JP4180129B2 - 縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置 - Google Patents

縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ミシンにおける機能は近年急速に多様化し、所謂ジグザグ縫いや刺繍縫いにより模様や文字、記号、数字等の形状を簡単に縫うことが出来るようになってきている。
しかし、これらの形状は実際に縫い上げてみるまでは仕上がり状態が分かりにくい問題があり、そのため形状の表示データを別途備えて、縫い上がり形状を表示できるようにしたミシンも普及している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、刺繍などの縫い目には方向性があり、該縫い目の方向により光の反射特性が大きく異なってくるため、単なる形状の表示のみでは実際の仕上がり状態を十分に把握することは難しかった。また、縫い目の方向だけではなく、糸自体の撚り方向によっても質感が異なることがあり、更に実際のものと表示とが異なってくる原因にもなっている。
本発明は上記従来技術の欠点を改善することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置は、所定の形状を形成する縫い目を縫わせるための縫い目データを与えるための手段と、該縫い目データに基づいて形成される形状を表示するためのデータを与えるための手段と、光の方向を指定するための手段と、前記縫い目データに基づく縫い目方向と前記指定された光の方向に基づいて、該光の方向と前記縫い目とがなす角度である縫い目角度を算出するための手段と、該算出した縫い目角度に対応して表示する輝度を決定する手段と、前記表示するためのデータに基づき、前記形状を前記決定する手段により決定された輝度により表示するための手段と、を備えたことを特徴とする。
以上の構成により、光の方向に対応した輝度で形状を表示できるから、現実の仕上がりに近い状態の表示を得ることが可能になる。
本発明者らの研究によると、光に直交する縫い目の輝度が大きくなる性質を持っている。そのため前記決定するための手段は、光の方向に直交する縫い目方向、即ち前記縫い目角度が90゜の場合に最高輝度と決定し、光の方向に平行する縫い目方向、即ち前記縫い目角度が0゜の場合には最低輝度と決定する、ように構成するのが望ましい。
輝度を決定する手段による輝度決定に際しては、前記光方向に対する縫い目方向に対応する表示すべき輝度の値を表すテーブルを用意しておき、該テーブルの値に従った輝度により行うのが望ましい。また、輝度を決定する手段がその都度演算して求めることも可能である。
更に糸の撚り方向に応じて輝度を補正演算するための手段を更に備え、この補正に基づいて表示を行うようにすると、糸の撚り方向による質感の相違も再現できる効果がある。
なお、本発明の表示装置は、単体として機能させることも可能であるし、ミシンに組み込むことも可能である。また、パソコン等により実現することも可能である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の表示装置をミシンに組み込んだ実施形態を示すもので、中央演算処理装置1はマイクロコンピュータを主体に構成され、ミシン操作装置30の操作に対応してミシン全体の制御を行っている。模様データ記憶装置2には刺繍模様の縫い目データと表示データとが記憶されており、中央演算処理装置1は模様選択釦10により選択された刺繍模様を該表示データに基づいて表示制御装置20を介して表示装置21に表示させるようになっている。また、縫い目データに基づいてミシンモータ駆動回路50,縫い目形成機構51,X−Yモータ駆動回路40,X方向モータ41,Y方向モータ42を駆動して刺繍縫いを行わせるようになっている。
【0006】
光方向指定釦11はの方向を指定するためのもので、ユーザが刺繍縫い等の完成品に対してをどの方向から当てた状態を表示させたいかを指定することが出来るようになっている。
図2はの方向と縫い目方向の輝度との関係を示すものである。図示するように縫い目mがと平行な時(これを0度とする)に、縫い目mのの反射は最も小さくなり、そのためこのようなと平行な縫い目mの輝度を最も小さくする。
逆にと直交する(90度)時には、反射は最も大きくなり、そのため直交する縫い目mの輝度を最大とする。このように輝度を設定することにより実際の仕上がりに近い表示を行わせることが可能になる。
図3は花弁の刺繍模様を示すもので、縫い目mの方向がそれぞれ異なっている。この模様に対して図面において上からのを指定すると、形状K1が最も輝度が大きくなり、形状K4が最も輝度が小さくなる。形状K2、形状K3、形状K5はそれぞれとの角度に応じた中間的な輝度になる。
【0007】
中央演算処理装置1は光方向指定釦11で方向が指定されると、縫い目角度算出プログラム記憶装置4のプログラムにより図2における縫い目mの角度αを計算する。模様データ記憶装置2の縫い目データは通常座標データになっており、各縫い目の座標軸に対する角度は既知であるから、の方向と座標軸との角度から簡単に各縫い目の角度を算出することが可能である。縫い目データがベクトルデータの場合も同様に算出が可能である。
縫い目の角度を算出するに際しては一本一本算出することも可能であるし、もた所定の範囲毎に平均値などを求めることも可能である。また、所定範囲内の角度の縫い目毎に範囲を区切って、該範囲内で平均値を求める等種々の手法が採用可能である。
【0008】
縫い目角度算出プログラム記憶装置4による縫い目の角度の特定が終わったら、中央演算処理装置1は表示データ輝度決定プログラム記憶装置3のプログラムにより該角度に応じて縫い目の輝度を決定する。この実施形態では縫い目角度/輝度テーブル記憶装置5に縫い目角度と輝度の関係のテーブルが図4に示すように用意されており、このテーブルに基づいて輝度を決定する。角度はなるべく細か設定して、それに対応した輝度を設定するのが望ましいが、この実施形態では15度刻みにしてある。
輝度が決定された表示データは一時記憶装置14に一時記憶される。
【0009】
この実施形態では更に糸撚り方向設定釦12を設けて糸撚り方向を設定できるようになっている。縫い目の反射は単に縫い目の方向だけでなく、糸撚りの方向によっても変化するため、糸撚りを設定することにより更に現実の質感に近い表示を実現できる。
中央演算処理装置1は糸撚り方向設定釦12により糸撚りの方向の指定があったら、糸撚り方向補正プログラム記憶装置6のプログラムに従って一時記憶装置14の表示データの輝度を補正するように構成されている。
【0010】
以上のように決定され又補正された輝度により、中央演算処理装置1は表示装置21に模様の表示を行わせる。この表示は実際の仕上がりに近い表示になっており、ユーザは仕上がり状態を正確に確認することが可能になる。
該表示内容は印刷装置13により出力するようにしても良い。
【0011】
なお、輝度だけではなく、光の方向に応じた色相の変化もあわせて表示するように構成することも可能である。この場合上記構成に加えて、表示データ色相決定プログラム記憶装置33、縫い目角度/色相テーブル記憶装置35等を備えることにより実現可能である。
【0012】
図5により動作を説明する。
光方向指定釦11によりの方向指定があると(ステップS1)、中央演算処理装置1は縫い目角度算出プログラム記憶装置4のプログラムにより方向に対する縫い目の角度αを算出し(ステップS2)、ついで縫い目角度算出プログラム記憶装置4と縫い目角度/輝度テーブル記憶装置5により輝度を決定する(ステップS3)。
そして、糸撚り方向設定釦12による糸撚り方向の設定があると(ステップS4)、糸撚り方向補正プログラム記憶装置6のプログラムにより輝度修正を行い(ステップS5)、該輝度に基づいて表示を行う(ステップS6)。そして、終了か否か確認し(ステップS7)、終了であれば終わる。終了でなければ、ステップS1に戻る。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の表示装置によれば、刺繍などの縫い上がりをの方向に応じて現実の質感に近い状態で表示できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施形態における、の方向と縫い目方向及び輝度との関係を示す説明図。
【図3】本発明の一実施形態における、模様の表示態様の説明図。
【図4】本発明の一実施形態の縫い目角度/輝度テーブル記憶装置5の一例を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態を示すフローチャート図。
【符号の説明】
1:中央演算処理装置、2:模様データ記憶装置、3:表示データ輝度決定プログラム記憶装置、4:縫い目角度算出プログラム記憶装置、5:縫い目角度/輝度テーブル記憶装置、6:糸撚り方向補正プログラム記憶装置、10:模様選択釦、11:光方向指定釦、12:糸撚り方向設定釦、13:印刷装置、14:一時記憶装置、20:表示制御装置、21:表示装置、30:ミシン操作装置、33:表示データ色相決定プログラム記憶装置、35:縫い目角度/色相テーブル記憶装置、40:X−Yモータ駆動回路、41:X方向モータ、42:Y方向モータ、43:刺繍枠、50:ミシンモータ駆動回路、51:縫い目形成機構。

Claims (5)

  1. 所定の形状を形成する縫い目を縫わせるための縫い目データを与えるための手段と、
    該縫い目データに基づいて形成される形状を表示するためのデータを与えるための手段と、
    光の方向を指定するための手段と、
    前記縫い目データに基づく縫い目方向と前記指定された光の方向に基づいて、該光の方向と前記縫い目とがなす角度である縫い目角度を算出するための手段と、
    該算出した縫い目角度に対応して表示する輝度を決定する手段と、
    前記表示するためのデータに基づき、前記形状を前記決定する手段により決定された輝度により表示するための手段と、
    を備えたことを特徴とする縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置。
  2. 前記決定するための手段は、前記縫い目角度が90゜の場合に最高輝度と決定し、前記縫い目角度が0゜の場合に最低輝度と決定する、
    請求項1に記載の縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置。
  3. 前記縫い目角度に対応する表示すべき輝度の値を表すテーブルを備え、前記決定するための手段は該テーブルの値に従って輝度を決定する、
    請求項1又は2に記載の縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置。
  4. 前記輝度を糸の撚り方向に応じて補正演算するための手段を更に備え、
    前記表示するための手段は該補正に基づいて表示を行う、
    請求項1乃至3のいずれか1つに記載の縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置。
  5. 所定の形状を形成する縫い目を縫わせるための縫い目データを与えるための手段と、
    該縫い目データに基づいて形成される形状を表示するためのデータを与えるための手段と、
    光の方向を指定するための手段と、
    前記縫い目データに基づく縫い目方向と前記指定された光の方向に基づいて、該光の方向と前記縫い目とがなす角度である縫い目角度を算出するための手段と、
    該算出した縫い目角度に対応して表示する色相を決定する手段と、
    前記表示するためのデータに基づき、前記形状を前記決定する手段により決定された色相により表示するための手段と、
    を備えたことを特徴とする縫い目方向に応じた形状表示を行える表示装置。
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