JP4180155B2 - ジョイントシート形成用組成物、ジョイントシートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、ジョイントシート形成用組成物、ジョイントシートおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、化学工業、自動車、船舶、各種機器装置などの広範囲な産業分野において利用され、ガスケットの基材として好適に用いられ、強度等の機械的特性に優れたジョイントシートを得ることができ、製板加工性等に優れたジョイントシート形成用組成物、該組成物から形成されるジョイントシート、特に多層構造のジョイントシート、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、ジョイントシートとしては、石綿製のものが広く用いられてきた。この石綿ジョイントシートは、石綿を基材繊維とし、これに結合剤としてのNBR、SBR等のゴム、ゴム薬品、充填剤、有機溶剤例えば、トルエン、メチルエチルケトン等を添加し攪拌・混練してジョイントシート形成用組成物を調製し、この組成物を、熱ロールと冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して加熱圧延し、ジョイントシート形成用組成物を熱ロール側に積層させて所定厚みとし、次いで熱ロールに積層されたシート状物を切開いて熱ロールから剥離することによって製造されてきた。
【0003】
このような石綿ジョイントシートは、基材繊維としての石綿を通常60〜80重量%の割合で含んでいるが、近年に至って石綿資源の枯渇およびそれに伴なう入手難の問題が生ずるとともに、石綿の人体に対する悪影響も指摘され、石綿の使用は厳しく制限され始めている。このため石綿に代わる繊維基材(非石綿系基材繊維)を用いてジョイントシートを製造しようとする研究が盛んに行なわれている。
【0004】
たとえば石綿の代替繊維として、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維などの無機繊維あるいは芳香族ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維などの有機繊維を用いることによって、ジョイントシートを製造しようとする試みがなされている。
【0005】
また、石綿代替繊維を用いた単層のジョイントシートの他、ジョイントシートを多層化してフランジ面に馴染ませ、シール性等の特性を改善することも提案されている。
【0006】
▲1▼例えば、特公平1-32271号公報には、芯材組成物とその両面に積層される表面材組成物とを三層シート状に加硫成形してなり、各層用の組成物として繊維材料、ゴム材料、およびアクリル系重合体等の特定の水膨潤性物質がそれぞれ異なる量比で配合して構成されたガスケット(ジョイントシート)が開示されている。また該公報には、このような三層構造のガスケットは、表面材混練物、芯材混練物、そして表面材組成物の順でカレンダーロール上に投入して各層を形成し、加硫成形して得られると記載され、この公報に記載のガスケット素材には、石綿が61%以上の量で配合され、ゴム材料としては、SBR、NBR等が挙げられている。このようにして得られるガスケットの表面層の厚みとしては、10μm以上でガスケット全厚の1/3以下とされ、その厚みが0.01〜0.1mmの例が示されている。
【0007】
▲2▼特開平3-212480号公報には、繊維材料、ゴム材料、ゴム薬品、充填剤および他の添加剤からなるジョイントシートにおいて、繊維材料が非鉄系金属繊維および/または防錆処理した鉄系金属繊維5〜60重量%と有機繊維1〜30重量%とからなる芯材と、繊維材料が有機繊維1〜30重量%からなる表裏2層の表面材とで3層構造にしたジョイントシートが開示されている。このゴム材料としては、NR、SBR、NBR等が挙げられている。
【0008】
▲3▼特開平7-252469号公報には、石綿代替繊維、ゴムを主材とする複数種の組成物を、加熱加圧して所定の厚さのシート状に一体に積層した非石綿系ジョイントシートが開示されている。
【0009】
▲4▼また、特開平8-302334号公報には、基材繊維、ゴム材料、ゴム薬品、充填材を主材とする組成物からなるアスベストフリージョイントシートであって、この組成物からなる柔軟層と、この組成物に熱硬化性樹脂を含む組成物からなる高強度層とが組合わされたジョイントシートが開示されている。このゴム材としては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(水素化NBR)等が挙げられている。
【0010】
しかしながら、これら公報に記載のジョイントシートには、強度等の物理的特性、または製板加工性の何れかの点で更なる改良の余地があった。
そこで本発明者等が上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、従来では、ジョイントシートには、上記非石綿系基材繊維とともに結合剤としてNBR等のゴム成分などが含まれているが、
(イ):このゴム成分としてアクリロニトリル成分単位を多量に含むニトリルゴム(NBR)が含まれていると、得られるジョイントシ―トの機械的強度等の向上が期待できるが、製板加工に先立つ前処理における取扱い性、すなわちゴム材、溶剤等を配合し混合攪拌する際の作業性が低下してしまうこと、
(ロ):アクリロニトリル成分単位を多量に含むNBR系ジョイントシート形成用組成物であっても、この組成物に特定の溶剤例えば、トルエン等が含まれていると、上記前処理時の取扱い性の点を考慮しても、全体としてみれば充分にこれを補って余る優れた効果である、シート製造時の製板加工性が向上するだけでなく、驚くべきことに機械的強度等の物理的特性もバランス良く向上することを見出すと共に、
(ハ):このような特定のニトリルゴムを含有する層を有する多層構造のジョイントシートでは、肉厚設計の自由度が増し厚肉化が可能であり、上記製板加工性および機械的強度等の特性が、特にバランス良く優れ、シール性にも優れること、
などを見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
なお、本願出願人は、ジョイントシートの耐熱性、耐蒸気性をバランス良く向上させるとの観点から、先に、▲5▼特開平7-286161号公報にて、非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、アクリルゴムおよびニトリルゴム、ゴム薬品および充填剤を含んでなり、上記ニトリルゴムがアクリルゴム100重量部に対して2〜50重量部の量で含まれたジョイントシートを提案している。
【0012】
このジョイントシートには、ニトリルゴムとして、アクリロニトリル成分単位含量が15〜50重量%のものが使用可能とされ、その実施例では、耐熱性、耐蒸気性が特にバランス良く優れることから、アクリルゴム(ACM)と、アクリロニトリル成分単位量が35重量%までのニトリルゴム(NBR)とが含まれたもののみが挙げられている。また、このようなジョイントシートを製造する際には、トルエン、ゴム揮などのゴム材用溶剤が使用される旨記載されている。
【0013】
またその比較例1には、ゴム成分として、アクリロニトリル成分単位量が35重量%までのニトリルゴムを単独で使用したジョイントシートが示されている。しかしながら、この特開平7-286161号公報では、上記製板加工性および機械的強度等の特性のバランスの点については、特に検討されていない。
【0014】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、機械的強度等の物理的特性に優れ、シール性に優れたジョイントシートを製造できる、製板加工性に優れたジョイントシート形成用組成物を提供することを目的としている。
【0015】
また本発明は、非石綿系基材繊維を用いて得られ、機械的強度等の物理的特性に優れ、シール性に優れたジョイントシートを提供することを目的としている。本発明は、厚肉化可能で、シール性に優れた単層または多層構造のジョイントシートを提供することを目的としている。
【0016】
本発明は、効率的で生産性に優れた上記ジョイントシートの製造方法を提供することを目的としている。
【0017】
【発明の概要】
本発明に係るジョイントシート形成用組成物は、
非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品、充填材および有機溶剤を含んでなり、
上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上、好ましくは40重量%以上であり、上記有機溶剤がトルエンおよび/またはゴム揮(ゴム含量が100mg/100ml以上のガソリン)であることを特徴としている。
【0018】
本発明のジョイントシート形成用組成物においては、
上記各成分を、それぞれ下記の量で含んでいることが好ましい。
(i)非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維
:5〜80重量%、
(ii)ニトリルゴム :5〜50重量%、
(iii)ゴム薬品 :0.1〜10重量%、
(iv)充填材 :5〜80重量%、
(但し、(i)〜(iv)の合計:100重量%)
および上記成分の合計100重量部に対して有機溶剤:10〜100重量部。
【0019】
本発明に係るジョイントシートは、
非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、加硫されたニトリルゴムおよび充填材を含んでなり、
上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上、好ましくは40重量%以上であることを特徴としている。
【0020】
本発明のジョイントシートにおいては、上記非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、加硫されたニトリルゴムおよび充填材を、それぞれ下記の量で含んでいることが好ましい。
【0021】
(i)非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維
:5〜80重量%、
(ii-a)加硫ニトリルゴム、未加硫ニトリルゴムおよび残存ゴム薬品
:5.1〜60重量%、
(iv)充填材 :5〜80重量%
(但し、上記(i)、(ii-a)、(iv)の全成分合計:100重量%)。
【0022】
本発明に係る多層構造のジョイントシートは、
非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、加硫されたニトリルゴムおよび充填材を含み、上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上である層を有することを特徴としている。
【0023】
本発明のジョイントシートにおいては、
上記ジョイントシートが、芯材層と、該芯材層の表面に積層される表面層と、該芯材層の裏面に積層される裏面層とからなり、
該芯材層が、非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、加硫されたニトリルゴムおよび充填材を含み、上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上、好ましくは40重量%以上であることが望ましい。
【0024】
本発明の多層構造のジョイントシートにおいては、
上記芯材層が、上記非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、加硫されたニトリルゴムおよび充填材を、それぞれ上記(i)、(ii-a)、(iv)と同様な量で含んいることが好ましい。
【0025】
本発明においては、上記多層構造のジョイントシートは、
上記表面層および裏面層が、何れも、吸水樹脂すなわち水に不溶な水膨潤性物質を含有していることが好ましい。
【0026】
本発明に係るジョイントシートの製造方法は、
ジョイントシート形成用組成物を、熱ロールと冷却ロールとから成るロール間で加熱圧延して1層または多層構造のジョイントシートを製造するに際して、
少なくとも何れかの層用の上記ジョイントシート形成用組成物として、
非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品、充填材および有機溶剤を含んでなり、上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上、好ましくは40重量%以上であり、上記有機溶剤がトルエンおよび/またはゴム揮である組成物を用い、かつ
トルエンおよび/またはゴム揮を、ジョイントシート形成用組成物表面に散布し、上記ジョイントシート形成用組成物の冷却ロール表面への付着を防止し、該ジョイントシート形成用組成物を熱ロール表面にのみ積層させることを特徴としている。
【0027】
本発明によれば、機械的強度等の物理的特性に優れ、シール性に優れたジョイントシートを製造できる、製板加工性に優れたジョイントシート形成用組成物が提供される。
【0028】
本発明によれば、非石綿系基材繊維を用いて得られ、機械的強度等の物理的特性にバランス良く優れ、シール性に優れたジョイントシートが提供される。また本発明によれば、厚肉化可能で、シール性に優れた単層または多層構造のジョイントシートが提供される。
【0029】
また、本発明によれば、効率的で生産性に優れた、上記ジョイントシートの製造方法が提供される。
【0030】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るジョイントシート形成用組成物、ジョイントシートの製造方法、並びに得られたジョイントシートについて具体的に順次説明する。
【0031】
<ジョイントシート形成用組成物>
本発明に係るジョイントシートは、後述するように単層または多層構造、好ましくは多層構造特に三層構造を有している。多層構造のジョイントシートでは、このうちの少なくとも1層(a)が、また単層のジョイントシートではその全体が、非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、特定の加硫されたニトリルゴム、充填材を含んでなっている。
【0032】
本発明に係るジョイントシート形成用組成物は、このようなジョイントシートを製造する際に用いられ、該ジョイントシート形成用組成物としては、上記1層(a)用として、また単層ジョイントシートでは該シート用組成物として、上記と同様の非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、特定の未加硫ニトリルゴム、ゴム薬品、上記と同様の充填材、有機溶剤を含んでいる。
【0033】
以下の説明においては、単にニトリルゴムというときは、加硫されたニトリルゴムおよび未加硫のニトリルゴムの何れか一方または両者を意味する。また、本発明において、加硫されたニトリルゴム等の加硫ゴム成分は、本発明の目的に反しない限り、未加硫ゴムの架橋可能部位の全部が加硫(架橋)されていなくてもよく、その一部が加硫されたものであってもよい。
【0034】
以下、まず単層のジョイントシート形成用の組成物、単層ジョイントシートに含まれる上記各成分について主として説明する。
[基材繊維]
基材繊維としては、非石綿系無機繊維と有機繊維の何れか一方、または非石綿系無機繊維と有機繊維の両者が用いられる。
【0035】
非石綿系無機繊維すなわち石綿以外の無機繊維としては、ガラス繊維、セラミック繊維、岩綿、鉱さい綿、溶融石英繊維、化学処理高シリカ繊維、溶融珪酸アルミナ繊維、アルミナ連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ウイスカー、ボロン繊維、炭素繊維、金属繊維等の従来ジョイントシート形成用基材繊維として公知の無機繊維が広く用いられる。なお、本発明においては無機繊維として、石綿繊維を少量含有させることができる。
【0036】
有機繊維としては、芳香族ポリアミド繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフルオロカーボン繊維、フェノール繊維、セルロース系繊維等の従来ジョイントシート形成用基材繊維として公知の有機繊維が広く用いられる。このうち、芳香族ポリアミド繊維(商品名:ケブラー,デュポン社製)ならびにフィブリル化した芳香族ポリアミド繊維(商品名:ケブラーパルプ)が特に好ましい。
【0037】
このような基材繊維は、ジョイントシート形成用組成物中の有機溶剤を除く成分の合計、すなわち基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品および充填材の合計を100重量%とするとき、通常、5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%の量で含まれていることが望ましい。
[ゴム材(未加硫ゴム)]
ゴム材としては未加硫のニトリルゴムを含むものが用いられる。
[ニトリルゴム(未加硫ニトリルゴム)]
ニトリルゴム(NBR)は、アクリロニトリル(AN)とブタジエンとの共重合体であって、該共重合体中におけるアクリロニトリル成分単位の含有量は、通常、36〜50重量%、好ましくは40〜50重量%である。
【0038】
この未加硫ニトリルゴム中におけるアクリロニトリル成分単位量が、上記範囲にあると、ニトリルゴム自体が高強度となり、ジョイントシート形成用組成物調製時に各配合成分を均一分散させて、高強度であり、溶剤に対して低膨潤性を有し、所望により厚肉化されたジョイントシートを効率的に得ることができる。
【0039】
なお、このニトリルゴム中におけるアクリロニトリル成分単位量が、40重量%未満、特に36重量%未満では、ジョイントシート形成用組成物の調製に際し、ゴムを簡単に裁断して溶剤に速やかに溶解させることができるが、ゴム強度は低下し、熱ロールと冷却ロールとからなる製板装置(シーター)を使用して厚肉化した三層化物を得ることが困難となり、また、アクリロニトリル単位量が50重量%を超えると、ゴム材料の製造が困難で、入手難となる。なお、この共重合体中におけるアクリロニトリル含量、あるいは後述するように加硫(架橋)された共重合体中におけるアクリロニトリル含量は、以下のようにして測定できる。
【0040】
先ず、サンプリングしたアクリロニトリルゴム含有試料の溶媒抽出を行う。この際用いられる溶媒としては、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)を溶解せず、試料中に含まれる可塑剤、老化防止剤等の油分のみを抽出しうるようなメタノール、ヘキサン等が挙げられる。
【0041】
このような溶媒100mlを用いて、試料を95℃で20時間処理し、可塑剤等を溶媒抽出した後、▲1▼:熱分解ガスクロマトグラフィー法(Py−GC法)、または▲2▼:熱分解装置による熱分解法にて、590℃で測定試料を熱分解させ、測定試料と既知試料のアクリロニトリルガスとブタジエンガスのピーク強度の比較を基にアクリロニトリル含量定量用検量線からアクリルニトリル含量を求める(「熱分解ガスクロマトグラフィー入門」(第124頁〜133頁、寒川基三郎・大栗直毅編、技法堂出版刊、1994年発行参照)。
【0042】
なお、▲1▼熱分解ガスクロマトグラフィー法では、「ガスクロマトグラフィー」として、例えば日立製作所(株)製、263型(化学結合型、Sillicone OV−1、0.25mm×25m(膜厚1.5μm)(ジーエルサイエンス))を使用できる。
【0043】
▲2▼熱分解法では、熱分解装置として、例えば「キュリーポイント熱分解装置」(日本分析工業(株)製、JHP−3S型)を使用できる。
また本発明では、▲3▼「JIS K 6384 5.3」(ケルダール法)に準拠してアクリロニトリル含量を測定してもよい。この方法でアクリロニトリル含量を測定するには、基本的には、ケルダール法を利用したケルダール装置にて試料中の窒素含量を求め、アクリロニトリル(AN)含量に換算する。次いで、ゴム単体の場合は、ゴム中のアクリロニトリル含量は、ゴム中のAN含量={分析値(窒素含量)×ANの分子量}/試料の重量で算出できる。
【0044】
ジョイントシートの場合には、アラミド繊維等の窒素含有繊維などが含まれている場合、アラミド繊維由来の窒素含量をゴム由来の窒素含量の算出上、数値補正する必要がある。
【0045】
補正法としては、例えば、(i)TG/DTAによる熱分析により、ジョイントシート中のゴム含量(wt%)とアラミド繊維の含量を、分解温度の違いから測定する。
【0046】
(ii)一方、アラミド繊維単体の窒素含量をケルダール装置にて求める。
(iii)次いで、(i)と(ii)の値を基に、ゴムに由来する窒素含量を式:ゴム由来の窒素含量=ジョイントシート中の全窒素量/g−(アラミド繊維量(wt%)×アラミド繊維単体の窒素含量/g)にて計算する方法等が挙げられる。
【0047】
これらのうちで、好ましくは▲1▼熱分解ガスクロマトグラフィー法が用いられる。
本発明では、上記のような未加硫ニトリルゴムは、ジョイントシート形成用組成物中の有機溶剤を除く成分の合計、すなわち基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品および充填材の合計を100重量%とするとき、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜20重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0048】
このニトリルゴムが上記範囲の量で含まれていると、ジョイントシート形成用組成物はシート状に成形できるなど加工性に優れ、得られたジョイントシート中においてバインダーとしての機能を発揮できるため好ましい。
【0049】
なお、このようなニトリルゴムには、上記共重合成分すなわちアクリロニトリルとブタジエン以外に、通常ニトリルゴムに共重合成分として含まれ得るような成分、例えば(メタ)アクリル酸、2-メチル-5-ビニルピリジン等の他の成分 が共重合されていてもよい。
【0050】
本発明のジョイントシートには、ゴム材として、上記ニトリルゴム以外に、下記のようなゴム材が含まれていてもよい。
ゴム材は、上記の基材繊維類を結合する役割等を果たしており、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン―プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FPM)、シリコーンゴム(Si)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エチレン酢ビゴム(EVA)、塩化ポリエチレン(CPE)、塩化ブチルゴム(CIR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ニトリルイソプレンゴム(NIR)、天然ゴム(NR)などが挙げれる。
【0051】
ニトリルゴム(NBR)を除くこれらのゴム材は、ジョイントシート形成用組成物中の基材繊維100重量部に対して、50重量部以下の量で含まれていてもよい。
[ゴム薬品および充填材]
ゴム薬品は、上記未加硫(未架橋)のゴム材などと共にジョイントシート形成用組成物中に含まれるが、このようなゴム薬品としては、
(i) イソシアネート系化合物の他、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属石鹸、過酸化物、ジニトロソベンゼンなどの加硫剤(架橋剤)、
(ii)チアゾール系化合物、ポリアミン系化合物、スルフェンアミド系化合物、ジチオカルバメート系化合物(例:ジチオカルバミン酸亜鉛)、アルデヒドアミン系化合物、グアニジン系化合物、チオ尿素系化合物、キサンテート系化合物などの加硫促進剤等が挙げられる。これらのゴム薬品は1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのゴム薬品は、ジョイントシート形成用組成物中の有機溶剤を除く成分の合計、すなわち基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品および充填材の合計を100重量%とするとき、通常0.1〜10重量%、好ましくは3〜5重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0052】
充填材としては、クレー、タルク、硫酸バリウム、重炭酸ナトリウム、グラファイト(黒鉛)、硫酸鉛、トリポリ石、ウォラストナイトなどが挙げられる。
これらの充填材は、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。充填材は、ジョイントシート形成用組成物中の有機溶剤を除く成分、すなわち基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品および充填材の合計を100重量%とするとき、通常5〜80重量%、好ましくは10〜75重量%の量で含まれていることが望ましい。
[膨張黒鉛および再生膨張黒鉛]
また、本発明に係るジョイントシート形成用組成物には、膨張黒鉛、再生膨張黒鉛が含まれていてもよい。膨張黒鉛は、黒鉛を硫酸、硝酸等で酸処理して層間化合物を生成させたのち、この層間化合物を水洗・乾燥し、次いで熱により黒鉛結晶層間を膨張させて得られるフレーク状粉末である。この膨張黒鉛(バージン)のカサ密度は、通常0.01〜0.17g/cm3、好ましくは0.06〜0.12g/cm3程度であり、その粒径は、製法などにもより一概に決定されないが、例えば、24〜400メッシュ程度である。
【0053】
再生膨張黒鉛は、カサ密度が通常0.01〜0.17g/cm3、好ましくは0.06〜0.12g/cm3程度の上記膨張黒鉛(バージン)を、例えば、1〜50kg/cm2程度の加圧下に圧縮し、粉砕して得られる。なお、必要により圧縮後、シート状等に一旦成形し、次いで粉砕してもよい。また、膨張黒鉛シートガスケット等の打ち抜き残滓を粉砕して用いてもよい。
【0054】
このような再生膨張黒鉛のカサ密度は、通常、0.01〜0.11g/cm3程度、好ましくは0.04〜0.08g/cm3程度であり、またその粒径は、通常10〜100μm、好ましくは10〜50μm程度である。
【0055】
このような膨張黒鉛および/または再生膨張黒鉛は、ジョイントシート形成用組成物中の有機溶剤を除く成分、すなわち基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品および充填材の合計を100重量%とするとき、通常、合計で1〜70重量%、好ましくは10〜60重量%程度の量で含有されていてもよい。
【0056】
このような再生膨張黒鉛が含有されたジョイントシートでは、著しくシール性に優れ、圧縮率が大きく、フランジ面への馴染み性に優れている。また、再生膨張黒鉛と膨張黒鉛とが含有されたジョイントシートでは、膨張黒鉛のみが配合されたジョイントシートよりも圧縮率が大きく、フランジ面への馴染み性に優れる傾向がある。
[吸水樹脂]
本発明に係るジョイントシート形成用組成物には、吸水樹脂が含有されていてもよく、このような吸水樹脂としては、イオン性基またはその塩あるいは、ノニオン性親水性基を有する、親水性かつ水不溶性の水膨潤性高分子が挙げられる。
【0057】
イオン性基またはその塩としては、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、第4級アンモニウム塩基、アミノ基、イミノ基、ピリジニウム塩基などが挙げられ、ノニオン性親水性基としては、ヒドロキシル基、エーテル基、鎖状または環状アミド基、ニトリル基などが挙げられる。このような吸水樹脂(水膨潤性物質)には、イオン性基またはその塩と、ノニオン性親水性基の両者が含まれていてもよい。これらの吸水樹脂は、天然物であってもよく、合成物あるいは半合成物(例:澱粉系、カルボキシメチルセルロース系)であってもよい。
【0058】
このような吸水樹脂としては、具体的には、例えば、
アクリル酸またはその塩とジビニルベンゼンとの共重合体;
アクリロニトリルと塩化ビニル(または塩化ビニリデン)、およびこれらと共重合可能な1種または2種以上のエチレン系単量体とを共重合してなる重合体のアルカリ加水分解物;
アクリロニトリル系重合体をアルカリで加水分解してなる重合体のホルムアルデヒド架橋体;
アクリロニトリル系重合体(例:アクロリニトリル−酢酸ビニル共重合体)をアルカリで加水分解してなる重合体を乾燥し、繊維状化させたもの;
アクリロニトリルとアクリル酸とN-メチロールアクリロアミドとを共重合し、紡糸し、架橋し(例:20%H2SO4存在下に100℃で加熱)、乾燥し、次いで繊維状化させたもの;
アシル化ポリエチレンイミンとTDI(トリレンジイソシアネート)とを反応させ、発泡(例:130℃×30分間加熱)させた後、水洗し乾燥させたもの;
アクリルアミド系共重合体のホルムアルデヒド架橋体;
ポリアクリル酸とポリビニルアルコールとの酸縮合物;
ポリビニルアルコールの放射線架橋体あるいは、ポリビニルアルコールのエピクロルヒドリン、オルトリン酸あるいはアルブミンによる架橋体を乾燥させたもの;
ポリビニルアルコールのリン酸縮合体;
2-ヒドロキシエチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートとの共重合体;
2-メチル-5-ビニルピリジンとN,N’−メチレンビスアクリルアミドとの共重合体;
N,N’-ジメチルアミノエチルメタクリレートとN,N’-メチレンビスアクリルアミドとの共重合体;
N-ビニル-2-ピロリドンとエチレングリコールジメタクリレートとの共重合体;
ポリオキシエチレンの放射線照射による架橋体;
澱粉の酸性下加熱縮合物;
澱粉とモノクロル酢酸ナトリウムとの反応によるカルボキシルメチル化物をホルムアルデヒドにて架橋し、乾燥させたもの;
澱粉とポリアクリル酸ナトリウムとを加熱混練(例:150℃〜170℃、水中)した後、乾燥させたもの;
多糖類[例:澱粉、ザンタンガム、グアーガム、キサトン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、好ましくは澱粉]にアクリル酸をグラフト重合したものまたはその中和物 ;
澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物;
澱粉とアクリル酸とトリメチロールプロパントリアクリル酸エステル(TMPTA)との共重合体の中和物の乾燥体;
ビニルエステルとエチレン系不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体ケン化物の乾燥体;
セルロース-アクリロニトリルグラフト重合物を加水分解した後、乾燥した物;
セルロースとモノクロル酢酸ナトリウムとの反応によるカルボキシルメチル化物を架橋または加熱不溶化し、繊維状化したもの;
再生セルロースとポリアクリル酸ナトリウムとの重合体を紡糸し凝固し乾燥したもの;
アクリル酸金属塩ポリマーを架橋剤(例:金属イオン、ポリエポキシ化合物)にて架橋し、乾燥したもの;
アクリル酸ナトリウムを架橋剤の存在下に重合し、次いで乾燥したもの;
アクリル酸ナトリウムをソルビタン脂肪酸エステル等の存在下に懸濁重合してなる自己架橋物を乾燥したもの;
酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体をアルカリ存在下に加水分解し、次いで乾燥したもの;
などが挙げられる。これらの吸水樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0059】
これらの吸水樹脂の形状は、特に限定されず、例えば、粉末状、繊維状、液状、ゲル状、フィルム状などが挙げられる。
このような吸水樹脂は、ジョイントシート形成用組成物中の有機溶剤を除く成分、すなわち基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品および充填材の合計を100重量%とするとき、通常1〜80重量%、好ましくは5〜20重量%程度の量で含有されてもよい。このような吸水樹脂が含有されているジョイントシートでは、吸水樹脂が含有されていないジョイントシートの場合よりも低面圧での締め付けで、所望の水シール性を得ることができる。
[ジョイントシートの製造]
次に、本発明に係るジョイントシートの製造方法について説明する。
【0060】
本発明に係るジョイントシートを製造するには、例えば、ゴム材用溶剤(有機溶剤)に、上記ニトリルゴムを含むゴム材を溶解させ、これにゴム薬品および充填材を混入する。上記ゴム材用溶剤(有機溶剤)としては、前記ジョイントシート形成用組成物中に配合されるものと同様なものが好ましく、ゴム材に対するμ値(相互作用定数)の大きいゴム材用溶剤、換言すればアクリロニトリル(AN)含量の多いニトリルゴムを溶解しにくく(低溶解度)、ゴム材低膨潤性の溶剤が用いられる。このような有機溶剤としては、高ニトリルゴムと溶剤のμ値が0.5以上、好ましくは2.5〜0.55のものが望ましく、具体的には、例えば、トルエン、ゴム揮等が挙げられる。このような有機溶剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0061】
本発明では、上記のようにして得られた高粘度のゴム溶液または分散液に、芳香族ポリアミド繊維、フィブリル化した芳香族ポリアミド繊維等の有機繊維および/またはガラス繊維等の無機繊維からなる基材繊維、さらに必要により膨張黒鉛、再生膨張黒鉛、吸水樹脂、吸油樹脂、膨潤ゴムなどを配合して均一になるように混練して粘土状で高粘度で対溶剤低膨潤性のジョイントシート形成用組成物を準備する。
【0062】
このようなジョイントシート形成用組成物では、溶剤不溶性あるいは難溶性の各配合成分が均一に分散されており、繊維等の凝集、未解繊などがなく、材料同士が良好に絡み合い、繊維等とゴムとの界面接着性も良好となっている。これにより強度が向上し、さらに、ジョイントシートの強度向上に寄与する基材繊維の高配合化も可能となっている。
【0063】
次いでこのような組成物を熱ロールと冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して加熱圧延する。この際、熱ロールは120〜160℃の温度に、また冷却ロールは50℃以下の温度に保たれていることが好ましく、このような一対のロールを含む装置は、シーター装置として公知である。
【0064】
上記のようにジョイントシート形成用組成物を一対のロール間に挿入すると、該組成物は加熱圧延されて熱ロール側にシート状に積層される。このシート状の組成物を熱ロールから剥離させると、ジョイントシート(単層のジョイントシート)が得られる。
【0065】
このようにジョイントシートを製造する際のロール線圧(linear pressure)は、本発明のジョイントシート形成用組成物では、該組成物の成分組成、ロールの送り速度等に応じて適宜設定可能であり、冷却ロール表面への該組成物の付着や、熱ロールからの積層シートの剥離は極めて生じ難くい。
【0066】
なお、一般に、ロール送り速度を上げるとロール線圧は、低くなる。もし、このロール線圧が低すぎると、従来のジョイントシート形成用組成物では、該組成物をシーターに挿入して熱ロール側に積層する際に、冷却ロールに付着する、いわゆる「トラレ現象」が生ずる。逆にロール線圧が高すぎると、積層されたシートは、ロールとの摩擦力により熱ロールから剥離してしまう、いわゆる「モマレ現象」が生ずる。この点、前記背景技術の項で挙げた従来のジョイントシートでは、用いられる組成物の強度が低く、石綿ジョイントシート用組成物のような摩擦力に対抗し得る強度がないため、著しくモマレ現象が生じやすいとの問題点があったが、本発明のジョイントシート形成用組成物には、トルエン、ゴム揮等の有機溶剤に膨潤し難い、高強度の高ニトリルゴムが分散性良く練り込まれており、ジョイントシート形成用組成物の強度も高いため、ロール線圧がある程度広範囲に変化してもモマレ現象が生じ難いため、モマレ現象、トラレ現象等の問題点は著しく低減されている。
【0067】
なお、ジョイントシート形成用組成物を一対のロール間に挿入してシート状に圧延する際に、冷却ロールに該組成物の一部が付着することがある。
このような冷却ロールへのジョイントシート形成用組成物の付着防止は、有機溶剤を冷却ロールとジョイントシート形成用組成物との間に供給して行うことが好ましく、具体的には、有機溶剤を、製板工程に先立つ前処理工程、すなわちゴム材、溶剤等を配合し混合攪拌したのち有機溶剤を揮散させて、団子状のジョイントシート形成用組成物を得る工程で、該ジョイントシート形成用組成物表面に満遍無く上記有機溶剤を散布(ふりかけ)あるいは塗布等しておく方法、あるいは有機溶剤を冷却ロールとジョイントシート形成用組成物との間に散布する方法等により冷却ロール表面を溶剤で濡らす方法を挙げることができる。
【0068】
有機溶剤としては、前記ジョイントシート形成用組成物中に配合されるものと同様のもの、すなわち、該組成物中に含まれているアクリロニトリル含量の多い上記NBRに対する相互作用定数μ値が大きい有機溶剤を用いることができる。
【0069】
このような有機溶剤としては、高ニトリルゴムと該溶剤とのμ値が0.5以上のもの、好ましくは0.55〜2.5のものを用いることができる。
高ニトリルゴムとの関係でこのようなμ値の有機溶剤としては、トルエン、ゴム揮等が挙げられ、本発明ではこれら溶剤の何れか一方を単独で用いてもよく、両者を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
アクリロニトリル(AN)含量の高い上記NBRは、従来より使用されている中高ニトリルゴム(例:AN含量が20〜34%)に比べてそのSP値(Solubility Parameter、SPNBR)が大きく、μ値が大きいため、このような有機溶剤との相溶性は小さい。なお溶剤と溶質との相互作用定数(μ値)及びSP値の間には、μ=μs+μH、μs=0.34、μH=V(δs−δp)2/RT[但し、V:溶剤の分子容、δs,δp:溶剤及びゴムの溶解度指数(SP値)、R:気体定数、T:絶対温度]の関係がある。
このようなμ値の有機溶剤を、アクリロニトリル(AN)含量の高い上記NBR(高ニトリルゴム)が配合されたジョイントシート形成用組成物に振り掛け、あるいはジョイントシート形成用組成物調製時に用いる場合には、上記トルエン等の有機溶剤と接触しても、アクリロニトリル含量の高いこの高ニトリルゴムは、膨潤、溶解されにくい。従って、ロール製板する際に、ジョイントシート形成用組成物にトルエン等を振り掛けても該組成物が大きく膨潤することがなく、よって製板加工性が低下することもない。
【0071】
このため、多量の上記有機溶剤を使用して、冷却ロール表面を該溶剤にて適度に濡らすことにより、ジョイントシート形成用組成物の冷却ロール表面への付着である「トラレ現象」を効率よく防止できるとともに、冷却ロールが有機溶剤にて、常に良好に濡らされる結果、ロール線圧は均一化され、従来と同様のロール線圧を採用する場合にもトラレ現象は生じ難く、加工性は向上し、また上記のようにトラレ現象が生じ難いためロール線圧低減も可能であり、広範囲の加工条件を適宜設定して、多層構造、例えば三層構造のジョイントシートも極めて容易に製造可能となっている。
【0072】
また、このような冷却ロールへのジョイントシート形成組成物の付着防止は、該組成物中に有機帯電防止剤を0.1〜10重量%の量で添加することによって高めることができる。
【0073】
有機帯電防止剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性帯電防止剤、アルキル硫酸エステルなどのアニオン性帯電防止剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性帯電防止剤、ベタインなどの両性帯電防止剤、水溶性ポリマー帯電防止剤あるいはケイ素化合物系帯電防止剤などが用いられる。
【0074】
[ジョイントシート]
上記のようにして得られる本発明に係る単層構造のジョイントシートは、上記ジョイントシート形成用組成物を加硫(架橋)してなり、このようなジョイントシートは、上記非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維(i)、特定の加硫されたニトリルゴム(ii-a)、充填材(iv)を含んでなっている。
【0075】
このようなジョイントシートには、上記基材繊維(i)と加硫ニトリルゴム(ii-a)と充填材(iv)との合計を100重量%とするとき、
上記石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維(i)は、5〜80重量%の量で、加硫ニトリルゴム、未加硫ニトリルゴムおよび残存ゴム薬品(ii-a)は、合計で5.1〜60重量%の量で、充填材(iv)は、5〜80重量%の量(但し、上記(i)、(ii-a)、(iv)の全成分合計:100重量%とする)で含まれている。 このようにして得られる単層ジョイントシートの厚さは、特に制限されないが、通常、0.4〜5.0mm厚、好ましくは0.5〜3.2mm厚程度である。
【0076】
このようなジョイントシートのそれぞれ常温で測定した引張強度(試験方法:JIS R 3453)は、通常5〜50MPa、好ましくは10〜30MPaであり、
圧縮率(試験方法:JIS R 3453)は、通常3〜20%、好ましくは5〜15%であり、
復元率(試験方法:JIS R 3453)は、通常20〜80%、好ましくは40〜60%であり、
シール性は、通常1.0×10-3〜3.0×10-2cc/秒、好ましくは2.0×10-2cc/秒以下である。
【0077】
上記説明においては、主に、単層のジョイントシートについて説明したが、以下、2層以上の多層構造のジョイントシートについて説明する。
<多層のジョイントシートおよびその製造>
[多層ジョイントシート]
この多層構造のジョイントシート(多層ジョイントシート)は、上記単層のジョイントシート用組成物と同様の組成物からなる層(a)を少なくとも1層以上有している。
【0078】
すなわち、多層ジョイントシートは、上記非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維(i)、加硫されたニトリルゴム(ii-a)および充填材(iv)を含み、上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上、好ましくは40重量%以上である層(a)を有している。
【0079】
このような層(a)は、前記ジョイントシート形成用組成物、すなわち上記非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維(i)、未加硫ニトリルゴム(ii)、ゴム薬品(iii)および充填材(iv)を含み、上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上、好ましくは40重量%以上である上記ジョイントシート形成用組成物を加硫(架橋)することにより得られる。
【0080】
本発明の好ましい態様においては、上記多層ジョイントシートが、芯材層と、該芯材層の表面に積層される表面層と、該芯材層の裏面に積層される裏面層とからなり、該芯材層が、上記ジョイントシート形成用組成物(以下、「芯材組成物」とも言う)からなっている。
【0081】
このような多層ジョイントシートでは、全体の厚みが0.4〜5.0mm厚、好ましくは0.5〜3.2mm厚程度である。また、芯材層の厚みは、通常0.3〜3.0mm厚、好ましくは0.7〜1.4mm厚であり、表面層の厚みは、通常0.05〜3.0mm厚、好ましくは0.05〜1mm厚であり、裏面層の厚みは、通常0.05〜3.0mm厚、好ましくは0.05〜1mm厚である。
【0082】
このような多層ジョイントシートの表面層、裏面層は、成分組成比が異なる以外は、上記芯材層用の組成物と同様の物質からなっていてもよく、上記芯材層用の組成物とは別異の組成物などからなっていてもよい。
【0083】
このような多層ジョイントシートとしては、例えば、以下のような層構成のものが好ましく挙げられる。
(イ)表面層(吸水樹脂)/芯材層/裏面層(吸水樹脂)
(ロ)表面層(吸油樹脂、膨油ゴム)/芯材層/裏面層(吸油樹脂、膨油ゴム)
(ハ)表面層(芯材層と同様な成分を含有する高圧縮物)/芯材層/裏面層(芯材層
と同様な成分を含有する高圧縮物)
(ニ)表面層(平滑性を有するニトリルゴム)/芯材層/裏面層(芯材層と同様な成分を含有する高圧縮物) など。
【0084】
上記吸油樹脂としては、油分を吸収して膨潤するものが用いられ、その種類は、特に限定されない。
このような吸油樹脂としては、例えば、自己膨潤型のアクリルポリマー等が挙げられ、市販品では、例えば、「オレオソーブ」(商品名、日本触媒化学工業(株)製)が挙げられる。
【0085】
膨潤(膨油)ゴムとしては、油分によって膨潤するゴムである、NR、IR、BR、SBR、CR、IIR、EPM、EPDM等が挙げられる。
[多層ジョイントシートの製造]
このような多層ジョイントシートを製造するには、好ましくは、裏面層用(または表面層用)の組成物、芯材層用の組成物、次いで表面層用(または裏面層用)の組成物を順次、一対のロール間に供給して、これらの組成物を順次加熱圧延して熱ロール側に順次積層すればよい。
【0086】
一例を挙げてさらに具体的に説明すると、従来の中高ニトリルゴム(NBR)、吸水樹脂、吸油樹脂などを含有する表面層用の組成物(スタータ等とも言う。)を熱ロールと冷却ロールとからなるロール間に供給し、熱ロール表面に積層させ、次いで上記ジョイントシート形成用組成物を芯材層用として供給して表面層の上に積層させ、次いで芯材層用組成物と同様な成分を含有し、その配合組成比のみ異なる裏面層用の組成物、前記表面層用組成物などを供給して、これらの組成物を順次加熱圧延して熱ロール側に順次積層すればよい。この際、熱ロールから発生する熱により、各層は加硫される。
【0087】
またこの際、表面層用組成物として、ゴム成分含量の多いジョイントシート形成用ゴム組成物、例えば、中高ニトリルゴム(例:AN含量が20〜34%程度)などを用いると、ジョイントシート製造時には、熱ロールの平滑性が活かされ、表面平滑性に優れ、当接される相手部材とのなじみ性に優れたジョイントシートが得られる。
【0088】
芯材層用組成物としては、前記高ニトリルゴム配合のジョイントシート形成用組成物が好ましく用いられる。
裏面層用ゴム組成物としては、芯材層用のゴム組成物と同様の成分、すなわち基材繊維(i)、未加硫ニトリルゴム(ii)、ゴム薬品(iii)、充填材(iv)および有機溶剤(v)を含有し、各成分の配合組成比が芯材層用のものと異なり、ゴム薬品(iii)の含有量が芯材層用のものよりも低減されたゴム組成物(イ)、あるいは前記表面層と同様の組成物(ロ)が用いられる。このようなゴム組成物(イ)からなる裏面層を有するジョイントシートでは、裏面層の加硫度を低くすることにより、相手材とのなじみ性を向上させ、高圧縮性を付与したり、ジョイントシート形成用組成物中に含まれる基材繊維量を減らすなど各成分の配合のバランスを適宜調整することにより、裏面層の表面平滑性を向上させることができる。
【0089】
このような各層用の組成物を、熱ロールと冷却ロールとから成るロール間で加熱圧延して多層構造のジョイントシートを製造するに際しては、上記単層ジョイントシートの製造時と同様に、トルエン、ゴム揮等の有機溶剤を、ジョイントシート形成用組成物表面に散布して満遍無く濡らした後、該組成物を熱ロールと冷却ロールとの間に供給し、ジョイントシート形成用組成物の冷却ロール表面への付着を防止し、該ジョイントシート形成用組成物を熱ロール表面にのみ積層させることが望ましい。
【0090】
このようにして得られる多層ジョイントシートでは、各層は互いに強固に一体化されるため、浸透漏洩は、効果的に防止される。また本発明の多層ジョイントシートは、上記非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、加硫ニトリルゴムおよび充填材を含み、上記ニトリルゴム中のアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上、好ましくは40重量%以上である層を有しているので、高硬度であり、機械的強度、耐熱性、シール性に優れている。
【0091】
例えば、このような多層ジョイントシートの厚さは、特に制限されないが、通常、0.4〜5.0mm厚、好ましくは0.5〜3.2mm厚程度である。
また例えば、多層ジョイントシートが上記(イ)表面層(吸水樹脂)/芯材層/裏面層(吸水樹脂)の構成を有する場合、このような多層ジョイントシートのそれぞれ常温で測定した引張強度(試験方法:JIS R 3453)は、通常10〜50MPa、好ましくは10〜30MPaであり、
圧縮率(試験方法:JIS R 3453)は、通常3〜20%、好ましくは5〜15%であり、
復元率(試験方法:JIS R 3453)は、通常3〜20%、好ましくは5〜15%であり、
シール性(試験方法:ジョイントシートを裁断して外形65mm、内形50mmのガスケットを作成し、これを「マルトーシールテスター」(丸東社製)を使用してガスケット締付応力9.8MPa、内圧0.098Paの窒素ガスにてシール性を測定。)は、通常1.0×10-3〜3.0×10-2cc/秒、好ましくは2.0×10-2cc/秒以下である。
【0092】
本発明では、芯材層用として、配合されているニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上、好ましくは40重量%以上である上記ジョイントシート形成用組成物を用いているため、製板加工性が向上しており、特開平7ー252469号公報、特公平1-32271号公報等に記載の方法に比して、所望の肉厚あるいは層厚の多層構造のジョイントシートを容易に製造できる。
【0093】
詳説すれば、多層ジョイントシートの製板は、第1層の表面層用組成物をシーターに投入し、全て熱ローラーに積層定着させた後、第2層の芯材層用組成物の投入を開始する。(なお、表面層用組成物と芯材層用組成物が混合するなど、各層用の原料同士が混合すると、得られるジョイントシートの物性が部分的に不均一となるので、各層用の組成物同士の混合は、避けなければならない。)このように積層された芯材層用組成物が表面層用組成物層の上に定着した後、第3層の裏面層用組成物を積層する。このように各層の熱ロール上への積層は、段階的に行われる。
【0094】
しかしながら、三層構造のジョイントシートを例に説明すると、第1層あるいは第2層用の組成物をシーターに投入し熱ロールへ定着させた後、次の第2層あるいは第3層用の組成物の投入を開始までの間は、回転している冷却ロールと、熱ロール表面に積層された第1層用あるいは第2層用の組成物の終端部との間で、急激に摩擦力が増大し、従来のジョイントシート製造工程では、熱ロールから該組成物が剥離するモマレ現象が起こり易かった。
【0095】
これに対して従来では、「モマレ現象」を抑えるためにロール線圧を下げて(ロール送りスピードを速めて)いた。これにより、「トラレ現象」が生じやすくなるため、通常の粘度のジョイントシート形成用組成物を第3層目などに使用することができず、線圧が低くても積層可能なドロドロで極めて低粘度の組成物を使用していた。
【0096】
このため、従来では、異なる配合組成の組成物を順次積層して、種々の要求物性に応じたジョイントシートを製造したり、ジョイントシートの表面層に特定の機能を付与するなど、ジョイントシート多層化の試みの大きな障害となっていた。例えば、ジョイントシートを形成する表面層用組成物に水膨潤性物質を添加して、ジョイントシートのシール性を向上させるためには、水膨潤性物質を一定量以上を添加しなければならないが、そのためには、表面層に充分な厚みをもたせることが必要である。しかしながら、従来のジョイントシートでは、このように表面層を所望の量で厚肉化することは困難であった。
【0097】
これに対して、本願発明では上記の高アクリロニトリル含量のニトリルゴムが配合された高強度のジョイントシート形成用組成物を、この第1層用あるいは第2層用の組成物として用いることにより、このような「モマレ現象」、「トラレ現象」を防止できる。
【0098】
その結果、加工性は良好で、通常の性状・形態のジョイントシート形成用組成物を第3層用の組成物としてジョイントシートの製造時に使用可能であり、適度のロール線圧(送りスピード)を維持でき、厚肉化可能であり、強度が高くシール性、水シール性に優れるなど、高機能性の多層ジョイントシートを得ることができる。
【0099】
このように本発明においては、高アクリロニトリル含量のニトリルゴムが配合された上記ジョイントシート形成用組成物を使用しているため、所望の肉厚の吸水性樹脂含有層を表面に有するジョイントシートを得ることができる。
【0100】
すなわち、本発明においては、ゴム基材に高アクリロニトリル含量のニトリルゴムを含み、有機溶剤として特にトルエンおよび/またはゴム揮を用いた上記ジョイントシート形成用組成物を使用することにより、シーターによるジョイントシート製造時の上記トラレ現象やモマレ現象を防止して、幅広い製板加工条件を採用できるので、得られるジョイントシートに充分な厚みを持たせ、また各層の厚みを自由にコントロールすることが可能となり、各層に充分な厚みをもたせた、種々の多層構造のジョイントシートを容易に製造することが可能となっている。
【0101】
【発明の効果】
本発明に係るジョイントシート形成用組成物は、ゴム材として特定のアクリロニトリル成分単位含量の未加硫のニトリルゴムを含んでいるため、厚肉化可能であり、製板加工性等に優れており、強度等の機械的特性、シール性等にバランスよく優れた単層または多層のジョイントシートを製造できる。
【0102】
本発明に係るジョイントシートは、ゴム材として特定のアクリロニトリル成分単位含量の加硫ニトリルゴムを含んでいるため、強度等の機械的特性、シール性等にバランスよく優れている。
【0103】
本発明に係るジョイントシートの製造方法は、効率的で生産性に優れている。
【0104】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
[試験方法]
試料厚さ:1.5mm
1.常態試験
JIS R 3453に準拠して測定した。
2.シール性
ジョイントシートを裁断して外形65mm、内形50mmのガスケットを作成し、これを「マルトーシールテスター」(丸東社製)を使用してガスケット締付応力9.8MPa、液体圧0.098Paの窒素ガスにてシール性を測定した。
3.水シール性
外径40mm、内径25mmのガスケットを作り、フランジ面に挿入し、100kgf/cm2で締め付けて、充填した水の漏洩内圧で水シール性を評価した。
【0105】
【実施例1】
以下の組成を有するジョイントシート形成用組成物を調製した。
(イ)NBR[アクリロニトリル含有量:36重量%,日本ゼオン(株)製,商品名:N235S] ・・・・・・14重量%
(ロ)基材繊維 ・・・・・・18重量%
(芳香族ポリアミド繊維[(種類:パルプ),デュポン社製,商品名:ケブ
ラー,以下同じ] ・・・・・・ 15重量%)
(無機質繊維[種類:ロックウール,日東紡績(株)製,商品名:ニューロ
ックファイバーB200),以下同じ] ・・・・・・3重量%)
(ハ)充填材(クレー他) ・・・・・64重量%
(ニ)ゴム薬品 ・・・・・・残部[(イ)〜(ニ)の合計を100重量%とする。]
(ホ)溶剤(トルエン等) ・・・・・・適宜量
得られた組成物を130℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延した。この際、冷却ロール表面にトルエンを散布したところ、冷却ロール表面への該組成物の付着は防止され、該組成物の膨潤も見られなかった。このようにすると、該組成物は熱ロール側にシート状に極めて良好に積層された(製板加工性は極めて良好:◎)。このシート状物を熱ロールからドクターブレードにより剥離してジョイントシートを得た。
【0106】
次に得られたジョイントシートの各種特性を上記のようにして測定した。
強度(測定法:JIS R 3453)は、17MPaであった。
結果を表1に示す。
【0107】
【実施例2】
実施例1において、配合材料および配合割合をそれぞれ下記のように変えた以外は、実施例1と同様にしてジョイントシートを製造し、実施例1と同様に各種特性を測定したところ、強度は18MPaとなり、加工性は良好(◎)となった。
【0108】
配合組成および評価結果を併せて表1に示す。
(イ)NBR[アクリロニトリル含有量:40重量%,日本ゼオン(株)製,商品名:1041L] ・・・・・・14重量%
(ロ)基材繊維 ・・・・・・18重量%
(芳香族ポリアミド繊維[種類:パルプ、デュポン社製,商品名:ケブラー,以下同じ] ・・・・・・ 15重量%)
(無機質繊維[種類:ロックウール,日東紡績(株)製,商品名:ニューロックファイバー200,以下同じ] ・・・・・・3重量%)
(ハ)充填材(クレー他) ・・・・・・64重量%
(ニ)ゴム薬品 ・・・・・残部(4重量部)[(イ)〜(ニ)の合計100重量%]
(ホ)溶剤(トルエン) ・・・・適宜量
【0109】
【実施例3】
実施例1において、ニトリルゴムとして、アクリロニトリル成分単位の含有量が50重量%のもの(日本ゼオン(株)製、商品名:DN009)を用いた以外は、実施例1と同様にしてジョイントシートを製造し、上記と同様の試験を行ったところ、強度は21MPaとなり、加工性は良好(◎)となった。
【0110】
配合組成および試験結果を併せて表1に示す。
【0111】
【比較例1〜3】
実施例1において、ニトリルゴムとして、アクリロニトリル成分単位の含有量が、それぞれ18重量%(商品名:DN401L,比較例1)、26重量%(同:DN315,比較例2)、34重量%(同:1042,比較例3)のものを用いた以外は、実施例1と同様にしてジョイントシートを製造し、上記と同様の試験を行った。
【0112】
配合組成および試験結果を併せて表1に示す。
【0113】
【比較例4】
実施例2において、トルエンに代えて、MEK(メチルエチルケトン)を用いた以外は、実施例2と同様にしてジョイントシートを製造し、上記と同様の試験を行った。
【0114】
配合組成および試験結果を併せて表1に示す。
なお、表中で、溶剤について「○」は配合あり、「−」は配合なしを意味する。
【0115】
また、表中で、製板加工性について各記号の意味は、下記の通り。
×:製板不可。80%以上の割合で不良製板発生。
△:製板困難。40%以上〜80%未満の割合で不良製板発生。
○:製板可。20%以上〜40%未満の割合で不良製板発生。
◎:製板可。20%未満の割合で不良製板発生。
【0116】
また、各物性の測定条件は、JIS R 3453に準拠する。
【0117】
【表1】
Figure 0004180155
【0118】
【実施例4】
実施例1において、下記に示す表面層用組成物、芯材層用組成物、裏面層用組成物を順次、熱ロールと冷却ロールとからなる一対のロール間に供給した以外は、実施例1と同様にして、3層構造のジョイントシート(厚さ:表面層0.05mm/芯材層0.80mm/裏面層0.15mm、合計1mm厚)を製造し、強度、シール性を測定した。
【0119】
各層の配合組成および測定結果を表2に示す。
【0120】
【参考例1】
全体が実施例4の芯材層と同一の組成からなる1mm厚のジョイントシートを製造し、その強度、シール性を測定した。
【0121】
該ジョイントシート形成用組成物の配合組成および測定結果を表2に示す。
【0122】
【表2】
Figure 0004180155
【0123】
【実施例5】
実施例4において、各層用の組成物として下記表3に示すものを用い、各層の厚みを表面層0.10mm/芯材層0.8mm/裏面層0.1mm、合計1.0mm厚とした以外は、実施例4と同様にして、三層構造のジョイントシートを製造し、強度、水シール性を測定した。
【0124】
結果を表3に示す。
【0125】
【表3】
Figure 0004180155
【0126】
【実施例6】
実施例5において、表面層と裏面層の厚さをそれぞれ0.20mmとし、芯材層の厚さを0.6mm(合計1.0mm厚)とした以外は、実施例5と同様にして三層構造のジョイントシートを製造し、強度、水シール性を測定した。
【0127】
結果を表4に示す。
【0128】
【参考例3〜4】
実施例5において、表面層と裏面層の厚さをそれぞれ表4に示すように変えた以外は、実施例5と同様にして三層構造のジョイントシートを製造し、強度、水シール性を測定した。
【0129】
結果を表4に示す。
【0130】
【表4】
Figure 0004180155

Claims (5)

  1. 芯材層と、該芯材層の表面に積層される表面層と、該芯材層の裏面に積層される裏面層とからなり、
    上記芯材層と上記裏面層が、非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、加硫されたニトリルゴム、充填材を含み、上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上であり、
    上記表面層が、非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、加硫されたニトリルゴム、充填材を含み、上記ニトリルゴムのアクリロニトリル含量が20〜34%であり、
    上記裏面層の厚みが0.15mm以上であることを特徴とする多層構造のジョイントシート。
  2. 上記表面層および裏面層が、何れも、吸水樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の多層構造のジョイントシート。
  3. 上記芯材層に含まれるニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が40重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のジョイントシート。
  4. ジョイントシート形成用組成物を、熱ロールと冷却ロールとから成るロール間で加熱圧延して1層または多層構造のジョイントシートを製造するに際して、
    少なくとも何れかの層用の上記ジョイントシート形成用組成物として、
    非石綿系無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、ニトリルゴム、ゴム薬品、充填材、有機溶剤を含んでなり、上記ニトリルゴムのアクリロニトリル成分単位含量が36重量%以上であり、上記有機溶剤がニトリルゴムに対する相互作用定数μ値が0.5
    以上であるトルエンおよび/またはゴム揮である組成物を用い、かつ
    冷却ロールの表面に上記有機溶剤を散布する方法により、上記有機溶剤を散布し、上記ジョイントシート形成用組成物の冷却ロール表面への付着を防止し、該ジョイントシート形成用組成物を熱ロール表面にのみ積層させることを特徴とするジョイントシートの製造方法。
  5. 上記ジョイントシート形成用組成物が、さらに吸水樹脂を含むことを特徴とする請求項4に記載のジョイントシートの製造方法。
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