JP4178980B2 - 環状部材の熱処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状部材の熱処理方法に係り、特に、転がり軸受の軌道輪等に使用される鋼製の環状部材に、変形を抑制しながら焼入れ又は焼戻しを施す方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、環状部材の焼入れは、例えば、電気炉内で800〜850℃のオーステナイト化温度に保持した後に、油等に浸漬して急冷することによって行われていた。ところが、環状部材は剛性が不十分であることから、焼入れ時に歪が生じて真円度や平面度が低下しやすい。
【0003】
そこで、上記のような焼入れを行う際において、オーステナイト化温度に加熱した環状部材を金型に装着し、環状部材の内周面又は外周面を前記金型で保持した状態で冷却することによって、焼入れ時の変形を抑制していた。これは、焼入れの冷却時の収縮現象及びマルテンサイト変態による膨張現象を利用したものである。
【0004】
また、特開2000−96131号公報には、下記のような構成のワーク支持具を用いることにより、ワークの歪を抑えつつ高周波焼入する方法が開示されている。
すなわち、このワーク支持具は、ベース部材上に放射状に配置された径方向に移動可能な複数の可動ヘッドと、ベース部材の中心部に設けられ可動ヘッドを径方向外方に付勢するスプリングと、スプリングの付勢力を可動ヘッドに伝達するスライドリング及びリンクと、で構成されている。そして、可動ヘッドでワークの内面を周方向複数箇所で外方へ押圧しながら高周波焼入することにより、ワークの歪みが抑制されるようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−96131号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の金型を用いる方法は、比較的小さな環状部材については適用可能であるが、例えば外径が400mmを超えるような大型の環状部材の場合には、適用することが難しかった。
つまり、上記のような従来の方法においては、加熱した環状部材を金型に装着する装置や、加熱した環状部材を加熱炉から前記装置へ搬送する設備等も巨大なものが必要となるので、その設備に莫大な費用がかかってしまうという問題があった。
【0007】
さらに、上記のような従来の方法は、比較的肉厚な環状部材については適用可能であるが、例えば肉厚比((外径−内径)/外径×100)が10%を下回るような薄肉の環状部材の場合には、適用することが難しかった。
つまり、環状部材が薄肉で熱容量が少ないと、加熱された環状部材を金型に搬送する間に環状部材の温度が低下してしまい、焼入れにより十分な硬さが得られないという問題点があった。
【0008】
このようなことから、大型で薄肉の環状部材については、熱処理による変形度合いの低減及び熱容量の確保のために、研削取代を多く取り、通常の焼入れ(前記金型を用いない焼入れ)を施した後、旋削及び研削により成形していた。つまり、最終的な製品よりも大きな寸法の環状部材に焼入れを施して、旋削及び研削により最終的な製品の寸法に加工していた。したがって、加工コストが高いという問題点があった。
【0009】
一方、特開2000−96131号公報に記載の方法は、軸受の軌道輪の焼入れに適用した場合には、該方法が真円度を良好なものとすることのみに着目しており、反りや倒れなどの抑制に対する考慮がなされていないため、結果的に真円度を良好なものとすることは困難である。
また、軌道輪と可動ヘッドとの接触部分は、温度が十分に上昇せず硬さが不十分となってしまうおそれがある。よって、転がり寿命に悪影響を及ぼすおそれがあるため、軸受の軌道輪のように硬さを重視する部品に対しては、該方法は好適ではなかった。
【0010】
さらに、前記接触部分には冷却剤が十分に行き渡らず、他の部分よりも冷却が遅れるおそれがあり、そうすると変形が大きくなってしまう。これは、軸受鋼に特有の問題であって、すなわち、該方法は軸受の軌道輪に対しては好適ではなかった。
さらにまた、高周波焼入れによって軸受の軌道輪に部分的に焼入れを施すことはあったが、ずぶ焼入れを施すことは、その困難性から従来行われたことはなかった。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来技術が有する問題点を解決し、大径で薄肉の環状部材であっても、十分な硬さが確保され変形が少なく低コストで焼入れ又は焼戻しを施すことができる熱処理方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の環状部材の熱処理方法は、鋼製の環状部材に変形を抑制しながら焼入れ又は焼戻しを施す熱処理方法であって、前記環状部材の中心穴に円柱状の第一保持治具を挿通して、前記環状部材の内周面と前記第一保持治具の外周面との間の第一隙間の大きさを、熱処理前においては、0より大きい値で且つ前記環状部材が収縮した際に前記環状部材の内周面の全面が前記第一保持治具の外周面に接触するような大きさとするとともに、相互に対向する2つの保持面を備える第二保持治具で、径方向に垂直な方向の両側から前記環状部材を前記両保持面の間に挟み、前記環状部材と前記保持面との間の第二隙間の大きさを、熱処理前においては前記環状部材の径方向に垂直な方向の幅の6%以下として、放射状に配置した複数のピンの外端部で前記環状部材の内周面を押圧しながら、前記環状部材の加熱及び冷却を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る請求項2の環状部材の熱処理方法は、請求項1に記載の熱処理方法において、熱処理前の前記第一隙間を前記環状部材の内径の0%超過且つ0.11%以下とすることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3の環状部材の熱処理方法は、請求項1又は請求項2に記載の熱処理方法において、前記環状部材が転がり軸受の外輪であり、該外輪の軌道溝を前記ピンの外端部で押圧することを特徴とする。
【0015】
このような構成であれば、大径で薄肉の環状部材であっても、十分な硬さが確保され変形を抑制しながら低コストで焼入れ又は焼戻しを施すことができる。
前記第一隙間の大きさは、熱処理前においては前記環状部材の内径の0%超過且つ0.11%以下とし、前記第二隙間の大きさは、熱処理前においては前記環状部材の径方向に垂直な方向の幅の6%以下とすることが好ましい。前記第一隙間の大きさ及び前記第二隙間の大きさの少なくとも一方が前記各範囲を外れると、焼入れ又は焼戻しの際の前記環状部材の変形を十分に抑制することが困難となる場合がある。
【0016】
また、上記のような環状部材の熱処理方法を用いる環状部材の熱処理装置は、鋼製の環状部材に変形を抑制しながら焼入れ又は焼戻しを施す熱処理装置であって、前記環状部材の中心穴に挿通される円柱状の第一保持治具と、放射状に配置され、前記環状部材の内周面をその外端部で押圧する複数のピンと、を備えるとともに、前記環状部材の内周面と前記第一保持治具の外周面との間の第一隙間の大きさは、熱処理前においては、0より大きい値で且つ前記環状部材が収縮した際に前記環状部材の内周面の全面が前記第一保持治具の外周面に接触するような大きさであることを特徴とする。
【0017】
このような環状部材の熱処理装置においては、前記環状部材を転がり軸受の外輪とし、該外輪の軌道溝を前記ピンの外端部で押圧するようにしてもよい。
本発明の環状部材の熱処理方法及び熱処理装置においては、真円度を良好なものとするため、環状部材の膨張・収縮に適正に追従する機構を設けてある。また、環状部材が転がり軸受の外輪である場合には、反りを抑制するため、外輪の軌道溝に接触するピンの外端の形状を適正化してある。さらに、真円度を良好なものとし、且つ倒れを抑制するため、環状部材の内周面と第一保持治具の外周面との間の第一隙間の大きさが適正となるような寸法の第一保持治具を使用している。
【0018】
また、熱源として高周波加熱装置を用い、冷却は水系の冷却剤を使用して行い、加熱時と同じ状態(環状部材を保持治具に装着した状態)でそのまま冷却を行うようにすれば、熱処理装置を小型化することができる。
さらに、上記のような環状部材の熱処理装置は、熱処理前に環状部材が装着されるので、加熱した環状部材を金型に装着する装置や加熱した環状部材を加熱炉から前記装着装置へ搬送する設備等が不要である。よって、熱処理装置は全体的に簡易で小型である。また、加熱後直ちに焼入れを行うため、搬送中の温度低下もなく、よって、十分な硬さが確保され変形を抑制することができる。したがって、熱処理後の取代も少なくすることができるので、研削コストを抑えることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に係る環状部材の熱処理方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、環状部材1を保持治具10に装着して焼入れを施す方法を説明する断面図である。なお、以下の説明における「上」,「下」等の方向を示す用語は、特に断りがない限り、説明の便宜上、図1におけるそれぞれの方向を意味するものである。
【0020】
まず、焼入れが施される環状部材1について説明する。この環状部材1はSUJ2製であり、転がり軸受の軌道輪(外輪)として使用されるものである。よって、その円周方向に対して垂直な断面は略矩形をなしており、また、その内周面には軌道溝が全周にわたって連続して設けられている。そして、環状部材1の外径は940mm、内径は920mm、幅(径方向に対して垂直な方向の幅)は26mmである。なお、以下に環状部材1が外輪である場合を例に焼入れ方法を説明するが、環状部材1が内輪である場合であっても、ほぼ同様に焼入れを行うことができる。
【0021】
環状部材1への焼入れは、保持治具10に装着した状態で施される。この保持治具10は、略円柱状の円柱状部材11と円板状部材12とで構成されており、円柱状部材11は、大径な円柱状の基台部11aと、該基台部11aの一端に設けられた小径な円柱状の凸部11bと、を備えている。また、凸部11bの上下方向ほぼ中間位置には複数の穴が環状部材1の軌道溝に対向するように放射状に設けられていて、該穴には奥側から順にスプリング31とピン32とが内設されている。なお、径方向外方を向いたピン32の端部(以降は外端と記す)は、環状部材1の軌道溝と接触することとなるので、前記軌道溝を構成する曲面よりも小径の球面とされている。ただし、環状部材1が内輪の場合は、内輪の内周面には軌道溝はないので、前記球面の大きさは特に限定されない。
【0022】
なお、この保持治具10が、本発明の構成要件たる第一保持治具と第二保持治具とに相当する。本実施形態においては、保持治具10が第一保持治具と第二保持治具との両方の機能を備えている(すなわち、第一保持治具と第二保持治具とが一体とされた保持治具である)が、それぞれの機能を備える2つの保持治具を用いてもよい。また、保持治具10の材質は非磁性材料が望ましいが、軟鋼等でも差し支えない。
【0023】
このような保持治具10の凸部11bを環状部材1の中心穴に挿通した上、円板状部材12を凸部11bの上端に取り付ける。そうすると、環状部材1は、凸部11bの外周面21によって径方向の動きが規制される。また、基台部11aと凸部11bとの境界部分に形成された端面22と、円板状部材12の下面23と、によって環状部材1が上下から挟まれるため、上下方向の動きが規制される。さらに、ピン32の外端の球面が軌道面に嵌め合わされる。なお、基台部11aと凸部11bとの境界部分に形成された端面22と円板状部材12の下面23とが、本発明の構成要件たる保持面に相当するので、以降は前記各面22,23を保持面と記す。
【0024】
このとき、環状部材1の内周面(軌道溝の部分は除く)と凸部11bの外周面21(円柱面)との間の径方向隙間(第一隙間C1)は、環状部材1の内径Dの0%超過且つ0.11%以下とされている。また、環状部材1の上下の両平面と2つの保持面22,23との間の上下方向の隙間(第二隙間C2)は、環状部材1の前記幅hの6%以下とされている。ただし、本実施形態においては、環状部材1の上側の平面と保持面23との間に、第二隙間C2が形成されている。
【0025】
このように保持治具10に装着された環状部材1の径方向外方には、円周状に高周波インダクションヒータ(6kHz×300kW)のコイル33が配置されていて、放射温度計により環状部材1の温度を監視しながら、このヒータにより加熱が行われる。
保持治具10は図示しない回転テーブルに固定されていて、環状部材1を回転させながら加熱することができる。静止した状態で加熱した場合は、環状部材1とコイル33との軸心が一致していないと加熱ムラが生じて、硬さムラや変形が生じやすくなるが、環状部材1を回転させながら加熱するので、環状部材1とコイル33との軸心が多少一致していなかったとしても、環状部材1を均一に加熱することができる。
【0026】
また、ピン32の外端は予め凸部11bの軸線と同心状となるようにセットされている。ピン32はスプリング31により径方向外方に凸部11bの軸線と同心状に押圧されているので、環状部材1を凸部11bに嵌合し端面22に当接する脱着が容易であると同時に、環状部材1の加熱による膨張及び冷却による収縮等の際に、環状部材1とコイル33との偏心が防止される。
【0027】
なお、保持治具10とコイル33との間の距離は、環状部材1とコイル33との間の距離よりも大きくなるようにすることが好ましい。これは、保持治具10とコイル33との間の距離が近すぎると、保持治具10が加熱されて環状部材1の加熱効率が低下するからである。
次に、環状部材1に焼入れを施す手順を、図1及び図2(焼入れの温度条件)を参照しながら説明する。
【0028】
環状部材1を回転させながら、オーステナイト温度(900〜1100℃)に加熱する。その際には、設定温度に到達した時点でヒータの電源を切り、その後は熱拡散によって均熱する。環状部材1の全体が均一に加熱されたところで、環状部材1の径方向外方に水冷ジャケット34が位置するまで、保持治具10を下方に移動させる。そして、水冷ジャケット34から冷却水を噴射(50〜100L/min)して環状部材1を冷却し、焼入れを施した。
【0029】
焼入れ後は、以下のようにして焼戻しを施した。まず、保持治具10を上方に移動させ、再び環状部材1の径方向外方にヒータが位置するようにした。そして、ヒータに通電して250〜300℃に加熱した。その際には、設定温度に到達した時点でヒータの電源を切り、その後は熱拡散によって均熱し徐冷(空冷)した。なお、焼戻しは大気炉内で行っても差し支えない。また、その際に反りや真円度の矯正を行うことも有効である。
【0030】
ここで、焼入れ時の変形が抑制される機構について説明する。環状部材1は加熱によって膨張するので、第一隙間C1は拡大する。そして、加熱が終了したときには、鋼の組織はオーステナイト変態している。冷却すると環状部材1は収縮を始めるが、Ms点以下の温度ではマルテンサイト変態によって加熱前の寸法よりも小さくなって、環状部材1の内周面のほぼ全面において保持治具10(凸部11bの外周面21)に接触し、これとほぼ同時にマルテンサイト変態が進行し始める。このマルテンサイト変態の進行と、環状部材1及び保持治具10の嵌め合いとによって、環状部材1は保持治具10の形状に沿って真円度が矯正される。
【0031】
一方、環状部材1が加熱によって膨張すると、第二隙間C2は小さくなり円板状部材12の下面23に接触する。そして、環状部材1が両保持面22,23間に挟まれると、両保持面22,23との摩擦力によって環状部材1の径方向への膨張が阻害されてしまう。
膨張が阻害されないようにするためには、環状部材1が膨張しても十分な隙間が確保されるようにする必要があるので、円板状部材12の下面23をテーパ面として、第二隙間C2が径方向外方に向かって大きくなるようにする必要がある。このテーパの角度は、理論上はtan-1(環状部材1の幅h/(環状部材1の外径/2))以上とする必要がある。本実施形態においては、8°とした。
【0032】
このことにより、環状部材1の膨張時には十分な大きさの第二隙間C2が確保されるので、環状部材1の径方向への膨張が阻害されることがない。また、冷却により収縮する場合も、同様の理由により、環状部材1の径方向への収縮が阻害されることがない。ただし、凸部11bに接触する程度まで収縮する場合には(矯正時)、第二隙間C2は極めて小さくなっているので、反りは小さく抑えられ、環状部材1の幅方向の矯正が行われる。
【0033】
また、環状部材1をあらかじめ保持治具10に装着して焼入れを施すので、従来のように、加熱した環状部材を金型に装着する装置や、加熱した環状部材を加熱炉から前記装置へ搬送する設備は不要である。したがって、焼入れを行う設備がそれほど巨大なものとはならず、簡易なものとすることができる。
さらに、加熱後は搬送することなく直ちに焼入れを行うことができるので、搬送による温度低下もなく焼入れにより十分な硬さが確保され、変形を少なく抑制することができる。よって、焼入れ後の研削取代を少なくすることができるので、加工コストを低く抑えることができ、環状部材を低コストで製造することができる。
【0034】
次に、内径Dを種々変更した環状部材1に上記のように焼入れを施して、第一隙間C1の大きさと環状部材1の変形の抑制効果との関係を評価した。
図3のグラフは、環状部材1の内径Dに対する第一隙間C1の大きさの比率と、焼入れ後の環状部材1の真円度と、の相関を示すものである。このグラフの横軸は、環状部材1の内径Dに対する第一隙間C1の大きさの比率を示しており、常温における環状部材1の内径をD、常温における保持治具10の凸部11bの外径をdとしたときに、(D−d)/D×100(%)で算出される値である。なお、第二隙間C2の大きさは、環状部材1の幅hの1%に統一した。
【0035】
図3のグラフから、第一隙間C1の大きさが環状部材1の内径Dの0%超過且つ0.11%以下であると、焼入れ後の環状部材1の真円度が優れていて、変形の抑制効果が高いことが分かる。そして、0.07%以下であると変形の抑制効果がより高く、0.03%以下であると変形の抑制効果が極めて高いことが分かる。なお、第一隙間C1を0%超過とする理由は、0%以下であると加熱前に環状部材1に凸部11bを挿通することが困難となるためである。
【0036】
次に、幅hを種々変更した環状部材1に上記のように焼入れを施して、第二隙間C2の大きさと環状部材1の変形の抑制効果との関係を評価した。
図4のグラフは、環状部材1の幅hに対する第二隙間C2の大きさの比率と、焼入れ後の環状部材1の反りの大きさと、の相関、及び環状部材1の幅hに対する第二隙間C2の大きさの比率と平面研磨加工時間との相関を示すものである。図4における●印が反りの大きさのデータを示しており、■印が平面研磨加工時間のデータを示している。
【0037】
また、このグラフの横軸は、環状部材1の幅hに対する第二隙間C2の大きさの比率を示しており、常温における環状部材1の幅をh、常温における保持治具10の両保持面22,23間の距離をtとしたときに、(t−h)/h×100(%)で算出される値である。なお、第一隙間C1の大きさは、環状部材1の内径Dの0.1%に統一した。
【0038】
また、このグラフの左側の縦軸は焼入れ後の環状部材1の反りの大きさ、右側の縦軸は環状部材1の平面研磨加工時間を示している。
図4のグラフから、第二隙間C2の大きさが環状部材1の幅hの1.2%以下であると、焼入れ後の環状部材1の反りが小さく(すなわち、平面度が優れている)、変形の抑制効果が高いことが分かる。1.2%を超えると前述の環状部材1の幅方向の拘束力が小さくなるため、変形の抑制効果が小さくなる。
【0039】
また、反りが生じた場合は研磨により平面度を高めることができるが、研磨に時間を要するので環状部材1の生産性が低下する。そこで、図4のグラフの平面研磨加工時間のデータ(各プロットは、反りの大きさが0.5mmの環状部材1の平面研磨加工時間を1とした場合の相対値で示している)を見ると、環状部材1の幅hに対する第二隙間C2の大きさの比率が大きくなるほど反りが大きくなるため、平面度を高めるための平面研磨加工時間を多く要することが分かる。そして、反りの大きさが1.5mm以下であれば、平面研磨加工時間が環状部材1の生産性を大きく低下させない範囲となる。
【0040】
したがって、平面研磨加工時間の点からは、環状部材1の幅hに対する第二隙間C2の大きさの比率は6%以下であることが好ましく、1.2%以下であることがさらに好ましい。
しかし、第二隙間C2の大きさが小さすぎると、環状部材1が保持治具10に接触した際に保持治具10に作用する応力が大きくなって、保持治具10の耐久性が低下するので、0.2%以上が好ましい。
【0041】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては環状部材1はSUJ2で構成されていたが、焼入れにより硬化するものであるならば、他の材料で構成されていても差し支えない。
また、本実施形態においては、転がり軸受の軌道輪として使用される環状部材を例示して焼入れ方法を説明したが、本発明の熱処理方法はこれに限らず種々の環状部材に適用可能であることはもちろんである。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明の環状部材の熱処理方法によって熱処理を行えば、大径で薄肉の環状部材であっても焼入れ時の変形が少なく、また低コストである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る環状部材の熱処理方法の一実施形態を説明する断面図である。
【図2】焼入れの温度条件を説明する図である。
【図3】環状部材の内径に対する第一隙間の大きさの比率と環状部材の真円度との相関を示すグラフである。
【図4】環状部材の幅に対する第二隙間の大きさの比率と、環状部材の反りの大きさ及び平面研磨加工時間と、の相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 環状部材
10 保持治具
11 円柱状部材
11a 基台部
11b 凸部
12 円板状部材
21 凸部の外周面
22,23 保持面
C1 第一隙間
C2 第二隙間
D 環状部材の内径
d 凸部の外径
h 環状部材の幅
t 保持面間の距離

Claims (3)

  1. 鋼製の環状部材に変形を抑制しながら焼入れ又は焼戻しを施す熱処理方法であって、
    前記環状部材の中心穴に円柱状の第一保持治具を挿通して、前記環状部材の内周面と前記第一保持治具の外周面との間の第一隙間の大きさを、熱処理前においては、0より大きい値で且つ前記環状部材が収縮した際に前記環状部材の内周面の全面が前記第一保持治具の外周面に接触するような大きさとするとともに、
    相互に対向する2つの保持面を備える第二保持治具で、径方向に垂直な方向の両側から前記環状部材を前記両保持面の間に挟み、前記環状部材と前記保持面との間の第二隙間の大きさを、熱処理前においては前記環状部材の径方向に垂直な方向の幅の6%以下として、
    放射状に配置した複数のピンの外端部で前記環状部材の内周面を押圧しながら、前記環状部材の加熱及び冷却を行うことを特徴とする環状部材の熱処理方法。
  2. 熱処理前の前記第一隙間を前記環状部材の内径の0%超過且つ0.11%以下とすることを特徴とする請求項1に記載の環状部材の熱処理方法。
  3. 前記環状部材が転がり軸受の外輪であり、該外輪の軌道溝を前記ピンの外端部で押圧することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環状部材の熱処理方法。
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