JP4423858B2 - 車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対し回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の改良に関し、特に、周面に車輪又は懸架装置の一部を結合固定する為のフランジを有し、少なくとも軌道部(内輪軌道又は外輪軌道)に高周波焼き入れにより硬化層を形成した内方部材又は外方部材を備えた車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車輪を懸架装置に対し回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットは、外周面に内輪軌道を有する内方部材と、内周面に外輪軌道を有する外方部材と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備える。又、上記内方部材と外方部材とのうちの少なくとも一方の部材の周面に、車輪又は懸架装置の一部を結合固定する為のフランジを設けた、複雑な形状を有する車輪支持用転がり軸受ユニットも、従来から多く使用されている。又、上記フランジの円周方向複数個所には、車輪や懸架装置の一部を結合固定する為のスタッドやボルトを挿通若しくは螺合する、通孔若しくはねじ孔を形成している。
【0003】
一方、転がり軸受の場合、使用時に、外輪軌道と内輪軌道とに、各転動体から高面圧が繰り返し負荷される。この為、転がり軸受の転がり疲れ寿命を確保する為には、上記外輪軌道及び内輪軌道の表面硬さと耐摩耗性とを高くする必要がある。この様な事情に鑑みて、従来から、一般的な転がり軸受として、SUJ2等の高炭素クロム鋼から成る素材に焼き入れ、焼き戻しを施す事により、この素材の表面全体を硬化させたものを使用する事が行なわれている。一般的な転がり軸受の使用時には、各軌道輪の軌道面に各転動体から加わる圧縮応力は、これら各軌道輪を構成する金属材料の内部に、剪断応力として作用する。この為に従来は、転がり軸受の長寿命化を図るべく、上記軌道面に繰り返し作用する剪断応力に関する対策を施していた。
【0004】
但し、上記車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する内方部材と外方部材とのうち、フランジを備えた部材は、一般的な転がり軸受を構成する内方部材及び外方部材と比較して、複雑な形状を有する。この為、熱間鍛造性や、切削性、孔あけ加工性を確保する事を考慮して、上記フランジを備えた部材を、S53C等の、Cを0.5重量%程度含む中炭素鋼により造ると共に、内輪軌道又は外輪軌道と当該軌道の周辺部とに高周波焼き入れにより硬化層を形成したものを使用する場合が多くなっている。この様な構造の場合、上記フランジを有する部材のうち、高周波焼き入れが施されていない部分は、熱間鍛造したままの(硬化処理が施されない)非調質部のままの状態で使用される。
【0005】
又、特許文献1には、内方部材と外方部材とのうち、使用時に車輪と共に回転する部材(回転部材)の加工性を確保すると共に、内輪軌道又は外輪軌道の転がり疲れ寿命の向上を図る事を目的として、この回転部材を、Cの含有量がS53Cよりも多く、且つ、SUJ2よりも少なく、更に、Si、Cr等の合金成分を添加した合金鋼により造る事が記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−200314号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
軌道輪の外周面にフランジを有する、車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、このフランジに車輪を固定、或はこのフランジを懸架装置に固定した状態での運転時に、このフランジを設けた軌道輪に、モーメント荷重に基づいて曲げ応力が発生する。従って、この軌道輪の軌道面には、転動体からの圧縮応力に加えて曲げ応力が加わり、この軌道輪を構成する金属材料の内部には、この圧縮応力に起因する剪断応力と、上記曲げ応力に起因する引っ張り応力とが同時に作用する。この為、この曲げ応力に起因する引っ張り応力に対する対策を施さないと、上記車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する、上記フランジを設けた軌道輪の寿命を十分に確保する事が難しくなる。
【0008】
特に、近年、自動車の燃費向上を目的として、自動車部品を薄肉化して軽量化させる傾向にあるが、薄肉化すると、上記軌道輪を構成する金属材料の内部に加わる曲げ応力が高くなる。従って、車輪支持用転がり軸受ユニットの軽量化を十分に図る為には、上記曲げ応力に起因する引っ張り応力に対する対策を施す事が必要になる。
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
本発明の製造方法の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットは、前述した従来から知られている車輪支持用転がり軸受ユニットと同様に、外周面に内輪軌道を有する内方部材と、内周面に外輪軌道を有する外方部材と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備える。
この様な車輪支持用転がり軸受ユニットを対象とする本発明の製造方法は、上記内方部材と外方部材とのうちの少なくとも一方の部材で外周面にフランジを備えた部材(軌道輪)を造る為、Cを0.45〜0.60重量%、Mnを0.3〜1.5重量%、Siを0.1〜1.0重量%、Crを0.01〜0.5重量%、Sを0.035重量%以下、Oを15ppm以下、それぞれ含有し、残部を鉄及び不可避不純物とした鋼に、熱間鍛造を施して上記フランジを備えた部材を成形した後、このフランジを備えた部材の周面に設けた軌道部分に、高周波焼き入れによって硬化層を形成する事で、この硬化層の表面から深さ0.1mm位置部分の硬さをHv670以上とし、且つ、この硬化層の金属組織の旧オーステナイトの結晶の粒径を、JIS粒度番号で、8以上とする。
【0010】
【作用】
上述の様に構成する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合、外周面にフランジを備えた部材の性状を適正にしている為、このフランジからこの部材に加わる曲げ応力に起因する引っ張り応力に基づく、この部材の耐久性低下を抑えられる。
即ち、前述した様に車輪支持用転がり軸受ユニットの使用時には、フランジを備えた部材の軌道面に、各転動体からの圧縮応力に起因する剪断応力に加えて、上記フランジからの曲げ応力に基づく引っ張り応力が加わる。この為、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する、上記フランジを備えた部材の寿命を確保する為には、上記剪断応力と引っ張り応力に対する対策が必要である。
【0011】
上述の様な構成を有する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合には、軌道部分に硬化層を、高周波焼き入れによって形成し、この硬化層の表面から深さ0.1mm位置部分の硬さをHv670以上としている為、上記剪断応力に基づく軌道部分の耐久性低下を抑えられる。即ち、上記部分を十分に(Hv670以上に)硬くする事で、上記各転動体から加わる圧縮応力に基づく、上記軌道部分の弾性変形量を少なく抑えられ、この軌道部分に加わる剪断応力を小さく抑えられる。上記深さ0.1mm位置部分の硬さがHv670未満の場合には、上記剪断応力を十分に小さくできず、必ずしも十分な耐久性を得られない。尚、硬化層の硬さの規定を、表面から深さ0.1mm位置部分の硬さとした理由は、上記圧縮応力に基づいて、軌道輪を構成する金属材料に作用する剪断応力は、表面よりも、この表面から僅かに内部に入った部分の方が高くなる為である。
【0012】
上記表面から深さ0.1mm位置部分の硬さをHv670以上とする為に、上記フランジを備えた部材は、Cを0.45〜0.60重量%含む鋼製とする。この鋼中のCの含有量が0.45重量%未満の場合には、上記部材の軌道部分に高周波焼き入れを施しても、この軌道部分の硬さを十分に高く(Hv670以上に)できず、上記剪断応力に基づく耐久性低下を十分に抑える事ができない。これに対して、上記鋼中のCの含有量が0.60重量%を超えると、上記フランジを備えた部材の熱間鍛造性及び切削加工性が低下する。このフランジを備えた部材を造る際には、熱間鍛造時の加工量が大きく、切削加工による加工箇所も多い。従って、上記熱間鍛造性及び切削加工性が低下すると、車輪支持用転がり軸受ユニットの製造コストが嵩む為、好ましくない。この為、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合には、フランジを備える部材を構成する鋼材中のCの含有量は、0.45〜0.60重量%とした。尚、上記車輪支持用転がり軸受ユニットに組み込まれる部材のうちで、フランジを備えない部材を構成する鋼中のCの含有量は、0.6重量%を超えても良い。例えば、このフランジを備えない部材を、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼により造っても良い。
【0013】
又、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合には、軌道部分の硬化層の旧オーステナイトの結晶の粒径を、JIS粒度番号で8以上としている為、上記フランジから加わる曲げ応力に起因する引っ張り応力に基づく耐久性の低下を抑えられる。即ち、上記軌道部分は、高周波焼き入れ及び焼き戻しから成る熱処理を施す事でマルテンサイト組織になっているが、金属材料に引っ張り応力が作用すると、旧オーステナイト粒界に応力集中が生じる。上記軌道部分に、前記各転動体から繰り返し加わる前記剪断応力に加えて、上記引っ張り応力の応力集中が生じると、転がり疲労の進行に際して、疲労亀裂が開口し易くなり、上記軌道部分の転がり疲れ寿命が低下する。
【0014】
これに対して本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合には、上記軌道部分の硬化層の旧オーステナイトの結晶の粒径を、JIS粒度番号で8以上と細分化している。この為、この旧オーステナイトの結晶の粒界に生じる応力集中が緩和され、上記転がり疲労の進行に際して、疲労亀裂が開口しにくくなって、上記軌道部分の転がり疲れ寿命の向上を図れる。尚、上記旧オーステナイトの結晶の粒径が大きく、JIS粒度番号が8未満の場合には、この旧オーステナイトの結晶粒界への応力集中を緩和する効果が小さく、上記軌道部分の転がり疲れ寿命の低下を抑える効果を十分には得られない。
【0015】
尚、上記旧オーステナイトの結晶の粒径を小さくする為には、次の(1)〜(3)の方法の1乃至2以上を採用できる。
(1) 熱間鍛造の加熱保持温度を所定温度範囲内にする。
(2) 高周波焼き入れ時に、加熱保持温度を下げるか、又は、加熱保持時間を短くする。
(3) 結晶粒を微細化させる合金元素を添加する。
【0016】
このうちの(1)の方法は、オーステナイト粒の成長を抑えて、旧オーステナイトの結晶の粒径を小さくするものである。
即ち、本発明の製造方法の場合、車輪支持用転がり軸受ユニットに組み込まれるフランジを備える部材は、熱間鍛造によって成形し、切削加工を施した後、軌道部分を含む必要個所に高周波焼き入れを施す。この様な加工を施す場合に、熱間鍛造後の旧オーステナイトの結晶の粒径が大きいと、高周波焼き入れ後の旧オーステナイトの結晶の粒径も大きくなり易い。従って、高周波焼き入れ後の旧オーステナイトの結晶の粒径を小さく抑える為には、熱間鍛造後の旧オーステナイトの結晶の粒径を小さく抑える事が効果的である。
【0017】
熱間鍛造の為に、金属材料(鋼)を加熱すると、金属組織はオーステナイト組織になる。この際、熱間鍛造の加熱温度を高くする程、原子の拡散が活発になり、結晶粒が成長し易くなる為、旧オーステナイトの結晶の粒径は大きくなる。具体的には、鍛造時の加熱温度が1100℃を越えると、旧オーステナイトの結晶の粒径が粗大化し、前記軌道部分の転がり疲れ寿命を向上させる効果が小さくなる。これに対して、上記鍛造時の加熱温度が900℃未満の場合には、上記金属材料が十分に軟化せず、この金属材料の変形抵抗が大きくなって、熱間鍛造の為のプレス加工機及び金型の寿命を低下させる。これらの事を考慮した場合に、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、熱間鍛造の際の上記金属材料の加熱温度は、900〜1100℃とする。
【0018】
又、前記(2)の方法は、高周波焼き入れ時に旧オーステナイトの結晶の粒径が大きくなる事を抑えるものである。即ち、この高周波焼き入れ時に加熱保持した際に、金属組織はオーステナイト組織になる。この場合に、加熱温度を高くする程、原子の拡散が活発になって結晶粒が成長し易くなり、旧オーステナイトの結晶の粒径は大きくなる。又、加熱時間が長い程、結晶粒の成長が進行する為、やはり旧オーステナイトの結晶の粒径が大きくなる。従って、旧オーステナイトの結晶の粒径を小さくする為には、前記軌道部分を硬化させる為の高周波焼き入れ時に、加熱保持温度を下げたり、加熱保持時間を短くする事が効果的である。
【0019】
更に、前記(3)の方法は、熱間鍛造時及び高周波焼き入れ時に旧オーステナイトの結晶粒が成長する事を抑制する事で、この旧オーステナイトの結晶の粒径が大きくなる事を抑えるものである。この為に、請求項3に記載した様に、前記フランジを備えた部材を構成する金属材料中に、V、Ti、Nbのうちから選択される、1種又は2種以上を添加する。
このうちのVは、鋼中で炭化物或は炭窒化物を形成し、熱間鍛造時及び高周波焼き入れ時に、旧オーステナイトの結晶粒が成長するのを抑制し、旧オーステナイトの結晶の粒径を小さくして、結晶粒界に生じる応力集中を緩和し、上記軌道部分の転がり疲れ寿命の向上に寄与する。又、Vの炭化物或は炭窒化物は非常に硬度が高い為、高周波焼き入れされた軌道部分のマルテンサイト組織内に微細に分散させると、耐摩耗性が向上し、転がり疲れ寿命を向上させる効果がある。但し、Vの含有量が0.01重量%未満の場合には、これらの効果を十分には得られない。これに対して、Vの含有量が0.2重量%を超えると、熱間鍛造性、切削性、及び研削性が低下する。従って、上記金属材料中にVを含有させる場合に好ましくは、その含有量を0.01〜0.2重量%とする。
【0020】
又、NbもVと同様、鋼中で炭化物或は炭窒化物を形成し、旧オーステナイト粒の結晶の成長を抑制し、旧オーステナイトの結晶の粒径を小さくして、結晶粒界に生じる応力集中を緩和し、上記軌道部分の転がり疲れ寿命の向上に寄与する。但し、Nbの含有量が0.01重量%未満の場合には、この様な効果を十分には得られない。これに対して、Nbの含有量が0.15重量%を超えると、熱間鍛造性、切削性、及び研削性が低下する。従って、上記金属材料中にNbを含有させる場合に好ましくは、その含有量を0.01〜0.15重量%とする。
【0021】
更に、Tiも、V及びNbと同様、鋼中で炭化物或は炭窒化物を形成し、旧オーステナイトの結晶の成長を抑制し、結晶粒界に生じる応力集中を緩和し、上記軌道部分の転がり疲れ寿命の向上に寄与する。但し、Tiの含有量が0.01重量%未満の場合には、この様な効果を十分には得られない。これに対して、Tiの含有量が0.15重量%を超えると、熱間鍛造性、切削性、及び研削性が低下する。従って、上記金属材料中にTiを含有させる場合に好ましくは、その含有量を0.01〜0.15重量%とする。
【0022】
又、本発明を実施する場合に、前記フランジを備える部材を構成する鋼中には、少なくともCを0.45〜0.60重量%含有させるが、これと共に、下記に示すC以外の元素も含有させる。
先ず、Mnは、鋼の焼き入れ性を向上させる為に含有させる。但し、含有量が0.3重量%未満の場合には、高周波焼き入れに伴って軌道部分に形成される硬化層の厚さを十分に確保できず(硬化層が浅くなり)、この軌道部分の転がり疲れ寿命確保を十分に図れない。これに対して、含有量が1.5重量%を越えると、上記部材の加工性が低下する。この為、上記鋼中に含有させるMnの量は、0.3〜1.5重量%とする。
【0023】
又、Siは、含有させる事により焼き入れ性を向上させると共にマルテンサイトを強化し、上記軌道部分の転がり疲れ寿命を向上させるだけでなく、非調質部のフェライトに固溶し、フェライト組織の強度を向上させる事により、この非調質部の疲労強度を向上させる為、含有させる。但し、含有量が0.1重量%未満の場合には、これらの効果を十分には得られない。これに対して、含有量が1.0重量%を超えると、熱間鍛造性が低下するだけでなく、鍛造後の脱炭が大きくなって、熱間鍛造後に切削加工を行なわず、鍛造したままの表面で使用する部位の疲労強度が低下する。この為、上記鋼中に含有させるSiの量は、0.1〜1.0重量%とする。
【0024】
更に、Crは、焼き入れ性を向上させると共に、焼き入れ後のマルテンサイト組織を強化し、上記軌道部分の転がり疲れ寿命を向上させる為、含有させる。但し、含有量が0.01重量%未満の場合には、高周波焼き入れに伴って軌道部分に形成される硬化層の厚さを十分に確保できず(硬化層が浅くなり)、又、マルテンサイト組織の強度も低下するので、上記軌道部分の転がり疲れ寿命確保を十分に図れない。これに対して、含有量が0.5重量%を超えると、熱間鍛造性及び切削性が低下する。この為、上記鋼中に含有させるCrの量は、0.01〜0.5重量%とする。
【0025】
尚、Sは、鋼中でMnS等の非金属介在部を形成する。高周波焼き入れされた軌道部分に存在するMnSは、転がり疲労による剥離の起点になり、この軌道部分の転がり疲れ寿命を低下させる。従って、上記鋼中のSの含有量は少ない方が好ましい(可能な限り0に近付ける)。この鋼中へのSの含有量が0.035重量%を超えると、上記軌道部分の転がり疲れ寿命の低下が著しくなる場合がある。この為、上記鋼中へのSの含有量は、0.035重量%以下とする。更に、安定的な転がり疲れ寿命確保とかしめ部9(後述する図1参照)の割れ防止とを考慮して、より好ましくは、Sの含有量を、0.020重量%以下とする。
【0026】
又、Oは、高周波焼き入れされた軌道部分の転がり疲労に大きな影響を与える元素である。即ち、Oは、鋼中でAl2 O3 等の非金属介在部を形成し、転がり疲労による剥離の起点になり、上記軌道部分の転がり疲れ寿命を低下させる。この為、この軌道部分の転がり疲れ寿命を確保する為には、Oの含有量は少ない方が好ましい(可能な限り0に近付ける)。Oの含有量が15ppmを超えると、上記転がり疲れ寿命を低下させる場合がある為、Oの含有量は、15ppm以下とする。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の製造方法の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニット1は、ハブ輪2と、内輪3と、外輪4と、複数個の転動体5、5とを備える。このうちのハブ輪2の外周面の外端部(軸方向に関して外とは、自動車への組み付け状態で幅方向外寄りとなる側を言い、図1の左側。反対に幅方向中央寄りとなる側を、軸方向に関して内と言い、図1の右側。)には、車輪を支持する為の回転側フランジ6を形成している。又、上記ハブ輪2の中間部外周面には第一の内輪軌道7aを、同じく内端部には外径寸法が小さくなった段部8を、それぞれ形成している。この段部8には、外周面に第二の内輪軌道7bを形成した、上記内輪3を外嵌している。
【0028】
又、上記ハブ輪2の内端部に設けた円筒部のうち、この内輪3の内端面から突出した部分を、直径方向外方にかしめ広げる事により、かしめ部9を形成し、このかしめ部9により上記内輪3の内端面を抑え付けている。又、上記外輪4の外周面に、懸架装置を構成するナックル(図示せず)に結合固定する為の固定側フランジ11を設けると共に、内周面に、上記第一の内輪軌道7aと対向する第一の外輪軌道10aと、上記第二の内輪軌道7bと対向する第二の外輪軌道10bとを、それぞれ形成している。そして、これら第一、第二の各内輪軌道7a、7bと第一、第二の各外輪軌道10a、10bとの間に上記各転動体5、5を、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けている。
【0029】
本例の場合には、上記ハブ輪2と内輪3とが内方部材に相当し、上記外輪4が外方部材に相当する。又、このハブ輪2のうち、上記第一の内輪軌道7aを含む、上記回転側フランジ6の内側面の根元部分から上記段部8の中間部に亙る、図1に斜格子で示す部分に高周波焼き入れを施す事により、当該部分に硬化層を形成している。
【0030】
特に、本例の場合には、外周面にフランジを備えた部材である、上記ハブ輪2と外輪4とを、何れも、Cを0.45〜0.60重量%、Mnを0.3〜1.5重量%、Siを0.1〜1.0重量%、Crを0.01〜0.5重量%、Vを0.01〜0.2重量%、Nbを0.01〜0.15重量%、Tiを0.01〜0.15重量%、それぞれ含有させ、Sの含有量を0.035重量%以下に、Oの含有量を15ppm以下に、それぞれ抑えた鋼製としている。そして、上記斜格子で示した部分に加え、上記外輪4の内周面で上記第一、第二の各外輪軌道10a、10bを形成した部分にも、高周波焼き入れにより硬化層を形成している。又、少なくとも上記第一の内輪軌道7a部分、及び、上記第一、第二の各外輪軌道10a、10b部分に形成した硬化層に関しては、この硬化層の表面から深さ0.1mm位置部分の硬さをHv670以上としている。更に、この硬化層の金属組織の旧オーステナイトの結晶の粒径を、JIS粒度番号で、8以上としている。
【0031】
尚、上記内輪3に関しては、SUJ2製とし、全体を(芯まで)焼き入れ硬化させている。この内輪3の外周面に形成した第二の内輪軌道7bに関しては、運転時に上記回転側フランジ6に加わるモーメント荷重に基づく引っ張り応力が加わる事はない。言い換えれば、上記第二の内輪軌道7bに加わる応力は、前記各転動体5、5から加わる圧縮応力に起因する剪断応力のみとなる。従って、上記第二の内輪軌道7bに関しては、特に上述した様な硬さや粒径の仕様を満たす必要はない。但し、硬さに関しては、上記第二の内輪軌道7bの転がり疲れ寿命を考慮すれば、Hv670以上とする事が常識的である。
【0032】
【実施例】
本発明の効果を確認する為に行なった実験に就いて説明する。この実験では、上述した図1に示す様な、車輪支持用転がり軸受ユニットを造った。この車輪支持用転がり軸受ユニットのピッチ円直径は49mm、転動体の数は各列毎に12個ずつ、合計24個とした。そして、この車輪支持用転がり軸受ユニットのうちのハブ輪2の仕様を変える事により、その仕様の変更が第一の内輪軌道7aの耐久性(転がり疲れ寿命)に及ぼす影響を観察した。
先ず、上記ハブ輪2を、下記の表1にA〜Dとして示した4種類の鋼材により造った。
【0033】
【表1】
【0034】
この表1に示した4種類の鋼材製の素材に熱間鍛造を施して凡その形状を有する中間素材を造った後、この中間素材に切削加工を施して所定の形状を有する上記ハブ輪2とした。そして、このハブ輪2の外周面で上記第一の内輪軌道7aから段部8にかけての部分(図1の斜格子部分)に高周波焼き入れを施して、この部分の表面に硬化層を形成した。尚、この硬化層の表面には研削加工を施して、この表面を平滑面とした。そして、上記鋼材の種類と、熱間鍛造時の温度と、高周波焼き入れの条件(保持温度及び保持時間)とを種々変える事により、次の表2に示す、本発明の製造方法の結果物に対応する8種類の試料(実施例1〜8)と、本発明の製造方法の結果物に対応しない4種類の試料(比較例1〜4)との、合計12種類の試料を用意した。
【0035】
【表2】
【0036】
この表2中の、軌道部分表面硬さとは、この軌道部分に形成した硬化層の表面から深さ0.1mm位置部分の硬さである。又、旧オーステナイト粒度とは、上記硬化層の金属組織の旧オーステナイトの結晶の粒径を、JIS粒度番号で表している。更に、転がり疲れ寿命とは、比較例4の転がり疲れ寿命を1として、これに対する比で表している。尚、外輪4は、表1中の鋼材Aにより造り、ハブ輪2と同様の工程で製作し、第一、第二の外輪軌道10a、10b及びその周辺部分に、高周波焼き入れにより硬化層を形成している。この外輪4に関する硬化層に就いては、熱間鍛造時の加熱温度、高周波焼き入れ時の保持温度及び保持時間を調整し、硬化層の旧オーステナイトの結晶の粒度を10とした。更に、内輪3及び転動体5はSUJ2製とし、通常の焼き入れ処理(所謂ズブ焼き)により、表面から芯部まで硬化した。
【0037】
この様にして得た、12種類の試料(車輪支持用転がり軸受ユニット)に就いて、それぞれ下記の条件で耐久試験を行なった。この際、外輪4の外周面に設けた固定側フランジ11を固定し、ハブ輪2の外周面に設けた回転側フランジ6を、下記の荷重を加えつつ回転駆動した。
ラジアル荷重 : 7000N
アキシアル荷重 : 5000N
回転速度 : 300min-1
【0038】
試験中は、上記各試料部分で生じる振動を測定し、その測定値が初期振動値の3倍に達した時点を、当該試料の寿命と判定した。
この様な条件で行なった回転試験の結果を記載した前記表2及び図2の記載から明らかな通り、本発明の製造方法の結果物に対応する実施例1〜8は、高周波焼き入れをした軌道部部分の転がり疲れ寿命が優れている。
これに対して、本発明の製造方法の結果物に対応しない比較例1〜4のうちの比較例1〜3は、旧オーステナイトの結晶の粒径が大きい(旧オーステナイト粒度の値が小さい)為、転がり疲れ寿命が短い。この原因は、上記回転側フランジ6から上記ハブ輪2に加わる曲げ応力に起因して、材料内部に作用する引っ張り応力に基づき、前記第一の内輪軌道7aの転がり寿命が短くなる為である。
一方、比較例4は、旧オーステナイトの結晶の粒径は小さいが、素材中のCの含有量が少なく、高周波焼き入れ後に於ける上記第一の内輪軌道7a表面の硬化層の硬さが低い。この為、転動体からの圧縮応力に基づいて材料内部に作用する剪断応力により、上記第一の内輪軌道7aの転がり疲れ寿命が短くなった。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、フランジを設けた部材の軌道部分の転がり疲れ寿命を確保しつつこの部材の薄肉化が可能となり、車輪支持用転がり軸受ユニットの軽量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の1例を示す、本発明の製造対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットの半部断面図。
【図2】 旧オーステナイトの結晶の粒径と軌道部分の転がり疲れ寿命との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 ハブ輪
3 内輪
4 外輪
5 転動体
6 回転側フランジ
7a 第一の内輪軌道
7b 第二の内輪軌道
8 段部
9 かしめ部
10a 第一の外輪軌道
10b 第二の外輪軌道
11 固定側フランジ
Claims (3)
- 外周面に内輪軌道を有する内方部材と、内周面に外輪軌道を有する外方部材と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法であって、上記内方部材と外方部材とのうちの少なくとも一方の部材で外周面にフランジを備えた部材を造る為、Cを0.45〜0.60重量%、Mnを0.3〜1.5重量%、Siを0.1〜1.0重量%、Crを0.01〜0.5重量%、Sを0.035重量%以下、Oを15ppm以下、それぞれ含有し、残部を鉄及び不可避不純物とした鋼に、熱間鍛造を施して上記フランジを備えた部材を成形した後、このフランジを備えた部材の周面に設けた軌道部分に、高周波焼き入れによって硬化層を形成する事で、この硬化層の表面から深さ0.1mm位置部分の硬さをHv670以上とし、且つ、この硬化層の金属組織の旧オーステナイトの結晶の粒径を、JIS粒度番号で、8以上とする事を特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
- 熱間鍛造の際の鋼の加熱温度を900〜1100℃とした、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
- フランジを備えた部材を構成する鋼が、更に他の元素として、0.01〜0.2重量%のVと、0.01〜0.15重量%のNbと、0.01〜0.15重量%のTiとのうちから選択される1種又は2種以上を含有する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
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