状を呈する。この両係合突起部47は、第2レンズ保持枠22の周方向(撮影光軸OA回りの方向)で見て所定の間隔を置いて設けられており、実施例1では、撮影光軸OAに関して対称な位置関係とされている(図6等参照)。各係合突起部47には、第2付勢部材55の一端55aが引っ掛けられる(図15参照)。
その第2付勢部材55は、第2レンズ保持枠22を直進筒23の鍔部23aへ向けて付勢すべく、第2レンズ保持枠22と鍔部23aとを引き寄せるものであり、実施例1では引張コイルばねが用いられている(図15および図16参照)。なお、第2付勢部材55は、上記した機能を有するものであれば、圧縮コイルばねではなく板ばねやねじりコイルばね等であってもよく、実施例1に限定されるものではない。
この第2レンズ保持枠22には、図2に示すように、保持孔22a内において、小内径部に嵌合された第2レンズ群12の固定レンズ12aに当接するように、大内径部に間隔環66が圧入されて嵌合される。間隔環66は、保持孔22aの大内径部に嵌合可能な環状を呈し、第2レンズ保持枠22内における第2レンズ群12の固定レンズ12aと調整レンズ12b(後述する調整レンズ保持枠61)との撮影光軸OA方向(第2レンズ群12のレンズ光軸方向)での相対的な位置関係(間隔)を所定のものとすべく設けられている。
この間隔環66が当接される調整レンズ12bは、調整レンズ保持枠61に保持されて第2レンズ保持枠22内に設けられている。この調整レンズ保持枠61は、図17に示すように、円環状を呈し、内方に調整レンズ12bが圧入されると、当該調整レンズ12bを嵌合保持することが可能とされている(図15および図19等参照)。調整レンズ保持枠61には、2つの当接端部62と、4つの付勢受部63と、が設けられている。2つの当接端部62は、調整レンズ保持枠61の外周面から径方向(撮影光軸OAに直交しかつそこからの放射方向)に突出されており、その突出端62aが尖端状とされている(図19参照)。この2つの当接端部62は、第2レンズ保持枠22の周方向(撮影光軸OA回りの方向)で見て、その2つのカム受部44に対応するように、詳細には後述するように各カム受部44に保持される調整カム部材65に対して突出端62aが所定の位置となるように、所定の間隔を置いて設けられている(図6参照)。2つの当接端部62は、実施例1では、撮影光軸OAに直交する面で見て、各突出端62aと撮影光軸OAとを結ぶ線分が、互いに直交する位置関係とされている(図6参照)。
4つの付勢受部63は、調整レンズ保持枠61の外周面から径方向に突出されており、像面側(図17(a)を正面視して上側)に押圧受面63aが設けられている。この押圧受面63aは、軸側付勢部材59(図6および図15等参照)からの撮影光軸OA方向(第2レンズ群12のレンズ光軸方向)への付勢力を受ける箇所となる。この4つの付勢受部63は、第2レンズ保持枠22の2つの軸側付勢部材保持部46に対を為して対応するように、第2レンズ保持枠22の周方向(撮影光軸OA回りの方向)で見て所定の間隔を置いて設けられている(図6参照)。詳細には、4つの付勢受部63は、各軸側付勢部材保持部46に保持される軸側付勢部材59に対して各押圧受面63aが所定の位置となるように設けられている。この4つの付勢受部63は、実施例1では、撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する面で見て、撮影光軸OAに関して点対称となる位置関係とされている(図6参照)。
この調整レンズ保持枠61は、調整保持機構64を介して第2レンズ保持枠22に保持されることにより、第2レンズ保持枠22内で撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する面に沿う方向での移動(位置の調整)が可能とされている。この調整保持機構64は、各カム受部44に保持される調整カム部材65(図6等参照)を有する。
この調整カム部材65は、図18に示すように、互いに等しい軸線(以下では、中心軸線MAとする)を有する大径部分65aと小径部分65bとが連続された段付きの円柱形状を呈する。調整カム部材65では、大径部分65aが、第2レンズ保持枠22のカム受部44のカム受凹所44b(図13参照)よりも大きな径寸法とされており、大径部分65aの裏面(小径部分65b側の面)が、中心軸線MAに直交しかつ当該カム受部44の当接面44d(図13参照)と面当接可能な当接面65cとされている。また、調整カム部材65では、小径部分65bが、第2レンズ保持枠22のカム受部44の支持孔44a(図13参照)に回転自在に嵌合可能とされている。
この調整カム部材65では、大径部分65aの表面(小径部分65bとは反対側の面)に、調整カム面65dが設けられている。この調整カム面65dは、中心軸線MAを中心とする回転方向で見て、大径部分65aにおける中心軸線MA方向で見た高さ寸法、すなわち当接面65cを基準とする中心軸線MA方向で見た大径部分65aの厚さ寸法を連続的に変化させるように、螺旋状とされた平面により規定されている。換言すると、調整カム面65dは、中心軸線MA方向に対して傾斜する平面であり、中心軸線MAに直交する平面である当接面65cとの間隔、すなわち中心軸線MA方向で見た位置を漸次的に変化させる。実施例1では、大径部分65aの表面には、調整カム面65dに加えて、平坦面65eが設けられている。この平坦面65eは、調整カム面65dにおける中心軸線MA方向で見て最も大きな高さ寸法となる一端の高さ寸法を維持するように、中心軸線MAに直交する方向に沿って中心軸線MAを中心とする回転方向に延在されている。
また、調整カム部材65では、大径部分65aの裏面側に、回転規制凸部65fが設けられている。この回転規制凸部65fは、小径部分65bの外周面に連続するように、大径部分65aの裏面(当接面65c)から中心軸線MA方向に突出されている。この回転規制凸部65fは、第2レンズ保持枠22のカム受部44の支持孔44aに小径部分65bが嵌合された状態(図15等参照)において、カム受部44の回転規制凸部44c(図13参照)と中心軸線MAを中心とする回転方向で係合可能とされている(図20参照)。このため、調整カム部材65は、回転規制凸部65fとカム受部44の回転規制凸部44cとにより、カム受部44内での回転可能な範囲が規制される。このことから、回転規制凸部65fと回転規制凸部44cとは、回転規制部として機能する。この回転可能な範囲は、当接端部62の突出端62aと調整カム面65dとの当接位置関係に対応して設定されており、実施例1では、中心軸線MA回りの角度で見て、略300度に設定されている。
さらに、調整カム部材65では、小径部分65bの延在端に、操作孔65gが設けられている。この操作孔65gは、調整カム部材65の回転操作のための治具(工具)の係合が可能とされた凹所であり、実施例1では正面視長形状の長穴とされている。
上述した調整レンズ保持枠61は、図19に示すように、第2レンズ群12の調整レンズ12bを嵌合保持した状態で、間隔環66が嵌合された第2レンズ保持枠22の保持孔22aに挿入される。この第2レンズ保持枠22では、各カム受部44において、支持孔44aに調整カム部材65の小径部分65bが挿入され、その当接面44dに大径部分65aの裏側の当接面65cが当接されて、調整カム部材65が配設される。調整レンズ保持枠61は、一方の当接端部62(個別に述べるときは当接端部621とする)の突出端62aが、第2レンズ保持枠22に対する所定の位置で一方の調整カム部材65(個別に述べるときは調整カム部材651とする)の調整カム面65dに当接し、他方の当接端部62(個別に述べるときは当接端部622とする)の突出端62aが、第2レンズ保持枠22に対する所定の位置で他方の調整カム部材65(個別に述べるときは調整カム部材652とする)の調整カム面65dに当接するように、第2レンズ保持枠22内での姿勢が設定される(図6参照)。
この第2レンズ保持枠22の2つの軸側付勢部材保持部46のそれぞれに軸側付勢部材59が装着される。この軸側付勢部材59は、調整レンズ保持枠61を第2レンズ保持枠22に対して撮影光軸OA方向(第2レンズ群12のレンズ光軸方向)で被写体側へと押圧すべく設けられており、実施例1では、各延在端部59aで付勢受部63の押圧受面63aを被写体側へと押圧する(図6および図15参照)。これにより、第2レンズ保持枠22の保持孔22aでは、調整レンズ保持枠61(嵌合保持する調整レンズ12b)が被写体側へ向けて間隔環66に常時圧接されるとともに、その間隔環66が被写体側へ向けて固定レンズ12aに常時圧接される。
また、第2レンズ保持枠22の径側付勢部材保持部45に径側付勢部材58が装着される(図6および図15参照)。この径側付勢部材58は、図6に示すように、撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する方向で見て、一方の延在端58aが、当接端部621の突出端62aと調整カム部材651の調整カム面65dとの当接箇所と撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)とを結ぶ線分方向(以下、第1方向A1ともいう)に沿って、第2レンズ保持枠22を基準として調整レンズ保持枠61を撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)へと向かう側に押圧している。また、径側付勢部材58は、撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する方向で見て、他方の延在端58bが、当接端部622の突出端62aと調整カム部材652の調整カム面65dとの当接箇所と撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)とを結ぶ線分方向(以下、第2方向A2ともいう)に沿って、第2レンズ保持枠22を基準として調整レンズ保持枠61を撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)へと向かう側に押圧している。ここで、上述したように、各支持孔44aは、その軸線方向が撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する面に沿って当該撮影光軸OAに向かう方向とされていることから、径側付勢部材58による調整レンズ保持枠61の押圧(付勢)方向は、対応する調整カム部材65の中心軸線MA方向と等しくなる。
このため、第2レンズ保持枠22では、径側付勢部材58の一方の延在端58aと調整カム部材651の調整カム面65dとの挟持(図19参照)により、撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する面における調整カム部材651の中心軸線MA方向すなわち第1方向A1での調整レンズ保持枠61の位置が決定する。また、第2レンズ保持枠22では、径側付勢部材58の他方の延在端58bと調整カム部材652の調整カム面65dとの挟持により、撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する面における調整カム部材652の中心軸線MA方向すなわち第2方向A2での調整レンズ保持枠61の位置が決定する。
ここで、調整レンズ保持枠61は、第2レンズ保持枠22に対する所定の位置関係すなわち各カム受部44に対する所定の位置関係で、各当接端部62の突出端62aを対応する調整カム部材65の調整カム面65dに当接させている。また、第2レンズ保持枠22の各カム受部44では、その当接面44dに当接面65cを面当接させ(図19参照)、その裏面側に調整カム面65dが設けられた調整カム部材65が回転自在に設けられている。これらのことから、第2レンズ保持枠22では、各当接端部62の突出端62aの当接位置で見ると、調整カム部材65の中心軸線MA周りの回転姿勢に応じて、各カム受部44を基準とする中心軸線MA方向での大径部分65aの厚さ寸法、すなわち第1方向A1もしくは第2方向A2上での位置が変化する(図19参照)。図20では、左側に、調整カム部材65の調整カム面65dを中心軸線MA周りに展開して示しており、右側に、その調整カム面65dにおける突出端62a(当接端部62)の当接位置に対する調整カム部材65のカム受部44での回転姿勢を模式的に示している。
ここで、各調整カム部材65は、図20に示すように、各カム受部44内において、回転規制凸部65fの一端を回転規制凸部44cの一端に当接させる状態(右上側参照)から、回転規制凸部65fの他端を回転規制凸部44cの他端に当接させる状態(右下側参照)までの間で回転可能とされている。そして、各調整カム部材65は、回転規制凸部65fの一端を回転規制凸部44cの一端に当接させる状態となると、各当接端部62の突出端62aが調整カム面65dにおける最上位置(厚さ寸法を最も大きくする位置)に当接し(左上側参照)、回転規制凸部65fの他端を回転規制凸部44cの他端に当接させる状態となると、各当接端部62の突出端62aが調整カム面65dにおける最下位置(最も厚さ寸法を小さくする位置)に当接するように(左下側参照)、位置設定されている。
このため、各カム受部44の調整カム部材65を適宜回転操作することにより、調整カム面65d上において各当接端部62の突出端62aを受ける位置(当接位置)が変化し、その変化に応じて当該調整カム部材65の中心軸線MA方向での位置を変化させることができる。これにより、調整カム部材651を適宜回転操作することで、第2レンズ保持枠22に対する第1方向A1での調整レンズ保持枠61の位置を調整することができ、調整カム部材652を適宜回転操作することで、第2レンズ保持枠22に対する第2方向A2での調整レンズ保持枠61の位置を調整することができる。よって、各カム受部44の調整カム部材65を適宜回転操作することにより、調整カム面65dのカム軌跡に倣うように、第2レンズ保持枠22内における調整レンズ保持枠61の第1方向A1および第2方向A2での位置、すなわち撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する面内の位置を変化させることができる。このことから、調整カム部材65は、中心軸線MAを中心とする回転方向で見て調整カム面65dが設けられている角度範囲、すなわち当該回転方向で見た調整カム面65dの延在範囲(図20の符号As参照)で調整ストロークを規定し、中心軸線MA方向で見た調整カム面65dの変位量、すなわち調整カム面65dによる大径部分65aの厚さ寸法の変化量(図20の符号Aq参照)で最大調整量(調整幅)を規定している。このことから、各カム受部44に保持された調整カム部材65と、径側付勢部材58と、は、第2レンズ保持枠22内において、調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)を撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する面に沿う方向に移動可能に保持する、すなわち調整レンズ保持枠61の保持状態を維持したまま撮影光軸OA(第2レンズ群12のレンズ光軸)に直交する面に沿う方向で見た調整レンズ保持枠61の保持位置の調整を可能とする調整保持機構64として機能する。この調整保持機構64では、調整カム部材65における回転動作を、その回転軸となる中心軸線MA方向への移動に変換することで、第2レンズ群12のレンズ光軸(撮影光軸OA)に直交する面に沿う方向で見た調整レンズ12b(調整レンズ保持枠61)の位置の調整を行っている。
この第2レンズ保持枠22では、上記した構成が、撮影光軸OA方向で見て、図14に示す最外径位置Odの内側に位置するものとされている。すなわち、第2レンズ保持枠22は、最外径位置Odの内側で、第2レンズ群12の固定レンズ12aを保持するとともに、間隔環66、調整レンズ12bを保持する調整レンズ保持枠61、その調整レンズ保持枠61の調整ための調整保持機構64、径側付勢部材58および軸側付勢部材59を保持している。この最外径位置Odは、撮影光軸OAに直交する面で見て、第2レンズ保持枠22において撮影光軸OAから最も離間された箇所のうちカム突起43aを除いた箇所を通り、撮影光軸OAを中心とする円である。ここで、カム突起43aを除いているのは、上述したように、当該カム突起43aが進退カム溝に係合されることによる。このことから、最外径位置Odの径寸法を、進退カム溝を形成する第1回転カム筒56内に第2回転カム筒57が嵌入装着された筒体の内径寸法よりも小さなものとすることにより、上述した構成とされた第2レンズ保持枠22を、当該筒体が設けられた直進筒23の鍔部23aの前方側(被写体側)の空間に、収容することが可能となる。
この第2レンズ保持枠22は、図6に示すように、付勢機構保持部41の軸受凹所41aで第1ガイド軸51を保持しつつ、一方の当接突起部42aを第2ガイド軸52に当接させかつ他方の当接突起部42bを第3ガイド軸53に当接させるように、第1回転カム筒56が嵌入された直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)の空間に収容される。このとき、付勢機構保持部41では、保持貫通孔41b内に保持された第1付勢部材54が、ばね受部材48を介して、第1ガイド軸51と保持貫通孔41bの内側端面すなわち第2レンズ保持枠22とを離間させるように付勢している。このため、第2レンズ保持枠22は、鍔部23aに固定された第1ガイド軸51を基準とする第1付勢部材54からの付勢力により、両当接突起部42を介して第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とに押し当てられる。これにより、第2レンズ保持枠22は、実質的に第1ガイド軸51と第2ガイド軸52と第3ガイド軸53と3方向に押し当てられて、直進筒23に対して、撮影光軸OAに直交する面に沿う方向に位置決めされる。このとき、付勢機構保持部41の軸受凹所41aが第1ガイド軸51を保持していることから、第2レンズ保持枠22は、直進筒23に対する撮影光軸OA回りの相対的な回転が防止されている。特に、実施例1では、上述したように、第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とが、第1ガイド軸51から撮影光軸OAへと向かう方向に関して、略線対称となる位置関係とされていることから(図14参照)、第1付勢部材54からの付勢力を第2ガイド軸52と第3ガイド軸53とに略均等に分配することができるので、より安定して位置決めすることができる。このため、第1ガイド軸51、第2ガイド軸52、第3ガイド軸53、付勢機構保持部41、第1付勢部材54、ばね受部材48および両当接突起部42が、直進筒23に対して、撮影光軸OAに直交する面に沿う方向での第2レンズ保持枠22の位置決め機構として機能する。
加えて、第2レンズ保持枠22では、2つの係合突起部47に、他端55bが直進筒23の鍔部23aに固定された各第2付勢部材55の一端55a(図7参照)が引っ掛けられる。このため、第2レンズ保持枠22は、第2付勢部材55により直進筒23内で鍔部23a側(被写体側)へと付勢され、各カム突起43aが進退カム溝を規定する第1回転カム筒56の進退カム面56b(図12参照)に押し当てられる。この直進筒23に、第2回転カム筒57が第1回転カム筒56内に嵌入装着され、進退カム面56b(図12参照)に押し当てられた各カム突起43aを受け入れるように、その進退カム面56bと補助カム面57aとにより進退カム溝(図12参照)が形成される。このため、第2レンズ保持枠22は、回転筒24の固定筒25に対する回転駆動により、第1回転カム筒56と第2回転カム筒57とから為る筒体が直進筒23内で回転駆動されると、当該筒体の回転姿勢に応じて、各カム突起43aが係合する第1回転カム筒56の進退カム面56b(進退カム溝(図12参照))のカム軌跡に倣うように、直進筒23に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向に直進移動される(図2(a)および(b)参照)。このとき、第2レンズ保持枠22は、軸受凹所41aが第1ガイド軸51を延在方向(撮影光軸OA方向)へと摺動自在に受け入れているとともに、両当接突起部42が第2ガイド軸52と第3ガイド軸53に押し当てられて、直進筒23に設けられていることから、直進筒23に対する撮影光軸OA方向への直進移動が妨げられることはなく、位置決めされた状態を維持しつつ撮影光軸OA方向へと直進移動することができる。また、第2レンズ保持枠22は、撮影光軸OA方向への直進移動の際、第2付勢部材55により被写体側に常時付勢されていることから、ガタつきを防止することができるとともに、第1レンズ群11(それを固定保持する直進筒23)に対する位置関係の精度を高めることができる。このため、第1回転カム筒56(その進退カム面56b)と第2回転カム筒57(その補助カム面57a)と第2レンズ保持枠22の各カム突起43aとは、固定筒25(ベース部材28)に対する回転筒24の回転駆動に伴って、直進筒23に対して第2レンズ保持枠22(第2レンズ群12)を撮影光軸OA方向に直進移動させる回転カムユニット26として機能する。
このレンズ鏡胴10は、次のように組み付ける。なお、以下に記載する組み付け手順は一例であって、実施例1に限定されるものではない。
先ず、第2レンズ保持枠22の各カム受部44に調整カム部材65を装着し、その保持孔22aに、固定レンズ12aと、間隔環66と、調整レンズ12bを嵌合保持した調整レンズ保持枠61と、を挿入する。この第2レンズ保持枠22の径側付勢部材保持部45に径側付勢部材58を装着し、2つの軸側付勢部材保持部46のそれぞれに軸側付勢部材59を装着する。これにより、調整レンズ保持枠61すなわち調整レンズ12bは、第2レンズ群12のレンズ光軸(撮影光軸OAとなる)方向に間隔環66を介して固定レンズ12aに押し当てられた状態で、径側付勢部材58の一方の延在端58aと調整カム部材651の調整カム面65dとの挟持および径側付勢部材58の他方の延在端58bと調整カム部材652の調整カム面65dとの挟持により、上記レンズ光軸(撮影光軸OA)に直交する面における第2レンズ保持枠22に対する位置が決定して、第2レンズ群12が構成される。
この状態において、第2レンズ群12の光学的な特性を観察しつつ調整カム部材651および調整カム部材652を適宜回転操作する。この光学的な特性が適切な状態となった位置が、第2レンズ保持枠22に対する調整レンズ保持枠61、すなわち固定レンズ12aに対する調整レンズ12bの適切な位置となる。これにより、第2レンズ保持枠22における、固定レンズ12aに対する調整レンズ12bすなわち第2レンズ群12の調芯作業が完了する。
レンズ鏡胴10では、調整のための調整カム部材651および調整カム部材652が、そのまま第2レンズ保持枠22内において調整レンズ保持枠61すなわち調整レンズ12bを固定保持する構成である。換言すると、調整カム部材651および調整カム部材652は、第2レンズ保持枠22内において、調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)の保持位置を調節することができる。このため、第2レンズ保持枠22に対する調整レンズ保持枠61の位置関係を維持したまま、その第2レンズ保持枠22を、直進筒23すなわちレンズ鏡胴10として組み付けることができる。
その第2レンズ保持枠22を、付勢機構保持部41の軸受凹所41aに第1ガイド軸51を挿入し、一方の当接突起部42aを第2ガイド軸52に当接させかつ他方の当接突起部42bを第3ガイド軸53に当接させるように、第1回転カム筒56を嵌入した直進筒23の鍔部23aの後方側(像面側)の空間に収容する。この第2レンズ保持枠22の係合突起部47に、他端55bが直進筒23の鍔部23aに固定された第2付勢部材55の一端55aを引っ掛ける。
また、直進筒23の鍔部23aの前方側(被写体側)の空間に、シャッタ/絞りユニット13、第1レンズ群11を保持する第1レンズ保持枠21および板ばね受け部材31を収容し、第1レンズ保持枠21に接続された連結枠27とともに、板ばね30により直進筒23に固定する。その直進筒23を、固体撮像素子14、回転筒24、固定筒25、ベース部材28、ライナー29、段付枠部32および基板33とともに、レンズ鏡胴10として組み付ける。
このレンズ鏡胴10では、駆動装置34からの駆動力が伝達されることにより、固定筒25に対して回転筒24が回転駆動される。直進筒23は、固定筒25に対して回転駆動される回転筒24の回転姿勢に応じて、カムフォロア23bが係合する回転筒24のカム溝24cのカム軌跡に倣うように、ベース部材28(固定筒25)に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向に直進移動される。このとき、第2レンズ保持枠22は、回転カムユニット26としての第1回転カム筒56および第2回転カム筒57から為る筒体が、回転筒24とともに固定筒25(ベース部材28)に対して回転駆動することにより、当該筒体の回転姿勢に応じて、各カム突起43aが係合する第1回転カム筒56の進退カム面56b(進退カム溝(図12参照))のカム軌跡に倣うように、直進筒23に対して撮影光軸OA(撮影光路)方向に直進移動される(図2(b)参照)。
このため、レンズ鏡胴10では、収納状態(図2(a)参照)と撮影状態(図2(b)参照)との間での動作において、第1レンズ保持枠21で保持した第1レンズ群11および第2レンズ保持枠22で保持した第2レンズ群12が撮影光軸OA上を進退移動されるとともに、第1レンズ群11およびシャッタ/絞りユニット13に対する第2レンズ群12の間隔が適宜変化される。この移動の様子を図21のグラフに示す。この図21のグラフは、収納状態と撮影状態との間での第1レンズ群11および第2レンズ群12の動作を示したものである。図21では、縦軸が、収納状態での第1レンズ群11の位置を基準として、撮影光軸OA方向で見て被写体側を正方向とした第1レンズ群11および第2レンズ群12の位置とそれらの相対距離とを表し、横軸が、撮影光学系における状態(収納状態および撮影状態等)の移行を表している。ここでの相対距離とは、第1レンズ群11から見て第2レンズ群12までの間隔寸法を言う。レンズ鏡胴10は、実施例1では、調整保持機構64を搭載し第2レンズ群12を保持する第2レンズ保持枠22と、第1レンズ群11を保持する第1レンズ保持枠21と、を組み合わせて構成されており、図21に示すように、その第2レンズ群12と第1レンズ群11との相対距離の可変(いわゆるフローティング)な撮影光学系を形成している。このため、直進筒23、回転筒24、固定筒25、連結枠27、ベース部材28およびライナー29は、第1レンズ保持枠21および第2レンズ保持枠22を内部で移動可能に保持するレンズ鏡筒として機能する。
次に、上述の実施例に示したレンズ鏡胴10を含む光学系装置を、撮影光学系として採用してカメラ100(撮像装置)100を構成した例について図22ないし図24を参照して説明する。図22は、物体、すなわち被写体側である前面側から見たカメラ100の外観を示す斜視図であり、図23は、撮影者側である背面側から見たカメラ100の外観を示す斜視図であり、図24は、カメラ100の機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、カメラ100について説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものが近年登場している。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラ100と実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を採用してもよい。また、同様に、本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を画像入力装置に採用してもよい。
図22および図23に示すように、カメラ100は、撮影レンズ101、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等を備えている。さらに、図24に示すように、カメラ100は、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード206等も備えている。また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラ100は、撮影レンズ101と、CCD(電荷結合素子)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201と、を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101により形成される撮影対象となる物体、つまり被写体の像を受光素子201により読み取るように構成されている。この撮影レンズ101としては、本実施例において説明したような本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を用いる。具体的には、レンズ鏡胴10を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する(例えば、固体撮像素子14(図2参照)を用いて受光素子201を構成する)。レンズ鏡胴10は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。カメラ100に組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204により制御される信号処理装置202によって処理され、デジタル画像情報に変換される。信号処理装置202によりデジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ本体に内蔵された半導体メモリでもよい。液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。
撮影レンズ101は、カメラ100の携帯時には図22(a)に示すように沈胴状態(図2(a)参照)にあってカメラ100のボディ内に埋没している。ユーザーが電源スイッチ108を操作すると、電源が投入され、図22(b)に示すように鏡胴が繰り出され、カメラ100のボディから突出して撮影状態(図2(b)参照)となる構成とする。このとき、第1レンズ群11から第2レンズ群12が焦点距離可変のズームレンズを構成する場合、撮影レンズ101のレンズ鏡胴10の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させたりする際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
この実施例1のレンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22において、固定レンズ12aが直接固定保持されているとともに、調整レンズ12bが調整保持機構64により調整可能とされた調整レンズ保持枠61を介して保持されている構成であることから、調整保持機構64により第2レンズ保持枠22内での調整レンズ保持枠61の位置、すなわち固定レンズ12aに対する調整レンズ12bの保持位置を調整することができるので、簡易な構成で第2レンズ群12を調芯することができる。
また、実施例1のレンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22による調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)を保持した状態を維持したまま、第2レンズ群12のレンズ光軸に直交する面に沿う方向での当該調整レンズ12bの位置を調整することができることから、調芯作業が完了した後にその調芯状態を維持すべく接着剤等で固定する必要がないので、第2レンズ保持枠22において、高精度に調芯された第2レンズ群12を得ることができる。換言すると、レンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22内において、調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)の保持状態を調節することができるので、高精度に調芯された第2レンズ群12を得ることができる。
さらに、実施例1のレンズ鏡胴10では、調整保持機構64としての調整カム部材65が、操作可能に第2レンズ保持枠22に設けられ、その操作方向に対して傾斜する調整カム面65dで、調整レンズ保持枠61の当接端部62(突出端62a)を受ける構成であることから、調整カム部材65を第2レンズ保持枠22に対して操作することにより、調整レンズ保持枠61すなわち調整レンズ12bの位置を調整することができるので、簡易な構成で第2レンズ群12を調芯することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、単一のレンズ群(実施例1では、第2レンズ群12)を構成する複数のレンズ(実施例1では、固定レンズ12aおよび調整レンズ12b)を相互に調芯した状態でレンズ保持枠(実施例1では、第2レンズ保持枠22)に固定保持することができるので、高精度なレンズ群を得ることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、固定レンズ12aに対する位置を調整すべく調整レンズ保持枠61に保持された調整レンズ12bが、両面が非球面とされた単一のレンズで構成されていることから、第2レンズ群12をより高精度なものとすることができる。これは、両面が非球面とされた単一のレンズでは、他のレンズ(固定レンズ12a)に対する位置設定において、極めて高い精度が求められることから、レンズ保持枠等の物理的な形状による調整では、設定された光学的な性能を発揮することが困難となる場合があることによる。また、調整レンズ保持枠61は、単一のレンズである調整レンズ12bを保持していることから、複数のレンズを保持することに比較して、第2レンズ保持枠22内で調整可能とすることと保持力を確保することとの両立が容易となることから、調芯した状態を確実に維持することが可能となることによる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、調整保持機構64としての各調整カム部材65が、各カム受部44に中心軸線MA回りに回転可能に設けられ、かつ中心軸線MAに対して傾斜する調整カム面65dで、調整レンズ保持枠61の当接端部62(突出端62a)を受ける構成であることから、調整カム部材65をカム受部44内で回転させることにより、調整レンズ保持枠61すなわち調整レンズ12bの位置を調整することができるので、より小さく簡易な構成とすることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、調整保持機構64としての2つの調整カム部材65が、カム受部44に中心軸線MA回りに回転可能に設けられ、かつ調整レンズ保持枠61の当接端部62(突出端62a)を受ける調整カム面65dが、中心軸線MAに対して傾斜する螺旋状の平面とされていることから、当接端部62(突出端62a)を受ける位置を、調整カム部材65の回転姿勢に応じて中心軸線MA方向に変化させることができるので、簡易な構成で調整レンズ12bの位置の調整を可能とすることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、調整カム面65dが、調整カム部材65の回転方向を取り巻くように旋回する螺旋状の平面とされていることから、より小さく簡易な構成としつつ、調整レンズ12bの最大調整量(調整幅)を大きくすることができるとともに、その最大調整量に対する調整レンズ保持枠61の操作量となる調整ストロークを大きくすることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、螺旋状の平面の調整カム面65dで、調整レンズ保持枠61の当接端部62(突出端62a)を受ける構成であることから、調整カム部材65の回転操作量に対する調整レンズ12bの変化量を微小なものとしつつ漸次的な変化を可能とすることができるので、より高精度に調整レンズ12bの位置を調整することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22の径方向に中心軸線MAを一致させるように調整カム部材65が設けられており、かつその中心軸線MA方向に付勢された調整レンズ保持枠61の当接端部62(突出端62a)を調整カム面65dで受ける構成であることから、径側付勢部材58からの付勢力に起因して調整レンズ12bが位置決めされた位置からずれることを防止しつつ調整レンズ12bを確実に固定保持することができる。これは、以下のことによる。上記した構成であることから、第2レンズ保持枠22での調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)の保持(挟持)のために、径側付勢部材58からの付勢力が当該調整レンズ保持枠61に付与される方向と、調整カム部材65が回転操作される方向と、が略直交するものとされている。このため、調整カム部材65では、径側付勢部材58から付勢された調整レンズ保持枠61の当接端部62(突出端62a)が、調整カム面65dに押し当てられても、当該付勢力が調整カム部材65に対して操作方向となる回転させる力として作用する分力を極めて小さくすることができる。このことから、径側付勢部材58の一方の延在端58aと調整カム部材651の調整カム面65dとの挟持および径側付勢部材58の他方の延在端58bと調整カム部材652の調整カム面65dとの挟持により、第2レンズ保持枠22内において、調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)の位置調整を可能としつつ、当該調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)の位置の固定を確実なものとすることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、軸側付勢部材59が調整レンズ保持枠61を第2レンズ保持枠22に対して第2レンズ群12のレンズ光軸方向(撮影光軸OA方向)で被写体側へと常時押圧していることから、調整レンズ保持枠61(嵌合保持する調整レンズ12b)が被写体側へ向けて間隔環66に常時圧接されるとともに、その間隔環66が被写体側へ向けて固定レンズ12aに常時圧接されているので、第2レンズ保持枠22に直接保持された固定レンズ12aに対する調整レンズ保持枠61すなわち調整レンズ12bの位置を、より適切に調整することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、調整レンズ12bの調芯のための各調整カム部材65が、回転規制凸部65fが回転規制凸部44cに当接することによりカム受部44内における回転可能な範囲が規定されていることから、回転可能な範囲における限界位置(規制された回転位置)を基準として調整レンズ12bを調整することができるので、より容易に調整することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22において、最外径位置Odの内側で、第2レンズ群12の固定レンズ12a、間隔環66、調整レンズ12bを保持する調整レンズ保持枠61、その調整レンズ保持枠61のための調整保持機構64、径側付勢部材58および軸側付勢部材59を保持している。このため、最外径位置Odの内径寸法を、第1回転カム筒56内に第2回転カム筒57が嵌入装着された筒体の内径寸法よりも小さなものとすることにより、調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)を高精度に調整可能に保持した第2レンズ保持枠22を、当該筒体が設けられた直進筒23の鍔部23aの前方側(被写体側)の空間に、撮像光学系の構成要素として収容することができる。これにより、高い精度で調芯された第2レンズ群12を用いて撮像光学系を構成する(実施例1では、直進筒23内で移動可能に設ける)ことができるので、高い撮像性能を得ることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第2レンズ保持枠22が最外径位置Odの内側で、第2レンズ群12の固定レンズ12a、間隔環66、調整レンズ12bを保持する調整レンズ保持枠61、その調整レンズ保持枠61のための調整保持機構64、径側付勢部材58および軸側付勢部材59を保持する構成とされていることから、直進筒23の鍔部23aの前方側(被写体側)の円筒状を呈する空間に、撮像光学系の構成要素として効率よく収容することができるので、小さな構成としつつ高い撮像性能を得ることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、調整レンズ保持枠61(調整レンズ12b)を高精度に調整可能に保持した第2レンズ保持枠22を直進筒23内で移動可能に設けるとともに、直進筒23の鍔部23aの前方側(被写体側)の空間に第1レンズ群11等を設け、その直進筒23を、固体撮像素子14、回転筒24、固定筒25、ベース部材28、ライナー29、段付枠部32および基板33とともに、レンズ鏡胴10として組み付けることができるので、より高い撮像性能を得ることができる。すなわち、レンズ鏡胴10では、調整レンズ保持枠61および調整保持機構64により高精度に調芯した第2レンズ群12を保持する第2レンズ保持枠22を、そのまま撮像光学系として組み込むことができるので、より高い撮像性能を得ることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、調整カム部材65が、大径部分65aの表面における中心軸線MAの近傍を除く大部分を調整カム面65dとするものであることから、調整レンズ保持枠61の当接端部62(突出端62a)を受ける位置が、調整カム面65dにおいて、中心軸線MAからの放射方向(調整カム部材65の径方向)への自由度を持っているので、固定レンズ12aに対する調整レンズ12bの調芯の自由度を高めることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第2レンズ群12において、第2レンズ群12のレンズ光軸(撮影光軸OA)方向で見た端部に位置された調整レンズ12bを、固定レンズ12aに対して調芯するものであることから、第2レンズ保持枠22内において調整レンズ保持枠61を調整可能に保持する調整保持機構64を容易に構成することができる。特に、実施例1では、第2レンズ群12のレンズ光軸(撮影光軸OA)方向で見て、第1レンズ群11とは反対側の端部に位置設定された調整レンズ12bを固定レンズ12aに対して調芯するものであることから、全体の構成をより簡易なものとすることができる。
したがって、本発明に係るレンズ鏡胴10では、簡易な構成で高精度かつ容易に調芯することができる。