JP5737736B2 - ボールねじのねじ軸 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や産業用機械の動力伝達装置、搬送装置に用いられるボールねじのねじ軸、特に転動溝を局部的に高周波焼入れしたボールねじのねじ軸に関する。
ボールねじは、ねじ軸の外周面に設けた螺旋状の転動溝と、ねじ軸に外嵌するナットの内周面に設けた転動溝との間に複数のボールを配し、ねじ軸(またはナット)の回転動力を、ボールを介してナット(またはねじ軸)の推力に変換するものである。ねじ軸の転動溝内面は、耐摩耗性、耐久性の向上等のために焼入処理される。この焼入を高周波焼入れで行うボールねじのねじ軸製造方法として、以下の各種の方法がある。
その一つは、例えば特許文献1に開示されるボールねじのねじ軸の製造方法であって、
中炭素鋼の素材から転造加工してねじ軸の転動溝を形成した後に、転動溝の内面を高周波焼入れによりHRC55〜62の範囲に硬化処理し、耐摩耗性を向上させる。次に、この高周波熱処理によって生じる酸化スケールを除去するために、バフ処理を施し、最後に、転造加工および高周波焼入れ工程で生じた変形を矯正するために、曲がり矯正が行われる。
他の一つは、例えば特許文献2に開示されるボールねじのナットスクリューの製造方法であって、ナットスクリューの転動溝の内面を高周波焼入れした後に、転動溝を電解研磨することで、転動溝に生じた酸化スケールの除去と仕上げを行うものである。
以上の特許文献1、2に記載の方法では、高周波焼入れ後の酸化スケールの除去が必須工程であった。その理由は、転動溝に酸化スケールがあると運転時の摩耗や異音の特性に悪影響を及ぼす場合があるからである。酸化スケールを除去する方法としては、特許文献3に、ボールねじに限定される製造方法ではないが、高周波焼入れ時の冷却水の圧力を高めることにより、酸化スケールを除去する方法が開示されている。
また、ボールねじのねじ軸は、振動を防止するために、熱処理後の曲がり変形を極力小さくすることが要求される。熱処理後の変形を小さくすると共に、酸化スケールを防止するために、従来から油中で高周波焼入れする方法が多数提案されている。油中での焼入れにより、油が冷却液となって製品が均一に冷却されることから、高周波焼入れに伴う製品の曲り変形を極めて小さくできる。
油中で高周波焼き入れする方法としては、たとえば、高周波焼入れ用コイルと製品を相対移動させない定置式高周波焼入れ方法がある。この定置式高周波焼き入れ方法には、特許文献4乃至6に代表されるように、液中で加熱しそのまま液中で冷却する方法、及び、気体中で加熱しその後冷却液で冷却する方法の2つの方法が用いられている。
特許文献4では、焼入れ油について、窒素やアルゴン等の不活性ガスでバブリングを行って、焼入れ油の溶存酸素を除去し、この焼入れ油中で金属部材の表面を高周波加熱している。その後、焼入れ油で直ちに冷却し、焼入れ処理が行われる。このように、溶存酸素をできるだけ除去した焼入れ油を使用し、冷却ジャケットから焼入れ油を噴射して冷却を行うことで、酸化スケールを生成させないようにしている。
特許文献5でも、特許文献4同様、焼入れ油中で金属部材の加熱及び冷却を行うものであるが、冷却ノズルを用い、焼入れ油を流し込みながら油槽内を攪拌しつつ加熱後の金属部材表面を冷却している。
特許文献6では、無酸化性ガス或いは還元性ガスが充満したケーシング内で金属部品を高周波加熱し、その後、冷却液に浸漬して急冷することで焼入れ処理を行っている。
また、特許文献7には、ボールねじのねじ軸を例として、黒色状酸化スケールの生成のない液中高周波焼入れの転動溝付き機械部品及びその製造方法が提案されている。
一方、高周波焼入れに関したものではなく、炉を用いた熱処理においても酸化を防止する考案が多数提案されている。その代表の一つとして、特許文献8には、真空ポンプを備えた減圧油槽中で減圧脱酸素された焼入れ油を、焼入れ油槽に移送可能とした油焼入れ装置が開示されている。
また、特許文献9には、冷却層内雰囲気中の酸素濃度と冷却水中の溶存酸素濃度を低減させることを特徴とした化成処理と脱気装置を設けた連続焼鈍設備が開示されている。
特開2003−119518号公報 特開2003−25152号公報 特開2002−129231号公報 特開平2−298213号公報 特開2000−282136号公報 特開平5−1320号公報 特開2006−233288号公報 特開平5−202414号公報 特開昭63−11623号公報
ボールねじのように球状の転動体が作動する場合、転動体が点状の接触状態(純転がりに近い状態)で作動する。そのため、焼入れ時に生じた酸化スケール等の異物が転動溝に噛み込んだり存在したりしていると、転動体の動きが急変し、異音が発生し易くなる。このため、酸化スケールの除去が必須の工程となる。
しかし、特許文献1に開示のようなバフ処理だけでは、酸化スケールを転動溝から除去しきれない場合があり、また、バフ処理により、加工時間が長く高コストなるという問題がある。
特許文献2に開示の製造方法のように、高周波焼入れ後の電解研磨により酸化スケール
を除去する場合は、完全に酸化スケールを除去することができる。しかし、加工時間が大幅に長くなる。また、転動溝の表面の面荒れや化学反応熱による表層の軟化などが発生するという問題がある。さらに、研磨液の廃液処理コストや大掛かりな設備を必要とし、作業環境の悪化等の問題もある。
特許文献3に開示の製造方法のように、高周波焼入れ時の冷却水の圧力を高めることで
酸化スケールを除去する場合は、スケールを均一に除去できず、斑点状に黒色のスケール
が微小に残る。そのため、バフ処理などによる別途のスケール除去加工を完全に省略でき
ないという問題がある。
また、変形したボールねじを搬送装置等に適用すると、高速回転時に振れ回りや振動の原因となる。そのため、熱処理後の酸化スケールの防止と同時に変形を低減する必要がある。そこで、上記した特許文献4乃至7に記載のような油中高周波焼入れが考えられる。
しかし、特許文献4、5では、不活性ガスにより溶存酸素を除去した焼入れ油を使用しており、高価な不活性ガスを使用しなければならず、焼入れコストが高いという課題を有する。
また、不活性ガスによる焼入れ油中の酸素成分含有量の管理が困難なことから、焼入れ油を無酸化状態にすることが難しく、酸化スケールのない一定品質のものを提供できないという問題がある。そして、酸化スケールを除去するためにショットブラスト等を行わなければならず、後処理が煩雑となってしまうとともに、ショットブラストによる打ち傷が生じ表面に凹凸ができた金属部品となってしまう。
特許文献6においても、無酸化性ガス或いは還元性ガスをケーシング内に充満させていることから、高価な不活性ガスを使用することとなるため、焼入れコストが高くなってしまう。また、ケーシング内をガス置換しなければならず、生産性が低いという課題を有する。
また、これら特許文献4乃至6は、加熱コイルと製品の相対位置が変化しない定置高周波焼入れに関する発明で、製品の形状にあったコイルを必要とするため高コストとなるという問題がある。
一方、ボールねじに関する油中高周波焼入れについて開示された特許文献7では、黒色状酸化スケールの生成のない液中高周波焼入れをした転動溝付き機械部品及びその製造方法が提案されている。
しかし、この特許文献7では、酸素の少ない油中で焼入れすることにより、無酸化の状態を達成するとあるが、上記した特許文献5、6、8にあるように、油中に存在する溶存酸素が酸化スケールを発生させることは自明である。特許文献7では、この溶存酸素の防止又は除去方法については何も言及されておらず、さらなる改良が要請されている。
また、特許文献8、9には、炉加熱での酸化スケール防止の発明が開示されているが、炉加熱は処理時間が長くラインの同期化が困難で、高温に長時間保持されるため変形が大きくなるという問題を有する。
そのため、特許文献1に開示の製造方法のように、高周波焼入れ工程などで大きな曲がり変形が生じた場合、その後の曲がり矯正する工程で、必要な寸法に矯正しきれない場合がある。したがって、高周波焼入れ後の段階で曲がりの変形を極力小さくすることが重要となる。
この発明の目的は、高周波焼入後の酸化スケールの発生を完全に防止することなく、密着力が高く、運転中にはがれても異音の問題が生じない程度に極めて薄いスケールとし、曲がりの発生を低減し、高周波焼入れされた転動溝の内面がそのまま転動面として使用可能で、生産性に優れ、コスト低下が図れるボールねじのねじ軸を提供することである。
係る目的を達成すべく、本発明は、ボールが転動する断面円弧状の転動溝を有し、少なくとも前記転動溝が高周波焼入れされ、高周波焼入れ後の酸化スケールが黒色状にならない程度に薄く形成され、高周波焼入れされた転動溝の内面をそのまま転動面として使用するボールねじのねじ軸において、ねじ軸の転動溝が転造加工され、高周波焼入れされたままの転動溝面の表面粗さRaを1.0未満とし、焼入れ硬化層の有効硬化深さ比を0.15以上で0.45以下とすると共に、高周波焼入れ後の転動溝表面の旧オーステナイト粒度を8〜11番とし、オージェ分光分析により前記転動溝面の成分分析を行い、表面元素成分のうち酸素と鉄成分のみを抽出し、母材中の酸素濃度より増加する深さを調べることによって求めた当該転動溝面の酸化スケールの厚さが50〜170nmに設定されていることを特徴とする。
高周波焼入れ後の酸化スケールを黒色状にならない程度に薄くすることにより表面粗さの低下を抑制しても、表面粗さRa(算術平均粗さ)が1.0を超えると異音が発生する。Ra1.0未満を有する酸化スケールは、母材との密着力が増加し剥がれ難くなること及び剥がれてもきわめて薄いため異音の発生が防止されると推定される。
通常、高周波焼入れは大気中で加熱され、その後に冷却される。加熱温度は、900℃〜1150℃付近の温度とされるため、大気中の酸素または冷却水中の溶存酸素と反応して厚く脆い酸化スケールが生成される。したがって、高周波焼入れをボールねじのねじ軸における転動溝に施すと、転動溝に酸化スケールが厚く生成される。本発明者が検証したところによれば、厚い酸化スケールは密着力が低下し、回転時に異音を発生させる原因になる。しかし、完全に無酸化の状態を形成しようとすれば、前記特許文献4乃至6にあるような大掛りで、生産性の低下を招く。本発明は、高周波焼入れ後の表面粗さと異音の関係を鋭意究明し、上記の適正な表面粗さに制御すれば異音の発生を防止できることを解明した。その結果、特許文献4乃至6にあるような大掛りな設備を必要とすることがなく、生産性に優れ、低コストで製造することが可能となった。
また、表面粗さは高周波加熱温度と密接な関係がある。有効硬化深さ比(有効硬化層深さ/軸半径)が、0.15未満の場合、高周波焼入れ時の表面の加熱温度を低温にすることができるため、酸化スケールの厚さが薄く表面粗さの低下を抑えるには有利に作用するが、転動寿命が著しく低下する。ボールから転動溝部に作用する荷重により、接触部に高い面圧が作用し、接触部の断面内に応力が分布し表面より内部に最大値が生じる。この最大値が生じる深さ以上に有効硬化層深さの下限値設定することが通常行われる。有効硬化深さ比が0.45を超えると高周波加熱時の温度が上昇し、酸化スケールがポーラス状に発生して面粗さが低下し、冷却度が増加して曲がりが増加するため、0.45を上限とした。好ましくは、0.2〜0.38の有効硬化深さ比の範囲とする。
以上の有効硬化深さ比と生産性を考慮し、表面粗さの範囲は、Ra0.1〜0.6が望ましい。
本発明は、表面粗さと異音の関係及び酸化スケールの厚さと有効硬化深さ比の関係を鋭意究明し、上記の適正な表面粗さと有効硬化深さ比に制御すれば、異音の発生を防止できることを解明した。その結果、特許文献4乃至6にあるような大掛りな設備を必要とすることがなく、生産性に優れ、低コストで製造することが可能となった。
前記転造加工時の変形抵抗を低減させるため、転造加工前の下径加工を行う前に(素材も含む)軟化熱処理を行う。転造加工の直前に軟化熱処理を行うと、熱処理後の変形が増加するためである。この原因は、軟化熱処理時高温雰囲気に保持されるため、素材の脱炭を防止するため炭素濃度を所定の雰囲気に調整するが、雰囲気の炭素濃度のばらつきにより製品の表層炭素濃度が不均一となり、高周波焼入れ後の寸法変化が増加するものと推定される。軟化熱処理には、完全焼なまし、球状化焼なまし等種々あるが、特に限定するものではない。好ましくは、処理時に脱炭、浸炭、浸窒との発生を抑制するため雰囲気の状態が管理された炉で処理されることが望ましい。
高周波焼入れ処理後、軸の曲がりの比振れ量(振れ量/全長)が中央部で1.05×10−3(TIR/mm)以下で、矯正後0.6×10−3(TIR/mm)以下とすることが望ましい。矯正後の軸の比振れ量が、0.6×10−3(TIR/mm)を超えると運転中の振動が増加し、早期破損や異音の原因となる。また、曲がり矯正加工前の高周波焼入れ処理後の比振れ量が1.05×10−3(TIR/mm)を超えると曲がり矯正加工にて規定量以内に矯正しきれなくなる。
また転造溝部外径が最外径となっており、且つ径がφ10以上でφ28以下とすることが好ましい。転動溝部の外径を最大径とすることにより、移動高周波焼入れ時の加熱部の効率的な加熱と生産性を向上させることができる。また、φ10未満となると、剛性が低下し、機械加工や転造時に変形が大きく、製造が困難となる。また、径がφ28を超えると、油中での加熱効率が低くなるため、加熱温度が高くなり、厚い酸化スケールが発生すると共に曲がりも著しく増加する。薄いスケールを形成させようとすると、加熱温度を低くする必要があり、必要な焼入れ硬化深さが得られなくなる。
また、素材の炭素量を0.47〜0.6mass%とした炭素鋼を用いて、高周波焼入れ後の転造溝の表面硬さを46〜64HRCとすることが好ましい。素材の炭素量を0.47mass%未満の場合、必要な硬化深さと硬さを得ようとすると、加熱温度を高温とする必要があり、酸化スケールが増加し、必要な表面粗さを確保できなくなる。また、炭素量が0.6mass%を超えると、機械加工性が著しく低下し、焼割れ感受性が著しく増加する。好ましくは、0.49〜0.56mass%である。
また、素材については、Si:0.02〜0.1mass%、Cr:0.02〜0.05mass%、B:0.0003〜0.006mass%で残部Fe及び不可避的不純物組成から構成されることが好適である。
炭素鋼中の合金元素で酸化物を形成しやすいSiとCrを適正化すると、高周波焼入れ後の酸化スケールの発生がより抑制され表面粗さが改善される。Si:0.02〜0.1mass%で0.02%未満となると、製鋼時の脱酸剤として添加され、0.02%未満となると、十分な脱酸効果が得られなくなる。また、0.1mass%を超えるとスケール膜が厚く面粗さの増加を招き、転造加工性も低下する。Crは少ない方が好ましいが、製鋼段階で不可避的に混入するため、上限をCr:0.05mass%未満とした。また、Siと同様、Crの減少は、機械加工性を改善する。Si、Crは高周波焼入れ性を向上させる、元素として、B:0.0003〜0.006mass%を添加し、Si、Crの減少を補完する。0.0003mass%以下では焼入性向上に効果がなく、Bが0.006%を超えると結晶粒の粗大化を招き焼割れ感受性を助長させる。好ましくは0.0004〜0.005mass%が好ましい。
持軸受として両端にボールベアリングを組み込み支持することにより、低摩擦な機械装置とすることが可能となる。
また、両端にニードルベアリングを組み込み支持することにより、負荷容量が大幅に増加するためコンパクトな機械装置とすることが可能となる。
少なくとも転動溝の内面が、より酸素雰囲気の少ない油中にて移動高周波焼入れされた構成とすることにより、表面粗さの低下を防止することができる。
本発明に係るボールねじのねじ軸は、ボールが転動する断面円弧状の転動溝を有し、少なくとも前記転動溝が高周波焼入れされ、高周波焼入れ後の酸化スケールが黒色状にならない程度に薄く形成され、高周波焼入れされた転動溝の内面をそのまま転動面として使用するボールねじのねじ軸において、前記ねじ軸の転動溝が転造加工され、高周波焼入れされたままの転動溝面の表面粗さRaを1.0未満とし、焼入れ硬化層の有効硬化深さ比を0.15以上で0.45以下とすると共に、高周波焼入れ後の転動溝表面の旧オーステナイト粒度を8〜11番とし、オージェ分光分析により前記転動溝面の成分分析を行い、表面元素成分のうち酸素と鉄成分のみを抽出し、母材中の酸素濃度より増加する深さを調べることによって求めた当該転動溝面の酸化スケールの厚さが50〜170nmに設定されていることにより、異音の発生を防止することができ、大掛りな設備を必要とすることがなく、生産性に優れ、低コストで製造することが可能となった。
この発明の一実施形態にかかるねじ軸を組み込んだボールねじの縦断面図である。 図1のねじ軸の斜視図である。 図1のねじ軸の製造工程を示す工程図である。 図1のねじ軸の高周波焼入れ範囲を示す図である。 図1のねじ軸の油中での移動高周波焼入れ状況を示す断面図である。 図1のねじ軸の高周波焼入れ後の有効硬化深さ比を示す図である。 図1のねじ軸の曲がりを測定の方法を示す図である。
ボールが転動する断面円弧状の転動溝を有し、少なくとも前記転動溝が高周波焼入れされ、高周波焼入れ後の酸化スケールが黒色状にならない程度に薄く形成され、高周波焼入れされた転動溝の内面をそのまま転動面として使用するボールねじのねじ軸において、前記ねじ軸の転動溝が転造加工され、高周波焼入れされたままの転動溝面の表面粗さRaを1.0未満とし、焼入れ硬化層の有効硬化深さ比を0.15以上で0.45以下とすると共に、高周波焼入れ後の転動溝表面の旧オーステナイト粒度を8〜11番とし、オージェ分光分析により前記転動溝面の成分分析を行い、表面元素成分のうち酸素と鉄成分のみを抽出し、母材中の酸素濃度より増加する深さを調べることによって求めた当該転動溝面の酸化スケールの厚さが50〜170nmに設定されていることを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
この実施形態のボールねじのねじ軸において、図1はボールねじの縦断面図、図2は図1のねじ軸の斜視図、図3は図1のねじ軸の製造工程を示す工程図、図4は図1のねじ軸における高周波焼入れ範囲の説明図、図5は油中高周波焼入れの説明図である。
図1に断面図で示すように、ボールねじ1は、ねじ軸2と、ナット3と、転動体である複数のボール4とを備える。転動溝付き軸部品であるねじ軸2は、図2に斜視図で示すように、外周面にボール4が転動する螺旋状で断面円弧状の転動溝5を形成した軸である。ここで言う断面円弧状は、円弧中心が互いに異なる2つ円弧を組み合わせた形状であるゴシックアーチ形状を含む。
ナット3は、ねじ軸2に遊嵌状態に外嵌し、内周面にボール4が転動する螺旋状で断面円弧状の転動溝6を形成したものである。ボール4は、ねじ軸2とナット3の対向する転動溝5、6の間に配置される。ナット3には、ねじ軸2とナット3の対向する転動溝5、6間で形成される軌道を無端軌道としてボール4を無限循環させるための循環部品(図示せず)、例えばこま部材またはリターンチューブ等が取付けられる。
本実施例では、少なくとも転動溝6が高周波焼入れされ、高周波焼き入れ後に黒色状の酸化スケールの生成がなく、高周波焼き入れされた転動溝6の内面をそのまま転動面として使用する。そして、高周波焼入れされたままの転動溝6の表面粗さRaを1.0未満、好ましくはRa0.1〜0.6とし、焼入れ硬化層の有効硬化深さ比を0.15以上で0.45以下、好ましくは0.2〜0.38としたものである。
上記ねじ軸2は、図3に概略の工程図で示す工程により製造される。
すなわち、ねじ軸2の素材は、コイル材又は丸棒材とされる。次に、所定の形状にするための旋削加工と所望の外径寸法に仕上げ表面傷を除去するセンタレス研削等が行われる。このように仕上げられた丸棒材に転動溝5が形成される。転動溝5の形成は、冷間鍛造の一種である転造加工により行われる。
この転造加工は、転造ロール(図示せず)を丸棒材の外周面に転接させることにより、螺旋状の転動溝5を形成する加工である。
転造加工時の変形抵抗を低減させるため、転造加工前の下径加工を行う前に(素材も含む)適宜軟化熱処理を行う。軟化熱処理には、完全焼なまし、球状化焼なまし等種々あるが、特に限定するものではない。好ましくは、処理時に脱炭、浸炭、浸窒との発生を抑制するため雰囲気の状態が管理された炉で処理される。
その後、油中で移動高周波加熱を用いて高周波焼き入れされ、曲り矯正を施し、最終の仕上げ加工として外周の研削加工が行われる。場合によっては、曲り矯正と最終の研削加工は省略してもよい。
図4に示すように、転動溝5が形成される転造溝部2aの外径が最外径となっており、高周波焼入れを行う範囲は転動溝部2aのみとする。小径の両軸端部2b、2cには、不図示のボールベアリングやニードルベアリング等の軸受が組み込み支持される。転動溝部2aの外径を最大径とすることにより、移動高周波焼入れ時の転動溝部2aの効率的な加熱と生産性を向上させることができる。
図5は、油中移動式高周波焼入れ方法を模式的に示した。
焼き入れは、周波数100kHzで出力100kwの高周波誘導加熱装置を用いて実施した。油中移動式高周波焼入れ方法は、油槽11に入れた焼入れ油10中でねじ軸2を部分的に高周波加熱コイル7で加熱する工程と、ねじ軸2の加熱箇所を焼入れ油の噴射や対流(図5の破線の矢印で模式的に示した。)にて冷却する工程により焼入れを行うものである。高周波加熱コイル7に電流を流し、ねじ軸2表面に誘導電流を生じさせ、この誘導電流でねじ軸2表面を発熱させて急速に加熱を行う。
高周波加熱を行うと、ねじ軸2の発熱によって周辺の焼入れ油が熱分解をおこす。これにより焼入れ油10から熱分解ガス9(図5には模式的に示されたものである)が発生し、この熱分解ガス9の蒸気圧と焼入れ油10の油圧とが均衡し、ねじ軸2表面に膜状になって留まるので、加熱箇所が全て覆われた状態となり、焼入れ油10とねじ軸2の接触が遮断される。
この熱分解ガス9は、焼入れ油10が凡そ700℃以上になると発生するものであり、ガス成分は焼入れ油10にもよるが、概ね一酸化炭素、水素、窒素、メタン、エタン、エチレン、プロパン等である。この熱分解ガス9には酸素をほぼ含まないことから良好な無酸化雰囲気となり、また、ねじ軸2の加熱箇所全てを覆って焼入れ油との接触を遮断することから、ねじ軸2の酸化反応がほとんど起こらない。
焼入れ油10としては、市販されている鉱油系熱処理油等を使用すればよく、例えばコールドクエンチ用焼入れ油、ホットクエンチ用焼入れ油を使用できる。焼入れ油は炭化水素を主成分としているので、分解すると上記のような成分のガスが発生する。
熱分解ガス9はねじ軸2が高温の状態にある限り際限なく発生するので、一部が脱離してもすぐに発生する熱分解ガス9により補われ、冷却時までねじ軸の加熱箇所全てを覆っている。
次に、冷却工程について説明する。加熱したねじ軸2を油中にて焼入れ油10を噴射し冷却している。ここで、焼入れ油10は高周波加熱コイル7と反対方向に噴射する。加熱側に焼入れ油10を噴射しないことにより、上述の加熱工程でねじ軸2表面を覆った熱分解ガス9が脱離することを防止している。
このように、加熱工程で発生する熱分解ガス9でねじ軸2表面を加熱時から冷却時まで覆い、焼入れ油10とねじ軸2の加熱部表面との接触を阻止している。また、冷却時に焼入れ油10の噴射で熱分解ガス9は脱離することになるが、すぐさま冷却されてねじ軸2の温度が急激に低下するため、ねじ軸2表面が溶存酸素と接触しても酸化反応が進行するだけの時間が無い。このため、焼入れ油10中の溶存酸素とねじ軸2との反応を防止でき、ねじ軸2の加熱部表面に黒い酸化スケールが生成しない。
焼入れ油10の噴射には冷却ジャケット8(噴射穴81から噴射)を用いると良い。そして、冷却ジャケット8は高周波加熱コイル7の上方に配置し、ねじ軸2を高周波加熱コイル7、冷却ジャケット8の順に通過させるように上昇させて加熱、冷却を行うことが好ましい。更には、均一な加熱と冷却を行うため、ねじ軸2を回転させながら上昇させるのが好ましい。熱分解ガス9は浮力により上昇してねじ軸2表面から脱離しようとするが、ねじ軸2を上昇させながら焼入れすれば、ねじ軸2の進行方向と熱分解ガス9に働く浮力の方向とは同一方向になる。このため、熱分解ガス9はねじ軸2の上昇に伴って追随するように上昇するので、脱離しにくくなる。このように、熱分解ガス9を効果的に利用して、不活性ガスを使用せずとも、光輝処理が可能となっている。光輝処理とは、黒い酸化スケールが生成されないことを意味している。焼入れ油10には微量の酸素が存在しており、ごく薄い酸化スケールが生成される。
このようなごく薄い酸化スケールは、母材との密着力が強く剥がれ難くなるが、表面粗さがRa1.0を超えると異音が発生する。Ra1.0未満を有する酸化スケールは、母材との密着力が増加し剥がれ難くなること及び剥がれてもきわめて薄いため異音の発生が防止される。また、表面粗さは高周波加熱温度と密接な関係がある。有効硬化深さ比が、0.15未満の有効硬化深さの場合、高周波焼入れ時の表面の加熱温度を低温にすることができるため、酸化スケールの厚さが薄く表面粗さの低下を抑えるには有利に作用するが、転動寿命が著しく低下する。ボールから転動溝に作用する荷重により、接触部に高い面圧作用し、接触部の断面内に応力が分布し表面より内部に最大値が生じる。この最大値が生じる深さ以上に有効硬化深さの下限値設定することが通常行われる。有効硬化深さ比が0.45を超えると高周波加熱時の温度が上昇し、酸化スケールがボーラス状に発生して面粗さが低下し、冷却度が増加して曲がりが増加するため、0.45を上限とした。好ましくは、0.2〜0.38の有効硬化深さ比の範囲とする。以上の有効硬化深さ比と生産性を考慮し、表面粗さの範囲は、Ra0.1〜0.6とすることが望ましい。
図6は、ねじ軸の高周波焼入れ後の有効硬化深さ比の説明図である。図示するように、有効硬化深さ比は、有効硬化層深さH/ねじ軸半径d、で表される。高周波焼き入れ範囲は、図4のようにねじ部全域となってもよいが、図6のように必要な箇所(ハッチング部分)に限定しても良い。
また、焼入れ油10中で焼き入れすることにより、焼き入れ油10が冷却水となってねじ軸2の全体が均一に冷却され、そのため、高周波焼き入れに伴うねじ軸2の曲がり変形を非常に小さくすることが可能となる。
高周波焼入れ処理後、軸の曲がりの比振れ量(振れ量/全長)が中央部で1.05×10−3(TIR/mm)以下で、矯正後0.6×10−3(TIR/mm)以下とすることが望ましい。矯正後の軸の比振れ量が、0.6×10−3(TIR/mm)を超えると運転中の振動が増加し、早期破損や異音の原因となる。また、曲がり矯正加工前の高周波焼入れ処理後の比振れ量が1.05×10−3(TIR/mm)を超えると曲がり矯正加工にて規定量以内に矯正しきれなくなる。
図7に、この曲がり比振れ量の測定方法を示している。図に示すように、ねじ軸2の両端を支持ピン101、101によって回転自在に支持し、ねじ軸2の中央の振れ量をダイヤルゲージ100によって測定し、全長Lに対する振れ量の比を求める。
また、素材の炭素量を0.47〜0.6mass%とした炭素鋼を用い、高周波焼入れ後の転動溝5の表面硬さを46〜64HRCとすることが好ましい。素材の炭素量が0.47mass%未満の場合、必要な硬化深さと硬さを得ようとすると、加熱温度を高温とする必要があり、酸化スケールが増加し、必要な表面粗さを確保できなくなる。また、炭素量が0.6mass%を超えると、機械加工性が著しく低下し、焼割れ感受性が著しく増加する。好ましくは、0.49〜0.56mass%である。
また、素材については、Si:0.02〜0.1mass%、Cr:0.02〜0.05mass%、B:0.0003〜0.006mass%で残部Fe及び不可避的不純物組成から構成されることが好適である。
炭素鋼中の合金元素で酸化物を形成しやすいSiとCrを適正化すると、高周波焼入れ後の酸化スケールの発生がより抑制され表面粗さが改善される。Si:0.02〜0.1mass%で0.02%未満となると、製鋼時の脱酸剤として添加され、0.02%未満となると、十分な脱酸効果が得られなくなる。また、0.1mass%を超えるとスケール膜が厚く面粗さの増加を招き、転造加工性も低下する。Crは少ない方が好ましいが、製鋼段階で不可避的に混入するため、上限をCr:0.05mass%未満とした。また、Siと同様、Crの減少は、機械加工性を改善する。Si、Crは高周波焼入れ性を向上させる、元素として、B:0.0003〜0.006mass%を添加し、Si、Crの減少を補完する。0.0003mass%以下では焼入性向上に効果がなく、Bが0.006%を超えると結晶粒の粗大化を招き焼割れ感受性を助長させる。好ましくは0.0004〜0.005mass%が好ましい。
また、高周波焼入れ後の転動溝5表面の旧オーステナイト粒度を8〜11番とすることが好適である。高周波焼入れ後の転動溝5表面の旧オーステナイト粒度を8番以下となると、著しく酸化スケールが増加し、表面粗さが顕著に悪化し、軸の曲がりが増加する。11番を超えると有効硬化深さが減少する。
表1に従来のねじ軸の加工方法(A)と、本発明のねじ軸の加工方法(N)を示し、表2に具体的な本発明の実施品1乃至4の特性を従来品と比較して示している。
従来品は、従来の加工方法(A)により、S53Cの圧延ままの材料を用い、コイルの曲り矯正後センタレス加工により寸法精度と表面性状を高め、転造加工を行い、大気中にて高周波焼入れを行った。転動溝部の外径は、φ15である。
実施品1乃至3は、S53Cで圧延ままの材料を用い、コイルの曲り矯正後、センタレス加工により寸法精度と表面性状を高め、転動溝を転造加工し、油中で移動高周波焼入れを行った。実施品4は、素材に球状化焼鈍処理を実施したものである。実施品1乃至4は、転動溝部の外径を、φ8、φ29、φ15、φ15とした。
この結果、表2に示すように、従来品1は、酸化スケールの厚さが0.003mmに対し、本発明の実施品1乃至4では、酸化スケールの厚さは、50、170、70、60nmと極めて薄く、見た目では鋼の色と全く同じである。
この酸化スケールの厚さは、オージェ分光分析装置により容易に測定できる。オージェ分光分析により転動溝表面の成分分析を行い、表面元素成分のうち酸素と鉄成分のみを抽出し、母材中の酸素濃度より増加する深さを調べ酸化スケールの厚さとした。
一方、実施品1については、軸径がφ8と小さいために、酸化スケールの厚さはごく薄いものの、比振れ量が大きくなる。また、実施品2については、軸径がφ29と大きいために、油中での加熱効率が低くなり、酸化スケールの厚さが大きくなる。
また、実施品3、4では、酸化スケールの厚さは小さく、かつ比振れ量も小さい。特に、転造時の球状化焼鈍処理を実施した実施品4では、油中高周波焼入れ後の曲りが実施品3より低減している。
以上説明したように、本発明によれば、高周波焼入後光輝処理されスケールの除去処理が不要で、曲げの発生を抑制でき、転動溝表面を焼入れのままで使用可能とし生産性に優れ、コスト低下が図れるボールねじのねじ軸を提供することできる。
Figure 0005737736
Figure 0005737736
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係るボールねじのねじ軸は、転動溝が高周波焼入れされ、この転動溝の内面をそのまま転動面として使用するボールねじのねじ軸に適用することができる。
1 ボールねじ
2 ねじ軸(転動溝付き機械部品)
2a 転動溝部
2b、2c 軸端部
3 ナット
4 ボール(転動体)
5 ねじ軸の転動溝
6 ナットの転動溝
7 高周波加熱コイル
8 冷却ジャケット
81 噴射穴
9 熱分解ガス
10 焼入れ油
11 油槽
12 排出管

Claims (9)

  1. ボールが転動する断面円弧状の転動溝を有し、少なくとも前記転動溝が高周波焼入れされ、高周波焼入れ後の酸化スケールが黒色状にならない程度に薄く形成され、高周波焼入れされた転動溝の内面をそのまま転動面として使用するボールねじのねじ軸において、
    前記ねじ軸の転動溝が転造加工され、高周波焼入れされたままの転動溝面の表面粗さRaを1.0未満とし、焼入れ硬化層の有効硬化深さ比を0.15以上で0.45以下とすると共に、高周波焼入れ後の転動溝表面の旧オーステナイト粒度を8〜11番とし、オージェ分光分析により前記転動溝面の成分分析を行い、表面元素成分のうち酸素と鉄成分のみを抽出し、母材中の酸素濃度より増加する深さを調べることによって求めた当該転動溝面の酸化スケールの厚さが50〜170nmに設定されていることを特徴とするボールねじのねじ軸。
  2. 転造加工前に軟化熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のボールねじのねじ軸。
  3. 高周波焼入れ後軸の曲り比振れ量(振れ量/全長)が1.05×10−3(TIR/mm)以下で曲り矯正後0.6×10−3(TIR/mm)以下としたことを特徴とする請求項2に記載のボールねじのねじ軸。
  4. 転動溝部の外径が最外径となっており且つ径がφ10以上でφ28以下としたことを特徴とする請求項3に記載のボールねじのねじ軸。
  5. 素材の炭素量を0.47〜0.6mass%とした炭素鋼を用いて、高周波焼入れ後の転造溝の表面硬さをHRc46〜64とした請求項1乃至4のいずれかの項に記載のボールねじのねじ軸。
  6. 前記炭素鋼が、Si:0.02〜0.1mass%、Cr:0.02〜0.05mass%、B:0.0003〜0.006mass%で残部Fe及び不可避的不純物組成からなる請求項5に記載のボールねじのねじ軸。
  7. 両端にボールベアリングが組み込み支持される請求項1乃至6のいずれかの項に記載のボールねじのねじ軸。
  8. 両端にニードルベアリングを組み込み支持される請求項1乃至6のいずれかの項に記載のボールねじのねじ軸。
  9. 前記転動溝の内面が油中にて移動高周波焼入れされた請求項1に記載のボールねじのねじ軸。
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