JP5195081B2 - 車輪支持用転がり軸受ユニット及びその製造方法 - Google Patents

車輪支持用転がり軸受ユニット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニット及びその製造方法に関する。
自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットは、一般的には、以下のような構造を有している。すなわち、外周面に複列の軌道面を有する内方部材と、内周面に複列の軌道面を有する外方部材と、内方部材の軌道面と外方部材の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備えており、内方部材が回転輪、外方部材が固定輪(非回転輪)とされている。
また、内方部材の外周面には、車輪を取り付けるためのフランジが設けられ、外方部材の外周面には、懸架装置を取り付けるためのフランジが設けられている。そして、このような車輪支持用転がり軸受ユニットは、前述のフランジが内方部材や外方部材に一体化された構造となっている。
車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する内方部材,外方部材は、例えばS53Cのような機械構造用炭素鋼の中炭素鋼を材料とし、以下のようにして製造される。すなわち、鋼製素材に複数工程の熱間鍛造を順次施して所定の形状に段階的に成形した後に冷却し、さらに必要により旋削,研削,削孔等を施して、初析フェライトとパーライトとが複合したフェライト−パーライト組織を有する内方部材,外方部材を得る。
車輪支持用転がり軸受ユニットの駆動時には、内方部材,外方部材に応力が負荷されるので、内方部材,外方部材には高い強度が要求される。しかも、従来は高い応力が負荷されていなかった部位は、コスト面から焼入れは施されずに前記熱間鍛造が施されたままの表面状態で使用されることが多かったが、近年においては省エネルギー化のために薄肉化,軽量化が進み、このような部位にも高い応力が負荷される場合があるので、このような部位においても高い強度が要求される。
例えば、軽量化のために、内方部材の軸方向一端部に凹部を形成する場合があるが、内方部材の軸方向長さaと凹部の軸方向長さbとの比b/aが0.2以上であると、内方部材のうち凹部が形成されている軸方向一端部に、比較的大きな荷重が負荷される可能性が高くなる。
そこで、複数工程の熱間鍛造のうち最終工程の熱間鍛造を、A1 点以上A3 点よりも100℃高い温度以下の温度域(S53Cの場合はおよそ750〜850℃)で所定の歪を加えるように行うことにより、結晶粒径を微細(10μm以下)にして強度を高める方法が、特許文献1に提案されている。
特開2007−23321号公報 特開2007−24273号公報 特開2004−100946号公報
しかしながら、車輪支持用転がり軸受ユニットに用いられる、炭素の含有量が0.4〜0.6質量%である鋼材においては、結晶粒径を微細にすると軟質な初析フェライトが増加するため硬さの低下を招き、かえって強度が低下する場合があった。これを防止するためには、熱間鍛造後の冷却速度を速くする必要があるが、前述のように結晶粒径が過度に微細になった場合は、生産工程上実現できる冷却速度(放冷やファン等による送風冷却での冷却速度)では初析フェライトの増加を十分に抑制することができず、硬さが低下してしまうおそれがあった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高い強度を有し長寿命な車輪支持用転がり軸受ユニット及びその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記内方部材の軌道面と前記外方部材の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える車輪支持用転がり軸受ユニットを製造するに際して、鋼製素材に熱間鍛造を施して所定の形状に成形した後に、少なくとも前記軌道面に高周波焼入れを施して硬化することにより、前記内方部材及び前記外方部材の少なくとも一方を得るとともに、前記熱間鍛造を、下記の条件A,条件B,条件C,及び条件Dを満足するように行い、前記熱間鍛造と前記高周波焼入れの間に行う冷却工程を、下記の条件Eを満足するように行うことを特徴とする。
条件A)前記熱間鍛造時における前記鋼製素材の温度を1200℃以下とする。
条件B)前記内方部材又は前記外方部材のうち、前記高周波焼入れは施されず前記熱間鍛造が施されたままの表面状態で使用される非調質部位は、900℃以上1100℃以下の加工温度で熱間鍛造される。
条件C)前記熱間鍛造によって、前記非調質部位には0.3以上1.5以下のvon Mises歪が導入される。
条件D)[前記加工温度]−150×[前記von Mises歪]なる式で定義される熱間鍛造パラメータPF が1000以下である。
条件E)前記冷却工程の冷却速度は0.25℃/s以上3℃/s以下である。
また、本発明に係る請求項2の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、請求項1に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法において、前記内方部材の軸方向一端部には凹部が形成されており、前記内方部材の軸方向長さaと前記凹部の軸方向長さbとの比b/aが0.2以上であり、前記内方部材のうち前記凹部が形成されている軸方向一端部が前記非調質部位に相当することを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項3の車輪支持用転がり軸受ユニットは、外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記内方部材の軌道面と前記外方部材の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、請求項1に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法で製造され、前記非調質部位においては、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で6以上9以下となっており、且つ、脱炭深さが0.3mm以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4の車輪支持用転がり軸受ユニットは、請求項3に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、前記内方部材の軸方向一端部には凹部が形成されており、前記内方部材の軸方向長さaと前記凹部の軸方向長さbとの比b/aが0.2以上であり、前記内方部材のうち前記凹部が形成されている軸方向一端部が前記非調質部位に相当することを特徴とする。
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法によれば、高い強度を有し長寿命な車輪支持用転がり軸受ユニットを容易に製造することができる。また、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、高い強度を有し長寿命である。
本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニット及びその製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、車輪支持用転がり軸受ユニットの構造を示す断面図である。なお、本実施形態においては、車輪支持用転がり軸受ユニットを自動車等の車両に取り付けた状態において、車両の幅方向外側を向いた部分を外端側部分と称し、幅方向中央側を向いた部分を内端側部分と称する。すなわち、図1においては、左側が外端側となり、右側が内端側となる。
図1の車輪支持用転がり軸受ユニット1は、ハブ輪2と、内輪3と、外輪4と、二列の転動体5,5と、転動体5を保持する保持器6,6と、を備えている。ハブ輪2の内端側部分には外径の小さい円筒部11が形成されており、該円筒部11に内輪3が圧入されている。そして、内輪3よりも内端側に突出している円筒部11の先端部分が径方向外方に加締め広げられて、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されている。ただし、内輪3とハブ輪2とを、ナットにより一体的に固定してもよい。この場合には、ナットによって内輪3に必要な予圧を付与することができる。そして、ハブ輪2及び内輪3の外方には、略円筒形状の外輪4が同心に配されている。なお、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されたものが、本発明の構成要件である内方部材に相当し、外輪4が本発明の構成要件である外方部材に相当する。
ハブ輪2の外周面の軸方向中間部及び内輪3の外周面には、それぞれ軌道面が形成されており、ハブ輪2の軌道面は第一内側軌道面20a、内輪3の軌道面は第二内側軌道面20bとされている。また、外輪4の内周面には、前記両内側軌道面20a,20bに対向する軌道面が形成されており、第一内側軌道面20aに対向する軌道面は第一外側軌道面21a、第二内側軌道面20bに対向する軌道面は第二外側軌道面21bとされている。さらに、第一内側軌道面20aと第一外側軌道面21aとの間、及び、第二内側軌道面20bと第二外側軌道面21bとの間には、それぞれ複数の転動体5が転動自在に配されている。なお、図示の例では、転動体として玉を使用しているが、車輪支持用転がり軸受ユニット1の用途等に応じて、ころを使用してもよい。
さらに、外輪4の外端側部分の内周面とハブ輪2の中間部の外周面との間には、シール装置7が設けられている。さらに、ハブ輪2の軸方向一端部(外端側部分U)には、軽量化のために凹部15が形成されている。
さらに、ハブ輪2の外周面の外端側部分には、図示しない車輪を固定するための車輪取り付け用フランジ10が径方向外方に突出して設けられている。そして、外輪4の外周面には、車輪取り付け用フランジ10から離間する側の端部に、懸架装置取り付け用フランジ13が径方向外方に突出して設けられている。
このような車輪支持用転がり軸受ユニット1を自動車等の車両に組み付けるには、懸架装置取り付け用フランジ13を図示しない懸架装置に固定し、車輪を車輪取り付け用フランジ10に固定する。その結果、車輪支持用転がり軸受ユニット1によって車輪が懸架装置に対し回転自在に支持される。すなわち、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されたものが回転輪となり、外輪4が固定輪(非回転輪)となる。
このような車輪支持用転がり軸受ユニット1において、ハブ輪2,内輪3,及び外輪4は、鋼製素材に熱間鍛造を施して所定の形状に成形してなる熱間鍛造品である。熱間鍛造品の製造方法を、ハブ輪2を例にして説明する。ハブ輪2は複雑な形状で、1工程の熱間鍛造で成形することは困難なので、円柱形状の鋼製素材に複数工程の熱間鍛造を順次施して段階的に形状を変化させていくことにより成形する。
熱間鍛造の工程数は特に限定されるものではないが、通常は3〜4工程である。例えば3工程の場合は、第一工程で据え込みを行い、第二工程で荒成形を行い、第三工程で仕上げ成形を行う。そして、これら複数工程の熱間鍛造を、下記の条件A,条件B,条件C,及び条件Dを満足するように行う。
条件A)熱間鍛造を開始するにあたって、まず鋼製素材を加熱するが、この加熱温度を1200℃以下とする。そして、熱間鍛造中の鋼製素材の温度が1200℃を超えないように制御する。もちろん、前記加熱温度は、後述する熱間鍛造時の加工温度と同一か又は加工温度よりも高温とする。
条件B)ハブ輪2のうち第一内側軌道面20aを含む外周面には、熱間鍛造の後に高周波焼入れが施されるが、凹部15が形成されている外端側部分Uや車輪取り付け用フランジ10には高周波焼入れは施されず、熱間鍛造が施されたままの硬化されていない表面状態で使用される。このような非調質部位は、すなわち、外端側部分Uや車輪取り付け用フランジ10などは、900℃以上1100℃以下の加工温度で熱間鍛造される。
条件C)この熱間鍛造によって、前記非調質部位には0.3以上1.5以下のvon Mises歪が導入される。
条件D)[前記加工温度]−150×[von Mises歪]なる式で定義される熱間鍛造パラメータPF が1000以下である。
次に、このような熱間鍛造の後に熱間鍛造品の冷却を行うが、この冷却工程を、下記の条件Eを満足するように行う。
条件E)冷却工程の冷却速度は0.25℃/s以上3℃/s以下である。
この冷却工程が終了したら外周面に高周波焼入れを施し、第一内側軌道面20aを形成する。そして、必要により旋削,研削,削孔等を施して、ハブ輪2を完成する。
このようにして製造されたハブ輪2は、温度,歪量,冷却速度が制御されつつ熱間鍛造及び冷却が行われたので、その前記非調質部位においては、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で6以上9以下となっている。そして、前記非調質部位は、軟質な初析フェライトの増加が抑制されており、適正なフェライト−パーライト組織を有しているので、優れた延性と強度とを有している。
また、熱間鍛造中の鋼製素材の温度が1200℃を超えないように制御されていたので、熱間鍛造において不可避の現象である脱炭現象が抑制され、脱炭深さは0.3mm以下となっている。その結果、脱炭現象による強度低下が抑制される。
ハブ輪2の各部位には、車輪支持用転がり軸受ユニット1の駆動時に応力が負荷されることとなるが、焼入れが施されず熱間鍛造が施されたままの表面状態で使用される非調質部位は、強度がそれほど高くないため、応力に耐えることができず損傷が生じるおそれがある。しかしながら、上記のようにして製造したハブ輪2は、熱間鍛造の後に焼入れが施されず熱間鍛造が施されたままの表面状態で使用される非調質部位であっても高強度である。よって、車輪支持用転がり軸受ユニット1は、高強度で長寿命である。しかも、製造において高コストな焼入れを全体に施さなくてもよいので、車輪支持用転がり軸受ユニット1は安価である。
特に、軽量化のために外端側部分Uの凹部15を大きくすると、該部分Uに負荷される応力が高くなり、ハブ輪2の軸方向長さaと凹部15の軸方向長さ(ハブ輪2の外端と凹部15の底部との間の軸方向距離)bとの比b/aが0.2以上であると、強度が十分ではない該部分Uに高い応力が負荷される可能性が高くなるが、上記のような条件を満たす熱間鍛造及び冷却を行えば非調質部位が高強度なので、高い応力に耐えることができ、軽量化が可能である。
なお、本発明は、種々の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用することが可能である。例えば、車輪取り付け用フランジがハブ輪や外輪と別体に設けられた、所謂第一世代の車輪支持用転がり軸受ユニット、車輪取り付け用フランジ又は懸架装置取り付け用フランジが外輪と一体に設けられた、所謂第二世代の車輪支持用転がり軸受ユニット、車輪取り付け用フランジ及び懸架装置取り付け用フランジがそれぞれ内輪及び外輪のいずれかと一体に設けられた、所謂第三世代の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用することが可能である。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。円柱形状のS53C製素材に、前述と同様の3工程の熱間鍛造を施してハブ輪の形状に成形し、その後に冷却した。主に外端側部分に凹部を形成する工程である第二工程の熱間鍛造の条件(素材の加熱温度、並びに外端側部分における加工温度、von Mises歪、及び熱間鍛造パラメータPF )及び冷却工程の冷却速度を、表1に示す。
なお、加熱温度及び加工温度は、放射温度計を用いてワーク表面の温度を測定することにより求めた。また、von Mises歪は熱間鍛造時の形状寸法を変更することにより調整し、有限要素法を用いて求めた。さらに、冷却速度は、空冷ファンの風量と風速によって調整した。
Figure 0005195081
得られた熱間鍛造品にショットブラストを施して表面の酸化スケールを除去した後に、旋削加工,高周波焼入れ,焼戻し,研削加工,及び超仕上げ加工を施して、ハブ輪を得た。そして、このハブ輪を用いて、前述の車輪支持用転がり軸受ユニット1とほぼ同様の構成の車輪支持用転がり軸受ユニットを製造した。この車輪支持用転がり軸受ユニットの複列の軌道面間の軸方向距離は59mm、転動体である玉の個数は1列あたり12個、ハブ輪の軸方向長さaと凹部の軸方向長さbとの比b/aは0.3である。
この車輪支持用転がり軸受ユニットの車輪取り付け用フランジに、ハブボルトを介してアキシアル荷重3500N及びラジアル荷重4000Nを入力し、車輪支持用転がり軸受ユニットを回転速度300min-1で回転させて、繰り返し応力を付与した。そして、100時間回転を続け、凹部が形成された外端側部分の損傷(割れ)の有無を観察した。結果を表1に示す。なお、表1の「○」印は、100時間回転させても損傷が無かったことを示し、「△」印は、100時間回転後に亀裂が確認されたことを示し、「×」印は、100時間未満で破損し回転を続けられなかったことを示す。
また、表1には、外端側部分の旧オーステナイト結晶粒度(日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度)及び脱炭深さも示してある。旧オーステナイト結晶粒度の測定方法は、以下の通りである。ハブ輪を軸方向に平行な平面で破断し、その断面を研磨した後にナイタール腐食液でエッチングして、ハブ輪の外端側部分の最表面から1.0mm内側の部分(すなわち脱炭の生じていない部分)について旧オーステナイト結晶粒度を測定した。表1に記載の数値は粒度番号である。また、脱炭深さの測定方法は、以下の通りである。旧オーステナイト結晶粒度の場合と同様にエッチングして、その断面を金属顕微鏡で観察した。そして、脱炭に伴う変化が金属組織に見られなくなる最表面からの深さを、脱炭深さとした。
非焼入れ部(非調質部位)の疲労強度を高めるためには、結晶粒を微細にすることが効果的である。非焼入れ部の結晶粒(フェライト−パーライト組織における旧オーステナイト結晶粒)は、熱間鍛造時に再結晶が生じて形成されるが、加工温度を低くするほど、導入される歪量を大きくするほど、結晶粒を微細にすることができる。
本発明者は、さらに鋭意検討を行った結果、熱間鍛造を前述の条件A,条件B,条件C,及び条件Dを満足するように行うことによって(実施例1〜8)、適正なフェライト−パーライト組織を有し且つ旧オーステナイト結晶粒度を粒度番号で6以上9以下とすることができ、高い疲労強度が得られることを見出した。そのため、実施例1〜8は、前述した条件で100時間回転させた後にもハブ輪の外端側部分に破損は見られず、優れた疲労強度を有していた。
比較例3のように加工温度が900℃未満であると、結晶粒が過度に微細となるため、初析フェライトが増加して硬さが低下する。そのため、疲労強度が不十分であった。また、比較例1のように加工温度が1100℃超過であると、十分なvon Mises歪を加えても結晶粒が微細にならないため、十分な疲労強度が得られなかった。
さらに、比較例4のようにvon Mises歪が0.3未満であると、十分に再結晶できないため、加工温度が適切であっても結晶粒が微細にならず、高い疲労強度が得られなかった。さらに、von Mises歪が1.5超過であると、加工発熱が生じて、かえって結晶粒が大きくなってしまう場合や、加工温度が低い場合には金型への負荷が大きくなるおそれがあるため、好ましくない。
さらに、比較例2のように、加工温度及びvon Mises歪が適正であっても、熱間鍛造パラメータPF が1000超過であると、結晶粒が微細にならず十分な疲労強度が得られなかった。
ただし、結晶粒が過度に微細であると、軟質な初析フェライトが増加してしまうため、硬さが低下して、かえって疲労強度が低下するおそれがある。初析フェライトは、結晶粒が大きいほど、熱間鍛造後の冷却工程における冷却速度が速いほど少量となる。すなわち、冷却速度を0.25℃/s以上とすることによって、硬さの低下を抑制することができる。一方、冷却速度が3℃/sよりも大きいと、局部的にマルテンサイト変態を生じるため、割れ等が発生するおそれがある。比較例5は冷却速度が遅いため、疲労強度が不十分であった。なお、本発明における冷却速度は、熱間鍛造の終了後から550℃に低下するまでの冷却速度を意味する。
また、熱間鍛造においては脱炭は不可避の現象であるが、脱炭により硬さが低下するため疲労強度も低下してしまう。比較例6,7は、加熱温度が1200℃超過で脱炭深さが大きかったため、疲労強度が不十分となった。
なお、ショットブラストを行ったが、これは酸化スケールを除去するだけでなく、ハブ輪の表面に圧縮の残留応力を付与できるため、熱間鍛造の後に焼入れが施されず熱間鍛造が施されたままの表面状態で使用される非調質部位の強度向上に寄与する。比較例6,7は、脱炭深さが大きく、ショットブラストの効果が十分に得られなかったと考えられるので、このことも疲労強度が不十分となった一因であると考えられる。
車輪支持用転がり軸受ユニットの構造を示す部分断面図である。
符号の説明
1 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 ハブ輪
3 内輪
4 外輪
5 転動体
10 車輪取り付け用フランジ
13 懸架装置取り付け用フランジ
15 凹部
20a 第一内側軌道面
20b 第二内側軌道面
21a 第一外側軌道面
21b 第二外側軌道面
a ハブ輪の軸方向長さ
b 凹部の軸方向長さ
U 外端側部分

Claims (4)

  1. 外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記内方部材の軌道面と前記外方部材の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える車輪支持用転がり軸受ユニットを製造するに際して、
    鋼製素材に熱間鍛造を施して所定の形状に成形した後に、少なくとも前記軌道面に高周波焼入れを施して硬化することにより、前記内方部材及び前記外方部材の少なくとも一方を得るとともに、
    前記熱間鍛造を、下記の条件A,条件B,条件C,及び条件Dを満足するように行い、前記熱間鍛造と前記高周波焼入れの間に行う冷却工程を、下記の条件Eを満足するように行うことを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
    条件A)前記熱間鍛造時における前記鋼製素材の温度を1200℃以下とする。
    条件B)前記内方部材又は前記外方部材のうち、前記高周波焼入れは施されず前記熱間鍛造が施されたままの表面状態で使用される非調質部位は、900℃以上1100℃以下の加工温度で熱間鍛造される。
    条件C)前記熱間鍛造によって、前記非調質部位には0.3以上1.5以下のvon Mises歪が導入される。
    条件D)[前記加工温度]−150×[前記von Mises歪]なる式で定義される熱間鍛造パラメータPF が1000以下である。
    条件E)前記冷却工程の冷却速度は0.25℃/s以上3℃/s以下である。
  2. 前記内方部材の軸方向一端部には凹部が形成されており、前記内方部材の軸方向長さaと前記凹部の軸方向長さbとの比b/aが0.2以上であり、前記内方部材のうち前記凹部が形成されている軸方向一端部が前記非調質部位に相当することを特徴とする請求項1に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
  3. 外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記内方部材の軌道面と前記外方部材の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、
    請求項1に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法で製造され、前記非調質部位においては、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で6以上9以下となっており、且つ、脱炭深さが0.3mm以下であることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
  4. 前記内方部材の軸方向一端部には凹部が形成されており、前記内方部材の軸方向長さaと前記凹部の軸方向長さbとの比b/aが0.2以上であり、前記内方部材のうち前記凹部が形成されている軸方向一端部が前記非調質部位に相当することを特徴とする請求項3に記載の車輪支持用転がり軸受ユニット。
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