JP2006219725A - 軸受軌道輪の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受軌道輪の製造方法において、切削後の熱処理の前後で生じる変形を小さく抑えて、研削工程に掛かる時間を短くする。
【解決手段】冷間加工された鋼管に対して焼鈍と切断を行うことにより、所定幅のリング状素材を得た後、このリング状素材に対して、切削、熱処理、および研削を行うことにより、転がり軸受の内輪または外輪を製造する。その際に、前記焼鈍をA1 変態点以上の温度で行う。また、熱処理の焼入れ時の冷却を、処理品に大気圧下で気体を当てる方法で行う。
【選択図】 図1

Description

この発明は、転がり軸受の内輪または外輪を製造する方法に関する。
従来、転がり軸受の内輪および外輪は、例えば以下の方法で製造されている。先ず、高炭素クロム軸受鋼からなる棒材を熱間加工等により管状に加工して、継目無鋼管を得る。次に、この鋼管に球状化焼鈍を行った後に、冷間加工(ピルガミルによる圧延または引き抜き加工等)を行って寸法を整える。
次に、冷間加工により生じた応力を除去する目的で、この鋼管に焼鈍を行う。次に、この鋼管を切断してリング状素材とする。次に、このリング状素材を旋盤により切削して、内輪および外輪の形状に加工する。次に、この加工されたものに対して、焼入れ、焼戻し等の熱処理を行う。次に、仕上げのための研削を行って、真円度の調整等を行う。
そして、従来は、前記冷間加工後の焼鈍として、A1 変態点より低い680〜720℃の温度で「歪み取り焼鈍」を行っている。また、焼入れとしては、従来より、冷却剤として油を使用し、油中に鋼材を浸漬して所定時間保持する「油焼入れ」を行っている。
なお、軸受軌道輪の製造方法の従来技術が記載されている特許文献としては、下記の特許文献1〜3が挙げられる。
特公平7−37645号公報 特開平9−176740号公報 特開2002−105536号公報
しかしながら、外径(a)に対する厚さ(t)の比(t/a)が小さい(例えば、0.050以下である)リング状素材を用いた場合には、前記冷間加工後の焼鈍として「歪み取り焼鈍」を行い、切削後の熱処理の焼入れとして油焼入れを行うと、この熱処理の前後で変形が大きくなり、所定の真円度を確保するために、研削工程に時間が掛かるという問題点がある。また、前記変形が大きいと黒皮(熱処理後に表面に存在するスケール)の一部が研削工程で除去されずに残り、不良品となる場合もある。
また、油焼入れでは、焼戻し工程の前に洗浄工程が必要であり、この洗浄が不十分であると、焼戻し時に気化して焼戻しの作業環境が悪くなったり、焼戻し後に固化して鋼材に付着することがある。さらに、焼入れ装置内を頻繁に洗浄する必要があるため、設備費や管理費などのコストが嵩む。
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、冷間加工された鋼管に対して焼鈍と切断を行うことにより、所定幅のリング状素材を得た後、このリング状素材に対して、切削、熱処理、および研削を行うことにより、転がり軸受の内輪または外輪を製造する方法において、切削後の熱処理の前後で生じる変形を小さく抑えて、研削工程に掛かる時間を短くすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、冷間加工された鋼管に対して焼鈍と切断を行うことにより、所定幅のリング状素材を得た後、このリング状素材に対して、切削、焼入れ、焼戻し、および研削を行うことにより、転がり軸受の内輪または外輪を製造する方法において、前記焼鈍をA1 変態点(727℃)以上の温度で行い、前記焼入れ時の冷却を、処理品に大気圧下で気体を当てる方法で行うことを特徴とする軸受軌道輪の製造方法を提供する。前記焼鈍として、A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍を行うことが好ましい。
本発明の方法では、前記焼鈍をA1 変態点以上の温度で行うとともに、前記焼入れ時の冷却を、処理品に大気圧下で気体を当てる方法で行うことにより、前記リング状素材の表面から内側に100μm〜150μmとなる位置(表面近傍)での圧縮残留応力を80MPa以下にすることができる。
残留応力は、引っ張り応力と圧縮応力がリング状素材全体で釣り合った状態で存在しているため、表面側での圧縮残留応力が小さいと、これに釣り合うように内部に存在する引っ張り応力も小さくなる。そして、焼鈍後のリング状素材に存在している残留応力が、切削後の熱処理によって開放されることで熱処理前後の変形が生じる。そのため、前記熱処理前後の変形の大きさは、焼鈍後のリング状素材の表面近傍に存在している圧縮残留応力の大きさに応じたものとなる。よって、本発明の方法によれば、切削後の熱処理の前後で生じる変形を小さくすることができる。
なお、表面から内側に100μm〜150μmとなる位置での値で圧縮残留応力を限定した理由は、100μmより表面側の位置には切削による影響が存在し、150μmよりも内側の位置では冷間加工の影響が小さくなるためである。
本発明の方法では、前記焼入れ時の冷却を、処理品に大気圧下で気体を当てる方法で行うことにより、設備費や管理費などのコストを低くすることができる。
また、本発明の方法では、前記冷却時の気体の流速によって焼入れによる変形量が変化するため、気体の流速を適正値に設定することで変形量をより小さくことができる。
なお、冷却に用いる気体としては、空気または不活性ガス等が挙げられる。空気を用いると、コストを低く抑えられる利点がある。不活性ガスを用いると、脱炭を少なくできるため、研磨工程での取り代を少なくできる利点がある。また、この焼入れ時の(冷却前の)加熱温度は例えば820〜900℃とする。
本発明の方法は、前記リング状素材の外径(a)に対する厚さ(t)の比(t/a)が0.050以下である軸受軌道輪を製造する方法として好適である。
本発明によれば、冷間加工された鋼管に対して焼鈍と切断を行うことにより、所定幅のリング状素材を得た後、このリング状素材に対して、切削、熱処理(焼入れと焼戻し)、および研削を行うことにより、転がり軸受の内輪または外輪を製造する方法において、従来の方法よりも、切削後の熱処理の前後で生じる変形を小さく抑えて、研削工程に掛かる時間を短くすることができる。また、焼入れ時の冷却を油でなく気体で行うため、洗浄設備が不要となる。
これらのことから、本発明の方法によれば、転がり軸受の内輪および外輪を、従来の方法よりも低コストで製造することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
この実施形態では、単列深溝玉軸受(転がり軸受)の外輪を作製した。単列深溝玉軸受は、図1に示すように、内輪1と外輪2と玉3と保持器4とからなる。また、図2に示すように、この玉軸受の外輪2の外径aを65mmとし、幅cを7mmとし、内径bを変えることで、比(t/a)の異なる外輪2を作製した。なお、厚さtは(a−b)/2である。
試験1では、比(t/a)が0.050である外輪2を作製した。試験2では、比(t/a)が、0.033、0.045、0.050、0.058、0.071である外輪2を作製した。
[試験1]
熱間加工により得られたSUJ2製の継目無鋼管を用意し、この鋼管に対して焼鈍(1)を行った。この焼鈍(1)は、800℃まで加熱し、この温度で2時間保持した後、2時間で740℃まで冷却し、この温度で2時間保持した後、5℃/hの冷却速度で650℃まで徐冷した後、空冷することで行った。次に、ピルガミルを用いた冷間圧延(冷間加工)を行った。この工程で鋼管に歪みが導入される。
次に、No. 1−1〜1−3では、この冷間加工された鋼管に対して「焼鈍(2)」を行った後に、外輪2の幅に対応させた幅に切断した。この「焼鈍(2)」は、800℃(A1 変態点以上の温度)まで加熱し、この温度で2時間保持した後、2時間で740℃まで冷却し、この温度で2時間保持した後、5℃/hの冷却速度で650℃まで徐冷した後、空冷することで行った。この「焼鈍(2)」は、「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する。
No. 1−4〜1−6では、この冷間加工された鋼管に対して「焼鈍(3)」を行った後に、外輪2の幅に対応させた幅に切断した。この焼鈍(3)は、700℃まで加熱し、この温度で2時間保持した後、150℃/hの冷却速度で600℃まで徐冷した後、空冷することで行った。この焼鈍(3)は、「A1 変態点未満の温度での歪み取り焼鈍」に相当する。
このようにしてNo. 1−1〜1−6のリング状素材を各50個作製した。次に、各リング状素材を、外輪形状に旋削(旋盤で切削)することにより、外輪前駆体(熱処理前の外輪)を得た。この外輪前駆体の軌道溝21の位置での真円度を測定した。
次に、これらの外輪前駆体の軌道溝21の残留応力を、X線回折装置により、軌道溝21の表面から内側に100μm〜150μmとなる位置で測定し、その最大値を調べた。そして、50個の結果から平均値を算出した。この平均値を「残留応力」として下記の表1に示す。なお、「−」の残留応力は「圧縮残留応力」であることを示す。
次に、No. 1−1〜1−6の外輪前駆体に焼入れと焼戻しを行った。
No. 1−1とNo. 1−4の外輪前駆体に対する焼入れおよび焼戻しは、以下の条件で行った。焼入れ時の加熱条件は、圧力:大気圧、温度:820〜900℃、処理時間:25〜35分間である。焼入れ時の冷却条件は、圧力:大気圧、窒素ガスの流速:5〜15m/秒、処理時間:10〜15分である。これを表1に「窒素ガス冷却(1)」と示す。この「窒素ガス冷却(1)」は「処理品に大気圧下で気体を当てる方法」に相当する。焼戻しの条件は、温度:160〜180℃、処理時間:90〜120分、冷却:空冷の条件である。
No. 1−2とNo. 1−5の外輪前駆体に対する焼入れおよび焼戻しは、以下の条件で行った。焼入れ時の加熱条件は、圧力:大気圧、温度:820〜900℃、処理時間:25〜35分間である。焼入れ時の冷却条件は、圧力:大気圧、窒素ガスの流速:15〜30m/秒、処理時間:10〜15分である。これを表1に「窒素ガス冷却(2)」と示す。この「窒素ガス冷却(2)」は「処理品に大気圧下で気体を当てる方法」に相当する。焼戻しの条件は、温度:160〜180℃、処理時間:90〜120分、冷却:空冷の条件である。
No. 1−3とNo. 1−6の外輪前駆体に対する焼入れおよび焼戻しは、以下の条件で行った。焼入れ時の加熱条件は、圧力:大気圧、温度:820〜860℃、処理時間:25〜35分間である。焼入れ時の冷却条件は、油温度:60〜100℃、処理時間:10〜15分である。これを表1に「油冷却」と示す。
次に、この熱処理後の外輪前駆体の軌道溝21の位置での真円度を測定した。そして、全ての外輪前駆体について、熱処理前後の真円度の差(「熱処理後の真円度の平均値」−「熱処理前の真円度の平均値」)を算出した。そして、同じ条件で得られた50個の算出値(熱処理前後の真円度の差)から、各条件での平均値を算出した。その算出値も表1に示す。次に、この外輪前駆体に対して研削処理を行うことにより、外輪を完成させた。
Figure 2006219725
この表から分かるように、冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する「焼鈍(2)」を行い、焼入れ時の冷却を大気圧下で窒素ガスにより行ったNo. 1−1とNo. 1−2では、圧縮残留応力が40MPaおよび80MPaと小さく、熱処理前後での変形量(真円度の差)が42μmおよび65μmと小さかった。
これに対して、冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する「焼鈍(2)」を行ったが、焼入れ時の冷却を油で行ったNo. 1−3では、圧縮残留応力が90MPaと大きく、熱処理前後での変形量(真円度の差)が140μmと大きかった。また、A1 変態点未満の温度での「歪み取り焼鈍」に相当する「焼鈍(3)」を行ったNo. 1−4〜No. 1−6では、圧縮残留応力が110〜220MPaと大きく、熱処理前後での変形量(真円度の差)も150〜220μmと大きかった。
この結果から分かるように、冷間加工後の焼鈍をA1 変態点以上の温度で行い、焼入れ時の冷却を大気圧下で窒素ガスにより行うことにより、外輪前駆体の表面近傍での圧縮残留応力を80MPa以下にでき、これに伴って、熱処理前後での変形量(真円度の差)を42〜65μmと小さくできる。
[試験2]
試験1と同じ方法で得られた「冷間加工された鋼管」に対して、No. 2−1〜2−15では前述の「焼鈍(2)」を、No. 2−16〜2−30では前述の「焼鈍(3)」を行った。次に、各焼鈍後の鋼管を外輪2の幅に対応させた幅に切断してリング状素材を作製した。このようにしてNo. 2−1〜2−30のリング状素材を各50個作製した。
次に、各リング状素材を各外輪形状に旋削することにより、No. 3−1〜3−30の外輪前駆体(熱処理前の外輪)を得た。次に、これらの外輪前駆体の軌道溝21の位置での真円度(熱処理前の真円度)を測定した。
次に、No. 2−1〜2−30の外輪前駆体に焼入れと焼戻しを行った。
No. 2−1〜2−5とNo. 2−16〜2−20に対する焼入れおよび焼戻しは、以下の条件で行った。焼入れ時の加熱条件は、圧力:大気圧、温度:820〜900℃、処理時間:25〜35分間である。焼入れ時の冷却条件は、圧力:大気圧、窒素ガスの流速:5〜15m/秒、処理時間:10〜15分である。これを表2に「窒素ガス冷却(1)」と示す。この「窒素ガス冷却(1)」は「処理品に大気圧下で気体を当てる方法」に相当する。焼戻しの条件は、温度:160〜180℃、処理時間:90〜120分、冷却:空冷の条件である。
No. 2−6〜2−10とNo. 2−21〜2−25の外輪前駆体に対する焼入れおよび焼戻しは、以下の条件で行った。焼入れ時の加熱条件は、圧力:大気圧、温度:820〜900℃、処理時間:25〜35分間である。焼入れ時の冷却条件は、圧力:大気圧、窒素ガスの流速:15〜30m/秒、処理時間:10〜15分である。これを表2に「窒素ガス冷却(2)」と示す。この「窒素ガス冷却(2)」は「処理品に大気圧下で気体を当てる方法」に相当する。焼戻しの条件は、温度:160〜180℃、処理時間:90〜120分、冷却:空冷の条件である。
No. 2−11〜2−15とNo. 2−26〜2−30の外輪前駆体に対する焼入れおよび焼戻しは、以下の条件で行った。焼入れ時の加熱条件は、圧力:大気圧、温度:820〜860℃、処理時間:25〜35分間である。焼入れ時の冷却条件は、油温度:60℃、処理時間:10〜15分である。これを表2に「油冷却」と示す。
次に、この熱処理後の外輪前駆体の軌道溝21の位置での真円度を測定した。そして、全ての外輪前駆体について、熱処理前後の真円度の差(「熱処理後の真円度の平均値」−「熱処理前の真円度の平均値」)を算出した。そして、同じ条件で得られた50個の算出値(熱処理前後の真円度の差)から、各条件での平均値を算出した。その算出値も表2に示す。次に、この外輪前駆体に対して研削処理を行うことにより、外輪を完成させた。
また、No. 2−1〜2−5について、完成した外輪の軌道面の表面硬さを、ビッカース硬度計により測定し、同じ条件の50個のサンプル毎に、その平均値を算出した。その結果を図3にグラフで示す。
Figure 2006219725
この表から以下のことが分かる。
No. 2−1〜2−3、No. 2−6〜2−8、No. 2−11〜2−13、No. 2−16〜2−18、No. 2−21〜2−23、No. 2−26〜2−28は、リング状素材の外径(a)に対する厚さ(t)の比(t/a)が0.050以下である。
これらのサンプルを比較すると、冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する「焼鈍(2)」を行い、焼入れ時の冷却を大気圧下で窒素ガスにより行ったNo. 2−1〜2−3およびNo. 2−6〜2−8では、熱処理前後での変形量(真円度の差)が42〜83μmと小さかった。
これに対して、冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する「焼鈍(2)」を行ったが、焼入れ時の冷却を油で行ったNo. 2−11〜2−13と、A1 変態点未満の温度での「歪み取り焼鈍」に相当する「焼鈍(3)」を行ったNo. 2−16〜2−18、No. 2−21〜2−23、およびNo. 2−26〜2−28では、熱処理前後での変形量(真円度の差)が140〜340μmと大きかった。
No. 2−4、2−5、2−9、2−10、2−14、2−15、2−19、2−20、2−24、2−25、2−29、2−30は、リング状素材の外径(a)に対する厚さ(t)の比(t/a)が0.050を超える。
これらのサンプルを比較すると、冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する「焼鈍(2)」を行い、焼入れ時の冷却を大気圧下で窒素ガスにより行ったNo. 2−4、2−5、2−9、2−10では、熱処理前後での変形量(真円度の差)が30〜50μmであった。
冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する「焼鈍(2)」を行ったが、焼入れ時の冷却を油で行ったNo. 2−14、2−15と、A1 変態点未満の温度での「歪み取り焼鈍」に相当する「焼鈍(3)」を行ったNo. 2−19、2−20、2−24、2−25、2−29、2−30では、熱処理前後での変形量(真円度の変化)が60〜150μmであった。
すなわち、比(t/a)が0.050を超える場合には、冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する「焼鈍(2)」を行い、焼入れ時の冷却を大気圧下で窒素ガスにより行った場合と、冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」に相当する「焼鈍(2)」を行ったが、焼入れ時の冷却を油で行った場合および、A1 変態点未満の温度での「歪み取り焼鈍」に相当する「焼鈍(3)」を行った場合との比較で、熱処理前後での変形量(真円度の差)に、比(t/a)が0.050以下の場合のような極端に大きな差はなかった。
したがって、冷間加工後に「A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍」を行い、焼入れ時の冷却を大気圧下で窒素ガスにより行うことは、比(t/a)が0.050以下の場合に特に効果的であることが分かる。
また、図3のグラフから、比(t/a)が0.050以下であると表面硬さ(Hv)が700以上となって、外輪として十分な硬さが得られることが分かる。
また、試験1および試験2の結果から、「窒素ガス冷却(1)」と「窒素ガス冷却(2)」とでは、「窒素ガス冷却(1)」を採用した方が良好な結果が得られることが分かる。すなわち、焼入れ時の冷却に使用するガスの流速の違いによって、熱処理前後の変形量が変化するため、前記流速を適正値に設定することで変形量をより小さくすることができる。
なお、この実施形態では、全サンプルで、冷間加工後の焼鈍と切断を、焼鈍→切断の順で行っているが、切断→焼鈍の順で行った場合でも同様の効果が得られる。
単列深溝玉軸受(転がり軸受)の一例を示す断面図である。 図1の軸受の外輪を示す断面図である。 外輪の軌道面の表面硬さ(Hv)と比(t/a)との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
21 外輪の軌道溝
3 玉
4 保持器

Claims (4)

  1. 冷間加工された鋼管に対して焼鈍と切断を行うことにより、所定幅のリング状素材を得た後、このリング状素材に対して、切削、焼入れ、焼戻し、および研削を行うことにより、転がり軸受の内輪または外輪を製造する方法において、
    前記焼鈍をA1 変態点以上の温度で行い、
    前記焼入れ時の冷却を、処理品に大気圧下で気体を当てる方法で行うことを特徴とする軸受軌道輪の製造方法。
  2. 前記焼鈍として、A1 変態点以上の温度に保持する過程を含む球状化焼鈍を行う請求項1記載の軸受軌道輪の製造方法。
  3. 前記焼鈍により、前記リング状素材の表面から内側に100μm〜150μmとなる位置での圧縮残留応力を80MPa以下にする請求項1記載の軸受軌道輪の製造方法。
  4. 前記リング状素材の外径(a)に対する厚さ(t)の比(t/a)が0.050以下である請求項1記載の軸受軌道輪の製造方法。
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