JP5380812B2 - 環状体の焼入れ方法 - Google Patents
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Description
このような熱処理に伴う鋼材の変形が発生する要因としては、例えば、旋削、鍛造などの前加工による歪みが熱によって顕在化する他、浸炭などの熱処理による歪みが加熱時に開放されて変形が発生したり、また、浸炭などで一次焼入れによって変形が発生する場合もある。また、熱処理時における不均一加熱や不均一冷却も局所的な内部応力が発生するため、変形を招く大きな要因となっている。
前者の方法としては、例えば、以下の特許文献1や2などには、軸受鋼において焼入れ冷却時に環状体の外径を矯正しながら焼き入れる変形矯正技術が開示されている。この技術によれば、オーステナイトの収縮やマルテンサイトの変態時に適切なタイミングで加工することで環状体を真円形に仕上げることができるとの記述がある。
一方、後者の方法としては、例えば、以下の特許文献5には、焼戻し時のマルテンサイトの分解を利用して環状体の矯正を行うようにした手法が開示されている。
また、前記特許文献3に開示されている方法では、冷却速度の遅い肉厚品には最適であるが、薄肉品となると瞬時のうちに矯正方式を変更する必要があるため、適用に限界がある。
また、前記特許文献4に開示されている方法では、同様に2回の矯正条件の管理を厳しく行う必要があり、適用に限界がある。
また、前記特許文献5に開示されている方法では、反りを発生させないことは可能であるが、真円形に矯正することは不可能であった。
そこで、本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたものであり、その主な目的は、容易に真円形に矯正できる新規な環状体の焼入れ方法を提供するものである。
また、この環状体をAC1変態点以上の温度に加熱することによって後の焼入れ処理が可能となる。
また、この環状体の加熱に際してAC1変態点の温度を超えてさらに環状体全面がオーステナイト組織になるまで加熱すれば、環状体の延性が高くなって変形抵抗が低くなるため、より効果的に真円形に近い環状体を得ることが可能となる。
また、環状体を回転させながらその表面に冷却剤を噴射して当該環状体を臨界冷却速度以上の速度で冷却すれば、真円形に近い形状に矯正された後の環状体をむらなく均一に冷却できるため、その形状を維持したまま焼入れ処理を行うことができる。
また、前記環状体の冷却中に、その環状体の内径または外径をそれぞれの拘束型で拘束すれば、焼入れ時の変形も確実に防止することができる。
また、環状体を拘束型で拘束する時に、浸漬焼入れを用いることも可能である。
図1は、本発明方法を実施するための熱処理装置100の実施の一形態を示したものである。
図において符号10は、素材の炭素(C)含有量が約0.1〜1.2%の鋼からなる断面矩形状の環状体であり、加熱処理時においては、同じくリング状の外径拘束型20の内側に嵌め込まれてその外径が拘束される状態で取り付けられるようになっている。
なお、この外径拘束型20は、少なくとも環状体10を構成する鋼よりも十分に融点が高い耐熱性の非磁性材料、例えば、セラミックや非磁性金属などからなっており、より好ましくは窒化珪素系のセラミックなどから形成されている。また、この外径拘束型20の内径は真円形となっており、その真円度、すなわち内径の最長径と最短径との差は、100μm以下(より好ましくは50μm以下、理想的には10μm以下)となっている。そして、この外径拘束型20は、型支持部材21によって誘導加熱コイル30内に支持されている。
なお、この冷却ジャケット60には図示しない冷却剤ポンプなどが付設されており所定の時期に任意量の冷却材を任意の時間供給できるようになっている。また、前記ピストン40は、図示しない油圧シリンダなどによって制御されるようになっている。さらに、前記誘導加熱コイル30にも図示しない制御回路が付設されており、任意のタイミングでこの誘導加熱コイル30を制御するようになっている。
先ず、図1に示すように、熱処理対象となる環状体10(ワーク)を外径拘束型20に嵌入して加熱時にその外径を拘束するように取り付けた後、誘導加熱コイル30に通電してその環状体10を誘導加熱する。
すると、この環状体10の素材温度が上昇し始め、その昇温に伴ってその全体が径方向外方および軸方向に熱膨張するが、その周囲は外径拘束型20によって拘束されているため、その環状体10が外径方向に向かって膨張する力とその外径を拘束する外径拘束型20による抗力とによって、その環状体10の加熱前の歪みや変形が全て取り除かれてその環状体10が真円形に近い形状に矯正されることになる。
また、この加熱温度としては、少なくともその環状体10を構成する鋼素材のAC1変態点(約730℃)以上の温度に加熱する必要があり、より好ましくはその環状体10の全面がオーステナイト組織(固溶体)になる温度まで加熱する。
すなわち、Fe−C系平行状態図などからも明らかなように、鋼は炭素含有量によってオーステナイト組織化温度が異なってくるため、環状体10の全面がオーステナイト組織にするには、少なくとも約800℃以上、より好ましくは850℃以上の温度まで昇温加熱することが望ましいからである。
そして、この回転土台50をその軸を中心として回転させながら、その冷却ジャケット60の図示しないノズルから冷却剤を噴射してその回転土台50上の環状体10の表面に吹き付けてその環状体10を臨界冷却速度以上の速度で冷却する。
このように本発明方法は、従来のマルテンサイト変態膨張を利用した冷却矯正方法に対し、加熱膨張を利用したものであることから、膨張量を多く稼ぐことが可能となる。したがって、処理前の歪みが変形が大きくても容易にこれを除去して真円形に矯正することが可能となる。特に、300℃以下の過冷オーステナイトからマルテンサイト変態完了を利用した矯正に比べ、800℃を超えるようなオーステナイト域での加工は変形抵抗が小さいため、矯正効果が大きい。
ここで、この環状体10の焼入れ方法としては前述した方法に加え、さらに図3および図4に示すような方法を用いれば、その処理時における変形をより確実に防止することができる。すなわち、図3および図4に示すように加熱後の環状体10を載置する回転土台50上に凸状の内径拘束型70または第2の外径拘束型20aを設けておき、その環状体10の冷却中にその環状体10の内径または外径を拘束しておくようにすれば、焼入れ時の変形をより確実に防止することができる。
なお、図4に示すように冷却時に第2の外径拘束型20aを用いる場合には、矯正効果を得るためにその外径拘束型20aの内径は加熱時に用いる外径拘束型20の内径よりも小さいことが好ましく、環状体10がオーステナイト状態のうちにその外径拘束型20aに圧入することが望ましい。また、図4にて環状体10などを回転させながら冷却すればより均一で早い冷却が可能となる。
また、本発明方法の処理対象となる環状体10は、前述したように転がり軸受(玉軸受)の内外輪(軌道輪)やその軌道面、軌道を有する軸、複雑形状を有する円錐ころ軸受の内外輪などに加え、あらゆる機械部品などに適用することができる。
また、冷却時に内径拘束型70を用いる場合には、図3に示すように内径拘束型70の頂部をテーパー状に窄めておけば、環状体10を嵌め込みやすくなる。さらに、このような形状の内径拘束型70を用いた場合には、ピストン40の外周下面に押し治具41などを突出させて設ければ、より確実に環状体10を嵌め込むことができる。
試料として外径100mm×肉厚5mm×幅12mmの軸受鋼(SUJ2)および中炭素鋼からなる複数の環状体を用い、それぞれの試料を前述した装置100および方法による熱処理を施して各試料の真円度および反りの変化を調べた。
ここで、真円度は熱処理前後における直径の最大最小値の差であり、図5に示す比較例6の真円度を基準(1.0)とした真円度比を求めた。
この結果、図5および図6からもわかるように、本発明方法に係る実施例4,5および実施例9,10,12は、いずれも真円度比が比較例6,7よりも低く優れた矯正能を発揮することができた。
また、参考例1に示すように、冷却時においては必ずしもその環状体の形状を矯正しなくても良いが、前述したように外径拘束型20aまたは内径拘束型70などを用いて冷却時にも同様に矯正するようにすれば、より優れた矯正効果が得られることがわかる。
10…環状体
20…外径拘束型
20a…第2外径拘束型
30…誘導加熱コイル
40…ピストン
50…回転土台
60…冷却ジャケット
70…内径拘束型
Claims (2)
- 鋼からなる環状体を加熱処理する際に生ずる変形を矯正し焼入れする方法であって、
前記環状体を外径拘束型によってその外径を拘束した状態で、当該環状体をAC1変態点以上の温度に加熱し、加熱後の前記環状体を、前記外径拘束型の内径より小さい内径を有する第2の外径拘束型に圧入し、前記環状体の冷却中にその環状体の外径を前記第2の外径拘束型で拘束することを特徴とする環状体の焼入れ方法。 - 請求項1に記載の環状体の焼入れ方法において、
前記環状体が転がり軸受の軌道輪であることを特徴とする環状体の焼入れ方法。
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