JP2007327110A - 転がり軸受軌道輪の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼入れ時に不完全焼入れ層がなく、且つ変形や焼き割れの生じにくい転がり軸受軌道輪の製造方法を提供する。
【解決手段】例えば高周波誘導加熱コイル1に、焼入れ冷却ガスの流路7、当該流路7内のガスをワークWの外周側に向けて吐出する吐出口8を形成し、且つ焼入れ冷却ガス供給装置4を接続すると共に、ワークWの内周側をガスで冷却可能な冷却ジャケット15を備えた高周波焼入れ装置を用い、加熱コイル1に対してワークWを100min-1以上の速度で回転しながら加熱し、加熱後は、ワークWを100min-1以上の速度で回転しながら加熱コイル1及び冷却ジャケット15からワークWへ0.2MPa以上の圧力でガスを吐出することで、ワークWの全周にわたって均等に冷却し、ワークWの温度を焼入れ油の特性温度以下まで冷却した後に、焼入れ油によってワークWを冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は転がり軸受軌道輪の製造方法に関するものであり、特に軌道輪の焼入れ工程に関するものである。
通常、大気圧下における鋼の油焼入れの冷却過程は、冷却初期から順に、蒸気膜段階、沸騰段階、及び対流段階の3段階に分けられる。また、蒸気膜段階から沸騰段階へ移行する温度は特性温度と呼ばれている。この特性温度は、市販の焼入れ油では600〜650℃である。
前述の各段階においては、ワーク(本発明では転がり軸受軌道輪であり、鋼からなる)の冷却速度(焼入れ油の熱伝達率)がめまぐるしく変化する。即ち、ワークを焼入れ油に浸漬した直後から蒸気膜段階開始温度までの間は、ワークの冷却速度が急激に大きくなり、蒸気膜段階開始温度から特性温度までの間は、冷却速度が急激に小さくなる。そして、対流段階にはいると、冷却速度はほぼ一定となる。
温度差が拡大すると、ワークの熱収縮量が不均一となり、大きな熱応力が発生して熱塑性変形を起こすこととなる。この熱塑性変形は、ワークの材料強度が高温により低下すること、及びオーステナイトの線膨張係数が非常に大きいことにより、容易に発生する。そして、この熱塑性変形は焼入れ終了まで残留し、最終的にワークに熱処理変形を生じさせる問題を有している。
このような熱処理変形を小さくするためには、その要因の一つである熱塑性変形の発生を抑えればよい。即ち、蒸気膜段階から沸騰段階への移行をワークの表面全体において一斉に進行させて、部分的な温度差が生じないようにすればよいのである。例えば、下記特許文献1に記載される焼入れ方法では、焼入れ時のワークの温度が焼入れ油の特性温度直下になるまでの間は油面を加圧し、特性温度通過後は油面の加圧の程度を、大気圧又は大気圧近傍の圧力まで緩やかに移行する。
特開平8−60234号公報
しかしながら、大気圧下の油焼入れは勿論のこと、前記特許文献1に記載される焼入れ方法、即ち焼入れ時の圧力を積極的に変化させて蒸気膜段階を調整する技術を持ってしても、熱処理変形の問題を完全に解決することは困難である。
更に詳述すると、前記特許文献1に記載の焼入れ方法は、焼入れ温度に加熱したワークを焼入れ油に浸漬するという工程を経ることから、ワークの表面において蒸気膜が生成してやがて崩壊するというプロセスが生じることを避けられない。にもかかわらず、蒸気膜段階から沸騰段階への移行をワークの表面全体において一斉に進行させるための工夫がなされていないため、ワークの表面位置によって蒸気膜段階から沸騰段階への移行に時間的なずれが生じることになる(サーフェイスむら)。即ち、ワークの表面の一部は蒸気膜に覆われているが、一部は既に沸騰段階に移行しているという状態が生じるため、ワークに熱塑性変形が生じるのである。
また、焼入れ時に変形、焼き割れを生じることがある。転がり軸受の軌道輪は、性能確保のために寸法や形状の精度が厳しく求められ、熱処理に伴う歪みの発生は、できるだけ避ける必要がある。焼入れにおける加熱・冷却の重要度は、加熱が約20%、冷却が約80%といわれており、冷却過程が変形や焼き割れに大きな影響を及ぼす。
これらの問題を解決するために、高周波加熱した後に水噴射にて焼入れする方法がある。オーステナイト化温度に加熱されたワークの表面に冷却剤を噴射させるもので、均一急冷することができる。噴射焼入れは、蒸気膜を強制的に除去するため、変形の抑制に期待できる。しかし、前述のように冷却能が非常に高い処理であり、あまり炭素量を多くすると焼き割れ、熱処理歪みが大きくなるなどの不具合の発生の可能性が高くなるため、0.5%C程度が限度である。また、薄肉のワークに適用すると強制的に焼入れられ、変形することが考えられる。
また、焼入れの際、特に軌道面の不完全焼入れ層が発生すると、著しく転がり寿命が低下するため、その発生を抑制する必要がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、焼入れ時に不完全焼入れ層がなく、且つ変形や焼き割れの生じにくい転がり軸受軌道輪の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。即ち、本発明の転がり軸受軌道輪の製造方法における鋼の焼入れ方法は、焼入れ剤としてガス及び焼入れ油を用いてワークの焼入れを行う方法であって、ワークを焼入れ温度まで加熱した後に、前記ガスにより焼入れ油の特性温度以下まで冷却し、その後に焼入れ油によりワークを冷却することを特徴とする。
このような構成であれば、焼入れ温度に加熱されたワークを焼入れ油の特性温度以下まで(油焼入れの蒸気膜段階及び沸騰段階に相当する温度域)ガスによって冷却し、その後に焼入れ油により冷却するので、焼入れ時において熱処理変形が小さく、焼き割れを起こすことがない。更に詳述すると、焼入れの初期段階の高温時は、焼入れ油を用いることなくガスにより冷却して、使用する焼入れ油の特性温度よりワークの温度が低くなった時点で焼入れ油による冷却に切り替えるから、油焼入れの冷却過程の蒸気膜段階が生じない。そのため、サーフェイスむらに起因する熱応力の不均一な発生を防止することができる。
そして、焼入れの後期段階から低温時(マルテンサイト変態開始温度より低い温度域)には焼入れ油により徐冷するから、ワークに熱処理歪みや焼き割れが生じる恐れが小さい。従って、本発明の転がり軸受軌道輪の製造方法における鋼の焼入れ方法によれば、従来の油焼入れにおいて生じる熱塑性変形と、高圧ガス焼入れにおいて生じる過大なマルテンサイト変態応力による熱処理歪みや焼き割れとの、双方を防止することができる。
この焼入れ方法に用いる高周波焼入れ装置は、例えばワークを誘導加熱する高周波加熱コイルに、焼入れ冷却用のガスの流路と、この流路内のガスをワークに向けて吐出する吐出口とを設け、前記流路に焼入れ冷却ガスを供給する冷却ガス供給装置を接続したものである。この高周波焼入れ装置を用いて、高周波加熱コイルで誘導加熱されたワークを、利賀遺稿集は加熱コイルから吐出されるガスで焼入れ油の特性温度以下まで冷却した後、ワークを焼入れ油に浸漬することにより焼入れを行う。
ガス冷却は、従来仕切室内のガス雰囲気下で行われていたが、高周波焼入れの場合は、焼入れ冷却液と同様にして、加熱コイルから冷却ガスを吐出させるようにすることができる。また、加熱コイルと冷却ジャケットを一体化せず、分離させてもよい。これにより、従来の加熱コイルを使用することができる。
この発明では、前記高周波加熱コイルが単巻のものであり、前記ワークが転がり軸受軌道輪であり、このワークを支持して、高周波加熱コイルに対して回転させ、必要に応じて上下に移動するワーク支持手段を設ける。リング状の転がり軸受軌道輪からなるワークの内周又は外周に高周波加熱コイルを配設し、ワークを100min-1以上の速度で回転させることで、全周にわたり均等な加熱、及びその後の焼入れのための冷却を行うことができる。また、ガス冷却の際のガス圧は0.2MPa以上とする。これにより、焼入れ品質が全周に均等なものとなる。
而して、本発明のうち請求項1に係る転がり軸受軌道輪の製造方法は、ガス及び焼入れ油を焼入れ剤として用いて鋼の焼入れを行う転がり軸受軌道輪の製造方法において、冷却用のガスの流路が形成され、且つこの流路内のガスを転がり軸受軌道輪であるワークの外周側又は内周側の何れか一方に向けて吐出する吐出口が形成され、且つ前記流路に冷却用ガスを供給する冷却ガス供給装置が接続された高周波加熱コイルと、ワークの外周側又は内周側の何れか他方をガスで冷却可能な冷却ジャケットとを備えた高周波焼入れ装置を用い、前記加熱コイルに対してワークを100min-1以上の速度で回転し、前記加熱コイルの吐出口からワークへ吐出されるガスの圧力を0.2MPa以上とすることで、ワークの全周にわたって均等に加熱し、ガスによってワークの温度を焼入れ油の特性温度以下まで冷却した後に、焼入れ油によってワークを冷却することを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項2に係る転がり軸受軌道輪の製造方法は、ガス及び焼入れ油を焼入れ剤として用いて鋼の焼入れを行う転がり軸受軌道輪の製造方法において、転がり軸受軌道輪であるワークの外周側又は内周側の何れか一方を加熱する高周波加熱コイルと、ワークの外周側をガスで冷却可能な外周側冷却ジャケットと、ワークの内周側をガスで冷却可能な内周側冷却ジャケットとを備えた高周波焼入れ装置を用い、前記ワークを100min-1以上の速度で回転しながら加熱コイルで加熱することで当該ワークの全周にわたって均等に加熱した後、外周側冷却ジャケットと内周側冷却ジャケットとの間でワークを100min-1以上の速度で回転しながら、前記外周側冷却ジャケット及び内周側冷却ジャケットからワークへ吐出されるガスの圧力を0.2MPa以上とすることで、ワークの温度を焼入れ油の特性温度以下までワークの全周にわたって均等に冷却した後に、焼入れ油によってワークを冷却することを特徴とするものである。
以上より、本発明のうち請求項1に係る転がり軸受軌道輪の製造方法によれば、ガス及び焼入れ油を焼入れ剤として用いて鋼の焼入れを行う転がり軸受軌道輪の製造方法において、冷却用のガスの流路が形成され、且つこの流路内のガスを転がり軸受軌道輪であるワークの外周側又は内周側の何れか一方に向けて吐出する吐出口が形成され、且つ前記流路に冷却用ガスを供給する冷却ガス供給装置が接続された高周波加熱コイルと、ワークの外周側又は内周側の何れか他方をガスで冷却可能な冷却ジャケットとを備えた高周波焼入れ装置を用い、加熱コイルに対してワークを100min-1以上の速度で回転し、加熱コイルの吐出口からワークへ吐出されるガスの圧力を0.2MPa以上とすることで、ワークの全周にわたって均等に加熱し、ガスによってワークの温度を焼入れ油の特性温度以下まで冷却した後に、焼入れ油によってワークを冷却することとしたため、全周にわたり均等な加熱、及びその後の焼入れのための冷却を行うことができ、焼入れ品質が全周に均等なものとなるので、不完全焼入れ層がなく、且つ変形や焼き割れも生じにくい。
また、本発明のうち請求項2に係る転がり軸受軌道輪の製造方法によれば、ガス及び焼入れ油を焼入れ剤として用いて鋼の焼入れを行う転がり軸受軌道輪の製造方法において、転がり軸受軌道輪であるワークの外周側又は内周側の何れか一方を加熱する高周波加熱コイルと、ワークの外周側をガスで冷却可能な外周側冷却ジャケットと、ワークの内周側をガスで冷却可能な内周側冷却ジャケットとを備えた高周波焼入れ装置を用い、ワークを100min-1以上の速度で回転しながら加熱コイルで加熱することで当該ワークの全周にわたって均等に加熱した後、外周側冷却ジャケットと内周側冷却ジャケットとの間でワークを100min-1以上の速度で回転しながら、外周側冷却ジャケット及び内周側冷却ジャケットからワークへ吐出されるガスの圧力を0.2MPa以上とすることで、ワークの温度を焼入れ油の特性温度以下までワークの全周にわたって均等に冷却した後に、焼入れ油によってワークを冷却することとしたため、全周にわたり均等な加熱、及びその後の焼入れのための冷却を行うことができ、焼入れ品質が全周に均等なものとなるので、不完全焼入れ層がなく、且つ変形や焼き割れも生じにくい。
次に、本発明の転がり軸受軌道輪の製造方法の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の転がり軸受軌道輪の製造方法に用いられる高周波焼入れ装置の概略構成図であり、図2は、その高周波焼入れ装置の加熱コイルの斜視図である。この高周波焼入れ装置は、転がり軸受軌道輪からなるワークWの外周側に配設された加熱コイル1と、この加熱コイル1に高周波電流を供給する高周波電源2と、転がり軸受軌道輪からなるワークWを支持するワーク支持装置3と、焼入れ冷却ガス供給装置4とを備える。転がり軸受軌道輪からなるワークWは、周知のようにリング状であり、図1は断面を示している。なお、本実施形態のワークWは深溝玉軸受の外輪であり、ワークWの材質はSUJ2である。
高周波電源2は、交流商用電源などから電源盤6を介して得た電流を、所定周波数の高周波電流に変換して加熱コイル1に供給するものであり、サイリスタインバータ式やトランジスタインバータ式などのものが使用される。高周波電源2と加熱コイル1との間には図示しない電源変換器を介装する。
加熱コイル1は円筒形の単巻のものであり、内部には焼入れ冷却ガスのための、加熱コイル1に沿った円環状の流路7を有し、転がり軸受軌道輪であるワーク1の外周側に焼入れ冷却ガスを吐出するための吐出口8が流路7の内周側に多数形成されている。加熱コイル1の断面形状は、図1に示すように、長方形乃至正方形状とされる。また、円筒形の加熱コイル1の外周面には、周方向の複数箇所に、焼入れ冷却ガスを供給するためのパイプ状の接続口9が設けられており、この接続口9に焼入れ冷却ガス供給装置4が接続され、所定のタイミングで焼入れ冷却ガスが供給される。
なお、加熱コイル1は、図2の斜視図に示すように、円筒形の一部が分割されており、その分割部分の両端に一対の端子板10を夫々接続し、二枚の端子板10の間に絶縁板11が挟み込まれている。この二枚の端子板10に、前記電源変換器を介して高周波電源2が接続されている。
ワーク支持装置3は、転がり軸受軌道輪であるワークWを載せる突部12と、突部12の基板となる円板状の支持部材13とを備え、支持部材13をモータなどの駆動源14で回転させることにより、ワークWを加熱コイル1に対して回転させることができる。支持部材13は、円筒形の加熱コイル1と同心に配設されており、図示しない昇降装置によって昇降される。突部12は、転がり軸受軌道輪であるワークWとの接触面積をできるだけ小さくするために、球形又は半球形としてあり、円板状の支持部材13の外周部の縁周方向の複数箇所(例えば3カ所)に等配されている。この突部12の材質はセラミックスなどからなる。
ワーク支持装置3の上方、且つ転がり軸受軌道輪であるワークWの内周には、当該ワークWの内周側に焼入れ冷却ガスを吐出して冷却する円筒状の冷却ジャケット15が配設されている。この冷却ジャケット15の内部には、冷却ジャケット15の形状に沿った円環状の流路16が形成され、転がり軸受軌道輪であるワーク1の内周側に焼入れ冷却ガスを吐出するための吐出口17が流路16の外周側に多数形成されている。冷却ジャケット15の断面形状は、図1に示すように、長方形乃至正方形状とされる。また、円筒形の冷却ジャケット15の外周面には、周方向の複数箇所に、焼入れ冷却ガスを供給するためのパイプ状の接続口18が設けられており、この接続口9に焼入れ冷却ガス供給装置4が接続され、所定のタイミングで焼入れ冷却ガスが供給される。
ワーク支持装置3の下方には、焼入れ油を貯留するタンク19が設けられており、ワーク支持装置3は、転がり軸受軌道輪からなるワークWを支持部材13上に載置したまま、タンク19内の焼入れ油内に浸漬することができる。
この高周波焼入れ装置による熱処理過程を説明する。まず、ワーク支持装置3の突部12上に転がり軸受軌道輪からなるワークWを載置し、それを加熱コイル1内にセットする。その状態で、駆動源14によりワーク支持装置3を回転し、支持部材13上のワークWを回転させながら、加熱コイル1に高周波電源2から高周波電流を供給する。加熱コイル1に高周波電流が供給されると、交番磁力が発生し、転がり軸受軌道輪からなるワークWが誘導加熱される。即ち、ワークWを通る磁束の変化によって過電流損やヒステリシス損などが生じ、それらにより発熱現象が生じる。
転がり軸受軌道輪からなるワークWの温度が焼入れ前加熱最高温度、つまりオーステナイト化温度まで昇温したら、その温度を一定時間維持した後、加熱コイル1及び冷却ジャケット15内に焼入れ冷却ガスを供給して、加熱コイル1の吐出口8から当該ワークWの外周側に焼入れ冷却ガスを吐出すると共に、冷却ジャケット15の吐出口1から当該ワークWの内周側に焼入れ冷却ガスを吐出する。これにより、転がり軸受軌道輪からなるワークWを焼入れ油の特性温度以下まで冷却する。転がり軸受軌道輪からなるワークWが焼入れ油の特性温度以下まで冷却されたら、ワーク支持装置3を下降し、当該ワークWをタンク19内の焼入れ油に浸漬して油焼入れを行う。
この焼入れは、焼入れ温度に加熱された転がり軸受軌道輪からなるワークWを焼入れ油の特性温度以下までガスによって冷却し、その後に焼入れ油によって冷却するので、焼入れ後の変形が少なく、焼き割れも生じにくく、且つ全体に均等な焼入れが行われる。例えばワークWの肉厚が薄い場合は、焼入れ冷却液で冷却すると変形や焼き割れが生じやすく、ガス冷却を行うことで、冷却速度が速くなりすぎることにより変形や焼き割れを防止することが可能となる。
この実施形態では、単巻の加熱コイル1を用い、その内側で、ワーク支持装置3でワークWを回転させながら誘導加熱し、加熱コイル1及び冷却ジャケット15を用いてガス冷却した後、ワーク支持装置3を下降させ、回転させながら焼入れ油により焼入れを行うため、リング状のワークW全周にわたって均一に加熱、冷却でき、このため焼入れ品質が全周に均等なものとなる。従って、ワークWが、形状、寸法、材質など、厳しい精度、品質が求められる転がり軸受軌道輪である場合は、この実施形態の高周波焼入れ装置による精度、品質上の利点が効果的に発揮される。また、焼入れ冷却ガスとして非酸化性ガスを用いる場合は、焼入れ処理時の冷却媒体によるワーク表面の酸化防止効果も合わせて得ることができる。
なお、この実施形態では、加熱コイル1を転がり軸受軌道輪からなるワークWの外周に、冷却ジャケット15をワークWの内周に配設したが、加熱コイル1及び冷却ジャケット15のレイアウトは、その逆でもよい。図3には、転がり軸受軌道輪からなるワークWの内周に配設される加熱コイル1の一例を示す。このように、転がり軸受軌道輪からなるワークWの内周に加熱コイル1を配設する場合には、端子板を加熱コイル1の内側に配設する必要がある。
下記表1に、本実施形態の転がり軸受軌道輪の製造方法における鋼の焼入れ方法による焼入れ実施結果を示す。ワークは、実施例、比較例共に、JIS SUJ2鋼製の呼び番号6306の深溝玉軸受の外輪である。比較例1,2はガス冷却後油焼入れ、比較例3は油焼入れのみの結果である。なお表1には、ワークの硬さ、転動疲労寿命及び熱処理変形量を示す。転動疲労試験は、潤滑油としてタービンオイル#68を用い、接触応力5.8kN/mm2、回転数3200min−1の条件で行った。また、軌道面硬さは、表面から50μmの位置をマイクロビッカースで測定した。変形量は、テーブル回転式真円度測定器タリロンドを用いて、焼入れ前後の真円度を測定し求め、サンプル数n=30の最大変形量を求めた。これらの結果から明らかなように、本発明の実施例のものは、高い硬さ、優れた疲労寿命、並びに良好な熱処理変形量を示していることが分かる。
Figure 2007327110
次に、本発明の転がり軸受軌道輪の製造方法の第2実施形態について、図4を用いて説明する。この実施形態は、第1実施形態における高周波焼入れ装置の加熱コイル1のワーク外周側冷却機能が、外周側冷却ジャケット20として別体化されたものであり、同等の機能の構成には第1実施形態と同等の符号を附して、その詳細な説明を省略する。なお、図には、高周波電源、焼入れ冷却ガス供給装置、配電盤、モータなどの駆動源を省略している。また、冷却ジャケット15は、内周側冷却ジャケット15とも記す。
この高周波焼入れ装置による熱処理では、まずワーク支持装置3で、転がり軸受軌道輪からなるワークWを支持し、当該ワークWを加熱コイル1の内部にセットし、当該ワークWを100min-1以上の速度で回転しながら加熱コイル1で加熱することで当該ワークWの全周にわたって均等に加熱する。次いで、ワーク支持装置3を下降して転がり軸受軌道輪からなるワークWを外周側冷却ジャケット20の内部位置にセットし、図示しない昇降装置で内周側冷却ジャケット15を当該ワークWの内部位置まで下降する。その状態で、ワーク支持装置3により転がり軸受軌道輪からなるワークWを100min-1以上の速度で回転しながら、外周側冷却ジャケット20から当該ワークWの外周側に向けて焼入れ冷却ガスを0.2MPa以上の圧力で吐出すると共に、内周側冷却ジャケット15から当該ワークWの内周側に向けて焼入れ冷却ガスを0.2MPa以上の圧力で吐出し、当該ワークWを焼入れ油の特性温度以下まで冷却する。
転がり軸受軌道輪からなるワークWが焼入れ油の特性温度以下まで冷却されたら、ワーク支持装置3を下降し、当該ワークWをタンク19内の焼入れ油に浸漬して油焼入れを行う。この場合も、前記第1実施形態と同様の効果が得られるほか、既存の加熱コイル1を使用することができ、発明を実施化しやすい。
なお、転がり軸受軌道輪からなるワークは深溝玉軸受の外輪に限らず、円錐ころ軸受などの軸受リングも同様に適用可能であり、特に薄肉の軸受リングに対して高い効果が得られる。
本発明の転がり軸受軌道輪の製造方法の第1実施形態を示す高周波焼入れ装置の概略構成図である。 図1の加熱コイルの斜視図である。 加熱コイルのほかの例を示す斜視図である。 本発明の転がり軸受軌道輪の製造方法の第2実施形態を示す高周波焼入れ装置の概略構成図である。
符号の説明
1は加熱コイル
2は高周波電源
3はワーク支持装置
4は焼入れ冷却ガス供給装置
6は配電盤
7は流路
8は吐出口
9は接続口
12は突部
13は支持部材
14は駆動源
15は冷却ジャケット(内周側冷却ジャケット)
16は流路
17は吐出口
18は接続口
19はタンク
20は外周側冷却ジャケット

Claims (2)

  1. ガス及び焼入れ油を焼入れ剤として用いて鋼の焼入れを行う転がり軸受軌道輪の製造方法において、冷却用のガスの流路が形成され、且つこの流路内のガスを転がり軸受軌道輪であるワークの外周側又は内周側の何れか一方に向けて吐出する吐出口が形成され、且つ前記流路に冷却用ガスを供給する冷却ガス供給装置が接続された高周波加熱コイルと、ワークの外周側又は内周側の何れか他方をガスで冷却可能な冷却ジャケットとを備えた高周波焼入れ装置を用い、前記加熱コイルに対してワークを100min-1以上の速度で回転し、前記加熱コイルの吐出口からワークへ吐出されるガスの圧力を0.2MPa以上とすることで、ワークの全周にわたって均等に加熱し、ガスによってワークの温度を焼入れ油の特性温度以下まで冷却した後に、焼入れ油によってワークを冷却することを特徴とする転がり軸受軌道輪の製造方法。
  2. ガス及び焼入れ油を焼入れ剤として用いて鋼の焼入れを行う転がり軸受軌道輪の製造方法において、転がり軸受軌道輪であるワークの外周側又は内周側の何れか一方を加熱する高周波加熱コイルと、ワークの外周側をガスで冷却可能な外周側冷却ジャケットと、ワークの内周側をガスで冷却可能な内周側冷却ジャケットとを備えた高周波焼入れ装置を用い、前記ワークを100min-1以上の速度で回転しながら加熱コイルで加熱することで当該ワークの全周にわたって均等に加熱した後、外周側冷却ジャケットと内周側冷却ジャケットとの間でワークを100min-1以上の速度で回転しながら、前記外周側冷却ジャケット及び内周側冷却ジャケットからワークへ吐出されるガスの圧力を0.2MPa以上とすることで、ワークの温度を焼入れ油の特性温度以下までワークの全周にわたって均等に冷却した後に、焼入れ油によってワークを冷却することを特徴とする転がり軸受軌道輪の製造方法。
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