JP5446410B2 - 環状ワークの熱処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環状ワークの熱処理方法およびそれに用いる拘束焼入れ装置に関する。
転がり軸受の軌道輪などの環状部材には、熱処理時に、図3に示されるような寸法変化をする高炭素鋼(以下、「軸受鋼」という)が使用されている。前記転がり軸受は、所望の機械的強度とするために、軸受綱からなるワークに焼入れなどの熱処理を施すことにより製造されている。
ところが、前記ワークを焼入れすると、加熱時の応力開放、オーステナイト化、熱膨張、冷却時の熱収縮とマルテンサイト変態による変態膨脹とその焼入れの過程で寸法変化を起こす。この寸法変化のタイミングがワーク内でばらつくことにより、歪が発生し、ワークの真円度の低下、ソリの発生、寸法バラツキなどを引き起こすことがある。
そのため、ワークの研磨による取り代が多くなり、研磨工程におけるサイクルタイムが長くなるとともに、研磨不良やシール溝の不良が生じやすくなる。
したがって、熱処理したワークの内外径の寸法精度の向上や熱処理歪の低減が望まれている。
熱処理したワークの内外径の寸法精度の向上や熱処理歪の低減のために、図5に示されるように、炉101内でワークWを加熱する工程(図中、「炉加熱工程」)、加熱されたワークWを油槽103に入れて冷却する工程(図中、「冷却工程」)、その後、ワークWを取り出し、ワークWの外径面側にこの外径面を拘束する外金型104をセットする工程(図中、「ワーク取り出し工程」)、マルテンサイト変態による膨張の際に、ワークWのこの外径面を拘束する外金型104でワークWを外径側から拘束する工程(図中、「外径拘束工程」)を含む焼入れ方法が従来技術として実施されている。
また、特に、中炭素鋼のようなマルテンサイト変態時に十分な膨脹量が得られないものをターゲットとした方法として、焼入れ開始温度600℃以上の温度の間に、内径拘束と幅拘束とを同時に実施し、これに連続して、変態により膨脹する直前に外径拘束を実施する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許第3586888号公報
しかしながら、炉加熱により加熱する方法では、加熱時間が長く、しかも昇温が不均一になりやすいため、ワーク単体内において応力開放やオーステナイト化にバラつきが生じることがある。また、冷却工程における冷却が不均一になりやすいため、歪が発生してしまい、その後の外径拘束時における歪低減レベルに限界がある。
また、冷却時の歪を低減するために実施している内径拘束と幅拘束とを同時に実施する方法では、熱収縮時に幅方向に加圧されることにより、熱収縮が抑制されてしまい、拘束力が十分に得られず、内径拘束時に歪低減が十分にできないことがある。加えて、その後の変態後の寸法にも影響するため、外径拘束時の拘束力にバラツキが生じ、外径拘束時に一定の拘束力が得られない場合がある。
さらに、内径拘束と外径拘束とを連続的に実施する場合、焼入れ工程では、その品質を得るために急冷する。そのため、内径拘束から外径拘束に移行するタイミングがとりにくくなる。また、内径および外径の拘束金型の温度管理が難しく、熱処理後の寸法のバラツキが大きくなるという課題がある。
こうしたことから、特にワーク径が大きな薄肉品に対しては、内外径の寸法精度の向上や熱処理歪の低減を、あるレベルまでしか達成することができず、ワークの研磨による取り代が必要になるために研磨コストがかかる。
また、内径拘束と外径拘束とを連続的に実施する場合には、冷却による熱収縮と変態膨脹とを1つの工程で実施するため、サイクルタイムが長くなり、熱処理のインライン化が難しくなる。
本発明は、このような事情に鑑み、ワークの内外径の寸法精度の向上や熱処理歪の低減を図ることができ、低コストで環状部材を製造することができる、環状ワークの熱処理方法およびそれに用いる拘束焼入れ装置を提供することを目的とする。
本発明の環状ワークの熱処理方法は、下記工程(1)〜(5):
(1) ワークを加熱する環状の加熱コイルの内周側に、環状ワークをセットし、当該ワークを焼入温度で誘導加熱する工程、
(2) 前記誘導加熱後のワークの内径面側に、ワークの内径面を拘束する内金型をセットした状態で当該ワークを冷却する工程、
(3) 前記ワークの温度が500℃以下となり、内径面が冷却により収縮して前記内金型の外径面と接触することで拘束された後、ワークを幅方向に拘束する第1の幅拘束治具で当該ワークの幅方向両端面をさらに拘束しながら、当該ワークを冷却する工程、
(4) 前記工程(3)後のワークの温度がマルテンサイト変態開始温度以下になったとき、前記内金型から前記ワークを取り外す工程、および
(5) ワークの外径面を拘束する外金型で前記工程(4)後のワークの外径面を拘束するとともに、ワークを幅方向に拘束する第2の幅拘束治具で当該ワークの幅を拘束する工程
を含んでいることを特徴としている。
本発明の熱処理方法によれば、誘導加熱を行なうことにより、ワークが均一に加熱され、ワークにおける均一な応力開放およびオーステナイト化を行なうことができ、しかも、ワーク自体が迅速に加熱することによって、従来のように、炉過熱を行なう場合に比べて、ワークの加熱に要するサイクルタイムを低減することができる。
また、冷却時にワークが収縮する際に、その初期段階では、ワークに自由な熱収縮をさせるために幅拘束をせずに冷却し、内金型接触後に幅拘束を実施することで、ワークの内径面を拘束するとともに、幅方向両端面を拘束することにより、ワークの熱収縮に対する応力を最大限利用して、内径および幅における寸法を所定の寸法とし、歪を低減することができる。さらに、前記工程(3)の冷却工程によって、前記工程(1)の誘導加熱工程および前記工程(2)の冷却工程で発生した歪を低減させた後のワークにおいて、マルテンサイト変態による体積の膨張が生じる際に、ワークの外径面を拘束するとともに、幅方向両端面を拘束することにより、ワークのマルテンサイト変態による体積の膨張による応力を利用して、外径および幅における寸法を所定の寸法とし、歪を低減することができる。
したがって、本発明の熱処理方法によれば、前記工程を順に行なうことで、熱処理したワークの内外径の寸法精度の向上や熱処理歪の低減を図ることができ、ワークの研磨による取り代を少なくし、研磨工程におけるサイクルタイムを低減させることができる。また、加熱膨脹時、冷却収縮時および変態膨脹時の各寸法変化のポイントを別工程とすることで、サイクルタイムを低減させることができるため、熱処理のインライン化が可能となり、低コストで環状部材を製造することができる。
本発明の拘束焼入れ装置は、環状ワークを焼入れする拘束焼入れ装置であって、
焼入温度に加熱されたワークをマルテンサイト変態開始温度まで冷却する冷却媒体を貯留した冷却槽を下部に備えた焼入室と、
焼入室内でワークを保持するワーク保持部と、
ワークの内径面を拘束する内金型と、
ワーク保持部との間でワークを幅方向に拘束する幅拘束治具と、
ワーク保持部に保持されたワークの内径面側に、内金型を係合させるとともに、ワークの温度がマルテンサイト変態開始温度以下になったとき、内金型をワークから取り外す第1の移動装置と、
ワークを保持したワーク保持部を、焼入室の外部と内部との間で搬送する第2の移動装置と、
内金型で内径面が拘束されたワークの幅方向一方側より幅拘束治具でワークを押圧する第3の移動装置と
を備えていることを特徴としている。
前記のように構成された拘束焼入れ装置によれば、焼入温度に加熱されたワークを冷却し、その初期段階ではワークに自由な熱収縮をさせるために幅拘束をせずに冷却し、内金型接触後に幅拘束を実施することで、ワークの熱収縮応力を最大限利用し、内金型の外径面にワークの内径面が接触して当該ワークの内径面を内金型で拘束し、かつ当該ワークの幅方向両端面を拘束することができるとともに、ワークの温度がマルテンサイト変態開始温度以下となったとき、内金型をワークから取り外すことができる。
したがって、かかる拘束焼入れ装置によれば、上述した作用効果を奏する熱処理方法を行なうことができる。
本発明の熱処理方法および拘束焼入れ装置によれば、熱処理したワークの内外径の寸法精度の向上や熱処理歪の低減を図ることができ、ワークの研磨による取り代を少なくし、研磨工程におけるサイクルタイムを低減させることができる。また、本発明によれば、熱処理におけるサイクルタイムを大幅に低減することができるため、熱処理のインライン化が可能となり、低コストで環状部材を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る環状ワークの熱処理方法に用いられる拘束焼入れ装置の構成を示す要部断面図である。 本発明の一実施形態に係る環状ワークの熱処理方法を示す工程図である。 熱処理時の軸受綱における温度と寸法との関係を示すグラフである。 実施例1のワークおよび各比較例のワークにおける真円度およびソリを示すグラフである。 従来の環状ワークの焼入れ方法を示す工程図である。
〔拘束焼入れ装置〕
以下、添付図面に基づき、本発明の一実施形態に係る環状ワークの熱処理方法に用いられる拘束焼入れ装置を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る環状ワークの熱処理方法に用いられる拘束焼入れ装置の構成を示す要部断面図である。
拘束焼入れ装置20は、ワークWを焼入れする焼入室21と、ワークWを保持するワーク保持部22と、ワークWの内径面23を拘束する内金型24と、ワーク保持部22との間でワークWを幅方向に拘束する第1の幅拘束治具26とを備えている。
焼入室21内の下部には、ワークWを冷却するための焼入れ油などの冷却媒体を貯留した冷却槽21aが設けられている。
ワーク保持部22、内金型24および幅拘束治具26は、それぞれ、焼入室21の外部と内部とを移動自在とされている。
ワーク保持部22には、第2の移動装置27が取り付けられている。この第2の移動装置27により、ワークWを保持したワーク保持部22が冷却槽21aの外部と内部との間で搬送されるように構成されている。
内金型24には、第1の移動装置28が取り付けられている。この第1の移動装置28により、内金型24の外周面24aがワーク保持部22上のワークWの内径面23側に係合するとともに、ワークWの温度がマルテンサイト変態開始温度以下になったとき、内金型24がワークWの内径面23側から取り外されるように構成されている。
第1の幅拘束治具26には、第3の移動装置29が取り付けられている。この第3の移動装置29により、第1の幅拘束治具26が、内金型24で内径面23が拘束されたワークWの幅方向上方の端面25a側からワークWを押圧するように構成されている。この第1の幅拘束治具26は、ワーク保持部22との間でワークWの幅方向両端面25a,25bを拘束する。
〔熱処理方法〕
つぎに、前述した拘束焼入れ装置20を用い、転がり軸受の軌道輪を製造する場合を例として、本発明の一実施形態に係る環状ワークの熱処理方法を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る環状ワークの熱処理方法を示す工程図である。
まず、軸受鋼からなる鋼材から、環状素材を製造し、得られた環状素材それぞれに切削加工などを施して、所定形状に加工して、環状ワークWを得る(図2中、「旋削工程」)。なお、本実施形態では、軸受鋼として、SUJ2を用いた場合を説明する。
つぎに、このワークWを高周波加熱装置10の加熱コイル11の内径面にセットし、その後、加熱コイル11に交流電流を流して、ワークWを800〜1000℃の焼入温度に誘導加熱する(図2中、「誘導加熱工程」)。
これにより、ワークWを均一に加熱することができるため、ワークWにおける均一な応力開放およびオーステナイト化を行なうことができる。また、誘導加熱によりワークW自体が迅速に加熱するため、熱処理のインライン化が可能なレベルとなるまで加熱に要する時間を短縮することができる。
この誘導加熱工程では、ワークWの体積が膨張する(図3の「加熱膨張」を参照)。
誘導加熱工程後、ワークWを、拘束焼入れ装置20により冷却する(図2中、「冷却工程」)。
この冷却工程は、前冷却工程、内径拘束・幅拘束工程およびワーク取り出し工程からなる。
この冷却工程では、ワークWの温度の下降に伴い、ワークWの体積が収縮する(図3の「冷却収縮」を参照)。
冷却工程では、まず、前記誘導加熱工程で加熱されたワークWを、拘束焼入れ装置20に搬送し、ワーク保持部22上に載置し、このワーク保持部22上にワークWの内径面23側に、第1の移動装置28により内金型24を移動させ、セットする。そして、ワーク保持部22を、第2の移動装置27により、冷却槽21aの内部に搬送する。このとき、冷却槽21aでは、焼入温度で加熱されたワークWが、冷却槽21a中の冷却媒体により冷却される(図2中、「前冷却工程」)。
冷却は、冷却媒体としての焼入れ油の油浴などで急冷することにより行われる。この場合、焼入れ油の油浴温度は、通常、60〜160℃であればよい。
なお、冷却工程における「急冷」とは、焼入れ温度からマルテンサイト変態開始点以下までの冷却速度の平均として、通常、20〜100℃/sの冷却速度での冷却をいう。
その後、冷却槽21a中で500℃以下に冷却された時にその内径が旋削寸法よりも小さくなることで、ワークWの内径面23と内金型24の外径面24aとが接触して、ワークWの内径面23が内金型24で拘束される。このとき、冷却槽21a中において、ワークWの幅方向端面25a側から、第3の移動装置により、第1の幅拘束治具26でワークWを幅方向下方に向けて押圧する。これにより、ワーク保持部22と第1の幅拘束治具26とでワークWの幅方向両端面が拘束される(図2中、「内径拘束・幅拘束工程」)。
これにより、ワークの熱収縮による応力を最大限利用して、内径および幅における寸法を所定の寸法とするとともに、歪を低減することができる。
つぎに、ワークWの温度がマルテンサイト変態開始温度以下になったとき、第1の移動装置28および第2の移動装置27により、冷却槽21a内からワーク保持部22および内金型24を取り出す。その後、第1の移動装置28により、内金型24からワークWを取り外す(図2中、「ワーク取り出し工程」)。
このとき、ワークWの温度の降下に伴い、マルテンサイト変態によりワークWの体積が膨脹する(図3中、「変態膨脹」を参照)。
この変態応力を利用して、外金型42の内側にワークWの外径面41側をセットし、外径面41を外金型42で拘束するとともに、ワークWの幅方向両端面25a,25b側に第2の幅拘束治具43a,43bをセットし、ワークWの温度が常温の状態になるまで、端面25a,25bを第2の幅拘束治具43a,43bで拘束する。
これにより、ワークのマルテンサイト変態による体積の膨張による応力を利用して、外径および幅における寸法を所定の寸法とするとともに、歪を低減することができる。
つぎに、ワークWに要求特性に応じた品質が得られる焼戻し条件で焼戻し処理を施す(図2中、「焼戻し工程」)。
この焼戻し工程では、ワークWを160〜400℃の焼戻し温度で加熱保持する。
その後、ワークWに、研磨仕上げ加工を施すとともに、軌道面に対して超仕上げ加工を施して、所定精度に仕上げることにより、所望の環状部材である軌道輪を得ることができる。
なお、本実施形態に係る熱処理方法として、SUJ2を軸受鋼として用いた場合について、説明しているが、本発明では、図3に示されるような寸法変化をする他の軸受鋼を用いてもよい。この場合、焼入温度、焼戻し温度などは、用いられる軸受鋼の種類、環状部材の用途などに応じて、適宜設定することができる。
以下、実施例などにより、前記熱処理方法について、詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
以下の実施例などでは、前記熱処理方法における各工程の作用効果を検証する。
(実施例1)
SUJ2からなる鋼材から、環状素材を製造し、得られた環状素材に切削加工を施して、所定形状に加工して、薄肉深溝玉軸受の外輪用の環状ワーク(外径:125mm、肉厚:3mm)を得た。得られたワークを、高周波加熱装置にセットし、10秒で900℃の焼入温度まで誘導加熱した。
その後、ワークを、図1に示される拘束焼入れ装置20のワーク保持部22上に載置して、ワークの内径面23側に内金型24をセットした。そして、ワーク保持部22を140℃の冷却油を貯留した冷却槽21aの内部に移動させて冷却した。
ワークの温度が500℃以下となり、ワークの内径面23が内金型24で拘束されたとき、ワークの幅方向両端面25a,25bを、ワーク保持部22と第1の幅拘束治具26とでさらに拘束した。その後、ワークの温度がマルテンサイト変態開始温度以下になったとき、冷却槽21a内からワークを取り出し、内金型24からワークを取り外した。
つぎに、ワークの温度が常温の状態になるまで、外金型42でワークの外径面41を拘束するとともに、ワークの幅方向両端面25a,25bを第2の幅拘束治具43a,43bで拘束した。得られたワークを実施例1のワークとした。
(旋削品)
SUJ2からなる鋼材から、環状素材を製造し、得られた環状素材に切削加工を施して、所定形状に加工して、薄肉深溝玉軸受の外輪用の環状ワーク(外径:125mm、肉厚:3mm)を得た。得られたワークを旋削品とした。
(比較例1)
前記旋削品を、バッチ炉中、820℃の焼入温度で2時間加熱し、その後、140℃の冷却油中で冷却した。得られたワークを比較例1のワークとした。
(比較例2)
前記旋削品を、高周波加熱装置にセットし、10秒で900℃の焼入温度まで誘導加熱した。誘導加熱後のワークを、140℃の冷却油中で冷却した。得られたワークを比較例2のワークとした。
(比較例3)
前記旋削品を、連続炉中、820℃の焼入温度で1時間加熱した。つぎに、加熱後のワークを、140℃の冷却油中でマルテンサイト変態開始点以下まで冷却し、冷却後のワークの外径面を、外金型42で拘束するとともに、ワークの幅方向両端面を第2の幅拘束治具43a,43bで幅方向にも拘束した状態で、ワークの温度が常温になるまでワークを拘束した(図2の外径拘束・幅拘束工程、図5の従来技術を参照)。得られたワークを比較例3のワークとした。
(比較例4)
旋削品を、高周波加熱装置にセットし、10秒で900℃の焼入温度まで誘導加熱した。誘導加熱後のワークを、拘束せずに140℃の冷却油を貯留した冷却槽21aの内部に移動させ、ワークの温度がマルテンサイト変態開始点以下になるまで冷却した。
その後、マルテンサイト変態開始点以下まで冷却したワークの外径面を、外金型42で拘束するとともに、ワークの幅方向両端面を第2の幅拘束治具43a,43bで幅方向にも拘束した状態で、ワークの温度が常温になるまで、ワークを拘束した。得られたワークを比較例4のワークとした。
(試験例1)
実施例1および比較例1〜4それぞれのワークの真円度を真円度測定器(東京精密(株)製、商品名:romcom40A)で測定した。また、実施例1および比較例1〜4それぞれのワークを、定盤とダイヤルゲージからなる測定器で片側から一定荷重で加圧した場合と、加圧しなかった場合との差を円周方向全周で測定することにより、実施例1および比較例1〜4それぞれのワークのソリを調べた。実施例1のワークおよび各比較例のワークにおける真円度およびソリを示すグラフを図4に示す。
図4に示される結果から、炉加熱焼入れを行なった比較例1のワーク、誘導加熱焼入れを行なった比較例2のワーク、炉加熱後に、マルテンサイト変態開始点以下まで冷却し、外径拘束と幅拘束とを同時に行なった比較例3のワーク、および誘導加熱後、拘束せずにマルテンサイト変態開始点以下になるまで冷却し、外径拘束と幅拘束とを行なった比較例4のワークでは、それぞれ、改善は確認されるが、真円度およびソリが大きいことがわかる。
これに対して、誘導加熱後、冷却の初期段階ではワークに自由な熱収縮をさせるために幅拘束を行なわずに冷却し、内金型接触による拘束がはじまる500℃以下となった後の温度で幅拘束を実施し、外径拘束と幅拘束とを行なった実施例1のワークでは、真円度が70μm以下、ソリが40μm以下となっており、十分に小さいといえる。また、実施例1のワークでは、真円度およびソリが低減されたことから、寸法精度も向上していることがわかる。
以上の結果から、図2に示される拘束焼入れ装置20を用いて、実施例1のように各工程を行なうことにより、ワークの内外径の寸法精度を向上させることができ、熱処理歪をより一層低減することができることがわかる。これにより、ワークの研磨による取り代を少なくし、研磨工程におけるサイクルタイムを低減させることができる。また、加熱膨脹時、冷却収縮時および変態膨脹時の各寸法変化のポイントを別工程とすることで、サイクルタイムを低減させることにより、熱処理のインライン化が可能となり、低コストで環状部材を製造することが可能になる。
11 加熱コイル、20 拘束焼入れ装置、21 焼入室、21a 冷却槽、22 ワーク保持部、23 内径面、24 内金型、25a,25b 端面、26 第1の幅拘束治具、27 第2の移動装置、28 第1の移動装置、29 第3の移動装置、41 外径面、42 外金型、43a,43b 第2の幅拘束治具、W ワーク

Claims (1)

  1. 下記工程(1)〜(5)を含む、環状ワークの熱処理方法:
    (1) ワークを加熱する環状の加熱コイルの内周側に、環状ワークをセットし、当該ワークを焼入温度で誘導加熱する工程、
    (2) 前記誘導加熱後のワークの内径面側に、ワークの内径面を拘束する内金型をセットした状態で当該ワークを冷却する工程、
    (3) 前記ワークの温度が500℃以下となり、内径面が冷却により収縮して前記内金型の外径面と接触することで拘束された後、ワークを幅方向に拘束する第1の幅拘束治具で当該ワークの幅方向両端面をさらに拘束しながら、当該ワークを冷却する工程、
    (4) 前記工程(3)後のワークの温度がマルテンサイト変態開始温度以下になったとき、前記内金型から前記ワークを取り外す工程、および
    (5) ワークの外径面を拘束する外金型で前記工程(4)後のワークの外径面を拘束するとともに、ワークを幅方向に拘束する第2の幅拘束治具で当該ワークの幅方向両端面を拘束する工程。
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